国際捕鯨取締条約の附表の再編成及び修正に関する件

○外務省告示第第二百三十号

昭和四十八年六月二十五日から同年六月二十九日までロンドンで開催された国際捕鯨委員会第二十五回会合において採択された国際捕鯨取締条約の附表の再編成が効力を生じ、また、昭和四十九年六月二十四日から同年六月二十八日までロンドンで開催された同委員会第二十六回会合において採択された同条約の附表の修正は、同条約第五条3の規定に従い、同年十月二日にすべての締約政府について効力を生じた。

従つて、同条約の附表は以下のとおりとなつた。

(昭和四十九年八月十六日及び十月三日付国際捕鯨委員会書記長回章)

昭和四十九年十二月二十四日

外務大臣 宮澤 喜一

附表

Ⅰ 解釈

1 次の用語は、それぞれ定められた意味を有する。すなわち、「ひげ鯨」とは、口内にひげ又は鯨骨を有する鯨(すなわち歯鯨以外の鯨をいう。)

「しろながす鯨」(バラエノプテラ・ムスクルス又はシバルドゥス・ムスクルス)とは、ブルー・ホエール、シボルズ・ロークァル又はサルファー・ボトムの名で知られる鯨をいう。

「にたり鯨」(バラエノプテラ・エディニ又はブリディ)とは、ブラィズ・ホエールの名でしられる鯨をいう。

「ダヴァル」とは、漂流中を発見された死鯨で請求者のないものをいう。

「ながす鯨」(バラエノプテラ・フィサルス)とは、コモン・フィンバック、コモン・ロークァル・フィンバック、フィナー、フィン・ホエール、ヘリング・ホエール、レーザー・バック又はトルー・フィン・ホエールの名で知られる鯨をいう。

「こく鯨」(ラキアネクテス・グラウクス)とは、グレー・ホエール、カリフォルニア・グレー、デヴィルフィッシュ、ハード・ヘッド、マッセル・ディガー、グレー・バック又はリップ・サックの名で知られる鯨をいう。

「ざとう鯨」(メガプテラ・ノドサ又はメガプテラ・ノヴアエアングリアエ)とは、バンチ、ハンプバック、ハンバック・ホエール、ハンプバックト・ホエール、ハンブ・ホエール又はハンチバックト・ホエールの名で知られる鯨をいう。

「ミンク鯨」(バラエノプテラ・アクトロストラタ、バラエノプテラ・ダヴィドソニ、バラエノプテラ・フトニ)とは、レッサー・ロークァル、リトル・パイクト・ホエール、ミンク・ホエール、パイクヘディッド・ホエール、又はシャープ・ヘディッド・フィナーの名で知られる鯨をいう。

「せみ鯨」(バラエナ・ミスティケトゥス、エウバラエナ・グラキアリス、エウバラエナ・アウストラリス等及びネオバラエナ・マルギタナ)とは、アトランティク・ライト・ホエール、アークティック・ライト・ホエール、ビスケヤーン・ライト・ホエール、バウヘッド、グレート・ポーラー・ホエール、グリーンランド・ライト・ホエール、グリーンランド・ホエール、ノードケーパー、ノース・アトランティック・ライト・ホエール、ノース・ケープ・ホエール、パシフィック・ライト・ホエール、ピグミー・ライト・ホエール、サザン・ピグミー・ライト・ホエール又はサザン・ライト・ホエールの名で知られる鯨をいう。

「いわし鯨」(バラエノプテラ・ボレアリス)とは、セイ・ホエール、ルドルフィーズ・ロークァル・ポラック・ホエール、又はコールフィッシュ・ホエールの名で知られる鯨をいう。

「まつこう鯨」(フィセテル・カトドン)とは、スパーム・ホエール、スパーマセット・ホエール、カシャロット又はポーット・ホエールの名で知られる鯨をいう。

「歯鯨」とは、あごに歯を有する鯨をいう。

「捕獲した鯨」とは、殺した鯨で、旗を付け又は捕鯨船に縛り付けたものをいう。

「流失した鯨」とは、捕獲した鯨で、母船又は鯨体処理場に引き渡されなかつたものをいう。

Ⅱ 漁期

2⒜ 南緯四十度以南の水域においては、ミンク鯨を除くひげ鯨を捕獲し又は処理するため母船又はこれに附属する捕鯨船を使用することは、禁止する。ただし、十二月十二日から四月七日までの期間(両日を含む。)は、この限りではない。

⒝ まつこう鯨又はミンク鯨を捕獲し又は処理するため母船又はこれに附属する捕鯨船を使用することは、⒞から⒠までの規定に従つて締約政府が許可した場合を除くほか、禁止する。

⒞ 各締約政府は、その管轄下にあるすべての母船及びこれらに附属する捕鯨船に対して、捕鯨船によるまつこう鯨の捕獲又は殺害が許される一解禁期でいずれかの十二箇月間における継続的な八箇月を超えないものを宣言する。ただし、各母船及びこれに附属する捕鯨船に対して、別個の解禁期を宣言することができる。

⒟ 各締約政府は、その管轄下にあるすべての母船及びこれらに附属する捕鯨船に対して、捕鯨船によるミンク鯨の捕獲又は殺害が許される一解禁期でいずれかの十二箇月間における継続的な六箇月を超えないものを宣言する。ただし、

(ⅰ) 各母船及びこれに附属する捕鯨船に対して、別個の解禁期を宣言することができる。

(ⅱ) 前記の解禁期は、必ずしも、⒜の規定に従つて他のひげ鯨のために宣言された期間の全部又は一部を含む必要がない。

⒠ 各締約政府は、その管轄下にある捕鯨船で母船又は鯨体処理場と連絡して作業しないすべてのものに対して、その捕鯨船によるミンク鯨の捕獲又は殺害が許される一解禁期でいずれかの十二箇月間における継続的な六箇月を超えないものを宣言する。この規定にかかわらず、グリーンランドに関する限り、八箇月を超えない継続的な一解禁期を設定することができる。

3⒜ ひげ鯨及びまつこう鯨を殺し又は殺そうとするため鯨体処理場に附属する捕鯨船を使用することは、禁止する。ただし、⒝から⒟までの規定に従つて締約政府が許可した場合を除く。

⒝ 各締約政府は、その管轄下にあるすべての鯨体処理場及びこれらの鯨体処理場に附属する捕鯨船に対して、その捕鯨船によるミンク鯨を除くひげ鯨の捕獲又は殺害が許される一解禁期を宣言する。この解禁期はいずれかの十二箇月間において継続的な六箇月を超えない期間とし、当該締約政府の管轄下にあるすべての鯨体処理場に適用する。ただし、ミンク鯨を除くひげ鯨の捕獲又は処理に使用する同じ締約政府の管轄下にある最寄りの鯨体処理場から千マイルを超える所にあるミンク鯨を除くひげ鯨の捕獲又は処理に使用する鯨体処理場に対しては、別個の解禁期を宣言することができる。

⒞ 各締約政府は、その管轄下にあるすべての鯨体処理場及びこれらの鯨体処理場に附属する捕鯨船に対して、その捕鯨船によるまつこう鯨の捕獲又は殺害が許される一解禁期でいずれかの十二箇月間における継続的な八箇月を超えないものを宣言する。この八箇月の期間は、ミンク鯨を除くひげ鯨について宣言される⒟に定める六箇月の全期間を含むものとする。ただし、まつこう鯨の捕獲又は処理に使用する同じ締約政府の管轄下にある最寄りの鯨体処理場から千マイルを超える所にあるまつこう鯨の捕獲又は処理に使用する鯨体処理場に対しては、別個の解禁期を宣言することができる。

(注) この⒞の規定は、異議申立ての所定の期間内に異議を申し立て、かつ、その異議を撤回しなかつたオーストラリア連邦政府を除くすべての締約政府について千九百五十二年二月二十一日に効力を生じた。したがつて、同規定は、オーストラリア連邦を拘束しない。

⒟ 各締約政府は、その管轄下にあるすべての鯨体処理場及びこれらの鯨体処理場に附属する捕鯨船に対して、その捕鯨船によるミンク鯨の捕獲又は殺害が許される一解禁期でいずれかの十二箇月間における継続的な六箇月を超えないものを宣言する(この期間は、他のひげ鯨について宣言される⒝に定める期間と必ずしも一致するものではない。)。ただし、ミンク鯨の捕獲又は処理に使用する同じ締約政府の管轄下にある最寄りの鯨体処理場から千マイルを超えた所にあるミンク鯨の捕獲又は処理に使用する鯨体処理場に対しては、別個の解禁期を宣言することができる。

もつとも、ミンク鯨の捕獲又は処理に使用する鯨体処理場であつてその区域の海洋学的状態が同じ締約政府の管轄下にある他の同様の鯨体処理場の区域の海洋学的状態と明らかに区別できるものに対しては、別個の解禁期を宣言することができるが、この規定による別個の解禁期の宣言は、同じ締約政府によつて宣言される諸解禁期を通ずる期間がいずれかの十二箇月間における継続的な九箇月を超えるようにするものであつてはならない。

⒠ この3に規定する禁止は千九百四十六年の捕鯨条約第二条に定義するすべての鯨体処理場及びこの附表10の規定に基づく鯨体処理場の作業を規律する規則に従うすべての母船に適用する。

4 ミンク鯨を除くひげ鯨を処理するために南緯四十度以南の水域において一漁期中に使用した母船をこの漁期の終了から一年間以内に同じ目的のために他の区域(北太平洋及び附属水域において12及び13の規定するとおり捕獲制限が設定されることを北太平洋及び赤道以北のその附属水域を除く。)で使用することは、禁止する。ただし、この4の規定は、鯨の肉又は臓物を人間の食料又は動物の飼料として冷凍し又は塩蔵する目的のためにのみ解禁期中使用された船舶については適用しない。

Ⅲ 捕獲

禁止及び区域

5 しろながす鯨を殺し又は殺そうとすることは、禁止する。

6 ざとう鯨を殺し又は殺そうとすることは、禁止する。この禁止にかかわらず、グリーンランド水域においては、年間、長さが三十五フィート(十・七メートル)以上のざとう鯨十頭を捕獲することは、許可される。ただし、この目的のためには、登録総トン数五十トンに達しない捕鯨船を使用する。

7 こく鯨又はせみ鯨を捕獲又は殺すことは、禁止する。ただし、土局又は土民に代わつて行動する締約政府がこれらの鯨の肉及び生産物を土民の地方的消費のみに用いるためにこれらの鯨を捕獲し又は殺す場合は、この限りではない。

8 稚鯨若しくは乳飲鯨又は稚鯨若しくは乳飲鯨を伴う雌鯨を捕獲し又は殺すことは、禁止する。

9 次の区域では、ミンク鯨を除くひげ鯨を捕獲し又は処理するために母船又はこれに附属する捕鯨船を使用することは、禁止する。

⒜ 北緯六十六度以北の水域。ただし、東経百五十度から東へ西経百四十度までにおいては、母船又は捕鯨船によるひげ鯨の捕獲又は殺害は、北緯六十六度と北緯七十二度との間で許可する。

⒝ 南緯四十度以北の大西洋及びその附属水域

⒞ 南緯四十度と北緯三十五度との間にある西経百五十度以東の太平洋及びその附属水域

⒟ 南緯四十度と北緯二十度との間にある西経百五十度以西の太平洋及びその附属水域

⒠ 南緯四十度以北のインド洋及びその附属水域

10⒜ 当該領水に管轄権を有する政府の許可により⒞に明記する地域のいずれかの領水においてのみ作業する母船でこの政府の国旗を掲げるものは、この作業をする間は、鯨体処理場の作業を規律する規則に従うものとし、母船の作業を規律する規則に従わない。

⒝ このような母船は、それが前記のように作業した捕鯨期の終了から一年以内に、⒞に明記する区域外のいずれかの区域又は南緯四十度以南でひげ鯨を処理するために使用してはならない。

⒞ ⒜及び⒝に規定する区域は、次のとおりである。

㈠ オーストラリアの沿岸、すなわち、東岸の全部並びに北エクスマス湾を含むノースウエストみさきに至るまでのシャーク湾として知られる区域及びオールバニー港を含むキング・ジョージズ・サウンドの西岸

㈡ 北緯三十五度と北緯四十九度との間のアメリカ合衆国の太平洋沿岸

捕獲頭数及び大きさの制限

11 締約政府の管轄下の母船又はこれに附属する捕鯨船によつて解禁期に南緯四十度以南の水域で捕獲されるひげ鯨の数は、千九百七十四年から千九百七十五年までの解禁期において、ながす鯨千頭、いわし鯨(にたり鯨を含む。)四千頭及びミンク鯨七千頭を超えてはならない。ながす鯨の捕獲は、千九百七十六年六月三十日前に停止する。第一区域から第六区域までのうちいずれかの区域における総捕獲頭数は、次の限度を超えてはならない。ただし、いかなる場合においても、区域別捕獲頭数の合計は、総割当てを超えてはならない。

第一区域及び第二区域(西経百二十度から零度まで)

ながす鯨四七五頭

いわし鯨(にたり鯨を含む。)

一、二七五頭

ミンク鯨三、三〇〇頭

第三区域及び第四区域(零度から東経百二十五度まで)

ながす鯨四一六頭

いわし鯨(にたり鯨を含む。)

一、五〇三頭

ミンク鯨四、一四〇頭

第五区域及び第六区域(東経百二十五度から西経百二十度まで)

ながす鯨三〇〇頭

いわし鯨(にたり鯨を含む。)

一、六六四頭

ミンク鯨一、〇六〇頭

ただし、第二区域及び第三区域におけるいわし鯨(にたり鯨を含む。)の捕獲頭数が、それぞれ、八百十頭及び四百九十五頭を超えないことを条件とする。千九百七十五年から千九百七十六年までの解禁期から、割当ては、六の区域又は科学小委員会が行う助言に基づく他の区分に配分する。

(注) 千九百七十六年六月三十日の後におけるながす鯨の捕獲の停止に関する文は、異議申立ての所定の期間内にこの規定に対する異議を申し立てた日本国を拘束しない。

12 北太平洋及びその附属水域(東支那󠄃海を除く。)において捕獲されるながす鯨の数は、千九百七十五年においては、三百頭を超えてはならない。

13 北太平洋及びその附属水域において捕獲されるいわし鯨(にたり鯨を含む。)の数は、千九百七十五年においては、二千頭を超えてはならない。

14 北太平洋及びその附属水域において捕獲されるまつこう鯨の数は、千九百七十五年において、雄は六千頭を、雌は四千頭を超えてはならない。

15 南半球において捕獲されるまつこう鯨の数は、千九百七十四年から千九百七十五年までの母船による捕鯨の解禁期及び千九百七十五年の鯨体処理場による捕鯨の解禁期において、雄は八千頭を、雌は五千頭を超えてはならい。第一区域から第六区域までのうちいずれかの区域における総捕獲頭数は、次の限度を超えてはならない。ただし、いかなる場合においても、区域別捕獲頭数の合計は、総割当てを超えてはならない。

第二区域及び第三区域(西経六十度から東経七十度まで)

二、五四八頭

二、五六三頭

第四区域及び第五区域(東経七十度から西経百七十度まで)

二、七三〇頭

二、一八八頭

第六区域及び第一区域(西経百七十度から西経六十度まで)

三、八二二頭

一、五〇〇頭

16⒜ 長さが四十フィート(十二・二メートル)に達しないいわし鯨又はにたり鯨を捕獲し又は殺すことは、禁止する。ただし、長さが三十五フィート(十・七メートル)以上のいわし鯨及びにたり鯨は、これらの鯨の肉が人又は動物の食料として地方的消費のために使用されることを条件として、鯨体処理場に引き渡すために捕獲することができる。

⒝ 長さが五十七フィート(十七・四メートル)に達しないながす鯨を南半球において捕獲し又は殺すことは、禁止する。また、長さが五十五フィート(十六・八メートル)に達しないながす鯨を北半球において捕獲し又は殺すことは、禁止する。ただし、その肉が人又は動物の食料として地方的消費のために使用されることを条件として、長さが五十五フィート(十六・八メートル)以上のながす鯨を南半球にある鯨体処理場に引き渡すために捕獲すること及び長さが五十フィート(十五メートル)以上のながす鯨を北半球にある鯨体処理場に引き渡すために捕獲することができる。

⒞ 長さが三十フィート(九・二メートル)に達しないまつこう鯨を捕獲し又は殺すことは、禁止する。ただし、北大西洋においては、長さが三十五フィート(十・七メートル)に達しないまつこう鯨を捕獲し殺すことは、禁止する。

Ⅳ 

17⒜ 締約政府の管轄下にある捕鯨船による殺害が2、3、5から7まで、9及び11から15までの規定により禁止されている鯨(締約政府の管轄下にある捕鯨船が殺したものであるかどうかを問わない。)を処理するために母船又は鯨体処理場を使用することは、禁止する。

⒝ 捕獲した他のすべての鯨(ミンク鯨を除く。)は、母船又は鯨体処理場に引き渡す。また、この鯨のすべての部分は、煮沸又は他の方法で加工する。ただし、すべての鯨の内臓、ひげ及び胸びれ、まつこう鯨の肉並びに人の食料又は動物の飼料に充てる鯨の部分の肉を除く。締約政府は、低開発地域においては、例外的に鯨体処理場を使用することなしに鯨を処理することができる。ただし、そのような鯨は、この17の規定に従つて十分利用する。

⒞ 「ダヴァル」及び防げん材として使用する鯨の死体の完全な処理は、これらの鯨の肉又は骨が不良の状態にある場合には、必要でないものとする。

18⒜ 母船によつて処理されるための鯨の捕獲は、殺した時から処理のために引き揚げる時までに、鯨の死体(防げん材として使用する鯨の死体を除く。この鯨の死体は、合理的に実行可能な限り速やかに加工する。)が三十三時間以上海中に置かれないように、母船の船長又は管理人が調整し又は制限する。

⒝ すべての捕鯨船によつて捕獲された鯨には、母船用であると鯨体処理場用であるとを問わず、捕鯨船名が識別され及び捕獲の順序が表示されるように、明白に記号を付ける。

Ⅴ 監督及び取締り

19⒜ 各母船には、二十四時間監督を目的とする少なくとも二人の捕鯨監督官を置く。ただし、母船の機能を有する各捕鯨船には、少なくとも一人の捕鯨監督官を置く。これらの監督官は、母船に対して管轄権を有する政府によつて任命され、給料を支払われる。ただし、これらの監督官は、生産物を貯蔵するかどうかを問わず、人間の食料又は動物の飼料として鯨の肉又は臓物を冷凍し又は塩蔵する目的のためにのみ解禁期中使用された船舶には、任命される必要はない。

⒝ 各鯨体処理場では、十分な監督を行う。各鯨体処理場に勤務する監督官は、鯨体処理場に対して管轄権を有する政府によつて任命され、給料を支払われる。

⒞ 締約国が他の締約国の母船及び鯨体処理場又は鯨体処理場群への配置について取りきめることができる監視員を受け入れる。監視員は、書記長が代行する委員会によつて任命され、自己を指名した政府によつて給料を支払われる。

20 母船、鯨体処理場及び捕鯨船の砲手及び従業員は、報酬が捕獲した種類、大きさ及び生産高のような要素に相当の程度よるものであり、捕獲した鯨の数のみによるものではないという条件で雇用される。乳の充満した鯨又は乳を分泌中の鯨の捕獲については、捕鯨船の砲手又は乗組員に賞与又は他の報酬を支払つてはならない。

21 鯨は、引揚げワイヤー及び抱鯨装置が取り外された後、甲板又は解剖盤に静置したときに、伸縮性のない材料で作られた巻尺で測らなければならない。巻尺の零の方の端は、鯨の一端に並べて甲板又は解剖盤に打ち込むスパイク又は固定装置に取り付ける。スパイクは、尾ひれの岐点に並べて尾ひれに打ち込むこともできる。巻尺は、甲板及び鯨体(例外的な場合を除くほか、鯨体背部に沿うものとする。)に平行して直線に伸ばし、鯨の他の端に並べて目盛を読む。鯨の両端は、測定上、上あごの先端(まつこう鯨については、頭の最先端とする。)及び尾ひれの岐点とする。寸法は、最近値のフィート又は〇・一メートル単位で記入する。すなわち、七十五フィート六インチと七十六フィート六インチとの間の鯨は、七十六フィートと記入し、七十六フィート六インチと七十七フィート六インチとの間の鯨は、七十七フィートと記入する。同様に、十・一五メートルと十・二五メートルとの間の鯨は、十・二メートルと記入し、十・二五メートルと十・三五メートルとの間の鯨は、十・三メートルと記入する。鯨の寸法のうち丁度二分の一フィート又は〇・〇五メートルの部分は、二分の一フィート又は〇・〇五メートル上位に記入する。例えば丁度七十六フィート六インチは、七十七フィートと記入し、丁度十・二五メートルは、十・三メートルと記入する。

Ⅵ 必要とされる資料

22⒜ 母船と連絡して作業するすべての捕鯨船は、次のすべてのものを無線で母船に報告する。

㈠ 各鯨を捕獲した時刻

㈡ その種類

㈢ 18⒝の規定に従つて付けた記号

⒝ ⒜の資料は、母船により直ちに恒久的記録に記入する。その記録は、常に、捕鯨監督官の検査を受けることができるようにしておく。更に、その恒久的記録には、次のすべての資料を入手したときに直ちに記入する。

㈠ 処理のために引き揚げた時刻

㈡ 21の規定に従つて測つた長さ

㈢ 性

㈣ 雌のときは、乳が充満していること又は乳を分泌していること。

㈤ 胎児があるときは、その長さ及び性

㈥ 各違反の十分な説明

⒞ 鯨体処理場は、⒝に定めるものと同様な記録を備えておく。更に、⒝に掲げるすべての資料は、入手したときに直ちにその記録に記入する。

23⒜ 各締約政府の管轄下のすべての母船又はこれに附属するすべての捕鯨船が南緯四十度以南の水域で捕獲したながす鯨、いわし鯨、にたり鯨及びミンク鯨の頭数に関する資料については、各暦週が終わつた後二日以内に、条約第七条による通告をする。ただし、これらの各種類の鯨の頭数が委員会が課する総捕獲頭数の限度の八十五パーセントに達したと国際捕鯨統計局が認めたときは、捕獲したこれらの各種類の鯨の頭数に関する資料についての通告は、各日の終わりに前記のとおり行う。

⒝ いずれかの年の四月七日前に鯨の捕獲が11の規定によつて許された最大量に達すると認められた場合には、国際捕鯨統計局は、これらの各種類の鯨の最大捕獲頭数に達すると認める日を提供された資料を基礎として決定し、この日の四日以前にこの日を各母船の船長及び各締約政府に通告する。こうして通告された母船又はこれに附属する捕鯨船によるひげ鯨の捕獲又は捕獲未遂は、こうして決定した日の午後十二時以後は、南緯四十度以南の水域では違法とする。

⒞ 南緯四十度以南の水域で捕鯨作業に従事する意図を有する各母船については、条約第七条の規定による通告をする。

24 すべての母船及び鯨体処理場については、⒜捕獲した各種の鯨の数、そのうち流失したものの数及び各母船又は鯨体処理場で処理したものの数に関する統計的資料、⒝これらの鯨から得た各品位の油の合計数量及びミール、肥料(グァーノ)その他の生産物の数量に関する統計的資料並びに⒞母船又は鯨体処理場で処理した各鯨に関して捕獲の日及び大体の経緯度、鯨の種類、性及び長さ並びに、胎児があるときは、確かめ得る限り胎児の長さ及び性の詳細について、条約第七条の規定による通告をする。前記の⒜及び⒞に掲げる資料は、実地検数の際に検証する。また、鯨の子を産む場所及び移動についても、委員会に通告する。

これらの資料を通報するに当たつては、次の事項を明記する。

⒜ 各母船の船名及び総トン数

⒝ 母船又は鯨体処理場に附属する各捕鯨船について

(ⅰ) 漁期において捕鯨が許可される日及び捕鯨を停止する日

(ⅱ) 各漁期における漁場滞在日数

(ⅲ) 可能な場所には、各日において鯨の探索、追尾及び捕獲に要した総時間数。ただし、集鯨及び引寄せに要した時間を除く。

(ⅳ) 総トン数、馬力及び長さ並びに探鯨機を備え付けた捕鯨船の表。ただし、引き船としてのみ使用する船舶は、明記しなければならない。

⒞ 当該期間中作業を行つた鯨体処理場の表及び、もしあれば、一日に航空機が探索したマイル数

25 締約政府は、鯨及び捕獲に関するすべての公の法令及び規則並びにこれらの法令及び規則の変更の謄本を委員会に送付する。

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