気候変動に関する国際連合枠組条約の京都議定書

第3条

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  1. 附属書Ⅰに掲げる締約国は、附属書Ⅰに掲げる締約国により排出される附属書Aに掲げる温室効果ガスの全体の量を2008年から2012年までの約束期間中に1990年の水準より少なくとも5パーセント削減することを目的として、個別に又は共同して、当該温室効果ガスの二酸化炭素に換算した人為的な排出量の合計が、附属書Bに記載する排出の抑制及び削減に関する数量化された約束に従って並びにこの条の規定に従って算定される割当量を超えないことを確保する。
  2. 附属書Ⅰに掲げる締約国は、2005年までに、この議定書に基づく約束の達成について明らかな前進を示す。
  3. 土地利用の変化及び林業に直接関係する人の活動(1990年以降の新規植林、再植林及び森林を減少させることに限る。)に起因する温室効果ガスの発生源による排出量及び吸収源による除去量の純変化(各約束期間における炭素蓄積の検証可能な変化量として計測されるもの)は、附属書Ⅰに掲げる締約国がこの条の規定に基づく約束を履行するために用いられる。これらの活動に関連する温室効果ガスの発生源による排出及び吸収源による除去については、透明性のあるかつ検証可能な方法により報告し、第7条及び第8条の規定に従って検討する。
  4. 附属書Ⅰに掲げる締約国は、この議定書の締約国の会合としての役割を果たす締約国会議の第一回会合に先立ち、科学上及び技術上の助言に関する補助機関による検討のため、1990年における炭素蓄積の水準を設定し及びその後の年における炭素蓄積の変化量に関する推計を可能とするための資料を提供する。この議定書の締約国の会合としての役割を果たす締約国会議は、第一回会合において又はその後できる限り速やかに、不確実性、報告の透明性、検証可能性、気候変動に関する政府間パネルによる方法論に関する作業、第4条の規定に従い科学上及び技術上の助言に関する補助機関により提供される助言並びに締約国会議の決定を考慮に入れて、農用地の土壌並びに土地利用の変化及び林業の区分における温室効果ガスの発生源による排出量及び吸収源による除去量の変化に関連する追加的な人の活動のいずれに基づき、附属書Ⅰに掲げる締約国の割当量をどのように増加させ又は減ずるかについての方法、規則及び指針を決定する。この決定は、二回目及びその後の約束期間について適用する。締約国は、当該決定の対象となる追加的な人の活動が1990年以降に行われたものである場合には、当該決定を一回目の約束期間について適用することを選択することができる。
  5. 附属書Ⅰに掲げる締約国のうち市場経済への移行の過程にある国であって、当該国の基準となる年又は期間が締約国会議の第二回会合の決定第九号(第二回会合)に従って定められているものは、この条の規定に基づく約束の履行のために当該基準となる年又は期間を用いる。附属書Ⅰに掲げる締約国のうち市場経済への移行の過程にある他の締約国であって、条約第12条の規定に基づく一回目の自国の情報を送付していなかったものも、この議定書の締約国の会合としての役割を果たす締約国会議に対して、この条の規定に基づく約束の履行のために1990年以外の過去の基準となる年又は期間を用いる意図を有する旨を通告することができる。この議定書の締約国の会合としての役割を果たす締約国会議は、当該通告の受諾について決定する。
  6. この議定書の締約国の会合としての役割を果たす締約国会議は、条約第4条6の規定を考慮して、附属書Ⅰに掲げる締約国のうち市場経済への移行の過程にある国によるこの議定書に基づく約束(この条の規定に基づくものを除く。)の履行については、ある程度の弾力的適用を認める。
  7. 附属書Ⅰに掲げる締約国の割当量は、排出の抑制及び削減に関する数量化された約束に係る一回目の期間(2008年から2012年まで)においては、1990年又は5の規定に従って決定される基準となる年若しくは期間における附属書Aに掲げる温室効果ガスの二酸化炭素に換算した人為的な排出量の合計に附属書Bに記載する百分率を乗じたものに5を乗じて得た値に等しいものとする。土地利用の変化及び林業が1990年において温室効果ガスの排出の純発生源を成す附属書Ⅰに掲げる締約国は、自国の割当量を算定するため、1990年又は基準となる年若しくは期間における排出量に、土地利用の変化に起因する1990年における二酸化炭素に換算した発生源による人為的な排出量の合計であって吸収源による除去量を減じたものを含める。
  8. 附属書Ⅰに掲げる締約国は、7に規定する算定のため、ハイドロフルオロカーボン、パーフルオロカーボン及び六ふっ化硫黄について基準となる年として1995年を用いることができる。
  9. 附属書Ⅰに掲げる締約国のその後の期間に係る約束については、第21条7の規定に従って採択される附属書Bの改正において決定する。この議定書の締約国の会合としての役割を果たす締約国会議は、1に定める一回目の約束期間が満了する少なくとも7年前に当該約束の検討を開始する。
  10. 第6条又は第17条の規定に基づいて一の締約国が他の締約国から取得する排出削減単位又は割当量の一部は、取得する締約国の割当量に加える。
  11. 第6条又は第17条の規定に基づいて一の締約国が他の締約国に移転する排出削減単位又は割当量の一部は、移転する締約国の割当量から減ずる。
  12. 第12条の規定に基づいて一の締約国が他の締約国から取得する認証された排出削減量は、取得する締約国の割当量に加える。
  13. 一の附属書Ⅰに掲げる締約国の約束期間における排出量がこの条の規定に基づく割当量より少ない場合には、その量の差は、当該附属書Ⅰに掲げる締約国の要請により、その後の約束期間における当該附属書Ⅰに掲げる締約国の割当量に加える。
  14. 附属書Ⅰに掲げる締約国は、開発途上締約国(特に条約第四条8及び9に規定する国)に対する社会上、環境上及び経済上の悪影響を最小限にするような方法で、1に規定する約束を履行するよう努力する。条約第4条8及び9の規定の実施に関する締約国会議の関連する決定に従い、この議定書の締約国の会合としての役割を果たす締約国会議は、第一回会合において、条約第4条8及び9に規定する締約国に対する気候変動の悪影響又は対応措置の実施による影響を最小限にするためにとるべき措置について検討する。検討すべき問題には、資金供与、保険及び技術移転の実施を含める。

第9条

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  1. この議定書の締約国の会合としての役割を果たす締約国会議は、気候変動及びその影響に関する入手可能な最良の科学的情報及び評価並びに関連する技術上、社会上及び経済上の情報に照らして、この議定書を定期的に検討する。その検討は、条約に基づく関連する検討(特に条約第4条2(d)及び第7条2(a)の規定によって必要とされる検討)と調整する。この議定書の締約国の会合としての役割を果たす締約国会議は、その検討に基づいて適当な措置をとる。
  2. 一回目の検討は、この議定書の締約国の会合としての役割を果たす締約国会議の第二回会合において行う。その後の検討は、一定の間隔でかつ適切な時期に行う。

第12条

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  1. 低排出型の開発の制度についてここに定める。
  2. 低排出型の開発の制度は、附属書Ⅰに掲げる締約国以外の締約国が持続可能な開発を達成し及び条約の究極的な目的に貢献することを支援すること並びに附属書Ⅰに掲げる締約国が第三条の規定に基づく排出の抑制及び削減に関する数量化された約束の遵守を達成することを支援することを目的とする。
  3. 低排出型の開発の制度の下で、
    (a)附属書Ⅰに掲げる締約国以外の締約国は、認証された排出削減量を生ずる事業活動から利益を得る。
    (b)附属書Ⅰに掲げる締約国は、第三条の規定に基づく排出の抑制及び削減に関する数量化された約束の一部の遵守に資するため、(a)の事業活動から生ずる認証された排出削減量をこの議定書の締約国の会合としての役割を果たす締約国会議が決定するところに従って用いることができる。
  4. 低排出型の開発の制度は、この議定書の締約国の会合としての役割を果たす締約国会議の権限及び指導に従い、並びに低排出型の開発の制度に関する理事会の監督を受ける。
  5. 事業活動から生ずる排出削減量は、次のことを基礎として、この議定書の締約国の会合としての役割を果たす締約国会議が指定する運営組織によって認証される。
    (a) 関係締約国が承認する自発的な参加
    (b) 気候変動の緩和に関連する現実の、測定可能なかつ長期的な利益
    (c) 認証された事業活動がない場合に生ずる排出量の削減に追加的に生ずるもの
  6. 低排出型の開発の制度は、必要に応じて、認証された事業活動に対する資金供与の措置をとることを支援する。
  7. この議定書の締約国の会合としての役割を果たす締約国会議は、第一回会合において、事業活動の検査及び検証が独立して行われることによって透明性、効率性及び責任を確保することを目的として、方法及び手続を定める。
  8. この議定書の締約国の会合としての役割を果たす締約国会議は、認証された事業活動からの収益の一部が、運営経費を支弁するために及び気候変動の悪影響を特に受けやすい開発途上締約国が適応するための費用を負担することについて支援するために用いられることを確保する。
  9. 低排出型の開発の制度の下での参加(3 に規定する活動及び認証された排出削減量の取得への参加を(a)含む。)については、民間の又は公的な組織を含めることができるものとし、及び低排出型の開発の制度に関する理事会が与えるいかなる指導にも従わなければならない。
  10. 2000年から一回目の約束期間の開始までの間に得られた認証された排出削減量は、一回目の約束期間における遵守の達成を支援するために利用することができる。

第17条

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締約国会議は、排出量取引(特にその検証、報告及び責任)に関する原則、方法、規則及び指針を定める。附属書Bに掲げる締約国は、第3条の規定に基づく約束を履行するため、排出量取引に参加することができる。排出量取引は、同条の規定に基づく排出の抑制及び削減に関する数量化された約束を履行するための国内の行動に対して補足的なものとする。
 

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