日米競争力・強靱性パートナーシップ

日米両国は、日米同盟の潜在能力を発揮するために同盟を活性化し、実際に役立つ取組を行うことを約束する。日米両国は、イノベーションを推進し、このパンデミックを終わらせ、将来のパンデミックから世界を守り、気候変動危機と闘い、両国の人的つながりを強固なものとする。これらの具体的イニシアティブを通じ、日米両国は、両国民、インド太平洋、そして世界に成果をもたらす。

競争力・イノベーション

日米両国は、各々あるいは共有する歴史を通じて、イノベーション分野において世界のリーダーであり続けている。競争力及びイノベーションに関する日米両国の新たなパートナーシップは、科学技術の進歩に焦点を当てつつ、かかる伝統を継承するものである。日米両国は、開放性及び民主主義の原則にのっとり、持続可能でグリーンな世界の経済成長を主導する。これは、がんムーンショット、バイオ・テクノロジー、人工知能(AI)、量子科学技術、民生宇宙協力(アルテミス計画、小惑星探査等)、安全な情報通信技術(ICT)等の多様な分野での研究・技術開発に関する両国の協力を含む。世界をリードする2つの経済間のパートナーシップによって、日米両国は、より良い回復及び未来の持続可能な成長の推進において世界を主導する。

日米両国は、

  • イノベーションの促進及び信頼できる事業者や多様な市場の促進による、オープンな無線アクセスネットワーク(Open-RAN)等の安全でオープンな5Gネットワークを推進する。
  • 5G及び次世代移動体通信網(6G又はBeyond5G)を含む安全なネットワーク及び先端的なICTの研究、開発、実証、普及に投資することによって、デジタル分野における競争力を強化する。この取組に米国は25億ドルを、日本は20億ドルを投ずる。
  • 共通の脅威に対処するための日米両国のパートナーのサイバーセキュリティ能力を構築しつつ、これまで成功してきた第三国における日米協力を基礎として、安全な連結性及び活力あるデジタル経済を促進するために、グローバル・デジタル連結性パートナーシップを立ち上げる。
  • 国際標準策定における日米両国のICT専門家による連携及び情報交換を強化する。
  • 半導体を含む機微なサプライチェーン及び重要技術の育成・保護に関し協力する。
  • ゲノム解析に焦点を当てつつ、開放性、透明性、連携や研究における公正さといった原則にのっとり、国際公益のためにバイオ・テクノロジーを発展させる。
  • 共同研究及び研究者の交流を通じた、量子科学技術分野における研究機関間の連携及びパートナーシップを強化する。

新型コロナウイルス感染症対策・グローバルヘルス・健康安全保障(ヘルス・セキュリティ)

日米両国は、安全で有効な新型コロナ・ワクチンの製造を拡大するために必要な共通の行動をとりつつ、インド太平洋諸国におけるワクチン接種を強化・支援すべく取り組みながら、豪州及びインドとの画期的な日米豪印(クアッド)ワクチン・パートナーシップを含めて、インド太平洋地域が新型コロナウイルス感染症のパンデミックから回復できるよう支援するためのパートナーシップを構築した。また、日米両国は、新型コロナウイルス感染症を超えて日米両国のパートナーシップを拡大し、次のパンデミックを予防できるよう、長期的な世界の健康安全保障(ヘルス・セキュリティ)を構築する。

日米両国は、

  • COVAXファシリティを含むACT(AccesstoCOVID-19Tools)アクセラレータへの両国の支援を強化しつつ、他のパートナーにも同様の対応を奨励することで、特に開発途上国における安全かつ有効で手頃な価格のワクチン、治療薬及び診断への公平なアクセスを確保するための資金的ニーズを協力して満たしていく。
  • 日米豪印(クアッド)ワクチン・パートナーシップを通じ、インドにおける新型コロナ・ワクチン製造能力を拡大することなどによって、インド太平洋における安全かつ有効で手頃な価格のワクチンの製造、調達及び配送を促進するために緊密に連携する。
  • 新たなパートナーシップにおいて、健康安全保障のためのファイナンシング、地域的なサージ・キャパシティ及び迅速な対応のためのトリガーに関し連携する。
  • 個人防護具(PPE)や公衆衛生危機の際に必要な医療物資の製造を促進するためにパートナーと協働し、地域におけるパンデミック対策サージ・キャパシティを確立する。
  • 将来の生物学的脅威に対応するための迅速なトリガー、独立した監視メカニズム、パンデミック対応への説明責任の構築などにより、世界保健機関(WHO)改革に向け両国間及び他のパートナーと協働する。
  • 新型コロナウイルスの起源、あるいは将来の起源不明の感染症の検証に関する、干渉や不当な影響を受けない、透明で独立した評価及び分析を支持する。
  • 感染症の脅威を予防し、探知し、対処するための国際社会の能力を改善するために、運営グループメンバーとして、世界健康安全保障アジェンダを支援する。
  • 感染防止対策のための革新的でより効果的な方法及び技術を開発するために、日本の「富岳」や米国の「Summit(サミット)」といったスーパーコンピュータによるウイルス感染に関するシミュレーションデータを含め、データ及び実践的な知見を共有する。
  • 米国国立衛生研究所(NIH)や日本医療研究開発機構(AMED)等の研究機関間の連携及び将来の危機により良く備えるための強靭な医療物資サプライチェーンに向けた協力を強化する。

気候変動、クリーンエネルギー及びグリーン成長・復興

日米両国は、クリーンエネルギーや他の関連する分野における両国の技術力を最大限に活用することにより、気候変動に対処し、グリーンで持続可能な世界成長・復興を促進するため新たなパートナーシップを立ち上げた。

両首脳は、双方が世界の気温上昇を摂氏1.5度までに制限する努力及び日米両国の2050年温室効果ガス排出実質ゼロ目標と整合的な形で、2030年までに確固たる気候行動を取ることにコミットした。日米両国は、公的国際金融を、2050年までの地球規模の温室効果ガス排出実質ゼロ達成及び2020年代の大幅な排出削減に整合的なものとし、官民の資本の流れを、気候変動に整合的な投資に向け、高炭素な投資から離れるよう促進することに取り組む。

日米両国は、

  • それぞれの2030年目標/国が決定する貢献(NDC)及び2050年までの温室効果ガス排出実質ゼロ目標の達成に焦点を当て、パリ協定の実施について協力する。
  • 再生可能エネルギー・省エネルギー技術、グリッドの次世代化、エネルギー貯蔵(蓄電池や長期貯蔵技術等)、スマートグリッド、水素、二酸化炭素回収・利用・貯留(CCUS)/カーボンリサイクル、産業における脱炭素化、革新原子力等のクリーンエネルギー技術に関するイノベーション、開発及び普及における連携・支援を行う。
  • 電力系統最適化、ディマンドレスポンス、スマートグリッド、再生可能エネルギー・省エネルギーに関連する気候変動・環境に配慮・適応したインフラの整備・活用を推進する。
  • ICT技術(スマートシティー、省エネルギーICTインフラ、インフラ管理のためのデジタルソリューション等)、カーボンニュートラルポート及び持続可能で気候に優しい農業を含め、気候変動緩和、クリーンエネルギー及びグリーン成長・復興に貢献する他の分野について協力する。
  • 2050年までの地球規模の排出実質ゼロの実現に向けて、再生可能エネルギーを迅速に普及させ、経済の脱炭素化を推進し、地域における多様で野心的かつ現実的な移行の道筋を加速化させるため、新たに設立された日米クリーンエネルギーパートナーシップ(JUCEP)や気候変動やクリーンエネルギー分野において両国が連携して国レベルで行う他の活動などにより、インド太平洋地域の国々を含む開発途上国を支援する。

日米のパートナーシップの拡大・刷新

日米両国は、長きにわたって協力してきた分野において協力しつつ、両国のパートナーシップに新しい側面を引き続き追加していく。

日米両国は、両国の人的絆を強化する。日米間の絆を強化し続ける次世代のリーダー達は、共同事業や研究において共に協力しつつ、両国の広範な国際交流プログラムに参加している。この観点から、日米両国は、マンスフィールド研修計画の再開について発表することを誇りに思う。刷新された2年間のフェローシップ計画を通じ、日米両国は共に次世代の米国人の日本専門家を育成するため倍の努力をつぎこむ。また、我々は、日本における留学のために追加で20名のギルマン国際奨学金プログラムを提供することにより、第一世代の大学生、STEM(理系)分野の学生、少数民族の学生、障害のある学生、マイノリティのための教育機関に通う学生及びコミュニティ・カレッジの学生等、歴史的に海外での教育の機会が限られている米国人学生に対する機会を拡大する。最後に、米国と同様に、日本は中米北部3か国からの移民の根本原因に対処する重要性を認識し、これらの課題に対処することに共にコミットしている。

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