利用者:Kzhr/明治初期戯作年表

石川巖撰「〈書物往来叢書〉明治初期戯作年表」從吾所好社、1927。

日本文学研究資料刊行会『〈日本文学研究資料叢書〉日本近代文学の書誌-明示編』有精堂出版、1982、pp.1-80所収。

著者は1947年歿。題名に見られる組文字は〔〕、振り仮名は()、入力者註は《》、字の大きさの下げは[]、を以て示した。附された註は、底本では行替えを行ってから示すが、本入力では表の中に納めた。挿絵、目次は一往省いた。

〔明治初期〕戲作年表

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例言

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一、本年表は明治元年以降二十年前後迄の戲作雜著を五種(翻譯小說、合卷式草双紙、新舊小說、花街風俗、戯文雜著)に類別して、一部の明治初期文化の一大鳥瞰圖たらしめんと期したものである。

一、各部門の類別に就てはその都度各部類の首めに二三の詞書を費やしてあるから再說を省く。插繪の取材はなるべく代表的の物を撰びたかつたが、實物が手許になかつたり、有名なものでも餘り知れ亘つたものは割愛し、代りに有名ならざる珍奇なもの、得難きもの、保存よきものは努めて採つた傾きがある。

一、所收書目は原則として單行本となつて發表されたものゝみを採り新聞雜誌丈の所載に止まるものは本年表には採らなかつた。但し新聞雜誌のみをもつてやゝ年表らしき旣刊類書に高木文氏の「明治全《全に△の圏点》小說戯曲大觀」と號する書名と內容のそぐはぬ嫌な本だが、この方面で多少の參考にはならうから、倂見する必要はあらう。

一、本年表は編者數年閒の收穫を公表するもので、尙ほ幾多の遺漏誤脫は免れまいから、それ等はよろしく篤志家から訂して頂きたい。特に編者の淺學無能を表白した一事は、卷首五頁「伊蘇普物語」の畫者の一人藤澤梅南を知らず、插畫の署名にハイカラにも羅馬綴りで BYNAN とあつたのを外人と見誤りビナンとした如きは失態の大なるもので(卷首の插畫參照《底本には見られない》)ある。かゝるたぐひの册子は無論永久的に存在し行く可能性のものもあらうが、中には消えて亡くなるのも尠くなからうし、假令消滅されても惜くはない代物ではあるが、せめて書名や人名位は後の世の爲め、現代の記錄にとゞめて置く必要があらうといふもの、殊に文化發展の蹤を尋ぬる上に多少の役立が出來れば編者の望みは足れりである。年表に插畫は無用の長物であるが、これも編者が他の出版屋の如く顧客の歡心や賣行の打算を念頭に有たない我儘出版屋として、徹頭徹尾吾が好む所《「吾が好む所」に△の圏点3つ》の趣味に殉ぜんとする一徹な出版慾に過ぎない。これといふも一に古書を懷む吾が佛尊しとする自慰に過ぎないかも知れないが。

一、第五種類戯作雜著の部に音曲歌謠に關するものを除き、その他は戯文と思はれるもの殆收錄した積りである。

一、本年表には全部の書名索引を附する積りで原稿の儘印刷出來なかつたは殘念であるが、發行が意外に後れたので、それ等は再販の折に讓ることにした。

 終りに本年表作成に就て、大阪の山崎金男氏愛書趣味の齋藤昌三氏より原本の借覽を、柳田泉氏よりは有益な助言を與へられしことを嬉く思ふものである。

昭和二年明治節前夜校了 編者

翻譯小說

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はしがき

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本年表は明治五年より二十二年で終つてゐる。未だ幾十種類が殘されてゐるかも知れないが、現在としては最善の努力を盡した積りである。現にこの年間に出たと思はれる幾種類か帝國圖書館に藏されてゐる筈であるが、カードにはチヤンと番號まで判つてゐるに拘らず行方不明本である。故朝倉龜三氏の言に依れば、當時下らぬものと見做し且つ製本始末に厄介視し、壞れ本は燒棄したといふに至つては亂暴狼藉と言はざるを得ない。本稿に(未見)とあるのは大槪該圖書館目錄に據つたものである。他は殆ど拙藏本を中心に、二三知人の所藏本を參照して作成したものである。

本年表に小說と限つてはあるが、中には小說として如何かと思はれるもの二三含んで居る。例へば上條信次の「後世夢物語」や丹羽純一郞の「龍動新繁昌記」田島象二の「西國烈女傳」杣田策太郞の「烈女之疑獄」等の如きは啓蒙學術書若くは傳記類に過ぎないかも知れないが、比較的出版年月の早いので省くのも惜い氣がして姑く加へることにした。表中【和】とあるは裝幀の和綴を示し、其他は全部洋裝本四六判がその大部分で、和裝には四六判と菊判の伯仲の閒にあるやうであるが、尙ほ本文にその旨明記して置いた。

又翻譯出版年代は二册以上數册に渉つてある場合は、最初に刊行した出版年月をもつてその年に入れて、他は採らない。其時代の刊行物の常例として、版權免許と發行年月とは大槪一年若くは半年位、甚しきは數年を隔つものも珍しくないのも記憶すべき事項の一つである。

合卷式小說

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本年表は明治元年より十九年迄を牧《ママ。收か》む。但し幕末刊行の長編の續物が明治六七年ごろまで發行されてゐるが、それ等はこの年表には採らなかつた。こゝにいふ合卷式とは、原則として上中下三册を一編として二編乃至三編九册が普通で、四編十二册、五編十五册、若くは八篇二十四册(高橋お傳夜叉譚)の如きは明示合卷の最長編として特筆するに足る。中には二編四册のもあるが、それ等は殆ど稀である。この原則は明治十五年までは完全に實行されて來た。そして十三四年が江戶式合卷の出盛る絕頂で、十五年には旣に下り坂で、翌年からは江戶式合卷は殆ど見當らないで、それに代つて出現したのが和洋折衷の東京式合卷とも謂ふべき活字版の和洋紙和裝一册若くは二册讀切が一齊に出て、江戶式合卷を驅逐して仕舞つた觀がある。これより十八九年迄は東京式合卷時代で、それに代つたのが、洋裝本であつた。
因に魯文の『西洋道中膝栗毛』式の滑稽本式戯作や、洋式裝幀の新舊二樣小說の內容は兔も角、形式が全然異なつてゐる所から、それ等は別に新舊小說の一項を設けて本表と區別することにした。倂せて參照せられたい。

新舊小說

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本篇には前出の合卷式草双紙以外のものを殆ど網羅した積りであるが、未だ多少の遺漏は免れない。それ等は後日追補して行きたいと思ふ。內容形式から見て判然と區別できるものもあるが、中には容易に鑑別しがたいものも可なりある。例へば舊體小說の最初としては、魯文の「西洋道中膝栗毛」を始めその系統に屬する和裝四六判型の滑稽本もあれば、菊判和裝若くは半紙七八枚の神捻又は絹錦絲大和綴のもある。四六判準洋裝の新體と思はれる明治十二年版「鴛鴦春話」の如き、又翌年版の「民權演義情海波瀾」や十五年版「民權膝栗毛」の如きは共に新舊二樣を兼ぬるものもある。又別に漢文の一體も出て來るといふ明治十年前後の文體は、全く千樣萬態の混沌たる世相その儘の縮寫であると言つてもよいのである。最初新舊二體を別項に區別する積りであつたが、餘り分類に過ぎては却て年表の眞意を沒却することにもなり、檢索にも不便であるからと思つて合卷式草双紙以外は總て本稿に網羅することにした。但し花街風俗及び小說として扱ひ難き雜著赤本的戯作類は別項目の元に便宜類別した。年代は翻譯小說竝に政治小說の凋落期を境に、二十二年で打ち切りとした。が倂し此時期には最早戯作時代は過ぎて、硏友社がそろ〳〵擡頭しかゝつた時代であり、藝術的作品として見るべき諸作が蔚然として現はれるに至つた。それ故本年(廿二年)度に限り戯作と認むべき以外の作品には敬意を表して割愛することにした。例へば「新著百種」の如きはその一例である。

明治三年

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〔萬國航海〕西洋道中膝栗毛 假名垣魯文 萬笈閣  混沌期明治文學の代表作として世に鳴る珍作のひとつ。十一編二十二册迄は魯文の筆、十三編より十五編大尾まで總生寬執筆、明治九年完結。口繪插畫落合芳幾、三世廣重、猩々曉齋等。

四年

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〔牛店雜談〕安愚樂鍋 魯文
芳幾畫
誠之堂  初編一册二編二册、三編二册以下續刊の豫吿をして居るが出なかつたらしい。魯文人氣作の隨一。

花街風俗

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本表には明治七年「柳橋新誌」二編以下二十二年に至る花街風俗に關する硏究資料の重なるものを年次に配列したものである。

戯作雜著

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本表には小說の仲閒に這入らない硬軟の愚著戯作類を明治六年以降國會開設の前後まで掃き寄せたものであるが、かゝる類ひの戯著や赤本類はまだ〳〵無數に出版されてゐやうが、中には消えて亡くなつたものや採訪の遺漏も相當の數に達することゝ思ふが、手當たり次第こゝ數年間の蒐集を紹介するにとゞめるものである。

六年

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當世利口女 万亭應賀 山崎屋淸七
〔新制〕鬼美談語
ニヤアチウ談
虫類大議論
和談三才圖笑
三則敎の捷徑 假名垣魯文
石亭畫
中西源八  七五調をもつて敎部省令三則を俗解したもの、漫畫風な彩色口繪と插繪が振つてゐる。

七年

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日本女敎師 服部應賀 小說社
智惠のはかり
驕人必慄筺 星野松藏
金庫三代記
東京花毛拔 小說社
諸藝畑水練
馬鹿大妙藥
青樓半可通
未曾有修理男
近世惘蝦蟇
權兵衞種蒔論
太郎兵衞水掛論
東京新繁昌記 服部誠一 山城屋
東京開化繁昌誌 萩原乙彥 萬靑堂
〔東京〕開花繁昌誌 高見澤茂 大和屋
開花問答初二編 小川爲治 丸屋善七
東京寫眞鏡 菊池三溪 山城屋
西京傳信記 文石堂
開花古微 柴田花守 〔大阪〕宗榮堂 一名御布令敬承譚
佐賀電信錄 神奈垣魯文 名山閣

八年

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〔異形異物〕各覽會 服部應賀 文昇堂
吃驚(びつくり)懲面箱 小說社
孫兵衞活計論
方今身代話
終身千代見草
活論學問雀 以下刊年未詳なるもこの年以後には亘るまいと思ふもの。
市の虎狩○影辨慶○御幤かつぎ○ノンベングラリ○深山からす○造花天心錄○學海先生鰤○蒙六雜誌○開眼文論○牛馬論○小たぬき《ただし、「たぬき」は語ごと天地逆転している》○諸燒石水○當世利用バツタ○萬亭置土產○天配合々傘○新聞商方談○日本大國樣○流行美男かづら○天井大珍事○童女早學問○新聞哇狂言
〔正變〕狂詩選 土田淡堂 名鹽商店
〔畫本〕大阪新繁昌詩 田中內記 〔大阪〕紀律堂
東京新詞 初編 大橋直
北眞逸
松柏堂
田舎繁昌記 松本萬年 磯部屋
文明開化評林 岡部啓五郎 萬笈閣

九年

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日本開化詩 宮田貫一
平山果
中村熊太郎
〔東京〕日々新文 松本萬年 磯部屋
〔方今〕大阪繁昌記 石田魚門 〔大阪〕大野木
今昔較 岡三慶 岡田文助

十年

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西京繁昌記 增山守正 福井
大谷
大阪繁昌雜記 奧澤信行 〔大阪〕寳文軒
鹿兒島洗湯論 羽田富次郞 熊谷庄七
因循一掃 增山守正 〔京都〕福井
橫濱新誌 初篇 川井景一 鈴木瀧三郞

十一年

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〔開化〕珍奇詩文集 藤原元親 錦皷堂

十二年

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酒席戯立口上茶番種本 木樂齊
幾英畫
錦林堂
〔四季花揃〕珍々集 岩崎好正 團々社  闡珍より拔萃した狂詩歌都々一川柳等を纏めて單行したもので、第一編は十二年五月、最後の七編目は十五年六月御屆となつてゐる何編まで出版されたか不詳。
〔開化狂詩〕酒邊理詩題 牛窪 了 靜樂堂
西洋穴探 加藤政之助 中島

十三年

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〔奇警滑稽〕浮世の迷惑 前田時三 前川
〔開化新題〕咄表詩話 流水亭種淸
曉齋狂畫
二書房
明治太平樂府 榊原英吉 自版
明治笑府第一編 山田延太郞 飄々閣
〔開化新作〕一口ばなし 永島福太郞
芳虎畫
大橋堂
民權手引草 渡邊禎一郞 〔大阪〕石川和助  半紙二折六枚の小册子、二月出版、民權ものゝ走りか。

十四年

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明治風雅樂府〔初編〕 本莊四郞 〔大阪〕明昇堂
明治開口新語 楢崎隆存 〔大阪〕平井文助
〔譯準〕笑文選 高崎脩助 自版
抱腹奇語初編 松村春輔 延壽堂
三遊春の風俗 圓朝
是眞畫
三遊亭
へその宿替 小出留五郞 自版
東京新繁昌記〔後編〕 服部誠一 自足軒
〔役者敎訓〕妙々奇談 洗龍亭是正
房種畫
〔閨門律金〕夫婦互の裁判 津田權平 兔屋誠
古今無類新書 廿八 總生寬 竹夭堂 ○萬事此通り○滑稽政談○地獄の沙汰も金次第○人間皆入用○拙敎三世の誤○大天狗鼻の寸法○世海乘合船○天道人殺し○親玉競べ○よん處なし○親より大事○娼妓買奧許し○變妙百物語○藝者ころばし○太平樂東京遊び○世渡り道中双六○娼妓買る請合○厄拂新文句○不老不死眞方○藝者ぼれ○口から出任せ○曲て眞直○仙遊別世界○藝者買黑人筋○世の中劔の刃渡○娼妓買の祕事○樂の一足飛び○娼妓買通人種以上廿八號迄月二回宛上記の表題で續刊した頗る達筆で書きなぐつた戯著である。廿九號以下發行不明。但廿八號は十五年七月廿五日の發行。
新聞記者奇行傳〔初編〕 岡田了古
永濯畫
文永堂  二編三編出版の豫吿あるも出なかつたらしい。

十五年

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〔抱腹〕絕倒詩選 田島像二 弘令社
〔東京〕銀街小誌 槎盆子 山中孝之助
開化詩集 石川義暢
〔千萬無量〕星世界旅行 貫名駿一 自版

十六年

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仙臺新繁昌記 菅野長平 〔仙臺〕靜雲堂
開化狂詩選 夢春居士 內藤
〔開化敎訓〕道戯百人一首 前島一橋 文盛堂
〔油斷大敵〕吃驚叢談 醉月仙史 九春社
〔明治新話〕抱腹奇談 菊亭靜校閱
柳窓戯述
松江堂
珍談雜煮餅 高田實(竹亭綠) 金章堂
〔全國〕各社新聞雜誌評判記 高橋巳之吉 自版  著者高瀨巳之吉は高瀨眞鄕又紫峰、春雨とも號す。眞面目な評判記ではなく、戯作の一種。其目次――○大新聞の品評夜馬車の囈語○待合の大欠伸○小新聞の品定め○奧山の縱覽所に地方新聞の腕比べ○下宿屋の暴論雜誌の競進會(附錄)投機商の岡目八もく巧に各社の內幕を說く――前出「新舊小說」十六年刊「閻麗《ママ。魔の誤り》大王判決錄」と姉妹篇。共に奇書なり珍書なり。

十七年

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〔通俗繪入〕東京開化繁昌記 近藤鉠 西村玄道
鬼哭子 天台道士 澤屋
鬼笑子 本書序文の一節に――道士已に鬼哭子の著あり、門人道士に謂て曰く、先生已に鬼哭子の著あり、何ぞ鬼笑子を著はさゞるやと、道士曰く、卿等の言も亦大に好しと、卽ち直に筆を取る云々と、僅々十七頁のもの。

十八年

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〔開化新作〕落語の吹寄 長谷川某 長谷堂
柳北先生裸錄集 手塚盛壽 改進出版社
〔滑稽道中〕地獄傳信記 川合梁定(木葉散人) 〔京都〕律書房  本文には浮世一分五厘庵戯編とあり、內容時事の風刺可なり面白く、插畫錦隣子(久保田米仙の戯號か)の漫畫本文より以上《ママ》に傑作である。

十九年

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〔百妖笑々〕寄如件(よつてくだんのごとし) 中村狸遊 〔大阪〕共同出版館
〔地獄極樂〕怪化の夢 金魚堂主人(流外) 明進社
萬福天カラフル 服部應賀 金松堂
演戯改良諸駁議 無一庵無二 今古堂
繪本天帝奇勳 石川惟安 團々社
〔一奇一驚〕開卷百笑 蘭外逸史 金櫻堂
〔古今人物〕狂詩百面相 與美亭三鷹編
原尾抱太笑閱
有文舍  上は日本支那歷史上の人物より下は下男下女に至るもの、袖珍本。
狡猾家列傳 局外山人編
盲目居士妄批
春陽堂  目次に誤魔甲子藏君、加多利介君等十二名を列ねたもの。

二十年

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〔風俗人情〕現時社會之實況 羽田高英 東洋館
〔口から出任せ〕滑稽政談 中野了隨 上田屋
〔新撰滑稽〕奇言なをし 蚊雷居士 三盟舍
滑稽國夢物語 骨皮道人 金櫻堂
〔新題堀出〕雅樂多草誌 自笑居士 共隆社
〔寓意諷諫〕當世滑稽文章
〔文明膝栗毛〕日本新遊記 總生寬 イーグル書房
〔奇思妙構〕色情哲學 甲田良造 金港堂
臍の西國顋落し 增山守正 〔京都〕近藤伊三郞
富岡繁昌記 久保田榮 東京
〔奇々怪々〕西洋神斷裁判 高橋幾次郞 東京
〔萬歲富久〕市中の賑ひ上 堀橘治 自版
〔論客文士〕妙々譬言 佐々木新太郞 自版
變哲學 永井碌(小石居士) 佐藤成文堂

二十一年

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〔浮世寫眞〕百人百色 骨皮道人 共隆社
〔奇氣偉才〕好男兒 花のやふゞき
滑稽十二ヶ月 骨皮道人 金櫻堂
〔自由酒義〕政癡學 安井常次郞(文のや主人) 安榮堂
狐政學 脇田房吉
〔滑稽諧謔〕呆た浮世 澤間欽彌 〔大阪〕勉強館
〔文明變象社會笑柄〕滑稽大家論集 四海浪人 文欣堂
閨妻學 安井常次郞
〔明治笑談〕太平俱樂府 奧村金治郞 成文堂
天筆大將軍 西村天囚
〔馬鹿馬鹿〕獅々論 梅亭金鵞 漫遊會
〔卽席品物〕演說振
田舍模樣 自笑居士 共隆社
〔滑稽哲學〕雷笑演說 西村富次郞 自由閣
〔舊弊開化〕口論會 總生寬 岡安書舖
〔一讀一笑〕ほら物語 奧村政兮 〔大阪〕駸々堂
壯士之夢 竹外居士 〔大阪〕石川
建白問答夢物語 奧村金治郞(奔雷道人) 成文堂
不平哲學 西村富次郞(蚊龍居士) 自由閣
雲助哲學 淸水亮三 東京 一夕浮世一分五厘
〔父兄必讀〕下宿屋の內幕〔前編〕 早川金次郞 東京
〔貧窮一揆〕質屋合戰 大森淸吉 東京
〔才子佳人〕夢中之奇遇 岩橋藤吉 群馬
〔滑稽〕變梃演說會 淸水亮三 東京
〔拍手喝采〕滑稽續天狗演說
〔一寸一福〕粹喃誌 豐田滿三 山口
初學勸懲兩面鏡 影山新吉 東京
〔各國才子〕寄合演說 村上眞助 自版
〔滑稽〕善惡一等集 吉澤富太郞 自版
〔不平演說〕膓ちぎ利 谷口政德 辻岡
〔素人同志〕稽古演說 千葉茂三郞 自版
出放題 鴻里正吉 自版
〔喫驚仰天〕滑稽演說會 齊藤勇雄 自版
〔社會穴探〕滑稽大演舌會 石橋三造 自版
〔明治昭代〕開胸滑稽演說 獅蟲寬慈 柏原政次郞
〔新日本靑年〕立志之骨髓 安西權五郞 自版
風流哲學 中村豊之助(嘲世居士) 盛松館
〔浮世穴探〕滑稽討論會 齋藤勇雄 自版
警世奇話 加藤幹雄 石渡
素鐵公 綺文館
〔諷諭放言〕ドースル 田島象二 〔愛知〕東雲堂
百歎 桑原德三郞 東京

二十二年

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〔浮世狂界〕詩林選 骨波《ママ、皮の誤り》道人 金松堂
〔面白奇聞〕滑稽狂進怪 金櫻堂
〔行成放題〕樂雅記
樂しみ草紙 共隆社
[一名色女ひとり案內] 粹道人 金松堂
〔二十世紀戰爭豫言〕日本花 井口元一郞 〔大阪〕明昇堂
〔浮世寫心〕小說家の袋 山田和三郞(素鐵公) 〔大阪〕岡本書房
お眼鏡違ひ 太田貞次郞(花のや瓢) 〔大阪〕綺文堂
人情解剖詩 中島蒿(三瀨川一醒坊) 武田
滑稽洒落演說 勿來道人 〔大阪〕駸々堂
滑稽三世相 風流散士 章玉堂
滑稽自慢演說 西村富次郞(實ハ杉山藤次郞) 自由閣 表題には「顋尾外變說、臍野宿替筆戯」とあり。
滑稽立志編 瓜生政和 小林權次郞
〔正疑耕論〕酒快演說 獅蟲寬慈 〔大阪〕大垣
色事指南 瀨山佐吉 自版

補遺及び正誤

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翻譯小說 六年

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伊蘇普物語 ビナンは梅南の誤り

十八年

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〔拍案驚奇〕地底旅行 ジュールスベルヌ
高須治助
九春堂

二十年

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戀娘婚烟事情の烟《煙に△の圏点》は姻の誤り

二十一年

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〔裁判小說〕人耶鬼耶 淚香小史 金櫻堂 世界第一之美人(註)同年譯四十九頁の『政黨情話』の外題替

合卷式小說 元年

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厚化粧萬年島田 廿冊 爲永春水
國貞畫
紅英堂 元年より七年に至り完結。

四年

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假名讀太閤記 十《十に△の圏点》とある二十の誤り

十六年

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〔大潮異聞(しほのはな)〕三津廼白波(みつのしらなみ) 前後篇二冊カ 作者不詳
月耕畫
春陽堂 天保の大鹽亂を綴れるものにして豐田貢を中心としたるもの。

新舊小說 二十一年

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一二二頁『綠蓑談』寫眞版は一〇七頁『雨窓漫筆綠蓑談』前編中に入るべきを誤りたるもの《『〔雨窓漫筆〕綠蓑談』は新旧小説十九年に見え、『〔處世寫眞〕綠蓑談』がp. 122にあるならば、p. 115の、とすべき処である》。

合卷式小說十二年六九頁『東京奇聞』の次に左の一項を脫す
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島田一郞梅雨日記 十五 起泉
房種
島鮮堂