「古今和歌集/巻十九」の版間の差分
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巻十九:雑体
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あふことの-まれなるいろに-おもひそめ-わかみはつねに-あまくもの-はるるときなく-ふしのねの-もえつつとはに-おもへとも-あふことかたし-なにしかも-ひとをうらみむ-わたつみの-おきをふかめて-おもひてし-おもひをいまは-いたつらに-なりぬへらなり-ゆくみつの-たゆるときなく-かくなわに-おもひみたれて-ふるゆきの-けなはけぬへく-おもへとも-えふのみなれは-なほやます-おもひはふかし-あしひきの-やましたみつの-こかくれて-たきつこころを-たれにかも-あひかたらはむ-いろにいては-ひとしりぬへみ-すみそめの-ゆふへになれは-ひとりゐて-あはれあはれと-なけきあまり-せむすへなみに-にはにいてて-たちやすらへは-しろたへの-ころものそてに-おくつゆの-けなはけぬへく-おもへとも-なほなけかれぬ-はるかすみ-よそにもひとに-あはむとおもへは
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ちはやふる-かみのみよより-くれたけの-よよにもたえす-あまひこの-おとはのやまの-はるかすみ-おもひみたれて-さみたれの-そらもととろに-さよふけて-やまほとときす-なくことに-たれもねさめて-からにしき-たつたのやまの-もみちはを-みてのみしのふ-かみなつき-しくれしくれて-ふゆのよの-にはもはたれに-ふるゆきの-なほきえかへり-としことに-ときにつけつつ-あはれてふ-ことをいひつつ-きみをのみ-ちよにといはふ-よのひとの-おもひするかの-ふしのねの-もゆるおもひも-あかすして-わかるるなみた-ふちころも-おれるこころも-やちくさの-ことのはことに-すめらきの-おほせかしこみ-まきまきの-うちにつくすと-いせのうみの-うらのしほかひ-ひろひあつめ-とれりとすれと-たまのをの-みしかきこころ-おもひあへす-なほあらたまの-としをへて-おほみやにのみ-ひさかたの-ひるよるわかす-つかふとて-かへりみもせぬ-わかやとの-しのふくさおふる-いたまあらみ-ふるはるさめの-もりやしぬらむ
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くれたけの-よよのふること-なかりせは-いかほのぬまの-いかにして-おもふこころを-のはへまし-あはれむかしへ-ありきてふ-ひとまろこそは-うれしけれ-みはしもなから-ことのはを-あまつそらまて-きこえあけ-すゑのよよまて-あととなし-いまもおほせの-くたれるは-ちりにつけとや-ちりのみに-つもれることを-とはるらむ-これをおもへは-けたものの-くもにほえけむ-ここちして-ちちのなさけも-おもほえす-ひとつこころそ-ほこらしき-かくはあれとも-てるひかり-ちかきまもりの-みなりしを-たれかはあきの-くるかたに-あさむきいてて-みかきもり-とのへもるみの-みかきより-をさをさしくも-おもほえす-ここのかさねの-なかにては-あらしのかせも-きかさりき-いまはのやまし-ちかけれは-はるはかすみに-たなひかれ-なつはうつせみ-なきくらし-あきはしくれに-そてをかし-ふゆはしもにそ-せめらるる-かかるわひしき-みなからに-つもれるとしを-しるせれは-いつつのむつに-なりにけり-これにそはれる-わたくしの-おいのかすさへ-やよけれは-みはいやしくて-としたかき-ことのくるしさ-かくしつつ-なからのはしの-なからへて-なにはのうらに-たつなみの-なみのしわにや-おほほれむ-さすかにいのち-をしけれは-こしのくになる-しらやまの-かしらはしろく-なりぬとも-おとはのたきの-おとにきく-おいすしなすの-くすりかも-きみかやちよを-わかえつつみむ
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きみかよに-あふさかやまの-いはしみつ-こかくれたりと-おもひけるかな
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ちはやふる-かみなつきとや-けさよりは-くもりもあへす-はつしくれ-もみちとともに-ふるさとの-よしののやまの-やまあらしも-さむくひことに-なりゆけは-たまのをとけて-こきちらし-あられみたれて-しもこほり-いやかたまれる-にはのおもに-むらむらみゆる-ふゆくさの-うへにふりしく-しらゆきの-つもりつもりて-あらたまの-としをあまたも-すくしつるかな
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おきつなみ-あれのみまさる-みやのうちは-としへてすみし-いせのあまも-ふねなかしたる-ここちして-よらむかたなく-かなしきに-なみたのいろの-くれなゐは-われらかなかの-しくれにて-あきのもみちと-ひとひとは-おのかちりちり-わかれなは-たのむかけなく-なりはてて-とまるものとは-はなすすき-きみなきにはに-むれたちて-そらをまかねは-はつかりの-なきわたりつつ-よそにこそみめ
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うちわたす-をちかたひとに-ものまうすわれ-そのそこに-しろくさけるは-なにのはなそも
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はるされは-のへにまつさく-みれとあかぬはな-まひなしに-たたなのるへき-はなのななれや
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はつせかは-ふるかはのへに-ふたもとあるすき-としをへて-またもあひみむ-ふたもとあるすき
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きみかさす-みかさのやまの-もみちはのいろ-かみなつき-しくれのあめの-そめるなりけり
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うめのはな-みにこそきつれ-うくひすの-ひとくひとくと-いとひしもをる
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やまふきの-はないろころも-ぬしやたれ-とへとこたへす-くちなしにして
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いくはくの-たをつくれはか-ほとときす-してのたをさを-あさなあさなよふ
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いつしかと-またくこころを-はきにあけて-あまのかはらを-けふやわたらむ
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むつことも-またつきなくに-あけぬめり-いつらはあきの-なかしてふよは
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あきののに-なまめきたてる-をみなへし-あなかしかまし-はなもひととき
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あきくれは-のへにたはるる-をみなへし-いつれのひとか-つまてみるへき
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あききりの-はれてくもれは-をみなへし-はなのすかたそ-みえかくれする
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はなとみて-をらむとすれは-をみなへし-うたたあるさまの-なにこそありけれ
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あきかせに-ほころひぬらし-ふちはかま-つつりさせてふ-きりきりすなく
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ふゆなから-はるのとなりの-ちかけれは-なかかきよりそ-はなはちりける
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いそのかみ-ふりにしこひの-かみさひて-たたるにわれは-いそねかねつる
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まくらより-あとよりこひの-せめくれは-せむかたなみそ-とこなかにをる
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こひしきか-かたもかたこそ-ありときけ-たてれをれとも-なきここちかな
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ありぬやと-こころみかてら-あひみねは-たはふれにくき-まてそこひしき
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みみなしの-やまのくちなし-えてしかな-おもひのいろの-したそめにせむ
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あしひきの-やまたのそほつ-おのれさへ-われをほしてふ-うれはしきこと
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ふしのねの-ならぬおもひに-もえはもえ-かみたにけたぬ-むなしけふりを
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あひみまく-ほしはかすなく-ありなから-ひとにつきなみ-まよひこそすれ
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ひとにあはむ-つきのなきには-おもひおきて-むねはしりひに-こころやけをり
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はるかすみ-たなひくのへの-わかなにも-なりみてしかな-ひともつむやと
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おもへとも-なほうとまれぬ-はるかすみ-かからぬやまも-あらしとおもへは
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はるののの-しけきくさはの-つまこひに-とひたつきしの-ほろろとそなく
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あきののに-つまなきしかの-としをへて-なそわかこひの-かひよとそなく
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せみのはの-ひとへにうすき-なつころも-なれはよりなむ-ものにやはあらぬ
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かくれぬの-したよりおふる-ねぬなはの-ねぬなはたてし-くるないとひそ
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ことならは-おもはすとやは-いひはてぬ-なそよのなかの-たまたすきなる
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380 ⟶ 418行目:
おもふてふ-ひとのこころの-くまことに-たちかくれつつ-みるよしもかな
01039
390 ⟶ 429行目:
おもへとも-おもはすとのみ-いふなれは-いなやおもはし-おもふかひなし
01040
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われをのみ-おもふといはは-あるへきを-いてやこころは-おほぬさにして
01041
410 ⟶ 451行目:
われをおもふ-ひとをおもはぬ-むくひにや-わかおもふひとの-われをおもはぬ
01042
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おもひけむ-ひとをそともに-おもはまし-まさしやむくひ-なかりけりやは
01043
430 ⟶ 473行目:
いててゆかむ-ひとをととめむ-よしなきに-となりのかたに-はなもひぬかな
01044
440 ⟶ 484行目:
くれなゐに-そめしこころも-たのまれす-ひとをあくには-うつるてふなり
01045
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いとはるる-わかみははるの-こまなれや-のかひかてらに-はなちすてつる
01046
460 ⟶ 506行目:
うくひすの-こそのやとりの-ふるすとや-われにはひとの-つれなかるらむ
01047
470 ⟶ 517行目:
さかしらに-なつはひとまね-ささのはの-さやくしもよを-わかひとりぬる
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480 ⟶ 528行目:
あふことの-いまははつかに-なりぬれは-よふかからては-つきなかりけり
01049
490 ⟶ 539行目:
もろこしの-よしののやまに-こもるとも-おくれむとおもふ-われならなくに
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500 ⟶ 550行目:
くもはれぬ-あさまのやまの-あさましや-ひとのこころを-みてこそやまめ
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なにはなる-なからのはしも-つくるなり-いまはわかみを-なににたとへむ
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まめなれと-なにそはよけく-かるかやの-みたれてあれと-あしけくもなし
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なにかその-なのたつことの-をしからむ-しりてまとふは-われひとりかは
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よそなから-わかみにいとの-よるといへは-たたいつはりに-すくはかりなり
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ねきことを-さのみききけむ-やしろこそ-はてはなけきの-もりとなるらめ
01056
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なけきこる-やまとしたかく-なりぬれは-つらつゑのみそ-まつつかれける
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なけきをは-こりのみつみて-あしひきの-やまのかひなく-なりぬへらなり
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ひとこふる-ことをおもにと-になひもて-あふこなきこそ-わひしかりけれ
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よひのまに-いてていりぬる-みかつきの-われてものおもふ-ころにもあるかな
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そゑにとて-とすれはかかり-かくすれは-あないひしらす-あふさきるさに
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610 ⟶ 671行目:
よのなかの-うきたひことに-みをなけは-ふかきたにこそ-あさくなりなめ
01062
620 ⟶ 682行目:
よのなかは-いかにくるしと-おもふらむ-ここらのひとに-うらみらるれは
01063
630 ⟶ 693行目:
なにをして-みのいたつらに-おいぬらむ-としのおもはむ-ことそやさしき
01064
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みはすてつ-こころをたにも-はふらさし-つひにはいかか-なるとしるへく
01065
650 ⟶ 715行目:
しらゆきの-ともにわかみは-ふりぬれと-こころはきえぬ-ものにそありける
01066
660 ⟶ 726行目:
うめのはな-さきてののちの-みなれはや-すきものとのみ-ひとのいふらむ
01067
670 ⟶ 737行目:
わひしらに-ましらななきそ-あしひきの-やまのかひある-けふにやはあらぬ
01068
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