新潟地方裁判所令和6年(わ)第222号

主文

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被告人を懲役10月に処する。

未決勾留日数中10日をその刑に算入する。

理由

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(罪となるべき事実)

被告人は、令和6年6月2日頃、新潟市(住居省略)被告人方において、同居中の実母であるA(当時92歳)が死亡しているのを認めたのであるから、その死体を埋葬しなければならない義務があったのに、その頃から同月26日までの間、同方1階寝室において、その死体の上に敷きパッドを掛け、同室のドアなどにガムテープを貼って同室に放置し、もって死体を遺棄したものである。

(量刑の理由)

被告人は、同居の実母の遺体を自宅の寝室に24日間放置して遺棄した。本件の犯行態様は同種事案と比べて特に悪質であるとはいえない。しかし、被告人は、姉妹等に連絡して頼ることが容易であったにもかかわらず、ギャンブルが原因で金銭的に困窮し、葬儀の費用が出せないとの理由で実母の遺体を放置したのであるから、その経緯に酌むべき事情は見当たらない。自宅を施錠して訪問者に見つからないようにするなど強い犯意がうかがわれ、実母の年金支給日が近づくと発覚しなければ年金を受け取れると考えてその状態を継続したのであり、この点も看過できない。 また、被告人は仮釈放中であったにもかかわらず、本件犯行に及んだのであり強い非難を免れず、前に受けた刑の執行終了から判決宣告までに3か月も経過していないから、法律上実刑を選択するほかない。

以上の事情を前提に被告人が事実を認めて反省していること、本件犯行の一因となったギャンブルをやめると決意していることなど被告人のために酌むべき事情も考慮し、主文の刑を科すのが相当と判断した。

(求刑 懲役1年2月)

令和6年9月13日

新潟地方裁判所刑事部

裁判官 石黒瑠璃

 

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