雪の進軍

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雪の進軍（ゆきのしんぐん）

• 作詞：永井建子
• 作曲：永井建子
• ※ふりがなは、和語にひらがなを用い、漢語にカタカナを用いた。
• 掲載：「軍歌傑作集」(国立国会図書館デジタルコレクション:info:ndljp/pid/855188/1/30、明治44年刊)
• 掲載：「大正少年唱歌」(国立国会図書館デジタルコレクション:info:ndljp/pid/917469/1/19、大正5年刊)

歌詞

1

雪（ゆき）の進軍（シングン）　氷（こほり）を踏（ふ）んで

何處（どこ）が河（かは）やら　道（みち）さへ知（し）れず

馬（うま）は斃（たふ）れる　捨（す）てゝもおけず

此處（こゝ）は何處（いづこ）ぞ　皆（みな）敵（テキ）の國（くに）

儘（まゝ）よ大膽（ダイタン）　一服（イップク）やれば

頼（たの）み少（すく）なや　煙草（たばこ）が二本（ニホン）

2

燒（や）かぬ乾魚（ひもの）に　半（ハン）煮（に）え飯（めし）に

なまじ生命（いのち）の　ある其（そ）の内（うち）は

堪（こら）へ切（き）れない　寒（さむ）さの焚火（たきび）

煙（けぶ）い筈（はず）だよ　生木（なまき）が燻（いぶ）る

澁（しぶ）い顏（かほ）して　功名（コウミョウ）談（ばなし）

「すい」と云（い）ふのは　梅干（うめぼ）し一（ひと）つ

3

着（き）のみ着（き）のまゝ　氣樂（キラク）な臥所（ふしど）

背嚢（ハイノウ）枕（まくら）に　外套（ガイトウ）かぶりや

背（せな）の温（ぬく）みで雪（ゆき）融（と）けかゝる

夜具（ヤグ）の黍殻（きびがら）　シッポリ濡（ぬ）れて

結（むす）びかねたる　露營（ロエイ）の夢（ゆめ）を

月（つき）は冷（つめ）たく顏（かほ）覗（のぞ）きこむ

4

命（いのち）捧（さゝ）げて　出（で）てきた身（み）ゆゑ

死（し）ぬる覺悟（カクゴ）で　突喊（トッカン）すれど

武運（ブウン）拙（つたな）く　討（う）ち死（じ）にせねば

義理（ギリ）に絡（から）めた　恤兵（ジュッペイ）眞緜（まわた）

そろりそろりと　首（くび）締（し）めかゝる

どうせ生（い）かして　還（かへ）さぬ積（つ）もり