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CES1596 (トーク | 投稿記録)
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第十りいひやの國より勅使の事
第十りいひやの國より勅使の事


さるほどに、いそほが申せしごとく、りいひやの國王けれそと申帝より、さんに勅使を立給ふ、其所より年每に御調物を奉るべし、然らずば武士に仰て責ほろぼさせ給ふべしとの勅諚也、それに依て、地下の年寄以下評定し給ひけるは、其責をかうぶらんよりは、しかじ其調物を奉るべしと也、さりながらいそほに尋よとて、此由をかたりければ、いそほ申けるは、それ人の習、望を自由にをかんも、人にしたがはんも、ただ其望に任する物也と云ければ、實もとて勅諚に背かず、勅使歸て此よしを奏聞す、みかど其ゆへをとはせたまふに、勅使申けるは、彼所にいそほと云者有、才智世にすぐれ、思案人にこえたり、此所をしたがへんにおゐては、まづ此ものをめしをかるべしと申ければ、尤と叡感あつて、かさねてさんに勅使を下さる、御調物をばゆるし給ふべし、いそほをみかどへ參らせよとの勅諚也、地下の人々訴せうして云、さらばいそほをまいらせんと也、いそほ此よしを聞て、たとへを以て云けるは、むかし狼一つの羊を服せんとす、羊此よしをさとつて、あまたの犬を引かたろふ、これに{{*|よりカ}}狼羊をおかす事なし、狼の略に、今よりして羊をおかす事あるべからず、犬をわれにあたへよと云、羊さらばとて、犬を狼につかはす、狼先此犬を亡
さるほどに、いそほが申せしごとく、りいひやの國王けれそと申帝より、さんに勅使を立給ふ、其所より年每に御調物を奉るべし、然らずば武士に仰て責ほろぼさせ給ふべしとの勅諚也、それに依て、地下の年寄以下評定し給ひけるは、其責をかうぶらんよりは、しかじ其調物を奉るべしと也、さりながらいそほに尋よとて、此由をかたりければ、いそほ申けるは、それ人の習、望を自由にをかんも、人にしたがはんも、ただ其望に任する物也と云ければ、實もとて勅諚に背かず、勅使歸て此よしを奏聞す、みかど其ゆへをとはせたまふに、勅使申けるは、彼所にいそほと云者有、才智世にすぐれ、思案人にこえたり、此所をしたがへんにおゐては、まづ此ものをめしをかるべしと申ければ、尤と叡感あつて、かさねてさんに勅使を下さる、御調物をばゆるし給ふべし、いそほをみかどへ參らせよとの勅諚也、地下の人々訴せうして云、さらばいそほをまいらせんと也、いそほ此よしを聞て、たとへを以て云けるは、むかし狼一つの羊を服せんとす、羊此よしをさとつて、あまたの犬を引かたろふ、これに{{*|よりカ}}狼羊をおかす事なし、狼の略に、今よりして羊をおかす事あるべからず、犬をわれにあたへよと云、羊さらばとて、犬を狼につかはす、狼先此犬を亡