○
文開く衣の袖は
ぬれにけり 海より
深き 君が美心

世の人はわれをなに
ともゆはゞいへわが
なすことはわれ
のみぞしる

春くれて五月まつ
間のほととぎす初
音をしのべ深山
べの里

  湊川にて
月と日のむかしを
しのぶみなと川
流れて清き菊
の下水

  明石にて
うき事を独明しの
旅磯うつ浪も
あわれとぞ聞
  ○
人心けふやきのふと
かわる世に独な
げきのます鏡哉