明治元訳新約聖書(大正4年)/希伯來人書

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[二千三十三]
新約全書使徒しんやくぜんしょしとパウロヘブルびとおくれるふみ

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第一章

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神昔かみむかしおほく區別わかちをなしおほくはうをもて預言者よげんしゃにより列祖せんぞたち告給つげたまひしが
この末日すえのひにハ其子そのこより我儕われらつげたまへりかみかれたて萬物よろづのものよつぎとしかつかれをもろゝゝ世界せかいつくりたり
かれかみさかえ光輝かゞやきそのしつ眞像かたにておの權能ちからことばをもて萬物よろずのもの扶持たもちわれらのつみきよめをなして上天たかきところいま威光ゐくわうみぎしぬ
かれうけてん使者つかひよりもまされるごと彼等かれらよりハまされり
そハてん使者つかひたちうちなるたれかつ如此かくいへるなんぢハ我子わがこなり我今日われけふなんぢをうめりとまたわれかれためちゝとならんかれわがためになるべしと
また冢子うひごいらしむるとき言給いひたまへるハかみすべて使者つかひみなこれにひざまづくべし
また使者等つかひたちついてハかれその使者等つかひたちかぜとなし其役そのつかはるゝもの火焔ほのほとなすといへ
そのいへるハかみなんぢくらゐ世々よゝおよなんぢくにつゑたゞしつゑなり
なんぢあいあくにく是故このゆゑかみすなハちなんぢかみ喜樂よろこびあぶらなんぢともよりもまさりてなんぢそゝげ
またいはしゅ爾元始なんぢはじめもとゐてんなんぢわざなり
十一 此等これらほろびされなんぢつねたもた此等これらすべころもごとふるびん
十二 なんぢこれらをうはぎごとたゝまたかれらハかはらんされなんぢかはることなしなんぢよはひをはらざるなり
十三 使者等つかひたちうちなるたれなんぢてきなんぢ足凳あしだいとなすまで我右わがみぎすべしとかつ言給いひたまへることありしや
十四 すべてん使者つかひすくひつがんとするものつかへんためつかはさるゝれいあらずや


第二章

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是故このゆゑ我儕聞われらきゝところ流過ながれすぐることなからんためにいよゝゝあつつゝしむべし
それ天使等つかひたちより告給つげたまひし言堅立ことばかたくしてすべて違逆そむき不順したがはざるとみなたゞしむくいうけたらんにハ
かくごとおほいなるすくひわれ
[二千四十]
儕等閑らなほざりにしていかのがるゝことをんやはじしゅよりしめされたるをきゝものども我儕われら言證いひかためたり
かみまたその聖旨みこゝろしたがひて休徴しるし奇跡ことなるわざおよび萬殊さまゞゝ異能ちからのわざ分予わかちあたふるところ聖靈せいれい彼等かれらともあかしせり
そはかみ我儕われらいふところのきたらんとするてん使等つかひたちにハしたがハせざりき
或篇あるへん人證ひとあかししていひけるハひとたれとしてなんぢこれをこゝろとむるやひとたれとしてなんぢこれを眷顧かへりみるや
なんぢかれをてん使等つかひたちよりすこしくおとらしむかれさかえ尊貴たふときかむらせまたなんぢのにてつくりしものうへこれたてたり
なんぢ萬物すべてのもの其足下そのあしのしたふくせしむすで萬物すべてのものこれふくせしむれバかならふくせずしてのこものなしされいまいたるまで我儕われら萬物すべてのものいまこれふくせしを
たゞわれらてん使等つかひたちよりすこしおとらされし者即ものすなはくるしみうけしによりさかえ尊貴たふときかむらせられたるイエスたり其死そのしにたるハかみめぐみよりすべてひとかはりてあぢはへんがためなり
これおほくのさかえみちびかんとてそれすくきみをして苦難くるしみならしむるハ萬物すべてのものするところ萬物すべてのものつくれるものかなへることなり
十一 それきよむものきよめらるゝものすべひとつよりいづこのゆゑ兄弟きゃうだいとなふるをはぢとしたまハずして
十二 いへらくわれなんぢの兄弟きゃうだいしめさんなんぢ教會けうくわいうちほめ
十三 またいはわれかれは依賴よりたのままたいハくわれかみわれあたへし諸子こどもたち
十四 それ諸子こどもともにくとをそなふれバかれおなじこれそな是死これしをして權威けんゐもてるものすなは惡魔あくまほろぼし
十五 かつおそれ生涯しゃうがいつながるゝものはなたんためなり
十六 てん使等つかひたちたすけアブラハム子孫しそんたす
十七 是故このゆゑかみつけことについて衿恤あはれみ忠義ちゅうぎなる祭司さいしをさとなりてたみつみあがなハんため諸事すべてのことおい兄弟きゃうだいごとくなるハうべなり
十八 そはかれみづかいざなハれて艱難くるしみうけたれバいざなハるゝもの助得たすけうるなり


[二千四十一]

第三章

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是故このゆゑおなじてんめしかうむりしきよ兄弟きゃうだい
モーセかみ全家ぜんか忠義ちうぎをせしごとおのれたてもの忠義ちうぎなる我儕われらしんずるところ使徒しとたる祭司さいしをさたるイエスふかおもふべし
そハいへつくりしものいへよりまさりほまれうくべきものとせられたり
おほよいへこれつくれるものあり萬物ばんもつつくれるものかみなり
それモーセ將來のち言傳いひつたへられんとすることあかしをせんがめに僕人つかはれびとごとかみ全家ぜんかおい忠義ちうぎをなし
キリストたるものごとかみいへつかさどれり我儕われらもし信仰しんかうのぞみよろこびとををはりまでかたたもた我儕われら其家そのいへなり
是故このゆゑ聖靈せいれいいへごとくせよ爾曹なんぢらもし今日けふ其聲そのこゑきかありしゅこゝろみたるそのいかりひきときごと
爾曹心なんぢらこゝろ剛愎かたくなにするなか
其處そのところおい爾曹なんぢら列祖せんぞわれをこゝろわれをためし又四十年またしじふねんあひだわが作爲わざたり
是故このゆゑわれそのひといかり彼等かれらつね心惑こゝろまどへりといへされ我道わがみちしらざりき
十一 ゆゑ我憤われいきどほりて彼等かれら安息やすみいるべからずとちかひたり
十二 兄弟きゃうだい爾曹なんぢらうち不信仰ふしんかうなるあしこゝろいだき活神いけるかみまへよりはなおつることなからんやうつゝしむべし
十三 爾曹なんぢらのうちたれ一人ひとりつみ誘惑あざむきより剛愎かたくなにならざるやう今日けふとなふるうちに日々ひゞたがひ相勸あひすゝめよ
十四 そハ我儕われらもしはじめ信仰しんかうをはりまでかたたもたキリストくみすものとならん
十五 それいへることあり今日けふそのこゑきかいかりひきときのごとく爾曹なんぢらこゝろ剛愎かたくなにするなか
十六 きゝてなほいかりひきものたれぞやモーセしたがひてエジプトよりいでたるすべてものあらずや
十七
かみ四十年しじふねんのあひだたれむかひいかりしやつみをかして其屍そのしかばねたふしゝものどもにいかれるならず
十八 またその安息やすみいるべからずとたれちかへるならず
十九 これよりみれ彼等かれらいることをざりしハ不信ふしんよりてなり

[二千四十二]

第四章

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是故このゆゑ我儕畏われらおそるべし其安息そのやすみにいる約束やくそくいまなほのこれどもおそらくハ亦爾曹またなんぢらのうちにこれおよばざるものあらん
そはわれらも彼等かれらごと福音ふくいん宣傳のべつたへられたりたゞかれらがきゝところことばハその信仰しんかうまじらざりしがゆゑきけものえきなかりき
しんずるところ我儕われら安息やすみいることをうるなりすなは言給いひたまひたるがごと我怒われいかれるときちかひかれ安息やすみいるべからずといへしかれども地基ちのもとゐおきときより其工そのわざハみななれ
そハ或篇あるへん七日なぬかについてごといへかみ第七日だいなぬかすべ其工そのわざやすめりと
またこのへん彼等かれら安息やすみいるべからずといへ
されこれいるべきものありさき福音ふくいんつたへられたるものしんぜられるによりいらざりしなり
是故このゆゑ多年ひさしきのちまたダビデふみおいさだめ今日けふいへまへいひごと今日けふもし其聲そのこゑきか爾曹心なんぢらこゝろ剛愎かたくなにするなか
もしヨシュア彼等かれらやすませなばそののちかみほかいはざるべし
され安息やすみかみたみのこれり
すで安息やすみいりものかみおのれのわざ安息やすみごとかれ其工そのわざやすめり
十一 是故このゆゑ彼等かれらごと不信仰ふしんかうならひておちざるやう我儕われらこの安息やすみいらんことを黽勉はげむべし
十二 それかみことばいきてかつちからあり兩刃もろはつるぎよりもいのちたましいまた筋節骨髄ふしゞゝこつずゐまでとほわかこゝろおもひ志意こゝろざし鑿察みわくるものなり
十三 またものとしてかみまへあらはれざるハなし我儕われらかゝはれるものまへすべてのものはだかにてあらは


十四 され我儕われら雲霄そらとほりてのぼりしおほいなる祭司さいしをさすなハちかみイエスありゆゑ我儕信われらしんずるところをしへかたたもつべし
十五 そはわれらが荏弱よわき體恤おもひやることあたはざる祭司さいしをさ我儕われらあらかれすべてこと我儕われらごといざなはれたれどつみをかさざりき
十六 是故このゆゑ我儕恤われらあはれみをうけをりたすけとなる恩惠めぐみうけためはゞからずして恩寵めぐみきたるべし

第五章

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ひとうちよりえらばるゝすべて祭司さいしをさひとのためにかみのためにかみつくことをにんぜられてつみ供物そなへもの犠牲いけにへ
[二千四十三]
さゝぐることをするものなり
おのれみづから荏弱よわきまとはるれバ亦愚昧またおろかなるまよへるものあはれむことをうるなり
これよりたみためになるごとおのためにもつみ禮物さゝげものさゝげざるを
この尊貴たふときアロンごとかみめしうけたるものあらざれバみづかこれ取者とるものなし
かくごとキリストみづかたうとびて祭司さいしをさとハなさざりきなんぢ我子わがこなりわれ今日けふなんぢうめりといひものかれたふとびてしかなせり
またべつへんなんぢかぎりなくメルキゼデクくらゐごと祭司さいしたりと言給いひたまへるがごと
かれ肉體にくたいありしとき哀哭かなしみさけなみだながしてよりおのれ球得すくひうものいのりまた懇求ねがひをなしそのうやゝゝしきによりてきかるゝことをたり
かれたれどもうくところ苦難くるしみよりしたがふことをなら
すで完全まったけれバすべかれしたがもの永救かぎりなきすくひもととなれり
かれメルキゼデクくらゐごと祭司さいしをさなりとかみとなへられき


十一 これつき我儕多われらおほくかたるべきことあれど爾曹なんぢらみみにぶきにより講明ときがたし
十二 すで爾曹なんぢらときふることひさしけれバひととなるべきものなるにいままたかみしめたまへるをしへはしをしへられざるを爾曹なんぢらかた食物しょくもつならでちゝもちふべきものとなれり
十四 それかたき食物しょくもつこゝろはたらかせねり善惡よしあしわきまへうる成人おとなもちゐるものなり

第六章

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是故このゆゑ我儕われらキリストをしへはじめはな死行しのわざ悔改くいあらたかみつけ信仰しんかう
萬殊さまゞゝあらひれいまたおくことしにひと復生よみがへりかぎりなき審判さばきこれらのをしへもとゐふたゝおくことをせずして完全まったきすゝむべし
もし神許かみゆるたまハゞ我儕われらこれを
そハひとた光照ひかりをえてんたまものをうけ聖靈せいれいかうむ
かみ善言よきことば來世らいせ權能けんのうとをあぢはひてのち
墮落だらくするものかみふたゝ十字架じふじかつけ顯辱さらしものとするがゆゑまた
[二千四十四]
これを悔改くいあらために立返たちかへらすことあたハざるなり
それつちしバゝゝ其上そのうへふれあめ吸込すひこみ耕者たがやすものためになるべき菜蔬やさいしゃうぜバかみよりめぐみうく
され荊棘いばら蒺蔾あざみしゃうぜバすてられ且詛かつのろひちか其終そのはてやかるべし
あいするもの我儕われら如此かくいへど爾曹なんぢらこれまされることすなはすくひちかきことをふかしんぜり
かみ爾曹なんぢらさき聖徒せいとつかいまなほこれにつかふるその功勞はたらき聖名みなためあらはしゝ其愛そのあいわするゝ不義ふぎなるものあら
十一 爾曹なんぢらおのゝゝをはりいたるまでうたがひいだかざるのぞみたもたんがため以前まへおな慇懃はげみあらはおこたらずして
十二 かの信仰しんかう忍耐しのび約束やくそくつげものならはんことを我儕欲われらねがへり
十三 それかみアブラハム約束やくそくたまひしときおのれよりおほいなるものさしちかふべきなきがゆゑおのれさしちかひ
十四 言給いひたまひけるハわれなんぢらをおほいめぐまんまたなんぢの子孫しそんおほいまさ
十五 かれしのびかくごと約束やくそくのものをたり
十六
おほよひとおのれよりすぐれたるものさしちかふまたことさだむちかひすべ彼等かれら爭辨あらそひとゞむるなり
十七 されかみ約束やくそく嗣者つぐもの其旨そのむねかはらざることをいよゝゝあらはさんとして約束やくそくうへにまたちかひ立給たてたまへり
十八 かみいつはることあたはざる此二件このふたつかはりなきことハまへたつところののぞみとらんとていかりのがれたる我儕われらなぐさめんがためなり
十九 我儕われら此望このゝぞみ霊魂たましひいかりごと堅固かたうしてうごかずまくうちいる
二十 我儕われらためイエス前驅さきがけして其處そのところいりメルキゼデクくらゐごとかぎりなく祭司さいしおさとなれり

第七章

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このメルキゼデクサレムわうにて至高いとたかかみ祭司さいしなりしがアブラハム王等わうたちころしてかへりしときかれアブラハムむかへしゅくせり
アブラハムこれすべ所獲ぶんどりもの十分じふぶんいちわかちたりまづそのとけたゞしき王次わうつぎサレムわういふこれすなは平康おだやかわうなり
かれちゝなくははなく族譜けいづなくいのちはじめなく亦終またをはりもなしかみかたどられてつね祭司さいしたりき
先祖せんぞアブラハム所獲ぶんどりもっと善物よきもの十分じゅうぶんいち
[二千四十五]
かれあたふれバ其人そのひと如何いかたふときかをおもふべし
レビ子孫しそんのうち祭司さいしつとめうくもの律法おきてしたがひて民即たみすなは其兄弟そのきゃうだいより十分じふぶんいちとることをめいぜらる彼等かれらアブラハムこしよりいでたるものいへどもなほしかなせり
され此血脈このちすぢあらずしてかれアブラハムより十分じふぶんいちとり其約束そのやくそくたもてるものしゅくせり
おとれるものまされるものしゅくさるゝハろんなきことなり
こゝなる十分じゅうぶんいちうくものしぬべき者彼ものかしこなるハいけものなりとあかしせられたり
また十分じふぶんいちうくところレビアブラハムによりて十分じふぶんいちをさめたりといふべし
そはメルキゼデクかれあへるときレビ其父そのちゝこしをれバなり
十一 たみレビすぢなる祭司さいしつとめもとづきて律法おきてうけたりもしこのつとめより完全まったきことあらバなんほかアロンくらゐごと祭司さいしおこることをもとめん
十二 すで祭司さいしすぢかハるとき律法おきて亦必またかならかはるべし
十三 此等これらこと祭壇さいだんつとめたるものなき支派わかれつけものさしいへ
十四 我儕われらしゅユダよりいでことあきらかなりモーセこの支派わかれつい祭司さいしつとめのことハなにをもいはざりき
十五 すでメルキゼデクごとほか祭司起さいしおこりたれバ律法おきてかはることもいよゝゝあきらけし
十六 かれ肉體にくたいかゝ律法おきてのりしたがひてたゝくちざる生命いのちちからしたがひてたて
十七 そはメルキゼデクくらゐごとなんぢかぎりなく祭司さいしたりとあかしせられたれバなり
十八 それ律法おきて何事なにごとをもまったうせしところなし
十九 是故このゆゑさき法度のりハその荏弱よわきえきなきをはいせられさらまされる善望よきのぞみたてられたり我儕われらこののぞみよりかみちかづくことをうるなり
二十 二一 二二 かの人々ひとゞゝちかひなくして祭司さいしとなれどかれちかひ祭司さいしとなれり是主これしゅかハりなきちかひたてなんぢメルキゼデクくらゐごとかぎりなく祭司さいしたりとかたれるものによるかくごとイエスちかひあらざれバ祭司さいしとならざるほどもっと善契約よきけいやく保証人うけあいびととなれり
二三 彼等かれらあるによりながたもつ
[二千四十六]
ことあたハずゆゑ祭司さいしとなりたる者多ものおほかりき
二四 されイエスかぎりなくたもつゆゑかはることなき祭司さいしつとめもて
二五 是故このゆゑかれおのれよりかみきたものため懇求とりなさんとてつねいくれバ彼等かれらまったすくうるなり
二六 これごと祭司さいしをさ我儕われらあたれるものなりかれ聖潔きよくして不善あしきことなく纖垢けがれなくして罪人つみびととおざかれり且天かつてんよりもたか
二七 またかの祭司さいし長等をさたちごとまづおのれのつみのちたみつみためごとに犠牲いけにへさゝぐべきよしなしそはすでに一次ひとたびおのれをさゝげこれなせバなり
二八 それ律法おきてよわひとたて祭司さいしをさとなせりされ律法おきてのちちかひことばかぎりなくまったたてたり

第八章

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わがいへるところ肝要かんえうかくごと祭司さいしをさ我儕われらあることなりかれてんおいおほいなる威光ゐくわうあるものくらゐみぎして
聖所きよきところつかすなはひとたつところあらしゅたてたまへるところまこと幕屋まくやなり
すべて祭司さいしをさたてられたるハ禮物そなへもの犧牲いけにえさゝぐるためなるがゆゑかれまたかならずさゝぐところものあるべし
かれもしをら祭司さいしなるべからずそはすでに律法おきてしたがひをて禮物れいもつさゝぐ祭司さいしあれバなり
彼等かれらつかふところてんにあるものかたちかげなりモーセ幕屋まくやつくらんとせしとき爾愼なんぢつつしみすべてことをなすにハやまおいわがなんぢにあらはしゝところのりしたがふべしとしめされたりしごと
されいまかれハまされる約束やくそくもとづきてたてられたる契約けいやく中保なかだちとなるかくごとかれすぐれたるつとめたり
そハはじめ契約けいやくもしかくることなくバのち契約けいやくたつることをもとめじ
そのかくところ彼等かれらあらはしていはしゅいひたまひけるハわれイスラエルいへユダいへ新約しんやくたて全備まったうするの日來ひきたらん
このやく我手われてとり彼等かれら先祖せんぞエジプトよりみちびいだせるたてところごときにあらそはかれら契約けいやくをらわれまた彼等かれらかへりみざりしがゆゑなりとしゅいひたまひたり
またしゅいひたまひけるハ其日そのひのち
[二千四十七]
イスラエルいへたてんとする契約けいやくこれなりわれハ律法おきてをそのおもひおきまた其心そのこゝろしるさんわれかれらのかみとなり彼等我かれらわたみなるべし
十一 各人おのゝゝその邦人くにびと其兄弟そのきゃうだいをしへ爾主なんぢしゅしれまたいはじ蓋小そはせうよりだいいたるまでことゞゝわれしら
十二 われ彼等かれら不義ふぎあはれ其罪そのつみあくをまたこゝろとめざれバなり
十三 かれすであたらしいひしハはじめものふるしとするなりそれふるびおとろふものほとんど消廢きえうせんとす


第九章

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はじめ契約けいやくにハまつり禮儀れいぎつけ聖殿きよきみやとあり
まうけたるまへ幕屋まくや聖所きよきところなづうち燈臺とうだいつくゑそなへのパンあり
また第二だいにまくうしろ幕屋まくや至聖所いときよきところなづ
こゝにきん香爐かうろあまねきんおほひし契約けいやくはこあり此中このなかにマナををさめたるきんつぼアロンめざしゝつゑふたつ契約けいやくあり
うへにハ贖罪所しょくざいしょおほへる榮耀さかえのケルビンありいまこれらについつまびらかにいは
かくごと此等これらのものすでそなはり祭司等さいしたちつねまへ幕屋まくやいりまつりなせ
おくなる幕屋まくや祭司さいしをさのみとし一次ひとたびいれどもたずしてハいることなしこれおのれとたみあやまちためさゝぐるなり
聖靈せいれいこれをまへ幕屋まくやのなほりしとき至聖所いときよきところいるべきみちあらはれざりしことしめ
この幕屋まくや當時そのときのためにまうけられたる表式かたなりこれしたがひてさゝげたる禮物そなへもの犧牲いけにへハその奉事まつれもの良心こゝろまったうすることあたはざりき
此等これらハたゞ肉體にくたいつけ儀文のりにしてくひもののみものまたさまゞゝの洗滌あらひごととも振興あらたまらんときまでおはせられたるのみ
十一 いまキリストすでいたれりかれきたらんとする嘉事よきこと祭司さいしをさにしてにてつくれる幕屋まくやすなはち此世このよつけところものならぬまさりたるおほいなるまった幕屋まくやにより
十二 羊犢ひつじこうしもちゐおのをもてひとたび聖所きよきところいり永遠贖かぎりなきあがなひをなすことをたり
十三 もし汚穢けがれそそぎうしおよびひつじまたやけ牝犢わかきめうしはひなど肉體にくたいきよむることを
十四 まし永遠靈かぎりなきれいによりきずなくしておのれかみ
[二千四十八]
さゝげキリスト爾曹なんぢら活神いけるかみ奉事まつらせんがためおこなひさらしめて其心そのこゝろきよむることをざらん
十五 是故このゆゑかれ新約しんやく中保なかだちとなれりこれはじめの契約けいやくときをかせるつみあがなふべきあるによりめされたるものかぎりなき世嗣よつぎ約束やくそくんがためなり
十六 おほよ遺書ゆゐしょあるときハかならこれしるしゝものしにたることをあらはさゞるを
十七 それ遺書ゆゐしょこれしるしゝものいけうちすこしちからあることなくその人死ひとしにてのちかたうなるなり
十八 是故このゆゑはじめ契約けいやくなくしてハたてざりき
十九 モーセ律法おきてしたがひてもろゝゝいましめすべてたみにつげこうしひつじおよびみづとりくれなゐ牛膝草ヒソプをもてふみすべてたみそゝぎいふ
二十 これかみ爾曹なんぢらめいたまへる契約けいやくなり
二一 またかくごとをもて幕屋まくやすべて祭器まつりのうつはそゝげ
二二 おほよ律法おきてよるすべてものきよめらるながすことあらざれバゆるさるゝことなし
二三 是故このゆゑてんあるものにかたどりたるものかなら此等これらをもてきよめられしかどてんあるものハ此等これらよりもまさりたる犧牲いけにへきよめらるべきなり
二四 キリストまことものかたなるにてつくれ聖所きよきところいらいまよりなが我儕われらためかみまへあらはれんとて眞實まことてんいり
二五 またかれ祭司さいしをさとしごとにほかものをもて聖所きよきところいるごとくしばゝゞおのれをさゝぐることをせず
二六 もししからずバ彼創世かれよのはじめより以來このかたしバゝゝ苦難くるしみうくべきなりされおのれ犧牲いけにへとなしてつみのぞかんがため今世いまよすゑにひとたび顯明あらはれたり
二七 ひとたびしぬることゝしに審判さばきうくることゝハひとさだまれる事也ことなり
二八 如此かくキリストおほくひとつみおはんがためひとたび犧牲ぎせいとせらるかれ復罪またつみおふことなくおのれのぞものふたゝ顯明あらはれすくひほどこすべし


第十章

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律法おきてきたらんとする美事よきことかげにしてまことかたちあらざれバとしごとにたえさゝぐところ祭物そなへものかみきたものつね成全まったうすることあたはず
もし成全まったうすることを獻祭者一まつるものひとたびきよめられ復罪またつみ
[二千四十九]
おぼえざるがゆゑさゝぐることをやめざらん
されとしごとに此祭このまつりをなすによりつみおぼゆることあらはるゝなり
これうしひつじつみのぞくことあたはざるによる
是故このゆゑ彼世かれよきたるときいひけるハ爾犧牲なんぢいけにへ禮物そなへものこのまずたゞわがため肉體にくたいそな
なんぢ燔祭はんさい罪祭ざいさいよろこばず
厥時そのときわれいひけるハかみわれなんぢのむねおこなはんとてきたすなはわれについてふみしるされたり
さきにハ犧牲いけにへ禮物そなへもの燔祭はんさい罪祭ざいさいすなはち律法おきてしたがひてさゝぐるものをこのまず又悦またよろこばずといひ
のちにハかみわれなんぢのむねおこなはんとてきたれりといひそののちなるものたてため其先そのさきなるもののぞけり
このむねかなひ我儕われらきよめらるイエス キリスト一次ひとたびおのが肉體にくたいさゝげしによりてなり
十一 すべて祭司さいしごとにたち奉事つとめをなしいさゝつみのぞくことあたはざるおな犧牲いけにへしばゝゝさゝ
十二 され此人このひと一次罪ひとたびつみためひとつ犧牲いけにへさゝげかぎりなくかみみぎ
十三 そのてき足凳あしだいとなさんときまて
十四 そはかれひとつ獻物さゝげものきよまもの永遠全成かぎりなくまったうすればなり
十五 聖靈せいれいまた我儕われらこれあかしそはこののちわれ彼等かれらたてんとする契約けいやくこれなりといへのち
十六 しゅいひたまはく律法おきて其心そのこゝろおきそのおもひしる
十七 またそのつみあくとをこゝろとめじとあるがゆゑなり
十八 すで此等これらゆるしあらんにハ復罪またつみのためにさゝぐることなかるべし
十九 是故このゆゑ兄弟きゃうだい我儕われらイエスより其我儕そのわれらためひらきたるあたらしき生路いけるみちよりまくなる其肉體そのにくたいとほはばからずして至聖所いときよきところ入事いること
二十 かつかみいへつかさど
二一 おほいなる祭司さいしあれバ
二二 我儕われら誠實まことこゝろうたがひいだかざる信仰しんかうたもこゝろ惡念あしきおもひそゝが清水きよきみづをしてあらはれてちかづくべし
二三 又認またいひあらハすところのぞみうごかさずしてかたまもるべし蓋約束そはやくそくせしもの誠信まことなれバなり
二四 われらたがひかへりみて愛心あいしん善行よきわざ激勵はげま
二五 會集あつまりやむ或人あるひとならふことなくとも相勸あひすゝ其日そのひいよゝゝちかよるをますゝゝかくごとくなすべし
二六 もしわれら眞理まこと曉得さとら
[二千五十]
せられしのちなほ放縦ほしいまゝつみをかさバつみあがな犧牲いけにへまたあることなく
二七 たゞおそれて審判さばきまつことゝ仇敵さからふもの焚滅やきつくさんとする烈火はげしきひのみのこるなり
二八 モーセ律法おきてすつものもし三人さんにんあかしあらバあはれまるゝことなくしてしぬべし
二九 ましかみ蹂躙ふみつけみづからきよめられし契約けいやく尋常よのつねのものとなし又恩まらめぐみほどこれいあなどものうくべき其罰そのばつおもきこと幾何いかばかりおもふや
三十 しゅいハくあだむくゆるハわれにあり我報われむくゆべしまたいハくしゅそのたみさばかん如此かくいへるもの我儕われらしる
三一 活神いけるかみおちいるハおそるべきことなり
三二 なんぢらむか光照ひかりうけしのちおほいなるくるしみ戰爭たたかひしのびたりし憶起おもひいづべし
三三 あるひ詬誶そしり艱辛なやみをうけひと觀玩みものごとくせられあるひかゝことにあふものくみすることをなせ
三四 そハ爾曹なんぢらわが縲絏なはめある體恤おもひやりまたおのがためにてんおい愈美まさりたるつねたもつべきもちものあるをひと爾曹なんぢらもちものうばはんとするをもよろこびてうけたり
三五 是故このゆゑ爾曹なんぢらおほいなるむくいうくべき信仰しんかう投棄なげすつることなか
三六 なんぢらかならもちふべきものハ忍耐にんたいなり是神これかみむねおこなひて約束やくそくのものをうけんがためなり
三七 今片時いましばらくありてきたものきたらんかならおそからじ
三八 義人ぎじん信仰しんかうよりいくべし退しりぞかバ靈魂たましひこれをよろこびとせじ
三九 され我儕われら退しりぞきて沈淪ほろびおよぶべきものあらしんじて靈魂たましひすくひべきものなり

第十一章

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それ信仰しんかうのぞところうたがハずいまざるところ慿據まこととするものなり
いにしへひとこれにより美稱ほまれたり
われら信仰しんかうよりもろゝゝ世界せかいかみことばにてつくら如此かくみゆるところのものハるべきものよりつくられざることをしる
信仰しんかうよりアベルカインよりまされる祭物そなへものかみさゝげ義者たゞしきものあかしせられたり蓋神そはかみその獻物さゝげものについてあかしたまへバなりかれしぬれども信仰しんかうよりいまなほものいへり
信仰しんかうよりエノクしなざるやうにうつされたりかみこれをうつしゝにより人見出ひとみいだすことざりきかれいま
[二千五十一]
うつされざるさきかみよろこバるゝものあかしせられしなり
信仰しんかうなくバかみよろこバすことあたハず蓋神そはかみきたものかみあるをしん且神かつかみかならおのれもとむもの報賞むくいたまものなるをしんずべきなり
信仰しんかうよりノアいまざることしめしをかうむつゝしみて其家族そのかぞくすくはためふねまうけたりこれよりひとつみさだめまた信仰しんかうよれうくべき嗣子よつぎとなれり
信仰しんかうよりアブラハムハその承繼うけつぐべきゆけとのめいかうむこれしたがひそのゆくところをしらずしていでたり
かれまた信仰しんかうより異邦ことくにあるごと約束やくそくやどおな約束やくそく相嗣あいつげイサクヤコブとも幕屋まくやをれ
そハかみ造營つくりいとなめるところもとゐある京城みやこのぞめバなり
十一 信仰しんかうよりサラたねやどさるゝちからをうけ年邁としすぎしかどもうめ是約束これやくそくせしもの誠信まことなりとしつれバなり
十二 是故このゆゑしにたるものごと一人ひとりよりてんほしおほき海邊うみべすなかぞがたきがごと生出うまれいでたり
十三 此等これら皆信仰みなしんかういだきてしねいま約束やくそくものうけざりしがはるかにこれのぞみよろこありてハみづか賓旅たびゞとなり寄寓者やどれるものなりといへ
十四 如此かくいふもの家郷ふるさとたずぬことあらはなり
十五 彼等かれらもしそのいでところおもハゞかへるべきのをりありしなるべし
十六 され彼等かれらさらまされるところすなハちてんあるところをしたへり是故このゆゑかみ其神そのかみとなふることをはぢとせざりきそはかれらのため京城みやこそなたまふれバなり
十七 信仰しんかうよりアブラハムこころみられしときイサクさゝげたりかれ約束やくそくうけものなるが其獨子そのひとりごさゝげたり
十八 此子このこついてハなんぢ子孫しそんイサクよりとなへらるべしといはれたりき
十九 かれおもへらくかみよりこれ復活いきかへるとすなはよりかれうけしがごとくなりき
二十 信仰しんかうよりイサクきたらんとすることついヤコブエサウしゅくせり
二一 信仰しんかうよりヤコブしなんとするときヨセフ二人ふたりしゅくまたそのつゑかしらより崇拝をがみをなせり
二二 信仰しんかうよりヨセフしなんとするときイス
[二千五十二]
ラエル子孫しそんエジプトよりいづことについてかたまたおのが骸骨がいこつことついめいじたり
二三 信仰しんかうより父母ふたおやモーセうまれたるときその美都うるはしなるを三月みつきあひだこれをかく又王またわうめいをもおそれざりき
二四 信仰しんかうよりモーセ成長ひとゝなりときパロむすめよばるゝをいなみたり
二五 しばらつみたのしみうけんよりハむしかみたみとも苦難なやみうけんことをよしとし
二六 キリストためうく詬誶そしりエジプト貨財たからよりも賓貴たふときものおもへり蓋報賞そはむくいみとめのぞめバなり
二七 信仰しんかうよりかれエジプトはなわういかりおそれざりき是見これみえざるものみるごと耐忍たへしのべバなり
二八 信仰しんかうよりかれ逾越節すぎこしのいはひそゝれいまもれり蓋長子そはちゃうしほろぼもの彼等かれらふれざらんがためなり
二九 信仰しんかうより彼等かれら紅海こうかいをかごとくにわたりしがエジプトひとこれわたらんとしておぼしにたり
三十 信仰しんかうより七日なぬかあひだエリコしろ環巡めぐりたるにつひにその石垣いしがきくづれたり
三一 信仰しんかうより妓婦ぎふラハブしんぜざるものともほろびざりき蓋偵者そはかんじゃうけこれ平安へいあんならしめたれバなり
三二 われさらなにいはんやもしギデオンバラクまたサムソンイピタダビデまたサムエルおよ預言者等よげんしゃたちこといはんには時足ときたらざるなり
三三 かれら信仰しんかうより諸國くにゞゝふくおこな約束やくそくものをえしゝくちつぐ
三四 火勢ひのいきほひやいばのが荏弱よわきよりして剛強つよくせられ戰爭たゝかひおいいさましく異邦人いはうじんぢん退しりぞかせたり
三五 をんな亦死またしにたるもの復活いきかへりうけしことありまたあるひともっとまされる復生よみがへりべきため酷刑せめられてゆるさるゝことをこのまざりき
三六 また或人あるひと嬉笑あざけりをうけ鞭扑むちうた縲絏なはめ囹圄ひとやくるしみうけ
三七 いしにてうたのこぎりにてひかれにてやかやいばにてころされ綿羊めんやう山羊やぎかはあるき窮乏ともしくして艱苦なやみくるしめり
三八 彼等かれらおくたへ彼等かれら曠野あらのやまほらあなとに周流さまよひたり
三九 彼等かれら皆信仰みなしんかうより美名ほまれたれども約束やくそくところざりき
四十 そハ彼等かれら我儕われらともならざれバ成全まったう
[二千五十三]
ることあたハざるためさらまされるもの神預かみあらかじめ我儕われらそなたまへり


第十二章

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是故このゆゑ我儕われらかく許多おほく見證人ものみびとくもごとかこまれたれバすべて重負おもきものまとへつみのぞ耐忍たへしのびて我儕われらまへおかれたる馳塲はせばはし
イエスすなは信仰しんかう先導みちびきとなりてこれ成全まったうするもののぞむべしかれ其前そのまへおくところの喜樂よろこびよりてそのはぢをもいとハず十字架じふじかしのびてかみ賓座くらゐみぎしぬ
なんぢら倦疲うみつかれてこゝろうしなふことなからんため惡人あくにん如此かくおのれにさからひしをもしのびたるものおもふべし
なんぢらあくあらそふせぎいまながすいたらず
またつぐるがごと告給つげたまひしことば爾曹忘なんぢらわすれたりいは我子わがこ爾主なんぢしゅ懲治こらしめかろんずるなか其譴責そのいましめうくるときこゝろうしななか
そハしゅそのあいするものこらしまたすべて其納そのうくところむちうてり
なんぢらもしこの懲治こらしめしのバゞかみごと爾曹なんぢらあしらたまふなりたれちゝこらしめざるあらん
すべてひとうく懲治こらしめもし爾曹なんぢらなくバそハ私子かくしごにして實子まことのこあら
また我儕われら肉體にくたいちゝ我儕われらこらしめしものなるになほこれをうやまへりまし霊魂たましひちゝしたがひていのちざるべけん
肉體にくたいちゝハそのこゝろまかせてしばら我儕われらこらしされたましひちゝ我儕われらえきしめて其聖潔そのきよきあづからせんがためこらしむることをため
十一 すべて懲治今こらしめいまよろこバしからずかへっかなしおもハるされのちこれにより鍛錬たんれんするものにハ平康おだやかなるむすバせり
十二 是故このゆゑ爾曹疲なんぢらなへたる手蒻てよわりたるひざすこやかにせよ
十三 足蹇あしなへたるものまよふことなくいやされんがためなんぢらのあし平直すぐなるみちそなふべし
十四 なんぢらすべてもの和睦やはらぐことをなしみづかきよからんことをつとめよひともしきよからずバしゅまみゆることをざるなり
十五 なんぢらつゝしめよおそらくハかみめぐみおよバざるものあらんおそらくハ苦根生にがきねはえいでて爾曹なんぢらなやまさんかつおほくのひとこれによりけがさるべし
十六 おそらくハエサウごといんおこなみだりなるわざ
[二千五十四]
なすことあらんかれ一飯いっぱんのために長子あにげふうれ
十七 そののちいはところさいはひつがんことをもとめたれどもつひすてられなみだながしてこゝろざし挽回ひきかへさんとせしがうることあたハざりしハ爾曹なんぢらしるところなり


十八 爾曹なんぢらちかづけるところさはるべきやまあらあるひもえたるあるひハ密雲くろくもあるひハ黑暗くらきあるひハ暴風はやち
十九 あるひハらっぱおとあるひハ言語ことばこゑあら此聲このこゑきゝものふたゝことばをもて語給かたりたまハざることをねがへり
二十 そハけものさへやまふれなバいしにてうたるべしとめいぜられしを彼等忍かれらしのぶことあたハざりしゆゑなり
二一 そのしところきはめおそろしかりけれバモーセ我甚われいた恐懼おそれ戰慄おのゝけりといへ
二二 され爾曹なんぢらちかづけるところシオンやままた活神いけるかみしろなるてんエルサレムまた千萬ちよろずしうすなハち天使てんのつかひ緊集あつまり
二三 てんしるされたる長子ちゃうしどもの教會けうくわいまたすべてひとさばかみおよび成全まったうせられたる義人ぎじん靈魂たましひ
二四 新約しんやく中保なかだちなるイエスおよそゝところなり此血このちいふところハアベルのいふところよりハもっとまされり
二五 つゝしみてつぐところものこばなかにてしめせるものこばみ彼等免かれらまぬかるゝことなかりしならバまし我儕天われらてんよりしめせるものこばみまぬかるゝことをんや
二六 むかし其聲地そのこゑちふるへりいまかれつげていはわれまた一次地ひとたびちのみならずてんをもふるハん
二七 この再一次またひとたびいへるハふるはるべきものすてられんことをしめ此等これらつくられたるハふるハれざるもののこらんためなり
二八 是故このゆゑ我儕震われらふるはれざるくにたれバめぐみかんじてつゝしうやまかみ意旨みこゝろかなところをもてこれつかふべし
二九 そはわれらのかみ燬盡やきつくなり


第十三章

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なんぢらつね兄弟きゃうだい相愛あひあいするこゝろたもつべし
遠人たびゞと接待事もてなすことわするゝなか或人あるひとかくなしたれバしらずして天使てんのつかひ接待もてなせり
おのれもともにとらはるゝがごと囚者とらはるゝものおも爾曹なんぢら亦身またみあるゆゑくるしものおもふべし
なんぢら婚姻こんいんことすべたふと又牀またねどこをもけがすことなかかみ荀合こうごうまた奸淫かんいん
[二千五十五]
もの審判さばたまハん
なんぢらわたるにむさぼることをせずあるところをたれりとせよそはわれなんぢさらさらなんぢすてじと云給いひたまひたれバなり
され我儕われら毅然はゞからずしていふべししゅわれをたすくものなれバおそれなしひとわれになにをかなさんと
かみことば爾曹なんぢらをし爾曹なんぢらみちびものおも其行そのおこなひてその信仰しんかうならふべし
イエス キリスト昨日きのふ今日けふ永遠變いつまでもかはらざるなり
萬殊さまゞゝなるをしへことなるをしへ搖蕩うごかさるゝ事勿ことなかめぐみよりこゝろ堅固かたうせられ飮食いんしょくよらざるハ飮食いんしょくよりよりおこなひたるものえきするところなかりき
我儕われら祭壇さいだんあり此上このうへもの幕屋まくやつかふひとくらふことをざるなり
十一 祭司さいし長罪をさつみあがなハんがためけものたづさへて聖所きよきところいりそのけものたい營外かこひのそとにてやけ
十二 是故このゆゑイエスおのれをもてたみきよめんがためもんそとくるしみうけしなり
十三 され我儕われらかれ詬誶そしりおひ營外かこひのそといでかれにゆくべし
十四 我儕われらこゝにありつねたもつべき城邑みやこなしたゞきたらんとする城邑みやこもと
十五 是故このゆゑ我儕われらかれによりつね讃美さんびまつりかみさゝぐべしすなは其名そのなほむくちびるなり
十六 されどまたぜんなす施捨ほどこしなすことをわするゝなかかくごとまつりかみこれをよろこべバなり
十七 爾曹なんぢらみちびものしたがひてふくすべし彼等かれらおのことかみまへうったふべきものなるがゆゑ爾曹なんぢら霊魂たましひのためにまもることをすれバなり彼等かれらなげかせずよろこびてまもることをなさしむべししからざれバ爾曹なんぢらえきなし
十八 なんぢら我儕われらのために祈禱いのりせよ我儕われらよきこゝろありてすべてこと善行よきおこなひをなさんとすることをしんずれバなり
十九 われなほすみやか爾曹なんぢらかへることをんがため爾曹なんぢらいのらんことをさらもと
二十 ねがはくハかぎりなき契約けいやくよりひつじ大牧者だいぼくしゃなる我儕われらしゅイエス キリストよりよみがへらしゝ平安へいあんかみ
二一 イエス キリストより其悦そのよろこところ爾曹なんぢらこゝろうち
[二千五十六]
おこ又爾曹またなんぢらをして其旨そのむねおこなハせんがためすべて善事よきことおい爾曹なんぢらまったうせしむべし榮光えいくわうかれにして世々曁よゝかぎりなからんアメン


二二 兄弟きゃうだいいまわれ爾曹なんぢらほゞかきおくりたれバすゝめことばゆるさんことをこふ
二三 我儕われら兄弟きゃうだいテモテゆるされしこと爾曹知なんぢらしるべしかれもしすみやかきたらバわれかれととも爾曹なんぢら
二四 こふすべて爾曹なんぢらみちびものおよびすべて聖徒せいとやすきとへイタリヤよりきたりしものやすき爾曹なんぢらとへ
二五 ねがはくハ恩寵めぐみなんぢらすべてひとともあらんことをアメン