「大塚徹・あき詩集/梅雨の窓」の版間の差分
< 大塚徹・あき詩集
削除された内容 追加された内容
Kochizufan (トーク | 投稿記録) ページの作成:「 {{header | title =大塚徹・あき詩集 | author =大塚徹 | 年 =昭和15 | year =1940 | section =梅雨の窓 | previous =../雪の…」 |
(相違点なし)
|
2020年6月14日 (日) 01:00時点における版
梅雨の窓
杏の実 せつなく 熟れて
六月の空
いさかいしあとの
× ×
しらじらしきは
ふるさとの伝統
うっとうしきは
にんげんの絆。
恍として熱あり われのみ怒る。
× ×
ひとりの友は彈に斃れ
ひとりの友は獄に死す
梅雨の窓、セキズイの疼きに慟哭する。
× ×
ああ、まぼろしの経はひとすじ――
病み呆け、霧ふりやまず ふりやまず。
生や 死や
あハハ そは 問わまほしく哀れにおかし。
〈昭和十五年、日本詩壇〉