大齋の晩課及び先備聖体礼儀に歌ふ所の「主よ爾に籲ぶ」、其他の次第。
- 若し大四旬齋ならば、第十八「カフィズマ」、「我我が憂の中に主に呼びしに」の後、遇ふ所の調に依りて。「主よ爾に籲ぶ」を歌ふ。
右列詠隊、 主よ、爾に籲ぶ、速に我に格り給へ、主よ、我に聴き給へ。
- 主よ、爾に籲ぶ、速に我に格り給へ、爾に籲ぶ時、我が禱の聲を納れ給へ。主よ、我に聴き給へ。
左列詠隊、 願はくは我が禱は香爐の香の如く爾が顔の前に登り、我が手を挙ぐるは暮の祭の如く納れられん。
- 主よ、我に聴き給へ。
- 次ぎて序を逐ひて以下の句。
右、 主よ、我が口に衛を置き、我が唇の門を扞ぎ給へ、
左、 我が心に邪なる言に傾きて、不法を行ふ人と共に、罪の推諉せしむる毋れ、
右、 願はくは我は彼等の甘味を甞めざらん。
左、 義人は我を罰すべし、是れ矜恤なり、我を譴むべし、是れ極と美しき膏、我が首を悩ます能はざる者なり。
右、 唯我が禱は彼等の悪事に敵す。彼等の首長は巌石の間に散じ、我が言の柔和なるを聴く。
左、 我等を土の如く斫り碎き、我が骨は地獄の口に散りて落つ。
右、 主よ、主よ、唯我が目は爾を仰ぎ、我爾を恃む、我が霊を退くる毋れ。
左、 我が為に設けられし弶、不法者の羅より我を護り給へ。
右、 不虔者は己の網に罹り、唯我は過ぐるを得ん。
左、 我が聲を以て主に籲び、我が聲を以て主に禱り、
右、 我が禱を其前に注ぎ、我が憂を其前に顕せり。
左、 我が霊我の衷に弱りし時、爾は我の途を知れり、
右、 我が行く路に於て、彼等は竊に我が為に網を設けたり。
左、 我右に目を注ぐに、一人も我を認むる者なし、
右、 我に遁るる所なく、我が霊を顧る者なし。
左、 主よ、我爾に呼びて云へり、爾は我の避所なり、生ける者の地に於て我の分なり。
右、 我が籲ぶを聴き給へ、我甚弱りたればなり、
左、 我を迫害する者より救ひ給へ、彼等は我より強ければなり。
- 左の十句は十段の讃頌の時に併せ用ゐる。
右、 我が霊を獄より引き出して、我に爾の名を讃榮せしめ給へ。
左、 爾恩を我に賜はん時、義人は我を環らん。
- 八段に、
右、 主よ、我深き處より爾に呼ぶ。主よ、我が聲を聴き給へ。
左、 願はくは爾の耳は我が禱の聲を聴き納れん。
- 六段に、
右、 主よ、若し爾不法を糾さば、主よ、孰か能く立たん。然れども爾に赦あり、人の爾の前に敬まん為なり。
左、 我主を望み、我が霊主を望み、我彼の言を恃む。
- 四段に、
右、 我が霊主を待つこと、番人の旦を待ち、番人の旦を待つより甚し。
左、 願はくはイズライリは主を恃まん、蓋憐は主にあり、大なる贖も彼にあり、彼はイズライリを其悉くの不法より贖はん。
右、 萬民よ、主を讃め揚げよ、萬族よ、彼を崇め讃め揚げよ、
左、 蓋彼が我等に施す憐は大なり、主の眞實は永く存す。
- 光榮、今も。聖入。
聖にして福たる常生なる天の父の聖なる光榮の穏なる光イイスス ハリストスよ、我等日の入に至り、晩の光を見て、神父と子と聖神゜を歌ふ。生命を賜ふ神の子よ、爾は何時も敬虔の聲にて歌はるべし、故に世界は爾を崇め讃む。
- 提綱。喩言。畢りて後、司祭歌ふ、
願はくは我が禱は香爐の香の如く爾が顔の前に登り、我が手を挙ぐるは暮の祭の如く納れられん。
詠隊同じく歌ふ、「願はくは我が禱は香爐の香の如く」。
司祭、句、主よ、爾に籲ぶ、速に我に格り給へ、爾に籲ぶ時、我が禱の聲を納れ給へ。
詠隊、「願はくは我が禱は香爐の香の如く」。
司祭、句、主よ、我が口に衛を置き、我が唇の門を扞ぎ給へ。
詠隊、「願はくは我が禱は香爐の香の如く」。
司祭、句、我が心に邪なる言に傾きて、罪の推諉せしむる毋れ。
詠隊、「願はくは我が禱は香爐の香の如く」。
- 司祭復歌ふ、
願はくは我が禱は香爐の香の如く爾が顔の前に登り、
詠隊、我が手を挙ぐるは暮の祭の如く納れられん。
- ヘルヴィムの歌に代へて歌ふ、第六調。
今天軍は見えずして我等と偕に奉事す、蓋視よ、光榮の王は入り給ふ、視よ、秘密の祭は已に備はりて舁ひ奉らる。信と愛とを以て近づくべし、永遠の生命に與る者と為らん為なり。「アリルイヤ」、「アリルイヤ」、「アリルイヤ」。
- 領聖詞、第八調。
味へよ、主の如何に仁慈なるを見ん。「アリルイヤ」、「アリルイヤ」、「アリルイヤ」。
- 聖錫を挙示する後、徐に諧和の聲を以て歌ふ、第八調に依る。
我何の時にも主を讃め揚げん、彼を讃むるは我が口に在り。天の糧と生命の爵とを味へよ、主の如何に仁慈なるを見ん。「アリルイヤ」、「アリルイヤ」、「アリルイヤ」。
- 聖錫を納むる時に歌ふ、
主よ、願はくは我が口は讃美に満てられて云云(第二〇一頁を看よ)[1]
次ぎて「願はくは我が口は讃美に満てられて」。三次。
- 聖詠
我何の時にも主を讃め揚げん云云