「大塚徹・あき詩集/死貌」の版間の差分
< 大塚徹・あき詩集
削除された内容 追加された内容
ページの作成:「{{header | title =大塚徹・あき詩集 | author =大塚徹 | 年 =昭和４ | year =1929 | section =死貌 | previous =../生樹を焚…」 |
(相違点なし)
|
2019年1月3日 (木) 23:00時点における版
死貌
寒々と蒼ざめた祖先の太陽――
椎の根をふかく沈んだ石の寝棺
母よ
私は熱に呆うけて
せんせんとあなたの子守唄をきいた。
いまだいとけなき
緋牡丹の花瓣をめぐる白蛾の
遠のいてゆく幽遠な羽音をきいた。
あゝ 深海の昆布のように
舌にからまる 白水の沮。
〈昭和五年、愛誦〉