新東京国際空港位置決定に伴う施策について

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指令

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 新東京国際空港の建設は、時代の要請に応ずるわが国喫緊の事業であり、国及び地方を通じ協力一致してその促進を図る必要がある。

 本日、その位置を千葉県成田市三里塚町を中心とする決定にあたり、県当局の要望にそい、別紙のとおり諸対策を行なうものとする。

新東京国際空港の位置決定に伴う地元対策について(別紙)

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1.地元住民対策

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1)土地等補償について

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 新東京国際空港建設予定地の土地取得、物件移転等の補償については、土地代及び家屋等の物件の移転費、移転に伴う離作料、営業補償等の通常生ずる損失について個別的に算出する建前のもとに、千葉県知事の意向を十分尊重して決定する。

2)代替地について

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  1. 営農を継続する意思のある農民に対しては、国は県の協力を得て、移転先等につき申出者の希望を尊重して所要の代替地を用意し、営農が円滑に行なえるよう資金及び技術等の援助をする。
  2. 商工業を営む者についても、これに準じた措置を講ずる。
  3. 下総御料牧場並びにその従業員については、国が責任をもつて措置することとする。

3)騒音対策

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  1. 騒音対策については、今回建設が予定される新空港の性格にかんがみ、現在国が実施している騒音対策の基準等を勘案して、一定ホン以上のものについて格別の配慮を行なう。なお、地元関係者を含めた「騒音対策委員会」を設置する。
  2. 騒音対策区域内の住家及び店舗で移転を希望するものについては、実情に応じ、移転先のあつせん、移転料の支払等について国が所要の措置を講ずる。学校、病院については国費をもつて措置する。
  3. 騒音対策区域内の農耕地については、必要なものにつき畑地かんがい施設を建設し、農業収入の増大を図る。

4)職業転換対策

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 離職者の職業あつせんについては、住民の希望を徴し、国が責任をもつて空港の事業、関連事業等に就業せしめるよう措置する。

 殊に、空港における構内営業は、地元民に優先的に開放する。

2.道路

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  1. 国道51号線は、早期に改良工事を完了する。
  2. 県道及び市町村道については、空港の具体的計画が決定した上で、周辺地域開発に資するよう県当局と協議の上、再編成と整備を行なう。
  3. 東京より新空港に至る高速道路については、東関東自動車道の建設の推進を図る。なお、当面現在の京葉道路を利用することとし、京葉道路第三期区間(習志野-千葉間43年度完成)から分岐し、新空港に至る高速道路を新空港開設までに建設する。
  4. 上記道路の建設にあたつては、成田市及び三里塚の部落を生かす方途を講ずる。

3.鉄道

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 総武線、地下鉄等の整備を促進し、東京-新空港間に高速鉄道を運行する。

4.用排水

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  1. 空港建設に伴う各種用水(農業用水を含む。)の水源については、国が関係都県の協力を得て確保する。
  2. 空港からの下水は、高級処理を行なつて河川へ放流する案と専用排水路を建設して直接海へ放流する案とを比較検討の上実施する。
  3. 空港建設に伴う雨水の処理のため、必要な河川の改修工事を行なう。

5.新都市計画

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 空港従業員その他増加人口を考慮して、周辺関係都市の都市計画と歩調を合わせながら、必要となる新市街地の造成が行なわれるよう措置する。

 この場合、商工業者の移転者について特別に配慮する。

新東京国際空港の位置決定に伴う千葉県の要望事項

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1.前文として「千葉県からの要望にそつて」の旨を入れる。

2.空港の位置及び規模

  1. 位置は下総御料牧場及び県有林を主体として必要最小限の規模(320万坪)にとどめ民有地は極力さける。
  2. 空港敷地には富里村を含めない。

3.地元住民対策

1)土地及び営業等の補償について

  1. 土地及び営業等の補償の基準については、千葉県知事が住民を納得せしめ得ると判断した適正価格とする。
  2. 移転料については、移転後または転換後の職業に相応した建物で現在以上の生活が営まれるに足るもの建設するに必要な経費とする。

2)代替地について

  1. 営農を継続する意思のある農民の所有農地の代替地は農民が希望する面積を申し出た者と相談して国が買収し予め基盤整備を施して譲渡する。
  2. 代替地は、隣接町村内に国が用意し、部落単位で集団移転できるように配慮する。
  3. 移転先で、営農を継続するものについては、休止もしくは減収補償を支払い、かつ、長期低利の営農資金の貸付をする。
  4. 商工業を営むものについては、必要な用地を国が買収して譲渡する。
  5. 移転先で商工業を継続するものについては休止もしくは減収補償を支払い、かつ、長期低利の営業資金の貸付をする。
  6. 三里塚御料牧場は国有林に移し、三里塚御料牧場の従業員については、国が責任をもつて補償する。

3)騒音について

  1. 騒音被害区域は一般住家については90ホン、学校病院等については80ホンの区域とする。
  2. 騒音被害区域の一般住家及び店舗については、移転先を国が措置し移転料を支払う。学校病院等公共施設については、国が責任をもつて新築を行なう。
  3. 騒音被害区域内の農耕地については、国が畑地かんがい施設を建設し、農業収入の増大を図る。
  4. その他騒音問題については、地元関係者を含めた騒音対策委員会を設置し、この処理にあたる。

4)職業転換対策 離職者の職業あつせんについては、住民の希望を徴し、国が責任をもつて空港の事業または関連事業に就業せしめること。特に空港内営業の免許については地元民を最優先すること。

4.公共施設

公共施設の実施については国費をもつて行なうこと。

1)道路

  1. 建設資材輸送道路として国道51号線その他関東北部に通ずる道路網の拡張を図る。
  2. 周辺地域開発のため、県当局と協議の上新空港周辺の県道および市町村道の整備と再編成を早急に行なう。
  3. 東京より新空港に至る高速道路については、東関東自動車道の建設の促進を図る。なお、当局現在の京葉道路を利用することとし、京葉道路第三期区間(習志野、千葉間43年完成)から分岐し、新空港に至る高速道路を新空港開設までに建設する。
  4. これら道路建設に当たつては、成田市および三里塚の部落を生かす方途を講ずる。

2)鉄道 新鉄道路線を東京より新空港まで建設し、将来東北地方に至る本土縦貫鉄道の一部とする。

3)用排水

  1. 空港用水、畑地かんがい用水、都市用水等の水源については、国が関係都県の協力を得て確保する。
  2. 空港汚水処理のための排水路を建設し直接海に流す。
  3. 空港敷地内の雨水排水のために根木名川、栗山川、木戸川等の河川改修を行なう。

4)新都市計画 空港従業員その他人口増にそなえて計画的な都市造りを国が責任をもつて行ない商工業者等の移転者を優先入居せしめる。

 

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この著作物はアメリカ合衆国外で最初に発行され(かつ、その後30日以内にアメリカ合衆国で発行されておらず)、かつ、1978年より前にアメリカ合衆国の著作権の方式に従わずに発行されたか1978年より後に著作権表示なしに発行され、かつ、ウルグアイ・ラウンド協定法の期日(日本国を含むほとんどの国では1996年1月1日)に本国でパブリックドメインになっていたため、アメリカ合衆国においてパブリックドメインの状態にあります。