民事及び家事調停の事務処理に関する例規 (大韓民国)

民事及び家事調停の事務処理に関する例規(最人2001-8) 改正2013年6月28日[裁判例規第1446号、施行2013年7月1日]

第1章 総則

第1条(目的)

この例規は、調停手続を通じて、迅速かつ経済的でありながら具体的かつ妥当な紛争解決を奨励するために、民事及び家事調停に関する各種の事務処理基準を定めることを目的とする。

第2条(調停制度運営の基本方針)

①法院は、特別な事情がない限り、訴訟が係属中の事件を調停に回付して、当事者間の相互理解及び譲歩を基に紛争が円満に解決されるように努力しなければならない。

②各級法院長及び支院長(以下「法院長」という。)は、調停が有効になるように積極的な関心を持っている人材を適切に割り当てて、物的な支援をしなければならない。

③法院長は、各種報道機関、弁護士会、司法書士会、法律救助公団その他の社会団体等と協力し、地域住民に調停制度の趣旨と利点を広く広報することにより、その利用を強く推奨する。

第2章 調停機関

第3条(調停担当判事の指定及び事務分担等)

①法院長は、調停制度に積極的な関心を持った法官の中から可能な限り2人以上を、調停担当判事として指定するものとする。

②法院長は、調停担当判事が忠実かつ効率的に調停を行うことができるように、可能な限り調停事件だけを担当して処理させるものとし、法院の事情に応じて調停以外の業務をさせるときも、他の業務の種類及び負担量を適切に調節するものとする。

③法院長は、調停担当判事に指定された法官の調停事件に関する事務分担が2年以内に変更されないようにしなければならない。ただし、法官個人又は法院の特殊な事情により上記期間内に事務分担を変更する必要がある場合は、この限りでない。

④法院長は、調停担当判事の調停事件に関する事務分担を第3項本文の定めた期間内に変更したときは、遅滞なく、法院行政処長にその理由を報告しなければならない。この場合には、支院長は、所属法院長を経由しなければならない。

⑤調停担当判事は、調停事件の処理に加えて、次の各号の事務を処理する。

1.調停委員会の構成と調停委員会の運営方式の設定

2.調停事件の配填

3.調停回付の推奨と調停回付事件の管理

4.適正な調停事務に必要な支援業務の指揮・監督

5.調停委員の教育

6.調停活性化計画の策定と執行

7.調停事務に関する各種報告

8.その他の調停の活性化に必要な事務

第3条の2(調停法院事務官等の事務分担等)

法院長は、調停法院事務官等(以下「法院事務官」という。)が積極的に事件管理補助業務を行うことができるように、可能な限り調停業務だけを担当させるものとし、法院の事情に応じて調停以外の業務をさせるときも、他の業務の種類及び負担量を適切に調節するものとする。

第4条(調停委員の委嘱)

①法院長は、管轄区域内で主に発生する紛争の種類、事件数、調停委員を委嘱するに足りる人の数、年齢、職業の分布等地域の実情を勘案して、適正な人数の調停委員を委嘱しなければならない。

②法院長は、地方自治団体、教育機関、弁護士会、弁理士会、司法書士会、医師会、建築士会、鑑定評価士協会その他適当と認める職能団体や社会団体に推薦を依頼したり、各級法院のインターネットホームページで公募する等の方法で、社会各界各層から広く調停委員を委嘱するに足りる人を探すものとする。

③法院長は、調停委員に委嘱する者について、面接、推薦者の意見聴取等適切な方法で、調停委員として十分な資質を備えているかどうかを調査しなければならない。

④法院長は弁護士、司法書士、公認会計士、医師、教授、建築士、鑑定士等各種の分野に関する専門的な知識と経験を持った調停委員を多数委嘱して、紛争の適正な解決に実質的な貢献をすることができるようにしなければならない。

⑤法院長は、調停委員の任期が満了したときは、調停委員の参加度、誠実さ、調停事件の処理能力、性格や健康等各種の要素を考慮し、調停担当判事又は調停長の意見を参考にして、再委嘱するかどうかを決定する。ただし、任期中に調停に全く関与しなかった調停委員は、再委嘱しない。

第5条(調停委員経歴カードの作成と管理)

①法院長は、調停委員の専門分野や担当を希望する事件の分野を把握するために、法院事務官をして、委嘱された全ての調停委員に調停委員経歴カード(電算様式A1920)を交付して専攻分野、参加希望の事件類型、主要な経歴等を記載させ、これを分類・整理して保管させる。このときには、必要に応じ建築、医療、環境等の特定の分野別で専門家の調停委員名簿を作成させる。

②法院長は、第1項の調停委員経歴カードを資料化した後、各民事法院に配布して専門家の調停委員に関する情報を提供し、調停委員を指定する場合、又は事実の調査の依頼や意見聴取をするときに参照できるようにする。

第6条(受訴法院直属調停委員)

①法院長は、法院の事情に応じて相当と認めるときは、所属の調停委員の仕事、経歴、及び専門性等を考慮して、民事法院ごとにその法院に専属して活動する調停委員を指定することができる。分野別の専門法院が設立された法院においては、特別な事情がない限り、当該分野の専門家の調停委員を優先して、その法院の専属調停委員に指定するものとする。

②第1項の規定により専属調停委員が指定されたときは、受訴法院の裁判長又は受命法官の調停長は、特別な事情がない限り、その法院に割り当てられた専属調停委員の中から調停委員会を構成する調停委員を指定するものとする。

第7条(調停委員会の構成及び運営)

①当事者の合意によって選定された調停委員がない場合の調停委員会を構成する調停委員は、それぞれの事件の特性と実情に照らして、当該分野に関する専門的識見と経験を持った調停委員の中から調停長が指定するが、可能な限り、弁護士等の法律分野の専門家である調停委員1人以上が含まれるように指定するものとする。

②調停長は、事件ごとに、調停委員会を構成する調停委員から主審調停委員を指定し、その事件の争点についての検討、事実の調査及び意見聴取等を担当させることができる。

③調停長は、専門分野の事件について、その分野の専門家の調停委員を調停委員会の構成員として指定することが困難な事情がある場合において、相当なときは、民事調停規則(以下「規則」という。)第8条第3項、第12条の規定により、専門家の調停委員に事実の調査をさせ、又はその意見を聴くことができる。

④調停担当判事が自ら調停をする場合において、職権又は当事者の申請により調停委員会で事件を処理するときは、調停担当判事が、調停長として調停委員会を構成する調停委員を指定し、調停を行う。

第8条(受訴法院の調停)

受訴法院は、法官の陪席のうち1人を受命法官に指定し、又は2人の共同受命法官を指定して、調停を担当させることができる。

第9条(調停委員の回避)

調停委員は、指定された事件の当事者と親族、友人関係等の特別な親交があったり、その事件について相談したことがあるなどの事件の公正な処理を疑うに値する理由があるときは、調停長にその事実を通知しなければならず、通知を受けた調停長は、相当と認めるときは、その調停委員の指定を取り消すものとする。

第9条の2(常任調停委員の兼職許可等の申請)

常任調停委員が「民事調停法」(以下「法」という。)に基づく調停に関する事務以外の他の職務を兼ね、又は「調停委員規則」第2条の3第2項第1号及び第2号に基づいて弁護士職務を行なうことを希望する場合には、疎明資料とともに兼職許可等申請書(電算様式A1922)を法院行政処長に提出しなければならない。

第10条(調停機関間の業務分掌)

①調停担当判事は、次のような種類の事件を直接処理することが相当である。

1.調停申請事件。ただし、調停申請事件の当事者間の対立が深刻で、即日調停するのが難しいと判断される事件、又は当事者が調停委員会による調停を望む事件は、調停委員会に回付して処理する。

2.事実関係については当事者間に特段の争いがなく、法的判断のみが問題となる事件

3.事件の当事者がほとんどの調停委員と特殊な関係にあり、又は面識があるために、調停委員が自由に自己の意見を表明することが困難な事件

②調停委員会は、次のような種類の事件を処理することが相当である。

1.多数の紛争当事者間の利害関係が対立している事件

2.親族又は共同経営者間の紛争などの感情対立が深刻で、その紛争を解決するために、法律的な知識ではなく調停委員の経綸による説得が必要と判断される事件

3.建築工事関連の紛争、医療関連の紛争等の専門知識が必要とされ、専門家の調停委員が調停に参加することが望ましい事件

4.当事者が調停委員会による調停を望む事件

③受訴法院は、次のような種類の調停回付事件を直接処理することが相当である。

1.交通事故、労働災害事故による損害賠償事件

2.事実関係の証拠調べが十分に行われ、受訴法院が事実関係及びこれに対する法律的評価を行うことができる段階にある事件

3.当事者が事件の迅速な解決を望んでおり、調停が比較的容易に行われると予想される事件

第3章 調停手続と調停期日の運営

第11条(受訴法院の調停回付)

①受訴法院は、特別な事情がない限り、争いのある事件について訴訟手続のいずれかの段階で1回以上調停に回付することを原則とし、弁論終結後も事件を調停に回付することができる。

②受訴法院が事件を調停に回付する場合において、問題が複雑でその概要を摘示する必要があるとき、又は受訴法院の意見を提示しようとするときは、訴訟の進行経過、調停方針に対する意見等を記載した調停回付意見書(電算様式A1902)を調停担当判事に送付することができる。

③受訴法院が調停回付事件を直接処理する場合において、調停が成立しないときは、積極的に調停に代わる決定をして、事件を適正に解決するものとする。

第12条(調停委員会による調停の事務処理方法等)

①調停事件を担当する法院事務官は、調停期日の1週間前までに、調停委員に対し、信書、電話、ファックス、電子メール等の適切な方法で期日を通知しなければならない。調停長は、必要に応じ、事件の概要と争点を要約した調停事件概要書を作成し、法院事務官をして調停申請書、訴状等の調停事件記録の一部を複写して、調停期日を通知する際に同時に送付することができる。

②調停長は、事件ごとに主審調停委員を指定したときは、その調停委員に予め記録を検討させ、主導的に調停手続を導けるようにする。

③調停委員会が調停をするときは、調停長は、必要な争点の整理や法律的な助言をするが、事情の聴取、当事者の説得、調停案の提示等はなるべく調停委員に担当させるものとする。

④調停期日が続行されるときは、同じ調停委員で構成された調停委員会がその事件を引き続き担当しなければならない。調停長は、やむを得ない事情でいずれかの調停委員が調停に引き続き関与することができないときは、規則第7条の規定により、その調停委員の指定を取り消し、新たな調停委員を調停委員会の構成員として指定しなければならない。

第13条(調停期日の通知)

①調停担当判事は、可能な限り事前に特定の曜日を調停開廷日と定め、各民事法院と調停事件を担当する法院事務官に通知しなければならない。

②受訴法院が弁論期日で調停回付決定をする場合において、当事者双方が出席したときは、裁判長は、第1項の規定により調停担当判事から通知を受けた調停開廷日から適切な期日を当事者に通知し、その期日に出席することを勧告しなければならない。ただし、受訴法院がその調停事件を自ら処理する場合には、その弁論期日に直接調停をし、又は直ちに調停期日を指定して告知しなければならない。

③調停担当判事又は調停委員会は、第2項の規定により受訴法院の裁判長が勧告した期日に当事者双方が出席したときは、その日に調停期日を開き、当事者の双方又は一方が出席しないときは、調停期日を指定して召喚しなければならない。

第14条(調停場所等)

①調停は、判事室、調停室、尋問室又は紛争に関連する現場その他適当な場所で行うことができる。

②法官及び法院事務官は、調停をするに当たり、法服を着用しないことができる。

第15条(利害関係人の参加)

①法第16条第1項の規定による利害関係人の参加申請があるときは、法院事務官は、申請書副本(口頭による参加申請の場合は、法院事務官が作成した調書の謄本)を当事者双方に送達しなければならない。調停機関が参加申請を許可し、又は法第16条第2項の規定により利害関係人を調停に参加させたときは、当事者双方及び利害関係人に対し、適切な方法でその決定を通知しなければならない。

②法院事務官は、調停に参加した利害関係人に対し、調停期日を通知しなければならない。

第16条(調停委員による事実の調査)

①調停担当判事や及び停委員会は、規則第8条第3項の規定により建築士、医師等の専門家の調停委員に事実の調査をさせたときは、簡易な形式の事実の調査報告書の提出を要求することができる。この場合において、事実の調査のために必要なときは、当事者に事前に書類(例えば、建築関連の紛争の場合、工事契約書、設計図、仕様書、現場写真等、自動車事故による損害賠償請求事件の場合、診断書、診療記録等)を提出させて調停委員の参考に供することができる。

②第1項の場合において、調停委員に支給すべき事実の調査費用は、事件ごとに30万ウォンを上限とする。ただし、調停担当判事又は調停委員会が相当と認めるときは、これを増額することができる。

③第1項の場合には、調停担当判事又は調停委員会は、調停委員に支給すべき事実の調査費用を当事者双方が均分して予納することを命じなければならない。ただし、事情に応じて予納する金額の割合を異なって定めたり、事実の調査を申請した当事者の一方に全額を納付することを命ずることができる。

第17条(訴訟に移行したときの措置)

①調停事件が訴訟に移行したときは、調停担当判事又は調停長は、受訴法院が調停の経緯を把握して訴訟手続をより効率的に進めることができるようするため、調停の進行経過及び調停の失敗の理由等を記載した調停結果通知書(電算様式A1917)を受訴法院に送付することができる。

②調停申請事件が調停不成立又は異議申請により訴訟に移行したときは、受訴法院は、申請者が最初から訴えを提起したときよりも不利益を受けないように、期日指定等に配慮するものとする。

第4章 決定書、調書等の作成等

第18条(受訴法院の調停回付時弁論調書等の作成)

受訴法院が法第6条の規定により調停に回付した事件(以下「受訴法院調停回付事件」という。)を法第7条第3項の規定により自ら処理するときは、弁論調書又は調停回付決定書にその旨を記載する。(例)[弁論調書]この事件を調停に回付することを決定し通知(受訴法院処理)、[決定書]この事件を調停に回付する(受訴法院処理)。

第19条(調停調書等の作成)

①調停調書又は調停に代わる決定書を作成するにあたり、請求の表示には、請求を特定するのに必要な事項のみを簡単に記載することができ、調停申請書又は訴状を複写して、調書又は決定書の末尾に添付して以下のように対応する部分を引用し、又は調停に代わる決定の算出根拠について試算表を調書又は決定書の末尾に添付することができる。

(例)

請求の趣旨━┓

      ┃別紙調停申請書(訴状)該当欄に記載のとおりである。

請求の原因━┛

②受命法官又は常任調停委員が調停を担当したときは、調停期日調書にその旨を記載しなければならない。

(例)受命法官 判事 ○○○(印)

(例)常任調停委員  ○○○(印)

③当事者間の争いが激しいために、調停過程が順調でなく、成立した調停条項が複雑な場合には、調停条項の草案を書面で作成し、当事者に署名又は記名押印させて、次の記録に編綴する。

④調停期日に当事者が口頭で調停に代わる決定に対する異議申請をしたときは、法院事務官は調停期日調書にその旨を記載しなければならない。

第20条(調停調書等の送達)

①当事者に送達するための調停に代わる決定書正本には、以下の内容を記載しなければならない。

この決定書正本の送達を受けた日から2週間以内に異議を申請しないときは、この決定は裁判上の和解と同一の効力を生じ、裁判上の和解や確定判決と同一の効果を有します。

②当事者に送達するための調停に代わる決定を記載した調書正本には、以下の内容を記載しなければならない。

この決定調書正本の送達を受けた日から2週間以内に異議を申請しないときは、この決定は裁判上和解と同一の効力を生じ、裁判上の和解や確定判決と同一の効果を有します。

③法第16条の規定により利害関係人が調停に参加したときは、調停調書又は調停に代わる決定書正本を利害関係人に送達しなければならない。

第5章 事件記録の管理等の事務処理

第21条(調停回付による記録送付等)

①受訴法院が調停回付決定をしたときは、法院事務官は、民事事件簿、第1審少額事件簿又は民事控訴事件簿(以下「民事事件簿」という。)の備考欄に「調停回付」と記載し、括弧書きで調停回付日を付記した後、調停回付決定日から3日以内に記録送付書により事件の記録を調停担当判事に送付しなければならない。(例)調停回付(2001...)

②受訴法院が第13条第2項の規定により期日を定めて当事者に出席を勧告したときは、法院事務官は、その期日を記録送付書の送付事由欄に記載しなければならない。(例)調停回付(出席勧告日2001年...10:00)

③受付法院事務官は、第1項の規定により調停担当判事に送付された事件の記録送付書に受付印を押して調停事件として受付し、民事調停事件簿(控訴審の場合は、民事控訴調停事件簿、以下「調停事件簿」という。)に登載し、調停事件番号を付与して、配填手続をとる。このとき、調停事件簿の備考欄には、従前の訴訟事件番号を記載しなければならない。

④受訴法院調停回付事件については、調停事件記録の表紙を別に作成せず、既存の訴訟事件記録の表紙をそのまま使用するが、既存の訴訟事件番号の下に調停事件番号を併記して、記録表紙の左上に下記と同じゴム印を朱印しなければならない。

縦1.5cm、横2.5cm「調停」

⑤第1項から第4項までの規定は、受訴法院調停回付事件を受訴法院が自ら調停し、又は受訴法院の裁判長又は受命法官が調停長である調停委員会で調停する場合は、適用しない。

第22条(調停成立等の場合の事件簿記載)

受訴法院が調停成立又は調停に代わる決定の確定通知を受け、又は自ら調停した事件が規則第4条第3項の規定に該当するときは、法院事務官は、民事事件簿の1審終局日欄(控訴審の場合は控訴審終局日欄)に調停成立日又は調停に代わる決定の確定日を記載し、結果欄に「調停成立」又は「調停決定確定」と記載しなければならない。

第23条(訴訟取下げのときの措置)

①受訴法院調停回付事件の調停係属中に訴えが取り下げられたときは、受訴法院の法院事務官は、調停法院事務官にその旨を通知しなければならない。

②原告が調停機関に訴え取下書を提出したときは、調停法院事務官は、訴え取下書が提出された日に、遅滞なく訴え取下書を受理法院事務官に引き継ぎ、受付手続をとらなければならない。原告が口頭で訴訟取下げの意思表示をしたときは、その場で取下書を作成させて提出を受けるものとする。

③調停法院事務官が第1項の規定により訴え取下げの通知を受け、又は第2項の規定により直接訴え取下書の受付手続をとったときは、記録表紙の左上に下記のようなゴム印を朱印した後、記録送付書により事件記録を受訴法院に送付しなければならない。

縦1㎝、横4㎝「2001年 月 日 訴え取下げ」

④第1項及び第3項の規定は、受訴法院の調停回付事件を受訴法院が自ら調停し、又は受訴法院の裁判長又は受命法官が調停長である調停委員会で調停する場合には、適用しない。

第24条(調停係属中に被告を更正したときの措置)

①法第17条第4項により被告の更正をしたときは、法院事務官は、調停事件簿及び事件の記録の表紙の従来の被告の名前を赤線を引いて抹消し、その余白に更正された被告の名前を記入した後、被告を更正した旨及び被告の更正の効力が発生した日付を赤文字で記載する。(例)被告更正(2001...)

②第1項の規定により被告の更正をしたときは規則第4条第4項の通知をする際に、被告を更正した旨及び被告の更正の効力が発生した日付も併せて通知しなければならず、第25条第4項により記録送付をするに当たり、記録送付書の被告欄に被告を更正した旨及び被告の更正の効力が発生した日付を記載しなければならない。

③第2項の通知等により調停手続進行中に被告の更正があったことを知った受訴法院の法院事務官は、民事事件簿を第1項のように整理する。

第25条(訴訟手続への移行)

①調停申請事件が法第36条第1項各号の事由により訴訟に移行したときは、法院事務官は、その事由が発生した日から3日以内に記録送付書によって事件記録を管轄法院に送付しなければならない。ただし、申請者に対して印紙額又は送達料等の補正を命じなければならない場合は、その補正書が受理された日から3日以内に送付しなければならない。

②調停申請事件について調停に代わる決定をしたときは、申請人に対し異議申請をするときに追加納付すべき印紙額及び送達料を事前に告知して、異議申請書の提出時に補正させ、被申請人が異議申請をしたときは、申請者に送達する異議通知書に不足している印紙額及び送達料を追加納付すべき旨を記載する。

③受訴法院調停回付事件が次の各号の一に該当するときは、調停機関は、調停手続を終結し、事件を受訴法院に再度回付しなければならない。

1.当事者の双方又は一方に対して公示送達によらずに期日を通知することができないとき

2.当事者の双方又は一方の欠席により調停期日を2回以上行わなかった場合において、調停に代わる決定をしないとき

3.法第26条又は第27条の規定により事件が終結したとき

4.調停に代わる決定について適法な異議申請があるとき

5.民事訴訟法第185条第2項、第187条、第194条ないし第196条の規定による送達以外の方法で当事者双方又は一方に調停に代わる決定書正本を送達することができない場合において、調停に代わる決定を取り消したとき

④法院事務官は、第3項各号の事由で調停手続が終結した日から3日以内に、記録送付書によって事件記録を受訴法院に送付しなければならない。

⑤法院事務官が第4項の規定により事件記録を受訴法院に送付するときは、事件記録の表紙左上に下記のようなゴム印を所有して、日付欄には、訴訟復帰日付を記入しなければならない。

縦1㎝、横4㎝「2001年 月 日 訴訟復帰」

⑥第1項の規定により事件記録を送付を受けた受付法院事務官は、記録送付書に受付印を押して訴訟事件として受け付け、民事事件簿に登載し、事件番号を付与して、配填手続をとる。この場合には、訴訟記録の表紙を別に作成し、既に綴られている調停事件記録の表紙の上に綴らなければならない。

⑦第4項の規定により事件の送付を受けた受訴法院の法院事務官は、記録送付書に受付印を押して民事事件簿に登載する。事件番号及び民事事件簿等は従来のものをそのまま使用し、民事事件簿の備考欄の「調停回付」と記載した部分の下に「訴訟復帰」と記載して括弧で復帰した日付を付記しなければならない。(例)訴訟復帰(2001...)

第26条(異議申請取下げ時の処理)

①調停に代わる決定に対する異議申請があったが、事件記録を管轄法院に送付する前に相手当事者の同意のない異議申請取下書が提出されたときは、調停法院事務官は、記録を管轄法院に送付せず、相手当事者にその取下書を送達して異議を述べるか否かを確認する。

②事件記録を管轄法院に送付した後に調停機関に異議申請取下書が提出されたときは、法院事務官は、遅滞なく、受訴法院にその旨を通知し、上記取下書を受訴法院に送付しなければならない。

③異議申請による訴訟手続の進行中に異議申請が取り下げられたときは、受訴法院の法院事務官は、民事事件簿の結果欄に「 年 月 日に異議申請取下げ」と記載して事件終結処理をし、事件記録の表紙の左側上部に以下のようなゴム印を朱印し、記録送付書によって事件記録を調停機関に送付しなければならない。

縦1㎝、横4㎝「2001年 月 日 異議申請取下げ」

④第3項の規定により事件記録を送付を受けた法院事務官は、記録送付書に受付印を押して民事事件簿に登載した後、記録送付書の適切な場所に調停担当判事又は調停長の確認印を受ける。事件番号と調停事件簿等は従来のものをそのまま使用し、調停事件部の備考欄に「異議取り下げ」の旨及び取下げ日付を赤文字で記載する。(例)異議申請取下げ(2001...)

⑤調停に代わる決定に対して異議申請があったが、事件記録を管轄法院に送付する前に異議申請が取り下げられた場合も、調停事件簿の備考欄にその旨及び取下げ日付を赤文字で記載する。

第27条(異議申請却下決定確定時の処理)

①調停に代わる決定に対する異議申請により訴訟に移行した後、受訴法院が異議申請を却下し、その決定が確定したときは、受訴法院の法院事務官は、民事事件簿の結果欄に「 年 月 日に異議申請却下確定」と記載して事件終結処理をし、事件の記録の表紙の左上に下記のようなゴム印を朱印し、記録送付書によって事件記録を調停機関に送付しなければならない。

縦1㎝、横5㎝「2001年 月 日 異議申請却下確定」

②第1項の規定により事件記録の送付を受けた法院事務官は、記録送付書に受付印を押して民事事件簿に登載した後、記録送付書の適切な場所に調停担当判事又は調停長の確認印を受ける。事件番号及び調停事件簿等は従来のものをそのまま使用して調停事件部の備考欄に「異議申請却下確定」の旨及び却下決定確定日付を赤文字である。(例)異議申請却下確定(2001...)

③調停に代わる決定に対して異議申請があったが、調停担当判事又は調停長が異議申請を却下し、その決定が確定した場合も、調停事件簿の備考欄にその旨及び却下決定確定日付を赤文字で記載する。

第28条(利害関係人の参加時の処理)

法院事務官が利害関係人の参加申込書を受理したときは、民事事件簿に登載し、記録表紙に参加人の表示をし、申請書及び関係書類を既存の調停記録に合綴する。このときの事件番号は別に付けない。

第29条(受訴法院処理事件が訴訟に復帰する場合の特例)

受訴法院調停回付事件を受訴法院が自ら調停し、受訴法院の裁判長又は受命法官が調停長となる調停委員会で調停する場合には、調停事件が訴訟に復帰し、復帰した後調停に代わる決定に対する異議申請が取り下げられ、又は異議申請却下決定が確定して事件記録の送付を受けたときにも、別の受付手続をとらない。

第30条(供覧及び保存)

①第21条第1項、第23条第3項、第25条第1項及び第4項の規定により事件記録を送付するときは、訴訟手続や調停手続の終結に伴う供覧手続をとらない。

②受訴法院調停回付事件について調停が成立し、又は調停に代わる決定が確定したときは、調停手続の終結に伴う供覧手続をとる。この場合には、訴訟事件の終結に伴う供覧手続を別にとらず、事件記録は調停事件記録として保存する。

③調停に代わる決定に対する異議申請が取り下げられ、又は却下決定が確定したときは、調停手続の終結に伴う供覧手続をとり、事件記録は調停事件記録として保存する。

第31条(調停委員の手当の支給)

①法院事務官は、調停期日が終了した後、「調停委員手当の支給依頼書」(電算様式A1921)を作成して調停担当判事に提出し、調停担当判事は特段の手当増減事由がない限り、上記手当の支給依頼書に記名押印して、法院事務官に交付する。

②調停担当判事は、「調停委員規則」第6条第3項に基づく手当増額事由があるときは、増額後の合計手当額を決定して法院事務官に告知し、法院事務官が修正した「調停委員手当の支給依頼書」に記名押印して、再度法院事務官に交付する。

③法院事務官は、裁判長から受領した「調停委員手当の支給依頼書」の原本を遅滞なく会計関係公務員に交付(送付)し、裁判事務システムを利用してデータ伝送する。

④会計関係公務員は、「調停委員手当の支給依頼書」に記載された調停委員の銀行取引口座に上記のとおり決定された手当を送金する。

⑤銀行取引口座がない調停委員に手当を支給する場合には、調停期日に、担当した調停事件等を記載した調停委員手当請求書及び領収書(電算様式A1921-2)を受け取る。

⑥司法修習生の調停委員に支給する資料の収集費用その他の実費額は、特別な事情がない限り、毎年判事会議で定められる調停委員基本手当の最高限度額の2分の1とする。

⑦調停委員に支給する旅費や宿泊費については、「調停委員規則」第5条の規定による範囲内で各級法院が独自の内規として定めることができる。

第31条の2(手当の増額)

①「調停委員規則」第6条第3項に基づく増額は、同規則第6条第1項に基づき大法官会議で定める手当額の5倍の範囲内とする。

第6章 家事調停の特例

第32条(調停回付決定の時期)

家事訴訟法第50条第2項の規定による調停回付決定は、事件の弁論終結又は審理終結後もすることができる。

第33条(調停機関間の業務分掌)

①家事調停事件は調停委員会が処理することを原則とするが、調停担当判事が事件の性質、当事者の利益等、各種の事情を考慮して相当と認めるときは、自ら処理することができる。

②家事訴訟法第50条第2項本文の規定により家庭法院が事件を調停に回付する場合において、相当と認めるときは、自ら処理することができる。

第34条(移送決定等)

①家事訴訟法第60条後段の規定による移送決定は、その調停事件を処理した調停担当判事又は調停委員会の調停長が行う。

②第1項の規定による移送決定があったときは、法院事務官は、事件記録の中から当該民事事件の請求に関する部分の謄本を作成し、記録送付書によって管轄法院に送付しなければならない。

③第2項の規定により事件記録の送付を受けた法院は、第25条第6項の規定による措置をとる。

第35条(記録送付)

家事訴訟法第61条の規定による事件記録の送付手続は、法院事務官が処理する。

第36条(準用規定)

第2章から第5章の規定は、特別な規定がある場合を除いては、性質に反しない限り、家事調停にこれを準用する。

第7章 労働事件の特例

第37条(労働事件の定義)

この章において「労働事件」とは、次の各号の民事事件(民事調停申請事件を含む。)をいう。

1.解雇、休職、停職、転職等の効力を争う事件

2.賃金、手当、退職金等請求事件

3.個別労働関係から発生した損害賠償請求等の事件

4.争議行為等集団的労使関係から発生した損害賠償請求等の事件

5.労働組合関連の事件

6.その他労働関係又は労使関係を原因とした事件

第38条(労働専門調停委員の委嘱)

①法院長は、労働事件の調停を担当する専門家調停委員に労働専門調停委員を委嘱しなければならない。

②労働専門調停委員は、政府機関、教育機関、弁護士会、公認労務士会、労働者団体、使用者団体等の労働問題に関する各種の職域又は団体からの推薦及び意見聴取を経て委嘱する。

③労働専門調停委員の数は、当該法院の労働事件の数、労働専門部の数等を考慮して定める。

第39条(労働専門調停委員会への調停回付)

受訴法院又は調停担当判事は、労働事件について労働専門の調停委員会に調停をさせなければならない。ただし、次の各号の場合は、この限りでない。

1.無弁論判決、公示送達判決、擬制自白判決で終局する事件

2.当事者が調停を望まない事件

3.その他調停に回付することが適さず、又は調停に回付する必要がないと認める事件

第40条(労働専門調停委員会の構成)

①調停長は、労働専門調停委員会を構成する前に、当事者に対し、合意により労働専門調停委員会を構成する調停委員を選定する機会を与えなければならない。

②当事者の合意によって選定された調停委員がなく、又は当事者の合意によって選定された調停委員が調停委員会を構成する調停委員数に満たないときは、調停長が事件の性質及び専門性等を考慮して、必要な数の調停委員を指定するが、事件の中立性及び労使間の公平性が維持されるように構成しなければならない。

③調停担当判事は、調停申請事件である労働事件を調停するために、労働専門部に専属する調停委員で労働専門調停委員会を構成することができる。

第41条(労働専門調停委員会の調停期日)

①労働専門調停委員会の調停期日を続行するときは、特別な事情がない限り、2週間以内に続行期日を指定しなければならない。

②労働専門調停委員会の調停は、特別な事情がない限り、3回以内の期日で審理を終結しなければならない。

第42条(調停に代わる決定の特則)

調停長は、労働専門調停委員会が調停に代わる決定について議決できず、調停長が決定する場合であっても、調停委員の意見を参酌して、その内容を決定しなければならない。

第43条(準用規定)

第2章から第5章までの規定は、特別な規定がある場合を除いては、労働事件の調停にこれを準用する。

第8章 常任調停委員による調停の特例

第44条(常任調停委員の義務)

①常任調停委員は、法令を遵守し、誠実に職務を遂行しなければならない。

②常任調停委員は、職務に関連して、直接又は間接を問わず、謝礼・贈与又は接待を与えたり、受けたりすることができない。

③常任調停委員は、在職中はもちろん、退職後も職務上知り得た秘密を厳守しなければならない。

第45条(職務を遂行する法院の指定)

法院行政処長が「調停委員規則」第2条の2第1項に基づいて常任調停委員を委嘱するときは、当該常任調停委員が職務を遂行する法院を指定する。

第46条(常任調停委員が処理する事件)

調停担当判事は、当該法院の常任調停委員の業務量、調停事件の性質及び難易度、当事者の意思等を考慮して、常任調停委員に調停に関する事務を処理させることができる。

第47条(事件の処理)

①常任調停委員は、特別な事情がない限り、調停申請書を受理し、又は調停回付事件の訴訟記録を受け付けた日から3か月以内に、当該事件を処理しなければならない。

②常任調停委員は、調停事件を処理する際に、当事者及び利害関係人の陳述聴取、事実の調査又は証拠調べを充実させなければならない。

第48条(調停センター運営権限の委任)

「調停委員規則」第2条の4による調停センターの管理及び運営を担当すべきものと指定された法院が高等法院であるときは、当該高等法院長は、庁舎の運営状況、高等法院及び管内の法院の職員規模等を考慮して、常任調停委員が職務を遂行する他の地方法院の法院長に次の各号の事務を委任して処理させることができる。

1.常任調停委員執務室等の施設又は設備の維持・管理

2.常任調停委員が処理する事件を担当する職員の採用及び報酬支払

第49条(委員長)

①調停センターに委員長1人を置く。

②委員長は、調停センターの常任調停委員の中から、法院行政処長が指定する。

③委員長は、調停センターを代表して、調停センター内の行政事務を統轄する。

④委員長は、常任調停委員1人を幹事に指名することができる。

第50条(常任調停委員との間の事件分担)

委員長は、常任調停委員の間の公平性、常任調停委員と当事者間の関係、常任調停委員の経歴及び専門性等を考慮して、第46条の規定により常任調停委員が処理することとされた事件について、担当常任調停委員を指定する。

第51条(準用規定)

第2章から第5章の規定は、特別な規定がある場合を除き、性質に反しない限り、常任調停委員による調停の場合にこれを準用する。