「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針に関する公示」の版間の差分

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 このような状況を踏まえ、令和2年3月26日、[[新型インフルエンザ等対策特別措置法]](平成24年法律第31号、以下「法」という。)附則第1条の2第1項及び第2項の規定により読み替えて適用する法第14条に基づき、新型コロナウイルス感染症のまん延のおそれが高いことが、厚生労働大臣から内閣総理大臣に報告され、同日に、法第15条第1項に基づく政府対策本部が設置された。<br>
 国民の生命を守るためには、高齢者等を始め、感染者数を抑えること及び医療提供体制や社会機能を維持することが重要である。<br>
 現時点では、国内では、未だ大規模なまん延が認められる地域があるわけではないが、積極的疫学調査等のまん延防止策により、各地域において感染経路の不明な患者やクラスター(患者間の関連が認められた集団。以下「クラスター」という。)の発生を封じ込めることが、いわゆるオーバーシュートと呼ばれる爆発的な感染拡大(以下「オーバーシュート」という。)の発生を防止し、感染者、重症者及び死亡者 の発生を最小限に食い止めためには重要である。<br>
 また、必要に応じ、外出自粛の要請等の接触機会の低減を組み合わせて実施することにより、感染拡大の速度を可能な限り抑制することが、上記の封じ込めを図るためにも、また、医療提供体制を崩壊させないためにも、重要である。<br>
 あわせて、今後、国内で感染者数が急増した場合に備え、重症者等への対応を中心とした医療提供体制等の必要な体制を整えるよう準備することも必要である。<br>
 このように、国民の生命を守るため、新型コロナウイルス感染症をめぐる状況を的確に把握し、国や地方公共団体、医療関係者、専門家、事業者を含む国民が一丸となって、新型コロナウイルス感染症対策をさらに進めていくため、今後講じるべき対策を現時点で整理し、ここに法第18条第1項に規定する基本的対処方針(以下「基本的対処方針」という。)として、対策を実施するにあたって準拠となるべき統一的指針を示すものである。<br>
 なお、新型コロナウイルス感染症は新型インフルエンザとはウイルスも病態も異なる感染症であることから、[[新型インフルエンザ等対策政府行動計画]](平成25年6月7日閣議決定)等の既存の計画を参考にしつつも、柔軟に対策を選択していく必要があるが、政府としては、地方公共団体、医療関係者、専門家、 事業者を含む国民の意見をくみ取りつつ、協力して直ちに対策を進めていくこととする。
 
<h3 style="font-size:medium;font-weight:normal;">一 新型コロナウイルス感染症発生の状況に関する事実</h3>
 我が国においては、令和2年1月15日に最初の感染者が確認された後、3月26日までに、合計42都道府県において合計1,349人の感染者、46人の死亡者が確認されている。<br>
 国内の感染状況については、新型コロナウイルス感染症対策専門家会議(第8回)において、クラスターの感染源が分からない感染者の増加が生じている地域が散発的に発生しており、引き続き、持ちこたえているものの、一部の地域で感染拡大が見られ、今後、地域において、感染源が分らない患者数が継続的に増加し、こうした地域が全国に拡大すれば、どこかの地域を発端として、爆発的な感染拡大を伴う大規模流行につながりかねないと評価されている。<br>
 一方で、海外の状況としては、令和2年3月27日現在、新型コロナウイルス感染症が発生している国は、南極大陸を除く全ての大陸に存在する状況となっており、イランや欧米ではオーバーシュートの発生も確認されている。また、こういった状況の中で、本年3月19日以降、海外において感染し、国内に移入したと疑われる感染者が連日10人を超えて確認されており、また、これらの者が国内で確認された感染者のうちに占める割合も13% (313%(3月11日―3月18日)から29%(3月19日―3月25日)へ増加している。さらに、移入元の国については、流行当初は中華人民共和国に集中していたが、現在では欧米を中心として多様化しており、輸入症例の増加及び多様化の両面の影響を今後受ける可能性がある。<br>
 新型コロナウイルス感染症については、下記のような特徴がある。
* 一般的な状況における感染経路の中心は飛沫感染及び接触感染であるが、閉鎖空間において近距離で多くの人と会話する等の一定の環境下であれば、咳やくしゃみ等の症状がなくても感染を拡大させるリスクがあるとされている。
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* 中国における報告(令和2年3月9日公表)では、新型コロナウイルス感染症の入院期間の中央値は11日間と、季節性インフルエンザの3日間よりも、長くなることが報告されている。
* 罹患しても約8割は軽症で経過し、治癒する例も多いことが報告されている。
* 重症度としては、季節性インフルエンザと比べて死亡リスクが高いことが報告されている。中国における報告(令和2年2月28日公表)では、確定患者での致死率は2.3%、中等度以上の肺炎の割合は18.5%であることが報告されている。季節性インフルエンザに関しては、致死率は0.00016%-0.001%程度、肺炎の割合は1.1%-4.0%、累積推計患者数に対する超過死亡 者数の比は約0.1%であることが報告されている。このように新型コロナウイルス感染症における致死率及び肺炎の割合は、季節性インフルエンザに比べて、相当程度高いと考えられる。また、特に、高齢者・基礎疾患を有する者では重症化するリスクが高いことも報告されており、医療機関や介護施設等での院内感染対策、施設内感染対策が重要となる。上記の中国における報告では、年齢ごとの死亡者の割合は、60歳以上の者では6%であったのに対して、30歳未満の者では0.2%であったとされている。
* 現時点では、有効性が確認された特異的な抗ウイルス薬やワクチンは存在せず、治療方法としては対症療法が中心である。なお、現時点ではワクチンが存在しないことから、新型インフルエンザ等対策政府行動計画に記載されている施策のうち、予防接種に係る施策については、本基本的対処方針には記載していない。その一方で、治療薬としては、いくつか既存の治療薬から候補薬が出てきていることから、患者の観察研究等が進められている。
 
<h3 style="font-size:medium;font-weight:normal;">二 新型コロナウイルス感染症の対処に関する全般的な方針</h3>
* 情報提供・共有及びまん延防止策により 、各地域 においてクラスター等の封じ込め及び接触機会の低減を図り、感染拡大の速度を抑制する。
* サーベイランス・情報収集及び適切な医療の提供により、高齢者等を守り、重症者及び死亡者の発生を最小限に食い止めるべく万全を尽くす。
* 的確なまん延防止策及び経済・雇用対策により、社会・経済機能への影響を最小限にとどめる。
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⑤ 外務省は、感染が拡大している国に滞在する邦人等への適切な情報提供、支援を行う。
⑥ 政府は、検疫所からの情報提供に加え、企業等の海外出張又は長期の海外滞在のある事業所、留学や旅行機会の多い大学等においても、帰国者への適切な情報提供を行い、渡航の是非の判断・確認や、帰国者に対する2週間の外出自粛の要請等の必要な対策を講じるよう周知を図る。<br>
⑦ 政府は、国民、在留外国人、外国人旅行者及び外国政府への適切かつ迅速な情報提供を行い、国内でのまん延防止と風評対策 につなげる。<br>
⑧ 地方公共団体は、政府との緊密な情報連携により、様々な手段により住民に対して独自のメッセージや注意喚起を行う。<br>
⑨ 政府は、今般の新型コロナウイルス感染症に係る事態が行政文書の管理に関するガイドライン(平成23年4月1日内閣総理大臣決定)に基づく「歴史的緊急事態」と判断されたことを踏まえた対応を行う。地方公共団体も、これに準じた対応に努める。
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⑥ 厚生労働省は、関係機関と協力して、特に、感染拡大の兆しが見られた場合には、専門家やその他人員を確保し、その地域への派遣を行う。<br>
⑦ 政府及び地方公共団体は、クラスター対策を抜本強化するという観点から、保健所の体制強化に迅速に取り組む。これに関連し、都道府県は、管内の市町村と迅速な情報共有を行い、また、対策を的確かつ迅速に実施するため必要があると認めるときは、法第24条に基づく総合調整を行う。さらに、都道府県は、クラスターの発見に資するよう、都道府県間の迅速な情報共有に努めるとともに、政府は、対策を的確かつ迅速に実施するため必要があると認めるときは、法第20条に基づく総合調整を行う。なお、政府は、感染症法第12条に基づく都道府県知事等から厚生労働大臣への報告が迅速に行えるよう必要な支援を行う。<br>
⑧ 厚生労働省は、地方公共団体と協力して、医療施設や高齢者施設等において職員が感染源とならないようにすることも含め、院内感染や施設内 感染対策を徹底するよう周知を行う。<br>
⑨ 文部科学省は、3月24日に策定した「新型コロナウイルス感染症に対応した臨時休業の実施に関するガイドライン」に関し、今後の感染拡大の状況や専門家会議の見解を踏まえ、厚生労働省の協力を得つつ、学校における感染防止や感染者が出た場合の対応、必要に応じ地域における臨時休業の在り方等に関し追加的な指針を策定する。都道府県は、学校設置者に対し、保健管理等の感染症対策について指導するとともに、地域の感染状況や学校関係者の感染者情報について速やかに情報共有する。<br>
⑩ 政府は、関係機関と協力して、公共交通機関その他の多数の人が集まる施設における感染対策を徹底する。<br>
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<h5 style="font-size:medium;font-weight:normal;">3) 関係機関との連携の推進</h5>
① 政府は、地方公共団体を含む関係機関等との双方向の情報共有を強化し、対策の方針の迅速な伝達と、対策の現場における状況の把握を行う。<br>
② 政府は、 対策の推進にあたっては、地方公共団体等の関係者の意見を十分聞きながら進める。<br>
③ 地方公共団体は、保健部局のみならず、危機管理部局も含めすべての部局が協力して対策にあたる。<br>
④ 政府は、国際的な連携を密にし、WHOや諸外国・地域の対応状況等に関する情報収集に努める。また、日本で得られた知見を積極的にWHO等の関係機関や諸外国・地域と共有し、今後の対策に活かしていくとともに、新型コロナウイルス感染症の拡大による影響を受ける国・地域に対する国際社会全体としての対策に貢献する。
<h5 style="font-size:medium;font-weight:normal;">4) 社会機能の維持</h5>
① 指定公共機関及び指定地方公共機関は、電気、ガス、水道、公共交通、通信等の維持を通して、国民生活及び国民経済への影響が最小となるよう公益的事業を継続する。<br>
② 政府は 、指定公共機関の公益的事業の継続に支障が生じることがないよう、必要な支援を行う。<br>
③ 政府は、空港、港湾、医療機関等におけるトラブルなどを防止するため、必要に応じ、警戒警備を実施する。<br>
④ 警察は、混乱に乗じた各種犯罪を抑止するとともに、取締りを徹底する。