明治元訳新約聖書(大正4年)/帖撒羅尼迦人前書

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[二千九]

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ウィキペディアテサロニケ第一の手紙のページがあります。
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第一章 編集

パウロシルワノテモテふみちゝなるかみおよびイエス キリストあるテサロニケびと教會けうくわいおくねがはくハ我儕われらちゝなるかみおよびしゅイエス キリストより爾曹なんぢら恩寵めぐみ平康やすきうけ
われら祈禱いのりうち爾曹なんぢらことのべつね爾曹なんぢら衆人もろゝゝためかみ感謝かんしゃ
これ爾曹なんぢら信仰しんかうよりおこなあいよりらう我儕われらしゅイエス キリストのぞむによりしのぶことを我儕われらちゝなるかみまへにてたえおもふがゆゑなり
かみあいせらるゝ兄弟きゃうだいまたこれ爾曹なんぢらえらばれたることしるよりてなり
我儕われら福音ふくいんなんぢらにきたりしハ只言たゞことばよりてのみならずちからにより聖靈せいれいよりまたあつ信仰しんかうよりてなりすなは我儕われらなんぢらのうちあり爾曹なんぢらため如何いかにおこなひし爾曹なんぢらしるごとし
かつなんぢらおほいなるなやみうち聖靈せいれい喜樂よろこびをもてことばうけわれらおよしゅなら
マケドニヤアカヤあるすべての信者しんじゃ摸楷かたとなれり
しゅ道爾曹ことばなんぢらよりひゞきしはたゞマケドニヤ アカヤのみならずしかしてまたなんぢらがかみむかへ信仰しんかうすべてのところひろまれり是故このゆゑ我儕われら何事なにごといふおよバず
そはかれら我儕われらことかたりて我儕われらいかなるさまにて爾曹なんぢらうちにいりかつなんぢら偶像ぐうぞうをすてかみしていけ眞神まことのかみつか
そのてんよりきたるをまついへなりそのすなはかみよりよみがへらしゝところイエスにして我儕われらきたらんとするいかりよりすくものなり

第二章 編集

兄弟きゃうだい我儕われら爾曹なんぢらうちいりしことの徒然いたづらならざるを爾曹なんぢらみづからしる
なんぢらごと我儕われらさきにピリピにてくるしみうけたりされなほなんぢらにいた我儕われらかみよりはゞかところなくかみ福音ふくいんおほいなる紛爭あらそひうちにて爾曹なんぢらかたれり
我儕われらすゝめまどひよりいづるにあらけがれよりいづ
[二千十]
あら亦詐またいつはりてせず
われらかみえらびをえ福音ふくいんつたふることをゆだねられたるによりかたるなりひとよろこバするにあらこゝろさつたまかみよろこバするなり
なんぢらしるごと我儕われらいつもへつらことばもちいずまたことよせむさぼることをせずかみこれがあかしをなす
我儕われらキリスト使徒しとにてひとおもんぜらるべしといへどあるひ他人ほかのひとにもひと榮耀ほまれもとめ
乳母めのとその赤子こどもやしなごと我儕われらなんぢらのうちあり柔和にゅうわにせり
如此かくなんぢらをしたひてたゞかみ福音ふくいんのみならずおのれ生命いのちをも爾曹なんぢらあたへんことをよろこべりこれなんぢらハあいするものなれバなり
兄弟きゃうだい爾曹なんぢらわれらのらうくるしみをしる爾曹なんぢらのうち一人ひとりをもわずさ ハせざるため夜晝工よるひるわざなしかみ福音ふくいん爾曹なんぢら宣傳のべつたへたり
我儕われらなんぢらしんずるものむかひ何等いかばかりきよただしかくることなくしておこなへるを爾曹なんぢらかみあかしをなす
十一 十二 爾曹知なんぢらしるわれらちゝ其子そのこあつかごとくして爾曹なんぢらおのゝゝにむか其國そのくに其榮そのさかえまねたまかみかなひあるくことをすゝめまたなぐさ亦教またをしへたり
十三 是故このゆゑ我儕神われらかみむか爾曹なんぢら我儕われらよりかみことばきゝしときこれひとことばとせずかみことばとしてうけたるをたえ感謝かんしゃ此道このことばまことかみことばにして爾曹信なんぢらしんずるものうちはたらくなり
十四 兄弟きゃうだい爾曹なんぢらユダヤうちなるキリスト イエスにあるかみ教會けうくわいならへものとなれりそはかれらユダヤびとくるしめられしごと爾曹なんぢらおのくに人々ひとゞゝくるしめられたれバなり
十五 ユダヤびとしゅイエスおの預言者よげんしゃたちをころしまた我儕われらせめ逐出おいいだせり彼等かれらかみこゝろかなハずかつすべてのひとさからへり
十六 また我儕われら異邦人いはうじんすくひさせんとてかたるをこばめかくごと彼等かれらつねおのつみみたしむかみきはめおほいなるいかりかれらにいたれり


十七 兄弟きゃうだい我儕われら暫時ときのまなんぢらにはなをるこれかほのみなりこゝろあらしきりねがひていそ爾曹なんぢらかほんとせり
十八 是故このゆゑ我儕われらなんぢらにいたらんとねがへりことわれパウロこれ
[二千十一]
ねがふこと一次ひとたびのみならず兩次ふたたびなりしかどサタン我儕われらさまたげたり
十九 我儕われらのぞみまたよろこびまたほこりかんむりたれぞや我儕われらしゅイエス キリストきたらんときそのまへにて爾曹なんぢらこのものとなるにあらず
二十 それ我儕われらさかえよろこび爾曹なんぢらなり

第三章 編集

こゝ我忍われしのぶことあたハずゆゑひとりアテンスとどまることをこゝろさだ
キリスト福音ふくいんつたかみともはたら我儕われら兄弟きゃうだいテモテ爾曹なんぢらつかはしゝなりこれ爾曹なんぢらかたく又爾曹またなんぢら信仰しんかうため爾曹なんぢらなぐさ
一人ひとりもこの患難なやみうごかされざらしめんためなりそれ患難なやみ我儕われらさだまれることなるを爾曹自なんぢらみづかしれ
われら爾曹なんぢらともありときわれら患難なやみあはんとすることをあらかじめ爾曹なんぢらつげたり今果いまはたし其如そのごとなれ爾曹知なんぢらしるところのごと
是故このゆゑ我忍われしのぶことあたハず爾曹なんぢら信仰しんかうしらためひとつかはしゝなりこゝろむもの爾曹なんぢらこゝろみて我儕われららう徒然むなしくならんことをおそれたるなり
いまテモテ爾曹なんぢらより我儕われらきたりて爾曹なんぢら信仰しんかうあいとの嘉音よきおとづれきかまたなんぢらつね我儕われら切々ねんごろおもひわれらにあふことをねが我儕われら爾曹なんぢらあふことをねがふがごとしとつげたり
是故このゆゑ兄弟きゃうだい我儕われらさまざまの禍害わざはひ患難なやみとのうち爾曹なんぢら信仰しんかうより安慰なぐさめたり
そハ爾曹なんぢらもしかたしゅつか我儕われらこれによりいくべければなり
われら爾曹なんぢらことつい我儕われらかみまへよろこところおほいなるよろこびにより爾曹なんぢらため如何いかなる感謝かんしゃかみむくいんや
夜晝切よるひるしきりねがふハ爾曹なんぢらかほんことと爾曹なんぢら信仰しんかうたらざるところおぎなはんことなり
十一 ねがはくハかみすなはち我儕われらしゅイエス キリストとも我儕われらみちびきて爾曹なんぢらいたらしめたまはんことを
十二 またねが主爾曹しゅなんぢらあいましかつ滿みたしめ爾曹なんぢらをしてたがひあいすべてひとあいすること我儕われら爾曹なんぢらあいするごとくならしめて
十三 爾曹なんぢらこゝろかたくし我儕われらしゅイエスそのすべて
[二千十二]
聖徒せいとともきたらんとき爾曹なんぢらをして我儕われらかみなるちゝまへきよくしてせむべきところなからしめんこと

第四章 編集

兄弟きゃうだい爾曹なんぢらかくかみねがへバしゅイエスよりまたなんぢらにみと且勸かつすゝ爾曹なんぢらすでに我儕われらをしへうけいかにおこなひてかみよろこバすべきをしりたればますゝゝこれすゝむべし
そはわれらしゅイエスより如何いかなるいましめ爾曹なんぢらさづけしかを爾曹知なんぢらしれバなり
かみむね爾曹なんぢらきよきことすなは姦淫かんいんをせず
おのゝゝおのれうつはこれきよくなしてもちゐることをしり
かみしらざる異邦人いはうじんごと情慾じょうよく放縦ほしいまゝにせず

またこのことについて兄弟きゃうだいあざむきかつがいせざらんことをもとたますべかゝ惡事あしきことおこなもの主報しゅむくいをなしたまふなりわれらさき爾曹なんぢらつげかつあかしせしがごと
それかみ我儕われらまねきたるハ我儕われらけがれたることおこなふをもとむるにあらきよからんこともとたまふなり
是故このゆゑあなどものひとあなどるにあら其聖靈そのせいれい爾曹なんぢらたまひしかみあなどるなり


兄弟きゃうだいあいすることついてはわれなんぢらに書贈かきおくるにおよバずそはなんぢらたがひあいすることをしたしかみよりをしへられたれバなり
爾曹なんぢらマケドニヤ全地ぜんちなるすべて兄弟きゃうだいかくごとおこなへり兄弟きゃうだい我儕勸われらすゝむるハ爾曹なんぢらますゝゝかくごとおこな
十一 かつ安静しづかならんことをつとおのれことおこなづからわざをなしさき爾曹なんぢら我儕われらめいぜしごとくせんことなり
十二 爾曹なんぢら外人そとのものむかひたゞしおこな亦自またみづかともしきことなからんためなり


十三 兄弟きゃうだい爾曹なんぢら憂戚なげきのぞみなき他人ほかのひとごとくならざらんことをねがふがゆゑ我儕われらすでにねぶれるものついては爾曹なんぢらしらざるをこのまず
十四 我儕われらもしイエスしによみがへりしことしんずるならばイエスよれところすでねぶれるものかみかれとともたづさきたらんことをもしんずべきなり
十五 われらしゅことばより爾曹なんぢらつげしゅきたらんときいたいきのこれる我儕われらすぐねぶれるものよりもさきだゝじ
十六 それ主號令しゅがうれい使長つかひのをさこゑかみらっぱみづかてんよりくだらん其時そのときキリストあり
[二千十三]
しに者先ものさきよみがへり
十七 のちいきのこ我儕われらかれらとともくもたづさへられ空中くうちうおいしゅあふべしかく我儕われらいつまでもしゅともをら
十八 是故このゆゑ此等これらことばたがひなぐさむべし


第五章 編集

兄弟きゃうだいときについてハわれなんぢらに書贈かきおくるにおよばず
そハしゅきたること盗人ぬすびとよるきたるがごとくなることを爾曹なんぢら詳細つまびらかしればなり
人々ひとゞゝ平和へいわ無事ぶじなりといはんとき亡滅忽ほろびたちまちにきたらんはらめをんなにその劬勞くるしみきたごとくなるべし人々ひとゞゝたえさくることを
され兄弟きゃうだい爾曹なんぢら幽暗くらきをらざれば其日そのひ盗賊ぬすびときたごと爾曹なんぢらきたることなし
爾曹なんぢらみなひかりどもなりわれらよるつけるものくらきつけものあら
され我儕われら他人ほかのひとねぶるがごとねぶることをせずさめつゝしむべし
ねぶものよるねぶりさけゑふものハよるゑふなり
ひるつけ我儕われらしんあい護胸むねあてをきすくひのぞみかぶととしてつゝしむべし
そハかみわれらをいかりあはせんとさだめたるにあら我儕われらしゅイエス キリストよりすくひしめんとさだたまひたればなり
かれ我儕われらためしにたり是我儕これわれらをしてさめたるもねむれるもかれともいかしめんとてなり
十一 是故このゆゑ爾曹常なんぢらつねなせごとたがひなぐさまたおのゝゝのとく相建あいたつべし


十二 兄弟きゃうだい我儕われらなんぢらにこふなんぢらのうち勤勞つとめかつしゅあり爾曹なんぢらをさ爾曹なんぢらをしふものかへり
十三 彼等かれらわざよりあつこれあいすべし爾曹なんぢらたがひに親睦むつまじくすべし
十四 兄弟きゃうだい我儕われらなんぢらにすゝ妄行者みだりなるものいまし氣餒者きのうゑたるものなぐさ懦弱者よわきものたすすべてひとむかひしのぶべし
十五 なんぢらつゝしみてあくあくむくゆることなくつねたがひぜんおひまたすべてひとにもぜんおよぼすべし
十六 つねよろこぶべし
十七 たえいのるべし
十八 すべて事感謝ことかんしゃすべしこれイエス キリストより爾曹なんぢらもとたまかみむねなり
十九 みたまけすことなか
二十 預言よげんなみ
[二千十四]
することなか
二一 すべてのことかんがへて其善そのよきものをまも
二二 もろゝゝ惡事あしきことたぐひとほざかるべし
二三 ねがはくハ平安へいあん神自かみみづからなんぢらをまったきよくまたなんぢらの全靈ぜんれい全生ぜんせい全身ぜんしんまもりて我儕われらイエス キリストきたらんときとがなからしめたまはんことを
二四 爾曹なんぢらまねもの誠信まことなるものなりかれこのことなしたまハん
二五
兄弟きゃうだい我儕われらためいのるべし
二六 なんぢらきよ接吻くちつけすべて兄弟きゃうだいやすきとふべし
二七 われらしゅよりねが爾曹なんぢらこのふみすべて兄弟きゃうだい讀聞よみきかせんことを
二八 我儕われらしゅイエス キリスト恩爾曹めぐみなんぢらともあらんことをアメン




新約全書帖撒羅尼迦前書 終