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園の秋 作者:後楽園四明居
たゆふすは皆かしにいで露ばかり。跡(あと)に苅萱、桔梗屋(ききやうや)の、その庭面(にはもせ)も秋くれば、時に尾花や女郎花(をみなへし)、廓景色(くるわけしき)と打ちつれて。しやんと小褄を鳥兜(とりかぶと)、おのが頼り風寄り添ひて、咲き乱れたる萩薄(はぎすすき)。その手にからむ朝顔の。東雲方(しののめがた)の朝嵐(あさあらし)、空も匂ふか秋の七草。