「古今和歌集/巻一」の版間の差分
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1行目:
'''春歌上'''
<poem>
ふる年に春立ちける日よめる 在原元方
年のうちに春は来にけり一年(ひとゝせ)を去年(こぜ)とやいはむ今年(ことし)とやいはむ
春立ちける日よめる 紀 貫之
袖ひぢてむすびし水のこほれるを春立つけふの風や解くらむ
題しらず 読人しらず
春がすみ立てるやいづこみよしのゝ吉野の山に雪はふりつゝ
13行目:
雪のうちに春は来にけり鶯のこほれる涙今や解くらむ
題しらず 読人しらず
梅が枝に来居るうぐひす春かけて鳴けどもいまだ雪は降りつゝ
雪の木に降りかゝれるをよめる 素性法師
春たてば花とや見らむ白雪のかゝれる枝にうぐひすのなく
題しらず 読人しらず
こころざし深くうめてしをりければ消えあへぬ雪の花とみゆらむ
[或人のいはくさきのおほきおほいまうちぎみの
27行目:
三日御前に召して仰言(おほせごと)ある間に、日は照りながら雪
の頭(かしら)に降りかゝりけるをよませ給ひける
文屋康秀
春の日のひかりにあたる我なれどかしらの雪となるぞわびしき
雪の降りけるをよめる 紀 貫之
霞たちこのめも春の雪ふれば花なき里も花ぞ散りける
春の始によめる 藤原言直(ことなほ)
春や疾(と)き花やおそきと聞きわがむ鶯だにも鳴かずもあるかな
春のはじめの歌 壬
春来きぬと人はいへども鶯のなかぬかぎりはあらじとぞ思ふ
寛平(くわんぺい)の御時后の宮の歌合の歌 源 當純(まさずみ)
谷風に解る氷のひま毎にうち出づる波や春のはつ花
紀 友則
春の香(か)を風のたよりにたぐへてぞ鶯誘ふしるべには遣る
大江千里
鶯の谷よりいづる声なくば春来ることを誰か知らまし
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