北海道歌 (1904年)
歌詞
編集寒潮流 れて北 よりし暖汐走 れり南 より四海 の波 の会 う処 出 すや無比 の海産物 西大陸 の気 は通 い東巨洋 の風 ぞ吹 く世界 の精 の凝 る処 ここぞ無尽 の富源 なる石狩 の川 野 に亘 り後志 の山 天 を衝 き炭砿深 く油泉湧 く あな美 わしの島根 哉 森暗 くして熊叫 び浪高 くして鯨吼 え風蕭々 として水寒 し あな勇 ましの景色 哉 札幌 の原 春立 てば屯田浅 く霞 こめ函館 の湾 秋来 れば弦月淡 し五稜郭 小樽 の夏 の あけぼのに欸乃遠 き真帆 片帆 根室 の冬 の たそがれに雪 ふみわけて鹿 を逐 う- こなたに
望 む率土 ケ浜 雲井 に遠 く仰 ぐなる君 が稜威 に照 らされて日 に新 たなり我 が国土 - あなたに
一葦 隔 つるは恨 みも深 き樺太 の昔 ながらの彼 の山河 今 も朝日 や恋 ぬらん 神風一 たび吹 き出 でて北溟 の鯤 踴 りなば千年 の間 爪 を磨 ぐ彼 の荒鷲 も何 かある- われ
北方 の強 として われ北溟 の鯤 として
いで銅標 を君 がため北辰星下 に移 してん
- 底本:『北海タイムス』明治37年(1904年)11月3日付1面
- 原文は旧字・旧仮名遣い。
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