建築無限六面角体
AU MAGASIN DE NOUVEAUTES
編集四角の中の四角の中の四角の中の四角の中の四角。
四角な円運動の四角な円運動の四角な円。
石鹸の通過する血管の石鹸の匂を透視する人。
地球に倣つて作られた地球儀に倣つて作られた地球。
去勢された襪子。(彼女のナマヘはワアズであつた)
貧血緬𫃠。アナタノカホイロモスヅメノアシノヨホデス。
平行四辺形対角線方向を推進する莫大な重量。
マルセイユの春を解纜したコテイの香水の迎へた東洋の秋。
快晴の空に鵬遊するZ伯号。蛔虫良薬と書いてある。
屋上庭園。猿猴を真似てゐるマドモアゼル。
彎曲された直線を直線に走る落体公式。
文字盤にⅩⅡに下された二個の濡れた黄昏。
ドアアの中のドアアの中の鳥籠の中のカナリヤの中の嵌殺戸扉の中のアイサツ。
食堂の入口迄来た雌雄の様な朋友が分れる。
黒インクの溢れた角砂糖が三輪車に積荷れる。
名刺を踏む軍用長靴。街衢を疾駆する造花金蓮。
上から降りて下から昇つて上から降りて下から昇つた人は下から昇らなかつた上から降りなかつた下から昇らなかつた上から降りなかつた人。
あのオンナの下半はあのオトコの上半に似てゐる。(僕は哀しき邂逅に哀しむ僕)
四角な箱棚が歩き出す。(ムキミナコトダ)
ラヂエエタアの近くで昇天するサヨホナラ。
外は雨。発光魚類の群集移動。
熱河略図 No.2
編集1931年の風雲を寂しく語つてゐるタンクが
客桟の炕の中。(実験用アルコホルランプが灯の代りをしてゐる)
ベルが鳴る。
小孩が二十年前に死んだ温泉の再噴出を知らせる。
診断 0:1
編集或る患者の容態に関する問題。
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診断 0:1
26・10・1931
以上 責任医師 李箱
二十二年
編集前後左右を除く唯一の痕跡に於ける
翼殷不逝 目大不覩
胖矮小形の神の眼前に我は落傷した故事を有つ。
(臓腑 其者は浸水された畜舎とは異るものであらうか)
出版法
編集Ⅰ
虚偽告発と云ふ罪目が僕に死刑を言渡した。様姿を隠匿した蒸気の中に身を構へて僕はアスファルト釜を睥睨した。
―直に関する典古一則―
其父攘羊 其子直之
僕は知ることを知りつつあつた故に知り得なかつた僕の執行の最中に僕は更に新いものを知らなければならなかつた。
僕は雪白に曝露された骨片を掻き拾い始めた。
「肌肉は
剥落された膏血に対して僕は断念しなければならなかつた。
Ⅱ 或る警察探偵の秘密訊問室に於ける
嫌疑者として挙げられた
「お前は鉱夫に違ひない」
因に男子の筋肉の断面は黒曜石の様に光つてゐたと云ふ。
Ⅲ 号外
磁石収縮し始む
原因頗る不明なれども対内経済破綻に依る脱獄事件に関聯する所
多々有りと見ゆ。斯道の要人鳩首秘かに研究調査中なり
開放された試験管の鍵は僕の掌皮に全等形の運河を掘鑿してゐる。
軈て濾過された膏血の様な河水が汪洋として流れ込んで来た。
Ⅳ
落葉が窓戸を滲透して僕の正装の貝釦を掩護する。
地形明細作業の未だに完了していないこの窮僻の地に不思議な郵逓交通が既に施行されてゐる。僕は不安を絶望した。
日暦の反逆的に僕は方向を失つた。僕の眼睛は冷却された液体を幾切にも断ち剪つて落葉の奔忙を懸命に幇助していなければならなかつた。
(僕の猿猴類への進化)
且8氏の出発
編集亀裂の入つた荘稼泥地に一本の棍棒を挿す。
一本のまま大きくなる。
樹木が生える。
以上 挿すことと生えることとの円満な融合を示す。
沙漠に生えた一本の珊瑚の木の傍で豕の様なヒトが生理されることをされることはなく 淋しく生理することに依つて自殺する。
満月は飛行機より新鮮に空気を推進することの新鮮とは珊瑚の木の陰欝さをより以上に増すことの前のことである。
輪不輾地 展開された地球儀を前にしての設問一題。
棍棒はヒトに地を離れるアクロバテイを教へるがヒトは了解することは不可能であるか。
地球を掘鑿せよ。
同時に
生理作用の齎す常識を抛棄せよ。
一散に走り 又 一散に走り 又 一散に走り 又 一散に走る ヒトは 一散に走る ことらを停止する。
沙漠よりも静謐である絶望はヒトを呼び止める無表情である表情の無智である一本の珊瑚の木のヒトの脖頸の背方である前方に相対する自発的の恐懼からであるがヒトの絶望は静謐であることを保つ性格である。
地球を掘鑿せよ。
同時に
ヒトの宿命的発狂は棍棒を推すことであれ*。
*事実且8氏は自発的に発狂した。そしていつの間にか且8氏の温室に隠花植物が花を咲かしていた。涙に濡れた感光紙が太陽に出会つては白々と光つた。
真昼――或るESQUISSE――
編集○
ELEVATER FOR AMERICA.
○
三羽の鶏は蛇紋石の階段である。ルンペンと毛布。
○
ビルデイングの吐き出す新聞配達夫の群。都市計画の暗示。
○
二度目の正午サイレン。
○
シヤボンの泡沫に洗はれてゐる鶏。蟻の巣に集つてコンクリヒトを食べてゐる。
○
男を
男は石頭を屠獣人を嫌ふ様に嫌ふ。
○
三毛猫の様な格好で太陽群の隙間を歩く詩人。
コケコツコホ。
途端 磁器の様な太陽が
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