坂本龍馬の手紙/慶応3年4月初旬坂本乙女宛

扨も/\、御ものがたりの笑しさハ、
じつにはらおつかみたり。秋の
日よりのたとへ、もつともおもしろ
し笑しと拝し申候。私事かの
キキの亀と申ハ何やらはなのさき
にまいさがりて、のかげお見る事
ができぬげな。此頃、みよふな岩に
行かなぐり上りしが、ふと四方を見
渡たして思ふニ、扨〻世の中と云ものハ
かきがら計である。人間と云ものハ
世の中のかきがらの中ニすんでおるもの
であるわい、おかし/\。めで度かしこ。
                  龍馬
  乙姉様 御本
  猶おばあさん、おなんさん、おとしさん
  の御哥ありがたく拝し申候、かしこ
 猶去年七千八百両でヒイ/\とこまりおりたれバ、薩州
 小松帯刀申人が出しくれ、神も仏もあるものニて御座候
先日中、私の手本つがふあしく
一万・五百両というものハなけれバ
ならぬと心おつかいしニ、不計も
藤藤庄次郎と申人が出し
出しくれ候。此人ハ同志の中でも
おもしろき人ニて候。かしこ

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