「麒麟 (谷崎潤一郎)」の版間の差分
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:西曆紀元前四百九十三年。{{r|左丘明|さきうめい}}、{{r|孟軻|まうか}}、{{r|司馬遷|しばせん}}等の記錄によれば、{{r|魯|ろ}}の{{r|定公|ていこう}}が十三年目の{{r|郊|かう}}の祭を行はれた春の始め、{{r|孔子|こうし}}は數人の弟子達を車の左右に從へて、其の故郷の魯の國から傳道の途に上つた。
:{{r|泗水|しすゐ}}の河の{{r|畔|
:或る日、いよ{{〱}}一行が、魯の國境までやつて来ると、誰も彼も名殘惜しさうに、{{r|故郷|ふるさと}}の方を振り{{r|顧|かへ}}つたが、通つて來た路は{{r|龜山|きざん}}の蔭にかくれて見えなかつた。すると孔子は琴を執つて、
::われ魯を望まんと欲すれば、
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