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地歌 里の暁
(相違点なし)

2009年8月9日 (日) 03:28時点における版

梓弓あづさゆみ、入る方ゆかし夕月ゆふづきの。にほへる春も橘花はなたちばなの。夏にけらし一声は。山郭公やまほととぎす鳴き捨てて。あやめもしらぬ烏羽玉うばたまの。闇夜を照す螢火ほたるびの。その影さへも陽炎かげろふの。立ちまさりたる思い寝の。亡きたま返す。もろこしのその故事ふることしのばれて。空炷そらだきならぬ煙りの末も。たえにかをりし雲のの、いづち行くらん短夜みじかよの空。


  • 底本: 今井通郎『生田山田両流 箏唄全解』中、武蔵野書院、1975年。
  • Public Domain この作品は1899年3月4日以前に公表されたもので、作者の死亡から100年以上経過しているため全世界でパブリックドメインの状態にあります。