太平洋方面ニ於ケル島嶼タル屬地及島嶼タル領地ニ關スル四國條約竝同條約追加協定


朕樞密顧問ノ諮詢ヲ經テ帝國、亞米利加合衆國、英帝國及佛蘭西國ノ全權委員カ大正十年十二月十三日亞米利加合衆國華盛頓ニ於テ署名調印シタル太平洋方面ニ於ケル島嶼タル屬地及島嶼タル領地ニ關スル四國條約竝大正十一年二月六日同市ニ於テ前記各國全權委員カ署名調印シタル同條約追加協定ヲ批准シ茲ニ之ヲ公布セシム

御名御璽
攝政名
大正十二年八月十七日

内閣總理大臣 男爵加藤友三郎

外務大臣 伯爵内田 康哉


條約第三號

亞米利加合衆國、英帝國、佛蘭西國及日本國ハ

一般ノ平和ヲ確保シ且太平洋方面ニ於ケル其ノ島嶼タル屬地及島嶼タル領地ニ關スル其ノ權利ヲ維持スルノ目的ヲ以テ

之カ爲條約ヲ締結スルコトニ決シ左ノ如ク其ノ全權委員ヲ任命セリ

亞米利加合衆國大統領

合衆國人民  「チァールズ、エヴァンス、ヒューズ」
同        「ヘンリー、カボット、ロッジ」
同        「オスカー、ダブリュー、アンダウッド」
同        「エリヒュー、ルート」

大不列顚愛蘭聯合王國及大不列顚海外領土皇帝印度皇帝陛下

樞密院議長國會議員「アーサー、ジェームス、パルフォア」
海軍大臣男爵「リー、オヴ、フェアラム」
亞米利加合衆國駐箚特命全權大使「サー、オークランド、キァンプル、ゲデス」
加奈陀
「ロバート、レアド、ボーデン」
濠太利聯邦
國防大臣「ジョージ、フォスター、ビアス」
新西蘭
新西蘭最高法院判事「サー、ジョン、ウィリアム、サルモンド」
南阿弗利加聯邦
國會議員「アーサー、ジェームス、バルフォア」
印度
印度参議院議員「ヴァリングマン、サンカラナラヤナ、スリニヴァサ、サストリ」

佛蘭西共和國大統領

前内閣議長下院議員「ルネ、ヴィヴィアニ」
殖民大臣下院議員「アルベール、サロー」
亞米利加合衆國駐箚特命全權大使「ジュール、ジー、ジュスラン」

日本國皇帝陛下

海軍大臣男爵加藤友三郎
亞米利加合衆國駐箚特命全權大使男爵幣原喜重郎
公爵徳川家達
外務次官埴原正直

 右各委員ハ互ニ其ノ全權委任状ヲ示シ之カ良好妥當ナルヲ認メタル後左ノ如ク協定セリ

第一條

締約國ハ互ニ太平洋方面ニ於ケル其ノ島嶼タル屬地及島嶼タル領地ニ關スル其ノ權利ヲ尊重スヘキコトヲ約ス

締約國ハ何レカノ間ニ太平洋問題ニ起因シ且前記ノ權利ニ關スル争議ヲ生シ外交手段ニ依リテ滿足ナル解決ヲ得ルコト能ハス且其ノ間ニ幸ニ現存スル圓滿ナル協調ニ影響ヲ及ホスノ虞アル場合ニ於テハ右締約國ハ共同會議ノ爲他ノ締約國ヲ招請シ當該事件全部ヲ考量調整ノ目的ヲ以テ其ノ議ニ付スヘシ

第二條

前記ノ權利カ別國ノ侵略的行爲ニ依リ脅威セラルルニ於テハ締約國ハ右特殊事情ノ急ニ應スル爲共同ニ又ハ各別ニ執ルヘキ最有効ナル措置ニ關シ了解ヲ遂ケムカ爲充分ニ且隔意ナク互ニ交渉スヘシ

第三條

本條約ハ實施ノ時ヨリ十年間効力ヲ有シ右期間滿了後ハ十二月前ノ豫告ヲ以テ之ヲ終了セシムル各締約國ノ權利ノ留保ノ下ニ引續キ其ノ効力ヲ有ス

第四條

本條約ハ締約國ノ憲法上ノ手續ニ從ヒ成ルヘク速ニ批准セラルヘク且華盛頓ニ於テ行ハルヘキ批准書寄託ノ時ヨリ實施セラルヘシ千九百十一年七月十三日倫敦ニ於テ締結セラレタル不列顚國及日本國間ノ協約ハ之ト同時ニ終了スルモノトス合衆國政府ハ批准書寄託ノ調書ト認證謄本ヲ各署名國ニ送付スヘシ

本條約ハ佛蘭西語及英吉利語ヲ以テ本文トシ合衆國政府ノ記録ニ寄託保存セラルヘク其ノ認證謄本ハ同政府之ヲ各署名國ニ送付スヘシ

右證據トシテ前記各全權委員ハ本條約ニ署名ス

千九百二十一年十二月十三日華盛頓市ニ於テ之ヲ作成ス

チァールス、エヴァンス、ヒューズ(印)
ヘンリー、カボット、ロッジ(印)
オスカー、ダブリュー、アンダウッド(印)
エリヒュー、ルート(印)
アーサー、ジェームス、バルフォア(印)
リー、オヴ、フェアラム(印)
エー、シー、ゲデス(印)
アール、エル、ボーデン(印)
ジー、エフ、ビアス(印)
ジョン、ダブリュー、サルモンド(印)
アーサー、ジェームス、バルフォア(印)
ヴィー、エス、スリニヴァサ、サストリ(印)
ルネ、ヴィヴィアニ(印)
アー、サロー(印)
ジュスラン(印)
加藤友三郎(印)
幣原喜重郎(印)
徳川家達(印)
埴原正直(印)

亞米利加合衆國、英帝國、佛蘭西國及日本國ハ千九百二十一年十二月十三日華盛頓ニ於テ署名シタル四國條約ノ追加タル左ノ條項ヲ各其ノ全權委員ニ依リ協定シタリ

前記條約ニ使用セラレタル「島嶼タル屬地及島嶼タル領地」ナル語ハ之ヲ日本國ニ適用スルニ付テハ單ニ樺太(即チ薩哈嗹島ノ南部)、臺灣及膨湖列島竝日本國委任統治ノ下ニ在ル諸島ノミ包含スルモノトス

本協定ハ前記條約ニ追加トシテ之ト同一ノ効力ヲ有ス

千九百二十一年十二月十三日ノ前記條約駐批准ニ關スル第四條ノ規定ハ本協定ニ之ヲ適用ス本協定ハ佛蘭西語及英吉利語ヲ以テ本文トシ合衆國政府ノ記録ニ寄託保存セラルヘク其ノ認證謄本ハ同政府之ヲ他ノ各締約國ニ送付スヘシ

右證據トシテ前記各全權委員ハ本協定ニ署名ス

千九百二十二年二月六日華盛頓市ニ於テ之ヲ作成ス

チァールス、エヴァンス、ヒューズ(印)
ヘンリー、カボット、ロッジ(印)
オスカー、ダブリュー、アンダウッド(印)
エリヒュー、ルート(印)
アーサー、ジェームス、バルフォア(印)
リー、オヴ、フェアラム(印)
エー、シー、ゲデス(印)
アール、エル、ボーデン(印)
ジー、エフ、ビアス(印)
ジョン、ダブリュー、サルモンド(印)
アーサー、ジェームス、バルフォア(印)
ヴィー、エス、スリニヴァサ、サストリ(印)
ルネ、ヴィヴィアニ(印)
アー、サロー(印)
ジュスラン(印)
加藤友三郎(印)
幣原喜重郎(印)
埴原正直(印)

天佑ヲ保有シ萬世一系ノ帝祚ヲ踐メル日本國皇帝(御名)此ノ書ヲ見ル有衆ニ宣示ス

朕帝國、亞米利加合衆國、英帝國及佛蘭西國ノ全權委員カ、大正十年十二月十三日亞米利加合衆國華盛頓ニ於テ署名調印シタル太平洋方面ニ於ケル島嶼タル屬地及島嶼タル領地ニ關スル四國條約竝大正十一年二月六日同市ニ於テ前記各國全權委員カ署名調印シタル同條約追加協定ヲ閲覽點檢シ之ヲ嘉納批准ス

神武天皇即位紀元二千五百八十二年大正十一年八月五日葉山ニ於テ親ラ名ヲ署シ璽ヲ鈐セシム

御名國璽
攝政名

外務大臣 伯爵内田康哉

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  2. 新聞紙及定期刊行物ニ記載シタル雜報及政事上ノ論說若ハ時事ノ記事
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