国際連合安全保障理事会決議第千六百四十九号 (コンゴ民主共和国に対する制裁に関する決議) に関する件
平成十七年十二月二十一日、国際連合安全保障理事会において、コンゴ民主共和国情勢に関し、外国人武装集団等の指導者に対し、移動の制限及び資産凍結等の措置を拡大することを決定する次の決議が採択された。
平成十八年一月十一日
外務大臣 麻生 太郎
(訳文)
二千五年十二月二十一日に安全保障理事会がその第五三四〇回会合において採択した決議第千六百四十九号(二〇〇五)
安全保障理事会は、コンゴ民主共和国に関する決議及び同理事会の議長声明、特に二千四年三月十二日の決議第千五百三十三号、二千四年十月一日の決議第千五百六十五号、二千五年三月三十日の決議第千五百九十二号、二千五年四月十八日の決議第千五百九十六号、二千五年八月十五日の決議第千六百十六号、二千五年九月六日の決議第千六百二十一号及び二千五年九月三十日の決議第千六百二十八号並びに二千五年三月二日の声明(S/PRST/二〇〇五/一〇)及び二千五年十月四日の声明(S/PRST/二〇〇五/四六)を想起し、
コンゴ民主共和国及び地域のすべての国の主権、領土保全及び政治的独立を尊重することに対する支持並びに二千二年十二月十七日にプレトリアにおいて署名されたコンゴ民主共和国における移行に関する総合包括合意の過程に対する支持を再度強調し、また、コンゴ民主共和国における平和及び安定の長期的な回復、国民和解並びに法の支配の確立のための基礎として選挙の重要性を強調し、
コンゴ民主共和国の東部地域における民兵及び外国人武装集団による敵対行為の継続並びに彼らが文民、コンゴ民主共和国における選挙の実施及び地域の安定に与える脅威に対する深い懸念を再度強調し、
これら集団及び民兵により行われた人権及び国際人道法違反を遺憾とし、これら犯罪に責任を有する者が裁判にかけられることの緊急の必要性を強調し、
これら集団及び民兵に対して国際連合コンゴ民主共和国ミッション(MONUC)がとった確固たる行動を歓迎し、また、著しく危険な条件の下で活動しているMONUC要員の献身を称賛し、
ルワンダ解放民主勢力(FDLR)、フツ民族解放党―国民解放勢力(FNL)、神の抵抗軍のようなアフリカ大湖地域におけるすべての武装集団に対し、武器を手放し、動員解除の計画を開始し、地域において進行中の平和の定着のための努力を支援するために、遅滞なく行動するよう要請し、
FDLRが武装解除の期限を遵守しなければ制裁措置が課されるという理解に基づき、三ケ国プラス共同委員会の枠組みの中で活動するコンゴ民主共和国、ウガンダ、ルワンダ及びブルンジが、二千五年九月十六日にFDLRが、武装解除の期限を尊重しなければ制裁措置が課されるとの解釈の下で、FDLRの自主的な武装解除の期限を二千五年九月三十日に維持することとした決定に留意し、
三カ国プラス共同委員会においてブルンジ、コンゴ民主共和国、ルワンダ及びウガンダを代表する閣僚から安全保障理事会議長宛に発出された二千五年十月二十一日付書簡に留意し、
地域の国に対し、違法な武装集団の活動を終了させるために協力を深化させるよう要請し、また、一国の領土保全に対するいかなる武力による威嚇または武力の行使も国際連合憲章に反することを強調し、
この関連で、「アフリカ大湖地域における平和、安全保障、民主主義及び開発に関する国際会議」の参加者に対し、第二回首脳会議を可及的速やかに開催するよう要求し、
天然資源の違法な採掘、これら資源の不法取引並びに武器の拡散及び取引の間の関連性が、アフリカ大湖地域及び特にコンゴ民主共和国における紛争をあおり、悪化させる原因の一つであることを認識し、
ドナー・コミュニティに対し、それがコンゴ民主共和国に供与している援助について敬意を払うとともに、その援助を維持するよう慫慂し、
二千五年十一月四日から十一日まで中部アフリカ地域を訪問した国連安全保障理事会ミッションの報告書(S/二〇〇五/七一六)に留意し、また、同報告書の勧告を承認し、
コンゴ民主共和国における事態がこの地域において国際の平和及び地域の安全に対する脅威を構成し続けていることに留意し、国際連合憲章第七章の下に行動して、
1 コンゴ民主共和国の東部地域に存在する外国人武装集団が武器を未だに手放していない事実を遺憾とし、また、これら集団のすべてが自主的に、かつ、遅滞なく又は前提条件を付けずに、武装解除並びに帰還及び再定住に従事することを要請する。
2 二千六年七月三十一日の終了日までの期間、決議第千五百九十六号13から16までの規定を、決議第千五百三十三号に従って設置された委員会(以下、「委員会」という。)により指定される次の個人に拡大することを決定する。
⒜ コンゴ民主共和国において活動する外国人武装集団の政治的及び軍事的指導者であって、それら集団に所属する戦闘員の武装解除及び自主的な帰還又は再定住を妨害する者
⒝ コンゴ民主共和国の外部から支援を受け、特にイツリ地区で活動するコンゴ人民兵の政治的及び軍事的指導者であって、それらの戦闘員の武装解除、動員解除及び社会復帰過程への参加を妨害する者
3 上記2及び決議第千五百九十六号13に基づき課される措置は、委員会が、事前にかつ事案毎に、国籍国の領域へ帰還する者又は人権及び国際人道法の重大な違反を行った者を裁判にかけるための努力に参加する者が移動することを許可する場合には適用しないことを決定する。
4 決議第千五百九十六号18に定める委員会の任務を上記2に定める規定に拡大することを決定する。
5 事務総長及び決議第千五百三十三号に基づき設置された専門家グループに対し、その能力の範囲内であり、かつ、その権限に含まれる他の任務の執行を妨げることのない範囲で、上記2にいう指導者を指名する際に委員会を支援するよう要請する。
6 上記2から5の規定が、事務総長が安全保障理事会に対してコンゴ民主共和国で活動する外国人武装集団及びコンゴ人民兵の武装解除の過程が完了していることを通知しない限り、二千六年一月十五日に発効することを決定する。
7 二千六年七月三十一日までに、コンゴ民主共和国における和平及び移行過程で達成された進捗状況、特に外国人武装集団の武装解除に関する進捗状況に照らし、上記2の規定に定める措置を再検討することを決定する。
8 国家統一暫定政府に対し、コンゴ民主共和国の領域、特に北キブ州及び南キブ州並びにイツリ地区において事実上国家権力を及ぼすことによって、文民(人道支援要員を含む。)の安全を確保するために最善を尽くすことを要求する。
9 同理事会が、決議第千五百六十五号によって、外国人戦闘員を武装解除させ、武装解除した外国人戦闘員及びそれらの家族の自主的な帰還を容易にするために、コンゴ民主共和国軍が主導する活動を支援する権限をMONUCに与えたことを想起する。
10 この関連で、事務総長に対し、すべての利害関係者、特に国家統一暫定政府と緊密に協調して、適用し得る国際法の規範並びに人間の権利及び自由の尊重に従い、軍事的、政治的、経済的及び司法に関連する観点(MONUCの現行の権限の範囲内の貢献を含む。)を組み入れて、外国人戦闘員の武装解除、帰還及び再定住のための包括的かつ統合された戦略を、同理事会の検討のために二千六年三月十五日までに同理事会に提出するよう要請する。
11 決議第千五百六十五号のとおり、いかなる外国人又はコンゴ人の武装集団であれ政治的プロセスを脅やかすために武力を行使しようと試みることを抑止し、切迫した身体的暴力の脅威にさらされている文民の保護を確保するため、MONUCが、その能力の範囲内で、かつ、その武装部隊が配備されている地域において、必要なあらゆる手段を用いる権限を付与されていることを強調する。
12 国家統一暫定政府に対し、コンゴ民主共和国軍及び国家警察の迅速な統合を通じ、特に要員に対する適切かつ時宜を得た給与の支払い及び後方支援の確保によって、とりわけコンゴの領域において活動する武装集団が武装解除を促進できるようにするとの観点から、中部アフリカ地域に対する安全保障理事会ミッションの報告書において言及された欧州安全保障会議による勧告を適切に留意しつつ、治安部門の改革を実行するよう要求する。
13 ドナー・コミュニティに対し、緊急に処理を要する事項として、コンゴ民主共和国軍及び国家警察の統合、訓練及び装備に必要な援助の提供への確固たる取り組みを継続するとの要請を再度強調し、国家統一暫定政府に対し、この目的のために協力を円滑化し迅速化するすべての可能な手段を推進するよう要求する。
14 事務総長に対し、三カ国プラス合同委員会において、ブルンジ、コンゴ民主共和国、ルワンダ及びウガンダを代表する閣僚が安全保障理事会議長に発出した二千五年十月二十一日付書簡に関する所見及び必要と判断される場合には勧告を提出するよう要請する。
15 ウガンダ、ルワンダ、コンゴ民主共和国及びブルンジの政府が、決議第千四百九十三号及び第千五百九十六号により課せられ、決議第千六百十六号により更新された武器禁輸措置の違反への支援又は地域に存在する武装集団の活動への支援において自国の領域が使用されないようにするために措置をとることを要求する。
16 さらに、コンゴ民主共和国に隣接するすべての国及び国家統一暫定政府が、コンゴの天然資源の違法な採掘に対するあらゆる種類の支援を、特にそのような天然資源の自国の領域の通過を防止することによって妨げることを要求する。
17 関係国、特に地域の国に対し、自国の領域に存在する外国人武装集団の政治的及び軍事的指導者について追加的な措置をとる(必要な場合、裁判にかけるための措置をとること又は国際協力及び司法共助の適切な措置をとることによるものを含む。)ことを要請する。
18 コンゴ民主共和国当局に対する人権及び国際人道法の重大な違反を行った者を遅滞なく裁判にかけるとの要請を再度強調し、また、決議第千五百六十五号に定めるとおり、MONUCの権限がこれらの者を裁判にかけるための努力に協力することを含んでいることを再度強調する。
19 すべての当事者が、特に依然拘束されていない被告の逮捕及び移送に関し、アルーシャのルワンダ国際刑事裁判所に全面的に協力することを要求する。
20 この問題に引き続き積極的に関与することを決定する。
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