法廷の威信について (通達)

最高裁判所総総第210号 編集

最高裁判総総第二一〇号

昭和二十八年九月二十六日
最 高 裁 判 所
裁 判 官 各 位
法定の威信について(通達)
去る七月、大阪地方裁判所におけるいわゆる吹田事件の公判審

理にあたり、多数の被告人及び傍聴人が黙及び拍手を行い、
裁判長がこれを制する意思のない旨を表明し、そのなすがまま
に放任したという事実があつた。

法廷の秩序維持は、現下のわが司法部の重要問題の一に属する

もので、従来たびたびの機会に意見を表明し、これに対処する裁
判官の心構えが強調されてきたのであるが、それにもかかわら
ず、かような事態の発生したことは、まことに遺憾としなければ
ならない。

われわれは、法廷を指揮する裁判官の態度いかんによつて、法

廷の威信が損なわれ、国民の法に対する尊重の念が揺らぎ、法
の権威を失墜するに至ることのあることを、この機会に深く考え
なければならない。

本通達は、前記吹田事件の裁判にいかなる影響をも及ぼすもの

でないことは当然である。

 

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