明治元訳新約聖書(大正4年)/哥羅西人書

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[二千一]
新約全書使徒しんやくぜんしょしとパウロコロサイびとおくれるふみ

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第一章

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かみむねよりイエス キリスト使徒しととなれるパウロおよ兄弟きゃうだいテモテ
ふみキリストあるコロサイにをるところ聖徒せいと忠信ちゅうしん兄弟等きゃうだいたちおくるねがはくハ爾曹なんぢらわれらのちゝなるかみおよびしゅイエス キリストより恩寵めぐみ平康やすきうけ


三 四 われら爾曹なんぢらキリスト イエスしんずることすべて聖徒せいとあいすることとをきゝ爾曹なんぢらためいのるときつね我儕われらしゅイエス キリストちゝなるかみ感謝かんしゃ
爾曹なんぢら如此かく聖徒せいとあいするハ爾曹なんぢらためてんたくはへあるところのものすなはさき福音ふくいん眞理まことことばなかにてきゝところのものをのぞむがゆゑなり
この福音ふくいん世界せかいあまねきごと爾曹なんぢらにもきたれりかつなんぢらがこれきゝかみめぐみ眞實しんじつさとりより爾曹なんぢらうちむす益大ますゝゝおほいになれるごと世界せかいにもむすびておほいになれり
かく福音ふくいん我儕われらあいするおな役者つかへびとエパフラスより爾曹なんぢらまなべところのものなりエパフラス爾曹なんぢらためキリスト忠信ちゅうしんなるしもべなり
かれさきに爾曹なんぢらみたまかんじていだけあい我儕われらつぐ
是故このゆゑ我儕われらこのこときゝより爾曹なんぢらためたえ祈禱いのりをし且求かつもとねがはくハ爾曹靈なんぢらみたまあたふるすべて智慧ちえ穎悟さとりとをことゞゝ神旨かみのむねしり
すべて事主ことしゅよろこバせんがためそのこゝろしたがひておくすべて善事よきわざよりむす且神かつかみしるよりやゝとくまし
十一 またかみさかえ權威けんゑしたがひてたまもろゝゝ能力ちからつよくなりすべてことよろこびて恒忍しのびかつ久耐たへ
十二 また我儕われらをしてひかりにある聖徒せいとげふわかちうくるにたふものとならしめたまちゝめぐみ感謝かんしゃせんことを
十三 かれくらき權威けんゐより我儕われら救出すくひいだして其愛子そのあいしくにうつたまへり
十四 我儕われらそのよりあがなひすなハちつみゆるしうるなり
十五 かれひとみることをざるかみかたちにしてすべてつくられしものさきうまれしものなり
十六 そハかれより萬物すべてのものつくられたりてんあるもの地上ちのうへ
[二千二]
あるものひとみることをうるものみることをざるものあるひくらゐあるものあるひハしゅたるものあるひハまつりごととるものあるひ權威けんゐあるもの萬物すべてのものかれによりつくられたるハかれためなり
十七 かれ萬物すべてのものよりさきにあり萬物すべてのものかれによりたもつことをうるなり
十八 教會けうくわいかれ身體からだにしてかれ其首そのかしらなりかれ元始はじめにしてすべてことにつきをさとならんためなかよりはじめうまれしものなり
十九 二十 そハちゝすべてのとくかれ滿みたしめ其十字架そのじふじかより平和へいわをなし萬物すべてのものすなハち地上ちのうへあるものてんものをしてかれよりおのれやわらがしむることこれその聖旨みこゝろかなふことなればなり
二一 夫爾曹それなんぢらハもと惡行あしきわざおこなふよりかみとおざかりこゝろにて其敵そのあだとなれるものなりしが
二二 神今かみいまキリストにく身體からだをもて其死そのしにより爾曹なんぢらをしておのれやはらがせきよかけなくとがなくしておのれまへたたしめんとす
二三 もしなんぢら信仰しんこうとゞま其基そのもとゐさだめかつかたくして福音ふくいんのぞみよりうつらずば如此かくせらるゝことをべし此福音このふくいんすなは爾曹なんぢらきゝところなりかつすでに天下てんか萬人すべてのひとつたはれりわれパウロその役者つかへびとなりたり


二四 いまわれ爾曹なんぢらためうくくるしみよろこまたわが肉體にくたいをもてキリストからだすなハち教會けうくわいのために其患難そのなやみかけたるところおぎな
二五 われ爾曹なんぢらためかみたまところつとめしたが此教會このけうくわい役者つかへびととなりてあまねかみことばつたへんとす
二六 このことば歷世よゝ歷代よゝかくれたる奥義おくぎなりしがいまその聖徒せいとあらはれたり
二七 神聖徒かみせいとをして異邦人いはうじんうちあらはれし奥義おくぎさかえのいかにゆたかなるをしらしめんとしたまへり此奥義このおくぎ爾曹なんぢらなかつたへしキリストなりかれ爾曹なんぢらのぞところさかえのぞみなり
二八 我儕われらかれをつた諸人ひとゞゝすゝ諸般さまゞゝ智慧ちゑをもて諸人ひとゞゝをし諸人ひとゞゝをしてキリストうち完全まったきかみまへたゝしめんとす
二九 われこれがため大能ちからをもてうちはたらもの運用はたらきしたがちからつくしてらうするなり

以下[二千三]

第二章

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われなんぢらおよラオデキヤにをる人々ひとゞゝまた肉躰にくたいにあるかほいまざるひとため我心わがこゝろらうすること何等いかばかりなるを爾曹なんぢらしらんことをのぞむ
わがこゝろらうするハ彼等かれら心愛こゝろあいよりひとつになりうたがひいだかざるまった頴悟さとりとみかつちゝなるかみキリスト奥義おくぎしり安慰なぐさめんことをほっするなり
智慧ちゑ知識ちしき蓄積たくはへ一切いっさいキリストかくれあるなり
たれにても巧言たくみなることば爾曹なんぢらあざむくことなからんためわれこれらのこといへ
それわれ肉體にくたい爾曹なんぢらはなれをるといへどもれい爾曹なんぢらともをりよろこ爾曹なんぢら次序ついであるとキリストしんずるしん堅固かたきみるなり
爾曹なんぢらすでにしゅキリスト イエスうけたれバかれありあゆむべし
なんぢらかれにおきかれありとくたてまたをしへうけたるところしたがひて信仰しんかうかたくしこれ益大ますゝゝおほいにして感謝かんしゃせよ


なんぢらつゝしむべしおそらくハキリストしたがハずひと遺傳つたへ小學せうがくしたがひて空言くうげんなる理學りがくをもて爾曹なんぢらこゝろうばゝ
それかみ充足みちたれとくことゞゝ形體かたちをなしてキリストすめ
かれすべてまつりごと權威けんゐかしらなり爾曹なんぢらかれにあり全備ぜんびすることうるなり
十一 なんぢらかれありをもてざる割禮かつれいをうくすなはにくからだ脱去ぬぎさるところのキリスト割禮かつれいなり
十二 爾曹なんぢらバプテスマをうけかれともはうむられ亦死またしよりかれよみがへらしゝかみ大能はたらきしんずるによりかれともよみがへらされたり
十三 なんぢらさきにハもろゝゝつみ割禮かつれいなきとによりしにたるものなりされ神爾曹かみなんぢらをしてすべてつみゆるかれともいかしめ
十四 かつにてしるしゝところ我儕われらせむ規條いましめふみすなハち我儕われらさからふものを塗抹ぬりけしこれを中間ちゅうかんより取去とりさくぎ其十字架そのじふじかつけたまへり
十五 また政事まつりごと執者とるもの權威けんゐあるものほろぼ彼等かれら衆人すべてのものしめキリストより勝誇かちほこれり


十六 是故このゆゑあるひのむことあるひくらふことあるひ節期せっきあるひハ月朔ついたちあるひハ安息日あんそくにちことによりひとをして爾曹なんぢらせしむることなか
[二千四]

十七 此等これら皆來みなきたらんとするものかげにして其眞そのまことかたちキリストつけ
十八 謙卑へりくだることゝ天使てんのつかひはいすることゝにより爾曹なんぢら褒美ほうび諞奪あざむきとらんとするひと其褒美そのほうびとらるゝなかかくごとひといまざるものうかゞおのれこゝろしたがひてみだりほこかしらつくことをざるなり
十九 全體ぜんたいこのかしらによりもろゝゝふしすぢをもて相助あいたす相聯あひつらなりかみそだてられてそだつなり
二十 二一 二二 もし爾曹なんぢらキリストともしに小學せうがくよりはなれたらんにハなんありおくものごとひといましめをしへしたがさはなかあぢはなかふるなかれといふ律法おきてしたになるや此等これらきんじたるものすべひとこれをもちゐれバつくるなり
二三 此等これら規條いましめみづか肆縱ほしいまゝにしてはいすることをなしかつ謙卑へりくだりかつおしまざるにより智慧ちゑあるものごとみゆれどもじつたふとものあらずたゞ肉體にくたいよく充足みちたらするなり


第三章

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すで爾曹なんぢらキリストともよみがへりたれバてんあるものをもとむべしキリスト彼處かしこありかみみぎたまへり
爾曹天なんぢらてんあるものをおもあるものをおもなか
それなんぢらハしにものにて其命そのいのちキリストともかみうちかくをるなり
我儕われらいのちなるキリストあらはれんとき我儕われらこれともさかえなかあらはるゝなり


是故このゆゑ爾曹なんぢらにある肢體したいすなはち奸淫かんいん汚穢をくわい邪情じゃじょう惡欲あくよくおよび貪婪たんらんころすべし貪婪たんらんすなは偶像ぐうざうはいすることなり
此等これらことよりかみいかりしたがハざるものいたるなり
爾曹なんぢらさきかくのごときひとなかおくりしとき此等これら惡事あしきことつねおこなへり
され爾曹今なんぢらいますべ此等これら惡事あしきことおよび恚憾いきどほり忿怒いかり暴戻よこしまをさり謗讟ばうどく醜言しゅうげん爾曹なんぢらくちよりすつべし
なんぢらすで舊人ふるきひと其行そのおこなひぬぎ新人あたらしきひとたればたがひいつはりいふなかれ
この新人あたらしきひと愈新いよゝゝあらたになりひとつくりしものかたちしたがひて知識ちしきいたるなり
十一 かくごときにいたりてハギリシャびとユダヤびとあるひハ割禮かつれい
[二千五]
あるもの割禮かつれいなきものあるひハ夷狄ゑびすあるひハスクテヤびとあるひハ奴隷どれいあるひハ自主じしゅわかちなしそれキリスト萬物すべてのものうへありまた萬物すべてのものうちにあり


十二 是故このゆゑ爾曹神なんぢらかみえらばれて聖潔きよくかつあいせらるゝものなりたれバ慈悲じひ衿恤めぐみ謙遜けんそん柔和にゅうわ忍耐にんたい
十三 なんぢらたがひ容忍にのぶことをなしひとせむべきことあらバこれゆるキリスト爾曹なんぢらゆるたまへるごと爾曹なんぢらしかすべし
十四 このもろゝゝことほかあいくはへよあい衆德すべてのとくおびなり
十五 爾曹なんぢらキリストたま平安やすきをして其心そのこゝろつかさどらしめよ爾曹一體なんぢらいったいあり此平安このやすきいたるべきめしかうむれり爾曹恩なんぢらめぐみかんずべし
十六 キリストことばをして爾曹なんぢらこゝろとめ充足みちたらしめすべて智慧ちゑによりうたみたまかんじてつくれるとをたがひ相教あひをし相勸あひすゝおんかんじてこゝろうちかみ讃美さんびすべし
十七 爾曹なんぢら爲所なすところ諸事すべてのことあるひハことばあるひハおこなひみなしゅイエスためこれをなしかれよりちゝなるかみ感謝かんしゃすべし


十八 つまなるもの其夫そのをっとしたがふべししゅにあるものなすべきことなり
十九
をっとなるもの其妻そのつまあいすべしにがきこれあしらなか
二十 たるもの爾曹なんぢらすべての事二親ことふたおやしたがふべし是主これしゅよろこたまところなり
二一 ちゝなるもの爾曹なんぢらいからするなかおそらくハ其氣餒そのきうゑ
二二 しもべなるものすべてのこと肉體にくたいつけ主人しゅじんしたがふべしひとよろこバするものごとくたゞ眼前めのまへことつとむることなく誠心まことのこゝろかみおそれてしたが
二三 なんぢら何事なにごとひとつかふるがごとくせずしゅつかふごとこゝろよりこれおこなふべし
二四 そは爾曹なんぢらしゅより報賞むくいなる嗣業しげふうくることをしるものなれバなりなんぢらしゅなるキリストつかふべし
二五 不義ふぎおこなものまたその不義ふぎむくいをうくしゅ偏視かたよりみたまふことなし

第四章

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主人しゅじんなるもの爾曹なんぢら亦天またてんしゅあることしれしたが公平こうへい其僕そのしもべあしらふべし
つね祈禱いのりをなしおこたらずして感謝かんしゃともこれなすべし
またかみわれらにみちつたふるのもんひら我儕われら
[二千六]
をしてキリスト奥義おくぎかたらしめ
わがいふべきところごと此奥義このおくぎあらはさしめたまハんことを我儕われらためいのるべしわれこの奥義おくぎためつながれたり
なんぢらをりうかがひ智慧ちゑをもて外人そとのものまじはるべし

爾曹なんぢらことばつねにめぐみもち且鹽かつしお調和あぢつくべしさら如何いかにして各人おのゝゝこたふべきしら


わがあいする兄弟忠きょうだいちゅうなる役者つかへびとわれとともしゅつかふしもべテキコわがことことゞゝ爾曹なんぢら告知つげしらせん
われかれをこと爾曹なんぢらつかはすハかれをして爾曹なんぢらことしりなんぢらのこゝろなぐさめしめんためなり
またちゅうなるあいする兄弟きゃうだい 爾曹なんぢらうち一人いちにんなるオ子シモかれともつかはせり彼等かれらこのところことことゞゝ爾曹なんぢら告知つげしらせん
われともつながるゝアリスタルコおよびバルナバをひマコことついてハ爾曹なんぢらすでにめいうけたりかれもし爾曹なんぢらいたらバこれうくべし
十一 ユストなづくイエス爾曹なんぢらやすきをとふ割禮かつれいうけもののうちたゞこの三人さんにんのみわれともかみくにためはたらけりわれかれらにより安慰なぐさめしなり
十二 爾曹なんぢらうち一人ひとりにてキリスト イエスしもべなるエパフラス爾曹なんぢらやすき問彼とふかれつね爾曹なんぢらためちからつくし祈禱いのりをなし爾曹なんぢら完全まったきをえこゝろかたくしてたちすべての事神ことかみむねしたがハんことをねがへり
十三 われかれ爾曹なんぢらおよびラオデキヤヒエラポリにあるもののためにいたこゝろらうすることをあかし
十四 我儕われらあいする醫者いしゃルカおよデマス爾曹なんぢらやすきとふ
十五 こふなんぢらラオデキヤ兄弟等きゃうだいたちヌンパスおよ其家そのいへにある教會けうくわいやすきとへ
十六 爾曹なんぢらすでに此書このふみよまこれまたラオデキヤびと教會けうくわいよま爾曹なんぢらまたラオデキヤよりきたふみをよめ
十七 アルキポいへなんぢしゅありうけところつとめつゝしみてつくすべし
十八 われパウロ親手てづからなんぢらにやすきとふなんぢらわれ縲絏なはめおもねがはくハ恩爾曹めぐみなんぢらともあらんことをアメン


[二千七]



新約全書哥羅西書 終