大塚徹・あき詩集/日本の忿怒
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日本の忿怒
編集霧は雲と凝りつつ 薔薇色の黎明を粧い
低く 高く 次第に湧き昇るあの由々しい響
を聞いたか。
前夜を徹して 一睡の
忿怒のために あの光箭と降濯ぐ瞳の血気を
見たか。
というか
若き
されど 祖国の このちぬられたる恍惚の麓
で
いつの頃よりか 淫邪の神々の飽くなき侵略
の播種が
ああ いつの世までか 搾取の収穫が
の口惜しい
祝祭が続けられるのだ。
妻は 愛しみの泪盡くるなき夜の葬列を――
子は 憎しみの焰消ゆるなき日の復讐を――
おお 敵よ! 汝ユダヤ的世界の屠殺者よ!
累々たる同志の屍に口なしというなかれ。
その炎々たる忿怒のために 黎明なんと見事
な血雲が飛ぶことか。
〈昭和十三年、日本詩壇〉