工業唱歌
- 第一 技 術󠄁 の 力 大 和 田 建󠄁 樹
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- 第二 真󠄁 の 技 𧗷 者 大 和 田 建󠄁 樹
- 一、
並 べる機 械 の中 に立 つ、我 等 が衣 は破 れたり。夜晝 動 かす手 と足 は、油 と塵 とに汚 れたり。」
- 二、
學 力 淺 く官 位 なく、富 もなければ名 もあらず、- されど
飽󠄁 食󠄁 暖󠄁 衣 して、心 は平󠄁 和 に滿 たされぬ。
- されど
- 三、
廻󠄀 る車 のたゆみなく、右 と左 を爭 はで、勤勉 事 に忍󠄁 びなば、成󠄁功 つひに身 に落 ちん。」
- 四、
賴 めや我 なす事每 に、誠󠄁 の一 字 を守 りつつ、鞴 の音󠄁 も槌音󠄁 も、天 に響󠄃 かん其時 を。」
- 第三 工 業 の 花 大 和 田 建󠄁 樹
- 一、
千變萬化󠄁 かぎりなき、自 然 の不思議 に驚 きて、及󠄁 ばぬものと恐󠄁 れしは、過󠄁 ぎし昔 の人 ごころ。」
- 二、
今 は宇 宙 の現 象󠄂 も、其 の理 を究 め使󠄁 役 して、我 が人生 の利器 と爲 す、文󠄁明開化󠄁 世 のすすみ。」
- 三、
陸 には鐵道󠄁網󠄂 張 りて、千 里 の道󠄁 も遠󠄁 からず、海 には船󠄂舶 波 を蹴 て、海 外 萬 里 も皆 となり。」
- 四、トン子ル
山 に貫 き通󠄁 し、釣橋河 に架 けわたし、自 然 の障󠄂 りもゆめとのみ、消󠄁 えゆく人 智 の大進󠄁 步 。」
- 五、
雲 間 を照 らす電 も、用 ひて我 手 の物 とせし、電燈 ・電 話 ・電信 機 、ただ是 れ學 理 の賜物 ぞ。」
- 六、かくまで
月日 にすすみなば、空󠄁 飛 ぶ舟 も作 られて、雲 より雲 に旅󠄁行 する、道󠄁 ひらけんも時 の間 ぞ。」
- 七、
海陸 武器 のたたかひも、實 業 平󠄁 和 の戰 も、勝󠄁 敗 ひとへに工 業 の、力 を仰 ぐ今 の時 。」
- 八、
胸 の勳 章 、手 の指 環 、身 に着 る織󠄂物染物 も、何 れか益 ある技󠄂 術󠄁 者 の、咲󠄁 かせし譽 れの花󠄁 ならぬ。」
- 九、
國 の盛󠄁衰 、世 の榮 枯 、全󠄁 力 その手 に支󠄂 配 する、工 業 技 術󠄁 の未 來 こそ、思 へば社 會 の勝󠄁 利 者 ぞ」
- 一〇、よしや
油 に塗 るとも、よしや藥 に汚 るとも、天 下 の進󠄁 步 を掌中 に、握 る身 こそは愉󠄁 快 なれ。」
- 一一、いざ
我友 よ、諸共 に、この快 樂 と名 譽 ある、工 業 世 界 に身 を立 てて、理 想 の天 地 を作 るべし。」
- 第四 文 化 の 恩 人 大 和 田 建󠄁 樹
- 一、ゼームス、ワット
- かぶせし
蓋 を押 し上 げて、沸 き立 つ湯氣 の力 より、- いく
年月 の辛 苦 經 て、蒸 氣 機 關 を發明 し、不 㧞 の功 を奏 したる、ワットは世 界 の大 偉 人 。」
- いく
- 二、ジヨージ、スチブンソン
父󠄁 は炭󠄁坑火 夫 たりし、貧󠄁 家 の內 に身 を起󠄁 し、- ただ
熱心 と勉 强 と、鐵道󠄁 事 業 の發明 に、不 朽 の名 譽 を博󠄁 したる、スチブンソンは世 の恩者 。」
- ただ
- 三、ジヤックハード
貧󠄁賤 その身 を玉 成󠄁 し、製 し出 だせる機織󠄂 機 、- リヨンの
都 を風 靡 して、時 の帝󠄁 に皇后 に、知 遇󠄁 を得 たるシヤックハード〔ママ〕、天 下 の志士 の好 模 範 。」
- リヨンの
- 四、トーマス、エヂソン
身 は鐵道󠄁 の小 ボーイ、實驗室 を我 部屋 に、- つくりて
硏 きし學 成󠄁 りて、發明 遂󠄂 げたる電燈 の、- めぐみを
遺󠄁 すエヂソンは、地 球 を照 らす光 なり。」
- めぐみを
- つくりて
- 五、左 甚 五 郞
- わがたのしみは
貧󠄁 しきに、ありと歌 ひて里人 の、笑 ふも知 らず顧 みず、一心刀 を手 に執 りて、彫󠄁 刻 つとめし甚 五 郞 、「左 」の名 こそ八千代 なれ。」