創世記1 (文語訳ルビ付)

<聖書<文語訳旧約聖書 (ルビ付)

舊新約聖書 [文語]』日本聖書協会、1953年
明治元訳聖書
創世記

第1章 編集

1元始はじめかみ天地てんち創造つくりたまへり 2定形かたちなく曠空むなしくして黑暗やみわだおもてにありかみれいみづおもておほひたりき

3かみひかりあれといひたまひければひかりありき 4かみひかりよしたまへりかみひかりやみわかちたまへり

5かみひかりひるなづやみよるなづけたまへりゆふありあさありきこれはじめなり

6かみいひたまひけるはみづなか穹蒼おほぞらありてみづみづとをわかつべし 7かみ穹蒼おほぞらつくりて穹蒼おほぞらしたみづ穹蒼おほぞらうへみづとをわかちたまへりすなはかくなりぬ

8かみ穹蒼おほぞらてんなづけたまへりゆふありあさありきこれ二日ふつかなり 9かみいひたまひけるはてんしたみづ一處ひとところあつまりてかわけるつちあらはるべしとすなはかくなりぬ

10かみかわけるつちなづみづ集合あつまれるをうみなづけたまへりかみこれよしたまへり

11かみいひたまひけるは靑草あをくさ實蓏たねしやうずる草蔬くさ其類そのるゐしたがむすびみづからたねをもつところむす發出いだすべしとすなはかくなりぬ

12靑草あをくさ其類そのるゐしたが實蓏たねしやうずる草蔬くさ其類そのるゐしたがむすびてみづからたねをもつところ發出いだせりかみこれをよしたまへり

13ゆふありあさありきこれ三日みつかなり 14かみいひたまひけるはてん穹蒼おほぞら光明ひかりありてひるよるとをわかまた天象しるしのため時節ときのためのためとしのためになるべし

15またてん穹蒼おほぞらにありててらひかりとなるべしとすなはかくなりぬ 16かみふたつおほいなるひかりつくおほいなるひかりひるつかさどらしめちひさひかりよるつかさどらしめたまふまたほしつくりたまへり

17かみこれをてん穹蒼おほぞらおきてらさしめ 18ひるよるつかさどらしめひかりやみわかたしめたまふかみこれをよしたまへり

19ゆふありあさありきこれ四日よつかなり 20かみいひたまひけるはみづには生物いきものさはしやうとりてん穹蒼おほぞらおもてうへとぶべしと

21かみおほいなるうをみづさはしやうじてうごすべて生物いきもの其類そのるゐしたがひて創造つくまた羽翼つばさあるすべてとり其類そのるゐしたがひて創造つくりたまへりかみこれよしたまへり

22かみこれしゆくしていはうめ繁息ふえうみみづ充牣みてまた禽鳥とり蕃息ふえよと

23ゆふありあさありきこれ五日いつかなり

24かみいひたまひけるは生物いきもの其類そのるゐしたがひいだ家畜かちく昆蟲はふものけもの其類そのるゐしたがひいだすべしとすなはかくなりぬ

25かみけもの其類そのるゐしたがひつく家畜かちく其類そのるゐしたがひつくすべて昆蟲はふもの其類そのるゐしたがひつくたまへりかみこれよしたまへり

26かみいひたまひけるは我儕われらかたどりて我儕われらかたちごとくに我儕われらひとつくこれうみうを天空そらとり家畜かちく全地ぜんちところすべて昆蟲はふものをさめしめんと

27かみそのかたちごとくにひと創造つくりたまへりすなはかみかたちごとくにこれ創造つくりこれをとこをんな創造つくりたまへり

28かみ彼等かれらしゆくかみ彼等かれらいひたまひけるはうめ繁殖ふえ滿盈みてこれ服從したがはせよまたうみうを天空そらとりうごところすべて生物いきものをさめよ

29かみいひたまひけるはわれ全地ぜんちおもてにある實蓏たねのなるすべて草蔬くさたねある木果このみすべてとを汝等なんぢらあたふこれはなんぢらのかてとなるべし

30またすべてけもの天空そらすべてとりおよびすべてものなどおよ生命いのちあるものにはわれ食物しよくもつとしてすべてあをくさあたふとすなはかくなりぬ

31かみそのつくりたるすべてものたまひけるにはなはよかりきゆふありあさありきこれ六日むいかなり

第2章 編集

1かく天地てんちおよびその衆群しうぐんことごとなり2第七日なぬかめかみそのつくりたるわざをへたまへりすなはそのつくりたるわざをへ七日なぬか安息やすみたまへり

3かみ七日なぬかしゆくしてこれ神聖きよめたまへりかみその創造つくりなしたまへるわざことごとをへこの安息やすみたまひたればなり

4ヱホバかみてんつくりたまへる天地てんち創造つくられたるその由來ゆらいこれなり

5すべて灌木いまにあらずすべて草蔬くさいまだしやうぜざりきはヱホバかみあめふらせたまはずまた土地つちたがへひとなかりければなり

6きりよりのぼりて土地つちおもてあまねうるほしたり 7ヱホバかみつちちりもつひとつく生氣いのちのいきそのはな嘘入ふきいれたまへりひとすなは生靈いけるものとなりぬ

8ヱホバかみエデンのひがしかたそのまうけそのつくりしひと其處そこおきたまへり

9ヱホバかみみる美麗うるはしくらふに各種もろもろ土地つちよりしやうぜしめまたそのなか生命いのちおよび善惡ぜんあくしるしやうぜしめたまへり

10かはエデンよりいでそのうる彼處かしこよりわかれてよつみなもととなれり

11その第一だいいちはピソンといふこれきんあるハビラの全地ぜんちめぐものなり 12そのきんまたブドラクと碧玉へきぎょく彼處かしこにあり

13だいかははギホンといふこれはクシの全地ぜんちめぐものなり 14だいさんかははヒデケルといふこれはアッスリヤのひがしながるるものなりだいかははユフラテなり

15ヱホバかみ其人そのひととりかれをエデンのそのこれをさこれまもらしめたまへり

16ヱホバかみ其人そのひとめいじていひたまひけるはその各種すべてなんぢこころのままにくらふことを

17され善惡ぜんあくしるなんぢそのくらふべからずなんぢこれくらにはかならしぬべければなり

18ヱホバかみいひたまひけるはひとひとりなるはよからずわれかれかな助者たすけかれのためにつくらんと

19ヱホバかみつちすべてけもの天空そらすべてとりつくりたまひてアダムのこれいかなづくるかをんとてこれかれところひきゐいたりたまへりアダムが生物いきものけたるところみなそのとなりぬ

20アダムすべて家畜かちく天空そらとりすべてけものあたへたりされどアダムにはこれかな助者たすけみえざりき

21ここおいてヱホバかみアダムをふかねむらしめねむりしときその肋骨あばらぼねひとつにくをもて其處そこ填塞ふさぎたまへり

22ヱホバかみアダムよりとりたる肋骨あばらぼねをんなつくこれをアダムのところつれきたりたまへり

23アダムいひけるはこれこそわがほねほねわがにくにくなれこれをとこよりとりたるものなればこれをんななづくべしと

24是故このゆえひとその父母ちちはははなれてそのつま好合二人ふたり一體いつたいとなるべし

25アダムとそのつま二人ふたりとも裸體はだかにしてはぢざりき

第3章 編集

1ヱホバかみつくりたまひし生物いきものなかへびもつと狡猾さがへびをんなひけるはかみまこと汝等なんぢらそのすべてくらふべからずといひたまひしや

2をんなへびいひけるは我等われらそのくらふことを 3されその中央なかある果實をばかみ汝等なんぢらこれくらふべからずまたこれさはるべからずおそらく汝等なんぢらしなんといひたまへり

4へびをんないひけるは汝等なんぢらかならずしぬことあらじ 5かみ汝等なんぢらこれくらには汝等なんぢらひら汝等なんぢらかみごとくなりて善惡ぜんあくしるいたるをりたまふなりと

6をんなみれくらふ美麗うるはしくかつ智慧かしこからんがためしたはしきなるによりてつひその果實とりくらまたこれおのれともなるをつとあたへければかれくらへり

7ここにおいて彼等かれらともひらけ彼等かれらその裸體はだかなるをすなは無花果樹いちじくつづりつくれり

8彼等かれらそのうち清涼すずし時分ころあゆみたまふヱホバかみこゑききしかばアダムとそのつますなはちヱホバかみかほさけそのあひだかくせり

9ヱホバかみアダムをよびこれいひたまひけるはなんぢ何處いづこにをるや 10かれいひけるはわれそのうちなんぢこゑ裸體はだかなるによりおそれてかくせりと

11ヱホバいひたまひけるはなんぢはだかなるをなんぢつげしやなんぢなんぢくらふなかれとめいじたるくらひたりしや

12アダムいひけるはなんぢあたへわれともならしめたまひしをんなかれその果實われにあたへたればわれくらへりと

13ヱホバかみをんないひたまひけるはなんぢがなしたる此事このことなにぞやをんないひけるはへびわれ誘惑まどはしてわれくらへりと

14ヱホバかみへびいひたまひけるはなんぢこれなしたるによりなんぢすべて家畜かちくすべてけものよりもまさりてのろはるなんぢ腹行はらばひ一生いつしやうあひだちりくらふべし

15またわれなんぢをんなあひだおよびなんぢ苗裔すゑをんな苗裔すゑあひだ怨恨うらみおかかれなんぢかしらくだなんぢかれくびすくだかん

16またをんないひたまひけるはわれおほいなんぢ懷姙はらみ劬勞くるしみすべしなんぢくるしみてうままたなんぢをつとをしたひかれなんぢをさめん

17またアダムにいひたまひけるはなんぢそのつまことばききなんぢめいじてくらふべからずといひたるくらひしによりつちなんぢのためにのろはるなんぢ一生いつしやうのあひだ勞苦くるしみそれよりしよく

18つち荊棘いばらあざみとをなんぢのためにしやうずべしまたなんぢ草蔬くさくらふべし

19なんぢかほあせして食物しよくもつくらつひつちかへらんそのなかよりなんぢとられたればなりなんぢちりなればちりかへるべきなりと

20アダムそのつまをヱバとなづけたりかれすべて生物いけるものははなればなり

21ヱホバかみアダムとそのつまのために皮衣かはごろもつくりて彼等かれらせたまへり 22ヱホバかみいひたまひけるは夫人かのひと我等われらひとりごとくなりて善惡ぜんあくされおそらくはかれその生命いのち果實をもりてくら限無かぎりなくいきんと

23ヱホバかみかれをエデンのそのよりいだしそのとりつくられたるところのつちたがへさしめたまへり 24かくかみそのひと逐出おひいだしエデンのそのひがしにケルビムとおのづから旋轉まはほのほつるぎおき生命いのちみち保守まもりたまふ

第4章 編集

1アダムそのつまエバをかれはらみてカインをみていひけるはわれヱホバによりて一個ひとりひとたりと

2かれまたそのおとうとアベルをうめりアベルはひつじものカインはつちたがへものなりき

3のちカインつちよりいづ携來もちきたりてヱホバに供物そなへものとなせり

4アベルもまたそのひつじ初生うひごそのこえたるものたづさへきたれりヱホバ、アベルとその供物そなへもの眷顧かへりみたまひしかども

5カインとその供物そなへものをばかへりたまはざりしかばカインはなはいかかつそのおもてをふせたり

6ヱホバ、カインにいひたまひけるはなんぢなんいかるやなんおもてをふするや 7なんぢもしよきおこなはばあぐることをえざらんやもしよきおこなはずばつみ門戸かどぐちかれなんぢしたなんぢかれをさめん

8カインそのおとうとアベルにものがたりぬ彼等かれらにをりけるときカインそのおとうとアベルにたちかかりてこれころせり

9ヱホバ、カインにいひたまひけるはなんぢおとうとアベルは何處いづこにをるやかれわれしらずわれあにわがおとうと守者まもりてならんやと

10ヱホバいひたまひけるはなんぢなにをなしたるやなんぢおとうとこゑよりわれさけべり

11さればなんぢのろはれて此地このちはなるべし此地このちそのくちひらきてなんぢおとうとなんぢよりうけたればなり

12なんぢたがへすともふたたびそのちからなんぢいたさじなんぢ吟行さまよ流離子さすらひびととなるべしと

13カイン、ヱホバにいひけるはつみおほいにしてふことあたはず 14なんぢ今日けふ斯地このちおもてよりわれ逐出おひいだしたまふわれなんぢかほることなきにいたらんわれ吟行さまよ流離子さすらひびととならんおよわれものわれころさん

15ヱホバかれいひたまひけるはしからずおよそカインをころもの七倍しちばいばつうけんとヱホバ、カインにものかれうたざるため印誌しるしかれあたへたまへり

16カイン、ヱホバのまへはなれでエデンのひがしなるノドのすめ17カインそのつまかれはらみエノクをうめりカインまちそのまちそのしたがひてエノクとなづけたり

18エノクにイラデうまれたりイラデ、メホヤエルをみメホヤエル、メトサエルをみメトサエル、レメクをうめ19レメク二人ふたりつまめとれりひとりはアダとひとりはチラといへ

20アダ、ヤバルをめりかれてんまくすみ家畜かちくところもの先祖せんぞなり

21そのおとうとはユバルとかれことふえとをとるすべてのもの先祖せんぞなり

22またチラ、トバルカインをうめかれあかがねてつもろもろものきたものなりトバルカインのいもうとをナアマといふ

23レメクそのつまたちいひけるはアダとチラよわがこゑけレメクのつまよわがことばいれわれわが創傷いたでのためにひところすわがきづのために少年わかうどころ

24カインのために七倍しちばいばつあればレメクのためには七十七ばいばつあらん 25アダムまたそのつましりかれ男子をとこのこそのをセツとなづけたりかれかみわれにカインのころしたるアベルのかはりにほかたねあたへたまへりといひたればなり

26セツにもまた男子をとこのこうまれたりかれそのをエノスとなづけたり此時このとき人々ひとびとヱホバのよぶことをはじめたり

第5章 編集

1アダムのでんふみこれなりかみひと創造つくりたまひしかみかたどりてこれつくりたまひ

2彼等かれら男女なんによつくりたまへり彼等かれら創造つくられしかみ彼等かれらしゆくしてかれらのをアダムとなづけたまへり

3アダム百三十さいおよびてそのかたちしたがおのれかたどりてそのをセツとなづけたり

4アダムのセツをうみのちよわひは八百さいにして男子なんし女子によしうめ5アダムの生存いきながらへたるよはい都合すべて九百三十さいなりきしかしてしね

6セツ百五さいおよびてエノスをうめ7セツ、エノスをうみのち八百七ねん生存いきながらへて男子なんし女子によしうめ

8セツのよはい都合すべて九百十二さいなりきしかしてしね9エノス九十さいにおよびてカイナンをうめ

10エノス、カイナンをうみのち八百十五ねん生存いきながらへて男子なんし女子によしうめ11エノスのよはい都合すべて九百五さいなりきしかしてしね

12カイナン七十さいにおよびてマハラレルをうめ13カイナン、マハラレルをうみのち八百四十ねん生存いきながらへて男子なんし女子によしうめ

14カイナンのよはい都合すべて九百十さいなりきしかしてしね15マハラレル六十五さいおよびてヤレドをうめ

16マハラレル、ヤレドをうみのち八百三十ねん生存いきながらへて男子なんし女子によしうめ17マハラレルのよはい都合すべて八百九十五さいなりきしかしてしね

18ヤレド百六十二さいおよびてエノクをうめ19ヤレド、エノクをうみのち八百ねん生存いきながらへて男子なんし女子によしうめ

20ヤレドのよはい都合すべて九百六十二さいなりきしかしてしね21エノク六十五さいおよびてメトセラをうめ

22エノク、メトセラをうみのち三百ねんかみとともにあゆ男子なんし女子によしうめ23エノクのよはい都合すべて三百六十五さいなりき

24エノクかみともあゆみしがかみかれをりたまひければをらずなりき 25メトセラ百八十七さいおよびてレメクをうめ

26メトセラ、レメクをうみしのち七百八十二ねん生存いきながらへて男子なんし女子によしうめ27メトセラのよはい都合すべて九百六十九さいなりきしかしてしね

28レメク百八十二さいおよびて男子をとこのこ29そのをノアとなづけていひけるはこのはヱホバののろひたまひしれるわが操作はたらきわが勞苦ほねをりとにつきわれらをなぐさめん

30レメク、ノアをうみのち五百九十五ねん生存いきながらへて男子なんし女子によしうめ31レメクのよはい都合すべて七百七十七さいなりきしかしてしね

32ノア五百さいなりきノア、セム、ハム、ヤペテをうめ

第6章 編集

1ひとおもて繁衍ふえはじまりて女子をんなのここれうまるるにおよべるとき

2かみたちひと女子むすめうつくしきをそのこのところものとりつまとなせり

3ヱホバいひたまひけるはわがみたまながひとあらそはじかれにくなればなりされかれは百二十ねんなるべし

4當時このころにネピリムありきまたそののちかみたちひとむすめところりて子女こどもうましめたりしがそれ勇士ゆうしにして古昔いにしへ名聲あるひとなりき

5ヱホバひとあくおほいなると其心そのこころ思念おもひすべ圖維はかところつねただあしきのみなるをたまへり

6ここおいてヱホバうへひとつくりしことをいてこころうれへたまへり

7ヱホバいひたまひけるは創造つくりしひとわれおもてより拭去ぬぐひさらひとよりけもの昆蟲はふもの天空そらとりにいたるまでほろぼさんわれこれつくりしことをくゆればなりと

8されどノアはヱホバののまへにめぐみたり 9ノアのでんこれなりノアは義人ただしきひとにしてその完全まつたものなりきノアかみともあゆめり

10ノアはセム、ハム、ヤペテのさんにんうめ11ときかみのまへにみだれて暴虐ばうぎやく滿盈ちたりき

12かみみるたまひけるにみだれたりひとみなそのみちをみだしたればなり

13かみノアにいひたまひけるはすべてひと末期をはりわがまへちかづけり彼等かれらのために暴虐ばうぎやくにみつればなりわれ彼等かれらとともに剪滅ほろぼさん

14なんぢ松木まつのきをもてなんぢのために方舟はこぶねつく方舟はこぶねうちつく瀝靑やにをもてその内外うちそとるべし

15なんぢかくこれつくるべしすなはその方舟はこぶねながさは三百キユビトそのひろさは五十キユビトそのたかさは三十キユビト

16また方舟はこぶね導光牖あかりまどつくうへいちキユビトにこれつくあぐべしまた方舟はこぶねそのかたはらまうくべし下牀したかいさんがいとにこれつくるべし

17われ洪水こうずゐおこしてすべ生命いのち氣息いきあるにくなるもの天下てんかより剪滅ほろぼたたにをるものみなぬべし

18されなんぢとはわれわが契約けいやくをたてんなんぢなんぢ子等こらなんぢつまおよびなんぢ子等こらつまとともにその方舟はこぶねるべし

19またもろもろ生物いきものすべにくなるものをばなんぢおのおのそのふたつ方舟はこぶねたづさへいりてなんぢとともにその生命いのちたもたしむべしそれ牝牡めをなるべし

20とり其類そのるいしたがけもの其類そのるいしたがすべて昆蟲はふもの其類そのるいしたがひておのおのふたつなんぢところいたりてその生命いのちたもつべし

21なんぢくらはるるすべて食品くひものなんぢもととりこれなんぢところあつむべしこれすなはなんぢ是等これらもの食品くひものとなるべし

22ノアかくすべかみおのれめいじたまひしごとくしかせり

第7章 編集

1ヱホバ、ノアにいひたまひけるはなんぢなんぢいへみな方舟はこぶねいるべしわれなんぢがこのひとうちにてわがまへただしきたればなり

2すべてきよけもの牝牡めを七宛ななつづつなんぢもときよからぬけもの牝牡めをふたつ

3また天空そらとり雌雄めを七宛ななつづつとりたね全地ぜんちおもていきのこらしむべし

4いま七日なぬかありてわれ四十にち四十やるあめふらしめわれつくりたる萬有あらゆるものおもてより拭去ぬぐひさら

5ノア、ヱホバのすべおのれめいじたまひしごとくなせり 6洪水こうずゐありけるときにノア六百さいなりき

7ノアその子等こらそのつまおよびその子等こらつまとも洪水こうずゐさけ方舟はこぶねにいりぬ

8きよけものきよからざるけものとりおよびすべてもの

9牝牡めを二宛ふたつづつノアにきたりて方舟はこぶねにいりぬかみのノアにめいじたまへるがごと10かくて七日なぬかのち洪水こうずゐのぞめり

11ノアのよはいの六百さいの二ぐわつすなはそのつきの十七にちあたこの大淵おほわだみなもとみなやぶあまひらけて

12あめ四十にち四十そそげり 13このにノアとノアのセム、ハム、ヤペテおよびノアのつまその子等こらの三にんつま諸倶もろとも方舟はこぶねにいりぬ

14彼等かれらおよびすべてけものそのるゐしたがすべて家畜かちく其類そのるいしたがすべ昆蟲もの其類そのるいしたがすべてとりすなは各樣もろもろたぐひとりみな其類そのるいしたがひてりぬ

15すなは生命いのち氣息いきあるもろもろにくなるもの二宛ふたつづつノアにきたりて方舟はこぶねにいりぬ

16いりたるものもろもろにくなるもの牝牡めをにしてみないりぬかみかれめいじたまへるがごとしヱホバすなはかれ閉置とぢこめたまへり

17洪水こうずゐ四十にちにありきここにおいてみづ方舟はこぶねうかめて方舟はこぶねうへたかくあがれり

18しかしてみづ瀰漫はびこりておほいしぬ方舟はこぶねみづおもてただよへり

19みづはなはだおほい瀰漫はびこりければてん高山たかやまみなおほはれたり 20みづはびこりて十五キユビトにのぼりければ山々やまやまおほはれたり

21おほようごにくなるものとり家畜かちくけものすべて昆蟲ものおよびひとみなしね

22すなはおほよそのはな生命いのち氣息いきのかよふものすべ乾土くがにあるものしね

23かくつち表面おもてにある萬有あらゆるものひとより家畜けもの昆蟲はふもの天空そらとりにいたるまでことごと拭去ぬぐひさりたまへり是等これらより拭去ぬぐひさられたりただノアおよびかれとともに方舟はこぶねにありしもののみのこれり

24みづ百五十にちのあひだにはびこりぬ

第8章 編集

1かみノアおよびかれとともに方舟はこぶねにあるすべて生物いきものすべて家畜かちく眷念おもひたまひてかみすなはかぜうへふかしめたまひければみづりたり

2またわだみなもとあま閉塞とぢふさがりててんよりのあめやみ3ここおいみづ次第しだいより退しりぞき百五十にちてのちみづ

4方舟はこぶねは七ぐわついたそのつきの十七にちにアララテのやまとどまりぬ 5みづ次第しだいへりて十ぐわついたりしが十ぐわつ月朔ついたち山々やまやまいただきあらはれたり

6四十にちてのちノアその方舟はこぶねつくりしまどひらき7からす放出はなちけるがみづかるるまで往來ゆききしをれり

8かれおもてよりみづ減少ひきしかをんとてまた鴿はと放出はなちいだしけるが

9鴿はとそのあしうらとどむべきところずしてかれかへりて方舟はこぶねいたれりみづ全地ぜんちおもてにありたればなりかれすなはそののべこれとら方舟はこぶねうちにおのれのところ接入ひきいれたり

10なほまた七日なぬかまちふたた鴿はと方舟はこぶねより放出はなちけるが 11鴿はとくれにおよびてかれかへれりそのくち橄欖かんらん新葉わかばありきここおいてノアよりみづ減少ひきしをしれり

12なほまた七日なぬかまちて鴿はと放出はなちけるがふたたかれところかへらざりき

13六百一ねんの一げつ月朔ついたちみづかれたりノアすなは方舟はこぶねおひのぞきてしにつちおもてかはきてありぬ

14ぐわつの二十七にちいたりてかわきたり 15ここかみノアにかたりていひたまはく

16なんぢおよびなんぢつまなんぢ子等こらなんぢ子等こらつまともに方舟はこぶねいづべし

17なんぢとともにあるもろもろにくなるすべて生物いきものもろもろにくなるものすなはとり家畜かちくおよびすべて昆蟲はふものひきゐいでよこれおほ生育そだちうへうみかつ殖増ふえますべし

18ノアとその子等こらそのつまおよびその子等こらつまともにいでたり 19すべてけものすべて昆蟲はふものおよびすべてとりなどおようごもの種類しゆるゐしたがひて方舟はこぶねよりいでたり

20ノア、ヱホバのためにだんきづもろもろきよけものもろもろきよとりとり燔祭はんさいだんうへささげたり

21ヱホバそのかうばしにほひぎたまひてヱホバそのこころいひたまひけるはわれふたたひとゆゑよりのろふことをせじひとこころ圖維はかるところその幼少時おさなきときよりしてあしかればなりまたわれかつなしたるごとふたたもろもろいけものほろぼさじ

22のあらんかぎりは播種時たねまきどき收穫時かりいれどき寒熱さむさあつさ夏冬なつふゆおよびひるよるやむことあらじ

第9章 編集

1かみノアとその子等こらしゆくしてこれいひたまひけるはうめ増殖ふえ滿みて

2すべて獸畜けもの天空そらすべてとりすべてものうみすべてうを汝等なんぢらおそ汝等なんぢらをののかん是等これら汝等なんぢらあたへらる

3おほよいけ動物どうぶつ汝等なんぢらしよくとなるべし菜蔬あをもののごとくわれこれみな汝等なんぢらあた

4されにくその生命いのちなるそののままにくらふべからず 5汝等なんぢら生命いのちながすをばわれかならたださんけものこれをなすもひとをこれをすもわれたださんおほよひと兄弟きやうだいひと生命いのちとらわれただすべし

6おほよひとながものひとそのながさんかみかたちのごとくにひとつくりたまひたればなり

7汝等なんぢらうめ増殖ふえおほくなりてそのうち増殖ふえ8かみノアおよびかれともにあるその子等こらつげいひたまひけるは

9われ汝等なんぢら汝等なんぢらのち子孫しそん 10および汝等なんぢらともなるもろもろ生物いきものすなは汝等なんぢらとともなるとり家畜かちくおよびもろもろけもの契約けいやくたてすべ方舟はこぶねよりいでたるものよりもろもろけものにまでいたらん

11われ汝等なんぢら契約けいやくたてすべにくなるものふたた洪水こうずゐたたるることあらじまたほろぼ洪水こうずゐふたたびあらざるべし

12かみいひたまひけるはわれ汝等なんぢらおよび汝等なんぢらともなるすべて生物いきものあひだ世々よよかぎりなくところ契約けいやくしるしこれなり

13われわがにじくもうちおこさんこれわれとのあひだ契約けいやくしるしなるべし

14すなはわれくもうへおこときにじくもうちあらはるべし

15われすなはわれ汝等なんぢらおよびすべにくなるもろもろ生物いきものあひだのわが契約けいやく記念おもはんみづふたたもろもろにくなるものほろぼ洪水こうずゐとならじ

16にじくもうちにあらんわれこれかみにあるすべにくなるもろもろ生物いきものとのあひだなる永遠とこしへ契約けいやく記念おぼえん

17かみノアにいひたまひけるはこれわれにあるもろもろにくなるものとのあひだたてたる契約けいやくしるしなり

18ノアの子等こら方舟はこぶねよりいでたるものはセム、ハム、ヤペテなりきハムはカナンのちちなり 19是等これらはノアのさんにんなり全地ぜんちたみ是等これらよりいで蔓延ひろがれり

20ここにノアの農夫のうふとなりて葡萄園ぶだうばたけつくることをはじめしが 21葡萄ぶだうしゆのみよひてんまくうちにありてはだかになれり

22カナンのちちハムそのちちのかくしどころそとにありし二人ふたり兄弟きやうだいつげたり

23セムとヤペテすなはころもとりともそのかた後向うしろむきあゆみゆきてそのちち裸體はだかおほへり彼等かれらかほうしろにしてそのちち裸體はだかざりき

24ノアさけさめてそのわかおのれなしたることれり

25ここおいかれいひけるはカナンのろはれよかれ僕輩しもべらしもべとなりてその兄弟きやうだいつかへん

26またいひけるはセムのかみヱホバはほむべきかなカナンかれしもべとなるべし 27かみヤペテをおほいならしめたまはんかれはセムのてんまく居住すまはんカナンそのしもべとなるべし

28ノア洪水こうずゐのち三百五十ねん生存いきながらへたり 29ノアのよはいすべて九百五十ねんなりきしかしてしね

第10章 編集

1ノアのセム、ハム、ヤペテのでんこれなり洪水こうずゐあと彼等かれら子等こどもうまれたり

2ヤペテのはゴメル、マゴグ、マデア、ヤワン、トバル、メセク、テラスなり 3ゴメルのはアシケナズ、リパテ、トガルマなり 4ヤワンのはエリシヤ、タルシシ、キツテムおよびドダニムなり 5是等これらより諸國くにぐに洲島しまたみ派分わかいでおのおのその方言ことばその宗族やからその邦國くにとにしたがひてそのすめ

6ハムのはクシ、ミツライム、フテおよびカナンなり 7クシのはセバ、ハビラ、サブタ、ラアマ、サブテカなりラアマのはシバおよびデダンなり 8クシ、ニムロデをうめかれはじめて權力ちからあるものとなれり

9かれはヱホバのまへにありて權力ちからある獵夫かりうどなりき是故このゆえにヱホバのまへにあるかの權力ちからある獵夫かりうどニムロデのごとしといふことわざあり

10かれくに起初はじまりはシナルののバベル、エレク、アツカデ、およびカルネなりき 11そのよりかれアッスリヤにでニネベ、レホポテイリ、カラ

12およびニネベとカラのあひだなるレセンをたてたりこれおほいなる城邑まちなり 13ミツライム、ルデびとアナミびとレハビびとナフトびと

14バテロスびとカスルびとおよびカフトリびとうめりカスルびとよりペリシテびといでたり 15カナンその冢子うひごシドンおよびヘテ

16エブスびとアモリびとギルガシびと 17ヒビびとアルキびとセニびと 18アルワデびとゼマリびとハマテびとうめのちいたりてカナンびと宗族やから蔓延ひろがりぬ

19カナンびとさかひはシドンよりゲラルをてガザにいたりソドム、ゴモラ、アデマ、ゼボイムに沿そひてレシヤにまでおよべり 20是等これらはハムの子孫しそんにしてその宗族やからその方言ことばその土地とちその邦國くにしたがひてりぬ

21セムはヱベルのすべて子孫しそん先祖せんぞにしてヤペテのあになりかれにも子女こどもうまれたり 22セムのはエラム、アシユル、アルパクサデルデ、アラムなり

23アラムのはウヅ、ホル、ゲテル、マシなり 24アルパクサデ、シラをみシラ、エベルをうめ25エベルに二人ふたりうまれたり一人ひとりをペレグ(わかれ)といふかれ邦國くにわかれたればなりそのおとうとをヨクタンと

26ヨクタン、アルモダデ、シヤレフ、ハザルマウテ、ヱラ 27ハドラム、ウザル、デクラ 28オバル、アビマエル、シバ 29オフル、ハビラおよびヨバブをうめ是等これらみなヨクタンのなり 30彼等かれら居住所すめるところはメシヤよりして東方ひがしやまセバルにまでいたれり

31是等これらはセムの子孫しそんにしてその宗族やからその方言ことばその土地とちその邦國くにとにしたがひてりぬ

32是等これらはノアの宗族やからにしてその血統ちすぢその邦國くにしたがひてりぬ洪水こうずゐのち是等これらより邦國くにぐにたみ派分わかいでたり

第11章 編集

1全地ぜんちひとつ言語ことばひとつおんのみなりき 2ここ人衆ひとびとひがしうつりてシナルの平野ひらの其處そこ居住すめ

3彼等かれらたがひいひけるは去來いざ甎石かはらつくこれやかんとつひいしかはり甎石かはら灰沙しつくひかはり石漆ちやんたり

4またいひけるは去來いざまちたふとをそのたふいただきてんにいたらしめんかくして我等われらあげ全地ぜんち表面おもてることをまぬかれんと

5ヱホバ降臨くだりてかの人衆ひとびとたつまちたふとをたまへり 6ヱホバいひたまひけるはたみひとつにしてみなひとつ言語ことばもちいますでこれはじめたりされすべそのなさんと圖維はかこと禁止とどられざるべし

7去來いざ我等われらくだ彼處かしこにて彼等かれら言語ことばみだたがひ言語ことばつうずることをざらしめんと

8ヱホバつひ彼等かれら彼處かしこより全地ぜんち表面おもてちらしたまひければ彼等かれらまちたつることをやめたり

9是故このゆえそのはバベル(淆亂みだれ)とばるはヱホバ彼處かしこ全地ぜんち言語ことばみだしたまひしによりてなり彼處かしこよりヱホバ彼等かれら全地ぜんちおもてちらしたまへり

10セムのでんこれなりセム百さいにして洪水こうずゐのちの二ねんにアルパクサデをうめ11セム、アルパクサデをうみのち五百ねん生存いきながらへて男子なんし女子によしうめ

12アルパクサデ三十五さいおよびてシラをうめ13アルパクサデ、シラをうみのち四百三ねん生存いきながらへて男子なんし女子によしうめ

14シラ三十さいにおよびてエベルをうめ15シラ、エベルをうみのち四百三ねん生存いきながらへて男子なんし女子によしうめ

16エベル三十四さいにおよびてペレグをうめ17エベル、ペレグをうみのち四百三十ねん生存いきながらへて男子なんし女子によしうめ

18ペレグ三十さいにおよびてリウをうめ19ペレグ、リウをうみのち二百九ねん生存いきながらへて男子なんし女子によしうめ

20リウ三十二さいにおよびてセルグをうめ21リウ、セルグをうみのち二百七ねん生存いきながらへて男子なんし女子によしうめ

22セルグ三十ねんにおよびてナホルをうめ23セルグ、ナホルをうみしのち二百ねん生存いきながらへて男子なんし女子によしうめ

24ナホル二十九さいおよびてテラをうめ25ナホル、テラをうみのち百十九ねん生存いきながらへて男子なんし女子によしうめ

26テラ七十さいおよびてアブラム、ナホルおよびハランをうめ