度量衡法 (明治四十二年)
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル度量衡法改正法律ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
明治四十二年三月六日
法律第四號(官報 三月八日)
度量衡法
第一條 度量ハ尺、衡ハ貫ヲ以テ基本トス
第二條 度量衡ノ原器ハ白金、「イリヂウム」合金製ノ棒及分銅トス其ノ棒ノ面ニ記シタル標線間ノ攝氏〇、一五度ニ於ケル長サ三十三分ノ十ヲ尺トシ分銅ノ質量四分ノ十五ヲ貫トス
第三條 度量衡ノ名稱命位ヲ定ムルコト左ノ如シ
度
毛尺ノ一萬分ノ一
厘尺ノ千分ノ一
分尺ノ百分ノ一
寸尺ノ十分ノ一
尺
丈十尺
間六尺
町三百六十尺
里一萬二千九百六十尺
地積
勺歩ノ百分ノ一
合歩ノ十分ノ一
歩又ハ坪三十六平方尺
畝三十歩
段三百歩
町三千歩
量
勺升ノ百分ノ一
合升ノ十分ノ一
升六萬四千八百二十七立方分
斗十升
石百升
衡
毛貫ノ百萬分ノ一
厘貫ノ十萬分ノ一
分貫ノ一萬分ノ一
匁貫ノ千分ノ一
貫
斤百六十匁
第四條 「メートル」法度量衡ノ名稱命位及比較ヲ定ムルコト左ノ如シ
度 | ||
「ミリメートル」 | 「メートル」ノ千分ノ一 | |
「センチメートル」 | 「メートル」ノ百分ノ一 | |
「デシメートル」 | 「メートル」ノ十分ノ一 | |
「メートル」 | 尺ノ十分ノ三十三 | |
「デカメートル」 | 十「メートル」 | |
「ヘクトメートル」 | 百「メートル」 | |
「キロメートル」 | 千「メートル」 | |
地積 | ||
「センチアール」 | 「アール」ノ百分ノ一 | |
「アール」 | 歩ノ四分ノ百二十一 | |
「ヘクタール」 | 百「アール」 | |
量 | ||
「センチリットル」 | 「リットル」ノ百分ノ一 | |
「デシリットル」 | 「リットル」ノ十分ノ一 | |
「リットル」 | 升ノ二千四百〇一分ノ千三百三十一 | |
「デカリットル」 | 十「リットル」 | |
「ヘクトリットル」 | 百「リットル」 | |
衡 | ||
「ミリグラム」 | 「キログラム」ノ百萬分ノ一 | |
「センチグラム」 | 「キログラム」ノ十萬分ノ一 | |
「デシグラム」 | 「キログラム」ノ一萬分ノ一 | |
「グラム」 | 「キログラム」ノ千分ノ一 | |
「デカグラム」 | 「キログラム」ノ百分ノ一 | |
「ヘクトグラム」 | 「キログラム」ノ十分ノ一 | |
「キログラム」 | 貫ノ十五分ノ四 |
第五條 度量衡ノ原器ハ農商務大臣之ヲ保管ス
農商務大臣ハ度量衡ノ原器ニ依リ製作シタル副原器二組ヲ以テ原器ニ代用ス
副原器ノ一組ハ農商務大臣之ヲ保管シ他ノ一組ハ文部大臣之ヲ保管ス
第六條 度量衡器ノ製作、修覆又ハ販賣ノ業ヲ營マムトスル者ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ行政官廳ノ免許ヲ受クヘシ
第七條 度量衡器ヲ製作、輸入、移入又ハ修覆シタル者ハ命令ヲ以テ定ムルモノヲ除クノ外其ノ檢定ヲ受クヘシ
檢定ニ合格シタル度量衡器ニハ檢定證印ヲ附ス
檢定ニ關スル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第八條 左ノ各號ノ一ニ該當スル度量衡器ハ命令ヲ以テ定ムル場合ヲ除クノ外販賣シ若ハ販賣ノ爲所持シ又ハ取引上若ハ證明上ニ於ケル度量衡ノ計量ニ使用シ又ハ使用ニ供スル爲所持スルコトヲ得ス
一 檢定證印ナキモノ |
二 修覆ヲ爲シタル後其ノ檢定ヲ受ケス又ハ檢定ニ合格セサルモノ |
三 變造シタルモノ |
四 勅令ノ定ムル公差以上ノ差狂ヲ生シタルモノ |
五 命令ノ定ムル構造ヲ具備セサルニ至リタルモノ |
第九條 度量衡器ノ製作、修覆、取締及其ノ使用ノ制限ニ關シテハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第十條 當該官吏度量衡器取締ノ爲必要アリト認ムルトキハ店舗、工場其ノ他ノ場所ニ臨檢スルコトヲ得
當該官吏臨檢ノ際度量衡ニ關スル犯罪アリト認ムルトキハ捜索ヲ爲シ又ハ犯罪ノ事實ヲ證明スヘキ物件ヲ差押ヲ爲スコトヲ得
臨檢、捜索及差押ニ關シテハ間接國税犯則者處分法ヲ準用ス
第十一條 當該官吏ハ第八條第二號乃至第五號ニ該當スル度量衡器ノ證印ヲ除去シ若ハ消印ヲ附シ又ハ其ノ度量衡器ヲ破毀シ其ノ他取締上必要ノ處分ヲ爲スコトヲ得
第十二條 度量衡器ノ製作、修覆又ハ販賣ノ免許ヲ受ケタル者本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令ニ違反シ又ハ當該官廳ノ命ニ從ハサルトキハ行政官廳ハ其ノ營業ヲ停止シ又ハ營業免許ヲ取消スコトヲ得
第十三條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ一年以下ノ懲役又ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
一 第八條ニ違反シタル者 |
二 度量衡ノ計算ヲ僞ルノ目的ヲ以テ不正ニ度量衡器ヲ使用シタル者 |
第十四條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
一 免許ヲ受ケスシテ度量衡器ノ製作、修覆又ハ販賣ノ業ヲ營ミタル者 |
二 度量衡器ノ製作、修覆又ハ販賣營業ノ停止中其ノ營業ヲ爲シタル者 |
第十五條 當該官吏ノ訊問ニ對シ虚僞ノ答辯ヲ爲シ又ハ當該官吏ノ職務執行ヲ拒ミ之ヲ忌避シ若ハ之ニ支障ヲ加ヘタル者ハ百圓以下ノ罰金又ハ科料ニ處ス
第十六條 度量衡器ノ製作、修覆若ハ販賣ノ免許ヲ受ケタル者又ハ業務上取引若ハ證明ノ爲度量衡器ヲ使用スル者ハ其ノ代理人、戸主、家族、雇人其ノ他ノ從業者ニシテ其ノ業務ニ關シ本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令ニ違反シタルトキハ自己ノ指揮ニ出テサルノ故ヲ以テ其ノ處罰ヲ免ルルコトヲ得ス
第十七條 度量衡器ノ製作、修覆若ハ販賣ノ免許ヲ受ケタル者又ハ業務上取引若ハ證明ノ爲度量衡器ヲ使用スル者未成年者又ハ禁治産者ナルトキハ本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令ニ依リ之ニ適用スヘキ罰則ハ之ヲ法定代理人ニ適用ス但シ營業ニ關シ成年者ト同一ノ能力ヲ有スル未成年者ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
第十八條 前二條ノ場合ニ於テハ懲役ノ刑ヲ科スルコトヲ得ス
第十九條 明治三十三年法律第五十二號ノ規定ハ本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令ノ規定ニ依ル犯罪ニ之ヲ準用ス
第二十條 第三條及第四條ニ依ラサル度量衡器ニ關シテハ勅令ヲ以テ別段ノ規定ヲ設クルコトヲ得
第二十一條 本法中罰則ニ關スル規定ハ公務所ニ之ヲ適用セス
附則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
刑法施行法第二十五條第一項第三號中「第七節及ヒ」ヲ削ル
本法施行前ニ於ケル度量衡器ノ製作、修覆又ハ販賣ノ免許ハ命令ノ定ムル所ニ從ヒ仍其ノ効力ヲ有ス
〔參照〕
法律第二十九號刑法施行法(明治四十一年三月二十八日官報)抄録
第二十五條第一項
左ニ記載シタル舊刑法ノ規定ハ當分ノ内刑法施行前ト同一ノ効力ヲ有ス
三 第二編第四章第七節及ヒ第九節
この著作物は、日本国の旧著作権法第11条により著作権の目的とならないため、パブリックドメインの状態にあります。同条は、次のいずれかに該当する著作物は著作権の目的とならない旨定めています。
- 法律命令及官公󠄁文󠄁書
- 新聞紙及定期刊行物ニ記載シタル雜報及政事上ノ論說若ハ時事ノ記事
- 公󠄁開セル裁判󠄁所󠄁、議會竝政談集會ニ於󠄁テ爲シタル演述󠄁
この著作物はアメリカ合衆国外で最初に発行され(かつ、その後30日以内にアメリカ合衆国で発行されておらず)、かつ、1978年より前にアメリカ合衆国の著作権の方式に従わずに発行されたか1978年より後に著作権表示なしに発行され、かつ、ウルグアイ・ラウンド協定法の期日(日本国を含むほとんどの国では1996年1月1日)に本国でパブリックドメインになっていたため、アメリカ合衆国においてパブリックドメインの状態にあります。