「日本民間放送連盟放送基準 (昭和26年)」の版間の差分
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2012年8月13日 (月) 02:18時点における版
日本民間放送連盟放送基準
(昭和二六年一月一〇日制定)
日本民間放送連盟は、民間放送事業の最大の使命が、言論および表現の自由を確立すること、国際間の平和的秩序を尊重すること、ならびに広告媒体として日本経済の反映を増進することによって、日本の民主主義的再建に役立つことにあると考える。この目的達成のために、会員相携えて共同の努力をし、他面自由公正な競争によって日本文化の堅実な発展に貢献しようとする。
上記の趣旨に基いて、会員の行う放送は以下の原則に従う。
- 一、日本国憲法第三章に規定する国民の権利および義務を尊重する。
- 二、放送が一党一派にかたよらず、真実を伝え、かつその自律を確保することによって、放送による表現の自由を保持する。
- 三、放送が健全な民主主義の発達に資するように努力する。
- 四、国際連合憲章の目的にそい、世界秩序の再建に役立つ。
会員は、上記の原則に基き、次に掲げる各基準によって、放送することを希望する。なお、放送に当っては、日本語の純潔を保持し、これを洗練することに努力する。
一、番組基準
(1) ニュース番組
ニュースの報道は、偏見と極端な表現とを避け、公正を守り、事実の全容が分かるようにして、公衆に真実を正確忠実に伝える。解説および分析は、報道と厳密に区別する。 解説および分析に当る者の選定については慎重を期し、かつその者の氏名を放送する。
(2) 政治番組
政治放送または政治問題を内容とする放送は、一党一派にかたよることなく公平に取扱う。
(3) 社会公共番組
社会公共問題を取扱う番組は、その内容・形式・演出等に特に留意する。 現に論争中の問題の場合は、その問題に対する公衆の関心の度合を充分に考慮して、それぞれの立場の主張を公正に取扱い、かつその出所を明示する。 この種の問題に対する意見の発表は自由であるが直接間接を問わず、社会公共の安寧秩序を害し、個人・団体等の名誉や信用を傷つけることのないようにする。
(4) 宗教番組
宗教に関する番組は、各宗派の立場を重んじ、公平に取扱う。この種の番組では宗教または道徳に関係ないことがら及び必ずしも必要でない論争は避ける。
(5) 児童向け番組
児童向け番組は、すべて一般に認められている道義的、社会的通念に従って両親、法律、秩序、明朗な生活、健全な道徳等を尊重するように構成し、人格と品位の健全な発展に寄与する。特に児童の心理には留意する。
(6) 教育番組
教育番組は、学識経験者およびその団体の積極的協力を得て編成し、その実施に当っては、聴取者に最大の教育効果を及ぼすようにする。
(7) 娯楽番組
娯楽番組は、次の共通規定に従う外、悪趣味を排し、健全な娯楽を提供する懸賞番組は、能力と技術とによって、公正に賞を楽しむことができるようにし、その結果はできるだけ早く明らかにする。
(8) その他各番組共通
- 1 臨時ニュース形式は、ニュース報道以外に用いない。
- 2 身体または精神の欠陥に触れなければならない場合は、同じ欠陥に悩む人人の感情を刺激しないようにする。
- 3 次のことがらは、放送しない。
- (イ) 社会および家庭の秩序を乱しまたは良い習慣をこわし、または悪い習慣を助長するようなことがら
- (ロ) 犯罪行為に魅力を感じさせるようなことがら
- (ハ) 残忍な殺人的行為、拷問、肉体的苦痛または過度に恐怖と興奮を呼び起すようなことがら
- (ニ) 人心を惑わせたり、衝動を与えたりまたは聴取者を不当に驚かしたりするようなことがら
- 4 放送内容が事実と相違した場合は関係法規に従って、すみやかに取消しまたは訂正する。
二、広告基準
(1) 広告の内容
- 1 広告は、社会倫理の基礎に立ち、公共の福祉に適合するものであること。
- 2 広告は、真実を語り、しかも責任を負いうるものであること。
- 3 広告は、他をひぼうし、または排斥しないこと。
- 4 広告は、事実を誇張して、自己を過大評価させるものでないこと。
- 5 広告は、その表現方法において、一般聴取者に悪感情を与えるものでないこと。
- 6 広告には、前各号の外番組基準第八号を準用する。
(2) 広告の量
商業文は短いほどよい。
三、その他
(1) 取引の公正
商業放送の時間料金は、必ず公表された料率表によること。
(2) 独占利用の禁止
商業番組またはスポット・アナウンスメントに使用する放送時間の大部分を一部の利用者の独占としないこと。
底本
日本新聞年鑑 (Google Books) 日本新聞協会 1954年