商業捕鯨の実施等のための鯨類科学調査の実施に関する法律の一部を改正する法律
商業捕鯨の実施等のための鯨類科学調査の実施に関する法律の一部を改正する法律をここに公布する。
令和元年十二月十一日
法律第七十三号
商業捕鯨の実施等のための鯨類科学調査の実施に関する法律の一部を改正する法律
商業捕鯨の実施等のための鯨類科学調査の実施に関する法律(平成二十九年法律第七十六号)の一部を次のように改正する。
題名を次のように改める。
鯨類の持続的な利用の確保に関する法律
第一条中「商業捕鯨の実施等のための鯨類科学調査」を「鯨類の持続的な利用の確保」に改め、「策定、」の下に「鯨類科学調査の」を、「整備」の下に「、捕鯨業の適切かつ円滑な実施のための措置」を加え、「鯨類科学調査を安定的かつ継続的に実施するために必要な事項等を定め、もって商業捕鯨の実施による」を「必要な事項を定め、もって」に改める。
第二条第二項中「これに必要な物資の輸送その他の鯨類科学調査と密接に関連して行われる行為」を「捕鯨業の操業」に改め、同項を同条第四項とし、同条第一項中「鯨類を適切な水準に維持しながら持続的に利用する」を「鯨類の持続的な利用の」に改め、「であって、鯨類の捕獲その他の方法により行うもののうち、この法律の定めるところにより実施されるもの」を削り、同項を同条第二項とし、同項の次に次の一項を加える。
3 この法律において「捕鯨業」とは、鯨類を捕獲する漁業をいう。
第二条に第一項として次の一項を加える。
この法律において「鯨類の持続的な利用」とは、鯨類を適切な水準に維持するようにその保存及び管理を行いながら持続的に利用することをいう。
第三条を次のように改める。
(基本原則)
第三条 鯨類の持続的な利用の確保は、次に掲げる事項を基本として行われるものとする。
一 鯨類科学調査が、次に掲げる事項を旨として実施されること。
イ 主として捕鯨業を鯨類の持続的な利用が確保されるように実施するために必要な科学的知見を得ることを目指して実施されること。
ロ 我が国が締結した条約その他の国際約束及び確立された国際法規に基づき、かつ、科学的知見を踏まえて実施されること。
ハ 必要な研究成果が得られるよう、調査の結果については十分な分析及び研究が行われるとともに、それにより得られた研究成果については、広く公表され、かつ、その提供等により鯨類の持続的な利用の確保に係る国際協力が推進されること。
ニ 必要に応じて国内外の鯨類に関する調査研究機関と連携を図りながら実施されること。
二 捕鯨業に関する施策が、次に掲げる事項を旨として講じられること。
イ 捕鯨業が、捕獲可能量(鯨類の持続的な利用のため、鯨類科学調査の結果その他の科学的根拠に基づき、捕獲の対象とする鯨類の種類ごとに一年間に捕獲することができる頭数の最高限度として算出される頭数をいう。以下同じ。)の範囲内で実施されること。
ロ 捕鯨業が、我が国が締結した条約その他の国際約束及び確立された国際法規に基づき実施されること。
ハ 捕鯨業を取り巻く状況に鑑み、適切な支援により、捕鯨業が円滑に実施されるようにすること。
第四条中「鯨類科学調査についての」を「鯨類の持続的な利用の確保に関する」に、「以下」を「次条第一項において」に、「鯨類科学調査を安定的かつ継続的に実施する」を「鯨類の持続的な利用の確保の」に改める。
第五条第一項中「鯨類科学調査を安定的かつ継続的に実施する」を「鯨類の持続的な利用の確保の」に改め、同条第二項第八号中「鯨類科学調査の安定的かつ継続的な実施」を「鯨類の持続的な利用の確保」に改め、同号を同項第十一号とし、同項第七号を削り、同項第六号中「鯨類科学調査により得られた科学的知見の国内外における普及及び活用」を「鯨類の持続的な利用の確保に係る国際協力の推進」に改め、同号を同項第九号とし、同号の次に次の一号を加える。
十 鯨類の適正な流通の確保等に関する基本的事項
第五条第二項中第五号を第八号とし、第四号を第五号とし、同号の次に次の二号を加える。
六 捕獲可能量の算出等に関する基本的事項
七 捕鯨業の円滑な実施の支援に関する基本的事項
第五条第二項第三号中「ために必要な」を「上で特に重要と認められる」に改め、同号を同項第四号とし、同項中第二号を第三号とし、第一号を第二号とし、同項に第一号として次の一号を加える。
一 鯨類の持続的な利用の確保のための施策の基本的な方向
第五条第三項中「第十三条第一項」を「第十五条第一項」に改める。
第六条第一項中「、実施が必要と認められる鯨類科学調査ごとに」を削り、「より、」の下に「特に重要と認められる」を加え、同条第二項中「おいては」の下に「、前項の鯨類科学調査について」を加え、同項第一号及び第二号中「鯨類科学調査」を「当該鯨類科学調査」に改め、同項第三号を削り、同項第四号中「鯨類科学調査」を「当該鯨類科学調査」に改め、「(鯨類の捕獲により行うものにあっては、その対象とする鯨類の種類及び頭数を含む。)」を削り、同号を同項第三号とし、同項第五号中「鯨類科学調査」を「当該鯨類科学調査」に改め、同号を同項第四号とし、同条第三項中「その概要」を「これ」に改め、同条第四項中「農林水産大臣は、」の下に「鯨類科学調査計画に係る」を加える。
第七条第二項中「指定鯨類科学調査法人は、」の下に「鯨類科学調査計画に係る」を加え、「を実施すること(次条第一項に規定する協力をすることを含む。)」を「の実施(第十一条の捕獲可能量の算出についての協力を含む。次条及び第九条において同じ。)をすること」に改め、同条第三項中「農林水産大臣に、」の下に「鯨類科学調査計画に係る」を加え、「、鯨類科学調査が終了したときは、遅滞なくその結果を報告し」を削る。
第八条を削る。
第九条中「調査実施主体(指定鯨類科学調査法人及び前条第一項の規定により鯨類科学調査を実施する主体とされた者をいう。第十一条において同じ。)」を「指定鯨類科学調査法人」に改め、「おいて、」の下に「鯨類科学調査計画に係る」を加え、同条を第八条とし、同条の次に次の一条を加える。
(国立研究開発法人水産研究・教育機構による鯨類科学調査の実施)
第九条 農林水産大臣は、国立研究開発法人水産研究・教育機構に、鯨類科学調査計画に係る鯨類科学調査の実施に関する業務(指定鯨類科学調査法人が行うものを除く。)を行わせることができる。
第十八条を削る。
第十七条中「第九条」を「第八条」に改め、「整備」の下に「、捕鯨業の円滑な実施の支援」を加え、「鯨類科学調査により得られた科学的知見の国内外における普及及び活用」を「鯨類の持続的な利用の確保に係る国際協力の推進」に、「鯨類科学調査を安定的かつ継続的に実施する」を「鯨類の持続的な利用の確保の」に改め、同条を第十九条とする。
第十六条を削る。
第十五条の見出しを「(鯨類の持続的な利用の確保に係る国際協力の推進等)」に改め、同条第一項を次のように改める。
政府は、鯨類科学調査により得られた科学的知見及び我が国における鯨類の持続的な利用の確保に関する情報の関係する国際機関への提供その他の鯨類の持続的な利用の確保に係る国際協力の推進に努めるとともに、当該科学的知見の国内外における普及及び活用並びに鯨類科学調査の意義に関する国内外における理解の増進のために必要な措置を講ずるものとする。
第十五条第二項中「充実」の下に「、学校給食等における鯨類の利用の促進」を加え、同条を第十七条とし、同条の次に次の一条を加える。
(鯨類の適正な流通の確保等に関する措置)
第十八条 政府は、法令の規定に違反して捕獲された鯨類の流通を防止するため、捕獲された鯨類の個体の識別のための情報の適正な管理、流通に関する調査その他必要な措置を講ずるものとする。
2 政府は、鯨類の加工、販売等を行う事業者その他の関係者に対しその事業等を妨害されることについての不安を生じさせることがないよう必要な措置を講ずるものとする。
第十四条を第十六条とする。
第十三条第一項中「鯨類科学調査ごとに」を「必要に応じ」に、「鯨類科学調査に」を「鯨類科学調査又は捕鯨業に」に改め、同条第二項中「鯨類科学調査に」を「鯨類科学調査又は捕鯨業に」に、「実施する」を「実施し、及び捕鯨業が円滑に実施されるようにする」に改め、同条を第十五条とする。
第十二条中「実施」の下に「又は捕鯨業の操業」を加え、同条を第十四条とする。
第十一条の見出し中「調査実施主体に対する」を削り、同条中「調査実施主体」を「鯨類科学調査を実施する者又は捕鯨業者」に改め、同条を第十三条とする。
第十条中「のための船舶及びその乗組員」を「に当たっての捕鯨業者の協力」に改め、同条の次に次の二条を加える。
(捕獲可能量の算出等)
第十一条 政府は、鯨類の持続的な利用が確保されるように捕鯨業が実施されるようにするため、捕獲可能量の算出、当該捕獲可能量の範囲内で捕鯨業者が一年間に捕獲することができる頭数の設定、これを超える捕獲が行われないことを確保するための措置その他必要な措置を講ずるものとする。
(捕鯨業の円滑な実施の支援)
第十二条 政府は、捕鯨業の円滑な実施を支援するため、捕鯨業の実施のための船舶及びその乗組員の確保の支援、鯨類の捕獲、解体及び保蔵に係る技術の開発及び普及の促進その他必要な措置を講ずるものとする。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から施行する。
(経過措置)
2 この法律の施行の際現にこの法律による改正前の商業捕鯨の実施等のための鯨類科学調査の実施に関する法律第七条第一項の指定を受けている一般社団法人又は一般財団法人は、この法律の施行の日(次項において「施行日」という。)にこの法律による改正後の鯨類の持続的な利用の確保に関する法律(以下「新法」という。)第七条第一項の指定を受けたものとみなす。
3 施行日から新法第六条第一項の鯨類科学調査計画が策定されるまでの間において前項の規定により新法第七条第一項の指定を受けたものとみなされた一般社団法人若しくは一般財団法人又は国立研究開発法人水産研究・教育機構が実施する鯨類科学調査(新法第六条第一項の鯨類科学調査をいう。以下この項において同じ。)であって、農林水産大臣が必要と認めるものは、新法第六条第一項の鯨類科学調査計画に係る鯨類科学調査とみなす。
(検討)
4 政府は、この法律の施行後三年を目途として、新法の施行の状況、捕鯨を取り巻く状況等を勘案し、鯨類の持続的な利用の確保の在り方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
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