第174回国会における菅財務大臣の財政演説 (2010年1月18日)


演説

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このたび、財務大臣を拝命いたしました菅直人でございます。

これまでも、副総理国家戦略担当大臣として、藤井前大臣とともに予算編成及び税制改正をはじめとする経済財政運営に携わってまいりましたが、引き続き鳩山内閣の一員として、政治主導・国民主導の新しい行政を実現し、国民生活に安心と活力をもたらすため、全力で取り組んでまいりたいと考えております。

はじめに

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先般発生したハイチにおける地震により、亡くなられた方々とその御遺族に対して深く哀悼の意を表するとともに、被災者の方々に対して謹んでお見舞い申し上げます。我が国としては、既に五百万ドルを上限とする緊急無償資金協力を行うことを表明するとともに、国際緊急援助隊を派遣したところですが、今後とも、国際社会と協力しつつ、ハイチの復旧・復興に向けて積極的に取り組んでまいります。

さて、先に決定されました「明日の安心と成長のための緊急経済対策」を受けて、今般、平成二十一年度第二次補正予算を提出することとなりました。その御審議をお願いするに当たり、補正予算の大要について御説明いたします。

最近の経済情勢と緊急経済対策

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まず、最近の経済情勢と緊急経済対策について申し述べます。

我が国経済は、リーマン・ブラザーズ経営破綻以降、急激な景気後退を経験いたしました。経済の現状は、持ち直してきているものの、自律性に乏しく、未だ厳しい状況にあります。

先行きについても、雇用情勢の一層の悪化やデフレなどのリスクが存在し、経済が民需主導の力強い成長経路に復帰するための基盤は、依然として脆弱であります。

こうした経済情勢を踏まえ、昨年十二月、政府は緊急経済対策を決定いたしました。本対策においては、「雇用」、「環境」、「景気」を主要な分野と位置付け、できる限り財政に依存せず最大限の効果を生む対策とする方針の下、現下の経済情勢へ緊急に対応するとともに、中長期的な成長力の強化を図ることとしております。

こうした観点から、「雇用」においては、雇用調整助成金の支給要件を緩和するとともに、介護・医療等の重点分野における雇用を創造いたします。また、雇用保険制度の機能強化に取り組みます。

「環境」においては、家電エコポイント制度の改善や環境対応車への購入補助の延長等を実施いたします。

「景気」においては、「景気対応緊急保証」を創設するとともに、セーフティネット貸付を延長・拡充いたします。

加えて、高齢者医療制度の負担軽減措置の継続をはじめとする「生活の安心確保」や、地方公共団体によるきめ細かなインフラ整備等の支援及び国税収入の減少に伴う交付税減少額の補填等といった「地方支援」にも取り組むこととしております。

あわせて、「金」をかけずに「知恵」を出すとの観点から、住宅版エコポイント制度の創設や住宅金融の拡充等といった、財政支出に比して事業規模の大きい事業を実施するとともに、保育分野や環境・エネルギー分野での制度・規制改革等に取り組んでまいります。

こうした対策の効果等を背景に、景気が持ち直していくことが期待されます。政府は、デフレを克服し、景気回復を確実なものとしていくよう取り組んでまいります。

平成二十一年度補正予算(第二号及び特第二号)の大要

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次に、今般提出いたしました平成二十一年度第二次補正予算の大要について御説明いたします。

まず、歳出面においては、緊急経済対策関連として、「雇用」について六千百四十億円、「環境」について七千七百六十八億円、「景気」について一兆五千七百四十二億円、「生活の安心確保」について七千八百四十九億円及び「地方支援」について三兆四千五百十五億円、合計七兆二千十三億円を計上しております。このほか、平成二十一年度第一次補正予算の執行の見直しによる執行停止額の減額二兆六千九百六十九億円を含む既定経費の減額等を行うこととしております。

他方、歳入面においては、租税等について課税実績や企業収益の動向等を勘案して、九兆二千四百二十億円の減収等を見込んでおります。

以上によってなお不足する歳入については、やむを得ざる措置として九兆三千四百二十億円の公債の追加発行を行うこととしております。今回の措置により、平成二十一年度の公債発行額は五十三兆四千五百五十億円となり、公債依存度は五十二・一パーセントとなります。

この結果、平成二十一年度一般会計第二次補正後予算の総額は、一般会計第一次補正後予算に対し歳入歳出とも八百四十六億円増加し、百二兆五千五百八十二億円となります。

また、一般会計補正等に関連して、特別会計予算についても所要の補正を行うこととしております。

以上、平成二十一年度第二次補正予算の大要について御説明いたしました。

現下の厳しい経済情勢に対応し、景気回復を確実にするためには、本補正予算及び関連法案の一刻も早い成立が必要であります。

何とぞ御審議の上、速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げます。

出典

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