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地歌 玉川
(相違点なし)

2009年9月13日 (日) 09:16時点における版

山城やましろの、井出や見ましと駒止めて。なほみずはん山吹の花の。露そふ春も暮れ。夏来にけらし見渡せば。浪のしがらみかけてより、卯の花咲ける津の国の里に。月日つきひを送る間に。いつしか秋に近江あふみなる、野路には人の明日あすん。今を盛りのはぎ越えて、色なる浪にやどりにし、月の御空みそらの冬ふかみ。雪気ゆきげ催ほす夕ざれば。汐風越して陸奥みちのくの、野田に千鳥の声さびし、ゆかし、名だたる武蔵野にさらす、さらす手づくりさらさらに。昔の人の恋しさも、今はたそひ奥山の、その流れをば忘れても、汲みやしつらん旅人の。高野の奥の水までも、名に流れたる、六つの玉川。


  • 底本: 今井通郎『生田山田両流 箏唄全解』中、武蔵野書院、1975年。
  • Public Domain この作品は1899年3月4日以前に公表されたもので、作者の死亡から100年以上経過しているため全世界でパブリックドメインの状態にあります。