利用者:Gminky/ひらがなみんぽう
みんぽう(めいじ29.4.27 ほうりつ だい89ごう)
さいしゅう かいせい:へいせい28.6.7.ほうりつ だい71ごう
だい1へん そうそく
編集だい1しょう つうそく
編集(きほんげんそく)
だい1じょう しけん(私権)は こうきょうのふくしに てきごうしなければならない.
② けんりの こうし および ぎむの りこうは しんぎ(信義)に したがい せいじつに おこなわなければならない.
③ けんりの らんようは これを ゆるさない.
(かいしゃくの きじゅん)
だい2じょう この ほうりつは こじんの そんげんと りょうせい(両性)の ほんしつてきびょうどうを むねとして かいしゃくしなければならない.
だい2しょう ひと
編集だい1せつ けんりのうりょく
編集だい3じょう しけん(私権)の きょうゆう(享有)は しゅっしょうに はじまる.
② がいこくじんは ほうれい または じょうやくの きていにより きんしされる ばあいを のぞき しけん(私権)を きょうゆう(享有)する.
だい2せつ こういのうりょく
編集(せいねん)
だい4じょう ねんれい 20さいを もって せいねんとする.
(みせいねんしゃの ほうりつこうい)
だい5じょう みせいねんしゃが ほうりつこういをするには その ほうていだいりにんのどういを えなければならない. ただし, たんに けんりを え, または ぎむを まぬかれるほうりつこういについては このかぎりでない.
② ぜんこうの きていに はんする ほうりつこういは とりけすことができる.
③ だい1こうの きていに かかわらず, ほうていだいりにんが もくてきを さだめて しょぶんを ゆるした ざいさんは その もくてきの はんいないにおいて みせいねんしゃが じゆうに しょぶんすることができる. もくてきを さだめないで しょぶんを ゆるした ざいさんを しょぶんするときも どうようとする.
(みせいねんしゃの えいぎょうの きょか)
だい6じょう 1しゅ または すうしゅの えいぎょうを ゆるされた みせいねんしゃは その えいぎょうに かんしては せいねんしゃと どういつの こういのうりょくを ゆうする.
② ぜんこうの ばあいにおいて, みせいねんしゃが その えいぎょうに たえることができない じゆうが あるときは その ほうていだいりにんは だい4へん(しんぞく)の きていに したがい その きょかを とりけし, または これを せいげんすることができる.
(こうけんかいしの しんぱん)
だい7じょう せいしんじょうの しょうがいにより じりを べんしきする のうりょくを かく じょうきょう(常況)にあるものについては かていさいばんしょは ほんにん, はいぐうしゃ, 4しんとうないの しんぞく, みせいねんこうけんにん, みせいねんこうけんかんとくにん, ほさにん, ほさかんとくにん, ほじょにん, ほじょかんとくにん または けんさつかんの せいきゅうにより こうけんかいしの しんぱんをすることができる.
(せいねんひこうけんにん および せいねんこうけんにん)
だい8じょう こうけんかいしの しんぱんを うけたものは, せいねんひこうけんにんとし, これにせいねんこうけんにんを ふする.
(せいねんひこうけんにんの ほうりつこうい)
だい9じょう せいねんひこうけんにんの ほうりつこういは とりけすことができる. ただし, にちようひんの こうにゅう そのた にちじょうせいかつに かんする こういについては このかぎりでない.
(こうけんかいしのしんぱんのとりけし)
だい10じょう だい7じょうに きていする げんいんが しょうめつしたときは かていさいばんしょは ほんにん, はいぐうしゃ, 4しんとうないの しんぞく, こうけんにん(みせいねんこうけんにん および せいねんこうけんにんをいう. いか おなじ.), こうけんかんとくにん(みせいねんこうけんかんとくにん および せいねんこうけんかんとくにんをいう. いか おなじ.) または けんさつかんのせいきゅうにより こうけんかいしのしんぱんを とりけさなければならない.
(ほさかいしの しんぱん)
だい11じょう せいしんじょうの しょうがいにより じり(事理)をべんしきする のうりょくが いちじるしく ふじゅうぶんであるものについては かていさいばんしょは ほんにん, はいぐうしゃ, 4しんとうないのしんぞく, こうけんにん, こうけんかんとくにん, ほじょにん, ほじょかんとくにん または けんさつかんのせいきゅうにより ほさかいしの しんぱんをすることができる. ただし, だい7じょうに きていする げんいんがあるものについては このかぎりでない.
(ひほさにん および ほさにん)
だい12じょう ほさかいしのしんぱんを うけたものは ひほさにんとし, これに ほさにんを ふする.
(ほさにんのどういを要するこうい等)
だい13じょう ひほさにんが次に掲げるこういをするには, そのほさにんのどういを得なければならない. ただし, だい9じょうただし書にきていするこういについては, このかぎりでない. 1 元本を領収し, または 利用すること.
2 借財 または 保証をすること.
3 不動産その他重要なざいさんにかんする けんりの得喪をもくてきとするこういをすること.
4 訴訟こういをすること.
5 贈与, 和解 または 仲裁合意(仲裁法 (へいせい15ねんほうりつ だい138ごう)だい2じょう だい1こう にきていする仲裁合意をいう.)をすること.
6 そうぞくの承認若しくは放棄 または 遺産の分割をすること.
7 贈与の申込みを拒絶し, 遺贈を放棄し, 負担付贈与の申込みを承諾し, または 負担付遺贈を承認すること.
8 新築, 改築, 増築 または 大修繕をすること.
9 だい602じょうにさだめる期間を超える賃貸借をすること.
② かていさいばんしょは, だい11じょうほんぶんにきていする者 または ほさにん若しくはほさかんとくにんのせいきゅうにより, ひほさにんがぜんこう各号に掲げるこうい以外のこういをするばあいであってもそのほさにんのどういを得なければならない旨のしんぱんをすることができる. ただし, だい9じょうただし書にきていするこういについては, このかぎりでない.
③ ほさにんのどういを得なければならないこういについて, ほさにんがひほさにんの利益を害するおそれがないにもかかわらずどういをしないときは, かていさいばんしょは, ひほさにんのせいきゅうにより, ほさにんのどういに代わるきょかを与えることができる.
④ ほさにんのどういを得なければならないこういであって, そのどうい または これに代わるきょかを得ないでしたものは, とりけすことができる.
(ほさかいしのしんぱん等のとりけし)
だい14じょう だい11じょうほんぶんにきていする原因が消滅したときは, かていさいばんしょは, ほんにん, はいぐうしゃ, 4しんとう内のしんぞく, みせいねんこうけんにん, みせいねんこうけんかんとくにん, ほさにん, ほさかんとくにん または けんさつかんのせいきゅうにより, ほさかいしのしんぱんを取り消さなければならない.
② かていさいばんしょは, ぜんこうにきていする者のせいきゅうにより, 前条だい2こうのしんぱんの全部 または いちぶをとりけすことができる.
(ほじょかいしのしんぱん)
だい15じょう せいしんじょうのしょうがいによりじり(事理)を弁識するのうりょくが不十分である者については, かていさいばんしょは, ほんにん, はいぐうしゃ, 4しんとう内のしんぞく, こうけんにん, こうけんかんとくにん, ほさにん, ほさかんとくにん または けんさつかんのせいきゅうにより, ほじょかいしのしんぱんをすることができる. ただし, だい7じょう または だい11じょうほんぶんにきていする原因がある者については, このかぎりでない.
② ほんにん以外の者のせいきゅうによりほじょかいしのしんぱんをするには, ほんにんのどういがなければならない.
③ ほじょかいしのしんぱんは, だい17じょう だい1こうのしんぱん または だい876じょうの9だい1こうのしんぱんとともにしなければならない.
(ひほじょにん および ほじょにん)
だい16じょう ほじょかいしのしんぱんをうけた者は, ひほじょにんとし, これにほじょにんを付する.
(ほじょにんのどういを要する旨のしんぱん等)
だい17じょう かていさいばんしょは, だい15じょう だい1こうほんぶんにきていする者 または ほじょにん若しくはほじょかんとくにんのせいきゅうにより, ひほじょにんが特定のほうりつこういをするにはそのほじょにんのどういを得なければならない旨のしんぱんをすることができる. ただし, そのしんぱんによりそのどういを得なければならないものとすることができるこういは, だい13じょう だい1こうにきていするこういの いちぶに限る.
② ほんにん以外の者のせいきゅうによりぜんこうのしんぱんをするには, ほんにんのどういがなければならない.
③ ほじょにんのどういを得なければならないこういについて, ほじょにんがひほじょにんの利益を害するおそれがないにもかかわらずどういをしないときは, かていさいばんしょは, ひほじょにんのせいきゅうにより, ほじょにんのどういに代わるきょかを与えることができる.
④ ほじょにんのどういを得なければならないこういであって, そのどうい または これに代わるきょかを得ないでしたものは, とりけすことができる.
(ほじょかいしのしんぱん等のとりけし)
だい18じょう だい15じょう だい1こうほんぶんにきていする原因が消滅したときは, かていさいばんしょは, ほんにん, はいぐうしゃ, 4しんとう内のしんぞく, みせいねんこうけんにん, みせいねんこうけんかんとくにん, ほじょにん, ほじょかんとくにん または けんさつかんのせいきゅうにより, ほじょかいしのしんぱんを取り消さなければならない.
② かていさいばんしょは, ぜんこうにきていする者のせいきゅうにより, 前条だい1こうのしんぱんの全部 または いちぶをとりけすことができる.
③ 前条だい1こうのしんぱん および だい876じょうの9だい1こうのしんぱんをすべてとりけすばあいには, かていさいばんしょは, ほじょかいしのしんぱんを取り消さなければならない.
(しんぱん相互の関係)
だい19じょう こうけんかいしのしんぱんをするばあいにおいて, ほんにんがひほさにん または ひほじょにんであるときは, かていさいばんしょは, そのほんにんに係るほさかいし または ほじょかいしのしんぱんを取り消さなければならない.
② ぜんこうのきていは, ほさかいしのしんぱんをするばあいにおいてほんにんがせいねんひこうけんにん若しくはひほじょにんであるとき, または ほじょかいしのしんぱんをするばあいにおいてほんにんがせいねんひこうけんにん若しくはひほさにんであるときについてじゅんようする.
(制限こういのうりょく者の相手方の催告権)
だい20じょう 制限こういのうりょく者(みせいねんしゃ, せいねんひこうけんにん, ひほさにん および だい17じょう だい1こうのしんぱんをうけたひほじょにんをいう. 以下同じ.)の相手方は, その制限こういのうりょく者がこういのうりょく者(こういのうりょくの制限をうけない者をいう. 以下同じ.)となった後, その者に対し, 1箇月以上の期間をさだめて, その期間内にそのとりけすことができるこういを追認するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる. このばあいにおいて, その者がその期間内に確答を発しないときは, そのこういを追認したものとみなす.
② 制限こういのうりょく者の相手方が, 制限こういのうりょく者がこういのうりょく者とならない間に, そのほうていだいりにん, ほさにん または ほじょにんに対し, その権限内のこういについてぜんこうにきていする催告をしたばあいにおいて, これらの者が同項の期間内に確答を発しないときも, 同項後段とどうようとする.
③ 特別の方式を要するこういについては, 前2こうの期間内にその方式を具備した旨の通知を発しないときは, そのこういをとりけしたものとみなす.
④ 制限こういのうりょく者の相手方は, ひほさにん または だい17じょう だい1こうのしんぱんをうけたひほじょにんに対しては, だい1こうの期間内にそのほさにん または ほじょにんの追認を得るべき旨の催告をすることができる. このばあいにおいて, そのひほさにん または ひほじょにんがその期間内にその追認を得た旨の通知を発しないときは, そのこういをとりけしたものとみなす.
(制限こういのうりょく者の詐術)
だい21じょう 制限こういのうりょく者がこういのうりょく者であることを信じさせるため詐術を用いたときは, そのこういをとりけすことができない.
だい3せつ 住所
(住所)
だい22じょう 各人の生活の本拠をその者の住所とする.
(居所)
だい23じょう 住所が知れないばあいには, 居所を住所とみなす.
② 日本に住所を有しない者は, その者が日ほんにん または がいこくじんのいずれであるかを問わず, 日本における居所をその者の住所とみなす. ただし, 準拠法をさだめるほうりつにしたがいその者の住所地法によるべきばあいは, このかぎりでない.
(仮住所)
だい24じょう あるこういについて仮住所を選定したときは, そのこういにかんしては, その仮住所を住所とみなす.
だい4せつ 不在者のざいさんの管理 および 失踪のせんこく
(不在者のざいさんの管理)
だい25じょう 従来の住所 または 居所を去った者(以下「不在者」という.)がそのざいさんの管理人(以下この節において単に「管理人」という.)を置かなかったときは, かていさいばんしょは, 利害関係人 または けんさつかんのせいきゅうにより, そのざいさんの管理について必要なしょぶんを命ずることができる. ほんにんの不在中に管理人の権限が消滅したときも, どうようとする.
② ぜんこうのきていによる命令後, ほんにんが管理人を置いたときは, かていさいばんしょは, その管理人, 利害関係人 または けんさつかんのせいきゅうにより, その命令を取り消さなければならない.
(管理人の改任)
だい26じょう 不在者が管理人を置いたばあいにおいて, その不在者の生死が明らかでないときは, かていさいばんしょは, 利害関係人 または けんさつかんのせいきゅうにより, 管理人を改任することができる.
(管理人の職務)
だい27じょう 前2じょうのきていによりかていさいばんしょが選任した管理人は, その管理すべきざいさんの目録を作成しなければならない. このばあいにおいて, その費用は, 不在者のざいさんの中から支弁する.
② 不在者の生死が明らかでないばあいにおいて, 利害関係人 または けんさつかんのせいきゅうがあるときは, かていさいばんしょは, 不在者が置いた管理人にも, ぜんこうの目録の作成を命ずることができる.
③ 前2こうにさだめるもののほか, かていさいばんしょは, 管理人に対し, 不在者のざいさんの保存に必要と認めるしょぶんを命ずることができる.
(管理人の権限)
だい28じょう 管理人は, だい103じょうにきていする権限を超えるこういを必要とするときは, かていさいばんしょのきょかを得て, そのこういをすることができる. 不在者の生死が明らかでないばあいにおいて, その管理人が不在者がさだめた権限を超えるこういを必要とするときも, どうようとする.
(管理人の担保提供 および 報酬)
だい29じょう かていさいばんしょは, 管理人にざいさんの管理 および 返還について相当の担保を立てさせることができる.
② かていさいばんしょは, 管理人と不在者との関係その他の事情により, 不在者のざいさんの中から, 相当な報酬を管理人に与えることができる.
(失踪のせんこく)
だい30じょう 不在者の生死が7ねん間明らかでないときは, かていさいばんしょは, 利害関係人のせいきゅうにより, 失踪のせんこくをすることができる.
② 戦地に臨んだ者, 沈没した船舶の中に在った者その他死亡の原因となるべき危難に遭遇した者の生死が, それぞれ, 戦争が止んだ後, 船舶が沈没した後 または その他の危難が去った後1ねん間明らかでないときも, ぜんこうとどうようとする.
(失踪のせんこくのこうりょく)
だい31じょう 前条だい1こうのきていにより失踪のせんこくをうけた者は同項の期間が満了した時に, 同条だい2こうのきていにより失踪のせんこくをうけた者はその危難が去った時に, 死亡したものとみなす.
(失踪のせんこくのとりけし)
だい32じょう 失踪者が生存すること または 前条にきていする時と異なる時に死亡したことの証明があったときは, かていさいばんしょは, ほんにん または 利害関係人のせいきゅうにより, 失踪のせんこくを取り消さなければならない. このばあいにおいて, そのとりけしは, 失踪のせんこく後そのとりけし前に善意でしたこういのこうりょくに影響を及ぼさない.
② 失踪のせんこくによってざいさんを得た者は, そのとりけしによってけんりを失う. ただし, 現に利益をうけている限度においてのみ, そのざいさんを返還するぎむを負う.
だい5せつ 同時死亡の推定
だい32じょうの2 数人の者が死亡したばあいにおいて, そのうちの1人が他の者の死亡後になお生存していたことが明らかでないときは, これらの者は, 同時に死亡したものと推定する.
だい3しょう 法人
編集(法人の成立等)
だい33じょう 法人は, この ほうりつその他のほうりつのきていによらなければ, 成立しない.
② 学術, 技芸, 慈善, 祭祀, 宗教その他の公益をもくてきとする法人, 営利事業を営むことをもくてきとする法人その他の法人の設立, 組織, 運営 および 管理については, この ほうりつその他のほうりつのさだめるところによる.
(法人ののうりょく)
だい34じょう 法人は, ほうれいのきていにしたがい, 定款その他の基本約款でさだめられたもくてきのはんいないにおいて, けんりを有し, ぎむを負う.
(外国法人)
だい35じょう 外国法人は, 国, 国の行政区画 および 外国会社をのぞき, その成立を認許しない. ただし, ほうりつ または じょうやくのきていにより認許された外国法人は, このかぎりでない.
② ぜんこうのきていにより認許された外国法人は, 日本において成立する同種の法人とどういつの私権をゆうする. ただし, がいこくじんが享ゆうすることのできないけんり および ほうりつ または じょうやく中に特別のきていがあるけんりについては, このかぎりでない.
(登記)
だい36じょう 法人 および 外国法人は, この ほうりつその他のほうれいのさだめるところにより, 登記をするものとする.
(外国法人の登記)
だい37じょう 外国法人(だい35じょう だい1こうただし書にきていする外国法人に限る. 以下この条において同じ.)が日本に事務所を設けたときは, 3週間以内に, その事務所の所在地において, 次に掲げる事項を登記しなければならない. 1 外国法人の設立の準拠法
2 もくてき
3 名称
4 事務所の所在場所
5 存続期間をさだめたときは, そのさだめ
6 代表者の氏名 および 住所
② ぜんこう各号に掲げる事項に変更を生じたときは, 3週間以内に, 変更の登記をしなければならない. このばあいにおいて, 登記前にあっては, その変更をもってだいさんしゃに対抗することができない.
③ 代表者の職務の執行を停止し, 若しくはその職務を代行する者を選任する仮しょぶん命令 または その仮しょぶん命令を変更し, 若しくはとりけす決定がされたときは, その登記をしなければならない. このばあいにおいては, ぜんこう後段のきていをじゅんようする.
④ 前2こうのきていにより登記すべき事項が外国において生じたときは, 登記の期間は, その通知が到達した日から起算する.
⑤ 外国法人が初めて日本に事務所を設けたときは, その事務所の所在地において登記するまでは, だいさんしゃは, その法人の成立を否認することができる.
⑥ 外国法人が事務所を移転したときは, 旧所在地においては3週間以内に移転の登記をし, 新所在地においては4週間以内にだい1こう各号に掲げる事項を登記しなければならない.
⑦ どういつの登記所の管轄区域内において事務所を移転したときは, その移転を登記すれば足りる.
⑧ 外国法人の代表者が, この条にきていする登記を怠ったときは, 50万円以下の過料に処する.
だい38じょう 削除
だい39じょう 削除
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だい83じょう 削除
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だい4しょう 物
編集(定義)
だい85じょう この ほうりつにおいて「物」とは, 有体物をいう.
(不動産 および 動産)
だい86じょう 土地 および その定着物は, 不動産とする.
② 不動産以外の物は, すべて動産とする.
③ 無記名債権は, 動産とみなす.
(主物 および 従物)
だい87じょう 物の所有者が, その物の常用に供するため, 自己の所有に属する他の物をこれに附属させたときは, その附属させた物を従物とする.
② 従物は, 主物のしょぶんに従う.
(天然果実 および 法定果実)
だい88じょう 物の用法にしたがい収取する産出物を天然果実とする.
② 物の使用の対価としてうけるべき金銭その他の物を法定果実とする.
(果実の帰属)
だい89じょう 天然果実は, その元物から分離する時に, これを収取するけんりをゆうする者に帰属する.
② 法定果実は, これを収取するけんりの存続期間に応じて, 日割計算によりこれを取得する.
だい5しょう ほうりつこうい
編集だい1せつ そうそく
(公序良俗)
だい90じょう 公の秩序 または 善良の風俗に反する事項をもくてきとするほうりつこういは, 無効とする.
(任意きていと異なる意思表示)
だい91じょう ほうりつこういの当事者がほうれい中の公の秩序にかんしないきていと異なる意思を表示したときは, その意思に従う.
(任意きていと異なる慣習)
だい92じょう ほうれい中の公の秩序にかんしないきていと異なる慣習があるばあいにおいて, ほうりつこういの当事者がその慣習による意思を有しているものと認められるときは, その慣習に従う.
だい2せつ 意思表示
(心裡留保)
だい93じょう 意思表示は, 表意者がその真意ではないことを知ってしたときであっても, そのためにそのこうりょくを妨げられない. ただし, 相手方が表意者の真意を知り, または 知ることができたときは, その意思表示は, 無効とする.
(虚偽表示)
だい94じょう 相手方と通じてした虚偽の意思表示は, 無効とする.
② ぜんこうのきていによる意思表示の無効は, 善意のだいさんしゃに対抗することができない.
(錯誤)
だい95じょう 意思表示は, ほうりつこういの要素に錯誤があったときは, 無効とする. ただし, 表意者に重大な過失があったときは, 表意者は, 自らその無効を主張することができない.
(詐欺 または 強迫)
だい96じょう 詐欺 または 強迫による意思表示は, とりけすことができる.
② 相手方に対する意思表示についてだいさんしゃが詐欺を行ったばあいにおいては, 相手方がその事実を知っていたときにかぎり, その意思表示をとりけすことができる.
③ 前2こうのきていによる詐欺による意思表示のとりけしは, 善意のだいさんしゃに対抗することができない.
(隔地者に対する意思表示)
だい97じょう 隔地者に対する意思表示は, その通知が相手方に到達した時からそのこうりょくを生ずる.
② 隔地者に対する意思表示は, 表意者が通知を発した後に死亡し, または こういのうりょくをそうしつしたときであっても, そのためにそのこうりょくを妨げられない.
(公示による意思表示)
だい98じょう 意思表示は, 表意者が相手方を知ることができず, または その所在を知ることができないときは, 公示の方法によってすることができる.
② ぜんこうの公示は, 公示送達にかんする 民事訴訟法 (へいせい8.ほうりつ だい109ごう)のきていにしたがい, 裁判所の掲示場に掲示し, かつ, その掲示があったことを官報に少なくとも1回掲載して行う. ただし, 裁判所は, 相当と認めるときは, 官報への掲載に代えて, 市役所, 区役所, 町村役場 または これらに準ずる施設の掲示場に掲示すべきことを命ずることができる.
③ 公示による意思表示は, 最後に官報に掲載した日 または その掲載に代わる掲示を始めた日から2週間をけいかした時に, 相手方に到達したものとみなす. ただし, 表意者が相手方を知らないこと または その所在を知らないことについて過失があったときは, 到達のこうりょくを生じない.
④ 公示にかんする 手続は, 相手方を知ることができないばあいには表意者の住所地の, 相手方の所在を知ることができないばあいには相手方の最後の住所地の簡易裁判所の管轄に属する.
⑤ 裁判所は, 表意者に, 公示にかんする 費用を予納させなければならない.
(意思表示の受領のうりょく)
だい98じょうの2 意思表示の相手方がその意思表示をうけた時にみせいねんしゃ または せいねんひこうけんにんであったときは, その意思表示をもってその相手方に対抗することができない. ただし, そのほうていだいりにんがその意思表示を知った後は, このかぎりでない.
だい3せつ 代理
(代理こういの要件 および 効果)
だい99じょう 代理人がその権限内においてほんにんのためにすることを示してした意思表示は, ほんにんに対して直接にそのこうりょくを生ずる.
② ぜんこうのきていは, だいさんしゃが代理人に対してした意思表示についてじゅんようする.
(ほんにんのためにすることを示さない意思表示)
だい100じょう 代理人がほんにんのためにすることを示さないでした意思表示は, 自己のためにしたものとみなす. ただし, 相手方が, 代理人がほんにんのためにすることを知り, または 知ることができたときは, 前条だい1こうのきていをじゅんようする.
(代理こういの瑕疵)
だい101じょう 意思表示のこうりょくが意思の不存在, 詐欺, 強迫 または ある事情を知っていたこと若しくは知らなかったことにつき過失があったことによって影響をうけるべきばあいには, その事実の有無は, 代理人について決するものとする.
② 特定のほうりつこういをすることを委託されたばあいにおいて, 代理人がほんにんの指図に従ってそのこういをしたときは, ほんにんは, 自ら知っていた事情について代理人が知らなかったことを主張することができない. ほんにんが過失によって知らなかった事情についても, どうようとする.
(代理人のこういのうりょく)
だい102じょう 代理人は, こういのうりょく者であることを要しない.
(権限のさだめのない代理人の権限)
だい103じょう 権限のさだめのない代理人は, 次に掲げるこういのみをする権限をゆうする. 1 保存こうい
2 代理のもくてきである物 または けんりの性質を変えないはんいないにおいて, その利用 または 改良をもくてきとするこうい
(任意代理人による復代理人の選任)
だい104じょう 委任による代理人は, ほんにんの許諾を得たとき, または やむを得ない事由があるときでなければ, 復代理人を選任することができない.
(復代理人を選任した代理人の責任)
だい105じょう 代理人は, 前条のきていにより復代理人を選任したときは, その選任 および 監督について, ほんにんに対してその責任を負う.
② 代理人は, ほんにんの指名に従って復代理人を選任したときは, ぜんこうの責任を負わない. ただし, その代理人が, 復代理人が不適任 または 不誠実であることを知りながら, その旨をほんにんに通知し または 復代理人を解任することを怠ったときは, このかぎりでない.
(ほうていだいりにんによる復代理人の選任)
だい106じょう ほうていだいりにんは, 自己の責任で復代理人を選任することができる. このばあいにおいて, やむを得ない事由があるときは, 前条だい1こうの責任のみを負う.
(復代理人の権限等)
だい107じょう 復代理人は, その権限内のこういについて, ほんにんを代表する.
② 復代理人は, ほんにん および だいさんしゃに対して, 代理人とどういつのけんりを有し, ぎむを負う.
(自己契約 および 双方代理)
だい108じょう どういつのほうりつこういについては, 相手方の代理人となり, または 当事者双方の代理人となることはできない. ただし, 債務の履行 および ほんにんがあらかじめ許諾したこういについては, このかぎりでない.
(代理権授与の表示による表見代理)
だい109じょう だいさんしゃに対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は, その代理権のはんいないにおいてその他人がだいさんしゃとの間でしたこういについて, その責任を負う. ただし, だいさんしゃが, その他人が代理権を与えられていないことを知り, または 過失によって知らなかったときは, このかぎりでない.
(権限外のこういの表見代理)
だい110じょう 前条ほんぶんのきていは, 代理人がその権限外のこういをしたばあいにおいて, だいさんしゃが代理人の権限があると信ずべき正当な理由があるときについてじゅんようする.
(代理権の消滅事由)
だい111じょう 代理権は, 次に掲げる事由によって消滅する. 1 ほんにんの死亡
2 代理人の死亡 または 代理人が破産手続かいしの決定若しくはこうけんかいしのしんぱんをうけたこと.
② 委任による代理権は, ぜんこう各号に掲げる事由のほか, 委任の終了によって消滅する.
(代理権消滅後の表見代理)
だい112じょう 代理権の消滅は, 善意のだいさんしゃに対抗することができない. ただし, だいさんしゃが過失によってその事実を知らなかったときは, このかぎりでない.
(無権代理)
だい113じょう 代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約は, ほんにんがその追認をしなければ, ほんにんに対してそのこうりょくを生じない.
② 追認 または その拒絶は, 相手方に対してしなければ, その相手方に対抗することができない. ただし, 相手方がその事実を知ったときは, このかぎりでない.
(無権代理の相手方の催告権)
だい114じょう 前条のばあいにおいて, 相手方は, ほんにんに対し, 相当の期間をさだめて, その期間内に追認をするかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる. このばあいにおいて, ほんにんがその期間内に確答をしないときは, 追認を拒絶したものとみなす.
(無権代理の相手方の取消権)
だい115じょう 代理権を有しない者がした契約は, ほんにんが追認をしない間は, 相手方がとりけすことができる. ただし, 契約の時において代理権を有しないことを相手方が知っていたときは, このかぎりでない.
(無権代理こういの追認)
だい116じょう 追認は, 別段の意思表示がないときは, 契約の時にさかのぼってそのこうりょくを生ずる. ただし, だいさんしゃのけんりを害することはできない.
(無権代理人の責任)
だい117じょう 他人の代理人として契約をした者は, 自己の代理権を証明することができず, かつ, ほんにんの追認を得ることができなかったときは, 相手方の選択にしたがい, 相手方に対して履行 または 損害賠償の責任を負う.
② ぜんこうのきていは, 他人の代理人として契約をした者が代理権を有しないことを相手方が知っていたとき, 若しくは過失によって知らなかったとき, または 他人の代理人として契約をした者がこういのうりょくを有しなかったときは, てきようしない.
(単独こういの無権代理)
だい118じょう 単独こういについては, そのこういの時において, 相手方が, 代理人と称する者が代理権を有しないでこういをすることにどういし, または その代理権を争わなかったときにかぎり, だい113じょうから前条までのきていをじゅんようする. 代理権を有しない者に対しそのどういを得て単独こういをしたときも, どうようとする.
だい4せつ 無効 および とりけし
(無効なこういの追認)
だい119じょう 無効なこういは, 追認によっても, そのこうりょくを生じない. ただし, 当事者がそのこういの無効であることを知って追認をしたときは, 新たなこういをしたものとみなす.
(取消権者)
だい120じょう こういのうりょくの制限によってとりけすことができるこういは, 制限こういのうりょく者 または その代理人, 承継人若しくはどういをすることができる者にかぎり, とりけすことができる.
② 詐欺 または 強迫によってとりけすことができるこういは, 瑕疵ある意思表示をした者 または その代理人若しくは承継人にかぎり, とりけすことができる.
(とりけしの効果)
だい121じょう 取り消されたこういは, 初めから無効であったものとみなす. ただし, 制限こういのうりょく者は, そのこういによって現に利益をうけている限度において, 返還のぎむを負う.
(とりけすことができるこういの追認)
だい122じょう とりけすことができるこういは, だい120じょうにきていする者が追認したときは, 以後, とりけすことができない. ただし, 追認によってだいさんしゃのけんりを害することはできない.
(とりけし および 追認の方法)
だい123じょう とりけすことができるこういの相手方がかくていしているばあいには, そのとりけし または 追認は, 相手方に対する意思表示によってする.
(追認の要件)
だい124じょう 追認は, とりけしの原因となっていたじょうきょうが消滅した後にしなければ, そのこうりょくを生じない.
② せいねんひこうけんにんは, こういのうりょく者となった後にそのこういを了知したときは, その了知をした後でなければ, 追認をすることができない.
③ 前2こうのきていは, ほうていだいりにん または 制限こういのうりょく者のほさにん若しくはほじょにんが追認をするばあいには, てきようしない.
(法定追認)
だい125じょう 前条のきていにより追認をすることができる時以後に, とりけすことができるこういについて次に掲げる事実があったときは, 追認をしたものとみなす. ただし, 異議をとどめたときは, このかぎりでない. 1 全部 または いちぶの履行
2 履行のせいきゅう
3 更改
4 担保の供与
5 とりけすことができるこういによって取得したけんりの全部 または いちぶの譲渡
6 強制執行
(取消権の期間の制限)
だい126じょう 取消権は, 追認をすることができる時から5ねん間行使しないときは, 時効によって消滅する. こういの時から20ねんをけいかしたときも, どうようとする.
だい5せつ 条件 および 期限
(条件が成就したばあいの効果)
だい127じょう 停止条件付ほうりつこういは, 停止条件が成就した時からそのこうりょくを生ずる.
② 解除条件付ほうりつこういは, 解除条件が成就した時からそのこうりょくを失う.
③ 当事者が条件が成就したばあいの効果をその成就した時以前にさかのぼらせる意思を表示したときは, その意思に従う.
(条件の成否未定の間における相手方の利益の侵害のきんし)
だい128じょう 条件付ほうりつこういの各当事者は, 条件の成否が未定である間は, 条件が成就したばあいにそのほうりつこういから生ずべき相手方の利益を害することができない.
(条件の成否未定の間におけるけんりのしょぶん等)
だい129じょう 条件の成否が未定である間における当事者のけんりぎむは, 1般のきていにしたがい, しょぶんし, そうぞくし, 若しくは保存し, または そのために担保を供することができる.
(条件の成就の妨害)
だい130じょう 条件が成就することによって不利益をうける当事者が故意にその条件の成就を妨げたときは, 相手方は, その条件が成就したものとみなすことができる.
(既成条件)
だい131じょう 条件がほうりつこういの時に既に成就していたばあいにおいて, その条件が停止条件であるときはそのほうりつこういは無条件とし, その条件が解除条件であるときはそのほうりつこういは無効とする.
② 条件が成就しないことがほうりつこういの時に既にかくていしていたばあいにおいて, その条件が停止条件であるときはそのほうりつこういは無効とし, その条件が解除条件であるときはそのほうりつこういは無条件とする.
③ 前2こうにきていするばあいにおいて, 当事者が条件が成就したこと または 成就しなかったことを知らない間は, だい128じょう および だい129じょうのきていをじゅんようする.
(不法条件)
だい132じょう 不法な条件を付したほうりつこういは, 無効とする. 不法なこういをしないことを条件とするものも, どうようとする.
(不能条件)
だい133じょう 不能の停止条件を付したほうりつこういは, 無効とする.
② 不能の解除条件を付したほうりつこういは, 無条件とする.
(随意条件)
だい134じょう 停止条件付ほうりつこういは, その条件が単に債務者の意思のみに係るときは, 無効とする.
(期限の到来の効果)
だい135じょう ほうりつこういに始期を付したときは, そのほうりつこういの履行は, 期限が到来するまで, これをせいきゅうすることができない.
② ほうりつこういに終期を付したときは, そのほうりつこういのこうりょくは, 期限が到来した時に消滅する.
(期限の利益 および その放棄)
だい136じょう 期限は, 債務者の利益のためにさだめたものと推定する.
② 期限の利益は, 放棄することができる. ただし, これによって相手方の利益を害することはできない.
(期限の利益のそうしつ)
だい137じょう 次に掲げるばあいには, 債務者は, 期限の利益を主張することができない. 1 債務者が破産手続かいしの決定をうけたとき.
2 債務者が担保を滅失させ, 損傷させ, または 減少させたとき.
3 債務者が担保を供するぎむを負うばあいにおいて, これを供しないとき.
だい6しょう 期間の計算
編集(期間の計算のつうそく)
だい138じょう 期間の計算方法は, ほうれい若しくは裁判上の命令に特別のさだめがあるばあい または ほうりつこういに別段のさだめがあるばあいをのぞき, この章のきていに従う.
(期間の起算)
だい139じょう 時間によって期間をさだめたときは, その期間は, 即時から起算する.
だい140じょう 日, 週, 月 または 年によって期間をさだめたときは, 期間の初日は, 算入しない. ただし, その期間が午前零時からはじまるときは, このかぎりでない.
(期間の満了)
だい141じょう 前条のばあいには, 期間は, その末日の終了をもって満了する.
だい142じょう 期間の末日が日曜日, 国民の祝日にかんする ほうりつ (昭和23ねんほうりつ だい178ごう)にきていする休日その他の休日に当たるときは, その日に取引をしない慣習があるばあいにかぎり, 期間は, その翌日に満了する.
(暦による期間の計算)
だい143じょう 週, 月 または 年によって期間をさだめたときは, その期間は, 暦に従って計算する.
② 週, 月 または 年の初めから期間を起算しないときは, その期間は, 最後の週, 月 または 年においてその起算日に応当する日の前日に満了する. ただし, 月 または 年によって期間をさだめたばあいにおいて, 最後の月に応当する日がないときは, その月の末日に満了する.
だい7しょう 時効
編集だい1せつ そうそく
(時効のこうりょく)
だい144じょう 時効のこうりょくは, その起算日にさかのぼる.
(時効の援用)
だい145じょう 時効は, 当事者が援用しなければ, 裁判所がこれによって裁判をすることができない.
(時効の利益の放棄)
だい146じょう 時効の利益は, あらかじめ放棄することができない.
(時効の中断事由)
だい147じょう 時効は, 次に掲げる事由によって中断する. 1 せいきゅう
2 差押え, 仮差押え または 仮しょぶん
3 承認
(時効の中断のこうりょくが及ぶ者のはんい)
だい148じょう 前条のきていによる時効の中断は, その中断の事由が生じた当事者 および その承継人の間においてのみ, そのこうりょくをゆうする.
(裁判上のせいきゅう)
だい149じょう 裁判上のせいきゅうは, 訴えの却下 または 取下げのばあいには, 時効の中断のこうりょくを生じない.
(支払督促)
だい150じょう 支払督促は, 債権者が民事訴訟法だい392じょう にきていする期間内に仮執行の宣言の申立てをしないことによりそのこうりょくを失うときは, 時効の中断のこうりょくを生じない.
(和解 および 調停の申立て)
だい151じょう 和解の申立て または 民事調停法 (昭和26ねんほうりつ だい222ごう)若しくは家事事件手続法 (へいせい23.ほうりつ だい52ごう)による調停の申立ては, 相手方が出頭せず, または 和解若しくは調停が調わないときは, 1箇月以内に訴えを提起しなければ, 時効の中断のこうりょくを生じない.
(破産手続参加等)
だい152じょう 破産手続参加, 再生手続参加 または 更生手続参加は, 債権者がその届出を取り下げ, または その届出が却下されたときは, 時効の中断のこうりょくを生じない.
(催告)
だい153じょう 催告は, 6箇月以内に, 裁判上のせいきゅう, 支払督促の申立て, 和解の申立て, 民事調停法 若しくは家事事件手続法 による調停の申立て, 破産手続参加, 再生手続参加, 更生手続参加, 差押え, 仮差押え または 仮しょぶんをしなければ, 時効の中断のこうりょくを生じない.
(差押え, 仮差押え および 仮しょぶん)
だい154じょう 差押え, 仮差押え および 仮しょぶんは, けんり者のせいきゅうにより または ほうりつのきていに従わないことにより取り消されたときは, 時効の中断のこうりょくを生じない.
だい155じょう 差押え, 仮差押え および 仮しょぶんは, 時効の利益をうける者に対してしないときは, その者に通知をした後でなければ, 時効の中断のこうりょくを生じない.
(承認)
だい156じょう 時効の中断のこうりょくを生ずべき承認をするには, 相手方のけんりについてのしょぶんにつきこういのうりょく または 権限があることを要しない.
(中断後の時効の進行)
だい157じょう 中断した時効は, その中断の事由が終了した時から, 新たにその進行を始める.
② 裁判上のせいきゅうによって中断した時効は, 裁判がかくていした時から, 新たにその進行を始める.
(みせいねんしゃ または せいねんひこうけんにんと時効の停止)
だい158じょう 時効の期間の満了前6箇月以内の間にみせいねんしゃ または せいねんひこうけんにんにほうていだいりにんがないときは, そのみせいねんしゃ若しくはせいねんひこうけんにんがこういのうりょく者となった時 または ほうていだいりにんが就職した時から6箇月をけいかするまでの間は, そのみせいねんしゃ または せいねんひこうけんにんに対して, 時効は, 完成しない.
② みせいねんしゃ または せいねんひこうけんにんがそのざいさんを管理するちゝ, はゝ または こうけんにんに対してけんりをゆうするときは, そのみせいねんしゃ若しくはせいねんひこうけんにんがこういのうりょく者となった時 または 後任のほうていだいりにんが就職した時から6箇月をけいかするまでの間は, そのけんりについて, 時効は, 完成しない.
(夫婦間のけんりの時効の停止)
だい159じょう 夫婦の1方が他の1方に対してゆうするけんりについては, 婚姻の解消の時から6箇月をけいかするまでの間は, 時効は, 完成しない.
(そうぞくざいさんにかんする 時効の停止)
だい160じょう そうぞくざいさんにかんしては, そうぞく人がかくていした時, 管理人が選任された時 または 破産手続かいしの決定があった時から6箇月をけいかするまでの間は, 時効は, 完成しない.
(天災等による時効の停止)
だい161じょう 時効の期間の満了の時に当たり, 天災その他避けることのできない事変のため時効を中断することができないときは, そのしょうがいが消滅した時から2週間をけいかするまでの間は, 時効は, 完成しない.
だい2せつ 取得時効
(所有権の取得時効)
だい162じょう 20ねん間, 所有の意思をもって, 平穏に, かつ, 公然と他人の物を占有した者は, その所有権を取得する.
② 十年間, 所有の意思をもって, 平穏に, かつ, 公然と他人の物を占有した者は, その占有のかいしの時に, 善意であり, かつ, 過失がなかったときは, その所有権を取得する.
(所有権以外のざいさん権の取得時効)
だい163じょう 所有権以外のざいさん権を, 自己のためにする意思をもって, 平穏に, かつ, 公然と行使する者は, 前条の区別にしたがい20ねん または 十年をけいかした後, そのけんりを取得する.
(占有の中止等による取得時効の中断)
だい164じょう だい162じょうのきていによる時効は, 占有者が任意にその占有を中止し, または 他人によってその占有を奪われたときは, 中断する.
だい165じょう 前条のきていは, だい163じょうのばあいについてじゅんようする.
だい3せつ 消滅時効
(消滅時効の進行等)
だい166じょう 消滅時効は, けんりを行使することができる時から進行する.
② ぜんこうのきていは, 始期付けんり または 停止条件付けんりのもくてき物を占ゆうするだいさんしゃのために, その占有のかいしの時から取得時効が進行することを妨げない. ただし, けんり者は, その時効を中断するため, いつでも占有者の承認を求めることができる.
(債権等の消滅時効)
だい167じょう 債権は, 十年間行使しないときは, 消滅する.
② 債権 または 所有権以外のざいさん権は, 20ねん間行使しないときは, 消滅する.
(定期金債権の消滅時効)
だい168じょう 定期金の債権は, だい1回の弁済期から20ねん間行使しないときは, 消滅する. 最後の弁済期から十年間行使しないときも, どうようとする.
② 定期金の債権者は, 時効の中断の証拠を得るため, いつでも, その債務者に対して承認書の交付を求めることができる.
(定期給付債権の短期消滅時効)
だい169じょう 年 または これより短い時期によってさだめた金銭その他の物の給付をもくてきとする債権は, 5ねん間行使しないときは, 消滅する.
(3ねんの短期消滅時効)
だい170じょう 次に掲げる債権は, 3ねん間行使しないときは, 消滅する. ただし, だい2ごうに掲げる債権の時効は, 同号の工事が終了した時から起算する. 1 医師, 助産師 または 薬剤師の診療, 助産 または 調剤にかんする 債権
2 工事の設計, 施工 または 監理を業とする者の工事にかんする 債権
だい171じょう 弁護士 または 弁護士法人は事件が終了した時から, 公証人はその職務を執行した時から3ねんをけいかしたときは, その職務にかんしてうけ取った書類について, その責任をまぬかれる.
(2ねんの短期消滅時効)
だい172じょう 弁護士, 弁護士法人 または 公証人の職務にかんする 債権は, その原因となった事件が終了した時から2ねん間行使しないときは, 消滅する.
② ぜんこうのきていにかかわらず, 同項の事件中の各事項が終了した時から5ねんをけいかしたときは, 同項の期間内であっても, その事項にかんする 債権は, 消滅する.
だい173じょう 次に掲げる債権は, 2ねん間行使しないときは, 消滅する. 1 生産者, 卸売商人 または 小売商人が売却した産物 または 商品の代価に係る債権
2 自己の技能を用い, 注文をうけて, 物を製作し または 自己の仕事場で他人のために仕事をすることを業とする者の仕事にかんする 債権
3 学芸 または 技能の教育を行う者が生徒の教育, 衣食 または 寄宿の代価についてゆうする債権
(1ねんの短期消滅時効)
だい174じょう 次に掲げる債権は, 1ねん間行使しないときは, 消滅する. 1 月 または これより短い時期によってさだめた使用人の給料に係る債権
2 自己の労力の提供 または 演芸を業とする者の報酬 または その供給した物の代価に係る債権
3 運送賃に係る債権
4 旅館, 料理店, 飲食店, 貸席 または 娯楽場の宿泊料, 飲食料, 席料, 入場料, 消費物の代価 または 立替金に係る債権
5 動産の損料に係る債権
(判決でかくていしたけんりの消滅時効)
だい174じょうの2 かくてい判決によってかくていしたけんりについては, 十年より短い時効期間のさだめがあるものであっても, その時効期間は, 十年とする. 裁判上の和解, 調停その他かくてい判決とどういつのこうりょくをゆうするものによってかくていしたけんりについても, どうようとする.
② ぜんこうのきていは, かくていの時に弁済期の到来していない債権については, てきようしない.
だい2へん 物権
編集だい1しょう そうそく
編集(物権の創設)
だい175じょう 物権は, この ほうりつその他のほうりつにさだめるもののほか, 創設することができない.
(物権の設定 および 移転)
だい176じょう 物権の設定 および 移転は, 当事者の意思表示のみによって, そのこうりょくを生ずる.
(不動産にかんする 物権の変動の対抗要件)
だい177じょう 不動産にかんする 物権の得喪 および 変更は, 不動産登記法 (へいせい16ねんほうりつ だい123ごう)その他の登記にかんする ほうりつのさだめるところにしたがいその登記をしなければ, だいさんしゃに対抗することができない.
(動産にかんする 物権の譲渡の対抗要件)
だい178じょう 動産にかんする 物権の譲渡は, その動産の引渡しがなければ, だいさんしゃに対抗することができない.
(混同)
だい179じょう どういつ物について所有権 および 他の物権がどういつ人に帰属したときは, とうがい 他の物権は, 消滅する. ただし, その物 または とうがい 他の物権がだいさんしゃのけんりのもくてきであるときは, このかぎりでない.
② 所有権以外の物権 および これをもくてきとする他のけんりがどういつ人に帰属したときは, とうがい 他のけんりは, 消滅する. このばあいにおいては, ぜんこうただし書のきていをじゅんようする.
③ 前2こうのきていは, 占有権については, てきようしない.
だい2しょう 占有権
編集だい1せつ 占有権の取得
(占有権の取得)
だい180じょう 占有権は, 自己のためにする意思をもって物を所持することによって取得する.
(代理占有)
だい181じょう 占有権は, 代理人によって取得することができる.
(現実の引渡し および 簡易の引渡し)
だい182じょう 占有権の譲渡は, 占有物の引渡しによってする.
② 譲受人 または その代理人が現に占有物を所持するばあいには, 占有権の譲渡は, 当事者の意思表示のみによってすることができる.
(占有改定)
だい183じょう 代理人が自己の占有物を以後ほんにんのために占ゆうする意思を表示したときは, ほんにんは, これによって占有権を取得する.
(指図による占有移転)
だい184じょう 代理人によって占有をするばあいにおいて, ほんにんがその代理人に対して以後だいさんしゃのためにその物を占ゆうすることを命じ, そのだいさんしゃがこれを承諾したときは, そのだいさんしゃは, 占有権を取得する.
(占有の性質の変更)
だい185じょう 権原の性質上占有者に所有の意思がないものとされるばあいには, その占有者が, 自己に占有をさせた者に対して所有の意思があることを表示し, または 新たな権原により更に所有の意思をもって占有を始めるのでなければ, 占有の性質は, 変わらない.
(占有の態様等にかんする 推定)
だい186じょう 占有者は, 所有の意思をもって, 善意で, 平穏に, かつ, 公然と占有をするものと推定する.
② 前後の両時点において占有をした証拠があるときは, 占有は, その間継続したものと推定する.
(占有の承継)
だい187じょう 占有者の承継人は, その選択にしたがい, 自己の占有のみを主張し, または 自己の占有に前の占有者の占有を併せて主張することができる.
② 前の占有者の占有を併せて主張するばあいには, その瑕疵をも承継する.
だい2せつ 占有権のこうりょく
(占有物について行使するけんりの適法の推定)
だい188じょう 占有者が占有物について行使するけんりは, 適法にゆうするものと推定する.
(善意の占有者による果実の取得等)
だい189じょう 善意の占有者は, 占有物から生ずる果実を取得する.
② 善意の占有者が本権の訴えにおいて敗訴したときは, その訴えの提起の時から悪意の占有者とみなす.
(悪意の占有者による果実の返還等)
だい190じょう 悪意の占有者は, 果実を返還し, かつ, 既に消費し, 過失によって損傷し, または 収取を怠った果実の代価を償還するぎむを負う.
② ぜんこうのきていは, 暴行若しくは強迫 または 隠匿によって占有をしている者についてじゅんようする.
(占有者による損害賠償)
だい191じょう 占有物が占有者の責めに帰すべき事由によって滅失し, または 損傷したときは, その回復者に対し, 悪意の占有者はその損害の全部の賠償をするぎむを負い, 善意の占有者はその滅失 または 損傷によって現に利益をうけている限度において賠償をするぎむを負う. ただし, 所有の意思のない占有者は, 善意であるときであっても, 全部の賠償をしなければならない.
(即時取得)
だい192じょう 取引こういによって, 平穏に, かつ, 公然と動産の占有を始めた者は, 善意であり, かつ, 過失がないときは, 即時にその動産について行使するけんりを取得する.
(盗品 または 遺失物の回復)
だい193じょう 前条のばあいにおいて, 占有物が盗品 または 遺失物であるときは, 被害者 または 遺失者は, 盗難 または 遺失の時から2ねん間, 占有者に対してその物の回復をせいきゅうすることができる.
だい194じょう 占有者が, 盗品 または 遺失物を, 競売若しくは公の市場において, または その物と同種の物を販売する商人から, 善意で買いうけたときは, 被害者 または 遺失者は, 占有者が支払った代価を弁償しなければ, その物を回復することができない.
(動物の占有によるけんりの取得)
だい195じょう 家畜以外の動物で他人が飼育していたものを占ゆうする者は, その占有のかいしの時に善意であり, かつ, その動物が飼主の占有を離れた時から1箇月以内に飼主から回復のせいきゅうをうけなかったときは, その動物について行使するけんりを取得する.
(占有者による費用の償還せいきゅう)
だい196じょう 占有者が占有物を返還するばあいには, その物の保存のために支出した金額その他の必要費を回復者から償還させることができる. ただし, 占有者が果実を取得したときは, 通常の必要費は, 占有者の負担に帰する.
② 占有者が占有物の改良のために支出した金額その他の有益費については, その価格の増加が現存するばあいにかぎり, 回復者の選択にしたがい, その支出した金額 または 増価額を償還させることができる. ただし, 悪意の占有者に対しては, 裁判所は, 回復者のせいきゅうにより, その償還について相当の期限を許与することができる.
(占有の訴え)
だい197じょう 占有者は, 次条からだい202じょうまでのきていにしたがい, 占有の訴えを提起することができる. 他人のために占有をする者も, どうようとする.
(占有保持の訴え)
だい198じょう 占有者がその占有を妨害されたときは, 占有保持の訴えにより, その妨害の停止 および 損害の賠償をせいきゅうすることができる.
(占有保全の訴え)
だい199じょう 占有者がその占有を妨害されるおそれがあるときは, 占有保全の訴えにより, その妨害の予防 または 損害賠償の担保をせいきゅうすることができる.
(占有回収の訴え)
だい200じょう 占有者がその占有を奪われたときは, 占有回収の訴えにより, その物の返還 および 損害の賠償をせいきゅうすることができる.
② 占有回収の訴えは, 占有を侵奪した者の特定承継人に対して提起することができない. ただし, その承継人が侵奪の事実を知っていたときは, このかぎりでない.
(占有の訴えの提起期間)
だい201じょう 占有保持の訴えは, 妨害の存する間 または その消滅した後1ねん以内に提起しなければならない. ただし, 工事により占有物に損害を生じたばあいにおいて, その工事に着手した時から1ねんをけいかし, または その工事が完成したときは, これを提起することができない.
② 占有保全の訴えは, 妨害の危険の存する間は, 提起することができる. このばあいにおいて, 工事により占有物に損害を生ずるおそれがあるときは, ぜんこうただし書のきていをじゅんようする.
③ 占有回収の訴えは, 占有を奪われた時から1ねん以内に提起しなければならない.
(本権の訴えとの関係)
だい202じょう 占有の訴えは本権の訴えを妨げず, また, 本権の訴えは占有の訴えを妨げない.
② 占有の訴えについては, 本権にかんする 理由に基づいて裁判をすることができない.
だい3せつ 占有権の消滅
(占有権の消滅事由)
だい203じょう 占有権は, 占有者が占有の意思を放棄し, または 占有物の所持を失うことによって消滅する. ただし, 占有者が占有回収の訴えを提起したときは, このかぎりでない.
(代理占有権の消滅事由)
だい204じょう 代理人によって占有をするばあいには, 占有権は, 次に掲げる事由によって消滅する. 1 ほんにんが代理人に占有をさせる意思を放棄したこと.
2 代理人がほんにんに対して以後自己 または だいさんしゃのために占有物を所持する意思を表示したこと.
3 代理人が占有物の所持を失ったこと.
② 占有権は, 代理権の消滅のみによっては, 消滅しない.
だい4せつ 準占有
だい205じょう この章のきていは, 自己のためにする意思をもってざいさん権の行使をするばあいについてじゅんようする.
だい3しょう 所有権
編集だい1せつ 所有権の限界
だい1かん 所有権の内容 および はんい
(所有権の内容)
だい206じょう 所有者は, ほうれいの制限内において, じゆうにその所有物の使用, 収益 および しょぶんをするけんりをゆうする.
(土地所有権のはんい)
だい207じょう 土地の所有権は, ほうれいの制限内において, その土地の上下に及ぶ.
だい208じょう 削除
だい2かん 相隣関係
(隣地の使用せいきゅう)
だい209じょう 土地の所有者は, 境界 または その付近において障壁 または 建物を築造し または 修繕するため必要なはんい内で, 隣地の使用をせいきゅうすることができる. ただし, 隣人の承諾がなければ, その住家に立ち入ることはできない.
② ぜんこうのばあいにおいて, 隣人が損害をうけたときは, その償金をせいきゅうすることができる.
(公道に至るための他の土地の通行権)
だい210じょう 他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は, 公道に至るため, その土地を囲んでいる他の土地を通行することができる.
② 池沼, 河川, 水路若しくは海を通らなければ公道に至ることができないとき, または 崖があって土地と公道とに著しい高低差があるときも, ぜんこうとどうようとする.
だい211じょう 前条のばあいには, 通行の場所 および 方法は, 同条のきていによる通行権をゆうする者のために必要であり, かつ, 他の土地のために損害が最も少ないものを選ばなければならない.
② 前条のきていによる通行権をゆうする者は, 必要があるときは, 通路を開設することができる.
だい212じょう だい210じょうのきていによる通行権をゆうする者は, その通行する他の土地の損害に対して償金を支払わなければならない. ただし, 通路の開設のために生じた損害に対するものをのぞき, 1ねんごとにその償金を支払うことができる.
だい213じょう 分割によって公道に通じない土地が生じたときは, その土地の所有者は, 公道に至るため, 他の分割者の所有地のみを通行することができる. このばあいにおいては, 償金を支払うことを要しない.
② ぜんこうのきていは, 土地の所有者がその土地の いちぶを譲り渡したばあいについてじゅんようする.
(自然水流に対する妨害のきんし)
だい214じょう 土地の所有者は, 隣地から水が自然に流れて来るのを妨げてはならない.
(水流のしょうがいの除去)
だい215じょう 水流が天災その他避けることのできない事変により低地において閉塞したときは, 高地の所有者は, 自己の費用で, 水流のしょうがいを除去するため必要な工事をすることができる.
(水流にかんする 工作物の修繕等)
だい216じょう 他の土地に貯水, 排水 または 引水のために設けられた工作物の破壊 または 閉塞により, 自己の土地に損害が および , または 及ぶおそれがあるばあいには, その土地の所有者は, とうがい 他の土地の所有者に, 工作物の修繕若しくはしょうがいの除去をさせ, または 必要があるときは予防工事をさせることができる.
(費用の負担についての慣習)
だい217じょう 前2じょうのばあいにおいて, 費用の負担について別段の慣習があるときは, その慣習に従う.
(雨水を隣地に注ぐ工作物の設置のきんし)
だい218じょう 土地の所有者は, 直接に雨水を隣地に注ぐ構造の屋根その他の工作物を設けてはならない.
(水流の変更)
だい219じょう 溝, 堀その他の水流地の所有者は, 対岸の土地が他人の所有に属するときは, その水路 または 幅員を変更してはならない.
② 両岸の土地が水流地の所有者に属するときは, その所有者は, 水路 および 幅員を変更することができる. ただし, 水流が隣地と交わる地点において, 自然の水路に戻さなければならない.
③ 前2こうのきていと異なる慣習があるときは, その慣習に従う.
(排水のための低地の通水)
だい220じょう 高地の所有者は, その高地が浸水したばあいにこれを乾かすため, または 自家用若しくは農工業用の余水を排出するため, 公の水流 または 下水道に至るまで, 低地に水を通過させることができる. このばあいにおいては, 低地のために損害が最も少ない場所 および 方法を選ばなければならない.
(通水用工作物の使用)
だい221じょう 土地の所有者は, その所有地の水を通過させるため, 高地 または 低地の所有者が設けた工作物を使用することができる.
② ぜんこうのばあいには, 他人の工作物を使用する者は, その利益をうける割合に応じて, 工作物の設置 および 保存の費用を分担しなければならない.
(堰の設置 および 使用)
だい222じょう 水流地の所有者は, 堰を設ける必要があるばあいには, 対岸の土地が他人の所有に属するときであっても, その堰を対岸に付着させて設けることができる. ただし, これによって生じた損害に対して償金を支払わなければならない.
② 対岸の土地の所有者は, 水流地の いちぶがその所有に属するときは, ぜんこうの堰を使用することができる.
③ 前条だい2こうのきていは, ぜんこうのばあいについてじゅんようする.
(境界標の設置)
だい223じょう 土地の所有者は, 隣地の所有者と共同の費用で, 境界標を設けることができる.
(境界標の設置 および 保存の費用)
だい224じょう 境界標の設置 および 保存の費用は, 相隣者が等しい割合で負担する. ただし, 測量の費用は, その土地の広狭に応じて分担する.
(囲障の設置)
だい225じょう 2棟の建物がその所有者を異にし, かつ, その間に空地があるときは, 各所有者は, 他の所有者と共同の費用で, その境界に囲障を設けることができる.
② 当事者間に協議が調わないときは, ぜんこうの囲障は, 板塀 または 竹垣その他これらに類する材料のものであって, かつ, 高さ2メートルのものでなければならない.
(囲障の設置 および 保存の費用)
だい226じょう 前条の囲障の設置 および 保存の費用は, 相隣者が等しい割合で負担する.
(相隣者の1人による囲障の設置)
だい227じょう 相隣者の1人は, だい225じょう だい2こうにきていする材料より良好なものを用い, または 同項にきていする高さを増して囲障を設けることができる. ただし, これによって生ずる費用の増加額を負担しなければならない.
(囲障の設置等にかんする 慣習)
だい228じょう 前3じょうのきていと異なる慣習があるときは, その慣習に従う.
(境界標等の共有の推定)
だい229じょう 境界線上に設けた境界標, 囲障, 障壁, 溝 および 堀は, 相隣者の共有に属するものと推定する.
だい230じょう 1棟の建物の いちぶを構成する境界線上の障壁については, 前条のきていは, てきようしない.
② 高さの異なる2棟の隣接する建物を隔てる障壁の高さが, 低い建物の高さを超えるときは, その障壁のうち低い建物を超える部分についても, ぜんこうとどうようとする. ただし, 防火障壁については, このかぎりでない.
(共有の障壁の高さを増す工事)
だい231じょう 相隣者の1人は, 共有の障壁の高さを増すことができる. ただし, その障壁がその工事に耐えないときは, 自己の費用で, 必要な工作を加え, または その障壁を改築しなければならない.
② ぜんこうのきていにより障壁の高さを増したときは, その高さを増した部分は, その工事をした者の単独の所有に属する.
だい232じょう 前条のばあいにおいて, 隣人が損害をうけたときは, その償金をせいきゅうすることができる.
(竹木の枝の切除 および 根の切取り)
だい233じょう 隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは, その竹木の所有者に, その枝を切除させることができる.
② 隣地の竹木の根が境界線を越えるときは, その根を切り取ることができる.
(境界線付近の建築の制限)
だい234じょう 建物を築造するには, 境界線から50センチメートル以上の距離を保たなければならない.
② ぜんこうのきていに違反して建築をしようとする者があるときは, 隣地の所有者は, その建築を中止させ, または 変更させることができる. ただし, 建築に着手した時から1ねんをけいかし, または その建物が完成した後は, 損害賠償のせいきゅうのみをすることができる.
だい235じょう 境界線から1メートル未満の距離において他人の宅地を見通すことのできる窓 または 縁側(ベランダを ふくむ. 次項において同じ.)を設ける者は, 目隠しを付けなければならない.
② ぜんこうの距離は, 窓 または 縁側の最も隣地に近い点から垂直線によって境界線に至るまでを測定して算出する.
(境界線付近の建築にかんする 慣習)
だい236じょう 前2じょうのきていと異なる慣習があるときは, その慣習に従う.
(境界線付近の掘削の制限)
だい237じょう 井戸, 用水だめ, 下水だめ または 肥料だめを掘るには境界線から2メートル以上, 池, 穴蔵 または し尿だめを掘るには境界線から1メートル以上の距離を保たなければならない.
② 導水管を埋め, または 溝若しくは堀を掘るには, 境界線からその深さの2分の1以上の距離を保たなければならない. ただし, 1メートルを超えることを要しない.
(境界線付近の掘削にかんする 注意ぎむ)
だい238じょう 境界線の付近において前条の工事をするときは, 土砂の崩壊 または 水若しくは汚液の漏出を防ぐため必要な注意をしなければならない.
だい2せつ 所有権の取得
(無主物の帰属)
だい239じょう 所有者のない動産は, 所有の意思をもって占ゆうすることによって, その所有権を取得する.
② 所有者のない不動産は, 国庫に帰属する.
(遺失物の拾得)
だい240じょう 遺失物は, 遺失物法(へいせい18ねんほうりつ だい73ごう)のさだめるところにしたがい公告をした後3箇月以内にその所有者が判明しないときは, これを拾得した者がその所有権を取得する.
(埋蔵物の発見)
だい241じょう 埋蔵物は, 遺失物法のさだめるところにしたがい公告をした後6箇月以内にその所有者が判明しないときは, これを発見した者がその所有権を取得する. ただし, 他人の所ゆうする物の中から発見された埋蔵物については, これを発見した者 および その他人が等しい割合でその所有権を取得する.
(不動産の付合)
だい242じょう 不動産の所有者は, その不動産に従として付合した物の所有権を取得する. ただし, 権原によってその物を附属させた他人のけんりを妨げない.
(動産の付合)
だい243じょう 所有者を異にする数個の動産が, 付合により, 損傷しなければ分離することができなくなったときは, その合成物の所有権は, 主たる動産の所有者に帰属する. 分離するのに過分の費用を要するときも, どうようとする.
だい244じょう 付合した動産について主従の区別をすることができないときは, 各動産の所有者は, その付合の時における価格の割合に応じてその合成物を共ゆうする.
(混和)
だい245じょう 前2じょうのきていは, 所有者を異にする物が混和して識別することができなくなったばあいについてじゅんようする.
(加工)
だい246じょう 他人の動産に工作を加えた者(以下この条において「加工者」という.)があるときは, その加工物の所有権は, 材料の所有者に帰属する. ただし, 工作によって生じた価格が材料の価格を著しく超えるときは, 加工者がその加工物の所有権を取得する.
② ぜんこうにきていするばあいにおいて, 加工者が材料の いちぶを供したときは, その価格に工作によって生じた価格を加えたものが他人の材料の価格を超えるときにかぎり, 加工者がその加工物の所有権を取得する.
(付合, 混和 または 加工の効果)
だい247じょう だい242じょうから前条までのきていにより物の所有権が消滅したときは, その物について存する他のけんりも, 消滅する.
② ぜんこうにきていするばあいにおいて, 物の所有者が, 合成物, 混和物 または 加工物(以下この項において「合成物等」という.)の単独所有者となったときは, その物について存する他のけんりは以後その合成物等について存し, 物の所有者が合成物等の共有者となったときは, その物について存する他のけんりは以後その持分について存する.
(付合, 混和 または 加工にともなう償金のせいきゅう)
だい248じょう だい242じょうから前条までのきていのてきようによって損失をうけた者は, だい703じょう および だい704じょうのきていにしたがい, その償金をせいきゅうすることができる.
だい3せつ 共有
(共有物の使用)
だい249じょう 各共有者は, 共有物の全部について, その持分に応じた使用をすることができる.
(共有持分の割合の推定)
だい250じょう 各共有者の持分は, 相等しいものと推定する.
(共有物の変更)
だい251じょう 各共有者は, 他の共有者のどういを得なければ, 共有物に変更を加えることができない.
(共有物の管理)
だい252じょう 共有物の管理にかんする 事項は, 前条のばあいをのぞき, 各共有者の持分の価格にしたがい, その過半数で決する. ただし, 保存こういは, 各共有者がすることができる.
(共有物にかんする 負担)
だい253じょう 各共有者は, その持分に応じ, 管理の費用を支払い, その他共有物にかんする 負担を負う.
② 共有者が1ねん以内にぜんこうのぎむを履行しないときは, 他の共有者は, 相当の償金を支払ってその者の持分を取得することができる.
(共有物についての債権)
だい254じょう 共有者の1人が共有物について他の共有者に対してゆうする債権は, その特定承継人に対しても行使することができる.
(持分の放棄 および 共有者の死亡)
だい255じょう 共有者の1人が, その持分を放棄したとき, または 死亡してそうぞく人がないときは, その持分は, 他の共有者に帰属する.
(共有物の分割せいきゅう)
だい256じょう 各共有者は, いつでも共有物の分割をせいきゅうすることができる. ただし, 5ねんを超えない期間内は分割をしない旨の契約をすることを妨げない.
② ぜんこうただし書の契約は, 更新することができる. ただし, その期間は, 更新の時から5ねんを超えることができない.
だい257じょう 前条のきていは, だい229じょうにきていする共有物については, てきようしない.
(裁判による共有物の分割)
だい258じょう 共有物の分割について共有者間に協議が調わないときは, その分割を裁判所にせいきゅうすることができる.
② ぜんこうのばあいにおいて, 共有物の現物を分割することができないとき, または 分割によってその価格を著しく減少させるおそれがあるときは, 裁判所は, その競売を命ずることができる.
(共有にかんする 債権の弁済)
だい259じょう 共有者の1人が他の共有者に対して共有にかんする 債権をゆうするときは, 分割に際し, 債務者に帰属すべき共有物の部分をもって, その弁済に充てることができる.
② 債権者は, ぜんこうの弁済をうけるため債務者に帰属すべき共有物の部分を売却する必要があるときは, その売却をせいきゅうすることができる.
(共有物の分割への参加)
だい260じょう 共有物についてけんりをゆうする者 および 各共有者の債権者は, 自己の費用で, 分割に参加することができる.
② ぜんこうのきていによる参加のせいきゅうがあったにもかかわらず, そのせいきゅうをした者を参加させないで分割をしたときは, その分割は, そのせいきゅうをした者に対抗することができない.
(分割における共有者の担保責任)
だい261じょう 各共有者は, 他の共有者が分割によって取得した物について, 売主と同じく, その持分に応じて担保の責任を負う.
(共有物にかんする 証書)
だい262じょう 分割が完了したときは, 各分割者は, その取得した物にかんする 証書を保存しなければならない.
② 共有者の全員 または そのうちの数人に分割した物にかんする 証書は, その物の最大の部分を取得した者が保存しなければならない.
③ ぜんこうのばあいにおいて, 最大の部分を取得した者がないときは, 分割者間の協議で証書の保存者をさだめる. 協議が調わないときは, 裁判所が, これを指定する.
④ 証書の保存者は, 他の分割者のせいきゅうに応じて, その証書を使用させなければならない.
(共有の性質をゆうする入会権)
だい263じょう 共有の性質をゆうする入会権については, 各地方の慣習に従うほか, この節のきていをてきようする.
(準共有)
だい264じょう この節のきていは, 数人で所有権以外のざいさん権をゆうするばあいについてじゅんようする. ただし, ほうれいに特別のさだめがあるときは, このかぎりでない.
だい4しょう 地上権
編集(地上権の内容)
だい265じょう 地上権者は, 他人の土地において工作物 または 竹木を所ゆうするため, その土地を使用するけんりをゆうする.
(地代)
だい266じょう だい274じょうからだい276じょうまでのきていは, 地上権者が土地の所有者に定期の地代を支払わなければならないばあいについてじゅんようする.
② 地代については, ぜんこうにきていするもののほか, その性質に反しないかぎり, 賃貸借にかんする きていをじゅんようする.
(相隣関係のきていのじゅんよう)
だい267じょう 前章だい1せつだい2かん(相隣関係)のきていは, 地上権者間 または 地上権者と土地の所有者との間についてじゅんようする. ただし, だい229じょうのきていは, 境界線上の工作物が地上権の設定後に設けられたばあいにかぎり, 地上権者についてじゅんようする.
(地上権の存続期間)
だい268じょう 設定こういで地上権の存続期間をさだめなかったばあいにおいて, 別段の慣習がないときは, 地上権者は, いつでもそのけんりを放棄することができる. ただし, 地代を支払うべきときは, 1ねん前に予告をし, または 期限の到来していない1ねん分の地代を支払わなければならない.
② 地上権者がぜんこうのきていによりそのけんりを放棄しないときは, 裁判所は, 当事者のせいきゅうにより, 20ねん以上50ねん以下のはんいないにおいて, 工作物 または 竹木の種類 および じょうきょうその他地上権の設定当時の事情を考慮して, その存続期間をさだめる.
(工作物等の収去等)
だい269じょう 地上権者は, そのけんりが消滅した時に, 土地を原状に復してその工作物 および 竹木を収去することができる. ただし, 土地の所有者が時価相当額を提供してこれを買い取る旨を通知したときは, 地上権者は, 正当な理由がなければ, これを拒むことができない.
② ぜんこうのきていと異なる慣習があるときは, その慣習に従う.
(地下 または 空間をもくてきとする地上権)
だい269じょうの2 地下 または 空間は, 工作物を所ゆうするため, 上下のはんいをさだめて地上権のもくてきとすることができる. このばあいにおいては, 設定こういで, 地上権の行使のためにその土地の使用に制限を加えることができる.
② ぜんこうの地上権は, だいさんしゃがその土地の使用 または 収益をするけんりをゆうするばあいにおいても, そのけんり または これをもくてきとするけんりをゆうするすべての者の承諾があるときは, 設定することができる. このばあいにおいて, 土地の使用 または 収益をするけんりをゆうする者は, その地上権の行使を妨げることができない.
だい5しょう 永小作権
編集(永小作権の内容)
だい270じょう 永小作人は, 小作料を支払って他人の土地において耕作 または 牧畜をするけんりをゆうする.
(永小作人による土地の変更の制限)
だい271じょう 永小作人は, 土地に対して, 回復することのできない損害を生ずべき変更を加えることができない.
(永小作権の譲渡 または 土地の賃貸)
だい272じょう 永小作人は, そのけんりを他人に譲り渡し, または そのけんりの存続期間内において耕作若しくは牧畜のため土地を賃貸することができる. ただし, 設定こういで禁じたときは, このかぎりでない.
(賃貸借にかんする きていのじゅんよう)
だい273じょう 永小作人のぎむについては, この章のきてい および 設定こういでさだめるもののほか, その性質に反しないかぎり, 賃貸借にかんする きていをじゅんようする.
(小作料の減免)
だい274じょう 永小作人は, 不可抗力により収益について損失をうけたときであっても, 小作料の免除 または 減額をせいきゅうすることができない.
(永小作権の放棄)
だい275じょう 永小作人は, 不可抗力によって, 引き続き3ねん以上全く収益を得ず, または 5ねん以上小作料より少ない収益を得たときは, そのけんりを放棄することができる.
(永小作権の消滅せいきゅう)
だい276じょう 永小作人が引き続き2ねん以上小作料の支払を怠ったときは, 土地の所有者は, 永小作権の消滅をせいきゅうすることができる.
(永小作権にかんする 慣習)
だい277じょう だい271じょうから前条までのきていと異なる慣習があるときは, その慣習に従う.
(永小作権の存続期間)
だい278じょう 永小作権の存続期間は, 20ねん以上50ねん以下とする. 設定こういで50ねんより長い期間をさだめたときであっても, その期間は, 50ねんとする.
② 永小作権の設定は, 更新することができる. ただし, その存続期間は, 更新の時から50ねんを超えることができない.
③ 設定こういで永小作権の存続期間をさだめなかったときは, その期間は, 別段の慣習があるばあいをのぞき, 30ねんとする.
(工作物等の収去等)
だい279じょう だい269じょうのきていは, 永小作権についてじゅんようする.
だい6しょう 地役権
編集(地役権の内容)
だい280じょう 地役権者は, 設定こういでさだめたもくてきにしたがい, 他人の土地を自己の土地の便益に供するけんりをゆうする. ただし, だい3しょう だい1せつ(所有権の限界)のきてい(公の秩序にかんする ものに限る.)に違反しないものでなければならない.
(地役権の付従性)
だい281じょう 地役権は, 要役地(地役権者の土地であって, 他人の土地から便益をうけるものをいう. 以下同じ.)の所有権に従たるものとして, その所有権とともに移転し, または 要役地について存する他のけんりのもくてきとなるものとする. ただし, 設定こういに別段のさだめがあるときは, このかぎりでない.
② 地役権は, 要役地から分離して譲り渡し, または 他のけんりのもくてきとすることができない.
(地役権の不可分性)
だい282じょう 土地の共有者の1人は, その持分につき, その土地のために または その土地について存する地役権を消滅させることができない.
② 土地の分割 または その いちぶの譲渡のばあいには, 地役権は, その各部のために または その各部について存する. ただし, 地役権がその性質により土地の いちぶのみにかんする ときは, このかぎりでない.
(地役権の時効取得)
だい283じょう 地役権は, 継続的に行使され, かつ, 外形上認識することができるものにかぎり, 時効によって取得することができる.
だい284じょう 土地の共有者の1人が時効によって地役権を取得したときは, 他の共有者も, これを取得する.
② 共有者に対する時効の中断は, 地役権を行使する各共有者に対してしなければ, そのこうりょくを生じない.
③ 地役権を行使する共有者が数人あるばあいには, その1人について時効の停止の原因があっても, 時効は, 各共有者のために進行する.
(用水地役権)
だい285じょう 用水地役権の承役地(地役権者以外の者の土地であって, 要役地の便益に供されるものをいう. 以下同じ.)において, 水が要役地 および 承役地の需要に比して不足するときは, その各土地の需要に応じて, まずこれを生活用に供し, その残余を他の用途に供するものとする. ただし, 設定こういに別段のさだめがあるときは, このかぎりでない.
② どういつの承役地について数個の用水地役権を設定したときは, 後の地役権者は, 前の地役権者の水の使用を妨げてはならない.
(承役地の所有者の工作物の設置ぎむ等)
だい286じょう 設定こうい または 設定後の契約により, 承役地の所有者が自己の費用で地役権の行使のために工作物を設け, または その修繕をするぎむを負担したときは, 承役地の所有者の特定承継人も, そのぎむを負担する.
だい287じょう 承役地の所有者は, いつでも, 地役権に必要な土地の部分の所有権を放棄して地役権者に移転し, これにより前条のぎむをまぬかれることができる.
(承役地の所有者の工作物の使用)
だい288じょう 承役地の所有者は, 地役権の行使を妨げないはんいないにおいて, その行使のために承役地の上に設けられた工作物を使用することができる.
② ぜんこうのばあいには, 承役地の所有者は, その利益をうける割合に応じて, 工作物の設置 および 保存の費用を分担しなければならない.
(承役地の時効取得による地役権の消滅)
だい289じょう 承役地の占有者が取得時効に必要な要件を具備する占有をしたときは, 地役権は, これによって消滅する.
だい290じょう 前条のきていによる地役権の消滅時効は, 地役権者がそのけんりを行使することによって中断する.
(地役権の消滅時効)
だい291じょう だい167じょう だい2こうにきていする消滅時効の期間は, 継続的でなく行使される地役権については最後の行使の時から起算し, 継続的に行使される地役権についてはその行使を妨げる事実が生じた時から起算する.
だい292じょう 要役地が数人の共有に属するばあいにおいて, その1人のために時効の中断 または 停止があるときは, その中断 または 停止は, 他の共有者のためにも, そのこうりょくを生ずる.
だい293じょう 地役権者がそのけんりの いちぶを行使しないときは, その部分のみが時効によって消滅する.
(共有の性質を有しない入会権)
だい294じょう 共有の性質を有しない入会権については, 各地方の慣習に従うほか, この章のきていをじゅんようする.
だい7しょう 留置権
編集(留置権の内容)
だい295じょう 他人の物の占有者は, その物にかんして生じた債権をゆうするときは, その債権の弁済をうけるまで, その物を留置することができる. ただし, その債権が弁済期にないときは, このかぎりでない.
② ぜんこうのきていは, 占有が不法こういによって始まったばあいには, てきようしない.
(留置権の不可分性)
だい296じょう 留置権者は, 債権の全部の弁済をうけるまでは, 留置物の全部についてそのけんりを行使することができる.
(留置権者による果実の収取)
だい297じょう 留置権者は, 留置物から生ずる果実を収取し, 他の債権者に先立って, これを自己の債権の弁済に充当することができる.
② ぜんこうの果実は, まず債権の利息に充当し, なお残余があるときは元本に充当しなければならない.
(留置権者による留置物の保管等)
だい298じょう 留置権者は, 善良な管理者の注意をもって, 留置物を占有しなければならない.
② 留置権者は, 債務者の承諾を得なければ, 留置物を使用し, 賃貸し, または 担保に供することができない. ただし, その物の保存に必要な使用をすることは, このかぎりでない.
③ 留置権者が前2こうのきていに違反したときは, 債務者は, 留置権の消滅をせいきゅうすることができる.
(留置権者による費用の償還せいきゅう)
だい299じょう 留置権者は, 留置物について必要費を支出したときは, 所有者にその償還をさせることができる.
② 留置権者は, 留置物について有益費を支出したときは, これによる価格の増加が現存するばあいにかぎり, 所有者の選択にしたがい, その支出した金額 または 増価額を償還させることができる. ただし, 裁判所は, 所有者のせいきゅうにより, その償還について相当の期限を許与することができる.
(留置権の行使と債権の消滅時効)
だい300じょう 留置権の行使は, 債権の消滅時効の進行を妨げない.
(担保の供与による留置権の消滅)
だい301じょう 債務者は, 相当の担保を供して, 留置権の消滅をせいきゅうすることができる.
(占有のそうしつによる留置権の消滅)
だい302じょう 留置権は, 留置権者が留置物の占有を失うことによって, 消滅する. ただし, だい298じょう だい2こうのきていにより留置物を賃貸し, または 質権のもくてきとしたときは, このかぎりでない.
だい8しょう 先取特権
編集だい1せつ そうそく
(先取特権の内容)
だい303じょう 先取特権者は, この ほうりつその他のほうりつのきていにしたがい, その債務者のざいさんについて, 他の債権者に先立って自己の債権の弁済をうけるけんりをゆうする.
(物上代位)
だい304じょう 先取特権は, そのもくてき物の売却, 賃貸, 滅失 または 損傷によって債務者がうけるべき金銭その他の物に対しても, 行使することができる. ただし, 先取特権者は, その払渡し または 引渡しの前に差押えをしなければならない.
② 債務者が先取特権のもくてき物につき設定した物権の対価についても, ぜんこうとどうようとする.
(先取特権の不可分性)
だい305じょう だい296じょうのきていは, 先取特権についてじゅんようする.
だい2せつ 先取特権の種類
だい1かん 1般の先取特権
(1般の先取特権)
だい306じょう 次に掲げる原因によって生じた債権をゆうする者は, 債務者の総ざいさんについて先取特権をゆうする. 1 共益の費用
2 雇用関係
3 葬式の費用
4 日用品の供給
(共益費用の先取特権)
だい307じょう 共益の費用の先取特権は, 各債権者の共同の利益のためにされた債務者のざいさんの保存, 清算 または 配当にかんする 費用について存在する.
② ぜんこうの費用のうちすべての債権者に有益でなかったものについては, 先取特権は, その費用によって利益をうけた債権者に対してのみ存在する.
(雇用関係の先取特権)
だい308じょう 雇用関係の先取特権は, 給料その他債務者と使用人との間の雇用関係に基づいて生じた債権について存在する.
(葬式費用の先取特権)
だい309じょう 葬式の費用の先取特権は, 債務者のためにされた葬式の費用のうち相当な額について存在する.
② ぜんこうの先取特権は, 債務者がその扶養すべきしんぞくのためにした葬式の費用のうち相当な額についても存在する.
(日用品供給の先取特権)
だい310じょう 日用品の供給の先取特権は, 債務者 または その扶養すべき同居のしんぞく および その家事使用人の生活に必要な最後の6箇月間の飲食料品, 燃料 および 電気の供給について存在する.
だい2かん 動産の先取特権
(動産の先取特権)
だい311じょう 次に掲げる原因によって生じた債権をゆうする者は, 債務者の特定の動産について先取特権をゆうする. 1 不動産の賃貸借
2 旅館の宿泊
3 旅客 または 荷物の運輸
4 動産の保存
5 動産の売買
6 種苗 または 肥料(蚕種 または 蚕の飼養に供した桑葉を ふくむ. 以下同じ.)の供給
7 農業の労務
8 工業の労務
(不動産賃貸の先取特権)
だい312じょう 不動産の賃貸の先取特権は, その不動産の賃料その他の賃貸借関係から生じた賃借人の債務にかんし, 賃借人の動産について存在する.
(不動産賃貸の先取特権のもくてき物のはんい)
だい313じょう 土地の賃貸人の先取特権は, その土地 または その利用のための建物に備え付けられた動産, その土地の利用に供された動産 および 賃借人が占ゆうするその土地の果実について存在する.
② 建物の賃貸人の先取特権は, 賃借人がその建物に備え付けた動産について存在する.
だい314じょう 賃借権の譲渡 または 転貸のばあいには, 賃貸人の先取特権は, 譲受人 または 転借人の動産にも及ぶ. 譲渡人 または 転貸人がうけるべき金銭についても, どうようとする.
(不動産賃貸の先取特権の被担保債権のはんい)
だい315じょう 賃借人のざいさんのすべてを清算するばあいには, 賃貸人の先取特権は, 前期, 当期 および 次期の賃料その他の債務並びに前期 および 当期に生じた損害の賠償債務についてのみ存在する.
だい316じょう 賃貸人は, 敷金をうけ取っているばあいには, その敷金で弁済をうけない債権の部分についてのみ先取特権をゆうする.
(旅館宿泊の先取特権)
だい317じょう 旅館の宿泊の先取特権は, 宿泊客が負担すべき宿泊料 および 飲食料にかんし, その旅館に在るその宿泊客の手荷物について存在する.
(運輸の先取特権)
だい318じょう 運輸の先取特権は, 旅客 または 荷物の運送賃 および 付随の費用にかんし, 運送人の占ゆうする荷物について存在する.
(即時取得のきていのじゅんよう)
だい319じょう だい192じょうからだい195じょうまでのきていは, だい312じょうから前条までのきていによる先取特権についてじゅんようする.
(動産保存の先取特権)
だい320じょう 動産の保存の先取特権は, 動産の保存のために要した費用 または 動産にかんする けんりの保存, 承認若しくは実行のために要した費用にかんし, その動産について存在する.
(動産売買の先取特権)
だい321じょう 動産の売買の先取特権は, 動産の代価 および その利息にかんし, その動産について存在する.
(種苗 または 肥料の供給の先取特権)
だい322じょう 種苗 または 肥料の供給の先取特権は, 種苗 または 肥料の代価 および その利息にかんし, その種苗 または 肥料を用いた後1ねん以内にこれを用いた土地から生じた果実(蚕種 または 蚕の飼養に供した桑葉の使用によって生じた物を ふくむ.)について存在する.
(農業労務の先取特権)
だい323じょう 農業の労務の先取特権は, その労務に従事する者の最後の1ねん間の賃金にかんし, その労務によって生じた果実について存在する.
(工業労務の先取特権)
だい324じょう 工業の労務の先取特権は, その労務に従事する者の最後の3箇月間の賃金にかんし, その労務によって生じた製作物について存在する.
だい3かん 不動産の先取特権
(不動産の先取特権)
だい325じょう 次に掲げる原因によって生じた債権をゆうする者は, 債務者の特定の不動産について先取特権をゆうする. 1 不動産の保存
2 不動産の工事
3 不動産の売買
(不動産保存の先取特権)
だい326じょう 不動産の保存の先取特権は, 不動産の保存のために要した費用 または 不動産にかんする けんりの保存, 承認若しくは実行のために要した費用にかんし, その不動産について存在する.
(不動産工事の先取特権)
だい327じょう 不動産の工事の先取特権は, 工事の設計, 施工 または 監理をする者が債務者の不動産にかんしてした工事の費用にかんし, その不動産について存在する.
② ぜんこうの先取特権は, 工事によって生じた不動産の価格の増加が現存するばあいにかぎり, その増価額についてのみ存在する.
(不動産売買の先取特権)
だい328じょう 不動産の売買の先取特権は, 不動産の代価 および その利息にかんし, その不動産について存在する.
だい3せつ 先取特権の順位
(1般の先取特権の順位)
だい329じょう 1般の先取特権が互いに競合するばあいには, その優先権の順位は, だい306じょう各号に掲げる順序に従う.
② 1般の先取特権と特別の先取特権とが競合するばあいには, 特別の先取特権は, 1般の先取特権に優先する. ただし, 共益の費用の先取特権は, その利益をうけたすべての債権者に対して優先するこうりょくをゆうする.
(動産の先取特権の順位)
だい330じょう どういつの動産について特別の先取特権が互いに競合するばあいには, その優先権の順位は, 次に掲げる順序に従う. このばあいにおいて, だい2ごうに掲げる動産の保存の先取特権について数人の保存者があるときは, 後の保存者が前の保存者に優先する. 1 不動産の賃貸, 旅館の宿泊 および 運輸の先取特権
2 動産の保存の先取特権
3 動産の売買, 種苗 または 肥料の供給, 農業の労務 および 工業の労務の先取特権
② ぜんこうのばあいにおいて, だい1順位の先取特権者は, その債権取得の時においてだい2順位 または だい3順位の先取特権者があることを知っていたときは, これらの者に対して優先権を行使することができない. だい1順位の先取特権者のために物を保存した者に対しても, どうようとする.
③ 果実にかんしては, だい1の順位は農業の労務に従事する者に, だい2の順位は種苗 または 肥料の供給者に, だい3の順位は土地の賃貸人に属する.
(不動産の先取特権の順位)
だい331じょう どういつの不動産について特別の先取特権が互いに競合するばあいには, その優先権の順位は, だい325じょう各号に掲げる順序に従う.
② どういつの不動産について売買が順次されたばあいには, 売主相互間における不動産売買の先取特権の優先権の順位は, 売買の前後による.
(どういつ順位の先取特権)
だい332じょう どういつのもくてき物についてどういつ順位の先取特権者が数人あるときは, 各先取特権者は, その債権額の割合に応じて弁済をうける.
だい4せつ 先取特権のこうりょく
(先取特権とだい3取得者)
だい333じょう 先取特権は, 債務者がそのもくてきである動産をそのだい3取得者に引き渡した後は, その動産について行使することができない.
(先取特権と動産質権との競合)
だい334じょう 先取特権と動産質権とが競合するばあいには, 動産質権者は, だい330じょうのきていによるだい1順位の先取特権者とどういつのけんりをゆうする.
(1般の先取特権のこうりょく)
だい335じょう 1般の先取特権者は, まず不動産以外のざいさんから弁済をうけ, なお不足があるのでなければ, 不動産から弁済をうけることができない.
② 1般の先取特権者は, 不動産については, まず特別担保のもくてきとされていないものから弁済をうけなければならない.
③ 1般の先取特権者は, 前2こうのきていに従って配当に加入することを怠ったときは, その配当加入をしたならば弁済をうけることができた額については, 登記をしただいさんしゃに対してその先取特権を行使することができない.
④ 前3こうのきていは, 不動産以外のざいさんの代価に先立って不動産の代価を配当し, または 他の不動産の代価に先立って特別担保のもくてきである不動産の代価を配当するばあいには, てきようしない.
(1般の先取特権の対抗力)
だい336じょう 1般の先取特権は, 不動産について登記をしなくても, 特別担保を有しない債権者に対抗することができる. ただし, 登記をしただいさんしゃに対しては, このかぎりでない.
(不動産保存の先取特権の登記)
だい337じょう 不動産の保存の先取特権のこうりょくを保存するためには, 保存こういが完了した後直ちに登記をしなければならない.
(不動産工事の先取特権の登記)
だい338じょう 不動産の工事の先取特権のこうりょくを保存するためには, 工事を始める前にその費用の予算額を登記しなければならない. このばあいにおいて, 工事の費用が予算額を超えるときは, 先取特権は, その超過額については存在しない.
② 工事によって生じた不動産の増価額は, 配当加入の時に, 裁判所が選任した鑑定人に評価させなければならない.
(登記をした不動産保存 または 不動産工事の先取特権)
だい339じょう 前2じょうのきていに従って登記をした先取特権は, 抵当権に先立って行使することができる.
(不動産売買の先取特権の登記)
だい340じょう 不動産の売買の先取特権のこうりょくを保存するためには, 売買契約と同時に, 不動産の代価 または その利息の弁済がされていない旨を登記しなければならない.
(抵当権にかんする きていのじゅんよう)
だい341じょう 先取特権のこうりょくについては, この節にさだめるもののほか, その性質に反しないかぎり, 抵当権にかんする きていをじゅんようする.
だい9しょう 質権
編集だい1せつ そうそく
(質権の内容)
だい342じょう 質権者は, その債権の担保として債務者 または だいさんしゃからうけ取った物を占有し, かつ, その物について他の債権者に先立って自己の債権の弁済をうけるけんりをゆうする.
(質権のもくてき)
だい343じょう 質権は, 譲り渡すことができない物をそのもくてきとすることができない.
(質権の設定)
だい344じょう 質権の設定は, 債権者にそのもくてき物を引き渡すことによって, そのこうりょくを生ずる.
(質権設定者による代理占有のきんし)
だい345じょう 質権者は, 質権設定者に, 自己に代わって質物の占有をさせることができない.
(質権の被担保債権のはんい)
だい346じょう 質権は, 元本, 利息, 違約金, 質権の実行の費用, 質物の保存の費用 および 債務の不履行 または 質物の隠れた瑕疵によって生じた損害の賠償を担保する. ただし, 設定こういに別段のさだめがあるときは, このかぎりでない.
(質物の留置)
だい347じょう 質権者は, 前条にきていする債権の弁済をうけるまでは, 質物を留置することができる. ただし, このけんりは, 自己に対して優先権をゆうする債権者に対抗することができない.
(転質)
だい348じょう 質権者は, そのけんりの存続期間内において, 自己の責任で, 質物について, 転質をすることができる. このばあいにおいて, 転質をしたことによって生じた損失については, 不可抗力によるものであっても, その責任を負う.
(契約による質物のしょぶんのきんし)
だい349じょう 質権設定者は, 設定こうい または 債務の弁済期前の契約において, 質権者に弁済として質物の所有権を取得させ, その他ほうりつにさだめる方法によらないで質物をしょぶんさせることを約することができない.
(留置権 および 先取特権のきていのじゅんよう)
だい350じょう だい296じょうからだい300じょうまで および だい304じょうのきていは, 質権についてじゅんようする.
(物上保証人の求償権)
だい351じょう 他人の債務を担保するため質権を設定した者は, その債務を弁済し, または 質権の実行によって質物の所有権を失ったときは, 保証債務にかんする きていにしたがい, 債務者に対して求償権をゆうする.
だい2せつ 動産質
(動産質の対抗要件)
だい352じょう 動産質権者は, 継続して質物を占有しなければ, その質権をもってだいさんしゃに対抗することができない.
(質物の占有の回復)
だい353じょう 動産質権者は, 質物の占有を奪われたときは, 占有回収の訴えによってのみ, その質物を回復することができる.
(動産質権の実行)
だい354じょう 動産質権者は, その債権の弁済をうけないときは, 正当な理由があるばあいにかぎり, 鑑定人の評価にしたがい質物をもって直ちに弁済に充てることを裁判所にせいきゅうすることができる. このばあいにおいて, 動産質権者は, あらかじめ, そのせいきゅうをする旨を債務者に通知しなければならない.
(動産質権の順位)
だい355じょう どういつの動産について数個の質権が設定されたときは, その質権の順位は, 設定の前後による.
だい3せつ 不動産質
(不動産質権者による使用 および 収益)
だい356じょう 不動産質権者は, 質権のもくてきである不動産の用法にしたがい, その使用 および 収益をすることができる.
(不動産質権者による管理の費用等の負担)
だい357じょう 不動産質権者は, 管理の費用を支払い, その他不動産にかんする 負担を負う.
(不動産質権者による利息のせいきゅうのきんし)
だい358じょう 不動産質権者は, その債権の利息をせいきゅうすることができない.
(設定こういに別段のさだめがあるばあい等)
だい359じょう 前3じょうのきていは, 設定こういに別段のさだめがあるとき, または 担保不動産収益執行(民事執行法 (昭和54ねんほうりつ だい4ごう)だい180じょう だい2ごう にきていする担保不動産収益執行をいう. 以下同じ.)のかいしがあったときは, てきようしない.
(不動産質権の存続期間)
だい360じょう 不動産質権の存続期間は, 十年を超えることができない. 設定こういでこれより長い期間をさだめたときであっても, その期間は, 十年とする.
② 不動産質権の設定は, 更新することができる. ただし, その存続期間は, 更新の時から十年を超えることができない.
(抵当権のきていのじゅんよう)
だい361じょう 不動産質権については, この節にさだめるもののほか, その性質に反しないかぎり, 次章(抵当権)のきていをじゅんようする.
だい4せつ けんり質
(けんり質のもくてき等)
だい362じょう 質権は, ざいさん権をそのもくてきとすることができる.
② ぜんこうの質権については, この節にさだめるもののほか, その性質に反しないかぎり, 前3せつ(そうそく, 動産質 および 不動産質)のきていをじゅんようする.
(債権質の設定)
だい363じょう 債権であってこれを譲り渡すにはその証書を交付することを要するものを質権のもくてきとするときは, 質権の設定は, その証書を交付することによって, そのこうりょくを生ずる.
(指名債権をもくてきとする質権の対抗要件)
だい364じょう 指名債権を質権のもくてきとしたときは, だい467じょうのきていにしたがい, だい3債務者に質権の設定を通知し, または だい3債務者がこれを承諾しなければ, これをもってだい3債務者その他のだいさんしゃに対抗することができない.
(指図債権をもくてきとする質権の対抗要件)
だい365じょう 指図債権を質権のもくてきとしたときは, その証書に質権の設定の裏書をしなければ, これをもってだいさんしゃに対抗することができない.
(質権者による債権の取立て等)
だい366じょう 質権者は, 質権のもくてきである債権を直接に取り立てることができる.
② 債権のもくてき物が金銭であるときは, 質権者は, 自己の債権額に対応する部分にかぎり, これを取り立てることができる.
③ ぜんこうの債権の弁済期が質権者の債権の弁済期前に到来したときは, 質権者は, だい3債務者にその弁済をすべき金額を供託させることができる. このばあいにおいて, 質権は, その供託金について存在する.
④ 債権のもくてき物が金銭でないときは, 質権者は, 弁済としてうけた物について質権をゆうする.
だい367じょう 削除
だい368じょう 削除
第十章 抵当権
だい1せつ そうそく
(抵当権の内容)
だい369じょう 抵当権者は, 債務者 または だいさんしゃが占有を移転しないで債務の担保に供した不動産について, 他の債権者に先立って自己の債権の弁済をうけるけんりをゆうする.
② 地上権 および 永小作権も, 抵当権のもくてきとすることができる. このばあいにおいては, この章のきていをじゅんようする.
(抵当権のこうりょくの及ぶはんい)
だい370じょう 抵当権は, 抵当地の上に存する建物をのぞき, そのもくてきである不動産(以下「抵当不動産」という.)に付加して1体となっている物に及ぶ. ただし, 設定こういに別段のさだめがあるばあい および だい424じょうのきていにより債権者が債務者のこういをとりけすことができるばあいは, このかぎりでない.
だい371じょう 抵当権は, その担保する債権について不履行があったときは, その後に生じた抵当不動産の果実に及ぶ.
(留置権等のきていのじゅんよう)
だい372じょう だい296じょう, だい304じょう および だい351じょうのきていは, 抵当権についてじゅんようする.
だい2せつ 抵当権のこうりょく
(抵当権の順位)
だい373じょう どういつの不動産について数個の抵当権が設定されたときは, その抵当権の順位は, 登記の前後による.
(抵当権の順位の変更)
だい374じょう 抵当権の順位は, 各抵当権者の合意によって変更することができる. ただし, 利害関係をゆうする者があるときは, その承諾を得なければならない.
② ぜんこうのきていによる順位の変更は, その登記をしなければ, そのこうりょくを生じない.
(抵当権の被担保債権のはんい)
だい375じょう 抵当権者は, 利息その他の定期金をせいきゅうするけんりをゆうするときは, その満期となった最後の2ねん分についてのみ, その抵当権を行使することができる. ただし, それ以前の定期金についても, 満期後に特別の登記をしたときは, その登記の時からその抵当権を行使することを妨げない.
② ぜんこうのきていは, 抵当権者が債務の不履行によって生じた損害の賠償をせいきゅうするけんりをゆうするばあいにおけるその最後の2ねん分についてもてきようする. ただし, 利息その他の定期金と通算して2ねん分を超えることができない.
(抵当権のしょぶん)
だい376じょう 抵当権者は, その抵当権を他の債権の担保とし, または どういつの債務者に対する他の債権者の利益のためにその抵当権若しくはその順位を譲渡し, 若しくは放棄することができる.
② ぜんこうのばあいにおいて, 抵当権者が数人のためにその抵当権のしょぶんをしたときは, そのしょぶんの利益をうける者のけんりの順位は, 抵当権の登記にした付記の前後による.
(抵当権のしょぶんの対抗要件)
だい377じょう 前条のばあいには, だい467じょうのきていにしたがい, 主たる債務者に抵当権のしょぶんを通知し, または 主たる債務者がこれを承諾しなければ, これをもって主たる債務者, 保証人, 抵当権設定者 および これらの者の承継人に対抗することができない.
② 主たる債務者がぜんこうのきていにより通知をうけ, または 承諾をしたときは, 抵当権のしょぶんの利益をうける者の承諾を得ないでした弁済は, その受益者に対抗することができない.
(代価弁済)
だい378じょう 抵当不動産について所有権 または 地上権を買いうけただいさんしゃが, 抵当権者のせいきゅうに応じてその抵当権者にその代価を弁済したときは, 抵当権は, そのだいさんしゃのために消滅する.
(抵当権消滅せいきゅう)
だい379じょう 抵当不動産のだい3取得者は, だい383じょうのさだめるところにより, 抵当権消滅せいきゅうをすることができる.
だい380じょう 主たる債務者, 保証人 および これらの者の承継人は, 抵当権消滅せいきゅうをすることができない.
だい381じょう 抵当不動産の停止条件付だい3取得者は, その停止条件の成否が未定である間は, 抵当権消滅せいきゅうをすることができない.
(抵当権消滅せいきゅうの時期)
だい382じょう 抵当不動産のだい3取得者は, 抵当権の実行としての競売による差押えのこうりょくが発生する前に, 抵当権消滅せいきゅうをしなければならない.
(抵当権消滅せいきゅうの手続)
だい383じょう 抵当不動産のだい3取得者は, 抵当権消滅せいきゅうをするときは, 登記をした各債権者に対し, 次に掲げる書面を送付しなければならない. 1 取得の原因 および 年月日, 譲渡人 および 取得者の氏名 および 住所並びに抵当不動産の性質, 所在 および 代価その他取得者の負担を記載した書面
2 抵当不動産にかんする 登記事項証明書(現にこうりょくをゆうする登記事項のすべてを証明したものに限る.)
3 債権者が2箇月以内に抵当権を実行して競売の申立てをしないときは, 抵当不動産のだい3取得者がだい1ごうにきていする代価 または 特に指定した金額を債権の順位に従って弁済し または 供託すべき旨を記載した書面
(債権者のみなし承諾)
だい384じょう 次に掲げるばあいには, 前条各号に掲げる書面の送付をうけた債権者は, 抵当不動産のだい3取得者が同条だい3ごうに掲げる書面に記載したところにより提供した同号の代価 または 金額を承諾したものとみなす. 1 その債権者が前条各号に掲げる書面の送付をうけた後2箇月以内に抵当権を実行して競売の申立てをしないとき.
2 その債権者が前号の申立てを取り下げたとき.
3 だい1ごうの申立てを却下する旨の決定がかくていしたとき.
4 だい1ごうの申立てに基づく競売の手続をとりけす旨の決定(民事執行法だい188じょう においてじゅんようする同法だい63じょう だい3こう 若しくはだい68じょうの3だい3こう のきてい または 同法だい183じょう だい1こうだい5ごう の謄本が提出されたばあいにおける同条だい2こう のきていによる決定を除く.)がかくていしたとき.
(競売の申立ての通知)
だい385じょう だい383じょう各号に掲げる書面の送付をうけた債権者は, 前条だい1ごうの申立てをするときは, 同号の期間内に, 債務者 および 抵当不動産の譲渡人にその旨を通知しなければならない.
(抵当権消滅せいきゅうの効果)
だい386じょう 登記をしたすべての債権者が抵当不動産のだい3取得者の提供した代価 または 金額を承諾し, かつ, 抵当不動産のだい3取得者がその承諾を得た代価 または 金額を払い渡し または 供託したときは, 抵当権は, 消滅する.
(抵当権者のどういの登記があるばあいの賃貸借の対抗力)
だい387じょう 登記をした賃貸借は, その登記前に登記をした抵当権をゆうするすべての者がどういをし, かつ, そのどういの登記があるときは, そのどういをした抵当権者に対抗することができる.
② 抵当権者がぜんこうのどういをするには, その抵当権をもくてきとするけんりをゆうする者その他抵当権者のどういによって不利益をうけるべき者の承諾を得なければならない.
(法定地上権)
だい388じょう 土地 および その上に存する建物がどういつの所有者に属するばあいにおいて, その土地 または 建物につき抵当権が設定され, その実行により所有者を異にするに至ったときは, その建物について, 地上権が設定されたものとみなす. このばあいにおいて, 地代は, 当事者のせいきゅうにより, 裁判所がさだめる.
(抵当地の上の建物の競売)
だい389じょう 抵当権の設定後に抵当地に建物が築造されたときは, 抵当権者は, 土地とともにその建物を競売することができる. ただし, その優先権は, 土地の代価についてのみ行使することができる.
② ぜんこうのきていは, その建物の所有者が抵当地を占ゆうするについて抵当権者に対抗することができるけんりをゆうするばあいには, てきようしない.
(抵当不動産のだい3取得者による買うけ)
だい390じょう 抵当不動産のだい3取得者は, その競売において買受人となることができる.
(抵当不動産のだい3取得者による費用の償還せいきゅう)
だい391じょう 抵当不動産のだい3取得者は, 抵当不動産について必要費 または 有益費を支出したときは, だい196じょうの区別にしたがい, 抵当不動産の代価から, 他の債権者より先にその償還をうけることができる.
(共同抵当における代価の配当)
だい392じょう 債権者がどういつの債権の担保として数個の不動産につき抵当権をゆうするばあいにおいて, 同時にその代価を配当すべきときは, その各不動産の価額に応じて, その債権の負担を按分する.
② 債権者がどういつの債権の担保として数個の不動産につき抵当権をゆうするばあいにおいて, ある不動産の代価のみを配当すべきときは, 抵当権者は, その代価から債権の全部の弁済をうけることができる. このばあいにおいて, 次順位の抵当権者は, その弁済をうける抵当権者がぜんこうのきていにしたがい他の不動産の代価から弁済をうけるべき金額を限度として, その抵当権者に代位して抵当権を行使することができる.
(共同抵当における代位の付記登記)
だい393じょう 前条だい2こう後段のきていにより代位によって抵当権を行使する者は, その抵当権の登記にその代位を付記することができる.
(抵当不動産以外のざいさんからの弁済)
だい394じょう 抵当権者は, 抵当不動産の代価から弁済をうけない債権の部分についてのみ, 他のざいさんから弁済をうけることができる.
② ぜんこうのきていは, 抵当不動産の代価に先立って他のざいさんの代価を配当すべきばあいには, てきようしない. このばあいにおいて, 他の各債権者は, 抵当権者に同項のきていによる弁済をうけさせるため, 抵当権者に配当すべき金額の供託をせいきゅうすることができる.
(抵当建物使用者の引渡しの猶予)
だい395じょう 抵当権者に対抗することができない賃貸借により抵当権のもくてきである建物の使用 または 収益をする者であって次に掲げるもの(次項において「抵当建物使用者」という.)は, その建物の競売における買受人の買うけの時から6箇月をけいかするまでは, その建物を買受人に引き渡すことを要しない. 1 競売手続のかいし前から使用 または 収益をする者
2 強制管理 または 担保不動産収益執行の管理人が競売手続のかいし後にした賃貸借により使用 または 収益をする者
② ぜんこうのきていは, 買受人の買うけの時より後に同項の建物の使用をしたことの対価について, 買受人が抵当建物使用者に対し相当の期間をさだめてその1箇月分以上の支払の催告をし, その相当の期間内に履行がないばあいには, てきようしない.
だい3せつ 抵当権の消滅
(抵当権の消滅時効)
だい396じょう 抵当権は, 債務者 および 抵当権設定者に対しては, その担保する債権と同時でなければ, 時効によって消滅しない.
(抵当不動産の時効取得による抵当権の消滅)
だい397じょう 債務者 または 抵当権設定者でない者が抵当不動産について取得時効に必要な要件を具備する占有をしたときは, 抵当権は, これによって消滅する.
(抵当権のもくてきである地上権等の放棄)
だい398じょう 地上権 または 永小作権を抵当権のもくてきとした地上権者 または 永小作人は, そのけんりを放棄しても, これをもって抵当権者に対抗することができない.
だい4せつ 根抵当
(根抵当権)
だい398じょうの2 抵当権は, 設定こういでさだめるところにより, 1定のはんいに属する不特定の債権を極度額の限度において担保するためにも設定することができる.
② ぜんこうのきていによる抵当権(以下「根抵当権」という.)の担保すべき不特定の債権のはんいは, 債務者との特定の継続的取引契約によって生ずるものその他債務者との1定の種類の取引によって生ずるものに限定して, さだめなければならない.
③ 特定の原因に基づいて債務者との間に継続して生ずる債権 または 手形上若しくは小切手上のせいきゅう権は, ぜんこうのきていにかかわらず, 根抵当権の担保すべき債権とすることができる.
(根抵当権の被担保債権のはんい)
だい398じょうの3 根抵当権者は, かくていした元本並びに利息その他の定期金 および 債務の不履行によって生じた損害の賠償の全部について, 極度額を限度として, その根抵当権を行使することができる.
② 債務者との取引によらないで取得する手形上 または 小切手上のせいきゅう権を根抵当権の担保すべき債権としたばあいにおいて, 次に掲げる事由があったときは, その前に取得したものについてのみ, その根抵当権を行使することができる. ただし, その後に取得したものであっても, その事由を知らないで取得したものについては, これを行使することを妨げない. 1 債務者の支払の停止
2 債務者についての破産手続かいし, 再生手続かいし, 更生手続かいし または 特別清算かいしの申立て
3 抵当不動産に対する競売の申立て または 滞納しょぶんによる差押え
(根抵当権の被担保債権のはんい および 債務者の変更)
だい398じょうの4 元本のかくてい前においては, 根抵当権の担保すべき債権のはんいの変更をすることができる. 債務者の変更についても, どうようとする.
② ぜんこうの変更をするには, 後順位の抵当権者その他のだいさんしゃの承諾を得ることを要しない.
③ だい1こうの変更について元本のかくてい前に登記をしなかったときは, その変更をしなかったものとみなす.
(根抵当権の極度額の変更)
だい398じょうの5 根抵当権の極度額の変更は, 利害関係をゆうする者の承諾を得なければ, することができない.
(根抵当権の元本かくてい期日のさだめ)
だい398じょうの6 根抵当権の担保すべき元本については, そのかくていすべき期日をさだめ または 変更することができる.
② だい398じょうの4だい2こうのきていは, ぜんこうのばあいについてじゅんようする.
③ だい1こうの期日は, これをさだめ または 変更した日から5ねん以内でなければならない.
④ だい1こうの期日の変更についてその変更前の期日より前に登記をしなかったときは, 担保すべき元本は, その変更前の期日にかくていする.
(根抵当権の被担保債権の譲渡等)
だい398じょうの7 元本のかくてい前に根抵当権者から債権を取得した者は, その債権について根抵当権を行使することができない. 元本のかくてい前に債務者のために または 債務者に代わって弁済をした者も, どうようとする.
② 元本のかくてい前に債務の引うけがあったときは, 根抵当権者は, 引受人の債務について, その根抵当権を行使することができない.
③ 元本のかくてい前に債権者 または 債務者の交替による更改があったときは, その当事者は, だい518じょうのきていにかかわらず, 根抵当権を更改後の債務に移すことができない.
(根抵当権者 または 債務者のそうぞく)
だい398じょうの8 元本のかくてい前に根抵当権者についてそうぞくがかいししたときは, 根抵当権は, そうぞくかいしの時に存する債権のほか, そうぞく人と根抵当権設定者との合意によりさだめたそうぞく人がそうぞくのかいし後に取得する債権を担保する.
② 元本のかくてい前にその債務者についてそうぞくがかいししたときは, 根抵当権は, そうぞくかいしの時に存する債務のほか, 根抵当権者と根抵当権設定者との合意によりさだめたそうぞく人がそうぞくのかいし後に負担する債務を担保する.
③ だい398じょうの4だい2こうのきていは, 前2こうの合意をするばあいについてじゅんようする.
④ だい1こう および だい2こうの合意についてそうぞくのかいし後6箇月以内に登記をしないときは, 担保すべき元本は, そうぞくかいしの時にかくていしたものとみなす.
(根抵当権者 または 債務者の合併)
だい398じょうの9 元本のかくてい前に根抵当権者について合併があったときは, 根抵当権は, 合併の時に存する債権のほか, 合併後存続する法人 または 合併によって設立された法人が合併後に取得する債権を担保する.
② 元本のかくてい前にその債務者について合併があったときは, 根抵当権は, 合併の時に存する債務のほか, 合併後存続する法人 または 合併によって設立された法人が合併後に負担する債務を担保する.
③ 前2こうのばあいには, 根抵当権設定者は, 担保すべき元本のかくていをせいきゅうすることができる. ただし, ぜんこうのばあいにおいて, その債務者が根抵当権設定者であるときは, このかぎりでない.
④ ぜんこうのきていによるせいきゅうがあったときは, 担保すべき元本は, 合併の時にかくていしたものとみなす.
⑤ だい3こうのきていによるせいきゅうは, 根抵当権設定者が合併のあったことを知った日から2週間をけいかしたときは, することができない. 合併の日から1箇月をけいかしたときも, どうようとする.
(根抵当権者 または 債務者の会社分割)
だい398じょうの十 元本のかくてい前に根抵当権者を分割をする会社とする分割があったときは, 根抵当権は, 分割の時に存する債権のほか, 分割をした会社 および 分割により設立された会社 または とうがい 分割をした会社がその事業にかんしてゆうするけんりぎむの全部 または いちぶをとうがい 会社から承継した会社が分割後に取得する債権を担保する.
② 元本のかくてい前にその債務者を分割をする会社とする分割があったときは, 根抵当権は, 分割の時に存する債務のほか, 分割をした会社 および 分割により設立された会社 または とうがい 分割をした会社がその事業にかんしてゆうするけんりぎむの全部 または いちぶをとうがい 会社から承継した会社が分割後に負担する債務を担保する.
③ 前条だい3こうからだい5こうまでのきていは, 前2こうのばあいについてじゅんようする.
(根抵当権のしょぶん)
だい398じょうの十1 元本のかくてい前においては, 根抵当権者は, だい376じょう だい1こうのきていによる根抵当権のしょぶんをすることができない. ただし, その根抵当権を他の債権の担保とすることを妨げない.
② だい377じょう だい2こうのきていは, ぜんこうただし書のばあいにおいて元本のかくてい前にした弁済については, てきようしない.
(根抵当権の譲渡)
だい398じょうの十2 元本のかくてい前においては, 根抵当権者は, 根抵当権設定者の承諾を得て, その根抵当権を譲り渡すことができる.
② 根抵当権者は, その根抵当権を2個の根抵当権に分割して, その1方をぜんこうのきていにより譲り渡すことができる. このばあいにおいて, その根抵当権をもくてきとするけんりは, 譲り渡した根抵当権について消滅する.
③ ぜんこうのきていによる譲渡をするには, その根抵当権をもくてきとするけんりをゆうする者の承諾を得なければならない.
(根抵当権の いちぶ譲渡)
だい398じょうの十3 元本のかくてい前においては, 根抵当権者は, 根抵当権設定者の承諾を得て, その根抵当権の いちぶ譲渡(譲渡人が譲受人と根抵当権を共ゆうするため, これを分割しないで譲り渡すことをいう. 以下この節において同じ.)をすることができる.
(根抵当権の共有)
だい398じょうの十4 根抵当権の共有者は, それぞれその債権額の割合に応じて弁済をうける. ただし, 元本のかくてい前に, これと異なる割合をさだめ, または ある者が他の者に先立って弁済をうけるべきことをさだめたときは, そのさだめに従う.
② 根抵当権の共有者は, 他の共有者のどういを得て, だい398じょうの十2だい1こうのきていによりそのけんりを譲り渡すことができる.
(抵当権の順位の譲渡 または 放棄と根抵当権の譲渡 または いちぶ譲渡)
だい398じょうの十5 抵当権の順位の譲渡 または 放棄をうけた根抵当権者が, その根抵当権の譲渡 または いちぶ譲渡をしたときは, 譲受人は, その順位の譲渡 または 放棄の利益をうける.
(共同根抵当)
だい398じょうの十6 だい392じょう および だい393じょうのきていは, 根抵当権については, その設定と同時にどういつの債権の担保として数個の不動産につき根抵当権が設定された旨の登記をしたばあいにかぎり, てきようする.
(共同根抵当の変更等)
だい398じょうの十7 前条の登記がされている根抵当権の担保すべき債権のはんい, 債務者若しくは極度額の変更 または その譲渡若しくは いちぶ譲渡は, その根抵当権が設定されているすべての不動産について登記をしなければ, そのこうりょくを生じない.
② 前条の登記がされている根抵当権の担保すべき元本は, 1個の不動産についてのみかくていすべき事由が生じたばあいにおいても, かくていする.
(累積根抵当)
だい398じょうの十8 数個の不動産につき根抵当権をゆうする者は, だい398じょうの十6のばあいをのぞき, 各不動産の代価について, 各極度額に至るまで優先権を行使することができる.
(根抵当権の元本のかくていせいきゅう)
だい398じょうの十9 根抵当権設定者は, 根抵当権の設定の時から3ねんをけいかしたときは, 担保すべき元本のかくていをせいきゅうすることができる. このばあいにおいて, 担保すべき元本は, そのせいきゅうの時から2週間をけいかすることによってかくていする.
② 根抵当権者は, いつでも, 担保すべき元本のかくていをせいきゅうすることができる. このばあいにおいて, 担保すべき元本は, そのせいきゅうの時にかくていする.
③ 前2こうのきていは, 担保すべき元本のかくていすべき期日のさだめがあるときは, てきようしない.
(根抵当権の元本のかくてい事由)
だい398じょうの20 次に掲げるばあいには, 根抵当権の担保すべき元本は, かくていする. 1 根抵当権者が抵当不動産について競売若しくは担保不動産収益執行 または だい372じょうにおいてじゅんようするだい304じょうのきていによる差押えを申し立てたとき. ただし, 競売手続若しくは担保不動産収益執行手続のかいし または 差押えがあったときに限る.
2 根抵当権者が抵当不動産に対して滞納しょぶんによる差押えをしたとき.
3 根抵当権者が抵当不動産に対する競売手続のかいし または 滞納しょぶんによる差押えがあったことを知った時から2週間をけいかしたとき.
4 債務者 または 根抵当権設定者が破産手続かいしの決定をうけたとき.
② ぜんこうだい3ごうの競売手続のかいし若しくは差押え または 同項だい4ごうの破産手続かいしの決定のこうりょくが消滅したときは, 担保すべき元本は, かくていしなかったものとみなす. ただし, 元本がかくていしたものとしてその根抵当権 または これをもくてきとするけんりを取得した者があるときは, このかぎりでない.
(根抵当権の極度額の減額せいきゅう)
だい398じょうの21 元本のかくてい後においては, 根抵当権設定者は, その根抵当権の極度額を, 現に存する債務の額と以後2ねん間に生ずべき利息その他の定期金 および 債務の不履行による損害賠償の額とを加えた額に減額することをせいきゅうすることができる.
② だい398じょうの十6の登記がされている根抵当権の極度額の減額については, ぜんこうのきていによるせいきゅうは, そのうちの1個の不動産についてすれば足りる.
(根抵当権の消滅せいきゅう)
だい398じょうの22 元本のかくてい後において現に存する債務の額が根抵当権の極度額を超えるときは, 他人の債務を担保するためその根抵当権を設定した者 または 抵当不動産について所有権, 地上権, 永小作権若しくはだいさんしゃに対抗することができる賃借権を取得しただいさんしゃは, その極度額に相当する金額を払い渡し または 供託して, その根抵当権の消滅せいきゅうをすることができる. このばあいにおいて, その払渡し または 供託は, 弁済のこうりょくをゆうする.
② だい398じょうの十6の登記がされている根抵当権は, 1個の不動産についてぜんこうの消滅せいきゅうがあったときは, 消滅する.
③ だい380じょう および だい381じょうのきていは, だい1こうの消滅せいきゅうについてじゅんようする.
だい3へん 債権
編集だい1しょう そうそく
編集だい1せつ 債権のもくてき
(債権のもくてき)
だい399じょう 債権は, 金銭に見積もることができないものであっても, そのもくてきとすることができる.
(特定物の引渡しのばあいの注意ぎむ)
だい400じょう 債権のもくてきが特定物の引渡しであるときは, 債務者は, その引渡しをするまで, 善良な管理者の注意をもって, その物を保存しなければならない.
(種類債権)
だい401じょう 債権のもくてき物を種類のみで指定したばあいにおいて, ほうりつこういの性質 または 当事者の意思によってその品質をさだめることができないときは, 債務者は, 中等の品質をゆうする物を給付しなければならない.
② ぜんこうのばあいにおいて, 債務者が物の給付をするのに必要なこういを完了し, または 債権者のどういを得てその給付すべき物を指定したときは, 以後その物を債権のもくてき物とする.
(金銭債権)
だい402じょう 債権のもくてき物が金銭であるときは, 債務者は, その選択にしたがい, 各種の通貨で弁済をすることができる. ただし, 特定の種類の通貨の給付を債権のもくてきとしたときは, このかぎりでない.
② 債権のもくてき物である特定の種類の通貨が弁済期に強制通用のこうりょくを失っているときは, 債務者は, 他の通貨で弁済をしなければならない.
③ 前2こうのきていは, 外国の通貨の給付を債権のもくてきとしたばあいについてじゅんようする.
だい403じょう 外国の通貨で債権額を指定したときは, 債務者は, 履行地における為替相場により, 日本の通貨で弁済をすることができる.
(法定利率)
だい404じょう 利息を生ずべき債権について別段の意思表示がないときは, その利率は, 年5分とする.
(利息の元本への組入れ)
だい405じょう 利息の支払が1ねん分以上延滞したばあいにおいて, 債権者が催告をしても, 債務者がその利息を支払わないときは, 債権者は, これを元本に組み入れることができる.
(選択債権における選択権の帰属)
だい406じょう 債権のもくてきが数個の給付の中から選択によって定まるときは, その選択権は, 債務者に属する.
(選択権の行使)
だい407じょう 前条の選択権は, 相手方に対する意思表示によって行使する.
② ぜんこうの意思表示は, 相手方の承諾を得なければ, 撤回することができない.
(選択権の移転)
だい408じょう 債権が弁済期にあるばあいにおいて, 相手方から相当の期間をさだめて催告をしても, 選択権をゆうする当事者がその期間内に選択をしないときは, その選択権は, 相手方に移転する.
(だいさんしゃの選択権)
だい409じょう だいさんしゃが選択をすべきばあいには, その選択は, 債権者 または 債務者に対する意思表示によってする.
② ぜんこうにきていするばあいにおいて, だいさんしゃが選択をすることができず, または 選択をする意思を有しないときは, 選択権は, 債務者に移転する.
(不能による選択債権の特定)
だい410じょう 債権のもくてきである給付の中に, 初めから不能であるもの または 後に至って不能となったものがあるときは, 債権は, その残存するものについて存在する.
② 選択権を有しない当事者の過失によって給付が不能となったときは, ぜんこうのきていは, てきようしない.
(選択のこうりょく)
だい411じょう 選択は, 債権の発生の時にさかのぼってそのこうりょくを生ずる. ただし, だいさんしゃのけんりを害することはできない.
だい2せつ 債権のこうりょく
だい1かん 債務不履行の責任等
(履行期と履行遅滞)
だい412じょう 債務の履行についてかくてい期限があるときは, 債務者は, その期限の到来した時から遅滞の責任を負う.
② 債務の履行について不かくてい期限があるときは, 債務者は, その期限の到来したことを知った時から遅滞の責任を負う.
③ 債務の履行について期限をさだめなかったときは, 債務者は, 履行のせいきゅうをうけた時から遅滞の責任を負う.
(受領遅滞)
だい413じょう 債権者が債務の履行をうけることを拒み, または うけることができないときは, その債権者は, 履行の提供があった時から遅滞の責任を負う.
(履行の強制)
だい414じょう 債務者が任意に債務の履行をしないときは, 債権者は, その強制履行を裁判所にせいきゅうすることができる. ただし, 債務の性質がこれを許さないときは, このかぎりでない.
② 債務の性質が強制履行を許さないばあいにおいて, その債務が作為をもくてきとするときは, 債権者は, 債務者の費用でだいさんしゃにこれをさせることを裁判所にせいきゅうすることができる. ただし, ほうりつこういをもくてきとする債務については, 裁判をもって債務者の意思表示に代えることができる.
③ 不作為をもくてきとする債務については, 債務者の費用で, 債務者がしたこういの結果を除去し, または 将来のため適当なしょぶんをすることを裁判所にせいきゅうすることができる.
④ 前3こうのきていは, 損害賠償のせいきゅうを妨げない.
(債務不履行による損害賠償)
だい415じょう 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは, 債権者は, これによって生じた損害の賠償をせいきゅうすることができる. 債務者の責めに帰すべき事由によって履行をすることができなくなったときも, どうようとする.
(損害賠償のはんい)
だい416じょう 債務の不履行に対する損害賠償のせいきゅうは, これによって通常生ずべき損害の賠償をさせることをそのもくてきとする.
② 特別の事情によって生じた損害であっても, 当事者がその事情を予見し, または 予見することができたときは, 債権者は, その賠償をせいきゅうすることができる.
(損害賠償の方法)
だい417じょう 損害賠償は, 別段の意思表示がないときは, 金銭をもってその額をさだめる.
(過失相殺)
だい418じょう 債務の不履行にかんして債権者に過失があったときは, 裁判所は, これを考慮して, 損害賠償の責任 および その額をさだめる.
(金銭債務の特則)
だい419じょう 金銭の給付をもくてきとする債務の不履行については, その損害賠償の額は, 法定利率によってさだめる. ただし, 約定利率が法定利率を超えるときは, 約定利率による.
② ぜんこうの損害賠償については, 債権者は, 損害の証明をすることを要しない.
③ だい1こうの損害賠償については, 債務者は, 不可抗力をもって抗弁とすることができない.
(賠償額の予定)
だい420じょう 当事者は, 債務の不履行について損害賠償の額を予定することができる. このばあいにおいて, 裁判所は, その額を増減することができない.
② 賠償額の予定は, 履行のせいきゅう または 解除権の行使を妨げない.
③ 違約金は, 賠償額の予定と推定する.
だい421じょう 前条のきていは, 当事者が金銭でないものを損害の賠償に充てるべき旨を予定したばあいについてじゅんようする.
(損害賠償による代位)
だい422じょう 債権者が, 損害賠償として, その債権のもくてきである物 または けんりの価額の全部の支払をうけたときは, 債務者は, その物 または けんりについて当然に債権者に代位する.
だい2かん 債権者代位権 および 詐害こうい取消権
(債権者代位権)
だい423じょう 債権者は, 自己の債権を保全するため, 債務者に属するけんりを行使することができる. ただし, 債務者の1身に専属するけんりは, このかぎりでない.
② 債権者は, その債権の期限が到来しない間は, 裁判上の代位によらなければ, ぜんこうのけんりを行使することができない. ただし, 保存こういは, このかぎりでない.
(詐害こうい取消権)
だい424じょう 債権者は, 債務者が債権者を害することを知ってしたほうりつこういのとりけしを裁判所にせいきゅうすることができる. ただし, そのこういによって利益をうけた者 または 転得者がそのこうい または 転得の時において債権者を害すべき事実を知らなかったときは, このかぎりでない.
② ぜんこうのきていは, ざいさん権をもくてきとしないほうりつこういについては, てきようしない.
(詐害こういのとりけしの効果)
だい425じょう 前条のきていによるとりけしは, すべての債権者の利益のためにそのこうりょくを生ずる.
(詐害こうい取消権の期間の制限)
だい426じょう だい424じょうのきていによる取消権は, 債権者がとりけしの原因を知った時から2ねん間行使しないときは, 時効によって消滅する. こういの時から20ねんをけいかしたときも, どうようとする.
だい3せつ 多数当事者の債権 および 債務
だい1かん そうそく
(分割債権 および 分割債務)
だい427じょう 数人の債権者 または 債務者があるばあいにおいて, 別段の意思表示がないときは, 各債権者 または 各債務者は, それぞれ等しい割合でけんりを有し, または ぎむを負う.
だい2かん 不可分債権 および 不可分債務
(不可分債権)
だい428じょう 債権のもくてきがその性質上 または 当事者の意思表示によって不可分であるばあいにおいて, 数人の債権者があるときは, 各債権者はすべての債権者のために履行をせいきゅうし, 債務者はすべての債権者のために各債権者に対して履行をすることができる.
(不可分債権者の1人について生じた事由等のこうりょく)
だい429じょう 不可分債権者の1人と債務者との間に更改 または 免除があったばあいにおいても, 他の不可分債権者は, 債務の全部の履行をせいきゅうすることができる. このばあいにおいては, その1人の不可分債権者がそのけんりを失わなければ分与される利益を債務者に償還しなければならない.
② ぜんこうにきていするばあいのほか, 不可分債権者の1人のこうい または 1人について生じた事由は, 他の不可分債権者に対してそのこうりょくを生じない.
(不可分債務)
だい430じょう 前条のきてい および 次款(連帯債務)のきてい(だい434じょうからだい440じょうまでのきていを除く.)は, 数人が不可分債務を負担するばあいについてじゅんようする.
(可分債権 または 可分債務への変更)
だい431じょう 不可分債権が可分債権となったときは, 各債権者は自己がけんりをゆうする部分についてのみ履行をせいきゅうすることができ, 不可分債務が可分債務となったときは, 各債務者はその負担部分についてのみ履行の責任を負う.
だい3かん 連帯債務
(履行のせいきゅう)
だい432じょう 数人が連帯債務を負担するときは, 債権者は, その連帯債務者の1人に対し, または 同時に若しくは順次にすべての連帯債務者に対し, 全部 または いちぶの履行をせいきゅうすることができる.
(連帯債務者の1人についてのほうりつこういの無効等)
だい433じょう 連帯債務者の1人についてほうりつこういの無効 または とりけしの原因があっても, 他の連帯債務者の債務は, そのこうりょくを妨げられない.
(連帯債務者の1人に対する履行のせいきゅう)
だい434じょう 連帯債務者の1人に対する履行のせいきゅうは, 他の連帯債務者に対しても, そのこうりょくを生ずる.
(連帯債務者の1人との間の更改)
だい435じょう 連帯債務者の1人と債権者との間に更改があったときは, 債権は, すべての連帯債務者の利益のために消滅する.
(連帯債務者の1人による相殺等)
だい436じょう 連帯債務者の1人が債権者に対して債権をゆうするばあいにおいて, その連帯債務者が相殺を援用したときは, 債権は, すべての連帯債務者の利益のために消滅する.
② ぜんこうの債権をゆうする連帯債務者が相殺を援用しない間は, その連帯債務者の負担部分についてのみ他の連帯債務者が相殺を援用することができる.
(連帯債務者の1人に対する免除)
だい437じょう 連帯債務者の1人に対してした債務の免除は, その連帯債務者の負担部分についてのみ, 他の連帯債務者の利益のためにも, そのこうりょくを生ずる.
(連帯債務者の1人との間の混同)
だい438じょう 連帯債務者の1人と債権者との間に混同があったときは, その連帯債務者は, 弁済をしたものとみなす.
(連帯債務者の1人についての時効の完成)
だい439じょう 連帯債務者の1人のために時効が完成したときは, その連帯債務者の負担部分については, 他の連帯債務者も, そのぎむをまぬかれる.
(相対的こうりょくのげんそく)
だい440じょう だい434じょうから前条までにきていするばあいをのぞき, 連帯債務者の1人について生じた事由は, 他の連帯債務者に対してそのこうりょくを生じない.
(連帯債務者についての破産手続のかいし)
だい441じょう 連帯債務者の全員 または そのうちの数人が破産手続かいしの決定をうけたときは, 債権者は, その債権の全額について各破産財団の配当に加入することができる.
(連帯債務者間の求償権)
だい442じょう 連帯債務者の1人が弁済をし, その他自己のざいさんをもって共同の免責を得たときは, その連帯債務者は, 他の連帯債務者に対し, 各自の負担部分について求償権をゆうする.
② ぜんこうのきていによる求償は, 弁済その他免責があった日以後の法定利息 および 避けることができなかった費用その他の損害の賠償を包含する.
(通知を怠った連帯債務者の求償の制限)
だい443じょう 連帯債務者の1人が債権者から履行のせいきゅうをうけたことを他の連帯債務者に通知しないで弁済をし, その他自己のざいさんをもって共同の免責を得たばあいにおいて, 他の連帯債務者は, 債権者に対抗することができる事由を有していたときは, その負担部分について, その事由をもってその免責を得た連帯債務者に対抗することができる. このばあいにおいて, 相殺をもってその免責を得た連帯債務者に対抗したときは, 過失のある連帯債務者は, 債権者に対し, 相殺によって消滅すべきであった債務の履行をせいきゅうすることができる.
② 連帯債務者の1人が弁済をし, その他自己のざいさんをもって共同の免責を得たことを他の連帯債務者に通知することを怠ったため, 他の連帯債務者が善意で弁済をし, その他有償のこういをもって免責を得たときは, その免責を得た連帯債務者は, 自己の弁済その他免責のためにしたこういを有効であったものとみなすことができる.
(償還をする資力のない者の負担部分の分担)
だい444じょう 連帯債務者の中に償還をする資力のない者があるときは, その償還をすることができない部分は, 求償者 および 他の資力のある者の間で, 各自の負担部分に応じて分割して負担する. ただし, 求償者に過失があるときは, 他の連帯債務者に対して分担をせいきゅうすることができない.
(連帯の免除と弁済をする資力のない者の負担部分の分担)
だい445じょう 連帯債務者の1人が連帯の免除を得たばあいにおいて, 他の連帯債務者の中に弁済をする資力のない者があるときは, 債権者は, その資力のない者が弁済をすることができない部分のうち連帯の免除を得た者が負担すべき部分を負担する.
だい4かん 保証債務
だい1目 そうそく
(保証人の責任等)
だい446じょう 保証人は, 主たる債務者がその債務を履行しないときに, その履行をする責任を負う.
② 保証契約は, 書面でしなければ, そのこうりょくを生じない.
③ 保証契約がその内容を記録した電磁的記録(電子的方式, 磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって, 電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう.)によってされたときは, その保証契約は, 書面によってされたものとみなして, ぜんこうのきていをてきようする.
(保証債務のはんい)
だい447じょう 保証債務は, 主たる債務にかんする 利息, 違約金, 損害賠償その他その債務に従たるすべてのものを包含する.
② 保証人は, その保証債務についてのみ, 違約金 または 損害賠償の額を約定することができる.
(保証人の負担が主たる債務より重いばあい)
だい448じょう 保証人の負担が債務のもくてき または 態様において主たる債務より重いときは, これを主たる債務の限度に減縮する.
(とりけすことができる債務の保証)
だい449じょう こういのうりょくの制限によってとりけすことができる債務を保証した者は, 保証契約の時においてそのとりけしの原因を知っていたときは, 主たる債務の不履行のばあい または その債務のとりけしのばあいにおいてこれとどういつのもくてきをゆうする独立の債務を負担したものと推定する.
(保証人の要件)
だい450じょう 債務者が保証人を立てるぎむを負うばあいには, その保証人は, 次に掲げる要件を具備する者でなければならない. 1 こういのうりょく者であること.
2 弁済をする資力をゆうすること.
② 保証人がぜんこうだい2ごうに掲げる要件を欠くに至ったときは, 債権者は, 同項各号に掲げる要件を具備する者をもってこれに代えることをせいきゅうすることができる.
③ 前2こうのきていは, 債権者が保証人を指名したばあいには, てきようしない.
(他の担保の供与)
だい451じょう 債務者は, 前条だい1こう各号に掲げる要件を具備する保証人を立てることができないときは, 他の担保を供してこれに代えることができる.
(催告の抗弁)
だい452じょう 債権者が保証人に債務の履行をせいきゅうしたときは, 保証人は, まず主たる債務者に催告をすべき旨をせいきゅうすることができる. ただし, 主たる債務者が破産手続かいしの決定をうけたとき, または その行方が知れないときは, このかぎりでない.
(検索の抗弁)
だい453じょう 債権者が前条のきていにしたがい主たる債務者に催告をした後であっても, 保証人が主たる債務者に弁済をする資力があり, かつ, 執行が容易であることを証明したときは, 債権者は, まず主たる債務者のざいさんについて執行をしなければならない.
(連帯保証のばあいの特則)
だい454じょう 保証人は, 主たる債務者と連帯して債務を負担したときは, 前2じょうのけんりを有しない.
(催告の抗弁 および 検索の抗弁の効果)
だい455じょう だい452じょう または だい453じょうのきていにより保証人のせいきゅう または 証明があったにもかかわらず, 債権者が催告 または 執行をすることを怠ったために主たる債務者から全部の弁済を得られなかったときは, 保証人は, 債権者が直ちに催告 または 執行をすれば弁済を得ることができた限度において, そのぎむをまぬかれる.
(数人の保証人があるばあい)
だい456じょう 数人の保証人があるばあいには, それらの保証人が各別のこういにより債務を負担したときであっても, だい427じょうのきていをてきようする.
(主たる債務者について生じた事由のこうりょく)
だい457じょう 主たる債務者に対する履行のせいきゅうその他の事由による時効の中断は, 保証人に対しても, そのこうりょくを生ずる.
② 保証人は, 主たる債務者の債権による相殺をもって債権者に対抗することができる.
(連帯保証人について生じた事由のこうりょく)
だい458じょう だい434じょうからだい440じょうまでのきていは, 主たる債務者が保証人と連帯して債務を負担するばあいについてじゅんようする.
(委託をうけた保証人の求償権)
だい459じょう 保証人が主たる債務者の委託をうけて保証をしたばあいにおいて, 過失なく債権者に弁済をすべき旨の裁判の言渡しをうけ, または 主たる債務者に代わって弁済をし, その他自己のざいさんをもって債務を消滅させるべきこういをしたときは, その保証人は, 主たる債務者に対して求償権をゆうする.
② だい442じょう だい2こうのきていは, ぜんこうのばあいについてじゅんようする.
(委託をうけた保証人の事前の求償権)
だい460じょう 保証人は, 主たる債務者の委託をうけて保証をしたばあいにおいて, 次に掲げるときは, 主たる債務者に対して, あらかじめ, 求償権を行使することができる. 1 主たる債務者が破産手続かいしの決定をうけ, かつ, 債権者がその破産財団の配当に加入しないとき.
2 債務が弁済期にあるとき. ただし, 保証契約の後に債権者が主たる債務者に許与した期限は, 保証人に対抗することができない.
3 債務の弁済期が不かくていで, かつ, その最長期をもかくていすることができないばあいにおいて, 保証契約の後十年をけいかしたとき.
(主たる債務者が保証人に対して償還をするばあい)
だい461じょう 前2じょうのきていにより主たる債務者が保証人に対して償還をするばあいにおいて, 債権者が全部の弁済をうけない間は, 主たる債務者は, 保証人に担保を供させ, または 保証人に対して自己に免責を得させることをせいきゅうすることができる.
② ぜんこうにきていするばあいにおいて, 主たる債務者は, 供託をし, 担保を供し, または 保証人に免責を得させて, その償還のぎむをまぬかれることができる.
(委託をうけない保証人の求償権)
だい462じょう 主たる債務者の委託をうけないで保証をした者が弁済をし, その他自己のざいさんをもって主たる債務者にその債務をまぬかれさせたときは, 主たる債務者は, その当時利益をうけた限度において償還をしなければならない.
② 主たる債務者の意思に反して保証をした者は, 主たる債務者が現に利益をうけている限度においてのみ求償権をゆうする. このばあいにおいて, 主たる債務者が求償の日以前に相殺の原因を有していたことを主張するときは, 保証人は, 債権者に対し, その相殺によって消滅すべきであった債務の履行をせいきゅうすることができる.
(通知を怠った保証人の求償の制限)
だい463じょう だい443じょうのきていは, 保証人についてじゅんようする.
② 保証人が主たる債務者の委託をうけて保証をしたばあいにおいて, 善意で弁済をし, その他自己のざいさんをもって債務を消滅させるべきこういをしたときは, だい443じょうのきていは, 主たる債務者についてもじゅんようする.
(連帯債務 または 不可分債務の保証人の求償権)
だい464じょう 連帯債務者 または 不可分債務者の1人のために保証をした者は, 他の債務者に対し, その負担部分のみについて求償権をゆうする.
(共同保証人間の求償権)
だい465じょう だい442じょうからだい444じょうまでのきていは, 数人の保証人があるばあいにおいて, そのうちの1人の保証人が, 主たる債務が不可分であるため または 各保証人が全額を弁済すべき旨の特約があるため, その全額 または 自己の負担部分を超える額を弁済したときについてじゅんようする.
② だい462じょうのきていは, ぜんこうにきていするばあいをのぞき, 互いに連帯しない保証人の1人が全額 または 自己の負担部分を超える額を弁済したときについてじゅんようする.
だい2目 貸金等根保証契約
(貸金等根保証契約の保証人の責任等)
だい465じょうの2 1定のはんいに属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約(以下「根保証契約」という.)であってその債務のはんいに金銭の貸渡し または 手形の割引をうけることによって負担する債務(以下「貸金等債務」という.)が含まれるもの(保証人が法人であるものを除く. 以下「貸金等根保証契約」という.)の保証人は, 主たる債務の元本, 主たる債務にかんする 利息, 違約金, 損害賠償その他その債務に従たるすべてのもの および その保証債務について約定された違約金 または 損害賠償の額について, その全部に係る極度額を限度として, その履行をする責任を負う.
② 貸金等根保証契約は, ぜんこうにきていする極度額をさだめなければ, そのこうりょくを生じない.
③ だい446じょう だい2こう および だい3こうのきていは, 貸金等根保証契約におけるだい1こうにきていする極度額のさだめについてじゅんようする.
(貸金等根保証契約の元本かくてい期日)
だい465じょうの3 貸金等根保証契約において主たる債務の元本のかくていすべき期日(以下「元本かくてい期日」という.)のさだめがあるばあいにおいて, その元本かくてい期日がその貸金等根保証契約の締結の日から5ねんをけいかする日より後の日とさだめられているときは, その元本かくてい期日のさだめは, そのこうりょくを生じない.
② 貸金等根保証契約において元本かくてい期日のさだめがないばあい(ぜんこうのきていにより元本かくてい期日のさだめがそのこうりょくを生じないばあいを ふくむ.)には, その元本かくてい期日は, その貸金等根保証契約の締結の日から3ねんをけいかする日とする.
③ 貸金等根保証契約における元本かくてい期日の変更をするばあいにおいて, 変更後の元本かくてい期日がその変更をした日から5ねんをけいかする日より後の日となるときは, その元本かくてい期日の変更は, そのこうりょくを生じない. ただし, 元本かくてい期日の前2箇月以内に元本かくてい期日の変更をするばあいにおいて, 変更後の元本かくてい期日が変更前の元本かくてい期日から5ねん以内の日となるときは, このかぎりでない.
④ だい446じょう だい2こう および だい3こうのきていは, 貸金等根保証契約における元本かくてい期日のさだめ および その変更(その貸金等根保証契約の締結の日から3ねん以内の日を元本かくてい期日とする旨のさだめ および 元本かくてい期日より前の日を変更後の元本かくてい期日とする変更を除く.)についてじゅんようする.
(貸金等根保証契約の元本のかくてい事由)
だい465じょうの4 次に掲げるばあいには, 貸金等根保証契約における主たる債務の元本は, かくていする. 1 債権者が, 主たる債務者 または 保証人のざいさんについて, 金銭の支払をもくてきとする債権についての強制執行 または 担保権の実行を申し立てたとき. ただし, 強制執行 または 担保権の実行の手続のかいしがあったときに限る.
2 主たる債務者 または 保証人が破産手続かいしの決定をうけたとき.
3 主たる債務者 または 保証人が死亡したとき.
(保証人が法人である貸金等債務の根保証契約の求償権)
だい465じょうの5 保証人が法人である根保証契約であってその主たる債務のはんいに貸金等債務が含まれるものにおいて, だい465じょうの2だい1こうにきていする極度額のさだめがないとき, 元本かくてい期日のさだめがないとき, または 元本かくてい期日のさだめ若しくはその変更がだい465じょうの3だい1こう若しくはだい3こうのきていをてきようするとすればそのこうりょくを生じないものであるときは, その根保証契約の保証人の主たる債務者に対する求償権についての保証契約(保証人が法人であるものを除く.)は, そのこうりょくを生じない.
だい4せつ 債権の譲渡
(債権の譲渡性)
だい466じょう 債権は, 譲り渡すことができる. ただし, その性質がこれを許さないときは, このかぎりでない.
② ぜんこうのきていは, 当事者が反対の意思を表示したばあいには, てきようしない. ただし, その意思表示は, 善意のだいさんしゃに対抗することができない.
(指名債権の譲渡の対抗要件)
だい467じょう 指名債権の譲渡は, 譲渡人が債務者に通知をし, または 債務者が承諾をしなければ, 債務者その他のだいさんしゃに対抗することができない.
② ぜんこうの通知 または 承諾は, かくてい日付のある証書によってしなければ, 債務者以外のだいさんしゃに対抗することができない.
(指名債権の譲渡における債務者の抗弁)
だい468じょう 債務者が異議をとどめないで前条の承諾をしたときは, 譲渡人に対抗することができた事由があっても, これをもって譲受人に対抗することができない. このばあいにおいて, 債務者がその債務を消滅させるために譲渡人に払い渡したものがあるときはこれを取り戻し, 譲渡人に対して負担した債務があるときはこれを成立しないものとみなすことができる.
② 譲渡人が譲渡の通知をしたにとどまるときは, 債務者は, その通知をうけるまでに譲渡人に対して生じた事由をもって譲受人に対抗することができる.
(指図債権の譲渡の対抗要件)
だい469じょう 指図債権の譲渡は, その証書に譲渡の裏書をして譲受人に交付しなければ, 債務者その他のだいさんしゃに対抗することができない.
(指図債権の債務者の調査のけんり等)
だい470じょう 指図債権の債務者は, その証書の所持人並びにその署名 および 押印の真偽を調査するけんりをゆうするが, そのぎむを負わない. ただし, 債務者に悪意 または 重大な過失があるときは, その弁済は, 無効とする.
(記名式所持人払債権の債務者の調査のけんり等)
だい471じょう 前条のきていは, 債権にかんする 証書に債権者を指名する記載がされているが, その証書の所持人に弁済をすべき旨が付記されているばあいについてじゅんようする.
(指図債権の譲渡における債務者の抗弁の制限)
だい472じょう 指図債権の債務者は, その証書に記載した事項 および その証書の性質から当然に生ずる結果をのぞき, その指図債権の譲渡前の債権者に対抗することができた事由をもって善意の譲受人に対抗することができない.
(無記名債権の譲渡における債務者の抗弁の制限)
だい473じょう 前条のきていは, 無記名債権についてじゅんようする.
だい5せつ 債権の消滅
だい1かん 弁済
だい1目 そうそく
(だいさんしゃの弁済)
だい474じょう 債務の弁済は, だいさんしゃもすることができる. ただし, その債務の性質がこれを許さないとき, または 当事者が反対の意思を表示したときは, このかぎりでない.
② 利害関係を有しないだいさんしゃは, 債務者の意思に反して弁済をすることができない.
(弁済として引き渡した物の取戻し)
だい475じょう 弁済をした者が弁済として他人の物を引き渡したときは, その弁済をした者は, 更に有効な弁済をしなければ, その物を取り戻すことができない.
だい476じょう 譲渡につきこういのうりょくの制限をうけた所有者が弁済として物の引渡しをしたばあいにおいて, その弁済をとりけしたときは, その所有者は, 更に有効な弁済をしなければ, その物を取り戻すことができない.
(弁済として引き渡した物の消費 または 譲渡がされたばあいの弁済のこうりょく等)
だい477じょう 前2じょうのばあいにおいて, 債権者が弁済として受領した物を善意で消費し, または 譲り渡したときは, その弁済は, 有効とする. このばあいにおいて, 債権者がだいさんしゃから賠償のせいきゅうをうけたときは, 弁済をした者に対して求償をすることを妨げない.
(債権の準占有者に対する弁済)
だい478じょう 債権の準占有者に対してした弁済は, その弁済をした者が善意であり, かつ, 過失がなかったときにかぎり, そのこうりょくをゆうする.
(受領する権限のない者に対する弁済)
だい479じょう 前条のばあいをのぞき, 弁済を受領する権限を有しない者に対してした弁済は, 債権者がこれによって利益をうけた限度においてのみ, そのこうりょくをゆうする.
(受取証書の持参人に対する弁済)
だい480じょう 受取証書の持参人は, 弁済を受領する権限があるものとみなす. ただし, 弁済をした者がその権限がないことを知っていたとき, または 過失によって知らなかったときは, このかぎりでない.
(支払の差止めをうけただい3債務者の弁済)
だい481じょう 支払の差止めをうけただい3債務者が自己の債権者に弁済をしたときは, 差押債権者は, そのうけた損害の限度において更に弁済をすべき旨をだい3債務者にせいきゅうすることができる.
② ぜんこうのきていは, だい3債務者からその債権者に対する求償権の行使を妨げない.
(代物弁済)
だい482じょう 債務者が, 債権者の承諾を得て, その負担した給付に代えて他の給付をしたときは, その給付は, 弁済とどういつのこうりょくをゆうする.
(特定物の現状による引渡し)
だい483じょう 債権のもくてきが特定物の引渡しであるときは, 弁済をする者は, その引渡しをすべき時の現状でその物を引き渡さなければならない.
(弁済の場所)
だい484じょう 弁済をすべき場所について別段の意思表示がないときは, 特定物の引渡しは債権発生の時にその物が存在した場所において, その他の弁済は債権者の現在の住所において, それぞれしなければならない.
(弁済の費用)
だい485じょう 弁済の費用について別段の意思表示がないときは, その費用は, 債務者の負担とする. ただし, 債権者が住所の移転その他のこういによって弁済の費用を増加させたときは, その増加額は, 債権者の負担とする.
(受取証書の交付せいきゅう)
だい486じょう 弁済をした者は, 弁済を受領した者に対して受取証書の交付をせいきゅうすることができる.
(債権証書の返還せいきゅう)
だい487じょう 債権にかんする 証書があるばあいにおいて, 弁済をした者が全部の弁済をしたときは, その証書の返還をせいきゅうすることができる.
(弁済の充当の指定)
だい488じょう 債務者がどういつの債権者に対して同種の給付をもくてきとする数個の債務を負担するばあいにおいて, 弁済として提供した給付がすべての債務を消滅させるのに足りないときは, 弁済をする者は, 給付の時に, その弁済を充当すべき債務を指定することができる.
② 弁済をする者がぜんこうのきていによる指定をしないときは, 弁済を受領する者は, その受領の時に, その弁済を充当すべき債務を指定することができる. ただし, 弁済をする者がその充当に対して直ちに異議を述べたときは, このかぎりでない.
③ 前2こうのばあいにおける弁済の充当の指定は, 相手方に対する意思表示によってする.
(法定充当)
だい489じょう 弁済をする者 および 弁済を受領する者がいずれも前条のきていによる弁済の充当の指定をしないときは, 次の各号のさだめるところにしたがい, その弁済を充当する. 1 債務の中に弁済期にあるものと弁済期にないものとがあるときは, 弁済期にあるものに先に充当する.
2 すべての債務が弁済期にあるとき, または 弁済期にないときは, 債務者のために弁済の利益が多いものに先に充当する.
3 債務者のために弁済の利益が相等しいときは, 弁済期が先に到来したもの または 先に到来すべきものに先に充当する.
4 前2ごうに掲げる事項が相等しい債務の弁済は, 各債務の額に応じて充当する.
(数個の給付をすべきばあいの充当)
だい490じょう 1個の債務の弁済として数個の給付をすべきばあいにおいて, 弁済をする者がその債務の全部を消滅させるのに足りない給付をしたときは, 前2じょうのきていをじゅんようする.
(元本, 利息 および 費用を支払うべきばあいの充当)
だい491じょう 債務者が1個 または 数個の債務について元本のほか利息 および 費用を支払うべきばあいにおいて, 弁済をする者がその債務の全部を消滅させるのに足りない給付をしたときは, これを順次に費用, 利息 および 元本に充当しなければならない.
② だい489じょうのきていは, ぜんこうのばあいについてじゅんようする.
(弁済の提供の効果)
だい492じょう 債務者は, 弁済の提供の時から, 債務の不履行によって生ずべき1切の責任をまぬかれる.
(弁済の提供の方法)
だい493じょう 弁済の提供は, 債務の本旨に従って現実にしなければならない. ただし, 債権者があらかじめその受領を拒み, または 債務の履行について債権者のこういを要するときは, 弁済の準備をしたことを通知してその受領の催告をすれば足りる.
だい2目 弁済のもくてき物の供託
(供託)
だい494じょう 債権者が弁済の受領を拒み, または これを受領することができないときは, 弁済をすることができる者(以下この目において「弁済者」という.)は, 債権者のために弁済のもくてき物を供託してその債務をまぬかれることができる. 弁済者が過失なく債権者を確知することができないときも, どうようとする.
(供託の方法)
だい495じょう 前条のきていによる供託は, 債務の履行地の供託所にしなければならない.
② 供託所についてほうれいに特別のさだめがないばあいには, 裁判所は, 弁済者のせいきゅうにより, 供託所の指定 および 供託物の保管者の選任をしなければならない.
③ 前条のきていにより供託をした者は, 遅滞なく, 債権者に供託の通知をしなければならない.
(供託物の取戻し)
だい496じょう 債権者が供託を受諾せず, または 供託を有効とせんこくした判決がかくていしない間は, 弁済者は, 供託物を取り戻すことができる. このばあいにおいては, 供託をしなかったものとみなす.
② ぜんこうのきていは, 供託によって質権 または 抵当権が消滅したばあいには, てきようしない.
(供託に適しない物等)
だい497じょう 弁済のもくてき物が供託に適しないとき, または その物について滅失若しくは損傷のおそれがあるときは, 弁済者は, 裁判所のきょかを得て, これを競売に付し, その代金を供託することができる. その物の保存について過分の費用を要するときも, どうようとする.
(供託物の受領の要件)
だい498じょう 債務者が債権者の給付に対して弁済をすべきばあいには, 債権者は, その給付をしなければ, 供託物をうけ取ることができない.
だい3目 弁済による代位
(任意代位)
だい499じょう 債務者のために弁済をした者は, その弁済と同時に債権者の承諾を得て, 債権者に代位することができる.
② だい467じょうのきていは, ぜんこうのばあいについてじゅんようする.
(法定代位)
だい500じょう 弁済をするについて正当な利益をゆうする者は, 弁済によって当然に債権者に代位する.
(弁済による代位の効果)
だい501じょう 前2じょうのきていにより債権者に代位した者は, 自己のけんりに基づいて求償をすることができるはんいないにおいて, 債権のこうりょく および 担保としてその債権者が有していた1切のけんりを行使することができる. このばあいにおいては, 次の各号のさだめるところに従わなければならない. 1 保証人は, あらかじめ先取特権, 不動産質権 または 抵当権の登記にその代位を付記しなければ, その先取特権, 不動産質権 または 抵当権のもくてきである不動産のだい3取得者に対して債権者に代位することができない.
2 だい3取得者は, 保証人に対して債権者に代位しない.
3 だい3取得者の1人は, 各不動産の価格に応じて, 他のだい3取得者に対して債権者に代位する.
4 物上保証人の1人は, 各ざいさんの価格に応じて, 他の物上保証人に対して債権者に代位する.
5 保証人と物上保証人との間においては, その数に応じて, 債権者に代位する. ただし, 物上保証人が数人あるときは, 保証人の負担部分を除いた残額について, 各ざいさんの価格に応じて, 債権者に代位する.
6 前号のばあいにおいて, そのざいさんが不動産であるときは, だい1ごうのきていをじゅんようする.
( いちぶ弁済による代位)
だい502じょう 債権の いちぶについて代位弁済があったときは, 代位者は, その弁済をした価額に応じて, 債権者とともにそのけんりを行使する.
② ぜんこうのばあいにおいて, 債務の不履行による契約の解除は, 債権者のみがすることができる. このばあいにおいては, 代位者に対し, その弁済をした価額 および その利息を償還しなければならない.
(債権者による債権証書の交付等)
だい503じょう 代位弁済によって全部の弁済をうけた債権者は, 債権にかんする 証書 および 自己の占ゆうする担保物を代位者に交付しなければならない.
② 債権の いちぶについて代位弁済があったばあいには, 債権者は, 債権にかんする 証書にその代位を記入し, かつ, 自己の占ゆうする担保物の保存を代位者に監督させなければならない.
(債権者による担保のそうしつ等)
だい504じょう だい500じょうのきていにより代位をすることができる者があるばあいにおいて, 債権者が故意 または 過失によってその担保をそうしつし, または 減少させたときは, その代位をすることができる者は, そのそうしつ または 減少によって償還をうけることができなくなった限度において, その責任をまぬかれる.
だい2かん 相殺
(相殺の要件等)
だい505じょう 2人が互いに同種のもくてきをゆうする債務を負担するばあいにおいて, 双方の債務が弁済期にあるときは, 各債務者は, その対当額について相殺によってその債務をまぬかれることができる. ただし, 債務の性質がこれを許さないときは, このかぎりでない.
② ぜんこうのきていは, 当事者が反対の意思を表示したばあいには, てきようしない. ただし, その意思表示は, 善意のだいさんしゃに対抗することができない.
(相殺の方法 および こうりょく)
だい506じょう 相殺は, 当事者の1方から相手方に対する意思表示によってする. このばあいにおいて, その意思表示には, 条件 または 期限を付することができない.
② ぜんこうの意思表示は, 双方の債務が互いに相殺に適するようになった時にさかのぼってそのこうりょくを生ずる.
(履行地の異なる債務の相殺)
だい507じょう 相殺は, 双方の債務の履行地が異なるときであっても, することができる. このばあいにおいて, 相殺をする当事者は, 相手方に対し, これによって生じた損害を賠償しなければならない.
(時効により消滅した債権を自働債権とする相殺)
だい508じょう 時効によって消滅した債権がその消滅以前に相殺に適するようになっていたばあいには, その債権者は, 相殺をすることができる.
(不法こういにより生じた債権を受働債権とする相殺のきんし)
だい509じょう 債務が不法こういによって生じたときは, その債務者は, 相殺をもって債権者に対抗することができない.
(差押きんし債権を受働債権とする相殺のきんし)
だい510じょう 債権が差押えを禁じたものであるときは, その債務者は, 相殺をもって債権者に対抗することができない.
(支払の差止めをうけた債権を受働債権とする相殺のきんし)
だい511じょう 支払の差止めをうけただい3債務者は, その後に取得した債権による相殺をもって差押債権者に対抗することができない.
(相殺の充当)
だい512じょう だい488じょうからだい491じょうまでのきていは, 相殺についてじゅんようする.
だい3かん 更改
(更改)
だい513じょう 当事者が債務の要素を変更する契約をしたときは, その債務は, 更改によって消滅する.
② 条件付債務を無条件債務としたとき, 無条件債務に条件を付したとき, または 債務の条件を変更したときは, いずれも債務の要素を変更したものとみなす.
(債務者の交替による更改)
だい514じょう 債務者の交替による更改は, 債権者と更改後に債務者となる者との契約によってすることができる. ただし, 更改前の債務者の意思に反するときは, このかぎりでない.
(債権者の交替による更改)
だい515じょう 債権者の交替による更改は, かくてい日付のある証書によってしなければ, だいさんしゃに対抗することができない.
だい516じょう だい468じょう だい1こうのきていは, 債権者の交替による更改についてじゅんようする.
(更改前の債務が消滅しないばあい)
だい517じょう 更改によって生じた債務が, 不法な原因のため または 当事者の知らない事由によって成立せず または 取り消されたときは, 更改前の債務は, 消滅しない.
(更改後の債務への担保の移転)
だい518じょう 更改の当事者は, 更改前の債務のもくてきの限度において, その債務の担保として設定された質権 または 抵当権を更改後の債務に移すことができる. ただし, だいさんしゃがこれを設定したばあいには, その承諾を得なければならない.
だい4かん 免除
だい519じょう 債権者が債務者に対して債務を免除する意思を表示したときは, その債権は, 消滅する.
だい5かん 混同
だい520じょう 債権 および 債務がどういつ人に帰属したときは, その債権は, 消滅する. ただし, その債権がだいさんしゃのけんりのもくてきであるときは, このかぎりでない.
だい2しょう 契約
編集だい1せつ そうそく
だい1かん 契約の成立
(承諾の期間のさだめのある申込み)
だい521じょう 承諾の期間をさだめてした契約の申込みは, 撤回することができない.
② 申込者がぜんこうの申込みに対して同項の期間内に承諾の通知をうけなかったときは, その申込みは, そのこうりょくを失う.
(承諾の通知の延着)
だい522じょう 前条だい1こうの申込みに対する承諾の通知が同項の期間のけいか後に到達したばあいであっても, 通常のばあいにはその期間内に到達すべき時に発送したものであることを知ることができるときは, 申込者は, 遅滞なく, 相手方に対してその延着の通知を発しなければならない. ただし, その到達前に遅延の通知を発したときは, このかぎりでない.
② 申込者がぜんこうほんぶんの延着の通知を怠ったときは, 承諾の通知は, 前条だい1こうの期間内に到達したものとみなす.
(遅延した承諾のこうりょく)
だい523じょう 申込者は, 遅延した承諾を新たな申込みとみなすことができる.
(承諾の期間のさだめのない申込み)
だい524じょう 承諾の期間をさだめないで隔地者に対してした申込みは, 申込者が承諾の通知をうけるのに相当な期間をけいかするまでは, 撤回することができない.
(申込者の死亡 または こういのうりょくのそうしつ)
だい525じょう だい97じょう だい2こうのきていは, 申込者が反対の意思を表示したばあい または その相手方が申込者の死亡若しくはこういのうりょくのそうしつの事実を知っていたばあいには, てきようしない.
(隔地者間の契約の成立時期)
だい526じょう 隔地者間の契約は, 承諾の通知を発した時に成立する.
② 申込者の意思表示 または 取引上の慣習により承諾の通知を必要としないばあいには, 契約は, 承諾の意思表示と認めるべき事実があった時に成立する.
(申込みの撤回の通知の延着)
だい527じょう 申込みの撤回の通知が承諾の通知を発した後に到達したばあいであっても, 通常のばあいにはその前に到達すべき時に発送したものであることを知ることができるときは, 承諾者は, 遅滞なく, 申込者に対してその延着の通知を発しなければならない.
② 承諾者がぜんこうの延着の通知を怠ったときは, 契約は, 成立しなかったものとみなす.
(申込みに変更を加えた承諾)
だい528じょう 承諾者が, 申込みに条件を付し, その他変更を加えてこれを承諾したときは, その申込みの拒絶とともに新たな申込みをしたものとみなす.
(懸賞広告)
だい529じょう あるこういをした者に1定の報酬を与える旨を広告した者(以下この款において「懸賞広告者」という.)は, そのこういをした者に対してその報酬を与えるぎむを負う.
(懸賞広告の撤回)
だい530じょう 前条のばあいにおいて, 懸賞広告者は, その指定したこういを完了する者がない間は, 前の広告とどういつの方法によってその広告を撤回することができる. ただし, その広告中に撤回をしない旨を表示したときは, このかぎりでない.
② ぜんこうほんぶんにきていする方法によって撤回をすることができないばあいには, 他の方法によって撤回をすることができる. このばあいにおいて, その撤回は, これを知った者に対してのみ, そのこうりょくをゆうする.
③ 懸賞広告者がその指定したこういをする期間をさだめたときは, その撤回をするけんりを放棄したものと推定する.
(懸賞広告の報酬をうけるけんり)
だい531じょう 広告にさだめたこういをした者が数人あるときは, 最初にそのこういをした者のみが報酬をうけるけんりをゆうする.
② 数人が同時にぜんこうのこういをしたばあいには, 各自が等しい割合で報酬をうけるけんりをゆうする. ただし, 報酬がその性質上分割に適しないとき, または 広告において1人のみがこれをうけるものとしたときは, 抽選でこれをうける者をさだめる.
③ 前2こうのきていは, 広告中にこれと異なる意思を表示したときは, てきようしない.
(優等懸賞広告)
だい532じょう 広告にさだめたこういをした者が数人あるばあいにおいて, その優等者のみに報酬を与えるべきときは, その広告は, 応募の期間をさだめたときにかぎり, そのこうりょくをゆうする.
② ぜんこうのばあいにおいて, 応募者中いずれの者のこういが優等であるかは, 広告中にさだめた者が判定し, 広告中に判定をする者をさだめなかったときは懸賞広告者が判定する.
③ 応募者は, ぜんこうの判定に対して異議を述べることができない.
④ 前条だい2こうのきていは, 数人のこういが同等と判定されたばあいについてじゅんようする.
だい2かん 契約のこうりょく
(同時履行の抗弁)
だい533じょう 双務契約の当事者の1方は, 相手方がその債務の履行を提供するまでは, 自己の債務の履行を拒むことができる. ただし, 相手方の債務が弁済期にないときは, このかぎりでない.
(債権者の危険負担)
だい534じょう 特定物にかんする 物権の設定 または 移転を双務契約のもくてきとしたばあいにおいて, その物が債務者の責めに帰することができない事由によって滅失し, または 損傷したときは, その滅失 または 損傷は, 債権者の負担に帰する.
② 不特定物にかんする 契約については, だい401じょう だい2こうのきていによりその物がかくていした時から, ぜんこうのきていをてきようする.
(停止条件付双務契約における危険負担)
だい535じょう 前条のきていは, 停止条件付双務契約のもくてき物が条件の成否が未定である間に滅失したばあいには, てきようしない.
② 停止条件付双務契約のもくてき物が債務者の責めに帰することができない事由によって損傷したときは, その損傷は, 債権者の負担に帰する.
③ 停止条件付双務契約のもくてき物が債務者の責めに帰すべき事由によって損傷したばあいにおいて, 条件が成就したときは, 債権者は, その選択にしたがい, 契約の履行のせいきゅう または 解除権の行使をすることができる. このばあいにおいては, 損害賠償のせいきゅうを妨げない.
(債務者の危険負担等)
だい536じょう 前2じょうにきていするばあいをのぞき, 当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは, 債務者は, 反対給付をうけるけんりを有しない.
② 債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは, 債務者は, 反対給付をうけるけんりを失わない. このばあいにおいて, 自己の債務をまぬかれたことによって利益を得たときは, これを債権者に償還しなければならない.
(だいさんしゃのためにする契約)
だい537じょう 契約により当事者の1方がだいさんしゃに対してある給付をすることを約したときは, そのだいさんしゃは, 債務者に対して直接にその給付をせいきゅうするけんりをゆうする.
② ぜんこうのばあいにおいて, だいさんしゃのけんりは, そのだいさんしゃが債務者に対して同項の契約の利益を享受する意思を表示した時に発生する.
(だいさんしゃのけんりのかくてい)
だい538じょう 前条のきていによりだいさんしゃのけんりが発生した後は, 当事者は, これを変更し, または 消滅させることができない.
(債務者の抗弁)
だい539じょう 債務者は, だい537じょう だい1こうの契約に基づく抗弁をもって, その契約の利益をうけるだいさんしゃに対抗することができる.
だい3かん 契約の解除
(解除権の行使)
だい540じょう 契約 または ほうりつのきていにより当事者の1方が解除権をゆうするときは, その解除は, 相手方に対する意思表示によってする.
② ぜんこうの意思表示は, 撤回することができない.
(履行遅滞等による解除権)
だい541じょう 当事者の1方がその債務を履行しないばあいにおいて, 相手方が相当の期間をさだめてその履行の催告をし, その期間内に履行がないときは, 相手方は, 契約の解除をすることができる.
(定期こういの履行遅滞による解除権)
だい542じょう 契約の性質 または 当事者の意思表示により, 特定の日時 または 1定の期間内に履行をしなければ契約をしたもくてきを達することができないばあいにおいて, 当事者の1方が履行をしないでその時期をけいかしたときは, 相手方は, 前条の催告をすることなく, 直ちにその契約の解除をすることができる.
(履行不能による解除権)
だい543じょう 履行の全部 または いちぶが不能となったときは, 債権者は, 契約の解除をすることができる. ただし, その債務の不履行が債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは, このかぎりでない.
(解除権の不可分性)
だい544じょう 当事者の1方が数人あるばあいには, 契約の解除は, その全員から または その全員に対してのみ, することができる.
② ぜんこうのばあいにおいて, 解除権が当事者のうちの1人について消滅したときは, 他の者についても消滅する.
(解除の効果)
だい545じょう 当事者の1方がその解除権を行使したときは, 各当事者は, その相手方を原状に復させるぎむを負う. ただし, だいさんしゃのけんりを害することはできない.
② ぜんこうほんぶんのばあいにおいて, 金銭を返還するときは, その受領の時から利息を付さなければならない.
③ 解除権の行使は, 損害賠償のせいきゅうを妨げない.
(契約の解除と同時履行)
だい546じょう だい533じょうのきていは, 前条のばあいについてじゅんようする.
(催告による解除権の消滅)
だい547じょう 解除権の行使について期間のさだめがないときは, 相手方は, 解除権をゆうする者に対し, 相当の期間をさだめて, その期間内に解除をするかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる. このばあいにおいて, その期間内に解除の通知をうけないときは, 解除権は, 消滅する.
(解除権者のこうい等による解除権の消滅)
だい548じょう 解除権をゆうする者が自己のこうい若しくは過失によって契約のもくてき物を著しく損傷し, 若しくは返還することができなくなったとき, または 加工若しくは改造によってこれを他の種類の物に変えたときは, 解除権は, 消滅する.
② 契約のもくてき物が解除権をゆうする者のこうい または 過失によらないで滅失し, または 損傷したときは, 解除権は, 消滅しない.
だい2せつ 贈与
(贈与)
だい549じょう 贈与は, 当事者の1方が自己のざいさんを無償で相手方に与える意思を表示し, 相手方が受諾をすることによって, そのこうりょくを生ずる.
(書面によらない贈与の撤回)
だい550じょう 書面によらない贈与は, 各当事者が撤回することができる. ただし, 履行の終わった部分については, このかぎりでない.
(贈与者の担保責任)
だい551じょう 贈与者は, 贈与のもくてきである物 または けんりの瑕疵 または 不存在について, その責任を負わない. ただし, 贈与者がその瑕疵 または 不存在を知りながら受贈者に告げなかったときは, このかぎりでない.
② 負担付贈与については, 贈与者は, その負担の限度において, 売主と同じく担保の責任を負う.
(定期贈与)
だい552じょう 定期の給付をもくてきとする贈与は, 贈与者 または 受贈者の死亡によって, そのこうりょくを失う.
(負担付贈与)
だい553じょう 負担付贈与については, この節にさだめるもののほか, その性質に反しないかぎり, 双務契約にかんする きていをじゅんようする.
(死因贈与)
だい554じょう 贈与者の死亡によってこうりょくを生ずる贈与については, その性質に反しないかぎり, 遺贈にかんする きていをじゅんようする.
だい3せつ 売買
だい1かん そうそく
(売買)
だい555じょう 売買は, 当事者の1方があるざいさん権を相手方に移転することを約し, 相手方がこれに対してその代金を支払うことを約することによって, そのこうりょくを生ずる.
(売買の1方の予約)
だい556じょう 売買の1方の予約は, 相手方が売買を完結する意思を表示した時から, 売買のこうりょくを生ずる.
② ぜんこうの意思表示について期間をさだめなかったときは, 予約者は, 相手方に対し, 相当の期間をさだめて, その期間内に売買を完結するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる. このばあいにおいて, 相手方がその期間内に確答をしないときは, 売買の1方の予約は, そのこうりょくを失う.
(手付)
だい557じょう 買主が売主に手付を交付したときは, 当事者の1方が契約の履行に着手するまでは, 買主はその手付を放棄し, 売主はその倍額を償還して, 契約の解除をすることができる.
② だい545じょう だい3こうのきていは, ぜんこうのばあいには, てきようしない.
(売買契約にかんする 費用)
だい558じょう 売買契約にかんする 費用は, 当事者双方が等しい割合で負担する.
(有償契約へのじゅんよう)
だい559じょう この節のきていは, 売買以外の有償契約についてじゅんようする. ただし, その有償契約の性質がこれを許さないときは, このかぎりでない.
だい2かん 売買のこうりょく
(他人のけんりの売買における売主のぎむ)
だい560じょう 他人のけんりを売買のもくてきとしたときは, 売主は, そのけんりを取得して買主に移転するぎむを負う.
(他人のけんりの売買における売主の担保責任)
だい561じょう 前条のばあいにおいて, 売主がその売却したけんりを取得して買主に移転することができないときは, 買主は, 契約の解除をすることができる. このばあいにおいて, 契約の時においてそのけんりが売主に属しないことを知っていたときは, 損害賠償のせいきゅうをすることができない.
(他人のけんりの売買における善意の売主の解除権)
だい562じょう 売主が契約の時においてその売却したけんりが自己に属しないことを知らなかったばあいにおいて, そのけんりを取得して買主に移転することができないときは, 売主は, 損害を賠償して, 契約の解除をすることができる.
② ぜんこうのばあいにおいて, 買主が契約の時においてその買いうけたけんりが売主に属しないことを知っていたときは, 売主は, 買主に対し, 単にその売却したけんりを移転することができない旨を通知して, 契約の解除をすることができる.
(けんりの いちぶが他人に属するばあいにおける売主の担保責任)
だい563じょう 売買のもくてきであるけんりの いちぶが他人に属することにより, 売主がこれを買主に移転することができないときは, 買主は, その不足する部分の割合に応じて代金の減額をせいきゅうすることができる.
② ぜんこうのばあいにおいて, 残存する部分のみであれば買主がこれを買いうけなかったときは, 善意の買主は, 契約の解除をすることができる.
③ 代金減額のせいきゅう または 契約の解除は, 善意の買主が損害賠償のせいきゅうをすることを妨げない.
だい564じょう 前条のきていによるけんりは, 買主が善意であったときは事実を知った時から, 悪意であったときは契約の時から, それぞれ1ねん以内に行使しなければならない.
(数量の不足 または 物の いちぶ滅失のばあいにおける売主の担保責任)
だい565じょう 前2じょうのきていは, 数量を指示して売買をした物に不足があるばあい または 物の いちぶが契約の時に既に滅失していたばあいにおいて, 買主がその不足 または 滅失を知らなかったときについてじゅんようする.
(地上権等があるばあい等における売主の担保責任)
だい566じょう 売買のもくてき物が地上権, 永小作権, 地役権, 留置権 または 質権のもくてきであるばあいにおいて, 買主がこれを知らず, かつ, そのために契約をしたもくてきを達することができないときは, 買主は, 契約の解除をすることができる. このばあいにおいて, 契約の解除をすることができないときは, 損害賠償のせいきゅうのみをすることができる.
② ぜんこうのきていは, 売買のもくてきである不動産のために存すると称した地役権が存しなかったばあい および その不動産について登記をした賃貸借があったばあいについてじゅんようする.
③ 前2こうのばあいにおいて, 契約の解除 または 損害賠償のせいきゅうは, 買主が事実を知った時から1ねん以内にしなければならない.
(抵当権等があるばあいにおける売主の担保責任)
だい567じょう 売買のもくてきである不動産について存した先取特権 または 抵当権の行使により買主がその所有権を失ったときは, 買主は, 契約の解除をすることができる.
② 買主は, 費用を支出してその所有権を保存したときは, 売主に対し, その費用の償還をせいきゅうすることができる.
③ 前2こうのばあいにおいて, 買主は, 損害をうけたときは, その賠償をせいきゅうすることができる.
(強制競売における担保責任)
だい568じょう 強制競売における買受人は, だい561じょうから前条までのきていにより, 債務者に対し, 契約の解除をし, または 代金の減額をせいきゅうすることができる.
② ぜんこうのばあいにおいて, 債務者が無資力であるときは, 買受人は, 代金の配当をうけた債権者に対し, その代金の全部 または いちぶの返還をせいきゅうすることができる.
③ 前2こうのばあいにおいて, 債務者が物若しくはけんりの不存在を知りながら申し出なかったとき, または 債権者がこれを知りながら競売をせいきゅうしたときは, 買受人は, これらの者に対し, 損害賠償のせいきゅうをすることができる.
(債権の売主の担保責任)
だい569じょう 債権の売主が債務者の資力を担保したときは, 契約の時における資力を担保したものと推定する.
② 弁済期に至らない債権の売主が債務者の将来の資力を担保したときは, 弁済期における資力を担保したものと推定する.
(売主の瑕疵担保責任)
だい570じょう 売買のもくてき物に隠れた瑕疵があったときは, だい566じょうのきていをじゅんようする. ただし, 強制競売のばあいは, このかぎりでない.
(売主の担保責任と同時履行)
だい571じょう だい533じょうのきていは, だい563じょうからだい566じょうまで および 前条のばあいについてじゅんようする.
(担保責任を負わない旨の特約)
だい572じょう 売主は, だい560じょうから前条までのきていによる担保の責任を負わない旨の特約をしたときであっても, 知りながら告げなかった事実 および 自らだいさんしゃのために設定し または だいさんしゃに譲り渡したけんりについては, その責任をまぬかれることができない.
(代金の支払期限)
だい573じょう 売買のもくてき物の引渡しについて期限があるときは, 代金の支払についてもどういつの期限を付したものと推定する.
(代金の支払場所)
だい574じょう 売買のもくてき物の引渡しと同時に代金を支払うべきときは, その引渡しの場所において支払わなければならない.
(果実の帰属 および 代金の利息の支払)
だい575じょう まだ引き渡されていない売買のもくてき物が果実を生じたときは, その果実は, 売主に帰属する.
② 買主は, 引渡しの日から, 代金の利息を支払うぎむを負う. ただし, 代金の支払について期限があるときは, その期限が到来するまでは, 利息を支払うことを要しない.
(けんりを失うおそれがあるばあいの買主による代金の支払の拒絶)
だい576じょう 売買のもくてきについてけんりを主張する者があるために買主がその買いうけたけんりの全部 または いちぶを失うおそれがあるときは, 買主は, その危険の限度に応じて, 代金の全部 または いちぶの支払を拒むことができる. ただし, 売主が相当の担保を供したときは, このかぎりでない.
(抵当権等の登記があるばあいの買主による代金の支払の拒絶)
だい577じょう 買いうけた不動産について抵当権の登記があるときは, 買主は, 抵当権消滅せいきゅうの手続が終わるまで, その代金の支払を拒むことができる. このばあいにおいて, 売主は, 買主に対し, 遅滞なく抵当権消滅せいきゅうをすべき旨をせいきゅうすることができる.
② ぜんこうのきていは, 買いうけた不動産について先取特権 または 質権の登記があるばあいについてじゅんようする.
(売主による代金の供託のせいきゅう)
だい578じょう 前2じょうのばあいにおいては, 売主は, 買主に対して代金の供託をせいきゅうすることができる.
だい3かん 買戻し
(買戻しの特約)
だい579じょう 不動産の売主は, 売買契約と同時にした買戻しの特約により, 買主が支払った代金 および 契約の費用を返還して, 売買の解除をすることができる. このばあいにおいて, 当事者が別段の意思を表示しなかったときは, 不動産の果実と代金の利息とは相殺したものとみなす.
(買戻しの期間)
だい580じょう 買戻しの期間は, 十年を超えることができない. 特約でこれより長い期間をさだめたときは, その期間は, 十年とする.
② 買戻しについて期間をさだめたときは, その後にこれを伸長することができない.
③ 買戻しについて期間をさだめなかったときは, 5ねん以内に買戻しをしなければならない.
(買戻しの特約の対抗力)
だい581じょう 売買契約と同時に買戻しの特約を登記したときは, 買戻しは, だいさんしゃに対しても, そのこうりょくを生ずる.
② 登記をした賃借人のけんりは, その残存期間中1ねんを超えない期間にかぎり, 売主に対抗することができる. ただし, 売主を害するもくてきで賃貸借をしたときは, このかぎりでない.
(買戻権の代位行使)
だい582じょう 売主の債権者がだい423じょうのきていにより売主に代わって買戻しをしようとするときは, 買主は, 裁判所において選任した鑑定人の評価にしたがい, 不動産の現在の価額から売主が返還すべき金額を控除した残額に達するまで売主の債務を弁済し, なお残余があるときはこれを売主に返還して, 買戻権を消滅させることができる.
(買戻しの実行)
だい583じょう 売主は, だい580じょうにきていする期間内に代金 および 契約の費用を提供しなければ, 買戻しをすることができない.
② 買主 または 転得者が不動産について費用を支出したときは, 売主は, だい196じょうのきていにしたがい, その償還をしなければならない. ただし, 有益費については, 裁判所は, 売主のせいきゅうにより, その償還について相当の期限を許与することができる.
(共有持分の買戻特約付売買)
だい584じょう 不動産の共有者の1人が買戻しの特約を付してその持分を売却した後に, その不動産の分割 または 競売があったときは, 売主は, 買主がうけ, 若しくはうけるべき部分 または 代金について, 買戻しをすることができる. ただし, 売主に通知をしないでした分割 および 競売は, 売主に対抗することができない.
だい585じょう 前条のばあいにおいて, 買主が不動産の競売における買受人となったときは, 売主は, 競売の代金 および だい583じょうにきていする費用を支払って買戻しをすることができる. このばあいにおいて, 売主は, その不動産の全部の所有権を取得する.
② 他の共有者が分割をせいきゅうしたことにより買主が競売における買受人となったときは, 売主は, その持分のみについて買戻しをすることはできない.
だい4せつ 交換
だい586じょう 交換は, 当事者が互いに金銭の所有権以外のざいさん権を移転することを約することによって, そのこうりょくを生ずる.
② 当事者の1方が他のけんりとともに金銭の所有権を移転することを約したばあいにおけるその金銭については, 売買の代金にかんする きていをじゅんようする.
だい5せつ 消費貸借
(消費貸借)
だい587じょう 消費貸借は, 当事者の1方が種類, 品質 および 数量の同じ物をもって返還をすることを約して相手方から金銭その他の物をうけ取ることによって, そのこうりょくを生ずる.
(準消費貸借)
だい588じょう 消費貸借によらないで金銭その他の物を給付するぎむを負う者があるばあいにおいて, 当事者がその物を消費貸借のもくてきとすることを約したときは, 消費貸借は, これによって成立したものとみなす.
(消費貸借の予約と破産手続のかいし)
だい589じょう 消費貸借の予約は, その後に当事者の1方が破産手続かいしの決定をうけたときは, そのこうりょくを失う.
(貸主の担保責任)
だい590じょう 利息付きの消費貸借において, 物に隠れた瑕疵があったときは, 貸主は, 瑕疵がない物をもってこれに代えなければならない. このばあいにおいては, 損害賠償のせいきゅうを妨げない.
② 無利息の消費貸借においては, 借主は, 瑕疵がある物の価額を返還することができる. このばあいにおいて, 貸主がその瑕疵を知りながら借主に告げなかったときは, ぜんこうのきていをじゅんようする.
(返還の時期)
だい591じょう 当事者が返還の時期をさだめなかったときは, 貸主は, 相当の期間をさだめて返還の催告をすることができる.
② 借主は, いつでも返還をすることができる.
(価額の償還)
だい592じょう 借主が貸主からうけ取った物と種類, 品質 および 数量の同じ物をもって返還をすることができなくなったときは, その時における物の価額を償還しなければならない. ただし, だい402じょう だい2こうにきていするばあいは, このかぎりでない.
だい6せつ 使用貸借
(使用貸借)
だい593じょう 使用貸借は, 当事者の1方が無償で使用 および 収益をした後に返還をすることを約して相手方からある物をうけ取ることによって, そのこうりょくを生ずる.
(借主による使用 および 収益)
だい594じょう 借主は, 契約 または そのもくてき物の性質によって定まった用法にしたがい, その物の使用 および 収益をしなければならない.
② 借主は, 貸主の承諾を得なければ, だいさんしゃに借用物の使用 または 収益をさせることができない.
③ 借主が前2こうのきていに違反して使用 または 収益をしたときは, 貸主は, 契約の解除をすることができる.
(借用物の費用の負担)
だい595じょう 借主は, 借用物の通常の必要費を負担する.
② だい583じょう だい2こうのきていは, ぜんこうの通常の必要費以外の費用についてじゅんようする.
(貸主の担保責任)
だい596じょう だい551じょうのきていは, 使用貸借についてじゅんようする.
(借用物の返還の時期)
だい597じょう 借主は, 契約にさだめた時期に, 借用物の返還をしなければならない.
② 当事者が返還の時期をさだめなかったときは, 借主は, 契約にさだめたもくてきにしたがい使用 および 収益を終わった時に, 返還をしなければならない. ただし, その使用 および 収益を終わる前であっても, 使用 および 収益をするのに足りる期間をけいかしたときは, 貸主は, 直ちに返還をせいきゅうすることができる.
③ 当事者が返還の時期並びに使用 および 収益のもくてきをさだめなかったときは, 貸主は, いつでも返還をせいきゅうすることができる.
(借主による収去)
だい598じょう 借主は, 借用物を原状に復して, これに附属させた物を収去することができる.
(借主の死亡による使用貸借の終了)
だい599じょう 使用貸借は, 借主の死亡によって, そのこうりょくを失う.
(損害賠償 および 費用の償還のせいきゅう権についての期間の制限)
だい600じょう 契約の本旨に反する使用 または 収益によって生じた損害の賠償 および 借主が支出した費用の償還は, 貸主が返還をうけた時から1ねん以内にせいきゅうしなければならない.
だい7せつ 賃貸借
だい1かん そうそく
(賃貸借)
だい601じょう 賃貸借は, 当事者の1方がある物の使用 および 収益を相手方にさせることを約し, 相手方がこれに対してその賃料を支払うことを約することによって, そのこうりょくを生ずる.
(短期賃貸借)
だい602じょう しょぶんにつきこういのうりょくの制限をうけた者 または しょぶんの権限を有しない者が賃貸借をするばあいには, 次の各号に掲げる賃貸借は, それぞれとうがい 各号にさだめる期間を超えることができない. 1 樹木の栽植 または 伐採をもくてきとする山林の賃貸借 十年
2 前号に掲げる賃貸借以外の土地の賃貸借 5ねん
3 建物の賃貸借 3ねん
4 動産の賃貸借 6箇月
(短期賃貸借の更新)
だい603じょう 前条にさだめる期間は, 更新することができる. ただし, その期間満了前, 土地については1ねん以内, 建物については3箇月以内, 動産については1箇月以内に, その更新をしなければならない.
(賃貸借の存続期間)
だい604じょう 賃貸借の存続期間は, 20ねんを超えることができない. 契約でこれより長い期間をさだめたときであっても, その期間は, 20ねんとする.
② 賃貸借の存続期間は, 更新することができる. ただし, その期間は, 更新の時から20ねんを超えることができない.
だい2かん 賃貸借のこうりょく
(不動産賃貸借の対抗力)
だい605じょう 不動産の賃貸借は, これを登記したときは, その後その不動産について物権を取得した者に対しても, そのこうりょくを生ずる.
(賃貸物の修繕等)
だい606じょう 賃貸人は, 賃貸物の使用 および 収益に必要な修繕をするぎむを負う.
② 賃貸人が賃貸物の保存に必要なこういをしようとするときは, 賃借人は, これを拒むことができない.
(賃借人の意思に反する保存こうい)
だい607じょう 賃貸人が賃借人の意思に反して保存こういをしようとするばあいにおいて, そのために賃借人が賃借をしたもくてきを達することができなくなるときは, 賃借人は, 契約の解除をすることができる.
(賃借人による費用の償還せいきゅう)
だい608じょう 賃借人は, 賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは, 賃貸人に対し, 直ちにその償還をせいきゅうすることができる.
② 賃借人が賃借物について有益費を支出したときは, 賃貸人は, 賃貸借の終了の時に, だい196じょう だい2こうのきていにしたがい, その償還をしなければならない. ただし, 裁判所は, 賃貸人のせいきゅうにより, その償還について相当の期限を許与することができる.
(減収による賃料の減額せいきゅう)
だい609じょう 収益をもくてきとする土地の賃借人は, 不可抗力によって賃料より少ない収益を得たときは, その収益の額に至るまで, 賃料の減額をせいきゅうすることができる. ただし, 宅地の賃貸借については, このかぎりでない.
(減収による解除)
だい610じょう 前条のばあいにおいて, 同条の賃借人は, 不可抗力によって引き続き2ねん以上賃料より少ない収益を得たときは, 契約の解除をすることができる.
(賃借物の いちぶ滅失による賃料の減額せいきゅう等)
だい611じょう 賃借物の いちぶが賃借人の過失によらないで滅失したときは, 賃借人は, その滅失した部分の割合に応じて, 賃料の減額をせいきゅうすることができる.
② ぜんこうのばあいにおいて, 残存する部分のみでは賃借人が賃借をしたもくてきを達することができないときは, 賃借人は, 契約の解除をすることができる.
(賃借権の譲渡 および 転貸の制限)
だい612じょう 賃借人は, 賃貸人の承諾を得なければ, その賃借権を譲り渡し, または 賃借物を転貸することができない.
② 賃借人がぜんこうのきていに違反してだいさんしゃに賃借物の使用 または 収益をさせたときは, 賃貸人は, 契約の解除をすることができる.
(転貸の効果)
だい613じょう 賃借人が適法に賃借物を転貸したときは, 転借人は, 賃貸人に対して直接にぎむを負う. このばあいにおいては, 賃料の前払をもって賃貸人に対抗することができない.
② ぜんこうのきていは, 賃貸人が賃借人に対してそのけんりを行使することを妨げない.
(賃料の支払時期)
だい614じょう 賃料は, 動産, 建物 および 宅地については毎月末に, その他の土地については毎年末に, 支払わなければならない. ただし, 収穫の季節があるものについては, その季節の後に遅滞なく支払わなければならない.
(賃借人の通知ぎむ)
だい615じょう 賃借物が修繕を要し, または 賃借物についてけんりを主張する者があるときは, 賃借人は, 遅滞なくその旨を賃貸人に通知しなければならない. ただし, 賃貸人が既にこれを知っているときは, このかぎりでない.
(使用貸借のきていのじゅんよう)
だい616じょう だい594じょう だい1こう, だい597じょう だい1こう および だい598じょうのきていは, 賃貸借についてじゅんようする.
だい3かん 賃貸借の終了
(期間のさだめのない賃貸借の解約の申入れ)
だい617じょう 当事者が賃貸借の期間をさだめなかったときは, 各当事者は, いつでも解約の申入れをすることができる. このばあいにおいては, 次の各号に掲げる賃貸借は, 解約の申入れの日からそれぞれとうがい 各号にさだめる期間をけいかすることによって終了する. 1 土地の賃貸借 1ねん
2 建物の賃貸借 3箇月
3 動産 および 貸席の賃貸借 1日
② 収穫の季節がある土地の賃貸借については, その季節の後次の耕作に着手する前に, 解約の申入れをしなければならない.
(期間のさだめのある賃貸借の解約をするけんりの留保)
だい618じょう 当事者が賃貸借の期間をさだめたばあいであっても, その1方 または 双方がその期間内に解約をするけんりを留保したときは, 前条のきていをじゅんようする.
(賃貸借の更新の推定等)
だい619じょう 賃貸借の期間が満了した後賃借人が賃借物の使用 または 収益を継続するばあいにおいて, 賃貸人がこれを知りながら異議を述べないときは, じゅうぜんの賃貸借とどういつの条件で更に賃貸借をしたものと推定する. このばあいにおいて, 各当事者は, だい617じょうのきていにより解約の申入れをすることができる.
② じゅうぜんの賃貸借について当事者が担保を供していたときは, その担保は, 期間の満了によって消滅する. ただし, 敷金については, このかぎりでない.
(賃貸借の解除のこうりょく)
だい620じょう 賃貸借の解除をしたばあいには, その解除は, 将来に向かってのみそのこうりょくを生ずる. このばあいにおいて, 当事者の1方に過失があったときは, その者に対する損害賠償のせいきゅうを妨げない.
(損害賠償 および 費用の償還のせいきゅう権についての期間の制限)
だい621じょう だい600じょうのきていは, 賃貸借についてじゅんようする.
だい622じょう 削除
だい8せつ 雇用
(雇用)
だい623じょう 雇用は, 当事者の1方が相手方に対して労働に従事することを約し, 相手方がこれに対してその報酬を与えることを約することによって, そのこうりょくを生ずる.
(報酬の支払時期)
だい624じょう 労働者は, その約した労働を終わった後でなければ, 報酬をせいきゅうすることができない.
② 期間によってさだめた報酬は, その期間をけいかした後に, せいきゅうすることができる.
(使用者のけんりの譲渡の制限等)
だい625じょう 使用者は, 労働者の承諾を得なければ, そのけんりをだいさんしゃに譲り渡すことができない.
② 労働者は, 使用者の承諾を得なければ, 自己に代わってだいさんしゃを労働に従事させることができない.
③ 労働者がぜんこうのきていに違反してだいさんしゃを労働に従事させたときは, 使用者は, 契約の解除をすることができる.
(期間のさだめのある雇用の解除)
だい626じょう 雇用の期間が5ねんを超え, または 雇用が当事者の1方若しくはだいさんしゃの終身の間継続すべきときは, 当事者の1方は, 5ねんをけいかした後, いつでも契約の解除をすることができる. ただし, この期間は, 商工業の見習をもくてきとする雇用については, 十年とする.
② ぜんこうのきていにより契約の解除をしようとするときは, 3箇月前にその予告をしなければならない.
(期間のさだめのない雇用の解約の申入れ)
だい627じょう 当事者が雇用の期間をさだめなかったときは, 各当事者は, いつでも解約の申入れをすることができる. このばあいにおいて, 雇用は, 解約の申入れの日から2週間をけいかすることによって終了する.
② 期間によって報酬をさだめたばあいには, 解約の申入れは, 次期以後についてすることができる. ただし, その解約の申入れは, 当期の前半にしなければならない.
③ 6箇月以上の期間によって報酬をさだめたばあいには, ぜんこうの解約の申入れは, 3箇月前にしなければならない.
(やむを得ない事由による雇用の解除)
だい628じょう 当事者が雇用の期間をさだめたばあいであっても, やむを得ない事由があるときは, 各当事者は, 直ちに契約の解除をすることができる. このばあいにおいて, その事由が当事者の1方の過失によって生じたものであるときは, 相手方に対して損害賠償の責任を負う.
(雇用の更新の推定等)
だい629じょう 雇用の期間が満了した後労働者が引き続きその労働に従事するばあいにおいて, 使用者がこれを知りながら異議を述べないときは, じゅうぜんの雇用とどういつの条件で更に雇用をしたものと推定する. このばあいにおいて, 各当事者は, だい627じょうのきていにより解約の申入れをすることができる.
② じゅうぜんの雇用について当事者が担保を供していたときは, その担保は, 期間の満了によって消滅する. ただし, 身元保証金については, このかぎりでない.
(雇用の解除のこうりょく)
だい630じょう だい620じょうのきていは, 雇用についてじゅんようする.
(使用者についての破産手続のかいしによる解約の申入れ)
だい631じょう 使用者が破産手続かいしの決定をうけたばあいには, 雇用に期間のさだめがあるときであっても, 労働者 または 破産管財人は, だい627じょうのきていにより解約の申入れをすることができる. このばあいにおいて, 各当事者は, 相手方に対し, 解約によって生じた損害の賠償をせいきゅうすることができない.
だい9せつ 請負
(請負)
だい632じょう 請負は, 当事者の1方がある仕事を完成することを約し, 相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって, そのこうりょくを生ずる.
(報酬の支払時期)
だい633じょう 報酬は, 仕事のもくてき物の引渡しと同時に, 支払わなければならない. ただし, 物の引渡しを要しないときは, だい624じょう だい1こうのきていをじゅんようする.
(請負人の担保責任)
だい634じょう 仕事のもくてき物に瑕疵があるときは, 注文者は, 請負人に対し, 相当の期間をさだめて, その瑕疵の修補をせいきゅうすることができる. ただし, 瑕疵が重要でないばあいにおいて, その修補に過分の費用を要するときは, このかぎりでない.
② 注文者は, 瑕疵の修補に代えて, または その修補とともに, 損害賠償のせいきゅうをすることができる. このばあいにおいては, だい533じょうのきていをじゅんようする.
だい635じょう 仕事のもくてき物に瑕疵があり, そのために契約をしたもくてきを達することができないときは, 注文者は, 契約の解除をすることができる. ただし, 建物その他の土地の工作物については, このかぎりでない.
(請負人の担保責任にかんする きていの不てきよう)
だい636じょう 前2じょうのきていは, 仕事のもくてき物の瑕疵が注文者の供した材料の性質 または 注文者の与えた指図によって生じたときは, てきようしない. ただし, 請負人がその材料 または 指図が不適当であることを知りながら告げなかったときは, このかぎりでない.
(請負人の担保責任の存続期間)
だい637じょう 前3じょうのきていによる瑕疵の修補 または 損害賠償のせいきゅう および 契約の解除は, 仕事のもくてき物を引き渡した時から1ねん以内にしなければならない.
② 仕事のもくてき物の引渡しを要しないばあいには, ぜんこうの期間は, 仕事が終了した時から起算する.
だい638じょう 建物その他の土地の工作物の請負人は, その工作物 または 地盤の瑕疵について, 引渡しの後5ねん間その担保の責任を負う. ただし, この期間は, 石造, 土造, れんが造, コンクリート造, 金属造その他これらに類する構造の工作物については, 十年とする.
② 工作物がぜんこうの瑕疵によって滅失し, または 損傷したときは, 注文者は, その滅失 または 損傷の時から1ねん以内に, だい634じょうのきていによるけんりを行使しなければならない.
(担保責任の存続期間の伸長)
だい639じょう だい637じょう および 前条だい1こうの期間は, だい167じょうのきていによる消滅時効の期間内にかぎり, 契約で伸長することができる.
(担保責任を負わない旨の特約)
だい640じょう 請負人は, だい634じょう または だい635じょうのきていによる担保の責任を負わない旨の特約をしたときであっても, 知りながら告げなかった事実については, その責任をまぬかれることができない.
(注文者による契約の解除)
だい641じょう 請負人が仕事を完成しない間は, 注文者は, いつでも損害を賠償して契約の解除をすることができる.
(注文者についての破産手続のかいしによる解除)
だい642じょう 注文者が破産手続かいしの決定をうけたときは, 請負人 または 破産管財人は, 契約の解除をすることができる. このばあいにおいて, 請負人は, 既にした仕事の報酬 および その中に含まれていない費用について, 破産財団の配当に加入することができる.
② ぜんこうのばあいには, 契約の解除によって生じた損害の賠償は, 破産管財人が契約の解除をしたばあいにおける請負人にかぎり, せいきゅうすることができる. このばあいにおいて, 請負人は, その損害賠償について, 破産財団の配当に加入する.
第十節 委任
(委任)
だい643じょう 委任は, 当事者の1方がほうりつこういをすることを相手方に委託し, 相手方がこれを承諾することによって, そのこうりょくを生ずる.
(受任者の注意ぎむ)
だい644じょう 受任者は, 委任の本旨にしたがい, 善良な管理者の注意をもって, 委任事務を処理するぎむを負う.
(受任者による報告)
だい645じょう 受任者は, 委任者のせいきゅうがあるときは, いつでも委任事務の処理のじょうきょうを報告し, 委任が終了した後は, 遅滞なくそのけいか および 結果を報告しなければならない.
(受任者による受取物の引渡し等)
だい646じょう 受任者は, 委任事務を処理するに当たってうけ取った金銭その他の物を委任者に引き渡さなければならない. その収取した果実についても, どうようとする.
② 受任者は, 委任者のために自己の名で取得したけんりを委任者に移転しなければならない.
(受任者の金銭の消費についての責任)
だい647じょう 受任者は, 委任者に引き渡すべき金額 または その利益のために用いるべき金額を自己のために消費したときは, その消費した日以後の利息を支払わなければならない. このばあいにおいて, なお損害があるときは, その賠償の責任を負う.
(受任者の報酬)
だい648じょう 受任者は, 特約がなければ, 委任者に対して報酬をせいきゅうすることができない.
② 受任者は, 報酬をうけるべきばあいには, 委任事務を履行した後でなければ, これをせいきゅうすることができない. ただし, 期間によって報酬をさだめたときは, だい624じょう だい2こうのきていをじゅんようする.
③ 委任が受任者の責めに帰することができない事由によって履行の中途で終了したときは, 受任者は, 既にした履行の割合に応じて報酬をせいきゅうすることができる.
(受任者による費用の前払せいきゅう)
だい649じょう 委任事務を処理するについて費用を要するときは, 委任者は, 受任者のせいきゅうにより, その前払をしなければならない.
(受任者による費用等の償還せいきゅう等)
だい650じょう 受任者は, 委任事務を処理するのに必要と認められる費用を支出したときは, 委任者に対し, その費用 および 支出の日以後におけるその利息の償還をせいきゅうすることができる.
② 受任者は, 委任事務を処理するのに必要と認められる債務を負担したときは, 委任者に対し, 自己に代わってその弁済をすることをせいきゅうすることができる. このばあいにおいて, その債務が弁済期にないときは, 委任者に対し, 相当の担保を供させることができる.
③ 受任者は, 委任事務を処理するため自己に過失なく損害をうけたときは, 委任者に対し, その賠償をせいきゅうすることができる.
(委任の解除)
だい651じょう 委任は, 各当事者がいつでもその解除をすることができる.
② 当事者の1方が相手方に不利な時期に委任の解除をしたときは, その当事者の1方は, 相手方の損害を賠償しなければならない. ただし, やむを得ない事由があったときは, このかぎりでない.
(委任の解除のこうりょく)
だい652じょう だい620じょうのきていは, 委任についてじゅんようする.
(委任の終了事由)
だい653じょう 委任は, 次に掲げる事由によって終了する. 1 委任者 または 受任者の死亡
2 委任者 または 受任者が破産手続かいしの決定をうけたこと.
3 受任者がこうけんかいしのしんぱんをうけたこと.
(委任の終了後のしょぶん)
だい654じょう 委任が終了したばあいにおいて, 急迫の事情があるときは, 受任者 または そのそうぞく人若しくはほうていだいりにんは, 委任者 または そのそうぞく人若しくはほうていだいりにんが委任事務を処理することができるに至るまで, 必要なしょぶんをしなければならない.
(委任の終了の対抗要件)
だい655じょう 委任の終了事由は, これを相手方に通知したとき, または 相手方がこれを知っていたときでなければ, これをもってその相手方に対抗することができない.
(準委任)
だい656じょう この節のきていは, ほうりつこういでない事務の委託についてじゅんようする.
第十1せつ 寄託
(寄託)
だい657じょう 寄託は, 当事者の1方が相手方のために保管をすることを約してある物をうけ取ることによって, そのこうりょくを生ずる.
(寄託物の使用 および だいさんしゃによる保管)
だい658じょう 受寄者は, 寄託者の承諾を得なければ, 寄託物を使用し, または だいさんしゃにこれを保管させることができない.
② だい105じょう および だい107じょう だい2こうのきていは, 受寄者がだいさんしゃに寄託物を保管させることができるばあいについてじゅんようする.
(無償受寄者の注意ぎむ)
だい659じょう 無報酬で寄託をうけた者は, 自己のざいさんに対するのとどういつの注意をもって, 寄託物を保管するぎむを負う.
(受寄者の通知ぎむ)
だい660じょう 寄託物についてけんりを主張するだいさんしゃが受寄者に対して訴えを提起し, または 差押え, 仮差押え若しくは仮しょぶんをしたときは, 受寄者は, 遅滞なくその事実を寄託者に通知しなければならない.
(寄託者による損害賠償)
だい661じょう 寄託者は, 寄託物の性質 または 瑕疵によって生じた損害を受寄者に賠償しなければならない. ただし, 寄託者が過失なくその性質若しくは瑕疵を知らなかったとき, または 受寄者がこれを知っていたときは, このかぎりでない.
(寄託者による返還せいきゅう)
だい662じょう 当事者が寄託物の返還の時期をさだめたときであっても, 寄託者は, いつでもその返還をせいきゅうすることができる.
(寄託物の返還の時期)
だい663じょう 当事者が寄託物の返還の時期をさだめなかったときは, 受寄者は, いつでもその返還をすることができる.
② 返還の時期のさだめがあるときは, 受寄者は, やむを得ない事由がなければ, その期限前に返還をすることができない.
(寄託物の返還の場所)
だい664じょう 寄託物の返還は, その保管をすべき場所でしなければならない. ただし, 受寄者が正当な事由によってその物を保管する場所を変更したときは, その現在の場所で返還をすることができる.
(委任のきていのじゅんよう)
だい665じょう だい646じょうからだい650じょうまで(同条だい3こうを除く.)のきていは, 寄託についてじゅんようする.
(消費寄託)
だい666じょう だい5せつ(消費貸借)のきていは, 受寄者が契約により寄託物を消費することができるばあいについてじゅんようする.
② ぜんこうにおいてじゅんようするだい591じょう だい1こうのきていにかかわらず, ぜんこうの契約に返還の時期をさだめなかったときは, 寄託者は, いつでも返還をせいきゅうすることができる.
第十2せつ 組合
(組合契約)
だい667じょう 組合契約は, 各当事者が出資をして共同の事業を営むことを約することによって, そのこうりょくを生ずる.
② 出資は, 労務をそのもくてきとすることができる.
(組合ざいさんの共有)
だい668じょう 各組合員の出資その他の組合ざいさんは, 総組合員の共有に属する.
(金銭出資の不履行の責任)
だい669じょう 金銭を出資のもくてきとしたばあいにおいて, 組合員がその出資をすることを怠ったときは, その利息を支払うほか, 損害の賠償をしなければならない.
(業務の執行の方法)
だい670じょう 組合の業務の執行は, 組合員の過半数で決する.
② ぜんこうの業務の執行は, 組合契約でこれを委任した者(次項において「業務執行者」という.)が数人あるときは, その過半数で決する.
③ 組合の常務は, 前2こうのきていにかかわらず, 各組合員 または 各業務執行者が単独で行うことができる. ただし, その完了前に他の組合員 または 業務執行者が異議を述べたときは, このかぎりでない.
(委任のきていのじゅんよう)
だい671じょう だい644じょうからだい650じょうまでのきていは, 組合の業務を執行する組合員についてじゅんようする.
(業務執行組合員の辞任 および 解任)
だい672じょう 組合契約で1人 または 数人の組合員に業務の執行を委任したときは, その組合員は, 正当な事由がなければ, 辞任することができない.
② ぜんこうの組合員は, 正当な事由があるばあいにかぎり, 他の組合員の1致によって解任することができる.
(組合員の組合の業務 および ざいさんじょうきょうにかんする 検査)
だい673じょう 各組合員は, 組合の業務を執行するけんりを有しないときであっても, その業務 および 組合ざいさんのじょうきょうを検査することができる.
(組合員の損益分配の割合)
だい674じょう 当事者が損益分配の割合をさだめなかったときは, その割合は, 各組合員の出資の価額に応じてさだめる.
② 利益 または 損失についてのみ分配の割合をさだめたときは, その割合は, 利益 および 損失に共通であるものと推定する.
(組合員に対する組合の債権者のけんりの行使)
だい675じょう 組合の債権者は, その債権の発生の時に組合員の損失分担の割合を知らなかったときは, 各組合員に対して等しい割合でそのけんりを行使することができる.
(組合員の持分のしょぶん および 組合ざいさんの分割)
だい676じょう 組合員は, 組合ざいさんについてその持分をしょぶんしたときは, そのしょぶんをもって組合 および 組合と取引をしただいさんしゃに対抗することができない.
② 組合員は, 清算前に組合ざいさんの分割を求めることができない.
(組合の債務者による相殺のきんし)
だい677じょう 組合の債務者は, その債務と組合員に対する債権とを相殺することができない.
(組合員の脱退)
だい678じょう 組合契約で組合の存続期間をさだめなかったとき, または ある組合員の終身の間組合が存続すべきことをさだめたときは, 各組合員は, いつでも脱退することができる. ただし, やむを得ない事由があるばあいをのぞき, 組合に不利な時期に脱退することができない.
② 組合の存続期間をさだめたばあいであっても, 各組合員は, やむを得ない事由があるときは, 脱退することができる.
だい679じょう 前条のばあいのほか, 組合員は, 次に掲げる事由によって脱退する. 1 死亡
2 破産手続かいしの決定をうけたこと.
3 こうけんかいしのしんぱんをうけたこと.
4 除名
(組合員の除名)
だい680じょう 組合員の除名は, 正当な事由があるばあいにかぎり, 他の組合員の1致によってすることができる. ただし, 除名した組合員にその旨を通知しなければ, これをもってその組合員に対抗することができない.
(脱退した組合員の持分の払戻し)
だい681じょう 脱退した組合員と他の組合員との間の計算は, 脱退の時における組合ざいさんのじょうきょうに従ってしなければならない.
② 脱退した組合員の持分は, その出資の種類を問わず, 金銭で払い戻すことができる.
③ 脱退の時にまだ完了していない事項については, その完了後に計算をすることができる.
(組合の解散事由)
だい682じょう 組合は, そのもくてきである事業の成功 または その成功の不能によって解散する.
(組合の解散のせいきゅう)
だい683じょう やむを得ない事由があるときは, 各組合員は, 組合の解散をせいきゅうすることができる.
(組合契約の解除のこうりょく)
だい684じょう だい620じょうのきていは, 組合契約についてじゅんようする.
(組合の清算 および 清算人の選任)
だい685じょう 組合が解散したときは, 清算は, 総組合員が共同して, または その選任した清算人がこれをする.
② 清算人の選任は, 総組合員の過半数で決する.
(清算人の業務の執行の方法)
だい686じょう だい670じょうのきていは, 清算人が数人あるばあいについてじゅんようする.
(組合員である清算人の辞任 および 解任)
だい687じょう だい672じょうのきていは, 組合契約で組合員の中から清算人を選任したばあいについてじゅんようする.
(清算人の職務 および 権限並びに残余ざいさんの分割方法)
だい688じょう 清算人の職務は, 次のとおりとする. 1 現務の結了
2 債権の取立て および 債務の弁済
3 残余ざいさんの引渡し
② 清算人は, ぜんこう各号に掲げる職務を行うために必要な1切のこういをすることができる.
③ 残余ざいさんは, 各組合員の出資の価額に応じて分割する.
第十3せつ 終身定期金
(終身定期金契約)
だい689じょう 終身定期金契約は, 当事者の1方が, 自己, 相手方 または だいさんしゃの死亡に至るまで, 定期に金銭その他の物を相手方 または だいさんしゃに給付することを約することによって, そのこうりょくを生ずる.
(終身定期金の計算)
だい690じょう 終身定期金は, 日割りで計算する.
(終身定期金契約の解除)
だい691じょう 終身定期金債務者が終身定期金の元本を受領したばあいにおいて, その終身定期金の給付を怠り, または その他のぎむを履行しないときは, 相手方は, 元本の返還をせいきゅうすることができる. このばあいにおいて, 相手方は, 既にうけ取った終身定期金の中からその元本の利息を控除した残額を終身定期金債務者に返還しなければならない.
② ぜんこうのきていは, 損害賠償のせいきゅうを妨げない.
(終身定期金契約の解除と同時履行)
だい692じょう だい533じょうのきていは, 前条のばあいについてじゅんようする.
(終身定期金債権の存続のせんこく)
だい693じょう 終身定期金債務者の責めに帰すべき事由によってだい689じょうにきていする死亡が生じたときは, 裁判所は, 終身定期金債権者 または そのそうぞく人のせいきゅうにより, 終身定期金債権が相当の期間存続することをせんこくすることができる.
② ぜんこうのきていは, だい691じょうのけんりの行使を妨げない.
(終身定期金の遺贈)
だい694じょう この節のきていは, 終身定期金の遺贈についてじゅんようする.
第十4せつ 和解
(和解)
だい695じょう 和解は, 当事者が互いに譲歩をしてその間に存する争いをやめることを約することによって, そのこうりょくを生ずる.
(和解のこうりょく)
だい696じょう 当事者の1方が和解によって争いのもくてきであるけんりをゆうするものと認められ, または 相手方がこれを有しないものと認められたばあいにおいて, その当事者の1方が従来そのけんりを有していなかった旨の確証 または 相手方がこれを有していた旨の確証が得られたときは, そのけんりは, 和解によってその当事者の1方に移転し, または 消滅したものとする.
だい3しょう 事務管理
編集(事務管理)
だい697じょう ぎむなく他人のために事務の管理を始めた者(以下この章において「管理者」という.)は, その事務の性質にしたがい, 最もほんにんの利益に適合する方法によって, その事務の管理(以下「事務管理」という.)をしなければならない.
② 管理者は, ほんにんの意思を知っているとき, または これを推知することができるときは, その意思に従って事務管理をしなければならない.
(緊急事務管理)
だい698じょう 管理者は, ほんにんの身体, 名誉 または ざいさんに対する急迫の危害をまぬかれさせるために事務管理をしたときは, 悪意 または 重大な過失があるのでなければ, これによって生じた損害を賠償する責任を負わない.
(管理者の通知ぎむ)
だい699じょう 管理者は, 事務管理を始めたことを遅滞なくほんにんに通知しなければならない. ただし, ほんにんが既にこれを知っているときは, このかぎりでない.
(管理者による事務管理の継続)
だい700じょう 管理者は, ほんにん または そのそうぞく人若しくはほうていだいりにんが管理をすることができるに至るまで, 事務管理を継続しなければならない. ただし, 事務管理の継続がほんにんの意思に反し, または ほんにんに不利であることが明らかであるときは, このかぎりでない.
(委任のきていのじゅんよう)
だい701じょう だい645じょうからだい647じょうまでのきていは, 事務管理についてじゅんようする.
(管理者による費用の償還せいきゅう等)
だい702じょう 管理者は, ほんにんのために有益な費用を支出したときは, ほんにんに対し, その償還をせいきゅうすることができる.
② だい650じょう だい2こうのきていは, 管理者がほんにんのために有益な債務を負担したばあいについてじゅんようする.
③ 管理者がほんにんの意思に反して事務管理をしたときは, ほんにんが現に利益をうけている限度においてのみ, 前2こうのきていをてきようする.
だい4しょう 不当利得
編集(不当利得の返還ぎむ)
だい703じょう ほうりつ上の原因なく他人のざいさん または 労務によって利益をうけ, そのために他人に損失を及ぼした者(以下この章において「受益者」という.)は, その利益の存する限度において, これを返還するぎむを負う.
(悪意の受益者の返還ぎむ等)
だい704じょう 悪意の受益者は, そのうけた利益に利息を付して返還しなければならない. このばあいにおいて, なお損害があるときは, その賠償の責任を負う.
(債務の不存在を知ってした弁済)
だい705じょう 債務の弁済として給付をした者は, その時において債務の存在しないことを知っていたときは, その給付したものの返還をせいきゅうすることができない.
(期限前の弁済)
だい706じょう 債務者は, 弁済期にない債務の弁済として給付をしたときは, その給付したものの返還をせいきゅうすることができない. ただし, 債務者が錯誤によってその給付をしたときは, 債権者は, これによって得た利益を返還しなければならない.
(他人の債務の弁済)
だい707じょう 債務者でない者が錯誤によって債務の弁済をしたばあいにおいて, 債権者が善意で証書を滅失させ若しくは損傷し, 担保を放棄し, または 時効によってその債権を失ったときは, その弁済をした者は, 返還のせいきゅうをすることができない.
② ぜんこうのきていは, 弁済をした者から債務者に対する求償権の行使を妨げない.
(不法原因給付)
だい708じょう 不法な原因のために給付をした者は, その給付したものの返還をせいきゅうすることができない. ただし, 不法な原因が受益者についてのみ存したときは, このかぎりでない.
だい5しょう 不法こうい
編集(不法こういによる損害賠償)
だい709じょう 故意 または 過失によって他人のけんり または ほうりつ上保護される利益を侵害した者は, これによって生じた損害を賠償する責任を負う.
(ざいさん以外の損害の賠償)
だい710じょう 他人の身体, じゆう若しくは名誉を侵害したばあい または 他人のざいさん権を侵害したばあいのいずれであるかを問わず, 前条のきていにより損害賠償の責任を負う者は, ざいさん以外の損害に対しても, その賠償をしなければならない.
(近親者に対する損害の賠償)
だい711じょう 他人の生命を侵害した者は, 被害者のふぼ, はいぐうしゃ および 子に対しては, そのざいさん権が侵害されなかったばあいにおいても, 損害の賠償をしなければならない.
(責任のうりょく)
だい712じょう みせいねんしゃは, 他人に損害を加えたばあいにおいて, 自己のこういの責任を弁識するに足りる知能を備えていなかったときは, そのこういについて賠償の責任を負わない.
だい713じょう 精神上のしょうがいにより自己のこういの責任を弁識するのうりょくを欠く状態にある間に他人に損害を加えた者は, その賠償の責任を負わない. ただし, 故意 または 過失によって1時的にその状態を招いたときは, このかぎりでない.
(責任無のうりょく者の監督ぎむ者等の責任)
だい714じょう 前2じょうのきていにより責任無のうりょく者がその責任を負わないばあいにおいて, その責任無のうりょく者を監督する法定のぎむを負う者は, その責任無のうりょく者がだいさんしゃに加えた損害を賠償する責任を負う. ただし, 監督ぎむ者がそのぎむを怠らなかったとき, または そのぎむを怠らなくても損害が生ずべきであったときは, このかぎりでない.
② 監督ぎむ者に代わって責任無のうりょく者を監督する者も, ぜんこうの責任を負う.
(使用者等の責任)
だい715じょう ある事業のために他人を使用する者は, 被用者がその事業の執行についてだいさんしゃに加えた損害を賠償する責任を負う. ただし, 使用者が被用者の選任 および その事業の監督について相当の注意をしたとき, または 相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは, このかぎりでない.
② 使用者に代わって事業を監督する者も, ぜんこうの責任を負う.
③ 前2こうのきていは, 使用者 または 監督者から被用者に対する求償権の行使を妨げない.
(注文者の責任)
だい716じょう 注文者は, 請負人がその仕事についてだいさんしゃに加えた損害を賠償する責任を負わない. ただし, 注文 または 指図についてその注文者に過失があったときは, このかぎりでない.
(土地の工作物等の占有者 および 所有者の責任)
だい717じょう 土地の工作物の設置 または 保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは, その工作物の占有者は, 被害者に対してその損害を賠償する責任を負う. ただし, 占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは, 所有者がその損害を賠償しなければならない.
② ぜんこうのきていは, 竹木の栽植 または 支持に瑕疵があるばあいについてじゅんようする.
③ 前2こうのばあいにおいて, 損害の原因について他にその責任を負う者があるときは, 占有者 または 所有者は, その者に対して求償権を行使することができる.
(動物の占有者等の責任)
だい718じょう 動物の占有者は, その動物が他人に加えた損害を賠償する責任を負う. ただし, 動物の種類 および 性質にしたがい相当の注意をもってその管理をしたときは, このかぎりでない.
② 占有者に代わって動物を管理する者も, ぜんこうの責任を負う.
(共同不法こうい者の責任)
だい719じょう 数人が共同の不法こういによって他人に損害を加えたときは, 各自が連帯してその損害を賠償する責任を負う. 共同こうい者のうちいずれの者がその損害を加えたかを知ることができないときも, どうようとする.
② こうい者を教唆した者 および 幇助した者は, 共同こうい者とみなして, ぜんこうのきていをてきようする.
(正当防衛 および 緊急避難)
だい720じょう 他人の不法こういに対し, 自己 または だいさんしゃのけんり または ほうりつ上保護される利益を防衛するため, やむを得ず加害こういをした者は, 損害賠償の責任を負わない. ただし, 被害者から不法こういをした者に対する損害賠償のせいきゅうを妨げない.
② ぜんこうのきていは, 他人の物から生じた急迫の危難を避けるためその物を損傷したばあいについてじゅんようする.
(損害賠償せいきゅう権にかんする 胎児のけんりのうりょく)
だい721じょう 胎児は, 損害賠償のせいきゅう権については, 既に生まれたものとみなす.
(損害賠償の方法 および 過失相殺)
だい722じょう だい417じょうのきていは, 不法こういによる損害賠償についてじゅんようする.
② 被害者に過失があったときは, 裁判所は, これを考慮して, 損害賠償の額をさだめることができる.
(名誉毀損における原状回復)
だい723じょう 他人の名誉を毀損した者に対しては, 裁判所は, 被害者のせいきゅうにより, 損害賠償に代えて, または 損害賠償とともに, 名誉を回復するのに適当なしょぶんを命ずることができる.
(不法こういによる損害賠償せいきゅう権の期間の制限)
だい724じょう 不法こういによる損害賠償のせいきゅう権は, 被害者 または そのほうていだいりにんが損害 および 加害者を知った時から3ねん間行使しないときは, 時効によって消滅する. 不法こういの時から20ねんをけいかしたときも, どうようとする.
だい4へん しんぞく
編集だい1しょう そうそく
編集(しんぞくのはんい)
だい725じょう 次に掲げる者は, しんぞくとする. 1 6しんとう内の血族
2 はいぐうしゃ
3 3しんとう内の姻族
(親等の計算)
だい726じょう 親等は, しんぞく間の世代数を数えて, これをさだめる.
② 傍系しんぞくの親等をさだめるには, その1人 または そのはいぐうしゃからどういつの祖先にさかのぼり, その祖先から他の1人に下るまでの世代数による.
(縁組によるしんぞく関係の発生)
だい727じょう 養子と養親 および その血族との間においては, 養子縁組の日から, 血族間におけるのとどういつのしんぞく関係を生ずる.
(離婚等による姻族関係の終了)
だい728じょう 姻族関係は, 離婚によって終了する.
② 夫婦の1方が死亡したばあいにおいて, 生存はいぐうしゃが姻族関係を終了させる意思を表示したときも, ぜんこうとどうようとする.
(離縁によるしんぞく関係の終了)
だい729じょう 養子 および そのはいぐうしゃ並びに養子の直系卑属 および そのはいぐうしゃと養親 および その血族とのしんぞく関係は, 離縁によって終了する.
(しんぞく間の扶け合い)
だい730じょう 直系血族 および 同居のしんぞくは, 互いに扶け合わなければならない.
だい2しょう 婚姻
編集だい1せつ 婚姻の成立
だい1かん 婚姻の要件
(婚姻適齢)
だい731じょう 男は, 十8歳に, 女は, 十6歳にならなければ, 婚姻をすることができない.
(重婚のきんし)
だい732じょう はいぐうしゃのある者は, 重ねて婚姻をすることができない.
(再婚きんし期間)
だい733じょう 女は, 前婚の解消 または とりけしの日から きさんして百日をけいかした後でなければ, 再婚をすることができない.
② ぜんこうのきていは, 次に掲げるばあいには, てきようしない. 1 女が前婚の解消 または とりけしの時に懐胎していなかったばあい
2 女が前婚の解消 または とりけしの後に出産したばあい
(近親者間の婚姻のきんし)
だい734じょう 直系血族 または 3しんとう内の傍系血族の間では, 婚姻をすることができない. ただし, 養子と養方の傍系血族との間では, このかぎりでない.
② だい817じょうの9のきていによりしんぞく関係が終了した後も, ぜんこうとどうようとする.
(直系姻族間の婚姻のきんし)
だい735じょう 直系姻族の間では, 婚姻をすることができない. だい728じょう または だい817じょうの9のきていにより姻族関係が終了した後も, どうようとする.
(養親子等の間の婚姻のきんし)
だい736じょう 養子若しくはそのはいぐうしゃ または 養子の直系卑属若しくはそのはいぐうしゃと養親 または その直系尊属との間では, だい729じょうのきていによりしんぞく関係が終了した後でも, 婚姻をすることができない.
(みせいねんしゃの婚姻についてのふぼのどうい)
だい737じょう みせいねんの子が婚姻をするには, ふぼのどういを得なければならない.
② ふぼの1方がどういしないときは, 他の1方のどういだけで足りる. ふぼの1方が知れないとき, 死亡したとき, または その意思を表示することができないときも, どうようとする.
(せいねんひこうけんにんの婚姻)
だい738じょう せいねんひこうけんにんが婚姻をするには, そのせいねんこうけんにんのどういを要しない.
(婚姻の届出)
だい739じょう 婚姻は, 戸籍法 (昭和22ねんほうりつ だい224ごう)のさだめるところにより届け出ることによって, そのこうりょくを生ずる.
② ぜんこうの届出は, 当事者双方 および せいねんの証人2人以上が署名した書面で, または これらの者から口頭で, しなければならない.
(婚姻の届出の受理)
だい740じょう 婚姻の届出は, その婚姻がだい731じょうからだい737じょうまで および 前条だい2こうのきていその他のほうれいのきていに違反しないことを認めた後でなければ, 受理することができない.
(外国に在る日ほんにん間の婚姻の方式)
だい741じょう 外国に在る日ほんにん間で婚姻をしようとするときは, その国に駐在する日本の大使, 公使 または 領事にその届出をすることができる. このばあいにおいては, 前2じょうのきていをじゅんようする.
だい2かん 婚姻の無効 および とりけし
(婚姻の無効)
だい742じょう 婚姻は, 次に掲げるばあいにかぎり, 無効とする. 1 人違いその他の事由によって当事者間に婚姻をする意思がないとき.
2 当事者が婚姻の届出をしないとき. ただし, その届出がだい739じょう だい2こうにさだめる方式を欠くだけであるときは, 婚姻は, そのためにそのこうりょくを妨げられない.
(婚姻のとりけし)
だい743じょう 婚姻は, 次条からだい747じょうまでのきていによらなければ, とりけすことができない.
(不適法な婚姻のとりけし)
だい744じょう だい731じょうからだい736じょうまでのきていに違反した婚姻は, 各当事者, そのしんぞく または けんさつかんから, そのとりけしをかていさいばんしょにせいきゅうすることができる. ただし, けんさつかんは, 当事者の1方が死亡した後は, これをせいきゅうすることができない.
② だい732じょう または だい733じょうのきていに違反した婚姻については, 当事者のはいぐうしゃ または 前はいぐうしゃも, そのとりけしをせいきゅうすることができる.
(不適齢者の婚姻のとりけし)
だい745じょう だい731じょうのきていに違反した婚姻は, 不適齢者が適齢に達したときは, そのとりけしをせいきゅうすることができない.
② 不適齢者は, 適齢に達した後, なお3箇月間は, その婚姻のとりけしをせいきゅうすることができる. ただし, 適齢に達した後に追認をしたときは, このかぎりでない.
(再婚きんし期間内にした婚姻のとりけし)
だい746じょう だい733じょうのきていに違反した婚姻は, 前婚の解消若しくはとりけしの日から きさんして百日をけいかし, または 女が再婚後に出産したときは, そのとりけしをせいきゅうすることができない.
(詐欺 または 強迫による婚姻のとりけし)
だい747じょう 詐欺 または 強迫によって婚姻をした者は, その婚姻のとりけしをかていさいばんしょにせいきゅうすることができる.
② ぜんこうのきていによる取消権は, 当事者が, 詐欺を発見し, 若しくは強迫をまぬかれた後3箇月をけいかし, または 追認をしたときは, 消滅する.
(婚姻のとりけしのこうりょく)
だい748じょう 婚姻のとりけしは, 将来に向かってのみそのこうりょくを生ずる.
② 婚姻の時においてそのとりけしの原因があることを知らなかった当事者が, 婚姻によってざいさんを得たときは, 現に利益をうけている限度において, その返還をしなければならない.
③ 婚姻の時においてそのとりけしの原因があることを知っていた当事者は, 婚姻によって得た利益の全部を返還しなければならない. このばあいにおいて, 相手方が善意であったときは, これに対して損害を賠償する責任を負う.
(離婚のきていのじゅんよう)
だい749じょう だい728じょう だい1こう, だい766じょうからだい769じょうまで, だい790じょう だい1こうただし書並びにだい819じょう だい2こう, だい3こう, だい5こう および だい6こうのきていは, 婚姻のとりけしについてじゅんようする.
だい2せつ 婚姻のこうりょく
(夫婦の氏)
だい750じょう 夫婦は, 婚姻の際にさだめるところにしたがい, 夫 または 妻の氏を称する.
(生存はいぐうしゃの復氏等)
だい751じょう 夫婦の1方が死亡したときは, 生存はいぐうしゃは, 婚姻前の氏に復することができる.
② だい769じょうのきていは, ぜんこう および だい728じょう だい2こうのばあいについてじゅんようする.
(同居, 協力 および 扶助のぎむ)
だい752じょう 夫婦は同居し, 互いに協力し扶助しなければならない.
(婚姻によるせいねん擬制)
だい753じょう みせいねんしゃが婚姻をしたときは, これによってせいねんに達したものとみなす.
(夫婦間の契約の取消権)
だい754じょう 夫婦間でした契約は, 婚姻中, いつでも, 夫婦の1方からこれをとりけすことができる. ただし, だいさんしゃのけんりを害することはできない.
だい3せつ 夫婦ざいさん制
だい1かん そうそく
(夫婦のざいさん関係)
だい755じょう 夫婦が, 婚姻の届出前に, そのざいさんについて別段の契約をしなかったときは, そのざいさん関係は, 次款にさだめるところによる.
(夫婦ざいさん契約の対抗要件)
だい756じょう 夫婦が法定ざいさん制と異なる契約をしたときは, 婚姻の届出までにその登記をしなければ, これを夫婦の承継人 および だいさんしゃに対抗することができない.
だい757じょう 削除
(夫婦のざいさん関係の変更の制限等)
だい758じょう 夫婦のざいさん関係は, 婚姻の届出後は, 変更することができない.
② 夫婦の1方が, 他の1方のざいさんを管理するばあいにおいて, 管理が失当であったことによってそのざいさんを危うくしたときは, 他の1方は, 自らその管理をすることをかていさいばんしょにせいきゅうすることができる.
③ 共有ざいさんについては, ぜんこうのせいきゅうとともに, その分割をせいきゅうすることができる.
(ざいさんの管理者の変更 および 共有ざいさんの分割の対抗要件)
だい759じょう 前条のきてい または だい755じょうの契約の結果により, ざいさんの管理者を変更し, または 共有ざいさんの分割をしたときは, その登記をしなければ, これを夫婦の承継人 および だいさんしゃに対抗することができない.
だい2かん 法定ざいさん制
(婚姻費用の分担)
だい760じょう 夫婦は, その資産, 収入その他1切の事情を考慮して, 婚姻から生ずる費用を分担する.
(日常の家事にかんする 債務の連帯責任)
だい761じょう 夫婦の1方が日常の家事にかんしてだいさんしゃとほうりつこういをしたときは, 他の1方は, これによって生じた債務について, 連帯してその責任を負う. ただし, だいさんしゃに対し責任を負わない旨を予告したばあいは, このかぎりでない.
(夫婦間におけるざいさんの帰属)
だい762じょう 夫婦の1方が婚姻前からゆうするざいさん および 婚姻中自己の名で得たざいさんは, その特有ざいさん(夫婦の1方が単独でゆうするざいさんをいう.)とする.
② 夫婦のいずれに属するか明らかでないざいさんは, その共有に属するものと推定する.
だい4せつ 離婚
だい1かん 協議上の離婚
(協議上の離婚)
だい763じょう 夫婦は, その協議で, 離婚をすることができる.
(婚姻のきていのじゅんよう)
だい764じょう だい738じょう, だい739じょう および だい747じょうのきていは, 協議上の離婚についてじゅんようする.
(離婚の届出の受理)
だい765じょう 離婚の届出は, その離婚が前条においてじゅんようするだい739じょう だい2こうのきてい および だい819じょう だい1こうのきていその他のほうれいのきていに違反しないことを認めた後でなければ, 受理することができない.
② 離婚の届出がぜんこうのきていに違反して受理されたときであっても, 離婚は, そのためにそのこうりょくを妨げられない.
(離婚後の子の監護にかんする 事項のさだめ等)
だい766じょう ふぼが協議上の離婚をするときは, 子の監護をすべき者, ちゝ または はゝと子との面会 および その他の交流, 子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は, その協議でさだめる. このばあいにおいては, 子の利益を最も優先して考慮しなければならない.
② ぜんこうの協議が調わないとき, または 協議をすることができないときは, かていさいばんしょが, 同項の事項をさだめる.
③ かていさいばんしょは, 必要があると認めるときは, 前2こうのきていによるさだめを変更し, その他子の監護について相当なしょぶんを命ずることができる.
④ 前3こうのきていによっては, 監護のはんい外では, ふぼのけんりぎむに変更を生じない.
(離婚による復氏等)
だい767じょう 婚姻によって氏を改めた夫 または 妻は, 協議上の離婚によって婚姻前の氏に復する.
② ぜんこうのきていにより婚姻前の氏に復した夫 または 妻は, 離婚の日から3箇月以内に戸籍法 のさだめるところにより届け出ることによって, 離婚の際に称していた氏を称することができる.
(ざいさん分与)
だい768じょう 協議上の離婚をした者の1方は, 相手方に対してざいさんの分与をせいきゅうすることができる.
② ぜんこうのきていによるざいさんの分与について, 当事者間に協議が調わないとき, または 協議をすることができないときは, 当事者は, かていさいばんしょに対して協議に代わるしょぶんをせいきゅうすることができる. ただし, 離婚の時から2ねんをけいかしたときは, このかぎりでない.
③ ぜんこうのばあいには, かていさいばんしょは, 当事者双方がその協力によって得たざいさんの額その他1切の事情を考慮して, 分与をさせるべきかどうか並びに分与の額 および 方法をさだめる.
(離婚による復氏の際のけんりの承継)
だい769じょう 婚姻によって氏を改めた夫 または 妻が, だい897じょう だい1こうのけんりを承継した後, 協議上の離婚をしたときは, 当事者その他の関係人の協議で, そのけんりを承継すべき者をさだめなければならない.
② ぜんこうの協議が調わないとき, または 協議をすることができないときは, 同項のけんりを承継すべき者は, かていさいばんしょがこれをさだめる.
だい2かん 裁判上の離婚
(裁判上の離婚)
だい770じょう 夫婦の1方は, 次に掲げるばあいにかぎり, 離婚の訴えを提起することができる. 1 はいぐうしゃに不貞なこういがあったとき.
2 はいぐうしゃから悪意で遺棄されたとき.
3 はいぐうしゃの生死が3ねん以上明らかでないとき.
4 はいぐうしゃが強度の精神病にかかり, 回復の見込みがないとき.
5 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき.
② 裁判所は, ぜんこうだい1ごうからだい4ごうまでに掲げる事由があるばあいであっても, 1切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは, 離婚のせいきゅうを棄却することができる.
(協議上の離婚のきていのじゅんよう)
だい771じょう だい766じょうからだい769じょうまでのきていは, 裁判上の離婚についてじゅんようする.
だい3しょう 親子
編集だい1せつ 実子
(嫡出の推定)
だい772じょう 妻が婚姻中に懐胎した子は, 夫の子と推定する.
② 婚姻の成立の日から200にちを けいかした後 または 婚姻の解消若しくはとりけしの日から300日以内に生まれた子は, 婚姻中に懐胎したものと推定する.
(ちゝをさだめることをもくてきとする訴え)
だい773じょう だい733じょう だい1こうのきていに違反して再婚をした女が出産したばあいにおいて, 前条のきていによりその子のちゝをさだめることができないときは, 裁判所が, これをさだめる.
(嫡出の否認)
だい774じょう だい772じょうのばあいにおいて, 夫は, 子が嫡出であることを否認することができる.
(嫡出否認の訴え)
だい775じょう 前条のきていによる否認権は, 子 または しんけんを行うはゝに対する嫡出否認の訴えによって行う. しんけんを行うはゝがないときは, かていさいばんしょは, 特別代理人を選任しなければならない.
(嫡出の承認)
だい776じょう 夫は, 子のしゅっしょう後において, その嫡出であることを承認したときは, その否認権を失う.
(嫡出否認の訴えの出訴期間)
だい777じょう 嫡出否認の訴えは, 夫が子のしゅっしょうを知った時から1ねん以内に提起しなければならない.
だい778じょう 夫がせいねんひこうけんにんであるときは, 前条の期間は, こうけんかいしのしんぱんのとりけしがあった後夫が子のしゅっしょうを知った時から起算する.
(認知)
だい779じょう 嫡出でない子は, そのちゝ または はゝがこれを認知することができる.
(認知のうりょく)
だい780じょう 認知をするには, ちゝ または はゝがみせいねんしゃ または せいねんひこうけんにんであるときであっても, そのほうていだいりにんのどういを要しない.
(認知の方式)
だい781じょう 認知は, 戸籍法 のさだめるところにより届け出ることによってする.
② 認知は, 遺言によっても, することができる.
(せいねんの子の認知)
だい782じょう せいねんの子は, その承諾がなければ, これを認知することができない.
(胎児 または 死亡した子の認知)
だい783じょう ちゝは, 胎内に在る子でも, 認知することができる. このばあいにおいては, はゝの承諾を得なければならない.
② ちゝ または はゝは, 死亡した子でも, その直系卑属があるときにかぎり, 認知することができる. このばあいにおいて, その直系卑属がせいねんしゃであるときは, その承諾を得なければならない.
(認知のこうりょく)
だい784じょう 認知は, しゅっしょうの時にさかのぼってそのこうりょくを生ずる. ただし, だいさんしゃが既に取得したけんりを害することはできない.
(認知のとりけしのきんし)
だい785じょう 認知をしたちゝ または はゝは, その認知をとりけすことができない.
(認知に対する反対の事実の主張)
だい786じょう 子その他の利害関係人は, 認知に対して反対の事実を主張することができる.
(認知の訴え)
だい787じょう 子, その直系卑属 または これらの者のほうていだいりにんは, 認知の訴えを提起することができる. ただし, ちゝ または はゝの死亡の日から3ねんをけいかしたときは, このかぎりでない.
(認知後の子の監護にかんする 事項のさだめ等)
だい788じょう だい766じょうのきていは, ちゝが認知するばあいについてじゅんようする.
(準正)
だい789じょう ちゝが認知した子は, そのふぼの婚姻によって嫡出子の身分を取得する.
② 婚姻中ふぼが認知した子は, その認知の時から, 嫡出子の身分を取得する.
③ 前2こうのきていは, 子が既に死亡していたばあいについてじゅんようする.
(子の氏)
だい790じょう 嫡出である子は, ふぼの氏を称する. ただし, 子のしゅっしょう前にふぼが離婚したときは, 離婚の際におけるふぼの氏を称する.
② 嫡出でない子は, はゝの氏を称する.
(子の氏の変更)
だい791じょう 子がちゝ または はゝと氏を異にするばあいには, 子は, かていさいばんしょのきょかを得て, 戸籍法 のさだめるところにより届け出ることによって, そのちゝ または はゝの氏を称することができる.
② ちゝ または はゝが氏を改めたことにより子がふぼと氏を異にするばあいには, 子は, ふぼの婚姻中にかぎり, ぜんこうのきょかを得ないで, 戸籍法 のさだめるところにより届け出ることによって, そのふぼの氏を称することができる.
③ 子が十5歳未満であるときは, そのほうていだいりにんが, これに代わって, 前2こうのこういをすることができる.
④ 前3こうのきていにより氏を改めたみせいねんの子は, せいねんに達した時から1ねん以内に戸籍法 のさだめるところにより届け出ることによって, じゅうぜんの氏に復することができる.
だい2せつ 養子
だい1かん 縁組の要件
(養親となる者のねんれい)
だい792じょう せいねんに達した者は, 養子をすることができる.
(尊属 または 年長者を養子とすることのきんし)
だい793じょう 尊属 または 年長者は, これを養子とすることができない.
(こうけんにんがひこうけんにんを養子とする縁組)
だい794じょう こうけんにんがひこうけんにん(みせいねんひこうけんにん および せいねんひこうけんにんをいう. 以下同じ.)を養子とするには, かていさいばんしょのきょかを得なければならない. こうけんにんの任務が終了した後, まだその管理の計算が終わらない間も, どうようとする.
(はいぐうしゃのある者がみせいねんしゃを養子とする縁組)
だい795じょう はいぐうしゃのある者がみせいねんしゃを養子とするには, はいぐうしゃとともにしなければならない. ただし, はいぐうしゃの嫡出である子を養子とするばあい または はいぐうしゃがその意思を表示することができないばあいは, このかぎりでない.
(はいぐうしゃのある者の縁組)
だい796じょう はいぐうしゃのある者が縁組をするには, そのはいぐうしゃのどういを得なければならない. ただし, はいぐうしゃとともに縁組をするばあい または はいぐうしゃがその意思を表示することができないばあいは, このかぎりでない.
(十5歳未満の者を養子とする縁組)
だい797じょう 養子となる者が十5歳未満であるときは, そのほうていだいりにんが, これに代わって, 縁組の承諾をすることができる.
② ほうていだいりにんがぜんこうの承諾をするには, 養子となる者のふぼでその監護をすべき者であるものが他にあるときは, そのどういを得なければならない. 養子となる者のふぼでしんけんを停止されているものがあるときも, どうようとする.
(みせいねんしゃを養子とする縁組)
だい798じょう みせいねんしゃを養子とするには, かていさいばんしょのきょかを得なければならない. ただし, 自己 または はいぐうしゃの直系卑属を養子とするばあいは, このかぎりでない.
(婚姻のきていのじゅんよう)
だい799じょう だい738じょう および だい739じょうのきていは, 縁組についてじゅんようする.
(縁組の届出の受理)
だい800じょう 縁組の届出は, その縁組がだい792じょうから前条までのきていその他のほうれいのきていに違反しないことを認めた後でなければ, 受理することができない.
(外国に在る日ほんにん間の縁組の方式)
だい801じょう 外国に在る日ほんにん間で縁組をしようとするときは, その国に駐在する日本の大使, 公使 または 領事にその届出をすることができる. このばあいにおいては, だい799じょうにおいてじゅんようするだい739じょうのきてい および 前条のきていをじゅんようする.
だい2かん 縁組の無効 および とりけし
(縁組の無効)
だい802じょう 縁組は, 次に掲げるばあいにかぎり, 無効とする. 1 人違いその他の事由によって当事者間に縁組をする意思がないとき.
2 当事者が縁組の届出をしないとき. ただし, その届出がだい799じょうにおいてじゅんようするだい739じょう だい2こうにさだめる方式を欠くだけであるときは, 縁組は, そのためにそのこうりょくを妨げられない.
(縁組のとりけし)
だい803じょう 縁組は, 次条からだい808じょうまでのきていによらなければ, とりけすことができない.
(養親がみせいねんしゃであるばあいの縁組のとりけし)
だい804じょう だい792じょうのきていに違反した縁組は, 養親 または そのほうていだいりにんから, そのとりけしをかていさいばんしょにせいきゅうすることができる. ただし, 養親が, せいねんに達した後6箇月をけいかし, または 追認をしたときは, このかぎりでない.
(養子が尊属 または 年長者であるばあいの縁組のとりけし)
だい805じょう だい793じょうのきていに違反した縁組は, 各当事者 または そのしんぞくから, そのとりけしをかていさいばんしょにせいきゅうすることができる.
(こうけんにんとひこうけんにんとの間の無きょか縁組のとりけし)
だい806じょう だい794じょうのきていに違反した縁組は, 養子 または その実方のしんぞくから, そのとりけしをかていさいばんしょにせいきゅうすることができる. ただし, 管理の計算が終わった後, 養子が追認をし, または 6箇月をけいかしたときは, このかぎりでない.
② ぜんこうただし書の追認は, 養子が, せいねんに達し, または こういのうりょくを回復した後にしなければ, そのこうりょくを生じない.
③ 養子が, せいねんに達せず, または こういのうりょくを回復しない間に, 管理の計算が終わったばあいには, だい1こうただし書の期間は, 養子が, せいねんに達し, または こういのうりょくを回復した時から起算する.
(はいぐうしゃのどういのない縁組等のとりけし)
だい806じょうの2 だい796じょうのきていに違反した縁組は, 縁組のどういをしていない者から, そのとりけしをかていさいばんしょにせいきゅうすることができる. ただし, その者が, 縁組を知った後6箇月をけいかし, または 追認をしたときは, このかぎりでない.
② 詐欺 または 強迫によってだい796じょうのどういをした者は, その縁組のとりけしをかていさいばんしょにせいきゅうすることができる. ただし, その者が, 詐欺を発見し, 若しくは強迫をまぬかれた後6箇月をけいかし, または 追認をしたときは, このかぎりでない.
(子の監護をすべき者のどういのない縁組等のとりけし)
だい806じょうの3 だい797じょう だい2こうのきていに違反した縁組は, 縁組のどういをしていない者から, そのとりけしをかていさいばんしょにせいきゅうすることができる. ただし, その者が追認をしたとき, または 養子が十5歳に達した後6箇月をけいかし, 若しくは追認をしたときは, このかぎりでない.
② 前条だい2こうのきていは, 詐欺 または 強迫によってだい797じょう だい2こうのどういをした者についてじゅんようする.
(養子がみせいねんしゃであるばあいの無きょか縁組のとりけし)
だい807じょう だい798じょうのきていに違反した縁組は, 養子, その実方のしんぞく または 養子に代わって縁組の承諾をした者から, そのとりけしをかていさいばんしょにせいきゅうすることができる. ただし, 養子が, せいねんに達した後6箇月をけいかし, または 追認をしたときは, このかぎりでない.
(婚姻のとりけし等のきていのじゅんよう)
だい808じょう だい747じょう および だい748じょうのきていは, 縁組についてじゅんようする. このばあいにおいて, だい747じょう だい2こう中「3箇月」とあるのは, 「6箇月」と読み替えるものとする.
② だい769じょう および だい816じょうのきていは, 縁組のとりけしについてじゅんようする.
だい3かん 縁組のこうりょく
(嫡出子の身分の取得)
だい809じょう 養子は, 縁組の日から, 養親の嫡出子の身分を取得する.
(養子の氏)
だい810じょう 養子は, 養親の氏を称する. ただし, 婚姻によって氏を改めた者については, 婚姻の際にさだめた氏を称すべき間は, このかぎりでない.
だい4かん 離縁
(協議上の離縁等)
だい811じょう 縁組の当事者は, その協議で, 離縁をすることができる.
② 養子が十5歳未満であるときは, その離縁は, 養親と養子の離縁後にそのほうていだいりにんとなるべき者との協議でこれをする.
③ ぜんこうのばあいにおいて, 養子のふぼが離婚しているときは, その協議で, その1方を養子の離縁後にそのしんけん者となるべき者とさだめなければならない.
④ ぜんこうの協議が調わないとき, または 協議をすることができないときは, かていさいばんしょは, 同項のちゝ若しくははゝ または 養親のせいきゅうによって, 協議に代わるしんぱんをすることができる.
⑤ だい2こうのほうていだいりにんとなるべき者がないときは, かていさいばんしょは, 養子のしんぞくその他の利害関係人のせいきゅうによって, 養子の離縁後にそのみせいねんこうけんにんとなるべき者を選任する.
⑥ 縁組の当事者の1方が死亡した後に生存当事者が離縁をしようとするときは, かていさいばんしょのきょかを得て, これをすることができる.
(夫婦である養親とみせいねんしゃとの離縁)
だい811じょうの2 養親が夫婦であるばあいにおいてみせいねんしゃと離縁をするには, 夫婦が共にしなければならない. ただし, 夫婦の1方がその意思を表示することができないときは, このかぎりでない.
(婚姻のきていのじゅんよう)
だい812じょう だい738じょう, だい739じょう および だい747じょうのきていは, 協議上の離縁についてじゅんようする. このばあいにおいて, 同条だい2こう中「3箇月」とあるのは, 「6箇月」と読み替えるものとする.
(離縁の届出の受理)
だい813じょう 離縁の届出は, その離縁が前条においてじゅんようするだい739じょう だい2こうのきてい並びにだい811じょう および だい811じょうの2のきていその他のほうれいのきていに違反しないことを認めた後でなければ, 受理することができない.
② 離縁の届出がぜんこうのきていに違反して受理されたときであっても, 離縁は, そのためにそのこうりょくを妨げられない.
(裁判上の離縁)
だい814じょう 縁組の当事者の1方は, 次に掲げるばあいにかぎり, 離縁の訴えを提起することができる. 1 他の1方から悪意で遺棄されたとき.
2 他の1方の生死が3ねん以上明らかでないとき.
3 その他縁組を継続し難い重大な事由があるとき.
② だい770じょう だい2こうのきていは, ぜんこうだい1ごう および だい2ごうに掲げるばあいについてじゅんようする.
(養子が十5歳未満であるばあいの離縁の訴えの当事者)
だい815じょう 養子が十5歳に達しない間は, だい811じょうのきていにより養親と離縁の協議をすることができる者から, または これに対して, 離縁の訴えを提起することができる.
(離縁による復氏等)
だい816じょう 養子は, 離縁によって縁組前の氏に復する. ただし, はいぐうしゃとともに養子をした養親の1方のみと離縁をしたばあいは, このかぎりでない.
② 縁組の日から7ねんをけいかした後にぜんこうのきていにより縁組前の氏に復した者は, 離縁の日から3箇月以内に戸籍法 のさだめるところにより届け出ることによって, 離縁の際に称していた氏を称することができる.
(離縁による復氏の際のけんりの承継)
だい817じょう だい769じょうのきていは, 離縁についてじゅんようする.
だい5かん 特別養子
(特別養子縁組の成立)
だい817じょうの2 かていさいばんしょは, 次条からだい817じょうの7までにさだめる要件があるときは, 養親となる者のせいきゅうにより, 実方の血族とのしんぞく関係が終了する縁組(以下この款において「特別養子縁組」という.)を成立させることができる.
② ぜんこうにきていするせいきゅうをするには, だい794じょう または だい798じょうのきょかを得ることを要しない.
(養親の夫婦共同縁組)
だい817じょうの3 養親となる者は, はいぐうしゃのある者でなければならない.
② 夫婦の1方は, 他の1方が養親とならないときは, 養親となることができない. ただし, 夫婦の1方が他の1方の嫡出である子(特別養子縁組以外の縁組による養子を除く.)の養親となるばあいは, このかぎりでない.
(養親となる者のねんれい)
だい817じょうの4 25歳に達しない者は, 養親となることができない. ただし, 養親となる夫婦の1方が25歳に達していないばあいにおいても, その者が 20さいに達しているときは, このかぎりでない.
(養子となる者のねんれい)
だい817じょうの5 だい817じょうの2にきていするせいきゅうの時に6歳に達している者は, 養子となることができない. ただし, その者が8歳未満であって6歳に達する前から引き続き養親となる者に監護されているばあいは, このかぎりでない.
(ふぼのどうい)
だい817じょうの6 特別養子縁組の成立には, 養子となる者のふぼのどういがなければならない. ただし, ふぼがその意思を表示することができないばあい または ふぼによる虐待, 悪意の遺棄その他養子となる者の利益を著しく害する事由があるばあいは, このかぎりでない.
(子の利益のための特別の必要性)
だい817じょうの7 特別養子縁組は, ふぼによる養子となる者の監護が著しく困難 または 不適当であることその他特別の事情があるばあいにおいて, 子の利益のため特に必要があると認めるときに, これを成立させるものとする.
(監護のじょうきょう)
だい817じょうの8 特別養子縁組を成立させるには, 養親となる者が養子となる者を6箇月以上の期間監護したじょうきょうを考慮しなければならない.
② ぜんこうの期間は, だい817じょうの2にきていするせいきゅうの時から起算する. ただし, そのせいきゅう前の監護のじょうきょうが明らかであるときは, このかぎりでない.
(実方とのしんぞく関係の終了)
だい817じょうの9 養子と実方のふぼ および その血族とのしんぞく関係は, 特別養子縁組によって終了する. ただし, だい817じょうの3だい2こうただし書にきていする他の1方 および その血族とのしんぞく関係については, このかぎりでない.
(特別養子縁組の離縁)
だい817じょうの十 次の各号のいずれにも該当するばあいにおいて, 養子の利益のため特に必要があると認めるときは, かていさいばんしょは, 養子, 実ふぼ または けんさつかんのせいきゅうにより, 特別養子縁組の当事者を離縁させることができる. 1 養親による虐待, 悪意の遺棄その他養子の利益を著しく害する事由があること.
2 実ふぼが相当の監護をすることができること.
② 離縁は, ぜんこうのきていによるばあいのほか, これをすることができない.
(離縁による実方とのしんぞく関係の回復)
だい817じょうの十1 養子と実ふぼ および その血族との間においては, 離縁の日から, 特別養子縁組によって終了したしんぞく関係とどういつのしんぞく関係を生ずる.
だい4しょう しんけん
編集だい1せつ そうそく
(しんけん者)
だい818じょう せいねんに達しない子は, ふぼのしんけんに服する.
② 子が養子であるときは, 養親のしんけんに服する.
③ しんけんは, ふぼの婚姻中は, ふぼが共同して行う. ただし, ふぼの1方がしんけんを行うことができないときは, 他の1方が行う.
(離婚 または 認知のばあいのしんけん者)
だい819じょう ふぼが協議上の離婚をするときは, その協議で, その1方をしんけん者とさだめなければならない.
② 裁判上の離婚のばあいには, 裁判所は, ふぼの1方をしんけん者とさだめる.
③ 子のしゅっしょう前にふぼが離婚したばあいには, しんけんは, はゝが行う. ただし, 子のしゅっしょう後に, ふぼの協議で, ちゝをしんけん者とさだめることができる.
④ ちゝが認知した子に対するしんけんは, ふぼの協議でちゝをしんけん者とさだめたときにかぎり, ちゝが行う.
⑤ だい1こう, だい3こう または ぜんこうの協議が調わないとき, または 協議をすることができないときは, かていさいばんしょは, ちゝ または はゝのせいきゅうによって, 協議に代わるしんぱんをすることができる.
⑥ 子の利益のため必要があると認めるときは, かていさいばんしょは, 子のしんぞくのせいきゅうによって, しんけん者を他の1方に変更することができる.
だい2せつ しんけんのこうりょく
(監護 および 教育のけんりぎむ)
だい820じょう しんけんを行う者は, 子の利益のために子の監護 および 教育をするけんりを有し, ぎむを負う.
(居所の指定)
だい821じょう 子は, しんけんを行う者が指定した場所に, その居所をさだめなければならない.
(懲戒)
だい822じょう しんけんを行う者は, だい820じょうのきていによる監護 および 教育に必要なはんい内でその子を懲戒することができる.
(職業のきょか)
だい823じょう 子は, しんけんを行う者のきょかを得なければ, 職業を営むことができない.
② しんけんを行う者は, だい6じょう だい2こうのばあいには, ぜんこうのきょかをとりけし, または これを制限することができる.
(ざいさんの管理 および 代表)
だい824じょう しんけんを行う者は, 子のざいさんを管理し, かつ, そのざいさんにかんする ほうりつこういについてその子を代表する. ただし, その子のこういをもくてきとする債務を生ずべきばあいには, ほんにんのどういを得なければならない.
(ふぼの1方が共同の名義でしたこういのこうりょく)
だい825じょう ふぼが共同してしんけんを行うばあいにおいて, ふぼの1方が, 共同の名義で, 子に代わってほうりつこういをし または 子がこれをすることにどういしたときは, そのこういは, 他の1方の意思に反したときであっても, そのためにそのこうりょくを妨げられない. ただし, 相手方が悪意であったときは, このかぎりでない.
(利益相反こうい)
だい826じょう しんけんを行うちゝ または はゝとその子との利益が相反するこういについては, しんけんを行う者は, その子のために特別代理人を選任することをかていさいばんしょにせいきゅうしなければならない.
② しんけんを行う者が数人の子に対してしんけんを行うばあいにおいて, その1人と他の子との利益が相反するこういについては, しんけんを行う者は, その1方のために特別代理人を選任することをかていさいばんしょにせいきゅうしなければならない.
(ざいさんの管理における注意ぎむ)
だい827じょう しんけんを行う者は, 自己のためにするのとどういつの注意をもって, そのかんりけんを行わなければならない.
(ざいさんの管理の計算)
だい828じょう 子がせいねんに達したときは, しんけんを行った者は, 遅滞なくその管理の計算をしなければならない. ただし, その子の養育 および ざいさんの管理の費用は, その子のざいさんの収益と相殺したものとみなす.
だい829じょう 前条ただし書のきていは, 無償で子にざいさんを与えるだいさんしゃが反対の意思を表示したときは, そのざいさんについては, これをてきようしない.
(だいさんしゃが無償で子に与えたざいさんの管理)
だい830じょう 無償で子にざいさんを与えるだいさんしゃが, しんけんを行うちゝ または はゝにこれを管理させない意思を表示したときは, そのざいさんは, ちゝ または はゝの管理に属しないものとする.
② ぜんこうのざいさんにつきふぼが共にかんりけんを有しないばあいにおいて, だいさんしゃが管理者を指定しなかったときは, かていさいばんしょは, 子, そのしんぞく または けんさつかんのせいきゅうによって, その管理者を選任する.
③ だいさんしゃが管理者を指定したときであっても, その管理者の権限が消滅し, または これを改任する必要があるばあいにおいて, だいさんしゃが更に管理者を指定しないときも, ぜんこうとどうようとする.
④ だい27じょうからだい29じょうまでのきていは, 前2こうのばあいについてじゅんようする.
(委任のきていのじゅんよう)
だい831じょう だい654じょう および だい655じょうのきていは, しんけんを行う者が子のざいさんを管理するばあい および 前条のばあいについてじゅんようする.
(ざいさんの管理について生じた親子間の債権の消滅時効)
だい832じょう しんけんを行った者とその子との間にざいさんの管理について生じた債権は, そのかんりけんが消滅した時から5ねん間これを行使しないときは, 時効によって消滅する.
② 子がまだせいねんに達しない間にかんりけんが消滅したばあいにおいて子にほうていだいりにんがないときは, ぜんこうの期間は, その子がせいねんに達し, または 後任のほうていだいりにんが就職した時から起算する.
(子に代わるしんけんの行使)
だい833じょう しんけんを行う者は, そのしんけんに服する子に代わってしんけんを行う.
だい3せつ しんけんのそうしつ
(しんけんそうしつのしんぱん)
だい834じょう ちゝ または はゝによる虐待 または 悪意の遺棄があるときその他ちゝ または はゝによるしんけんの行使が著しく困難 または 不適当であることにより子の利益を著しく害するときは, かていさいばんしょは, 子, そのしんぞく, みせいねんこうけんにん, みせいねんこうけんかんとくにん または けんさつかんのせいきゅうにより, そのちゝ または はゝについて, しんけんそうしつのしんぱんをすることができる. ただし, 2ねん以内にその原因が消滅する見込みがあるときは, このかぎりでない.
(しんけん停止のしんぱん)
だい834じょうの2 ちゝ または はゝによるしんけんの行使が困難 または 不適当であることにより子の利益を害するときは, かていさいばんしょは, 子, そのしんぞく, みせいねんこうけんにん, みせいねんこうけんかんとくにん または けんさつかんのせいきゅうにより, そのちゝ または はゝについて, しんけん停止のしんぱんをすることができる.
② かていさいばんしょは, しんけん停止のしんぱんをするときは, その原因が消滅するまでに要すると見込まれる期間, 子の心身の状態 および 生活のじょうきょうその他1切の事情を考慮して, 2ねんをこえない はんい内で, しんけんを停止する期間をさだめる.
(かんりけんそうしつのしんぱん)
だい835じょう ちゝ または はゝによるかんりけんの行使が困難 または 不適当であることにより子の利益を害するときは, かていさいばんしょは, 子, そのしんぞく, みせいねんこうけんにん, みせいねんこうけんかんとくにん または けんさつかんのせいきゅうにより, そのちゝ または はゝについて, かんりけんそうしつのしんぱんをすることができる.
(しんけんそうしつ, しんけん停止 または かんりけんそうしつのしんぱんのとりけし)
だい836じょう だい834じょうほんぶん, だい834じょうの2だい1こう または 前条にきていする原因が消滅したときは, かていさいばんしょは, ほんにん または そのしんぞくのせいきゅうによって, それぞれしんけんそうしつ, しんけん停止 または かんりけんそうしつのしんぱんをとりけすことができる.
(しんけん または かんりけんの辞任 および 回復)
だい837じょう しんけんを行うちゝ または はゝは, やむを得ない事由があるときは, かていさいばんしょのきょかを得て, しんけん または かんりけんを辞することができる.
② ぜんこうの事由が消滅したときは, ちゝ または はゝは, かていさいばんしょのきょかを得て, しんけん または かんりけんを回復することができる.
だい5しょう こうけん
だい1せつ こうけんのかいし
だい838じょう こうけんは, 次に掲げるばあいにかいしする. 1 みせいねんしゃに対してしんけんを行う者がないとき, または しんけんを行う者がかんりけんを有しないとき.
2 こうけんかいしのしんぱんがあったとき.
だい2せつ こうけんの機関
だい1かん こうけんにん
(みせいねんこうけんにんの指定)
だい839じょう みせいねんしゃに対して最後にしんけんを行う者は, 遺言で, みせいねんこうけんにんを指定することができる. ただし, かんりけんを有しない者は, このかぎりでない.
② しんけんを行うふぼの1方がかんりけんを有しないときは, 他の1方は, ぜんこうのきていによりみせいねんこうけんにんの指定をすることができる.
(みせいねんこうけんにんの選任)
だい840じょう 前条のきていによりみせいねんこうけんにんとなるべき者がないときは, かていさいばんしょは, みせいねんひこうけんにん または そのしんぞくその他の利害関係人のせいきゅうによって, みせいねんこうけんにんを選任する. みせいねんこうけんにんが欠けたときも, どうようとする.
② みせいねんこうけんにんがあるばあいにおいても, かていさいばんしょは, 必要があると認めるときは, ぜんこうにきていする者若しくはみせいねんこうけんにんのせいきゅうにより または 職権で, 更にみせいねんこうけんにんを選任することができる.
③ みせいねんこうけんにんを選任するには, みせいねんひこうけんにんのねんれい, 心身の状態並びに生活 および ざいさんのじょうきょう, みせいねんこうけんにんとなる者の職業 および 経歴並びにみせいねんひこうけんにんとの利害関係の有無(みせいねんこうけんにんとなる者が法人であるときは, その事業の種類 および 内容並びにその法人 および その代表者とみせいねんひこうけんにんとの利害関係の有無), みせいねんひこうけんにんの意見その他1切の事情を考慮しなければならない.
(ふぼによるみせいねんこうけんにんの選任のせいきゅう)
だい841じょう ちゝ若しくははゝがしんけん若しくはかんりけんを辞し, または ちゝ若しくははゝについてしんけんそうしつ, しんけん停止若しくはかんりけんそうしつのしんぱんがあったことによってみせいねんこうけんにんを選任する必要が生じたときは, そのちゝ または はゝは, 遅滞なくみせいねんこうけんにんの選任をかていさいばんしょにせいきゅうしなければならない.
だい842じょう 削除
(せいねんこうけんにんの選任)
だい843じょう かていさいばんしょは, こうけんかいしのしんぱんをするときは, 職権で, せいねんこうけんにんを選任する.
② せいねんこうけんにんが欠けたときは, かていさいばんしょは, せいねんひこうけんにん若しくはそのしんぞくその他の利害関係人のせいきゅうにより または 職権で, せいねんこうけんにんを選任する.
③ せいねんこうけんにんが選任されているばあいにおいても, かていさいばんしょは, 必要があると認めるときは, ぜんこうにきていする者若しくはせいねんこうけんにんのせいきゅうにより または 職権で, 更にせいねんこうけんにんを選任することができる.
④ せいねんこうけんにんを選任するには, せいねんひこうけんにんの心身の状態並びに生活 および ざいさんのじょうきょう, せいねんこうけんにんとなる者の職業 および 経歴並びにせいねんひこうけんにんとの利害関係の有無(せいねんこうけんにんとなる者が法人であるときは, その事業の種類 および 内容並びにその法人 および その代表者とせいねんひこうけんにんとの利害関係の有無), せいねんひこうけんにんの意見その他1切の事情を考慮しなければならない.
(こうけんにんの辞任)
だい844じょう こうけんにんは, 正当な事由があるときは, かていさいばんしょのきょかを得て, その任務を辞することができる.
(辞任したこうけんにんによる新たなこうけんにんの選任のせいきゅう)
だい845じょう こうけんにんがその任務を辞したことによって新たにこうけんにんを選任する必要が生じたときは, そのこうけんにんは, 遅滞なく新たなこうけんにんの選任をかていさいばんしょにせいきゅうしなければならない.
(こうけんにんの解任)
だい846じょう こうけんにんに不正なこうい, 著しい不行跡その他こうけんの任務に適しない事由があるときは, かていさいばんしょは, こうけんかんとくにん, ひこうけんにん若しくはそのしんぞく若しくはけんさつかんのせいきゅうにより または 職権で, これを解任することができる.
(こうけんにんの欠格事由)
だい847じょう 次に掲げる者は, こうけんにんとなることができない. 1 みせいねんしゃ
2 かていさいばんしょで免ぜられたほうていだいりにん, ほさにん または ほじょにん
3 破産者
4 ひこうけんにんに対して訴訟をし, または した者並びにそのはいぐうしゃ および 直系血族
5 行方の知れない者
だい2かん こうけんかんとくにん
(みせいねんこうけんかんとくにんの指定)
だい848じょう みせいねんこうけんにんを指定することができる者は, 遺言で, みせいねんこうけんかんとくにんを指定することができる.
(こうけんかんとくにんの選任)
だい849じょう かていさいばんしょは, 必要があると認めるときは, ひこうけんにん, そのしんぞく若しくはこうけんにんのせいきゅうにより または 職権で, こうけんかんとくにんを選任することができる.
(こうけんかんとくにんの欠格事由)
だい850じょう こうけんにんのはいぐうしゃ, 直系血族 および 兄弟姉妹は, こうけんかんとくにんとなることができない.
(こうけんかんとくにんの職務)
だい851じょう こうけんかんとくにんの職務は, 次のとおりとする. 1 こうけんにんの事務を監督すること.
2 こうけんにんが欠けたばあいに, 遅滞なくその選任をかていさいばんしょにせいきゅうすること.
3 急迫の事情があるばあいに, 必要なしょぶんをすること.
4 こうけんにん または その代表する者とひこうけんにんとの利益が相反するこういについてひこうけんにんを代表すること.
(委任 および こうけんにんのきていのじゅんよう)
だい852じょう だい644じょう, だい654じょう, だい655じょう, だい844じょう, だい846じょう, だい847じょう, だい861じょう だい2こう および だい862じょうのきていはこうけんかんとくにんについて, だい840じょう だい3こう および だい857じょうの2のきていはみせいねんこうけんかんとくにんについて, だい843じょう だい4こう, だい859じょうの2 および だい859じょうの3のきていはせいねんこうけんかんとくにんについてじゅんようする.
だい3せつ こうけんの事務
(ざいさんの調査 および 目録の作成)
だい853じょう こうけんにんは, 遅滞なくひこうけんにんのざいさんの調査に着手し, 1箇月以内に, その調査を終わり, かつ, その目録を作成しなければならない. ただし, この期間は, かていさいばんしょにおいて伸長することができる.
② ざいさんの調査 および その目録の作成は, こうけんかんとくにんがあるときは, その立会いをもってしなければ, そのこうりょくを生じない.
(ざいさんの目録の作成前の権限)
だい854じょう こうけんにんは, ざいさんの目録の作成を終わるまでは, 急迫の必要があるこういのみをする権限をゆうする. ただし, これをもって善意のだいさんしゃに対抗することができない.
(こうけんにんのひこうけんにんに対する債権 または 債務の申出ぎむ)
だい855じょう こうけんにんが, ひこうけんにんに対し, 債権を有し, または 債務を負うばあいにおいて, こうけんかんとくにんがあるときは, ざいさんの調査に着手する前に, これをこうけんかんとくにんに申し出なければならない.
② こうけんにんが, ひこうけんにんに対し債権をゆうすることを知ってこれを申し出ないときは, その債権を失う.
(ひこうけんにんが包括ざいさんを取得したばあいについてのじゅんよう)
だい856じょう 前3じょうのきていは, こうけんにんが就職した後ひこうけんにんが包括ざいさんを取得したばあいについてじゅんようする.
(みせいねんひこうけんにんの身上の監護にかんする けんりぎむ)
だい857じょう みせいねんこうけんにんは, だい820じょうからだい823じょうまでにきていする事項について, しんけんを行う者とどういつのけんりぎむをゆうする. ただし, しんけんを行う者がさだめた教育の方法 および 居所を変更し, えいぎょうをきょかし, そのきょかをとりけし, または これを制限するには, みせいねんこうけんかんとくにんがあるときは, そのどういを得なければならない.
(みせいねんこうけんにんが数人あるばあいの権限の行使等)
だい857じょうの2 みせいねんこうけんにんが数人あるときは, 共同してその権限を行使する.
② みせいねんこうけんにんが数人あるときは, かていさいばんしょは, 職権で, その いちぶの者について, ざいさんにかんする 権限のみを行使すべきことをさだめることができる.
③ みせいねんこうけんにんが数人あるときは, かていさいばんしょは, 職権で, ざいさんにかんする 権限について, 各みせいねんこうけんにんが単独で または 数人のみせいねんこうけんにんが事務を分掌して, その権限を行使すべきことをさだめることができる.
④ かていさいばんしょは, 職権で, 前2こうのきていによるさだめをとりけすことができる.
⑤ みせいねんこうけんにんが数人あるときは, だいさんしゃの意思表示は, その1人に対してすれば足りる.
(せいねんひこうけんにんの意思の尊重 および 身上の配慮)
だい858じょう せいねんこうけんにんは, せいねんひこうけんにんの生活, 療養看護 および ざいさんの管理にかんする 事務を行うに当たっては, せいねんひこうけんにんの意思を尊重し, かつ, その心身の状態 および 生活のじょうきょうに配慮しなければならない.
(ざいさんの管理 および 代表)
だい859じょう こうけんにんは, ひこうけんにんのざいさんを管理し, かつ, そのざいさんにかんする ほうりつこういについてひこうけんにんを代表する.
② だい824じょうただし書のきていは, ぜんこうのばあいについてじゅんようする.
(せいねんこうけんにんが数人あるばあいの権限の行使等)
だい859じょうの2 せいねんこうけんにんが数人あるときは, かていさいばんしょは, 職権で, 数人のせいねんこうけんにんが, 共同して または 事務を分掌して, その権限を行使すべきことをさだめることができる.
② かていさいばんしょは, 職権で, ぜんこうのきていによるさだめをとりけすことができる.
③ せいねんこうけんにんが数人あるときは, だいさんしゃの意思表示は, その1人に対してすれば足りる.
(せいねんひこうけんにんの居住用不動産のしょぶんについてのきょか)
だい859じょうの3 せいねんこうけんにんは, せいねんひこうけんにんに代わって, その居住の用に供する建物 または その敷地について, 売却, 賃貸, 賃貸借の解除 または 抵当権の設定その他これらに準ずるしょぶんをするには, かていさいばんしょのきょかを得なければならない.
(利益相反こうい)
だい860じょう だい826じょうのきていは, こうけんにんについてじゅんようする. ただし, こうけんかんとくにんがあるばあいは, このかぎりでない.
(せいねんこうけんにんによる郵便物等の管理)
だい860じょうの2 かていさいばんしょは, せいねんこうけんにんがその事務を行うに当たって必要があると認めるときは, せいねんこうけんにんのせいきゅうにより, 信書の送達の事業を行う者に対し, 期間をさだめて, せいねんひこうけんにんに宛てた郵便物 または 民間事業者による信書の送達にかんする ほうりつ (へいせい14ねんほうりつ だい99ごう)だい2じょう だい3こう にきていする信書便物(次条において「郵便物等」という.)をせいねんこうけんにんに配達すべき旨を嘱託することができる.
② ぜんこうにきていする嘱託の期間は, 6箇月を超えることができない.
③ かていさいばんしょは, だい1こうのきていによるしんぱんがあった後事情に変更を生じたときは, せいねんひこうけんにん, せいねんこうけんにん若しくはせいねんこうけんかんとくにんのせいきゅうにより または 職権で, 同項にきていする嘱託をとりけし, または 変更することができる. ただし, その変更のしんぱんにおいては, 同項のきていによるしんぱんにおいてさだめられた期間を伸長することができない.
④ せいねんこうけんにんの任務が終了したときは, かていさいばんしょは, だい1こうにきていする嘱託を取り消さなければならない.
だい860じょうの3 せいねんこうけんにんは, せいねんひこうけんにんに宛てた郵便物等をうけ取ったときは, これを開いて見ることができる.
② せいねんこうけんにんは, そのうけ取ったぜんこうの郵便物等でせいねんこうけんにんの事務にかんしないものは, 速やかにせいねんひこうけんにんに交付しなければならない.
③ せいねんひこうけんにんは, せいねんこうけんにんに対し, せいねんこうけんにんがうけ取っただい1こうの郵便物等(ぜんこうのきていによりせいねんひこうけんにんに交付されたものを除く.)の閲覧を求めることができる.
(支出金額の予定 および こうけんの事務の費用)
だい861じょう こうけんにんは, その就職の初めにおいて, ひこうけんにんの生活, 教育 または 療養看護 および ざいさんの管理のために毎年支出すべき金額を予定しなければならない.
② こうけんにんがこうけんの事務を行うために必要な費用は, ひこうけんにんのざいさんの中から支弁する.
(こうけんにんの報酬)
だい862じょう かていさいばんしょは, こうけんにん および ひこうけんにんの資力その他の事情によって, ひこうけんにんのざいさんの中から, 相当な報酬をこうけんにんに与えることができる.
(こうけんの事務の監督)
だい863じょう こうけんかんとくにん または かていさいばんしょは, いつでも, こうけんにんに対しこうけんの事務の報告若しくはざいさんの目録の提出を求め, または こうけんの事務若しくはひこうけんにんのざいさんのじょうきょうを調査することができる.
② かていさいばんしょは, こうけんかんとくにん, ひこうけんにん若しくはそのしんぞくその他の利害関係人のせいきゅうにより または 職権で, ひこうけんにんのざいさんの管理その他こうけんの事務について必要なしょぶんを命ずることができる.
(こうけんかんとくにんのどういを要するこうい)
だい864じょう こうけんにんが, ひこうけんにんに代わってえいぎょう若しくはだい13じょう だい1こう各号に掲げるこういをし, または みせいねんひこうけんにんがこれをすることにどういするには, こうけんかんとくにんがあるときは, そのどういを得なければならない. ただし, 同項だい1ごうに掲げる元本の領収については, このかぎりでない.
だい865じょう こうけんにんが, 前条のきていに違反してし または どういを与えたこういは, ひこうけんにん または こうけんにんがとりけすことができる. このばあいにおいては, だい20じょうのきていをじゅんようする.
② ぜんこうのきていは, だい121じょうからだい126じょうまでのきていのてきようを妨げない.
(ひこうけんにんのざいさん等の譲うけのとりけし)
だい866じょう こうけんにんがひこうけんにんのざいさん または ひこうけんにんに対するだいさんしゃのけんりを譲りうけたときは, ひこうけんにんは, これをとりけすことができる. このばあいにおいては, だい20じょうのきていをじゅんようする.
② ぜんこうのきていは, だい121じょうからだい126じょうまでのきていのてきようを妨げない.
(みせいねんひこうけんにんに代わるしんけんの行使)
だい867じょう みせいねんこうけんにんは, みせいねんひこうけんにんに代わってしんけんを行う.
② だい853じょうからだい857じょうまで および だい861じょうから前条までのきていは, ぜんこうのばあいについてじゅんようする.
(ざいさんにかんする 権限のみをゆうするみせいねんこうけんにん)
だい868じょう しんけんを行う者がかんりけんを有しないばあいには, みせいねんこうけんにんは, ざいさんにかんする 権限のみをゆうする.
(委任 および しんけんのきていのじゅんよう)
だい869じょう だい644じょう および だい830じょうのきていは, こうけんについてじゅんようする.
だい4せつ こうけんの終了
(こうけんの計算)
だい870じょう こうけんにんの任務が終了したときは, こうけんにん または そのそうぞく人は, 2箇月以内にその管理の計算(以下「こうけんの計算」という.)をしなければならない. ただし, この期間は, かていさいばんしょにおいて伸長することができる.
だい871じょう こうけんの計算は, こうけんかんとくにんがあるときは, その立会いをもってしなければならない.
(みせいねんひこうけんにんとみせいねんこうけんにん等との間の契約等のとりけし)
だい872じょう みせいねんひこうけんにんがせいねんに達した後こうけんの計算の終了前に, その者とみせいねんこうけんにん または そのそうぞく人との間でした契約は, その者がとりけすことができる. その者がみせいねんこうけんにん または そのそうぞく人に対してした単独こういも, どうようとする.
② だい20じょう および だい121じょうからだい126じょうまでのきていは, ぜんこうのばあいについてじゅんようする.
(返還金に対する利息の支払等)
だい873じょう こうけんにんがひこうけんにんに返還すべき金額 および ひこうけんにんがこうけんにんに返還すべき金額には, こうけんの計算が終了した時から, 利息を付さなければならない.
② こうけんにんは, 自己のためにひこうけんにんの金銭を消費したときは, その消費の時から, これに利息を付さなければならない. このばあいにおいて, なお損害があるときは, その賠償の責任を負う.
(せいねんひこうけんにんの死亡後のせいねんこうけんにんの権限)
だい873じょうの2 せいねんこうけんにんは, せいねんひこうけんにんが死亡したばあいにおいて, 必要があるときは, せいねんひこうけんにんのそうぞく人の意思に反することが明らかなときをのぞき, そうぞく人がそうぞくざいさんを管理することができるに至るまで, 次に掲げるこういをすることができる. ただし, だい3ごうに掲げるこういをするには, かていさいばんしょのきょかを得なければならない. 1 そうぞくざいさんに属する特定のざいさんの保存に必要なこうい
2 そうぞくざいさんに属する債務(弁済期が到来しているものに限る.)の弁済
3 その死体の火葬 または 埋葬にかんする 契約の締結その他そうぞくざいさんの保存に必要なこうい(前2ごうに掲げるこういを除く.)
(委任のきていのじゅんよう)
だい874じょう だい654じょう および だい655じょうのきていは, こうけんについてじゅんようする.
(こうけんにかんして生じた債権の消滅時効)
だい875じょう だい832じょうのきていは, こうけんにん または こうけんかんとくにんとひこうけんにんとの間においてこうけんにかんして生じた債権の消滅時効についてじゅんようする.
② ぜんこうの消滅時効は, だい872じょうのきていによりほうりつこういをとりけしたばあいには, そのとりけしの時から起算する.
だい6しょう ほさ および ほじょ
だい1せつ ほさ
(ほさのかいし)
だい876じょう ほさは, ほさかいしのしんぱんによってかいしする.
(ほさにん および 臨時ほさにんの選任等)
だい876じょうの2 かていさいばんしょは, ほさかいしのしんぱんをするときは, 職権で, ほさにんを選任する.
② だい843じょう だい2こうからだい4こうまで および だい844じょうからだい847じょうまでのきていは, ほさにんについてじゅんようする.
③ ほさにん または その代表する者と被ほさにんとの利益が相反するこういについては, ほさにんは, 臨時ほさにんの選任をかていさいばんしょにせいきゅうしなければならない. ただし, ほさかんとくにんがあるばあいは, このかぎりでない.
(ほさかんとくにん)
だい876じょうの3 かていさいばんしょは, 必要があると認めるときは, 被ほさにん, そのしんぞく若しくはほさにんのせいきゅうにより または 職権で, ほさかんとくにんを選任することができる.
② だい644じょう, だい654じょう, だい655じょう, だい843じょう だい4こう, だい844じょう, だい846じょう, だい847じょう, だい850じょう, だい851じょう, だい859じょうの2, だい859じょうの3, だい861じょう だい2こう および だい862じょうのきていは, ほさかんとくにんについてじゅんようする. このばあいにおいて, だい851じょう だい4ごう中「ひこうけんにんを代表する」とあるのは, 「被ほさにんを代表し, または 被ほさにんがこれをすることにどういする」と読み替えるものとする.
(ほさにんに代理権を付与する旨のしんぱん)
だい876じょうの4 かていさいばんしょは, だい11じょうほんぶんにきていする者 または ほさにん若しくはほさかんとくにんのせいきゅうによって, 被ほさにんのために特定のほうりつこういについてほさにんに代理権を付与する旨のしんぱんをすることができる.
② ほんにん以外の者のせいきゅうによってぜんこうのしんぱんをするには, ほんにんのどういがなければならない.
③ かていさいばんしょは, だい1こうにきていする者のせいきゅうによって, 同項のしんぱんの全部 または いちぶをとりけすことができる.
(ほさの事務 および ほさにんの任務の終了等)
だい876じょうの5 ほさにんは, ほさの事務を行うに当たっては, 被ほさにんの意思を尊重し, かつ, その心身の状態 および 生活のじょうきょうに配慮しなければならない.
② だい644じょう, だい859じょうの2, だい859じょうの3, だい861じょう だい2こう, だい862じょう および だい863じょうのきていはほさの事務について, だい824じょうただし書のきていはほさにんが前条だい1こうの代理権を付与する旨のしんぱんに基づき被ほさにんを代表するばあいについてじゅんようする.
③ だい654じょう, だい655じょう, だい870じょう, だい871じょう および だい873じょうのきていはほさにんの任務が終了したばあいについて, だい832じょうのきていはほさにん または ほさかんとくにんと被ほさにんとの間においてほさにかんして生じた債権についてじゅんようする.
だい2せつ ほじょ
(ほじょのかいし)
だい876じょうの6 ほじょは, ほじょかいしのしんぱんによってかいしする.
(ほじょにん および 臨時ほじょにんの選任等)
だい876じょうの7 かていさいばんしょは, ほじょかいしのしんぱんをするときは, 職権で, ほじょにんを選任する.
② だい843じょう だい2こうからだい4こうまで および だい844じょうからだい847じょうまでのきていは, ほじょにんについてじゅんようする.
③ ほじょにん または その代表する者と被ほじょにんとの利益が相反するこういについては, ほじょにんは, 臨時ほじょにんの選任をかていさいばんしょにせいきゅうしなければならない. ただし, ほじょかんとくにんがあるばあいは, このかぎりでない.
(ほじょかんとくにん)
だい876じょうの8 かていさいばんしょは, 必要があると認めるときは, 被ほじょにん, そのしんぞく若しくはほじょにんのせいきゅうにより または 職権で, ほじょかんとくにんを選任することができる.
② だい644じょう, だい654じょう, だい655じょう, だい843じょう だい4こう, だい844じょう, だい846じょう, だい847じょう, だい850じょう, だい851じょう, だい859じょうの2, だい859じょうの3, だい861じょう だい2こう および だい862じょうのきていは, ほじょかんとくにんについてじゅんようする. このばあいにおいて, だい851じょう だい4ごう中「ひこうけんにんを代表する」とあるのは, 「被ほじょにんを代表し, または 被ほじょにんがこれをすることにどういする」と読み替えるものとする.
(ほじょにんに代理権を付与する旨のしんぱん)
だい876じょうの9 かていさいばんしょは, だい15じょう だい1こうほんぶんにきていする者 または ほじょにん若しくはほじょかんとくにんのせいきゅうによって, 被ほじょにんのために特定のほうりつこういについてほじょにんに代理権を付与する旨のしんぱんをすることができる.
② だい876じょうの4だい2こう および だい3こうのきていは, ぜんこうのしんぱんについてじゅんようする.
(ほじょの事務 および ほじょにんの任務の終了等)
だい876じょうの十 だい644じょう, だい859じょうの2, だい859じょうの3, だい861じょう だい2こう, だい862じょう, だい863じょう および だい876じょうの5だい1こうのきていはほじょの事務について, だい824じょうただし書のきていはほじょにんが前条だい1こうの代理権を付与する旨のしんぱんに基づき被ほじょにんを代表するばあいについてじゅんようする.
② だい654じょう, だい655じょう, だい870じょう, だい871じょう および だい873じょうのきていはほじょにんの任務が終了したばあいについて, だい832じょうのきていはほじょにん または ほじょかんとくにんと被ほじょにんとの間においてほじょにかんして生じた債権についてじゅんようする.
だい7しょう 扶養
(扶養ぎむ者)
だい877じょう 直系血族 および 兄弟姉妹は, 互いに扶養をするぎむがある.
② かていさいばんしょは, 特別の事情があるときは, ぜんこうにきていするばあいのほか, 3しんとう内のしんぞく間においても扶養のぎむを負わせることができる.
③ ぜんこうのきていによるしんぱんがあった後事情に変更を生じたときは, かていさいばんしょは, そのしんぱんをとりけすことができる.
(扶養の順位)
だい878じょう 扶養をするぎむのある者が数人あるばあいにおいて, 扶養をすべき者の順序について, 当事者間に協議が調わないとき, または 協議をすることができないときは, かていさいばんしょが, これをさだめる. 扶養をうけるけんりのある者が数人あるばあいにおいて, 扶養ぎむ者の資力がその全員を扶養するのに足りないときの扶養をうけるべき者の順序についても, どうようとする.
(扶養の程度 または 方法)
だい879じょう 扶養の程度 または 方法について, 当事者間に協議が調わないとき, または 協議をすることができないときは, 扶養けんり者の需要, 扶養ぎむ者の資力その他1切の事情を考慮して, かていさいばんしょが, これをさだめる.
(扶養にかんする 協議 または しんぱんの変更 または とりけし)
だい880じょう 扶養をすべき者若しくは扶養をうけるべき者の順序 または 扶養の程度若しくは方法について協議 または しんぱんがあった後事情に変更を生じたときは, かていさいばんしょは, その協議 または しんぱんの変更 または とりけしをすることができる.
(扶養せいきゅう権のしょぶんのきんし)
だい881じょう 扶養をうけるけんりは, しょぶんすることができない.
だい5へん そうぞく
編集だい1しょう そうそく
編集(そうぞくかいしの原因)
だい882じょう そうぞくは, 死亡によってかいしする.
(そうぞくかいしの場所)
だい883じょう そうぞくは, 被そうぞく人の住所においてかいしする.
(そうぞく回復せいきゅう権)
だい884じょう そうぞく回復のせいきゅう権は, そうぞく人 または そのほうていだいりにんがそうぞく権を侵害された事実を知った時から5ねん間行使しないときは, 時効によって消滅する. そうぞくかいしの時から20ねんをけいかしたときも, どうようとする.
(そうぞくざいさんにかんする 費用)
だい885じょう そうぞくざいさんにかんする 費用は, そのざいさんの中から支弁する. ただし, そうぞく人の過失によるものは, このかぎりでない.
② ぜんこうの費用は, 遺留分けんり者が贈与の減殺によって得たざいさんをもって支弁することを要しない.
だい2しょう そうぞく人
編集(そうぞくにかんする 胎児のけんりのうりょく)
だい886じょう 胎児は, そうぞくについては, 既に生まれたものとみなす.
② ぜんこうのきていは, 胎児が死体で生まれたときは, てきようしない.
(子 および その代襲者等のそうぞく権)
だい887じょう 被そうぞく人の子は, そうぞく人となる.
② 被そうぞく人の子が, そうぞくのかいし以前に死亡したとき, または だい891じょうのきていに該当し, 若しくは廃除によって, そのそうぞく権を失ったときは, その者の子がこれを代襲してそうぞく人となる. ただし, 被そうぞく人の直系卑属でない者は, このかぎりでない.
③ ぜんこうのきていは, 代襲者が, そうぞくのかいし以前に死亡し, または だい891じょうのきていに該当し, 若しくは廃除によって, その代襲そうぞく権を失ったばあいについてじゅんようする.
だい888じょう 削除
(直系尊属 および 兄弟姉妹のそうぞく権)
だい889じょう 次に掲げる者は, だい887じょうのきていによりそうぞく人となるべき者がないばあいには, 次に掲げる順序の順位に従ってそうぞく人となる. 1 被そうぞく人の直系尊属. ただし, 親等の異なる者の間では, その近い者を先にする.
2 被そうぞく人の兄弟姉妹
② だい887じょう だい2こうのきていは, ぜんこうだい2ごうのばあいについてじゅんようする.
(はいぐうしゃのそうぞく権)
だい890じょう 被そうぞく人のはいぐうしゃは, 常にそうぞく人となる. このばあいにおいて, だい887じょう または 前条のきていによりそうぞく人となるべき者があるときは, その者と同順位とする.
(そうぞく人の欠格事由)
だい891じょう 次に掲げる者は, そうぞく人となることができない. 1 故意に被そうぞく人 または そうぞくについて先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ, または 至らせようとしたために, 刑に処せられた者
2 被そうぞく人の殺害されたことを知って, これを告発せず, または 告訴しなかった者. ただし, その者に是非の弁別がないとき, または 殺害者が自己のはいぐうしゃ若しくは直系血族であったときは, このかぎりでない.
3 詐欺 または 強迫によって, 被そうぞく人がそうぞくにかんする 遺言をし, 撤回し, とりけし, または 変更することを妨げた者
4 詐欺 または 強迫によって, 被そうぞく人にそうぞくにかんする 遺言をさせ, 撤回させ, 取り消させ, または 変更させた者
5 そうぞくにかんする 被そうぞく人の遺言書を偽造し, 変造し, 破棄し, または 隠匿した者
(推定そうぞく人の廃除)
だい892じょう 遺留分をゆうする推定そうぞく人(そうぞくがかいししたばあいにそうぞく人となるべき者をいう. 以下同じ.)が, 被そうぞく人に対して虐待をし, 若しくはこれに重大な侮辱を加えたとき, または 推定そうぞく人にその他の著しい非行があったときは, 被そうぞく人は, その推定そうぞく人の廃除をかていさいばんしょにせいきゅうすることができる.
(遺言による推定そうぞく人の廃除)
だい893じょう 被そうぞく人が遺言で推定そうぞく人を廃除する意思を表示したときは, 遺言執行者は, その遺言がこうりょくを生じた後, 遅滞なく, その推定そうぞく人の廃除をかていさいばんしょにせいきゅうしなければならない. このばあいにおいて, その推定そうぞく人の廃除は, 被そうぞく人の死亡の時にさかのぼってそのこうりょくを生ずる.
(推定そうぞく人の廃除のとりけし)
だい894じょう 被そうぞく人は, いつでも, 推定そうぞく人の廃除のとりけしをかていさいばんしょにせいきゅうすることができる.
② 前条のきていは, 推定そうぞく人の廃除のとりけしについてじゅんようする.
(推定そうぞく人の廃除にかんする しんぱんかくてい前の遺産の管理)
だい895じょう 推定そうぞく人の廃除 または そのとりけしのせいきゅうがあった後そのしんぱんがかくていする前にそうぞくがかいししたときは, かていさいばんしょは, しんぞく, 利害関係人 または けんさつかんのせいきゅうによって, 遺産の管理について必要なしょぶんを命ずることができる. 推定そうぞく人の廃除の遺言があったときも, どうようとする.
② だい27じょうからだい29じょうまでのきていは, ぜんこうのきていによりかていさいばんしょが遺産の管理人を選任したばあいについてじゅんようする.
だい3しょう そうぞくのこうりょく
だい1せつ そうそく
(そうぞくの1般的こうりょく)
だい896じょう そうぞく人は, そうぞくかいしの時から, 被そうぞく人のざいさんに属した1切のけんりぎむを承継する. ただし, 被そうぞく人の1身に専属したものは, このかぎりでない.
(祭祀にかんする けんりの承継)
だい897じょう 系譜, 祭具 および 墳墓の所有権は, 前条のきていにかかわらず, 慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する. ただし, 被そうぞく人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは, その者が承継する.
② ぜんこうほんぶんのばあいにおいて慣習が明らかでないときは, 同項のけんりを承継すべき者は, かていさいばんしょがさだめる.
(共同そうぞくのこうりょく)
だい898じょう そうぞく人が数人あるときは, そうぞくざいさんは, その共有に属する.
だい899じょう 各共同そうぞく人は, そのそうぞく分に応じて被そうぞく人のけんりぎむを承継する.
だい2せつ そうぞく分
(法定そうぞく分)
だい900じょう 同順位のそうぞく人が数人あるときは, そのそうぞく分は, 次の各号のさだめるところによる. 1 子 および はいぐうしゃがそうぞく人であるときは, 子のそうぞく分 および はいぐうしゃのそうぞく分は, 各2分の1とする.
2 はいぐうしゃ および 直系尊属がそうぞく人であるときは, はいぐうしゃのそうぞく分は, 3分の2とし, 直系尊属のそうぞく分は, 3分の1とする.
3 はいぐうしゃ および 兄弟姉妹がそうぞく人であるときは, はいぐうしゃのそうぞく分は, 4分の3とし, 兄弟姉妹のそうぞく分は, 4分の1とする.
4 子, 直系尊属 または 兄弟姉妹が数人あるときは, 各自のそうぞく分は, 相等しいものとする. ただし, ふぼの1方のみを同じくする兄弟姉妹のそうぞく分は, ふぼの双方を同じくする兄弟姉妹のそうぞく分の2分の1とする.
(代襲そうぞく人のそうぞく分)
だい901じょう だい887じょう だい2こう または だい3こうのきていによりそうぞく人となる直系卑属のそうぞく分は, その直系尊属がうけるべきであったものと同じとする. ただし, 直系卑属が数人あるときは, その各自の直系尊属がうけるべきであった部分について, 前条のきていに従ってそのそうぞく分をさだめる.
② ぜんこうのきていは, だい889じょう だい2こうのきていにより兄弟姉妹の子がそうぞく人となるばあいについてじゅんようする.
(遺言によるそうぞく分の指定)
だい902じょう 被そうぞく人は, 前2じょうのきていにかかわらず, 遺言で, 共同そうぞく人のそうぞく分をさだめ, または これをさだめることをだいさんしゃに委託することができる. ただし, 被そうぞく人 または だいさんしゃは, 遺留分にかんする きていに違反することができない.
② 被そうぞく人が, 共同そうぞく人中の1人若しくは数人のそうぞく分のみをさだめ, または これをだいさんしゃにさだめさせたときは, 他の共同そうぞく人のそうぞく分は, 前2じょうのきていによりさだめる.
(特別受益者のそうぞく分)
だい903じょう 共同そうぞく人中に, 被そうぞく人から, 遺贈をうけ, または 婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与をうけた者があるときは, 被そうぞく人がそうぞくかいしの時において有したざいさんの価額にその贈与の価額を加えたものをそうぞくざいさんとみなし, 前3じょうのきていにより算定したそうぞく分の中からその遺贈 または 贈与の価額を控除した残額をもってその者のそうぞく分とする.
② 遺贈 または 贈与の価額が, そうぞく分の価額に等しく, または これを超えるときは, 受遺者 または 受贈者は, そのそうぞく分をうけることができない.
③ 被そうぞく人が前2こうのきていと異なった意思を表示したときは, その意思表示は, 遺留分にかんする きていに違反しないはんい内で, そのこうりょくをゆうする.
だい904じょう 前条にきていする贈与の価額は, 受贈者のこういによって, そのもくてきであるざいさんが滅失し, または その価格の増減があったときであっても, そうぞくかいしの時においてなお原状のままであるものとみなしてこれをさだめる.
(寄与分)
だい904じょうの2 共同そうぞく人中に, 被そうぞく人の事業にかんする 労務の提供 または ざいさん上の給付, 被そうぞく人の療養看護その他の方法により被そうぞく人のざいさんの維持 または 増加について特別の寄与をした者があるときは, 被そうぞく人がそうぞくかいしの時において有したざいさんの価額から共同そうぞく人の協議でさだめたその者の寄与分を控除したものをそうぞくざいさんとみなし, だい900じょうからだい902じょうまでのきていにより算定したそうぞく分に寄与分を加えた額をもってその者のそうぞく分とする.
② ぜんこうの協議が調わないとき, または 協議をすることができないときは, かていさいばんしょは, 同項にきていする寄与をした者のせいきゅうにより, 寄与の時期, 方法 および 程度, そうぞくざいさんの額その他1切の事情を考慮して, 寄与分をさだめる.
③ 寄与分は, 被そうぞく人がそうぞくかいしの時において有したざいさんの価額から遺贈の価額を控除した残額を超えることができない.
④ だい2こうのせいきゅうは, だい907じょう だい2こうのきていによるせいきゅうがあったばあい または だい910じょうにきていするばあいにすることができる.
(そうぞく分の取戻権)
だい905じょう 共同そうぞく人の1人が遺産の分割前にそのそうぞく分をだいさんしゃに譲り渡したときは, 他の共同そうぞく人は, その価額 および 費用を償還して, そのそうぞく分を譲りうけることができる.
② ぜんこうのけんりは, 1箇月以内に行使しなければならない.
だい3せつ 遺産の分割
(遺産の分割の基準)
だい906じょう 遺産の分割は, 遺産に属する物 または けんりの種類 および 性質, 各そうぞく人のねんれい, 職業, 心身の状態 および 生活のじょうきょうその他1切の事情を考慮してこれをする.
(遺産の分割の協議 または しんぱん等)
だい907じょう 共同そうぞく人は, 次条のきていにより被そうぞく人が遺言で禁じたばあいをのぞき, いつでも, その協議で, 遺産の分割をすることができる.
② 遺産の分割について, 共同そうぞく人間に協議が調わないとき, または 協議をすることができないときは, 各共同そうぞく人は, その分割をかていさいばんしょにせいきゅうすることができる.
③ ぜんこうのばあいにおいて特別の事由があるときは, かていさいばんしょは, 期間をさだめて, 遺産の全部 または いちぶについて, その分割を禁ずることができる.
(遺産の分割の方法の指定 および 遺産の分割のきんし)
だい908じょう 被そうぞく人は, 遺言で, 遺産の分割の方法をさだめ, 若しくはこれをさだめることをだいさんしゃに委託し, または そうぞくかいしの時から5ねんを超えない期間をさだめて, 遺産の分割を禁ずることができる.
(遺産の分割のこうりょく)
だい909じょう 遺産の分割は, そうぞくかいしの時にさかのぼってそのこうりょくを生ずる. ただし, だいさんしゃのけんりを害することはできない.
(そうぞくのかいし後に認知された者の価額の支払せいきゅう権)
だい910じょう そうぞくのかいし後認知によってそうぞく人となった者が遺産の分割をせいきゅうしようとするばあいにおいて, 他の共同そうぞく人が既にその分割その他のしょぶんをしたときは, 価額のみによる支払のせいきゅう権をゆうする.
(共同そうぞく人間の担保責任)
だい911じょう 各共同そうぞく人は, 他の共同そうぞく人に対して, 売主と同じく, そのそうぞく分に応じて担保の責任を負う.
(遺産の分割によってうけた債権についての担保責任)
だい912じょう 各共同そうぞく人は, そのそうぞく分に応じ, 他の共同そうぞく人が遺産の分割によってうけた債権について, その分割の時における債務者の資力を担保する.
② 弁済期に至らない債権 および 停止条件付きの債権については, 各共同そうぞく人は, 弁済をすべき時における債務者の資力を担保する.
(資力のない共同そうぞく人があるばあいの担保責任の分担)
だい913じょう 担保の責任を負う共同そうぞく人中に償還をする資力のない者があるときは, その償還することができない部分は, 求償者 および 他の資力のある者が, それぞれそのそうぞく分に応じて分担する. ただし, 求償者に過失があるときは, 他の共同そうぞく人に対して分担をせいきゅうすることができない.
(遺言による担保責任のさだめ)
だい914じょう 前3じょうのきていは, 被そうぞく人が遺言で別段の意思を表示したときは, てきようしない.
だい4しょう そうぞくの承認 および 放棄
だい1せつ そうそく
(そうぞくの承認 または 放棄をすべき期間)
だい915じょう そうぞく人は, 自己のためにそうぞくのかいしがあったことを知った時から3箇月以内に, そうぞくについて, 単純若しくは限定の承認 または 放棄をしなければならない. ただし, この期間は, 利害関係人 または けんさつかんのせいきゅうによって, かていさいばんしょにおいて伸長することができる.
② そうぞく人は, そうぞくの承認 または 放棄をする前に, そうぞくざいさんの調査をすることができる.
だい916じょう そうぞく人がそうぞくの承認 または 放棄をしないで死亡したときは, 前条だい1こうの期間は, その者のそうぞく人が自己のためにそうぞくのかいしがあったことを知った時から起算する.
だい917じょう そうぞく人がみせいねんしゃ または せいねんひこうけんにんであるときは, だい915じょう だい1こうの期間は, そのほうていだいりにんがみせいねんしゃ または せいねんひこうけんにんのためにそうぞくのかいしがあったことを知った時から起算する.
(そうぞくざいさんの管理)
だい918じょう そうぞく人は, その固有ざいさんにおけるのとどういつの注意をもって, そうぞくざいさんを管理しなければならない. ただし, そうぞくの承認 または 放棄をしたときは, このかぎりでない.
② かていさいばんしょは, 利害関係人 または けんさつかんのせいきゅうによって, いつでも, そうぞくざいさんの保存に必要なしょぶんを命ずることができる.
③ だい27じょうからだい29じょうまでのきていは, ぜんこうのきていによりかていさいばんしょがそうぞくざいさんの管理人を選任したばあいについてじゅんようする.
(そうぞくの承認 および 放棄の撤回 および とりけし)
だい919じょう そうぞくの承認 および 放棄は, だい915じょう だい1こうの期間内でも, 撤回することができない.
② ぜんこうのきていは, だい1へん(そうそく) および 前編(しんぞく)のきていによりそうぞくの承認 または 放棄のとりけしをすることを妨げない.
③ ぜんこうの取消権は, 追認をすることができる時から6箇月間行使しないときは, 時効によって消滅する. そうぞくの承認 または 放棄の時から十年をけいかしたときも, どうようとする.
④ だい2こうのきていにより限定承認 または そうぞくの放棄のとりけしをしようとする者は, その旨をかていさいばんしょに申述しなければならない.
だい2せつ そうぞくの承認
だい1かん 単純承認
(単純承認のこうりょく)
だい920じょう そうぞく人は, 単純承認をしたときは, 無限に被そうぞく人のけんりぎむを承継する.
(法定単純承認)
だい921じょう 次に掲げるばあいには, そうぞく人は, 単純承認をしたものとみなす. 1 そうぞく人がそうぞくざいさんの全部 または いちぶをしょぶんしたとき. ただし, 保存こうい および だい602じょうにさだめる期間を超えない賃貸をすることは, このかぎりでない.
2 そうぞく人がだい915じょう だい1こうの期間内に限定承認 または そうぞくの放棄をしなかったとき.
3 そうぞく人が, 限定承認 または そうぞくの放棄をした後であっても, そうぞくざいさんの全部若しくは いちぶを隠匿し, 私にこれを消費し, または 悪意でこれをそうぞくざいさんの目録中に記載しなかったとき. ただし, そのそうぞく人がそうぞくの放棄をしたことによってそうぞく人となった者がそうぞくの承認をした後は, このかぎりでない.
だい2かん 限定承認
(限定承認)
だい922じょう そうぞく人は, そうぞくによって得たざいさんの限度においてのみ被そうぞく人の債務 および 遺贈を弁済すべきことを留保して, そうぞくの承認をすることができる.
(共同そうぞく人の限定承認)
だい923じょう そうぞく人が数人あるときは, 限定承認は, 共同そうぞく人の全員が共同してのみこれをすることができる.
(限定承認の方式)
だい924じょう そうぞく人は, 限定承認をしようとするときは, だい915じょう だい1こうの期間内に, そうぞくざいさんの目録を作成してかていさいばんしょに提出し, 限定承認をする旨を申述しなければならない.
(限定承認をしたときのけんりぎむ)
だい925じょう そうぞく人が限定承認をしたときは, その被そうぞく人に対して有したけんりぎむは, 消滅しなかったものとみなす.
(限定承認者による管理)
だい926じょう 限定承認者は, その固有ざいさんにおけるのとどういつの注意をもって, そうぞくざいさんの管理を継続しなければならない.
② だい645じょう, だい646じょう, だい650じょう だい1こう および だい2こう並びにだい918じょう だい2こう および だい3こうのきていは, ぜんこうのばあいについてじゅんようする.
(そうぞく債権者 および 受遺者に対する公告 および 催告)
だい927じょう 限定承認者は, 限定承認をした後5日以内に, すべてのそうぞく債権者(そうぞくざいさんに属する債務の債権者をいう. 以下同じ.) および 受遺者に対し, 限定承認をしたこと および 1定の期間内にそのせいきゅうの申出をすべき旨を公告しなければならない. このばあいにおいて, その期間は, 2箇月を下ることができない.
② ぜんこうのきていによる公告には, そうぞく債権者 および 受遺者がその期間内に申出をしないときは弁済から除斥されるべき旨を付記しなければならない. ただし, 限定承認者は, 知れているそうぞく債権者 および 受遺者を除斥することができない.
③ 限定承認者は, 知れているそうぞく債権者 および 受遺者には, 各別にその申出の催告をしなければならない.
④ だい1こうのきていによる公告は, 官報に掲載してする.
(公告期間満了前の弁済の拒絶)
だい928じょう 限定承認者は, 前条だい1こうの期間の満了前には, そうぞく債権者 および 受遺者に対して弁済を拒むことができる.
(公告期間満了後の弁済)
だい929じょう だい927じょう だい1こうの期間が満了した後は, 限定承認者は, そうぞくざいさんをもって, その期間内に同項の申出をしたそうぞく債権者その他知れているそうぞく債権者に, それぞれその債権額の割合に応じて弁済をしなければならない. ただし, 優先権をゆうする債権者のけんりを害することはできない.
(期限前の債務等の弁済)
だい930じょう 限定承認者は, 弁済期に至らない債権であっても, 前条のきていに従って弁済をしなければならない.
② 条件付きの債権 または 存続期間の不かくていな債権は, かていさいばんしょが選任した鑑定人の評価に従って弁済をしなければならない.
(受遺者に対する弁済)
だい931じょう 限定承認者は, 前2じょうのきていに従って各そうぞく債権者に弁済をした後でなければ, 受遺者に弁済をすることができない.
(弁済のためのそうぞくざいさんの換価)
だい932じょう 前3じょうのきていに従って弁済をするにつきそうぞくざいさんを売却する必要があるときは, 限定承認者は, これを競売に付さなければならない. ただし, かていさいばんしょが選任した鑑定人の評価にしたがいそうぞくざいさんの全部 または いちぶの価額を弁済して, その競売を止めることができる.
(そうぞく債権者 および 受遺者の換価手続への参加)
だい933じょう そうぞく債権者 および 受遺者は, 自己の費用で, そうぞくざいさんの競売 または 鑑定に参加することができる. このばあいにおいては, だい260じょう だい2こうのきていをじゅんようする.
(不当な弁済をした限定承認者の責任等)
だい934じょう 限定承認者は, だい927じょうの公告若しくは催告をすることを怠り, または 同条だい1こうの期間内にそうぞく債権者若しくは受遺者に弁済をしたことによって他のそうぞく債権者若しくは受遺者に弁済をすることができなくなったときは, これによって生じた損害を賠償する責任を負う. だい929じょうからだい931じょうまでのきていに違反して弁済をしたときも, どうようとする.
② ぜんこうのきていは, 情を知って不当に弁済をうけたそうぞく債権者 または 受遺者に対する他のそうぞく債権者 または 受遺者の求償を妨げない.
③ だい724じょうのきていは, 前2こうのばあいについてじゅんようする.
(公告期間内に申出をしなかったそうぞく債権者 および 受遺者)
だい935じょう だい927じょう だい1こうの期間内に同項の申出をしなかったそうぞく債権者 および 受遺者で限定承認者に知れなかったものは, 残余ざいさんについてのみそのけんりを行使することができる. ただし, そうぞくざいさんについて特別担保をゆうする者は, このかぎりでない.
(そうぞく人が数人あるばあいのそうぞくざいさんの管理人)
だい936じょう そうぞく人が数人あるばあいには, かていさいばんしょは, そうぞく人の中から, そうぞくざいさんの管理人を選任しなければならない.
② ぜんこうのそうぞくざいさんの管理人は, そうぞく人のために, これに代わって, そうぞくざいさんの管理 および 債務の弁済に必要な1切のこういをする.
③ だい926じょうから前条までのきていは, だい1こうのそうぞくざいさんの管理人についてじゅんようする. このばあいにおいて, だい927じょう だい1こう中「限定承認をした後5日以内」とあるのは, 「そのそうぞくざいさんの管理人の選任があった後十日以内」と読み替えるものとする.
(法定単純承認の事由があるばあいのそうぞく債権者)
だい937じょう 限定承認をした共同そうぞく人の1人 または 数人についてだい921じょう だい1ごう または だい3ごうに掲げる事由があるときは, そうぞく債権者は, そうぞくざいさんをもって弁済をうけることができなかった債権額について, とうがい 共同そうぞく人に対し, そのそうぞく分に応じてけんりを行使することができる.
だい3せつ そうぞくの放棄
(そうぞくの放棄の方式)
だい938じょう そうぞくの放棄をしようとする者は, その旨をかていさいばんしょに申述しなければならない.
(そうぞくの放棄のこうりょく)
だい939じょう そうぞくの放棄をした者は, そのそうぞくにかんしては, 初めからそうぞく人とならなかったものとみなす.
(そうぞくの放棄をした者による管理)
だい940じょう そうぞくの放棄をした者は, その放棄によってそうぞく人となった者がそうぞくざいさんの管理を始めることができるまで, 自己のざいさんにおけるのとどういつの注意をもって, そのざいさんの管理を継続しなければならない.
② だい645じょう, だい646じょう, だい650じょう だい1こう および だい2こう並びにだい918じょう だい2こう および だい3こうのきていは, ぜんこうのばあいについてじゅんようする.
だい5しょう ざいさん分離
(そうぞく債権者 または 受遺者のせいきゅうによるざいさん分離)
だい941じょう そうぞく債権者 または 受遺者は, そうぞくかいしの時から3箇月以内に, そうぞく人のざいさんの中からそうぞくざいさんを分離することをかていさいばんしょにせいきゅうすることができる. そうぞくざいさんがそうぞく人の固有ざいさんと混合しない間は, その期間の満了後も, どうようとする.
② かていさいばんしょがぜんこうのせいきゅうによってざいさん分離を命じたときは, そのせいきゅうをした者は, 5日以内に, 他のそうぞく債権者 および 受遺者に対し, ざいさん分離の命令があったこと および 1定の期間内に配当加入の申出をすべき旨を公告しなければならない. このばあいにおいて, その期間は, 2箇月を下ることができない.
③ ぜんこうのきていによる公告は, 官報に掲載してする.
(ざいさん分離のこうりょく)
だい942じょう ざいさん分離のせいきゅうをした者 および 前条だい2こうのきていにより配当加入の申出をした者は, そうぞくざいさんについて, そうぞく人の債権者に先立って弁済をうける.
(ざいさん分離のせいきゅう後のそうぞくざいさんの管理)
だい943じょう ざいさん分離のせいきゅうがあったときは, かていさいばんしょは, そうぞくざいさんの管理について必要なしょぶんを命ずることができる.
② だい27じょうからだい29じょうまでのきていは, ぜんこうのきていによりかていさいばんしょがそうぞくざいさんの管理人を選任したばあいについてじゅんようする.
(ざいさん分離のせいきゅう後のそうぞく人による管理)
だい944じょう そうぞく人は, 単純承認をした後でも, ざいさん分離のせいきゅうがあったときは, 以後, その固有ざいさんにおけるのとどういつの注意をもって, そうぞくざいさんの管理をしなければならない. ただし, かていさいばんしょがそうぞくざいさんの管理人を選任したときは, このかぎりでない.
② だい645じょうからだい647じょうまで並びにだい650じょう だい1こう および だい2こうのきていは, ぜんこうのばあいについてじゅんようする.
(不動産についてのざいさん分離の対抗要件)
だい945じょう ざいさん分離は, 不動産については, その登記をしなければ, だいさんしゃに対抗することができない.
(物上代位のきていのじゅんよう)
だい946じょう だい304じょうのきていは, ざいさん分離のばあいについてじゅんようする.
(そうぞく債権者 および 受遺者に対する弁済)
だい947じょう そうぞく人は, だい941じょう だい1こう および だい2こうの期間の満了前には, そうぞく債権者 および 受遺者に対して弁済を拒むことができる.
② ざいさん分離のせいきゅうがあったときは, そうぞく人は, だい941じょう だい2こうの期間の満了後に, そうぞくざいさんをもって, ざいさん分離のせいきゅう または 配当加入の申出をしたそうぞく債権者 および 受遺者に, それぞれその債権額の割合に応じて弁済をしなければならない. ただし, 優先権をゆうする債権者のけんりを害することはできない.
③ だい930じょうからだい934じょうまでのきていは, ぜんこうのばあいについてじゅんようする.
(そうぞく人の固有ざいさんからの弁済)
だい948じょう ざいさん分離のせいきゅうをした者 および 配当加入の申出をした者は, そうぞくざいさんをもって全部の弁済をうけることができなかったばあいにかぎり, そうぞく人の固有ざいさんについてそのけんりを行使することができる. このばあいにおいては, そうぞく人の債権者は, その者に先立って弁済をうけることができる.
(ざいさん分離のせいきゅうの防止等)
だい949じょう そうぞく人は, その固有ざいさんをもってそうぞく債権者若しくは受遺者に弁済をし, または これに相当の担保を供して, ざいさん分離のせいきゅうを防止し, または そのこうりょくを消滅させることができる. ただし, そうぞく人の債権者が, これによって損害をうけるべきことを証明して, 異議を述べたときは, このかぎりでない.
(そうぞく人の債権者のせいきゅうによるざいさん分離)
だい950じょう そうぞく人が限定承認をすることができる間 または そうぞくざいさんがそうぞく人の固有ざいさんと混合しない間は, そうぞく人の債権者は, かていさいばんしょに対してざいさん分離のせいきゅうをすることができる.
② だい304じょう, だい925じょう, だい927じょうからだい934じょうまで, だい943じょうからだい945じょうまで および だい948じょうのきていは, ぜんこうのばあいについてじゅんようする. ただし, だい927じょうの公告 および 催告は, ざいさん分離のせいきゅうをした債権者がしなければならない.
だい6しょう そうぞく人の不存在
(そうぞくざいさん法人の成立)
だい951じょう そうぞく人のあることが明らかでないときは, そうぞくざいさんは, 法人とする.
(そうぞくざいさんの管理人の選任)
だい952じょう 前条のばあいには, かていさいばんしょは, 利害関係人 または けんさつかんのせいきゅうによって, そうぞくざいさんの管理人を選任しなければならない.
② ぜんこうのきていによりそうぞくざいさんの管理人を選任したときは, かていさいばんしょは, 遅滞なくこれを公告しなければならない.
(不在者のざいさんの管理人にかんする きていのじゅんよう)
だい953じょう だい27じょうからだい29じょうまでのきていは, 前条だい1こうのそうぞくざいさんの管理人(以下この章において単に「そうぞくざいさんの管理人」という.)についてじゅんようする.
(そうぞくざいさんの管理人の報告)
だい954じょう そうぞくざいさんの管理人は, そうぞく債権者 または 受遺者のせいきゅうがあるときは, そのせいきゅうをした者にそうぞくざいさんのじょうきょうを報告しなければならない.
(そうぞくざいさん法人の不成立)
だい955じょう そうぞく人のあることが明らかになったときは, だい951じょうの法人は, 成立しなかったものとみなす. ただし, そうぞくざいさんの管理人がその権限内でしたこういのこうりょくを妨げない.
(そうぞくざいさんの管理人の代理権の消滅)
だい956じょう そうぞくざいさんの管理人の代理権は, そうぞく人がそうぞくの承認をした時に消滅する.
② ぜんこうのばあいには, そうぞくざいさんの管理人は, 遅滞なくそうぞく人に対して管理の計算をしなければならない.
(そうぞく債権者 および 受遺者に対する弁済)
だい957じょう だい952じょう だい2こうの公告があった後2箇月以内にそうぞく人のあることが明らかにならなかったときは, そうぞくざいさんの管理人は, 遅滞なく, すべてのそうぞく債権者 および 受遺者に対し, 1定の期間内にそのせいきゅうの申出をすべき旨を公告しなければならない. このばあいにおいて, その期間は, 2箇月を下ることができない.
② だい927じょう だい2こうからだい4こうまで および だい928じょうからだい935じょうまで(だい932じょうただし書を除く.)のきていは, ぜんこうのばあいについてじゅんようする.
(そうぞく人の捜索の公告)
だい958じょう 前条だい1こうの期間の満了後, なおそうぞく人のあることが明らかでないときは, かていさいばんしょは, そうぞくざいさんの管理人 または けんさつかんのせいきゅうによって, そうぞく人があるならば1定の期間内にそのけんりを主張すべき旨を公告しなければならない. このばあいにおいて, その期間は, 6箇月を下ることができない.
(けんりを主張する者がないばあい)
だい958じょうの2 前条の期間内にそうぞく人としてのけんりを主張する者がないときは, そうぞく人並びにそうぞくざいさんの管理人に知れなかったそうぞく債権者 および 受遺者は, そのけんりを行使することができない.
(特別縁故者に対するそうぞくざいさんの分与)
だい958じょうの3 前条のばあいにおいて, 相当と認めるときは, かていさいばんしょは, 被そうぞく人と生計を同じくしていた者, 被そうぞく人の療養看護に努めた者その他被そうぞく人と特別の縁故があった者のせいきゅうによって, これらの者に, 清算後残存すべきそうぞくざいさんの全部 または いちぶを与えることができる.
② ぜんこうのせいきゅうは, だい958じょうの期間の満了後3箇月以内にしなければならない.
(残余ざいさんの国庫への帰属)
だい959じょう 前条のきていによりしょぶんされなかったそうぞくざいさんは, 国庫に帰属する. このばあいにおいては, だい956じょう だい2こうのきていをじゅんようする.
だい7しょう 遺言
だい1せつ そうそく
(遺言の方式)
だい960じょう 遺言は, この ほうりつにさだめる方式に従わなければ, することができない.
(遺言のうりょく)
だい961じょう 十5歳に達した者は, 遺言をすることができる.
だい962じょう だい5じょう, だい9じょう, だい13じょう および だい17じょうのきていは, 遺言については, てきようしない.
だい963じょう 遺言者は, 遺言をする時においてそののうりょくを有しなければならない.
(包括遺贈 および 特定遺贈)
だい964じょう 遺言者は, 包括 または 特定の名義で, そのざいさんの全部 または いちぶをしょぶんすることができる. ただし, 遺留分にかんする きていに違反することができない.
(そうぞく人にかんする きていのじゅんよう)
だい965じょう だい886じょう および だい891じょうのきていは, 受遺者についてじゅんようする.
(ひこうけんにんの遺言の制限)
だい966じょう ひこうけんにんが, こうけんの計算の終了前に, こうけんにん または そのはいぐうしゃ若しくは直系卑属の利益となるべき遺言をしたときは, その遺言は, 無効とする.
② ぜんこうのきていは, 直系血族, はいぐうしゃ または 兄弟姉妹がこうけんにんであるばあいには, てきようしない.
だい2せつ 遺言の方式
だい1かん 普通の方式
(普通の方式による遺言の種類)
だい967じょう 遺言は, 自筆証書, 公正証書 または 秘密証書によってしなければならない. ただし, 特別の方式によることを許すばあいは, このかぎりでない.
(自筆証書遺言)
だい968じょう 自筆証書によって遺言をするには, 遺言者が, その全文, 日付 および 氏名を自書し, これに印を押さなければならない.
② 自筆証書中の加除その他の変更は, 遺言者が, その場所を指示し, これを変更した旨を付記して特にこれに署名し, かつ, その変更の場所に印を押さなければ, そのこうりょくを生じない.
(公正証書遺言)
だい969じょう 公正証書によって遺言をするには, 次に掲げる方式に従わなければならない. 1 証人2人以上の立会いがあること.
2 遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること.
3 公証人が, 遺言者の口述を筆記し, これを遺言者 および 証人に読み聞かせ, または 閲覧させること.
4 遺言者 および 証人が, 筆記の正確なことを承認した後, 各自これに署名し, 印を押すこと. ただし, 遺言者が署名することができないばあいは, 公証人がその事由を付記して, 署名に代えることができる.
5 公証人が, その証書は前各号に掲げる方式に従って作ったものである旨を付記して, これに署名し, 印を押すこと.
(公正証書遺言の方式の特則)
だい969じょうの2 口がきけない者が公正証書によって遺言をするばあいには, 遺言者は, 公証人 および 証人の前で, 遺言の趣旨を通訳人の通訳により申述し, または 自書して, 前条だい2ごうの口授に代えなければならない. このばあいにおける同条だい3ごうのきていのてきようについては, 同号中「口述」とあるのは, 「通訳人の通訳による申述 または 自書」とする.
② 前条の遺言者 または 証人が耳が聞こえない者であるばあいには, 公証人は, 同条だい3ごうにきていする筆記した内容を通訳人の通訳により遺言者 または 証人に伝えて, 同号の読み聞かせに代えることができる.
③ 公証人は, 前2こうにさだめる方式に従って公正証書を作ったときは, その旨をその証書に付記しなければならない.
(秘密証書遺言)
だい970じょう 秘密証書によって遺言をするには, 次に掲げる方式に従わなければならない. 1 遺言者が, その証書に署名し, 印を押すこと.
2 遺言者が, その証書を封じ, 証書に用いた印章をもってこれに封印すること.
3 遺言者が, 公証人1人 および 証人2人以上の前に封書を提出して, 自己の遺言書である旨並びにその筆者の氏名 および 住所を申述すること.
4 公証人が, その証書を提出した日付 および 遺言者の申述を封紙に記載した後, 遺言者 および 証人とともにこれに署名し, 印を押すこと.
② だい968じょう だい2こうのきていは, 秘密証書による遺言についてじゅんようする.
(方式に欠ける秘密証書遺言のこうりょく)
だい971じょう 秘密証書による遺言は, 前条にさだめる方式に欠けるものがあっても, だい968じょうにさだめる方式を具備しているときは, 自筆証書による遺言としてそのこうりょくをゆうする.
(秘密証書遺言の方式の特則)
だい972じょう 口がきけない者が秘密証書によって遺言をするばあいには, 遺言者は, 公証人 および 証人の前で, その証書は自己の遺言書である旨並びにその筆者の氏名 および 住所を通訳人の通訳により申述し, または 封紙に自書して, だい970じょう だい1こうだい3ごうの申述に代えなければならない.
② ぜんこうのばあいにおいて, 遺言者が通訳人の通訳により申述したときは, 公証人は, その旨を封紙に記載しなければならない.
③ だい1こうのばあいにおいて, 遺言者が封紙に自書したときは, 公証人は, その旨を封紙に記載して, だい970じょう だい1こうだい4ごうにきていする申述の記載に代えなければならない.
(せいねんひこうけんにんの遺言)
だい973じょう せいねんひこうけんにんがじり(事理)を弁識するのうりょくを1時回復した時において遺言をするには, 医師2人以上の立会いがなければならない.
② 遺言に立ち会った医師は, 遺言者が遺言をする時において精神上のしょうがいによりじり(事理)を弁識するのうりょくを欠く状態になかった旨を遺言書に付記して, これに署名し, 印を押さなければならない. ただし, 秘密証書による遺言にあっては, その封紙にその旨の記載をし, 署名し, 印を押さなければならない.
(証人 および 立会人の欠格事由)
だい974じょう 次に掲げる者は, 遺言の証人 または 立会人となることができない. 1 みせいねんしゃ
2 推定そうぞく人 および 受遺者並びにこれらのはいぐうしゃ および 直系血族
3 公証人のはいぐうしゃ, 4しんとう内のしんぞく, 書記 および 使用人
(共同遺言のきんし)
だい975じょう 遺言は, 2人以上の者がどういつの証書ですることができない.
だい2かん 特別の方式
(死亡の危急に迫った者の遺言)
だい976じょう 疾病その他の事由によって死亡の危急に迫った者が遺言をしようとするときは, 証人3人以上の立会いをもって, その1人に遺言の趣旨を口授して, これをすることができる. このばあいにおいては, その口授をうけた者が, これを筆記して, 遺言者 および 他の証人に読み聞かせ, または 閲覧させ, 各証人がその筆記の正確なことを承認した後, これに署名し, 印を押さなければならない.
② 口がきけない者がぜんこうのきていにより遺言をするばあいには, 遺言者は, 証人の前で, 遺言の趣旨を通訳人の通訳により申述して, 同項の口授に代えなければならない.
③ だい1こう後段の遺言者 または 他の証人が耳が聞こえない者であるばあいには, 遺言の趣旨の口授 または 申述をうけた者は, 同項後段にきていする筆記した内容を通訳人の通訳によりその遺言者 または 他の証人に伝えて, 同項後段の読み聞かせに代えることができる.
④ 前3こうのきていによりした遺言は, 遺言の日から20日以内に, 証人の1人 または 利害関係人からかていさいばんしょにせいきゅうしてその確認を得なければ, そのこうりょくを生じない.
⑤ かていさいばんしょは, ぜんこうの遺言が遺言者の真意に出たものであるとの心証を得なければ, これを確認することができない.
(伝染病隔離者の遺言)
だい977じょう 伝染病のため行政しょぶんによって交通を断たれた場所に在る者は, 警察官1人 および 証人1人以上の立会いをもって遺言書を作ることができる.
(在船者の遺言)
だい978じょう 船舶中に在る者は, 船長 または 事務員1人 および 証人2人以上の立会いをもって遺言書を作ることができる.
(船舶遭難者の遺言)
だい979じょう 船舶が遭難したばあいにおいて, とうがい 船舶中に在って死亡の危急に迫った者は, 証人2人以上の立会いをもって口頭で遺言をすることができる.
② 口がきけない者がぜんこうのきていにより遺言をするばあいには, 遺言者は, 通訳人の通訳によりこれをしなければならない.
③ 前2こうのきていに従ってした遺言は, 証人が, その趣旨を筆記して, これに署名し, 印を押し, かつ, 証人の1人 または 利害関係人から遅滞なくかていさいばんしょにせいきゅうしてその確認を得なければ, そのこうりょくを生じない.
④ だい976じょう だい5こうのきていは, ぜんこうのばあいについてじゅんようする.
(遺言関係者の署名 および 押印)
だい980じょう だい977じょう および だい978じょうのばあいには, 遺言者, 筆者, 立会人 および 証人は, 各自遺言書に署名し, 印を押さなければならない.
(署名 または 押印が不能のばあい)
だい981じょう だい977じょうからだい979じょうまでのばあいにおいて, 署名 または 印を押すことのできない者があるときは, 立会人 または 証人は, その事由を付記しなければならない.
(普通の方式による遺言のきていのじゅんよう)
だい982じょう だい968じょう だい2こう および だい973じょうからだい975じょうまでのきていは, だい976じょうから前条までのきていによる遺言についてじゅんようする.
(特別の方式による遺言のこうりょく)
だい983じょう だい976じょうから前条までのきていによりした遺言は, 遺言者が普通の方式によって遺言をすることができるようになった時から6箇月間生存するときは, そのこうりょくを生じない.
(外国に在る日ほんにんの遺言の方式)
だい984じょう 日本の領事の駐在する地に在る日ほんにんが公正証書 または 秘密証書によって遺言をしようとするときは, 公証人の職務は, 領事が行う.
だい3せつ 遺言のこうりょく
(遺言のこうりょくの発生時期)
だい985じょう 遺言は, 遺言者の死亡の時からそのこうりょくを生ずる.
② 遺言に停止条件を付したばあいにおいて, その条件が遺言者の死亡後に成就したときは, 遺言は, 条件が成就した時からそのこうりょくを生ずる.
(遺贈の放棄)
だい986じょう 受遺者は, 遺言者の死亡後, いつでも, 遺贈の放棄をすることができる.
② 遺贈の放棄は, 遺言者の死亡の時にさかのぼってそのこうりょくを生ずる.
(受遺者に対する遺贈の承認 または 放棄の催告)
だい987じょう 遺贈ぎむ者(遺贈の履行をするぎむを負う者をいう. 以下この節において同じ.)その他の利害関係人は, 受遺者に対し, 相当の期間をさだめて, その期間内に遺贈の承認 または 放棄をすべき旨の催告をすることができる. このばあいにおいて, 受遺者がその期間内に遺贈ぎむ者に対してその意思を表示しないときは, 遺贈を承認したものとみなす.
(受遺者のそうぞく人による遺贈の承認 または 放棄)
だい988じょう 受遺者が遺贈の承認 または 放棄をしないで死亡したときは, そのそうぞく人は, 自己のそうぞく権のはんい内で, 遺贈の承認 または 放棄をすることができる. ただし, 遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは, その意思に従う.
(遺贈の承認 および 放棄の撤回 および とりけし)
だい989じょう 遺贈の承認 および 放棄は, 撤回することができない.
② だい919じょう だい2こう および だい3こうのきていは, 遺贈の承認 および 放棄についてじゅんようする.
(包括受遺者のけんりぎむ)
だい990じょう 包括受遺者は, そうぞく人とどういつのけんりぎむをゆうする.
(受遺者による担保のせいきゅう)
だい991じょう 受遺者は, 遺贈が弁済期に至らない間は, 遺贈ぎむ者に対して相当の担保をせいきゅうすることができる. 停止条件付きの遺贈についてその条件の成否が未定である間も, どうようとする.
(受遺者による果実の取得)
だい992じょう 受遺者は, 遺贈の履行をせいきゅうすることができる時から果実を取得する. ただし, 遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは, その意思に従う.
(遺贈ぎむ者による費用の償還せいきゅう)
だい993じょう だい299じょうのきていは, 遺贈ぎむ者が遺言者の死亡後に遺贈のもくてき物について費用を支出したばあいについてじゅんようする.
② 果実を収取するために支出した通常の必要費は, 果実の価格を超えない限度で, その償還をせいきゅうすることができる.
(受遺者の死亡による遺贈の失効)
だい994じょう 遺贈は, 遺言者の死亡以前に受遺者が死亡したときは, そのこうりょくを生じない.
② 停止条件付きの遺贈については, 受遺者がその条件の成就前に死亡したときも, ぜんこうとどうようとする. ただし, 遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは, その意思に従う.
(遺贈の無効 または 失効のばあいのざいさんの帰属)
だい995じょう 遺贈が, そのこうりょくを生じないとき, または 放棄によってそのこうりょくを失ったときは, 受遺者がうけるべきであったものは, そうぞく人に帰属する. ただし, 遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは, その意思に従う.
(そうぞくざいさんに属しないけんりの遺贈)
だい996じょう 遺贈は, そのもくてきであるけんりが遺言者の死亡の時においてそうぞくざいさんに属しなかったときは, そのこうりょくを生じない. ただし, そのけんりがそうぞくざいさんに属するかどうかにかかわらず, これを遺贈のもくてきとしたものと認められるときは, このかぎりでない.
だい997じょう そうぞくざいさんに属しないけんりをもくてきとする遺贈が前条ただし書のきていにより有効であるときは, 遺贈ぎむ者は, そのけんりを取得して受遺者に移転するぎむを負う.
② ぜんこうのばあいにおいて, 同項にきていするけんりを取得することができないとき, または これを取得するについて過分の費用を要するときは, 遺贈ぎむ者は, その価額を弁償しなければならない. ただし, 遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは, その意思に従う.
(不特定物の遺贈ぎむ者の担保責任)
だい998じょう 不特定物を遺贈のもくてきとしたばあいにおいて, 受遺者がこれにつきだいさんしゃから追奪をうけたときは, 遺贈ぎむ者は, これに対して, 売主と同じく, 担保の責任を負う.
② 不特定物を遺贈のもくてきとしたばあいにおいて, 物に瑕疵があったときは, 遺贈ぎむ者は, 瑕疵のない物をもってこれに代えなければならない.
(遺贈の物上代位)
だい999じょう 遺言者が, 遺贈のもくてき物の滅失若しくは変造 または その占有のそうしつによってだいさんしゃに対して償金をせいきゅうするけんりをゆうするときは, そのけんりを遺贈のもくてきとしたものと推定する.
② 遺贈のもくてき物が, 他の物と付合し, または 混和したばあいにおいて, 遺言者がだい243じょうからだい245じょうまでのきていにより合成物 または 混和物の単独所有者 または 共有者となったときは, その全部の所有権 または 持分を遺贈のもくてきとしたものと推定する.
(だいさんしゃのけんりのもくてきであるざいさんの遺贈)
だい1000じょう 遺贈のもくてきである物 または けんりが遺言者の死亡の時においてだいさんしゃのけんりのもくてきであるときは, 受遺者は, 遺贈ぎむ者に対しそのけんりを消滅させるべき旨をせいきゅうすることができない. ただし, 遺言者がその遺言に反対の意思を表示したときは, このかぎりでない.
(債権の遺贈の物上代位)
だい1001じょう 債権を遺贈のもくてきとしたばあいにおいて, 遺言者が弁済をうけ, かつ, そのうけ取った物がなおそうぞくざいさん中に在るときは, その物を遺贈のもくてきとしたものと推定する.
② 金銭をもくてきとする債権を遺贈のもくてきとしたばあいにおいては, そうぞくざいさん中にその債権額に相当する金銭がないときであっても, その金額を遺贈のもくてきとしたものと推定する.
(負担付遺贈)
だい1002じょう 負担付遺贈をうけた者は, 遺贈のもくてきの価額を超えない限度においてのみ, 負担したぎむを履行する責任を負う.
② 受遺者が遺贈の放棄をしたときは, 負担の利益をうけるべき者は, 自ら受遺者となることができる. ただし, 遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは, その意思に従う.
(負担付遺贈の受遺者の免責)
だい1003じょう 負担付遺贈のもくてきの価額がそうぞくの限定承認 または 遺留分回復の訴えによって減少したときは, 受遺者は, その減少の割合に応じて, その負担したぎむをまぬかれる. ただし, 遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは, その意思に従う.
だい4せつ 遺言の執行
(遺言書の検認)
だい1004じょう 遺言書の保管者は, そうぞくのかいしを知った後, 遅滞なく, これをかていさいばんしょに提出して, その検認をせいきゅうしなければならない. 遺言書の保管者がないばあいにおいて, そうぞく人が遺言書を発見した後も, どうようとする.
② ぜんこうのきていは, 公正証書による遺言については, てきようしない.
③ 封印のある遺言書は, かていさいばんしょにおいてそうぞく人 または その代理人の立会いがなければ, 開封することができない.
(過料)
だい1005じょう 前条のきていにより遺言書を提出することを怠り, その検認を経ないで遺言を執行し, または かていさいばんしょ外においてその開封をした者は, 5万円以下の過料に処する.
(遺言執行者の指定)
だい1006じょう 遺言者は, 遺言で, 1人 または 数人の遺言執行者を指定し, または その指定をだいさんしゃに委託することができる.
② 遺言執行者の指定の委託をうけた者は, 遅滞なく, その指定をして, これをそうぞく人に通知しなければならない.
③ 遺言執行者の指定の委託をうけた者がその委託を辞そうとするときは, 遅滞なくその旨をそうぞく人に通知しなければならない.
(遺言執行者の任務のかいし)
だい1007じょう 遺言執行者が就職を承諾したときは, 直ちにその任務を行わなければならない.
(遺言執行者に対する就職の催告)
だい1008じょう そうぞく人その他の利害関係人は, 遺言執行者に対し, 相当の期間をさだめて, その期間内に就職を承諾するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる. このばあいにおいて, 遺言執行者が, その期間内にそうぞく人に対して確答をしないときは, 就職を承諾したものとみなす.
(遺言執行者の欠格事由)
だい1009じょう みせいねんしゃ および 破産者は, 遺言執行者となることができない.
(遺言執行者の選任)
だい1010じょう 遺言執行者がないとき, または なくなったときは, かていさいばんしょは, 利害関係人のせいきゅうによって, これを選任することができる.
(そうぞくざいさんの目録の作成)
だい1011じょう 遺言執行者は, 遅滞なく, そうぞくざいさんの目録を作成して, そうぞく人に交付しなければならない.
② 遺言執行者は, そうぞく人のせいきゅうがあるときは, その立会いをもってそうぞくざいさんの目録を作成し, または 公証人にこれを作成させなければならない.
(遺言執行者のけんりぎむ)
だい1012じょう 遺言執行者は, そうぞくざいさんの管理その他遺言の執行に必要な1切のこういをするけんりぎむをゆうする.
② だい644じょうからだい647じょうまで および だい650じょうのきていは, 遺言執行者についてじゅんようする.
(遺言の執行の妨害こういのきんし)
だい1013じょう 遺言執行者があるばあいには, そうぞく人は, そうぞくざいさんのしょぶんその他遺言の執行を妨げるべきこういをすることができない.
(特定ざいさんにかんする 遺言の執行)
だい1014じょう 前3じょうのきていは, 遺言がそうぞくざいさんのうち特定のざいさんにかんする ばあいには, そのざいさんについてのみてきようする.
(遺言執行者の地位)
だい1015じょう 遺言執行者は, そうぞく人の代理人とみなす.
(遺言執行者の復任権)
だい1016じょう 遺言執行者は, やむを得ない事由がなければ, だいさんしゃにその任務を行わせることができない. ただし, 遺言者がその遺言に反対の意思を表示したときは, このかぎりでない.
② 遺言執行者がぜんこうただし書のきていによりだいさんしゃにその任務を行わせるばあいには, そうぞく人に対して, だい105じょうにきていする責任を負う.
(遺言執行者が数人あるばあいの任務の執行)
だい1017じょう 遺言執行者が数人あるばあいには, その任務の執行は, 過半数で決する. ただし, 遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは, その意思に従う.
② 各遺言執行者は, ぜんこうのきていにかかわらず, 保存こういをすることができる.
(遺言執行者の報酬)
だい1018じょう かていさいばんしょは, そうぞくざいさんのじょうきょうその他の事情によって遺言執行者の報酬をさだめることができる. ただし, 遺言者がその遺言に報酬をさだめたときは, このかぎりでない.
② だい648じょう だい2こう および だい3こうのきていは, 遺言執行者が報酬をうけるべきばあいについてじゅんようする.
(遺言執行者の解任 および 辞任)
だい1019じょう 遺言執行者がその任務を怠ったときその他正当な事由があるときは, 利害関係人は, その解任をかていさいばんしょにせいきゅうすることができる.
② 遺言執行者は, 正当な事由があるときは, かていさいばんしょのきょかを得て, その任務を辞することができる.
(委任のきていのじゅんよう)
だい1020じょう だい654じょう および だい655じょうのきていは, 遺言執行者の任務が終了したばあいについてじゅんようする.
(遺言の執行にかんする 費用の負担)
だい1021じょう 遺言の執行にかんする 費用は, そうぞくざいさんの負担とする. ただし, これによって遺留分を減ずることができない.
だい5せつ 遺言の撤回 および とりけし
(遺言の撤回)
だい1022じょう 遺言者は, いつでも, 遺言の方式に従って, その遺言の全部 または いちぶを撤回することができる.
(前の遺言と後の遺言との抵触等)
だい1023じょう 前の遺言が後の遺言と抵触するときは, その抵触する部分については, 後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなす.
② ぜんこうのきていは, 遺言が遺言後の生前しょぶんその他のほうりつこういと抵触するばあいについてじゅんようする.
(遺言書 または 遺贈のもくてき物の破棄)
だい1024じょう 遺言者が故意に遺言書を破棄したときは, その破棄した部分については, 遺言を撤回したものとみなす. 遺言者が故意に遺贈のもくてき物を破棄したときも, どうようとする.
(撤回された遺言のこうりょく)
だい1025じょう 前3じょうのきていにより撤回された遺言は, その撤回のこういが, 撤回され, 取り消され, または こうりょくを生じなくなるに至ったときであっても, そのこうりょくを回復しない. ただし, そのこういが詐欺 または 強迫によるばあいは, このかぎりでない.
(遺言の撤回権の放棄のきんし)
だい1026じょう 遺言者は, その遺言を撤回するけんりを放棄することができない.
(負担付遺贈に係る遺言のとりけし)
だい1027じょう 負担付遺贈をうけた者がその負担したぎむを履行しないときは, そうぞく人は, 相当の期間をさだめてその履行の催告をすることができる. このばあいにおいて, その期間内に履行がないときは, その負担付遺贈に係る遺言のとりけしをかていさいばんしょにせいきゅうすることができる.
だい8しょう 遺留分
(遺留分の帰属 および その割合)
だい1028じょう 兄弟姉妹以外のそうぞく人は, 遺留分として, 次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれとうがい 各号にさだめる割合に相当する額をうける. 1 直系尊属のみがそうぞく人であるばあい 被そうぞく人のざいさんの3分の1
2 前号に掲げるばあい以外のばあい 被そうぞく人のざいさんの2分の1
(遺留分の算定)
だい1029じょう 遺留分は, 被そうぞく人がそうぞくかいしの時において有したざいさんの価額にその贈与したざいさんの価額を加えた額から債務の全額を控除して, これを算定する.
② 条件付きのけんり または 存続期間の不かくていなけんりは, かていさいばんしょが選任した鑑定人の評価に従って, その価格をさだめる.
だい1030じょう 贈与は, そうぞくかいし前の1ねん間にしたものにかぎり, 前条のきていによりその価額を算入する. 当事者双方が遺留分けんり者に損害を加えることを知って贈与をしたときは, 1ねん前の日より前にしたものについても, どうようとする.
(遺贈 または 贈与の減殺せいきゅう)
だい1031じょう 遺留分けんり者 および その承継人は, 遺留分を保全するのに必要な限度で, 遺贈 および 前条にきていする贈与の減殺をせいきゅうすることができる.
(条件付けんり等の贈与 または 遺贈の いちぶの減殺)
だい1032じょう 条件付きのけんり または 存続期間の不かくていなけんりを贈与 または 遺贈のもくてきとしたばあいにおいて, その贈与 または 遺贈の いちぶを減殺すべきときは, 遺留分けんり者は, だい1029じょう だい2こうのきていによりさだめた価格にしたがい, 直ちにその残部の価額を受贈者 または 受遺者に給付しなければならない.
(贈与と遺贈の減殺の順序)
だい1033じょう 贈与は, 遺贈を減殺した後でなければ, 減殺することができない.
(遺贈の減殺の割合)
だい1034じょう 遺贈は, そのもくてきの価額の割合に応じて減殺する. ただし, 遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは, その意思に従う.
(贈与の減殺の順序)
だい1035じょう 贈与の減殺は, 後の贈与から順次前の贈与に対してする.
(受贈者による果実の返還)
だい1036じょう 受贈者は, その返還すべきざいさんのほか, 減殺のせいきゅうがあった日以後の果実を返還しなければならない.
(受贈者の無資力による損失の負担)
だい1037じょう 減殺をうけるべき受贈者の無資力によって生じた損失は, 遺留分けんり者の負担に帰する.
(負担付贈与の減殺せいきゅう)
だい1038じょう 負担付贈与は, そのもくてきの価額から負担の価額を控除したものについて, その減殺をせいきゅうすることができる.
(不相当な対価による有償こうい)
だい1039じょう 不相当な対価をもってした有償こういは, 当事者双方が遺留分けんり者に損害を加えることを知ってしたものにかぎり, これを贈与とみなす. このばあいにおいて, 遺留分けんり者がその減殺をせいきゅうするときは, その対価を償還しなければならない.
(受贈者が贈与のもくてきを譲渡したばあい等)
だい1040じょう 減殺をうけるべき受贈者が贈与のもくてきを他人に譲り渡したときは, 遺留分けんり者にその価額を弁償しなければならない. ただし, 譲受人が譲渡の時において遺留分けんり者に損害を加えることを知っていたときは, 遺留分けんり者は, これに対しても減殺をせいきゅうすることができる.
② ぜんこうのきていは, 受贈者が贈与のもくてきにつきけんりを設定したばあいについてじゅんようする.
(遺留分けんり者に対する価額による弁償)
だい1041じょう 受贈者 および 受遺者は, 減殺をうけるべき限度において, 贈与 または 遺贈のもくてきの価額を遺留分けんり者に弁償して返還のぎむをまぬかれることができる.
② ぜんこうのきていは, 前条だい1こうただし書のばあいについてじゅんようする.
(減殺せいきゅう権の期間の制限)
だい1042じょう 減殺のせいきゅう権は, 遺留分けんり者が, そうぞくのかいし および 減殺すべき贈与 または 遺贈があったことを知った時から1ねん間行使しないときは, 時効によって消滅する. そうぞくかいしの時から十年をけいかしたときも, どうようとする.
(遺留分の放棄)
だい1043じょう そうぞくのかいし前における遺留分の放棄は, かていさいばんしょのきょかをうけたときにかぎり, そのこうりょくを生ずる.
② 共同そうぞく人の1人のした遺留分の放棄は, 他の各共同そうぞく人の遺留分に影響を及ぼさない.
(代襲そうぞく および そうぞく分のきていのじゅんよう)
だい1044じょう だい887じょう だい2こう および だい3こう, だい900じょう, だい901じょう, だい903じょう並びにだい904じょうのきていは, 遺留分についてじゅんようする.
ふそく (大正15ねん4月24日ほうりつ だい69ごう)
本法しこうノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
ふそく (昭和13ねん3月22日ほうりつ だい18ごう) ばっすい
○① 本法しこうノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
ふそく (昭和22ねん4月16日ほうりつ だい61ごう) ばっすい
だい33じょう この ほうりつは, 日本国憲法しこうの日から, これをしこうする.
ふそく (昭和22ねん12月22日ほうりつ だい222ごう)
だい1じょう この ほうりつは, 昭和23ねん1月1日から, これをしこうする.
だい2じょう 明治35ねんほうりつ だい37ごうは, これを廃止する.
だい3じょう このふそくで, しんぽうとは, この ほうりつによるかいせい後のみんぽうをいい, きゅうほうとは, じゅうぜんのみんぽうをいい, 応急措置法とは, 昭和22ねんほうりつ だい74ごうをいう.
だい4じょう しんぽうは, 別段のきていのあるばあいを除いては, しんぽうしこう前に生じた事項にもこれをてきようする. 但し, きゅうほう および 応急措置法によつて生じたこうりょくを妨げない.
だい5じょう 応急措置法しこう前に妻がきゅうほうだい14じょう だい1こうのきていに違反してしたこういは, これをとりけすことができない.
だい6じょう 応急措置法しこう前にした隠居がきゅうほうによつてとりけすことができるばあいには, なお, きゅうほうによつてこれをとりけすことができる. このばあいには, きゅうほうだい760じょうのきていをてきようする.
だい7じょう 応急措置法しこう前に隠居 または 入夫婚姻による戸主権のそうしつがあつたばあいには, なお, きゅうほうだい761じょうのきていをてきようする.
だい8じょう しんぽうしこう前にした婚姻がきゅうほうによつてとりけすことができるばあいでも, その取消の原因である事項がしんぽうにさだめてないときは, その婚姻は, これをとりけすことができない.
だい9じょう しんぽうだい764じょうにおいてじゅんようするしんぽうだい747じょう だい2こうの期間は, 当事者が, しんぽうしこう前に, 詐欺を発見し, または 強迫を免かれたばあいには, しんぽうしこうの日から, これを起算する.
だい10じょう 日本国憲法しこう ごしんぽうしこう前に離婚した者の1方は, しんぽうだい768じょうのきていにしたがい相手方に対してざいさんの分与をせいきゅうすることができる.
○② ぜんこうのきていは, 婚姻の取消についてこれをじゅんようする.
だい11じょう しんぽうしこう前に生じた事実を原因とする離婚のせいきゅうについては, なお, じゅうぜんの例による.
○② しんぽうだい770じょう だい2こうのきていは, ぜんこうのばあいにこれをじゅんようする.
だい12じょう 応急措置法しこう前にみせいねんの子がきゅうほうだい737じょう または だい738じょうのきていによつてちゝ または はゝの家に入つたばあいには, その子は, せいねんに達した時から1ねん以内にじゅうぜんの氏に復することができる. その子がしんぽうしこう前にせいねんに達したばあいにおいて, しんぽうしこう ご1ねん以内も, どうようである.
だい13じょう だい8じょう, だい9じょう および だい11じょうのきていは, 養子縁組についてこれをじゅんようする.
だい14じょう しんぽうしこうの際, 現に, 婚姻中でないふぼが, 共同してみせいねんの子に対してしんけんを行つているばあいには, しんぽうしこう ごも, 引き続き共同してしんけんを行う. 但し, ふぼは, 協議でその1方をしんけん者とさだめることができる.
○② ぜんこう但書の協議が調わないとき, または 協議をすることができないときは, 家事しんぱん所は, ちゝ または はゝのせいきゅうによつて協議に代わるしんぱんをすることができる.
○③ しんぽうだい819じょう だい6こうのきていは, だい1こう但書 または ぜんこうのきていによつてしんけん者がさだめられたばあいにこれをじゅんようする.
だい15じょう 応急措置法しこう前に, しんけんを行うはゝが, きゅうほうだい886じょうのきていに違反してし, または どういを与えたこういは, これをとりけすことができない.
だい16じょう だい21じょうのきていは, 応急措置法しこう前にしんけんを行つていた継ちゝ, 継はゝ または 嫡はゝについてこれをじゅんようする.
だい17じょう しんぽうしこう前にしんぞく会員としんけんに服した子との間にざいさんの管理について生じた債権については, なお, きゅうほうだい894じょうのきていをてきようする.
だい18じょう しんぽうしこう前にはゝがきゅうほうのきていによつて子のざいさんの管理を辞したばあいにおいて, しんぽうしこうの際その子のためにまだこうけんがかいししていないときは, その辞任は, しんぽうしこう ごは, そのこうりょくを有しない.
だい19じょう しんぽうしこうの際現にきゅうほうだい902じょうのきていによつてふぼの1方がこうけんにんであるとき, または きゅうほうだい904じょうのきていによつて選任されたこうけんにんがあるときは, そのこうけんにんは, しんぽうしこうのため, 当然にはその地位を失うことはない. 但し, しんぽうしこうによつてこうけんが終了し, または しんぽうによる法定こうけんにんがあるときは, 当然その地位を失う.
だい20じょう 前条のきていは, こうけんかんとくにん および ほさにんについてこれをじゅんようする.
だい21じょう しんぽうしこう前に, こうけんにんが, きゅうほうだい929じょうのきていに違反してし, または どういを与えたこういは, なお, きゅうほうによつてこれをとりけすことができる.
だい22じょう だい17じょうのきていは, しんぞく会員とひこうけんにん または 準禁治産者との間にこれをじゅんようする.
だい23じょう しんぽうしこう前にされたしんぞく会の決議に対する不服については, なお, きゅうほうをてきようする.
○② ぜんこうのきていによつてしんぞく会の決議をとりけす判決がかくていしたばあいでも, しんぞく会であらたに決議をすることは, これを認めない.
だい24じょう しんぽうしこう前に扶養にかんしてされた判決については, しんぽうだい880じょうのきていをじゅんようする.
だい25じょう 応急措置法しこう前にかいししたそうぞくにかんしては, だい2こうのばあいを除いて, なお, きゅうほうをてきようする.
○② 応急措置法しこう前に家督そうぞくがかいしし, しんぽうしこう ごにきゅうほうによれば家督そうぞく人を選定しなければならないばあいには, そのそうぞくにかんしては, しんぽうをてきようする. 但し, そのそうぞくのかいしが入夫婚姻の取消, 入夫の離婚 または 養子縁組の取消によるときは, そのそうぞくは, ざいさんのそうぞくにかんしてはかいししなかつたものとみなし, だい28じょうのきていをじゅんようする.
だい26じょう 応急措置法しこうの際における戸主が婚姻 または 養子縁組によつて他家から入つた者であるばあいには, その家の家附の継子は, しんぽうしこう ごにかいしするそうぞくにかんしては, 嫡出である子とどういつのけんりぎむをゆうする.
○② ぜんこうの戸主であつた者について応急措置法しこう ごしんぽうしこう前にそうぞくがかいししたばあいには, ぜんこうの継子は, そうぞく人に対してそうぞくざいさんの いちぶの分配をせいきゅうすることができる. このばあいには, だい27じょう だい2こう および だい3こうのきていをじゅんようする.
○③ 前2こうのきていは, だい1こうの戸主であつた者が応急措置法しこう ごに婚姻の取消若しくは離婚 または 縁組の取消若しくは離縁によつて氏を改めたばあいには, これをてきようしない.
だい27じょう だい25じょう だい2こうほんぶんのばあいを除いて, 日本国憲法公布の日以後に戸主の死亡による家督そうぞくがかいししたばあいには, しんぽうによれば共同そうぞく人となるばずであつた者は, 家督そうぞく人に対してそうぞくざいさんの いちぶの分配をせいきゅうすることができる.
○② ぜんこうのきていによるそうぞくざいさんの分配について, 当事者間に協議が調わないとき, または 協議をすることができないときは, 当事者は, 家事しんぱん所に対し協議に代わるしょぶんをせいきゅうすることができる, 但し, しんぽうしこうの日から1ねんをけいかしたときは, このかぎりでない.
○③ ぜんこうのばあいには, 家事しんぱん所は, そうぞくざいさんの状態, 分配をうける者の員数 および 資力, 被そうぞく人の生前こうい または 遺言によつてざいさんの分配をうけたかどうかその他1切の事情を考慮して, 分配をさせるべきかどうか並びに分配の額 および 方法をさだめる.
だい28じょう 応急措置法しこうの際戸主であつた者が応急措置法しこう ごに婚姻の取消若しくは離婚 または 養子縁組の取消若しくは離縁によつて氏を改めたばあいには, はいぐうしゃ または 養親, 若しはいぐうしゃ または 養親がないときはしんぽうによるそのそうぞく人は, その者に対しざいさんの いちぶの分配をせいきゅうすることができる. このばあいには, 前条だい2こう および だい3こうのきていをじゅんようする.
だい29じょう 推定の家督そうぞく人 または 遺産そうぞく人がきゅうほうだい975じょう だい1こうだい1ごう または だい998じょうのきていによつて廃除されたときは, しんぽうのてきようについては, しんぽうだい892じょうのきていによつて廃除されたものとみなす.
だい30じょう きゅうほうだい978じょう(きゅうほう第千条においてじゅんようするばあいを ふくむ.)のきていによつて遺産の管理についてしたしょぶんは, そうぞくがだい25じょう だい2こうほんぶんのきていによつてしんぽうのてきようをうけるばあいには, これをしんぽうだい895じょうのきていによつてしたしょぶんとみなす.
だい31じょう 応急措置法しこう前に分家 または 廃絶家再興のため贈与されたざいさんは, しんぽうだい903じょうのきていのてきようについては, これを生計の資本として贈与されたざいさんとみなす.
だい32じょう しんぽうだい906じょう および だい907じょうのきていは, だい25じょう だい1こうのきていによつて遺産そうぞくにかんしきゅうほうをてきようするばあいにこれをじゅんようする.
だい33じょう しんぽうしこう前にきゅうほうだい1079じょう だい1こうのきていに従つてした遺言で, 同条だい2こうのきていによる確認を得ないものについては, しんぽうだい979じょう だい2こう および だい3こうのきていをじゅんようする.
○② しんぽうしこう前に海軍所属の艦船遭難のばあいにきゅうほうだい1081じょうにおいてじゅんようするきゅうほうだい1079じょう だい1こうのきていに従つてした遺言で, 同条だい2こうのきていによる確認を得ないものについても, ぜんこうとどうようである.
ふそく (昭和23ねん12月21日ほうりつ だい260ごう) ばっすい
だい10じょう この ほうりつは, 昭和24ねん1月1ひから しこうする.
だい19じょう みんぽうの いちぶをかいせいするほうりつ(昭和22ねんほうりつ だい222ごう)ふそくだい14じょう だい2こう または だい27じょう だい3こう(同法ふそくだい25じょう だい2こう但書, だい26じょう だい2こう および だい28じょうにおいてじゅんようするばあいを ふくむ.)のきていによつて家事しんぱん所が行うべきしんぱんは, この ほうりつしこう ごは, かていさいばんしょが行う.
ふそく (昭和24ねん5月28日ほうりつ だい115ごう)
この ほうりつは, こうふの ひから しこうする. ふそく (昭和24ねん5月31日ほうりつ だい141ごう) ばっすい
① この ほうりつは, 昭和24ねん6月1ひから しこうする.
ふそく (昭和25ねん5月1日ほうりつ だい123ごう) ばっすい
① この ほうりつは, こうふの ひから しこうする.
ふそく (昭和33ねん3月10日ほうりつ だい5ごう) ばっすい
(しこうきじつ)
① この ほうりつは, こうふの ひから きさんして6げつを こえないはんいないにおいてせいれいでさだめる ひから しこうする.
ふそく (昭和33ねん4月15日ほうりつ だい62ごう) ばっすい
① この ほうりつは, 昭和34ねん1月1ひから しこうする.
③ この ほうりつのしこうの際現に存する建物その他の構築物については, だい3じょうのきていにかかわらず, なおじゅうぜんの例による.
ふそく (昭和37ねん3月29日ほうりつ だい40ごう) ばっすい
(しこうきじつ)
① この ほうりつは, 昭和37ねん7月1ひから しこうする.
(けいかきてい)
② この ほうりつによるかいせい後のみんぽうは, この ほうりつのしこう前に生じた事項にもてきようする. ただし, じゅうぜんのみんぽうによつて生じたこうりょくを妨げない.
ふそく (昭和37ねん4月4日ほうりつ だい69ごう) ばっすい
(しこうきじつ)
だい1じょう この ほうりつは, 昭和38ねん4月1ひから しこうする.
ふそく (昭和38ねん7月9日ほうりつ だい126ごう) ばっすい
この ほうりつは, 商業登記法のしこうの日(昭和39ねん4月1日)からしこうする. ふそく (昭和39ねん6月10日ほうりつ だい100ごう) ばっすい
(しこうきじつ)
① この ほうりつは, 遺言の方式にかんする ほうりつの抵触にかんする じょうやくが日本国についてこうりょくを生ずるひから しこうする.
ふそく (昭和41ねん6月30日ほうりつ だい93ごう) ばっすい
(しこうきじつ)
① この ほうりつは, 昭和41ねん7月1ひから しこうする.
(けいかそち等)
⑥ この ほうりつによるかいせい後のきていは, 各かいせいきていのしこう前に生じた事項にもてきようする. ただし, かいせい前のきていにより生じたこうりょくを妨げない.
ふそく (昭和41ねん7月1日ほうりつ だい111ごう) ばっすい
(しこうきじつ)
だい1じょう この ほうりつは, こうふの ひから きさんして6げつを こえないはんいないにおいてせいれいでさだめる ひから しこうする.
ふそく (昭和46ねん6月3日ほうりつ だい99ごう) ばっすい
(しこうきじつ)
だい1じょう この ほうりつは, 昭和47ねん4月1ひから しこうする.
(けいかそちのげんそく)
だい2じょう この ほうりつによるかいせい後のみんぽう(以下「しんぽう」という.)のきていは, 別段のさだめがあるばあいをのぞき, この ほうりつのしこうの際現に存する抵当権で根抵当であるもの(以下「旧根抵当権」という.)にもてきようする. ただし, かいせい前のみんぽう(以下「きゅうほう」という.)のきていにより生じたこうりょくを妨げない.
(しんぽうのてきようの制限)
だい3じょう 旧根抵当権で, 極度額についてのさだめがしんぽうのきていに適合していないもの または 附記によらない極度額の増額の登記があるものについては, その極度額の変更, しんぽうだい398じょうの4のきていによる担保すべき債権のはんい または 債務者の変更, しんぽうだい398じょうの十2のきていによる根抵当権の譲渡, しんぽうだい398じょうの十3のきていによる根抵当権の いちぶ譲渡 および しんぽうだい398じょうの十4だい1こうただし書のきていによるさだめは, することができない.
② ぜんこうのきていは, 同項にきていする旧根抵当権以外の旧根抵当権で, きゅうほうだい375じょう だい1こうのきていによるしょぶんがされているものについてじゅんようする. ただし, 極度額の変更 および しんぽうだい398じょうの十2だい2こうのきていによる根抵当権の譲渡をすることは, 妨げない.
(極度額についてのさだめの変更)
だい4じょう 旧根抵当権で, 極度額についてのさだめがしんぽうのきていに適合していないものについては, 元本のかくてい前にかぎり, そのさだめを変更してしんぽうのきていに適合するものとすることができる. このばあいにおいては, 後順位の抵当権者その他のだいさんしゃの承諾を得ることを要しない.
(附記によらない極度額の増額の登記がある旧根抵当権の分割)
だい5じょう 附記によらない極度額の増額の登記がある旧根抵当権については, 元本のかくてい前にかぎり, 根抵当権者 および 根抵当権設定者の合意により, とうがい 旧根抵当権を分割して増額に係る部分をしんぽうのきていによる独立の根抵当権とすることができる. このばあいにおいては, 旧根抵当権をもくてきとするけんりは, とうがい 増額に係る部分について消滅する.
② ぜんこうのきていによる分割をするばあいには, 増額に係る部分をもくてきとするけんりをゆうする者その他の利害の関係をゆうする者の承諾を得なければならない.
(元本のかくていすべき期日にかんする けいかそち)
だい6じょう この ほうりつのしこうの際旧根抵当権について現に存する担保すべき元本のかくていすべき時期にかんする さだめ または その登記は, そのさだめにより元本がかくていすることとなる日をもつてしんぽうだい398じょうの6だい1こうの期日とするさだめ または その登記とみなす. ただし, そのさだめにより元本がかくていすることとなる日がこの ほうりつのしこうの日から記算して5ねんをけいかする日より後であるときは, とうがい さだめ または その登記は, とうがい 5ねんをけいかする日をもつて同項の期日とするさだめ または その登記とみなす.
(弁済による代位にかんする けいかそち)
だい7じょう この ほうりつのしこう前から引き続き旧根抵当権の担保すべき債務を弁済するについて正当な利益を有していた者が, この ほうりつのしこう ご元本のかくてい前にその債務を弁済したばあいにおける代位にかんしては, なおじゅうぜんの例による.
(旧根抵当権のしょぶんにかんする けいかそち)
だい8じょう この ほうりつのしこう前に元本のかくてい前の旧根抵当権についてされたきゅうほうだい375じょう だい1こうのきていによるしょぶんにかんしては, なおじゅうぜんの例による.
(どういつの債権の担保として設定された旧根抵当権の分離)
だい9じょう どういつの債権の担保として設定された数個の不動産の上の旧根抵当権については, 元本のかくてい前にかぎり, 根抵当権者 および 根抵当権設定者の合意により, とうがい 旧根抵当権を1の不動産について他の不動産から分離し, これらの不動産の間に, しんぽうだい392じょうのきていのてきようがないものとすることができる. ただし, 後順位の抵当権者その他の利害の関係をゆうする者の承諾がないときは, このかぎりでない.
② ぜんこうのきていによる分離は, しんぽうだい398じょうの十6のきていのてきようにかんしては, 根抵当権の設定とみなす.
(元本のかくていの時期にかんする けいかそち)
だい10じょう この ほうりつのしこう前に, しんぽうだい398じょうの20だい1こうだい1ごうにきていする申立て, 同項だい2ごうにきていする差押え, 同項だい3ごうにきていする競売手続のかいし若しくは差押え または 同項だい4ごうにきていする破産手続かいしの決定があつた旧根抵当権で, 担保すべき元本がかくていしていないものについては, この ほうりつのしこうの日にこれらの事由が生じたものとみなして, 同項のきていをてきようする.
(旧根抵当権の消滅せいきゅうにかんする けいかそち)
だい11じょう 極度額についてのさだめがしんぽうのきていに適合していない旧根抵当権については, その優先権の限度額を極度額とみなして, しんぽうだい398じょうの22のきていをてきようする.
ふそく (昭和51ねん6月15日ほうりつ だい66ごう) ばっすい
(しこうきじつ)
① この ほうりつは, こうふの ひから しこうする.
(みんぽうの いちぶかいせいにともなうけいかそち)
② この ほうりつのしこう前3月以内に離婚し, または 婚姻が取り消されたばあいにおけるだい1じょうのきていによるかいせい後のみんぽうだい767じょう だい2こう(同法だい749じょう および だい771じょうにおいてじゅんようするばあいを ふくむ.)のきていのてきようについては, 同項中「離婚の日から3箇月以内」とあるのは, 「みんぽう等の いちぶをかいせいするほうりつ(昭和51ねんほうりつ だい66ごう)のしこうの日から3箇月以内」とする.
ふそく (昭和54ねん3月30日ほうりつ だい5ごう) ばっすい
(しこうきじつ)
① この ほうりつは, 民事執行法(昭和54ねんほうりつ だい4ごう)のしこうの日(昭和55ねん十月1日)からしこうする.
(けいかそち)
② この ほうりつのしこう前に申し立てられた民事執行, 企業担保権の実行 および 破産の事件については, なおじゅうぜんの例による.
③ ぜんこうの事件にかんし執行官がうける手数料 および 支払 または 償還をうける費用の額については, 同項のきていにかかわらず, 最高裁判所規則のさだめるところによる.
ふそく (昭和54ねん12月20日ほうりつ だい68ごう) ばっすい
(しこうきじつ)
だい1じょう この ほうりつは, こうふの ひから きさんして6げつを けいかしたひから しこうする.
(法人の設立きょかのとりけし等にかんする けいかそち)
だい2じょう この ほうりつによるかいせい後のみんぽうだい71じょう および みんぽうしこう法だい23じょう だい1こうのきていは, この ほうりつのしこう前に生じた事項にもてきようする. ただし, かいせい前のとうがい きていによつて生じたこうりょくを妨げない.
(法人の解散の登記にかんする けいかそち)
だい3じょう この ほうりつのしこう前に主務官庁が設立きょかをとりけし, または 解散を命じた法人の解散の登記にかんしては, なおじゅうぜんの例による.
(罰則にかんする けいかそち)
だい4じょう この ほうりつのしこう前にしたこうい および 前条のきていによりじゅうぜんの例によることとされる事項に係るこの ほうりつのしこう ごにしたこういに対する罰則のてきようについては, なおじゅうぜんの例による.
だい5じょう 削除
ふそく (昭和55ねん5月17日ほうりつ だい51ごう) ばっすい
(しこうきじつ)
① この ほうりつは, 昭和56ねん1月1ひから しこうする.
(みんぽうの いちぶかいせいにともなうけいかそち)
② この ほうりつのしこう前にかいししたそうぞくにかんしては, なお, だい1じょうのきていによるかいせい前のみんぽうのきていをてきようする.
ふそく (昭和62ねん9月26日ほうりつ だい101ごう)
(しこうきじつ)
だい1じょう この ほうりつは, 昭和63ねん1月1ひから しこうする.
(みんぽうの いちぶかいせいにともなうけいかそちのげんそく)
だい2じょう かいせい後のみんぽう(以下「しんぽう」という.)のきていは, 次条のきていによるばあいをのぞき, この ほうりつのしこう前に生じた事項にもてきようする. ただし, かいせい前のみんぽうのきていによつて生じたこうりょくを妨げない.
(縁組のとりけしにかんする けいかそち)
だい3じょう しんぽうだい806じょうの2 および だい806じょうの3のきていは, この ほうりつのしこう前にした縁組にはてきようしない.
(離縁等のばあいの氏にかんする けいかそち)
だい4じょう この ほうりつのしこう前3月以内に離縁をし, または 縁組が取り消されたばあいにおけるしんぽうだい816じょう だい2こう(しんぽうだい808じょう だい2こうにおいてじゅんようするばあいを ふくむ.)のきていのてきようについては, しんぽうだい816じょう だい2こう中「離縁の日から3箇月以内」とあるのは, 「みんぽう等の いちぶをかいせいするほうりつ(昭和62ねんほうりつ だい101ごう)のしこうの日から3箇月以内」とする.
ふそく (平成元年6月28日ほうりつ だい27ごう) ばっすい
(しこうきじつ)
① この ほうりつは, こうふの ひから きさんして1ねんをこえない はんいないにおいてせいれいでさだめる ひから しこうする.
ふそく (平成元年12月22日ほうりつ だい91ごう) ばっすい
(しこうきじつ)
だい1じょう この ほうりつは, こうふの ひから きさんして2ねんをこえない はんいないにおいてせいれいでさだめる ひから しこうする.
ふそく (へいせい2.6.29.ほうりつ だい65ごう) ばっすい
この ほうりつは, 商法等の いちぶをかいせいするほうりつのしこうのひから しこうする.
(罰則のてきようにかんする けいかそち)
だい42じょう この ほうりつのしこう前にしたこうい並びに商法等の いちぶをかいせいするほうりつふそくだい3じょう(だい10じょうにおいてじゅんようするばあいを ふくむ.)のきてい および だい12じょうのきていによりじゅうぜんの例によることとされるばあいにおけるこの ほうりつのしこう ごにしたこういに対する罰則のてきようについては, なおじゅうぜんの例による.
ふそく (へいせい3.5.21.ほうりつ だい79ごう) ばっすい
(しこうきじつ)
だい1じょう この ほうりつは, こうふの ひから しこうする. ただし, 次の各号に掲げるきていは, それぞれとうがい 各号にさだめる ひから しこうする. 1から4まで 略
5 だい6じょうからだい21じょうまで, だい25じょう および だい34じょう並びにふそくだい8じょうからだい13じょうまでのきてい こうふの ひから きさんして1ねんをこえない はんいないにおいてせいれいでさだめる日
(その他のしょぶん, 申請等に係るけいかそち)
だい6じょう この ほうりつ(ふそくだい1じょう各号に掲げるきていについては, とうがい 各きてい. 以下この条 および 次条において同じ.)のしこう前にかいせい前のそれぞれのほうりつのきていによりされたきょか等のしょぶんその他のこうい(以下この条において「しょぶん等のこうい」という.) または この ほうりつのしこうの際現にかいせい前のそれぞれのほうりつのきていによりされているきょか等の申請その他のこうい(以下この条において「申請等のこうい」という.)でこの ほうりつのしこうの日においてこれらのこういに係る行政事務を行うべき者が異なることとなるものは, ふそくだい2じょうから前条までのきてい または かいせい後のそれぞれのほうりつ(これに基づく命令を ふくむ.)のけいかそちにかんする きていにさだめるものをのぞき, この ほうりつのしこうの日以後におけるかいせい後のそれぞれのほうりつのてきようについては, かいせい後のそれぞれのほうりつの相当きていによりされたしょぶん等のこうい または 申請等のこういとみなす.
(罰則にかんする けいかそち)
だい7じょう この ほうりつのしこう前にしたこうい および ふそくだい2じょう だい1こうのきていによりじゅうぜんの例によることとされるばあいにおけるだい4じょうのきていのしこう ごにしたこういに対する罰則のてきようについては, なおじゅうぜんの例による.
ふそく (へいせい8.6.26.ほうりつ だい110ごう) ばっすい
この ほうりつは, 新民訴法のしこうのひから しこうする. ふそく (へいせい11.7.16.ほうりつ だい87ごう) ばっすい
(しこうきじつ)
だい1じょう この ほうりつは, へいせい12ねん4月1ひから しこうする. ただし, 次の各号に掲げるきていは, とうがい 各号にさだめる ひから しこうする. 1 だい1じょう中地方自治法だい250じょうの次に5じょう, 節名並びに2かん および 款名を加えるかいせいきてい(同法だい250じょうの9だい1こうに係る部分(両議院のどういを得ることに係る部分に限る.)に限る.), だい40じょう中自然公園法ふそくだい9こう および 第十項のかいせいきてい(同法ふそく第十項に係る部分に限る.), だい244じょうのきてい(農業改良助長法だい14じょうの3のかいせいきていに係る部分を除く.)並びにだい472じょうのきてい(市町村の合併の特例にかんする ほうりつ だい6じょう, だい8じょう および だい17じょうのかいせいきていに係る部分を除く.)並びにふそくだい7じょう, だい10じょう, だい12じょう, だい59じょうただし書, だい60じょう だい4こう および だい5こう, だい73じょう, だい77じょう, だい157じょう だい4こうからだい6こうまで, だい160じょう, だい163じょう, だい164じょう並びにだい202じょうのきてい 公布の日
(事務の区分にかんする けいかそち)
だい51じょう だい93じょうのきていによるかいせい後のみんぽうだい83じょうノ3だい1こう および だい94じょうのきていによるかいせい後のみんぽうしこう法だい23じょう だい4こう前段の各きていにより都道府県が処理することとされる事務は, しこう日から きさんして2ねん間は, 新地方自治法だい2じょう だい9こうだい1ごうにきていするだい1ごう法定受託事務とする.
(国等の事務)
だい159じょう この ほうりつによるかいせい前のそれぞれのほうりつにきていするもののほか, この ほうりつのしこう前において, 地方公共団体の機関がほうりつ または これに基づくせいれいにより管理し または 執行する国, 他の地方公共団体その他公共団体の事務(ふそくだい161じょうにおいて「国等の事務」という.)は, この ほうりつのしこう ごは, 地方公共団体がほうりつ または これに基づくせいれいによりとうがい 地方公共団体の事務として処理するものとする.
(しょぶん, 申請等にかんする けいかそち)
だい160じょう この ほうりつ(ふそくだい1じょう各号に掲げるきていについては, とうがい 各きてい. 以下この条 および ふそくだい163じょうにおいて同じ.)のしこう前にかいせい前のそれぞれのほうりつのきていによりされたきょか等のしょぶんその他のこうい(以下この条において「しょぶん等のこうい」という.) または この ほうりつのしこうの際現にかいせい前のそれぞれのほうりつのきていによりされているきょか等の申請その他のこうい(以下この条において「申請等のこうい」という.)で, この ほうりつのしこうの日においてこれらのこういに係る行政事務を行うべき者が異なることとなるものは, ふそくだい2じょうから前条までのきてい または かいせい後のそれぞれのほうりつ(これに基づく命令を ふくむ.)のけいかそちにかんする きていにさだめるものをのぞき, この ほうりつのしこうの日以後におけるかいせい後のそれぞれのほうりつのてきようについては, かいせい後のそれぞれのほうりつの相当きていによりされたしょぶん等のこうい または 申請等のこういとみなす.
② この ほうりつのしこう前にかいせい前のそれぞれのほうりつのきていにより国 または 地方公共団体の機関に対し報告, 届出, 提出その他の手続をしなければならない事項で, この ほうりつのしこうの日前にその手続がされていないものについては, この ほうりつ および これに基づくせいれいに別段のさだめがあるもののほか, これを, かいせい後のそれぞれのほうりつの相当きていにより国 または 地方公共団体の相当の機関に対して報告, 届出, 提出その他の手続をしなければならない事項についてその手続がされていないものとみなして, この ほうりつによるかいせい後のそれぞれのほうりつのきていをてきようする.
(不服申立てにかんする けいかそち)
だい161じょう しこう日前にされた国等の事務に係るしょぶんであって, とうがい しょぶんをした行政庁(以下この条において「しょぶん庁」という.)にしこう日前に行政不服審査法にきていする上級行政庁(以下この条において「上級行政庁」という.)があったものについての同法による不服申立てについては, しこう日以後においても, とうがい しょぶん庁に引き続き上級行政庁があるものとみなして, 行政不服審査法のきていをてきようする. このばあいにおいて, とうがい しょぶん庁の上級行政庁とみなされる行政庁は, しこう日前にとうがい しょぶん庁の上級行政庁であった行政庁とする.
② ぜんこうのばあいにおいて, 上級行政庁とみなされる行政庁が地方公共団体の機関であるときは, とうがい 機関が行政不服審査法のきていにより処理することとされる事務は, 新地方自治法だい2じょう だい9こうだい1ごうにきていするだい1ごう法定受託事務とする.
(手数料にかんする けいかそち)
だい162じょう しこう日前においてこの ほうりつによるかいせい前のそれぞれのほうりつ(これに基づく命令を ふくむ.)のきていにより納付すべきであった手数料については, この ほうりつ および これに基づくせいれいに別段のさだめがあるもののほか, なおじゅうぜんの例による.
(罰則にかんする けいかそち)
だい163じょう この ほうりつのしこう前にしたこういに対する罰則のてきようについては, なおじゅうぜんの例による.
(その他のけいかそちのせいれいへの委任)
だい164じょう このふそくにきていするもののほか, この ほうりつのしこうに伴い必要なけいかそち(罰則にかんする けいかそちを ふくむ.)は, せいれいでさだめる.
② ふそくだい18じょう, だい51じょう および だい184じょうのきていのてきようにかんして必要な事項は, せいれいでさだめる.
(けんとう)
だい250じょう 新地方自治法だい2じょう だい9こうだい1ごうにきていするだい1ごう法定受託事務については, できるかぎり新たに設けることのないようにするとともに, 新地方自治法別表だい1に掲げるもの および 新地方自治法に基づくせいれいに示すものについては, 地方分権を推進する観点からけんとうを加え, 適宜, 適切な見直しを行うものとする.
だい251じょう 政府は, 地方公共団体が事務 および 事業を自主的かつ自立的に執行できるよう, 国と地方公共団体との役割分担に応じた地方税財源の充実確保の方途について, 経済情勢の推移等を勘案しつつけんとうし, その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする.
だい252じょう 政府は, 医療保険せいど, 年金せいど等の改革に伴い, 社会保険の事務処理の体制, これに従事する職員の在り方等について, 被保険者等の利便性の確保, 事務処理の効率化等の視点に立って, けんとうし, 必要があると認めるときは, その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする.
ふそく (へいせい11.12.8.ほうりつ だい149ごう)
(しこうきじつ)
だい1じょう この ほうりつは, へいせい12ねん4月1ひから しこうする. ただし, だい969じょう, だい972じょう, だい976じょう および だい979じょうのかいせいきてい, だい969じょうの次に1じょうを加えるかいせいきてい並びに次条のきていは, こうふの ひから きさんして1げつを けいかしたひから しこうする.
(みんぽうの いちぶかいせいにともなうけいかそちのげんそく)
だい2じょう この ほうりつによるかいせい後のみんぽう(次条において「しんぽう」という.)のきていは, 次条だい3こうのきていによるばあいをのぞき, とうがい かいせいきていのしこう前に生じた事項にもてきようする. ただし, かいせい前のみんぽう(次条において「きゅうほう」という.)のきていによって生じたこうりょくを妨げない.
(禁治産 および 準禁治産のせんこく等にかんする けいかそち)
だい3じょう きゅうほうのきていによる禁治産のせんこくはしんぽうのきていによるこうけんかいしのしんぱんと, とうがい 禁治産のせんこくをうけた禁治産者並びにそのこうけんにん および こうけんかんとくにんはとうがい こうけんかいしのしんぱんをうけたせいねんひこうけんにん並びにそのせいねんこうけんにん および せいねんこうけんかんとくにんとみなす.
② きゅうほうのきていによる心神耗弱を原因とする準禁治産のせんこくはしんぽうのきていによるほさかいしのしんぱんと, とうがい 準禁治産のせんこくをうけた準禁治産者 および そのほさにんはとうがい ほさかいしのしんぱんをうけた被ほさにん および そのほさにんとみなす.
③ ぜんこうにきていする準禁治産者以外の準禁治産者 および そのほさにんにかんする みんぽうのきていのてきようについては, だい846じょう, だい974じょう および だい1009じょうのかいせいきていをのぞき, なおじゅうぜんの例による.
④ きゅうほうのきていによる禁治産 または 準禁治産のせんこくのせいきゅう(この ほうりつのしこう前にとうがい せいきゅうに係るしんぱんがかくていしたものを除く.)は, しんぽうのきていによるこうけんかいし または ほさかいしのしんぱんのせいきゅうとみなす.
ふそく (へいせい11.12.22.ほうりつ だい225ごう) ばっすい
(しこうきじつ)
だい1じょう この ほうりつは, こうふの ひから きさんして6げつを こえない はんいないにおいてせいれいでさだめる ひから しこうする.
(みんぽう等の いちぶかいせいにともなうけいかそち)
だい25じょう この ほうりつのしこう前に和議かいしの申立てがあったばあい または とうがい 申立てに基づきこの ほうりつのしこう前若しくはしこう ごに和議かいしの決定があったばあいにおいては, とうがい 申立て または 決定に係る次の各号に掲げるほうりつのきていにさだめる事項にかんする 取扱いについては, この ほうりつのふそくのきていによるかいせい後のこれらのきていにかかわらず, なおじゅうぜんの例による. 1 みんぽうだい398じょうノ3だい2こう
2 船員保険法だい33じょうノ十2ノ3だい1こうだい1ごうハ
3 農水産業協同組合貯金保険法だい59じょう だい3こう および だい68じょうの3だい2こう
4 雇用保険法だい22じょうの2だい1こうだい1ごうハ
5 ひしょうじけんてつづきほうだい135じょうノ36
6 商法だい309じょうノ2だい1こうだい2ごう並びにだい383じょう だい1こう および だい2こう
7 証券取引法だい54じょう だい1こうだい7ごう, だい64じょうの十だい1こう および だい79じょうの53だい1こうだい2ごう
8 中小企業信用保険法だい2じょう だい3こうだい1ごう
9 会社更生法だい20じょう だい2こう, だい24じょう, だい37じょう だい1こう, だい38じょう だい4ごう, だい67じょう だい1こう, だい78じょう だい1こうだい2ごうからだい4ごうまで, だい79じょう だい2こう, だい80じょう だい1こう並びにだい163じょう だい2ごう および だい4ごう
十 国の債権の管理等にかんする ほうりつ だい30じょう
十1 割賦販売法だい27じょう だい1こうだい5ごう
十2 外国証券業者にかんする ほうりつ だい22じょう だい1こうだい8ごう および だい33じょう だい1こう
十3 民事訴訟費用等にかんする ほうりつ別表だい1の十2の項 および 十7の項ニ
十4 積立式宅地建物販売業法だい36じょう だい1こうだい5ごう
十5 中小企業倒産防止共済法だい2じょう だい2こうだい1ごう
十6 銀行法だい46じょう だい1こう
十7 特定もくてき会社による特定資産の流動化にかんする ほうりつ だい111じょう だい4こうだい2ごう
十8 保険業法だい66じょう, だい151じょう および だい271じょう だい1こう
十9 金融機関等の更生手続の特例等にかんする ほうりつ だい24じょう だい1こう, だい26じょう, だい27じょう, だい31じょう, だい45じょう, だい48じょう だい1こうだい2ごうからだい4ごうまで および だい49じょう だい1こう
20 組織的な犯罪の処罰 および 犯罪収益の規制等にかんする ほうりつ だい40じょう だい1こう および だい3こう
(罰則のてきようにかんする けいかそち)
だい26じょう この ほうりつのしこう前にしたこうい および この ほうりつのふそくにおいてじゅうぜんの例によることとされるばあいにおけるこの ほうりつのしこう ごにしたこういに対する罰則のてきようについては, なおじゅうぜんの例による.
ふそく (へいせい12.5.31.ほうりつ だい91ごう)
(しこうきじつ)
① この ほうりつは, 商法等の いちぶをかいせいするほうりつ(へいせい12ねんほうりつ だい90ごう)のしこうのひから しこうする.
(けいかそち)
② この ほうりつのしこうの日が独立行政法人農林水産消費技術センター法(へいせい11ねんほうりつ だい183ごう)ふそくだい8じょうのきていのしこうの日前であるばあいには, だい31じょうのうち農林物資の規格化 および 品質表示の適正化にかんする ほうりつ だい19じょうの5の2, だい19じょうの6だい1こうだい4ごう および だい27じょうのかいせいきてい中「だい27じょう」とあるのは, 「だい26じょう」とする.
ふそく (へいせい13.6.8.ほうりつ だい41ごう) ばっすい
(しこうきじつ)
だい1じょう この ほうりつは, へいせい14ねん4月1ひから しこうする.
ふそく (へいせい15.7.16.ほうりつ だい109ごう) ばっすい
(しこうきじつ)
だい1じょう この ほうりつは, こうふの ひから きさんして1ねんをこえない はんいないにおいてせいれいでさだめる ひから しこうする.
(みんぽうの いちぶかいせいにともなうけいかそち)
だい13じょう 前条のきていのしこう前にされた婚姻のとりけし および 養子縁組のとりけしのせいきゅうについては, なおじゅうぜんの例による.
ふそく (へいせい15.8.1.ほうりつ だい134ごう) ばっすい
(しこうきじつ)
だい1じょう この ほうりつは, こうふの ひから きさんして1ねんをこえない はんいないにおいてせいれいでさだめる ひから しこうする.
(雇用関係の先取特権にかんする けいかそち)
だい2じょう だい1じょうのきていによるかいせい後のみんぽうだい306じょう だい2ごう および だい308じょうのきていは, この ほうりつのしこうの日(以下「しこう日」という.)以後に同号に掲げる原因により生じた債権 および 同条の雇用関係に基づいて生じた債権に係る先取特権についててきようし, しこう日前にだい1じょうのきていによるかいせい前のみんぽう(以下「旧みんぽう」という.)だい306じょう だい2ごうに掲げる原因により生じた債権 および 旧みんぽうだい308じょうの雇人給料(債務者の雇人がうけるべき最後の6箇月間の給料に限る.)として生じた債権に係る先取特権については, なおじゅうぜんの例による.
(債権質のこうりょくの発生にかんする けいかそち)
だい3じょう しこう日前に債権をもってそのもくてきとする質権の設定をする契約をしたばあいにおけるとうがい 質権のこうりょくの発生については, だい1じょうのきていによるかいせい後のみんぽうだい363じょうのきていにかかわらず, なおじゅうぜんの例による.
(滌除 および 増価競売にかんする けいかそち)
だい4じょう しこう日前に旧みんぽうだい383じょうの書面が同条にきていする債権者の全員に到達したばあいにおけるとうがい 抵当不動産についての旧みんぽうだい378じょうのきていによる滌除 および 旧みんぽうだい384じょうにきていする増価競売については, だい1じょうのきていによるかいせい後のみんぽう および だい3じょうのきていによるかいせい後の民事執行法のきていにかかわらず, なおじゅうぜんの例による.
(短期賃貸借にかんする けいかそち)
だい5じょう この ほうりつのしこうの際現に存する抵当不動産の賃貸借(この ほうりつのしこう ごに更新されたものを ふくむ.)のうちみんぽうだい602じょうにさだめる期間を超えないものであってとうがい 抵当不動産の抵当権の登記後に対抗要件を備えたものに対する抵当権のこうりょくについては, なおじゅうぜんの例による.
(根抵当権の元本のかくていにかんする けいかそち)
だい6じょう しこう日前に旧みんぽうだい398じょうノ20だい1こうだい1ごうに掲げるばあいに該当して同項のきていによりかくていした根抵当権の担保すべき元本については, なおじゅうぜんの例による.
(罰則のてきようにかんする けいかそち)
だい14じょう しこう日前にしたこういに対する罰則のてきようについては, なおじゅうぜんの例による.
ふそく (へいせい15.8.1.ほうりつ だい138ごう) ばっすい
(しこうきじつ)
だい1じょう この ほうりつは, こうふの ひから きさんして9げつを こえない はんいないにおいてせいれいでさだめる ひから しこうする.
ふそく (へいせい16.6.2.ほうりつ だい76ごう) ばっすい
(しこうきじつ)
だい1じょう この ほうりつは, はさんほう(へいせい16ねんほうりつ だい75ごう. 次条だい8こう並びにふそくだい3じょう だい8こう, だい5じょう だい8こう, 第十6こう および だい21こう, だい8じょう だい3こう並びにだい13じょうにおいて「新はさんほう」という.)のしこうのひから しこうする.
(みんぽうの いちぶかいせいにともなうけいかそち)
だい7じょう しこう日前にされた破産の申立て または しこう日前に職権でされた破産のせんこくに係る破産事件については, だい6じょうのきていによるかいせい後のみんぽうだい276じょう, だい621じょう および だい642じょう だい2こうのきていにかかわらず, なおじゅうぜんの例による.
(せいれいへの委任)
だい14じょう ふそくだい2じょうから前条までにきていするもののほか, この ほうりつのしこうにかんし必要なけいかそちは, せいれいでさだめる.
ふそく (へいせい16.6.18.ほうりつ だい124ごう) ばっすい
(しこうきじつ)
だい1じょう この ほうりつは, 新不動産登記法のしこうのひから しこうする.
(けいかそち)
だい2じょう この ほうりつのしこうの日が行政機関の保ゆうする個人情報の保護にかんする ほうりつのしこうの日後であるばあいには, だい52じょうのうち商業登記法だい114じょうの3 および だい117じょうからだい119じょうまでのかいせいきてい中「だい114じょうの3」とあるのは, 「だい114じょうの4」とする.
ふそく (へいせい16.12.1.ほうりつ だい147ごう) ばっすい
(しこうきじつ)
だい1じょう この ほうりつは, こうふの ひから きさんして6げつを こえない はんいないにおいてせいれいでさだめる ひから しこうする.
(けいかそちのげんそく)
だい2じょう この ほうりつによるかいせい後のみんぽう(以下「しんぽう」という.)のきていは, 次条 および ふそくだい4じょう(だい3こう および だい5こうを除く.)のきていによるばあいをのぞき, この ほうりつのしこう前に生じた事項にもてきようする. ただし, この ほうりつによるかいせい前のみんぽうのきていによって生じたこうりょくを妨げない.
(保証契約の方式にかんする けいかそち)
だい3じょう しんぽうだい446じょう だい2こう および だい3こうのきていは, この ほうりつのしこう前に締結された保証契約については, てきようしない.
(貸金等根保証契約にかんする けいかそち)
だい4じょう しんぽうだい465じょうの2 および だい465じょうの3(だい2こうを除く.)のきていは, この ほうりつのしこう前に締結された貸金等根保証契約(しんぽうだい465じょうの2だい1こうにきていする貸金等根保証契約をいう. 以下同じ.)については, てきようしない.
② この ほうりつのしこう前に締結された貸金等根保証契約であって元本かくてい期日(しんぽうだい465じょうの3だい1こうにきていする元本かくてい期日をいう. 以下同じ.)のさだめがあるもののうち次の各号に掲げるものの元本かくてい期日は, そのさだめにかかわらず, それぞれとうがい 各号にさだめる日とする. 1 しんぽうだい465じょうの2だい1こうにきていする極度額(以下この条において単に「極度額」という.)のさだめがない貸金等根保証契約であって, その元本かくてい期日がそのさだめによりこの ほうりつのしこうの日(以下この条において「しこう日」という.)から きさんして3ねんをけいかする日より後の日とさだめられているもの しこう日から きさんして3ねんをけいかする日
2 極度額のさだめがある貸金等根保証契約であって, その元本かくてい期日がそのさだめによりしこう日から きさんして5ねんをけいかする日より後の日とさだめられているもの しこう日から きさんして5ねんをけいかする日
③ この ほうりつのしこう前に締結された貸金等根保証契約であって元本かくてい期日のさだめがないものについてのしんぽうだい465じょうの3だい2こうのきていのてきようについては, 同項中「元本かくてい期日のさだめがないばあい(ぜんこうのきていにより元本かくてい期日のさだめがそのこうりょくを生じないばあいを ふくむ.)」とあるのは「元本かくてい期日のさだめがないばあい」と, 「その貸金等根保証契約の締結の日から3ねん」とあるのは「この ほうりつのしこうの日から きさんして3ねん」とする.
④ しこう日以後にこの ほうりつのしこう前に締結された貸金等根保証契約における元本かくてい期日の変更をするばあいにおいて, 変更後の元本かくてい期日が変更前の元本かくてい期日より後の日となるときは, その元本かくてい期日の変更は, そのこうりょくを生じない.
⑤ この ほうりつのしこう前にしんぽうだい465じょうの4各号に掲げるばあいに該当する事由が生じた貸金等根保証契約であって, その主たる債務の元本がかくていしていないものについては, しこう日にその事由が生じたものとみなして, 同条のきていをてきようする.
⑥ この ほうりつのしこう前に締結されたしんぽうだい465じょうの5にきていする保証契約については, 同条のきていは, てきようしない.
⑦ ぜんこうの保証契約の保証人は, しんぽうだい465じょうの5にきていする根保証契約の保証人の主たる債務者に対する求償権に係るとうがい 主たる債務者の債務について, 次の各号に掲げる区分に応じ, その元本かくてい期日がそれぞれとうがい 各号にさだめる日より後の日であるばあいにおいては, その元本かくてい期日がそれぞれとうがい 各号にさだめる日であるとしたならばとうがい 主たる債務者が負担すべきこととなる額を限度として, その履行をする責任を負う. 1 とうがい 根保証契約において極度額のさだめがないばあい しこう日から きさんして3ねんをけいかする日
2 とうがい 根保証契約において極度額のさだめがあるばあい しこう日から きさんして5ねんをけいかする日
⑧ だい6こうの保証契約の保証人は, ぜんこうの根保証契約において元本かくてい期日のさだめがないばあいには, 同項各号に掲げる区分に応じ, その元本かくてい期日がそれぞれとうがい 各号にさだめる日であるとしたならば同項の主たる債務者が負担すべきこととなる額を限度として, その履行をする責任を負う.
ふそく (へいせい17.7.26.ほうりつ だい87ごう) ばっすい
編集この ほうりつは かいしゃほうの しこうの ひから しこうする.
ふそく (へいせい18.6.2.ほうりつ だい50ごう) ばっすい
編集この ほうりつは いっぱんしゃだん・ざいだんほうじんほうの しこうの ひから しこうする.
ふそく (へいせい18.6.15.ほうりつ だい73ごう) ばっすい
編集(しこうきじつ)
だい1じょう この ほうりつは こうふの ひから きさんして 1ねん 6げつを こえない はんいないにおいて せいれいでさだめる ひから しこうする.
(けいかそち)
だい2じょう かいせいごの いしつぶつほうの きてい および じじょうの きていによる かいせいごの みんぽう だい240じょうの きていは この ほうりつの しこうまえに しゅうとくを された ぶっけん または かいせいまえの いしつぶつほう(いか 「きゅうほう」という.) だい10じょう だい2こうの かんしゅしゃ(管守者)が どうこうの きていによる こうふを うけ, もしくは どうこうの せんゆうしゃが どうこうの きていによる さしだしを うけた ぶっけんであって, この ほうりつの しこうの さい げんに きゅうほう だい1じょう だい1こう または だい11じょう だい1こう(これらの きていを きゅうほう だい12じょう および だい13じょうにおいて じゅんようする ばあいを ふくむ. じこうにおいて おなじ.)の きていにより けいさつしょちょうに さしだされていないものについても てきようする.
② この ほうりつの しこうの さい げんに きゅうほう だい1じょう だい1こう または だい11じょう だい1こうの きていにより けいさつしょちょうに さしだされている ぶっけんについては なお じゅうぜんの れいによる.
ふそく (へいせい18.6.21.ほうりつ だい78ごう) ばっすい
編集(しこうきじつ)
だい1じょう この ほうりつは こうふの ひから きさんして 1ねんを こえない はんいないにおいて せいれいで さだめる ひから しこうする.
ふそく (へいせい23.5.25.ほうりつ だい53ごう)
編集この ほうりつは しん ひしょうじけんてつづきほうの しこうの ひから しこうする.
ふそく (へいせい23.6.3. ほうりつ だい61ごう) ばっすい
編集(しこうきじつ)
だい1じょう この ほうりつは こうふの ひから きさんして 1ねんを こえない はんい ないにおいて せいれいで さだめる ひ(いか「しこうび」という.)から しこうする.
(みんぽうの いちぶかいせいに ともなう けいかそちの げんそく)
だい2じょう だい1じょうの きていによる かいせい ごの みんぽう(じじょう(次条)において 「しんぽう」という.)の きていは この ほうりつの しこう まえに しょうじた じこうにも てきようする. ただし だい1じょうの きていによる かいせい まえの みんぽう(じじょう(次条)において 「きゅうほう」という.)の きていにより しょうじた こうりょくを さまたげない.
(しんけんおよび かんりけんの そうしつの せんこくに かんする けいかそち)
だい3じょう きゅうほう だい834じょうの きていによる しんけんの そうしつのせんこくは しんぽう だい834じょう ほんぶんの きていによる しんけんそうしつの しんぱんと, とうがい しんけんの そうしつの せんこくを うけた ちゝ または はゝは とうがい しんけんそうしつの しんぱんを うけた ちゝ または はゝと みなす.
② きゅうほう だい835じょう(はさんほう(へいせい16ねん ほうりつ だい75ごう) だい61じょう だい1こうにおいて じゅんようする ばあいを ふくむ. じこう(次項)において おなじ.)の きていによる かんりけんの そうしつの せんこくは しんぽう だい835じょう(はさんほう だい61じょう だい1こうにおいて じゅんようする ばあいを ふくむ. じこう(次項)において おなじ.)の きていによる かんりけんそうしつの しんぱんと, とうがい かんりけんのそうしつの せんこくを うけた ちゝ または はゝは とうがい かんりけんそうしつの しんぱんを うけた ちゝ または はゝと みなす.
③ きゅうほう だい834じょう または だい835じょうの きていによる しんけん または かんりけんの そうしつの せんこくの せいきゅう(この ほうりつの しこう まえに とうがい せいきゅうに かかる しんぱんが かくていしたものを のぞく.)は, しんぽう だい834じょう ほんぶん または だい835じょうの きていによる しんけんそうしつ または かんりけんそうしつの しんぱんの せいきゅうと みなす.
ふそく (へいせい23.6.24. ほうりつ だい74ごう) ばっすい
編集(しこうきじつ)
だい1じょう この ほうりつは, こうふの ひから きさんして 20にちを けいかした ひから しこうする.
ふそく (へいせい25.12.11. ほうりつ だい94ごう)
編集(しこうきじつ)
① この ほうりつは こうふの ひから しこうする.
(けいかそち)
② この ほうりつによる かいせい ごの だい900じょうの きていは へいせい25.9.5. いこうに かいしした そうぞくについて てきようする.
ふそく (へいせい28.4.13. ほうりつ だい27ごう)
編集この ほうりつは こうふの ひから きさんして6げつを けいかしたひから しこうする.
ふそく (へいせい28.6.7. ほうりつ だい71ごう)
編集(しこうきじつ)
① この ほうりつは こうふの ひから しこうする.
(けんとう)
② せいふは この ほうりつの しこう ご 3ねんを めどとして この ほうりつによる かいせい ごの きていの しこうの じょうきょう とうを かんあんし, さいこん きんしに かかる せいどの ありかたについて けんとうを くわえるものとする.