高位公職者犯罪捜査処の設置及び運営に関する法律
第1章 総則
編集第1条(目的) この法律は, 高位公職者犯罪捜査処の設置及び運営に関し, 必要な事項を定めることを目的とする。
第2条(定義) この法律において使用する用語の定義は, 次のとおりとする。
- 1. 「高位公職者」とは, 次の各目のいずれか一の職に在職中の者又はその職から退職した者をいう。ただし, 将官級将校は, 現役を免れた以後も含む。
- イ. 大統領
- ロ. 国会議長及び国会議員
- ハ. 最高裁判所長官及び最高裁判所判事
- ニ. 憲法裁判所長官及び憲法裁判所判事
- ホ. 国務総理及び国務総理秘書室所属の政務職公務員
- ヘ. 中央選挙管理委員会の政務職公務員
- ト. 「公共監査に関する法律」第2条第2号による中央行政機関の政務職公務員
- チ. 大統領秘書室・国家安保室・大統領警護処・国家情報院所属の3級以上の公務員
- リ. 国会事務処, 国会図書館, 国会予算政策処, 国会立法調査処の政務職公務員
- ヌ. 最高裁判所長官秘書室, 司法政策研究院, 裁判所公務員教育院, 憲法裁判所事務処の政務職公務員
- ル. 検察総長
- ヲ. 特別市長・広域市長・特別自治市長・道知事・特別自治道知事及び教育監
- ワ. 判事及び検事
- カ. 刑務官以上の警察公務員
- ヨ. 将官級将校
- タ. 金融監督院の院長・副院長及び監事
- レ. 監査院・国税庁・公正取引委員会・金融委員会の3級以上の公務員
- 2. 「家族」とは, 配偶者及び直系尊卑属をいう。 ただし, 大統領の場合においては, 配偶者及び4親等以内の親族をいう。
- 3. 「高位公職者犯罪」とは, 高位公職者として在職中に本人又は本人の家族が犯した次の各目のいずれか一に該当する罪をいう。 ただし, 家族の場合においては, 高位公職者の職務に関して犯した罪に限る。
- イ. 「刑法」第122条から第133条までの罪 (他の法律により加重処罰される場合を含む。)
- ロ. 職務に関連した「刑法」第141条, 第225条, 第227条, 第227条の2, 第229条(第225条, 第227条及び第227条の2の行使罪に限る。), 第355条から第357条まで及び第359条の罪 (他の法律により加重処罰される場合を含む。)
- ハ. 「特定犯罪の加重処罰等に関する法律」第3条の罪
- ニ. 「弁護士法」第111条の罪
- ホ. 「政治資金法」第45条の罪
- ヘ. 「国家情報院法」第18条及び第19条の罪
- ト. 「国会における証言・鑑定等に関する法律」第14条第1項の罪
- チ. イ目からホ目までの罪に該当する犯罪行為による「犯罪収益隠匿の規制及び処罰等に関する法律」第2条第4号の犯罪収益等に関連した同法第3条第4条の罪
- 4. 「関連犯罪」とは, 次の各目のいずれか一に該当する罪をいう。
- イ. 高位公職者と「刑法」第30条から第32条までの関係にある者が犯した第3号各目のいずれか一に該当する罪
- ロ. 高位公職者を相手方とした者の「刑法」第133条及び第357条第2項の罪
- ハ. 高位公職者犯罪に関連した「刑法」第151条第1項, 第152条及び第154条から第156条までの罪並びに「国会における証言・鑑定等に関する法律」第14条第1項の罪
- ニ. 高位公職者犯罪の捜査過程において認知した当該高位公職者犯罪と直接関連性を有する罪であって, 当該高位公職者が犯した罪
- 5. 「高位公職者犯罪等」とは, 第3号及び第4号の罪をいう。
第3条(高位公職者犯罪捜査処の設置と独立性) ① 高位公職者犯罪等に関し, 次の各号に必要な職務を行なうため, 高位公職者犯罪捜査処(以下「捜査処」という。)を設置する。
- 1. 高位公職者犯罪等に関する捜査
- 2. 第2条第1号ハ目, ル目, ワ目又はカ目に該当する高位公職者として在職中に本人又は本人の家族が犯した高位公職者犯罪及び関連犯罪の公訴提起及びその維持
② 捜査処は, その権限に属する職務を独立して行なう。 ③ 大統領及び大統領秘書室の公務員は, 捜査処の事務に関し, 業務報告又は資料提出の要求, 指示, 意見提示, 協議, その他職務遂行に関与する一切の行為をしてはならない。
第2章 組織
編集第4条(処長·次長等) ① 捜査処に処長1名及び次長1名を置き, 各々特定職公務員で補する。
② 捜査処に捜査処検事, 捜査処捜査官その他必要な必要な職員を置く。
第5条(処長の資格及び任命) ① 処長は, 次の各号の職に15年以上あった者の中から第6条による高位公職者犯罪捜査処長候補推薦委員会が2名を推薦し, 大統領がそのうち1名を指名した後, 人事聴聞会を経て任命する。
- 1. 判事, 検事又は弁護士
- 2. 弁護士資格を有する者であって, 国家機関, 地方公共団体, 「公共機関の運営に関する法律」第4条による公共機関その他の法人において, 法律に関する事務に従事した者
- 3. 弁護士資格を有する者であって, 大学の法律学助教授以上として在職していた者
② 第1項各号に定める2以上の職に在職した者については, その年数を合算する。
③ 処長の任期は 3年とし, 重任することはできず, 定年は65歳とする。
④ 処長が欠位したときは, 第1項による手続きを経て, 60日以内に後任者を任命しなければならない。 この場合において, 新たに任命された処長の任期は, 新たに開始する。
第6条(高位公職者犯罪捜査処長候補推薦委員会) ① 処長候補者の推薦のため, 国会に高位公職者犯罪捜査処長候補推薦委員会(以下「推薦委員会」という。)を設置する。
② 推薦委員会は, 委員長1名を含め, 7名の委員で構成する。
③ 委員長は, 第4項各号の委員の中から互選する。
④ 国会議長は, 次の各号の者を委員として任命し, 又は委嘱する。
- 1. 法務大臣
- 2. 裁判所行政処長
- 3. 大韓弁護士協会会長
- 4. 大統領が所属し, 又は所属していた政党の交渉団体が推薦した2名
- 5. 前号の交渉団体以外の交渉団体が推薦した2名
⑤ 推薦委員会は, 国会議長の要請又は委員の3分の1以上の要請があり, 又は委員長が必要と認めるとき委員長が招集し, 委員6人以上の賛成で議決する。
⑥ 推薦委員会委員は, 政治的に中立を守り, 独立してその職務を行う。
⑦ 推薦委員会が第5条第1項により処長候補者を推薦したときは, 当該推薦委員会は解散したものとみなす。
⑧ その他推薦委員会の運営等に必要な事項は, 国会規則で定める。
第7条(次長) ① 次長は, 10年以上第5条第1項各号の職位に在籍していた者の中から処長の提請で大統領が任命する。
② 第5条第2項は, 次長の任命に準用する。
③ 次長の任期は3年とし, 重任することはできず, 定年は63歳とする。
第8条(捜査処検事) ① 捜査処検事は, 弁護士資格を10年以上有した者であって, 裁判, 捜査又は捜査処規則で定める調査業務の実務を5年以上行っていた経歴のある者の中から第9条による人事委員会の推薦を経て, 大統領が任命する。 この場合において, 検事の職にあった者の数は, 第2項による捜査処検事の定員の2分の1を超えることができない。
② 捜査処検事は, 特定職公務員で補し, 処長及び次長を含め25名以内とする。
③ 捜査処検事の任期は3年とし, 3回に限り連任することができ, 定年は63歳とする。
④ 捜査処検事は, 職務を行うにあたり, 検察庁法第4条による検事の職務及び軍事裁判所法第37条による軍検事の職務を行うことができる。
第9条(人事委員会) ① 処長及び次長を除く捜査処検事の任用, 填補その他人事に関する重要事項を審議・議決するため, 捜査処に人事委員会を置く。
② 人事委員会は委員長1名を含む7名の委員で構成し, 人事委員会の委員長は処長がなる。
③ 人事委員会の委員の構成は, 次の各号のとおりとする。
- 1. 処長
- 2. 次長
- 3. 学識及び徳望があり, 各界の専門分野において経験が豊富な者であって, 処長が委嘱した者1名
- 4. 大統領が所属し, 又は所属していた政党の交渉団体が推薦した2名
- 5. 第4号の交渉団体以外の交渉団体が推薦した2名
④ 第3項第3号から第5号までに規定する委員の任期は, 3年とする。
⑤ 人事委員会は, 在籍委員の過半数の賛成で議決する。
⑥ その他人事委員会の構成及び運営等に必要な事項は, 捜査処規則で定める。
第10条(捜査処捜査官) ① 捜査処捜査官は, 次の各号のいずれか一に該当する者の中から処長が任命する。
- 1. 弁護士資格を有した者
- 2. 7級以上の公務員であって, 調査, 捜査業務に従事していた者
- 3. 捜査処規則で定める調査業務の実務を5年以上行った経歴のある者
② 捜査処捜査官は, 一般職公務員とし, 40名以内とする。 ただし, 検察庁から検察捜査官の派遣を受けた場合には, これを捜査処捜査官の定員に含む。
③ 捜査処捜査官の任期は 6年とし, 連任することができ, 定年は60歳とする。
第11条(その他の職員) ① 捜査処の行政に関する事務処理のため, 必要な職員を置くことができる。
② 第1項による職員の数は, 20名以内とする。
第12条(報酬等) ① 処長の報酬及び待遇は, 次官の例に準ずる。
② 次長の報酬及び待遇は, 高位公務員団の職位のうち最も高い職務等級の例に準ずる。
③ 捜査処検事の報酬及び待遇は, 検事の例に準ずる。
④ 捜査処捜査官の報酬及び待遇は, 4級以下7級以上の検察職公務員の例に準ずる。
第13条(欠格事由等) ① 次の各号のいずれか一に該当する者は, 処長, 次長, 捜査処検事又は捜査処捜査官として任命されることができない。
- 1. 大韓民国の国民でない者
- 2. 「国家公務員法」第33条各号のいずれか一に該当する者
- 3. 禁錮以上の刑の言渡を受けた者
- 4. 弾劾決定により罷免された後, 5年を経過しない者
- 5. 大統領秘書室所属の公務員であって, 退職後2年を経過しない者
② 検事の場合には, 退職した後3年が経過しなければ処長となることができず, 退職した後1年が経過しなければ次長となることができない。
第14条(身分保障) 処長, 次長及び捜査処検事は, 弾劾又は禁錮以上の刑の言渡を受けた場合を除いては罷免されず, 懲戒処分によらなければ解任・免職・停職・減俸・譴責又は退職の処分を受けない。
第15条(心身障害による退職) 捜査処検事が重大な心身上の障害により, 職務を行うことができないときは, 大統領は, 処長の提請により, その捜査処検事に対し, 退職を命ずることができる。
第16条(公職任用の制限等) ① 処長及び次長は, 退職後2年以内に憲法裁判所判事(憲法第111条第3項により任命される憲法裁判所判事を除く。), 検察総長, 国務総理並びに中央行政機関・大統領秘書室・国家安保室・大統領警護処及び国家情報院の政務職公務員として任用されることができない。
② 処長, 次長及び捜査処検事は, 退職後2年が経過しなければ検事として任用されることができない。
③ 捜査処検事であって, 退職後1年を経過しない者は, 大統領秘書室の職位に任用されることができない。
④ 捜査処に勤務していた者は, 退職後1年の間, 捜査処の事件を弁護士として受任することができない。
第3章 職務及び権限
編集第17条(処長の職務及び権限) ① 処長は, 捜査処の事務を統轄し, 所属職員を指揮・監督する。
② 処長は, 国会に出席し, 捜査処の所管事務に関して意見を陳述することができ, 国会の要求があるときは, 捜査又は裁判に影響を及ぼさない限り, 国会に出席し, 報告し, 又は答弁しなければならない。
③ 処長は, 所管事務に関連した案件が上程される場合には, 国務会議に出席して発言することができ, その所管事務に関し, 法務大臣に議案(この法律の施行に関する大統領令案を含む。)の提出を建議することができる。
④ 処長は, その職務を行うにあたり必要な場合には, 最高検察庁, 警察庁等関係機関の長に対し, 高位公職者犯罪等に関連した事件の捜査記録及び証拠等の資料の提出及び捜査活動の支援等捜査協力を要請することができる。
⑤ 処長は, 第8条による捜査処検事の職を兼ねる。
⑥ 処長は, 捜査処の予算関連業務を行う場合において, 「国家財政法」第6条第2項による中央官署の長とみなす。
第18条(次長の職務及び権限) ① 次長は, 処長を補佐し, 処長がやむを得ない事由によりその職務を行うことができないときには, その職務を代行する。
② 次長は, 第8条による捜査処検事の職を兼ねる。
第19条(捜査処検事の職務の委任・移転及び承継) ① 処長は, 捜査処検事にその権限に属する職務の一部を処理させることができる。
② 処長は, 捜査処検事の職務を自ら処理し, 又は他の捜査処検事に処理させることができる。
第20条(捜査処検事の職務及び権限) ① 捜査処検事は, 第3条第1項各号による捜査並びに公訴の提起及び維持に必要な行為を行う。
② 捜査処検事は, 処長の指揮・監督に従い, 捜査処捜査官を指揮・監督する。
③ 捜査処検事は, 具体的事件に関する第2項の指揮・監督の適法性又は正当性に対し, 異見があるときは, 異議を提起することができる。
第21条(捜査処捜査官の職務) ① 捜査処捜査官は, 捜査処検事の指揮・監督を受けて職務を行う。
② 捜査処捜査官は, 高位公職者犯罪等に対する捜査に関し, 「刑事訴訟法」第196条第1項による司法警察官の職務を行う。
第22条(政治的中立及び職務上の独立) 捜査処の所属公務員は, 政治的中立を守らなければならず, その職務を行うにあたり, 外部から如何なる指示又は干渉も受けない。
第4章 捜査並びに公訴の提起及び維持
編集第23条(捜査処検事の捜査) 捜査処検事は, 高位公職者犯罪の嫌疑があると思料するときは, 犯人, 犯罪事実及び証拠を捜査しなければならない。
第24条(他の捜査機関との関係) ① 捜査処の犯罪捜査と重複する他の捜査機関の犯罪捜査は, 処長が捜査の進行度及び公正性の論難等に照らし捜査処で捜査することが適切であると判断し, 移牒を要請する場合には, 当該捜査機関は, これに応じなければならない。
② 他の捜査機関が犯罪を捜査する過程において高位公職者犯罪等を認知した場合には, その事実を直ちに捜査処に通報しなければならない。
③ 処長は, 被疑者, 被害者, 事件の内容及び規模等に照らし, 他の捜査機関が高位公職者犯罪等を捜査することが適切であると判断されるときは, 当該捜査機関に事件を移牒することができる。
④ 第2項により高位公職者犯罪等の事実の通報を受けた処長は, 通報をした他の捜査機関の長に対し, 捜査処規則で定める期間及び方法により, 捜査開始の与否を返答しなければならない。
第25条(捜査処検事及び検事の犯罪に対する捜査) ① 処長は, 捜査処検事の犯罪の嫌疑を発見した場合において, 関連資料とともにこれを最高検察庁に通報しなければならない。
② 捜査処以外の他の捜査機関が検事の高位公職者犯罪の嫌疑を発見した場合には, その捜査機関の長は, 事件を捜査処に移牒しなければならない。
第26条(捜査処検事の関係書類及び証拠物の送付等) ① 捜査処検事は, 第3条第1項第2号に定める事件を除く高位公職者犯罪等に関する捜査を行ったときは, 関係書類及び証拠物を遅滞なくソウル中央地方検察庁所属検事に送付しなければならない。
② 第1項により関係書類及び証拠物の送付を受け, 事件を処理した検事は, 処長に対し, 当該事件の控訴提起与否を速やかに通報しなければならない。
第27条(関連認知事件の移牒) 処長は, 高位公職者犯罪について不起訴決定をするときは, 当該犯罪の捜査過程において知り得た関連犯罪事件を最高検察庁に移牒しなければならない。
第28条(刑の執行) ① 捜査処検事が公訴を提起する高位公職者犯罪等事件に関する裁判が確定した場合には, 第1審管轄地方裁判所に対応する検察庁の所属検事がその刑を執行する。
② 第1項の場合において, 処長は, 円滑な刑の執行のため, 当該事件及び記録の一切を管轄の検察庁の長に引き継ぐ。
第29条(裁定申立てに対する特例) ① 告訴・告発人は, 捜査処検事から公訴を提起しない旨の通知を受けたときは, ソウル高等裁判所に対し, その当否に関する裁定を申し立てることができる。
② 第1項による裁定申立をしようとする者は, 公訴を提起しない旨の通知を受けた日から30日以内に処長に対し, 裁定申立書を提出しなければならない。
③ 裁定申立書には, 裁定申立の対象となる事件の犯罪事実及び証拠等裁定申立てを理由付ける事由を記載しなければならない。
④ 第2項により裁定申立書の提出を受けた処長は, 裁定申立書の提出を受けた日から7日以内に裁定申立書・意見書・捜査関係書類及び証拠物をソウル高等裁判所に送付しなければならない。 ただし, 申立てが理由あるものと認めるときは, 直ちに公訴を提起し, その旨をソウル高等裁判所及び裁定申立人に通知する。
⑤ この法律に定める事項のほか, 裁定申立てに関しては, 「刑事訴訟法」第262条及び第262条の2から第262条の4までの規定を準用する。 この場合において, 管轄裁判所はソウル高等裁判所とし, 「地方検察庁検事長又は支庁長」とあるのは「処長」と, 「検事」とあるのは「捜査処検事」と読み替えるものとする。
第30条(処長の裁定申立てに対する特例) ① 処長は, 第26条第2項により公訴を提起しない旨の通報を受けたときは, その検事の所属の地方検察庁の所在地を管轄する高等裁判所(以下「管轄高等裁判所」という。)に対し, その当否に関する裁定を申し立てることができる。
② 処長は, 公訴を提起しない旨の通報を受けた日から30日以内に地方検察庁検事長又は支庁長に対し, 裁定申立書を提出しなければならない。
③ 裁定申立書には, 裁定申立ての対象となる事件の犯罪事実及び証拠等裁定申立てを理由付ける事由を記載しなければならない。
④ 第2項により裁定申立書の提出を受けた地方検察庁検事長又は支庁長は, 裁定申立書の提出を受けた日から7日以内に裁定申立書・意見書・捜査関係書類及び証拠物を管轄高等検察庁を経由して高等裁判所に送付しなければならない。 ただし, 申立てが理由あるものと認めるときは, 直ちに公訴を提起し, その旨を管轄高等裁判所及び処長に通知する。
⑤ この法律に定める事項のほか, 裁定申立てに関しては, 「刑事訴訟法」 第262条, 第262条の2及び第262条の4の規定を準用する。 この場合において, 「地方検察庁検事長又は支庁長」とあるのは「処長」と, 「検事」とあるのは「捜査処検事」と読み替えるものとする。
第31条(裁判管轄) 捜査処検事が公訴を提起する高位公職者犯罪等事件の第1審裁判は, ソウル中央地方裁判所の管轄とする。 ただし, 犯罪地, 証拠の所在地, 被告人の特別の事情等を考慮し, 捜査処検事は, 「刑事訴訟法」による管轄裁判所に公訴を提起することができる。
第5章 懲戒
編集第32条(懲戒事由) 捜査処検事が次の各号のいずれか一に該当するときは, その捜査処検事を懲戒する。
- 1. 在職中に次の各目のいずれか一に該当する行為をしたとき
- イ. 政治運動に関与すること。
- ロ. 金銭上の利益を目的とする業務に従事すること。
- ハ. 処長の許可なく報酬を受ける職務に従事すること。
- 2. 職務上の義務に違反し, 又は職務を怠ったとき
- 3. 職務関連与否にかかわらず, 捜査処検事としての体面又は威信を傷つける行為をしたとき
第33条(捜査処検事懲戒委員会) ① 捜査処検事の懲戒事件を審議するため, 捜査処に捜査処検事懲戒委員会(以下「懲戒委員会」という。)を設置する。
② 懲戒委員会は, 委員長1名を含む7名の委員で構成し, 予備委員3名を置く。
第34条(懲戒委員会委員長の職務及び委員の任期等) ① 懲戒委員会の委員長は, 次長が就く。 ただし, 次長が懲戒嫌疑者である場合には処長が委員長に就き, 処長及び次長が全て懲戒嫌疑者である場合には捜査処規則で定める捜査処検事が委員長に就く。
② 委員は, 次の各号の者が就く。
- 1. 委員長が指名する捜査処検事2名
- 2. 弁護士, 法学教授並びに学識及び経験の豊富な者として委員長が委嘱する4名
③ 予備委員は, 捜査処検事の中から委員長が指名する者が就く。
④ 第2項第2号の委員の任期は, 3年とする。
⑤ 委員長は, 懲戒委員会の業務を総轄し, 会議を招集し, その議長となる。
⑥ 委員長がやむを得ない事由により職務を行うことができないときは, 委員長が指定する委員がその職務を代理し, 委員長が指定する委員がやむを得ない事由により職務を行うことができないときは, 委員長が指名する予備委員がその職務を代理する。
第35条(懲戒委員会の事務職員) ① 懲戒委員会に監事1名及び書記数名を置く。
② 監事は委員長が指名する捜査処検事が就き, 書記は捜査処の所属公務員の中から委員長が委嘱する。
③ 監事及び書記は, 委員長の命を受けて懲戒に関する記録その他の書類の作成及び保管に関する事務に従事する。
第36条(懲戒の請求及び開始) ① 懲戒委員会の懲戒審議は, 処長(処長が懲戒嫌疑者である場合には次長を, 処長及び次長が全て懲戒嫌疑者である場合には捜査処規則で定める捜査処検事をいう。以下この条, 第38条第1項, 第39条, 第40条第2項, 第43条第1項において同じ。)がの請求により開始する。
② 処長は, 捜査処検事が第32条各号のいずれか一に該当する行為をしたと認めるときは, 第1項の請求をしなければならない。
③ 懲戒の請求は, 懲戒委員会に書面で提出しなければならない。
第37条(懲戒付加金) ① 第36条により処長が捜査処検事について懲戒を請求する場合において, その懲戒事由が金品及び供応の授受又は公金の横領・流用であるときは, 当該懲戒のほか, 金品及び供応の収受額,又は公金の横領額若しくは流用額の5倍以内の懲戒付加金の賦課議決を懲戒委員会に対し, 請求しなければならない。
② 第1項による懲戒付加金の調整, 減免及び徴収に関しては, 「国家公務員法」第78条の2第2項及び第3項を準用する。
第38条(再懲戒等の請求) ① 処長は, 次の各号のいずれか一に該当する事由により裁判所で懲戒及び第37条による懲戒付加金の賦課(以下「懲戒等」という。)の処分の無効又は取消の判決を受けた場合には, 再度懲戒等を請求しなければならない。 ただし, 第3号の事由により無効又は取消の判決を受けた減俸・譴責の処分については, 懲戒等を請求しないことができる。
- 1. 法令の適用, 証拠及び事実調査に明白な瑕疵のある場合
- 2. 懲戒委員会の構成又は懲戒等の議決その他手続上の瑕疵がある場合
- 3. 懲戒の量定及び懲戒付加金が過多である場合
② 処長は, 第1項による懲戒等を請求する場合には, 裁判所の判決が確定した日から3か月以内に懲戒委員会に懲戒等を請求しなければならず, 懲戒委員会においては, 他の懲戒事件に優先して懲戒等を議決しなければならない。
第39条(退職希望捜査処検事の懲戒事由確認等) ① 処長は, 捜査処検事が退職を希望する場合には, 第32条による懲戒事由があるか否かを監査院, 検察・警察その他の捜査機関に確認しなければならない。
② 第1項による確認の結果, 解任, 免職又は停職に該当する懲戒事由がある場合には, 処長は, 遅滞なく懲戒等を請求しなければならず, 懲戒委員会は, 他の懲戒事件に優先して懲戒等を議決しなければならない。
第40条(懲戒嫌疑者についての副本送達と職務停止) ① 懲戒委員会は, 懲戒請求書の副本を懲戒嫌疑者に対し, 送達しなければならない。
② 処長は, 必要と認めるときは, 懲戒嫌疑者に対し, 職務執行の停止を命ずることができる。
第41条(懲戒議決) ① 懲戒委員会は, 事件審議を終えたときは, 在籍委員の過半数の賛成で懲戒を議決する。
② 委員長は, 議決において表決権を有し, 賛成及び反対が同数である場合には, 決定権を有する。
第42条(懲戒の執行) ① 懲戒の執行は譴責の場合には処長が行い, 解任・免職・停職・減俸の場合には処長の提請で大統領が行う。
② 捜査処検事に対する懲戒処分をしたときは, その事実を官報に掲載しなければならない。
第43条(他の法律の準用) この章に定めのない事項については, 「検事懲戒法」第3条, 第9条から第17条まで, 第19条から第21条まで, 第22条(ただし, 第2項中「第23条」とあるのは, 「第41条」と読み替える。)及び第24条から第26条までの規定をそれぞれ準用する。 この場合において, 「検事」とあるのは, 「捜査処検事」と読み替える。
第6章 補則
編集第44条(派遣公務員) 捜査処の職務の内容及び特殊性等を考慮し必要な場合には, 他行政機関から公務員の派遣を受けることができる。
第45条(組織及び運営) この法律に定める事項のほか, 捜査処の組織及び運営に関し必要な事項は, 捜査処規則で定める。
第46条(情報提供者の保護) ① 何人も高位公職者犯罪等について知り得たときは, これについての情報を捜査処に提供することができ, これを理由に不利益な措置を受けない。
② 捜査処は,内部告発者に対し, 「公益通報者保護法」において定める保護措置及び支援行為をすることができる。 内部告発者の保護に関する細部的な事項は, 大統領令で定める。
第47条(他の法律の準用) その他捜査処検事 及び捜査処捜査官のこの法律による職務及び権限等に関しては, この法律の規定に反しない限り, 「検察庁法」(ただし, 第4条第1項第2号, 第4号及び第5号を除く。), 「刑事訴訟法」を準用する。
附則
編集第1条(施行日) この法律は, 公布後6か月が経過した日から施行する。
第2条(捜査処の設立に関する準備行為) 捜査処の所属公務員の任命等捜査処の設立に必要な行為その他この[1]施行のため必要な準備行為は, この法律の施行前にすることができる。
脚注
編集- ↑ 「この法律の」の誤りと思われる。
この著作物又はその原文は、大韓民国著作権法7条により同法の保護対象から除外されるため、同国においてパブリックドメインの状態にあります。該当する著作物には、次のものが含まれます。:
- 憲法・法律・条約・命令・条例及び規則
- 国又は地方公共団体の告示、公告、訓令その他これに類するもの
- 裁判所の判決、決定、命令及び審判又は行政審判手続その他これに類する手続による議決、決定等
- 国又は地方公共団体が作成したものであって第1号から第3号までに規定されたものの編輯物又は翻訳物
- 事実の伝達にすぎない時事報道
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