第一条 本社、北海道北見国常呂郡字クンネップ原野ニ於テ開墾地ノ貸下ヲ受ケシ者ノ合同団体ニシテ拓殖事業ヲ営ムヲ以テ目的トス、但シ未タ貸下ヲ受クルニ至ラサルモノト雖モ現ニ本事業、創立ニ加ハリタル者ハ将来貸下ヲ受クルト否トニ関セス本社員タルノ権義ヲ有ス。

第二条 本社ハ北光社ト称シ、本部ヲクンネップ開墾地ニ設置ス、将来他ノ原野貸下ヲ受クルトキハ支部ヲ設置スルコトアルヘシ。

第三条 本社ハ資本金九万円トシ、各社員ハ左ノ割合ヲ以テ順次出金スルモノトス、但シ出金期日ヲ滞ルトキハ出金額百円二付一日金四銭/利子ヲ附スヘシ。

第一期出資金百分ノ二十八 明治三十年三月十日限

第二期 全百分ノ十四 全年八月三十一日限

第三期 全百分ノ十七 全三十一年三月十日限

第四期 全百分ノ十七 全年八月三十一日限

第五期 全百分ノ十全三十二年三月十日限

第六期 全百分ノ十 全年八月三十一日限

第七期 全百分ノ四 全三十三年三月十日限

(各年度共二回分納)

各社員ノ出資金へ本人ノ申出ニョリ別ニ之ヲ定ム。

第四条 本社ニ正副社長各一名、理事、事務員各若干名ヲ置ク、又農業教師、臨時雇員ヲ置クコトアルヘシ。

第五条 正副社長、本規約書、起業設計書、仝方法書、移住民規則及総会決議ノ範囲内ニ於テ本社ノ営業財産一切ヲ管理執行スルノ責ニ任シ諸役員及農場移住民ノ服務課業ヲ指揮監督シ、本社事業ニ付本社員又、本社ヲ代表シテ他ト契約ヲ結と処分行為ヲ施行スル等一切ノ代理権限ヲ有スルモノトス、若シ職務上ニ付正副社長意見ヲ異ニシタル場合緊急施行ヲ要スルモノへ社長ノ意見ヲ以テ次期総会迄仮リニ執行ス。理事、農業教師、事務員、雇員へ正副社長ノ指揮ヲ受ケ各任務分掌シ、又其命ニ依リ一部ノ事件付本社ヲ代表シ他ト契約取引ヲ為スコトヲ得。

第六条 本社員へ出資金五百円毎ニ各一個ノ投票権ヲ有スルモノトス。

第七条 本社へ毎年一回定期総会ヲ開ク、又臨時緊急ヲ要スル場合へ臨時総会ヲ開クコトアルヘシ。定期総会へ総社員ノ出席ヲ要セス、代議員三名ヲ出席セシメ各四十個ノ投票権アルモノトシ是レニ正副社長及出席シタル社員ヲ加へテ議会ヲ組織シ、前年度ノ決算報告ヲ認定シ、翌年度ノ経費予算及事業ノ要領ヲ議定ス、臨時総会へ総社員ノ出席ヲ促シ便宜ノ場所ニ於テ開会ス、欠席社員へ他ノ社員ニ代理セシムルコトヲ得へシ、但役員ハ他ノ社員ノ代理ヲ為スコトヲ得ス。

第八条 社長ハ総会ニ於テ議長トナリ議事ノ順備及整理ヲ司リ議事へ出席員ノ多少ニ拘ラス開会シ可否ハ投票権ノ多数ヲ以テ採決シ可否同数ナルトキハ議長之ヲ決ス。定期総会ノ代議員へ協議又、抽籤ヲ以テ予メ出席順序定メ置クト雖モ若シ差支へ出席シ得サルトキハ次順二譲り出 席セシムルモノトス。総会ノ出席員ニ対シテハ旅費支給ス。

第九条 本社役員並二雇員ニ対シテへ左ノ範囲内ニ於テ月俸ヲ支給シ職務上旅行スルトキハ別二定ムル旅費滞在費支給ス。

一 社長 三十五円以上四十円以下

二 副社長 三十円以上三十五円以下

三 理事 十七円以上二十五円以下

四 農業教師 十円以上二十円以下

五 事務員 十円以上二十円以下

六 雇員 三円以上二十円以下

第十条 本社役員ニ対シテハ本社拓殖事業凡ソ予定設計通リ成功スルニ於テム営業末年度に至リ報酬トシテ成墾地総高百分ノ十二ノ標準ヲ以テ其耕地ヲ分与ス、其役員各個ニ対スル分配差等標準、大概ネ左ノ如シ。

一 社長 一名一位ニ対スル百分ノ三十

二 副社長 一名 仝上百分ノ二十五

三 理事 一名 仝上百分ノ十八

四 農業教師並事務員 一名 仝上百分ノ十五

五 将来分与ヲ要スル時ノ予備 全上百分ノ十二

分配等差方法ハ譬へハ社長一名、副社長一名、理事三名、農業教師一名、事務員一五名ナル時ハ社長三十、副社長二十五、理事五十四、農業教師十二、事務員五十、予備五ノ分合計百七十六ヲ以テ報酬地総高ヲ割リテ各役員分配標準分数ニ応シ分割ス。

前記報酬地ニ対シテハ凡ソ成墾地十分一ノ薪炭用地ヲ附与ス。

第十一条 各社員ニ対シ前条ノ報酬分与ヲ為スニハ創業以来本社営業年期間動続シタルモノニ限ルト雛モ満一ヶ年以上勤続シ病気其他真正止能へサル事故ニヨリ解任シタル者又ハ本社ノ都合ヲ以テ中途就任シ成へ解任シタルモノニ対シテハ在動ノ年割ヲ以テ報酬地ヲ分与ス。

第十二条 附属事業ノ収入金、毎年定期総会ニ於テ収支決算報告及ヒ拓殖事務整理ノ模様ト右収入事務ノ状況ト参照シ経済上不都合ナキ時ハ之ニ要シタル役員以下ノ給料及ヒ諸費ヲ引去リ純益金アラハ其純益金五分ノ一ノ範囲ヲ以テ役員以下定雇員二賞与金ヲ給ス、其割合、五分ノ四役員ニ五分ノ一定雇員=各其年度/俸給額ヲ標準トシ支給ス、尤を定雇員一名ノ受クル額ハ事務員一名ノ受クル額ヲ超過スルコトヲ得ス。

第十三条 本社ノ営業年限、起業後十ヶ年間ト定メ末年二至 リテ本社所得/耕宅地林地新炭用地其他ノ資産一切ヲ計算シ各社員ノ出資ニ対シテ分配又営業末年至ラスト雖モ毎年度収支決算残金、翌年度/経費予算に差支へサル限リハ各社員へ配当スルモノトス。

第十四条 本社二於テ移住民、役員、各社員間二成墾地及ヒ薪炭用地ノ所有権ヲ分割処分ヲナスニハ凡テ公平ヲ旨トシ土質ノ良否其他一切土地ノ便否得失ヲ参酌シテ分配区間ヲ作リ各受得者ト協議ノ上処分ス若シ協議困難ナル場合ハ抽籤ヲ以テ決定ス。分割施行上ノ細則ハ追テ本社総会於議定スヘシト雖モ本条ノ精神ヲ害スルコトナカルヘシ。

第十五条 本規約、将来実施上ノ便否ニ鑑ミ増補改正スルコトアルヘシト雖モ、各社員、役員、移住民ノ既得権ヲ害スル事ヲ得サルモノトス、本規約及移住民規則、増補改正手続、総会ニ於テ議決ノ上各社員へ通知シ投票権総数四分ノ三以上ノ同意ヲ以テ確定スルモノトス。

以上

この作品は1929年1月1日より前に発行され、かつ著作者の没後(団体著作物にあっては公表後又は創作後)100年以上経過しているため、全ての国や地域でパブリックドメインの状態にあります。