「古今和歌集/巻六」の版間の差分

巻六：冬

 

00314

 

たつたかは－にしきおりかく－かみなつき－しくれのあめを－たてぬきにして

 

00315

 

やまさとは－ふゆそさひしさ－まさりける－ひとめもくさも－かれぬとおもへは

 

00316

 

おほそらの－つきのひかりし－きよけれは－かけみしみつそ－まつこほりける

 

00317

 

ゆふされは－ころもてさむし－みよしのの－よしののやまに－みゆきふるらし

 

00318

 

いまよりは－つきてふらなむ－わかやとの－すすきおしなひ－ふれるしらゆき

 

00319

 

ふるゆきは－かつそけぬらし－あしひきの－やまのたきつせ－おとまさるなり

 

00320

 

このかはに－もみちはなかる－おくやまの－ゆきけのみつそ－いままさるらし

 

00321

 

ふるさとは－よしののやまし－ちかけれは－ひとひもみゆき－ふらぬひはなし

 

00322

 

わかやとは－ゆきふりしきて－みちもなし－ふみわけてとふ－ひとしなけれは

 

00323

 

ゆきふれは－ふゆこもりせる－くさもきも－はるにしられぬ－はなそさきける

 

00324

 

しらゆきの－ところもわかす－ふりしけは－いはほにもさく－はなとこそみれ

 

00325

 

みよしのの－やまのしらゆき－つもるらし－ふるさとさむく－なりまさるなり

 

00326

 

うらちかく－ふりくるゆきは－しらなみの－すゑのまつやま－こすかとそみる

 

00327

 

みよしのの－やまのしらゆき－ふみわけて－いりにしひとの－おとつれもせぬ

 

00328

 

しらゆきの－ふりてつもれる－やまさとは－すむひとさへや－おもひきゆらむ

 

00329

 

ゆきふりて－ひともかよはぬ－みちなれや－あとはかもなく－おもひきゆらむ

 

00330

 

ふゆなから－そらよりはなの－ちりくるは－くものあなたは－はるにやあるらむ

 

00331

 

ふゆこもり－おもひかけぬを－このまより－はなとみるまて－ゆきそふりける

 

00332

 

あさほらけ－ありあけのつきと－みるまてに－よしののさとに－ふれるしらゆき

 

00333

 

けぬかうへに－またもふりしけ－はるかすみ－たちなはみゆき－まれにこそみめ

 

00334

 

うめのはな－それともみえす－ひさかたの－あまきるゆきの－なへてふれれは

 

00335

 

はなのいろは－ゆきにましりて－みえすとも－かをたににほへ－ひとのしるへく

 

00336

 

うめのかの－ふりおけるゆきに－まかひせは－たれかことこと－わきてをらまし

 

00337

 

ゆきふれは－きことにはなそ－さきにける－いつれをうめと－わきてをらまし

 

00338

 

わかまたぬ－としはきぬれと－ふゆくさの－かれにしひとは－おとつれもせす

 

00339

 

あらたまの－としのをはりに－なることに－ゆきもわかみも－ふりまさりつつ

 

00340

 

ゆきふりて－としのくれぬる－ときにこそ－つひにもみちぬ－まつもみえけれ

 

00341

 

きのふといひ－けふとくらして－あすかかは－なかれてはやき－つきひなりけり

 

00342