国際連合安全保障理事会決議2094に対する日本の実施報告

決議1718(2006)に従って設立された安全保障理事会委員会

2013年6月5日付国際連合日本政府代表部から委員会委員長に宛てられた書簡

本代表は2013年3月7日に採択された安全保障理事会決議2094(2013)第25項に従って報告を提出する光栄を有する(附属書参照)。

(署名)西田 恒夫
常駐代表


2013年6月5日付国際連合日本政府代表部から委員会委員長に宛てられた書簡の附属書

理事会決議2094(2013)第25項に従って作成された安全保障理事会への報告

1.日本の基本的立場

2013年2月12日の朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の核実験に対する日本政府の立場は、同日安倍晋三内閣総理大臣の声明で明確に表されている。

声明で内閣総理大臣は、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)が大量破壊兵器の運搬手段となり得るミサイル能力を増強していることと併せ考えれば、日本の安全に対する重大な脅威であり断じて容認できないと強調した。内閣総理大臣は実験はまた、国際的な軍縮不拡散体制に対する重大な挑戦であると述べた。この実験は、北東アジアと国際社会の平和と安全を著しく損なうものである。

日本政府は、安全保障理事会決議1718(2006)、1874(2009)、2087(2013)及び2094(2013)の実施に必要な措置を着実に実施しており、日本国民の拉致や核及びミサイル能力を含む懸念される未解決の問題の解決に向けて具体的な行動を取るよう朝鮮民主主義人民共和国に促している。

安全保障理事会決議2094(2013)は、核実験に対する国際社会の強い非難と核と弾道ミサイル計画に対する重大な懸念を具現化するために非常に重要である。日本政府は、決議の早期かつ完全な実施が極めて重要であり、決議の効果的な実施のために加盟国が可能な限り最大限にその措置を協調して実施する必要があることを繰り返し表明している。

日本政府は決議1718(2006)第12項に従って設立された委員会と引き続き緊密に協力し、その作業に貢献することを再確認する。

2. 決議2094(2013)に関する措置

日本政府は、決議2094(2013)に関して下記措置を講じている。これらの措置は、本報告の第3項にある片務的措置と共に、前回の安全保障理事会への報告(S/AC.49/2009/7参照)に含まれるものを更に強化するものである。

(1) 金融措置 (第8項、第11項から第13項及び第15項)

  • 日本政府は、朝鮮民主主義人民共和国の核兵器及びその他大量破壊兵器または弾道ミサイルの計画に関連したため安全保障理事会決議2094(2013)附属書Ⅰ及びⅡで指定された2つの団体及び3名の個人との間で金融資産の移動を防止するため、外国為替及び外国貿易法(昭和24年法律第228号)に基づく措置を導入した(2013年4月5日施行)。(日本政府はまた、決議2087(2013)附属書Ⅰ及びⅡで指定された6つの団体及び4名の個人との間の財源移転を防止するための措置も導入した(2013年2月6日施行)。)
  • 日本政府は、朝鮮民主主義人民共和国の核弾頭または弾道ミサイル計画に関連する金融サービスの提供や決議2094(2013)の採択以前の関連決議により禁止されたその他活動を防止するための措置を既に導入していた。決議2094(2013)の採択後、日本政府は日本の金融機関や日本国内で営業する金融機関に対してその内容を通知した。
  • 日本政府は2013年4月5日、銀行法(昭和56年法律第59号)に基づき、朝鮮民主主義人民共和国の金融機関による日本国内での支店の開設または子会社の設立を目的とした銀行免許の申請の承認を拒否すると発表した。日本政府はまた、日本の金融機関及び日本国内で営業する金融機関に対して、朝鮮民主主義人民共和国の金融機関との間で所有権の譲渡、コルレス契約の確立または維持を控えるよう要請した。
  • 日本政府は、決議2094(2013)第15項に規定されている活動を含め、朝鮮民主主義人民共和国に公的資金援助または支援を提供していない。

(2) 人の移動に関する措置(第9項及び第10項)

  • 日本政府は、朝鮮民主主義人民共和国における核兵器、その他大量破壊兵器または弾道ミサイルの計画に関連したため安全保証理事会決議2094(2013)附属書Ⅰで指定された3名の個人の日本の領土への入国及び通過を防止するため、出入国管理及び難民認定法(昭和26年政令第319号)に基づく措置を導入した。(日本政府はまた、決議2087(2013)附属書Ⅰで指定された4名の個人の日本への入国を防止するための措置を導入した(2013年2月6日施行)。)(注:2006年10月11日以来、朝鮮民主主義人民共和国国民の日本への入国は原則禁止されている。)
  • 日本政府は、指定された個人または団体または制裁の回避を援助または関連する決議の規定に違反する個人の代理または指示で働いていると見なされる個人は、出入国管理及び難民認定法に基づき渡航禁止措置を適用することができる。そのような個人が朝鮮民主主義人民共和国国籍の場合、日本国政府は、適用可能な国内法に基づきその者を日本の領土から追放することができる。

(3) 物品に関する措置(第9項及び第10項)

  • 日本政府は、2006年10月14日及び2009年6月18日に、朝鮮民主主義人民共和国との輸入と輸出をそれぞれ禁止した。これらの措置は、決議2094(2013)附属書Ⅲ及びⅣ等で指定された品目にも適用される。
  • 日本政府は、貨物検査の対象となる決議2094(2013)附属書Ⅳに明記された奢侈品を指定するための措置を導入した。日本政府は、貨物検査の対象となる決議附属書Ⅲの品目を指定するために必要な作業を現在行っている。(注:2006年日本政府は、附属書Ⅳに明記された全ての品目を含む指定奢侈品リストを作成した。)

(4) 貨物検査に関する措置(第16項及び第17項)

  • 加盟国が朝鮮民主主義人民共和国からのあるいは朝鮮民主主義人民共和国への全ての貨物の検査を加盟国に要請した決議1874(2009)採択の後、2010年6月4日日本は既存の国内法を踏まえた「国際連合安全保障理事会決議第千八百七十四号等を踏まえ我が国が実施する貨物検査等に関する特別措置法」(平成22年法律第43号)と題された新法を制定した。日本政府は、本法に基いて必要な措置を着実に実施してきた。決議2094(2013)の採択を鑑みて、日本政府は、関連決議により供給、販売、譲渡または輸出が禁止されている品目を含む疑いのある貨物の検査を含む必要な措置を、前述の法律を含む既存の国内法に基づき、厳格に継続して実施することを再確認する。日本政府は2013年4月5日にこの方針を発表した。
  • 日本政府は、検査要請を拒否した船舶が日本の港に入港する場合、平成22年法律第43号を含む既存の国内法に基づき検査を行うことを確実に行う。

(5) 航空輸送の制限(第18項及び第19項)

  • 日本政府は、関連決議により、航空機が供給、販売、譲渡または輸出が禁止されている品目を含む疑いがある場合は、日本の領土への着陸または上空の通過の許可を拒否する。日本政府は2013年4月5日にこの方針を発表した。
  • 日本の省庁は、制裁を回避するため、あるいは関連決議の規定に違反に関わる朝鮮民主主義人民共和国の航空機または船舶の会社への移転に関して得られた情報を、外務省を通じて、決議1718(2006)に従って設立された安全保障理事会委員会に通知する。

(6) 朝鮮民主主義人民共和国の外交官に対する警戒(第24項)

  • 2006年10月11日以来、外交官を含めて、朝鮮民主主義人民共和国の全ての国民の日本への入国は禁止されている。

3. 日本政府による朝鮮民主主義人民共和国に対する片務的な措置

日本政府は、2012年4月及び12月に朝鮮民主主義人民共和国が実施したミサイルの発射や2013年2月に実施された核実験を含む現状を踏まえて、日本国民の拉致事件に関する進捗の欠如と同様同国に対する追加制裁を講じている。これら措置は前回の安全保障理事会への報告(S/AC.49/2009/7参照)に含まれているものに加えて行われている。

(1) 人の移動に関する措置

  • 日本政府は、2013年2月12日の首相声明を通じ、在日の朝鮮民主主義人民共和国当局職員の活動を実質的に補佐する立場にある者が朝鮮民主主義人民共和国を渡航先とした日本への再入国を原則拒否する旨を発表した。(注:2006年7月5日以来、朝鮮民主主義人民共和国当局職員の日本への再入国は原則禁止されている。この発表はこの措置を拡大するものである。)

(2) 金融措置

  • 例えば、朝鮮民主主義人民共和国への支払いの手段の輸出に関しては、日本政府は、関連当局へ届出を必要とする最低額を30万円相当から10万円相当に引き下げた。朝鮮民主主義人民共和国に所在する個人または団体への送金に関して、日本政府は、関係当局へ報告を必要とする最低金額を1000万円から300万円に引き下げた(2010年5月28日施行)。これら措置は、安全保障理事会決議2094(2013)第11項及び第14項を含む同決議の実施に貢献すると期待されている。
  • 日本政府は、朝鮮民主主義人民共和国の核兵器、その他の大量破壊兵器または弾道ミサイル計画に関わったとして1つの団体と4名の個人に対する資産凍結やその他措置を導入した(2013年4月施行)。日本政府は、関連する決議によって影響を受ける団体及び個人が指定されていないものの、安全保障理事会決議2094(2013)の目的を鑑みて、これら措置を取った。

訳注 編集

  • 便宜上、原文にあるDPRKは北朝鮮とした。
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原文:
 

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  1. 国際連合の機関又は会議の手続に関する公式記録(議事録、付属機関・関連機関への報告書、決議集等)
  2. シンボルマークを付して公式に発表された国際連合の文書
  3. 国際連合の広報資料(主に国際連合の活動を周知するために作成された出版物、定期刊行物、パンフレット、プレスリリース、カタログ等。ただし販売されているものを除く。)
 
翻訳文:
 

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