列王紀略下(文語訳)

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舊新約聖書 [文語]』日本聖書協会、1953年

明治元訳聖書

列王紀略下

第1章編集

1:1編集

アハブの死しのちモアブ、イスラエルにそむけり

1:2編集

アハジヤ、サマリヤにあるその樓の欄杆よりおちて病をおこせしかば使を遣さんとして之にいひけるは往てエクロンの神バアルゼブブにわがこの病の愈るや否を問べしと

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時にヱホバの使テシベ人エリヤにいひけるは起てサマリヤ王の使にあひて之に言べし汝等がエクロンの神バアルゼブブに問んとてゆくはイスラエルに神なきがゆゑなるか

1:4編集

是によりてヱホバかくいふ汝はその登りし牀より下ることなかるべし汝かならず死んとエリヤ乃ち往り

1:5編集

使者たちアハジアに返りければアハジア彼等に何故に返りしやといふに

1:6編集

かれら之にいひけるは一箇の人上りきたりて我らに會ひわれらにいひけるは往てなんぢらを遣はせし王の所にかへり之にいふべしヱホバ斯いひたまふなんぢエクロンの神バアルゼブブに問んとて人を遣すはイスラエルに神なきがゆゑなるか然ば汝その登りし牀より下ることなかるべし汝かならず死んと

1:7編集

アハジア彼等にいひけるはそののぼりきたりて汝等に會ひ此等の言を汝らに告たる人の形状は如何なりしや

1:8編集

かれら對へていひけるはそれは毛深き人にして腰に革の帶をむすび居たり彼いひけるはその人はテシベ人エリヤなりと

1:9編集

是に於て王五十人の長とその五十人をエリヤの所に遣はせり彼エリヤの所に上りゆくに視よエリヤは山の嶺に坐し居たりかれエリヤにいひけるは神の人よ王いひたまふ下るべし

1:10編集

エリヤこたへて五十人の長にいひけるはわれもし神の人たらば火天より降りて汝と汝の五十人とを燒盡すべしと火すなはち天より降りて彼とその五十人とを燒盡せり

1:11編集

アハジアまた他の五十人の長とその五十人をエリヤに遣せりかれ上りてエリヤにいひけるは神の人よ王かく言たまふ速かに下るべし

1:12編集

エリヤ答て彼にいひけるはわれもし神の人たらば火天より降りて爾となんぢの五十人を燒盡すべしと神の火すなはち天より降りてかれとその五十人を燒盡せり

1:13編集

かれまた第三の五十人の長とその五十人を遣せり第三の五十人の長のぼりいたりてエリヤのまへに跪きこれに願ひていひけるは神の人よ願くはわが生命となんぢの僕なるこの五十人の生命をなんぢの目に貴重き者と見なしたまへ

1:14編集

視よ火天より降りて前の五十人の長二人とその五十人を燒盡せり然どわが生命をば汝の目に貴重き者となしたまへ

1:15編集

時にヱホバの使エリヤに云けるはかれとともに下れかれをおそるることなかれとエリヤすなはち起てかれとともに下り王の許に至り

1:16編集

之にいひけるはヱホバかくいひたまふ汝エクロンの神バアルゼブブに問んとて使者を遣るはイスラエルにその言を問ふべき神なきがゆゑなるか是によりて汝はその登し牀より下ることなかるべし汝かならず死んと

1:17編集

彼エリヤの言たるヱホバの言の如く死けるが彼に子なかりしかばヨラムこれに代りて王となれり是はユダの王ヨシヤパテの子ヨラムの二年にあたる

1:18編集

アハジヤのなしたる其餘の事業はイスラエルの王の歴代志の書に記載さるるにあらずや


第2章編集

2:1編集

ヱホバ大風をもてエリヤを天に昇らしめんとしたまふ時エリヤはエリシヤとともにギルガルより出往り

2:2編集

エリヤ、エリシヤにいひけるは請ふここに止まれヱホバわれをベテルに遣はしたまふなりとエリシヤいひけるはヱホバは活く汝の霊魂は活く我なんぢをはなれじと彼等つひにベテルに下れり

2:3編集

ベテルに在る預言者の徒エリシヤの許に出きたりて之にいひけるはヱホバの今日なんぢの主をなんぢの首の上よりとらんとしたまふを汝知やかれいふ然りわれ知り汝等默すべし

2:4編集

エリヤかれにいひけるはエリシヤよ請ふ汝ここに止れヱホバわれをヱリコに遣したまふなりとエリシヤいふヱホバは活くなんぢの霊魂は活く我なんぢを離じとかれらヱリコにいたる

2:5編集

ヱリコに在る預言者の徒エリシヤに詣りて彼にいひけるはヱホバの今日なんぢの主をなんぢの首の上よりとらんとしたまふを汝知るやエリシヤ言ふ然り知り汝ら默すべしと

2:6編集

エリヤまたかれにいひけるは請ふここに止れヱホバわれをヨルダンにつかはしたまふなりとかれいふヱホバは活くなんぢの霊魂は活くわれ汝をはなれじと二人進ゆくに

2:7編集

預言者の徒五十人ゆきて遥に立て望めり彼ら二人はヨルダンの濱に立けるが

2:8編集

エリヤその外套をとりて之を巻き水をうちけるに此旁と彼旁にわかれたれば二人は乾ける土の上をわたれり

2:9編集

渉りける時エリヤ、エリシヤにいひけるは我が取れてなんぢを離るる前に汝わが汝になすべきことを求めよエリシヤいひけるはなんぢの霊の二の分の我にをらんことを願ふ

2:10編集

エリヤいひけるは汝難き事を求む汝もしわが取れてなんぢを離るるを見ばこの事なんぢにならんしからずば此事なんぢにならじ

2:11編集

彼ら進みながら語れる時火の車と火の馬あらはれて二人を隔てたりエリヤは大風にのりて天に昇れり

2:12編集

エリシヤ見てわが父わが父イスラエルの兵車よその騎兵よと叫びしが/再びかれを見ざりき是においてエリシヤその衣をとらへて之を二片に裂き

2:13編集

エリヤの身よりおちたるその外套をとりあげ返りてヨルダンの岸に立ち

2:14編集

エリヤの身よりおちたる外套をとりて水をうちエリヤの神ヱホバはいづくにいますやと言ひ而して己も水をうちけるに水此旁と彼旁に分れたればエリシヤすなはち渡れり

2:15編集

ヱリコにある預言者の徒對岸にありて彼を見て言けるはエリヤの霊エリシヤの上にとどまるとかれら來りてかれを迎へその前に地に伏て

2:16編集

かれにいひけるは僕等に勇力者五十人あり請ふかれらをして往てなんぢの主を尋ねしめよ恐くはヱホバの霊かれを曳あげてこれを或山か或谷に放ちしならんとエリシヤ遣すなかれと言けれども

2:17編集

かれら彼の愧るまでに強ければすなはち遣せといへり是に於てかれら五十人の者を遣しけるが三日の間たづねたれども彼を看いださざりしかば

2:18編集

エリシヤの尚ヱリコに止れる時かれら返りてかれの許にいたりしにエリシヤかれらに言けるはわれ往ことなかれと汝らにいひしにあらずやと

2:19編集

邑の人々エリシヤにいひけるは視よ吾主の見たまふごとく此邑の建る處は善しされど水あしくしてこの地流產をおこす

2:20編集

かれ言けるは新しき皿に鹽を盛て我に持ち來れよと乃ちもちきたりければ

2:21編集

彼いでて水の源に至り鹽を其處になげ入ていひけるはヱホバかくいひたまふわれこの水を愈す此處よりして重て死あるひは流產おこらじと

2:22編集

其水すなはちエリシヤのいひし如くに愈て今日にいたる

2:23編集

かれそこよりベテルに上りしが上りて途にありけるとき小童等邑よりいでて彼を嘲り彼にむかひて禿首よのぼれ禿首よのぼれといひければ

2:24編集

かれ回轉りてかれらをみヱホバの名をもてかれらを呪詛ひければ林の中より二頭の牝熊出てその兒子輩の中四十二人をさきたり

2:25編集

かれ彼處よりカルメル山にゆき其處よりサマリヤにかへれり

第3章編集

3:1編集

ユダの王ヨシヤパテの十八年にアハブの子ヨラム、サマリヤにありてイスラエルを治め十二年位にありき

3:2編集

かれはヱホバの目のまへに惡をなせしかどもその父母の如くはあらざりきそは彼その父の造りしバアルの像を除きたればなり

3:3編集

されど彼はかのイスラエルに罪を犯させたるネバテの子ヤラベアムの罪を行ひつづけて之をはなれざりき

3:4編集

モアブの王メシヤは羊を有つ者にして十萬の羔と十萬の牡羊の毛とをイスラエルの王に納めをりしが

3:5編集

アハブの死しのちモアブの王はイスラエルの王にそむけり

3:6編集

是に於てヨラム王其時サマリヤを出てイスラエル人をことごとく集め

3:7編集

また往て人をユダの王ヨシヤパテに遣していはしむモアブの王われに背けり汝われとともにモアブに攻ゆくやと彼いひけるは我上らん我は汝の如くわが民はなんぢの民のごとくまたわが馬は汝の馬の如しと

3:8編集

ヨラムいひけるは我儕いづれの路より上らんかかれいふエドムの曠野の途よりせんと

3:9編集

イスラエルの王すなはちユダの王およびエドムの王と共に出ゆきけるが行めぐること七日路にして軍勢とこれにしたがふ家畜の飮むべき水なかりしかば

3:10編集

イスラエルの王いひけるは嗚呼ヱホバこの三人の王をモアブの手にわたさんと召し集めたまへりと

3:11編集

ヨシヤバテいひけるは我儕が由てヱホバに問ふべきヱホバの預言者此にあらざるやとイスラエルの王の臣僕の一人答へていふエリヤの手に水をそそぎたるシヤパテの子エリシヤ此にあり

3:12編集

ヨシヤパテいひけるはヱホバの言彼にありとかくてイスラエルの王およびヨシヤパテとエドムの王かれの許に下りゆきけるに

3:13編集

エリシヤ、イスラエルの王に言けるはわれ汝と何の干與あらんや汝の父の預言者と汝の母の預言者の所にゆくべしとイスラエルの王かれにいひけるは然ずそはヱホバこの三人の王をモアブの手に付さんとて召集めたまへばなり

3:14編集

エリシヤ言けるはわが事ふる萬軍のヱホバは活く我ユダの王ヨシヤパテのためにするにあらすばかならず汝を顧みず汝を見ざらんものを

3:15編集

今樂人をわれにつれ來れと而して樂人の樂をなすにおよびてヱホバの手かれに臨みて

3:16編集

彼いひけるはヱホバかくいひたまふ此谷に許多の溝を設けよ

3:17編集

それヱホバかく言ひたまふ汝ら風を見ず雨をも見ざるに此谷に水盈て汝等と汝等の家畜および汝らの獣飮ことを得ん

3:18編集

然るも是はヱホバの目には瑣細き事なりヱホバ、モアブ人をも汝らの手にわたしたまはん

3:19編集

汝等は保障ある諸の邑と諸の美しき邑とを撃ち諸の佳樹を斫倒し諸の水の井を塞ぎ石をもて諸の善地を壞ふにいたらん

3:20編集

かくて朝におよびて供物を献ぐる時に水エドムの途より流れきたりて水國に充つ

3:21編集

偖またモアブ人はみな王等の己に攻のぼれるを聞しかば甲を著ることを得る以上の者を盡く集めてその境に備へしが

3:22編集

朝はやく興いでしに水の上に日昇りゐて對面の水血の如くに赤かりければモアブ人これを見て

3:23編集

いひけるはこれ乃はち血なり王たち戰ひて死たるならん互に相撃たるなるべし然ばモアブよ掠取に行けと

3:24編集

而してモアブ人イスラエルの陣營に至るにイスラエル人起てこれを撃たればすなはちその前より逃はしれり是においてイスラエル人進みてモアブ人を撃てその國にいり

3:25編集

その邑々を撃圮し各石を諸の善地に投てこれに填し水の井をことごとく塞ぎ佳樹をことごとく斫たふし唯キルハラセテにその石をのこせしのみなるに至る但し石を投るもの周りあるきてこれを撃り

3:26編集

モアブ王戰闘の手いたくして當りがたきを見て劍を抜く者七百人をひきゐてエドム王の所にまで衝きいたらんとせしが遂に果さざりしかば

3:27編集

己の位を継べきその長子をとりてこれを石垣の上にささげて燔祭となしたり是に於てイスラエルに大なる憤怒おこりぬ彼等すなはちかれをすててその國に歸れり

第4章編集

4:1編集

預言者の徒の妻の中なる一人の婦人エリシヤに呼はりていひけるは汝の僕なるわが夫死りなんぢの僕のヱホバを畏れしことはなんぢの知るところなり今債主きたりてわが二人の子をとりて奴僕となさんとすと

4:2編集

エリシヤ之にいひけるはわれなんぢの爲に何をなすべきや汝の家に如何なる物あるかわれに告よ彼いひけるは僅少の油のほかは汝の婢の家に有ものなし

4:3編集

彼いひけるは往て外より鄰の人々より器を借よ空たる器を借るべし少許を借るなかれ

4:4編集

而してなんぢ入て汝の子等とともに戸の内に閉こもりそのすべての器に油をつぎてその盈るところの者をとりのけおくべし

4:5編集

婦人すなはち彼を離れて去りその子等とともに戸の内に閉こもり子等のもちきたる器に油をつぎたりしが

4:6編集

器のみな盈たるときその子にむかひ尚われに器をもちきたれといひけるに器はもはやあらずといひたればその油すなはち止る

4:7編集

是においてその婦神の人にいたりてかくと告ければかれいふ往て油をうりてその負債をつくのひその餘分をもて汝と汝の子等生計をなすべしと

4:8編集

一日エリシヤ、シユネムにゆきしに其所に一人の大なる婦人ありてしきりにこれに食をすすめたれば彼かしこを過る毎にそこに入て食をなせり

4:9編集

茲にその婦人夫にいひけるは視よ此つねにわれらを過る人は我これを見るに神の聖き人なり

4:10編集

請ふ小き室を石垣の上につくりそこに臥床と案と榻と燭臺をかれのために備へん彼われらに至る時はそこに入るべしと

4:11編集

かくてのちある日エリシヤそこに至りその室に入てそこに臥たりしが

4:12編集

その僕ゲハジにむかひ彼のシユナミ人を召きたれといへり彼かの婦人を召たればその前にきたりて立つに

4:13編集

エリシヤ、ゲハジにいひけるは彼にかく言へ汝かく懇に我らのために意を用ふ汝のために何をなすべきや王または軍勢の長に汝のことを告られんことを望むかと彼答へてわれはわが民の中にをるなりといふ

4:14編集

エリシヤいひけるは然ばかれのために何をなすべきやゲハジ答へけるは誠にかれは子なくその夫は老たりと

4:15編集

是においてエリシヤかれを召といひければこれを呼に來りて戸口に立たれば

4:16編集

エリシヤいふ明る年の今頃汝子を抱くあらん彼いひけるはいなわが主神の人よなんぢの婢をあざむきたまふなかれと

4:17編集

かくて婦つひに孕て明る年にいたりてエリシヤのいへるその頃に子を生り

4:18編集

その子育ちてある日刈獲人の所にいでゆきてその父にいたりしが

4:19編集

父にわが首わが首といひたれば父少者に彼を母のもとに負ゆけと言り

4:20編集

すなはちこれを負て母にいたりしに午まで母の膝に坐り居て遂に死たれば

4:21編集

母のぼりゆきてこれを神の人の臥床の上に置きこれをとぢこめて出で

4:22編集

その夫をよびていひけるは請ふ一人の僕と一頭の驢馬を我につかはせ我神の人の許にはせゆきて歸らんと

4:23編集

夫いふ何故に汝は今日かれにいたらんとするや今日は朔日にもあらず安息日にもあらざるなり彼いひけるは宜しと

4:24編集

婦すなはち驢馬に鞍おきてその僕にいひけるは驅て進め吾が命ずることなくば我が騎すすむることに緩漫あらしめざれと

4:25編集

つひにカルメル山にゆきて神の人にいたるに/神の人遥にかれの來るを見て僕ゲハジにいひけるは視よかしこにかのシユナミ人をる

4:26編集

請ふ汝はしりゆきて彼をむかへて言へなんぢは平安なるやなんぢの夫はやすらかなるやなんぢの子はやすらかなるやと彼こたへて平安なりといひ

4:27編集

遂に山にきたりて神の人にいたりその足を抱きたればゲハジこれを逐ひはらはんとて近よりしに神の人いひけるは容しおけ彼は心の中に苦あるなりまたヱホバその事を我にかくしていまだわれに告たまはざるなり

4:28編集

婦いひけるはわれわが主に子を求めしやわれをあざむきたまふなかれとわれは言ざりしや

4:29編集

エリシヤすなはちゲハジにいひけるはなんぢ腰をひきからげわが杖を手にもちて行け誰に逢も禮をなすべからず又なんぢに禮をなす者あるともそれに答ふることなかれわが杖をかの子の面の上におけよと

4:30編集

その子の母いひけるはヱホバは活くなんぢの霊魂は生く我は汝を離れじと是をもてエリシヤついに起て婦に從ひ行ぬ

4:31編集

ゲハジはかれらに先だちゆきて杖をかの子の面の上に置たるが聲もなく聞もせざりしかばかへりきたりてエリシヤに逢てこれに子いまだ目をさまさずと言ふ

4:32編集

エリシヤここにおいて家に入て視に子は死ておのれの臥床の上に臥てあれば

4:33編集

すなはち入り戸をとぢて二人内におりてヱホバに祈り

4:34編集

而してエリシヤ上りて子の上に伏し己が口をその口におのが目をその目に己が手をその手の上にあて身をもてその子を掩しに子の身體やうやく温まり來る

4:35編集

かくしてエリシヤかへり來て家の内に其處此處とあゆみをり又のぼりて身をもて子をおほひしに子七度嚏して目をひらきしかば

4:36編集

ゲハジを呼てかのシユナミ人をよべと言ければすなはちこれを呼り

4:37編集

彼入來りしかばエリシヤなんぢの子を取ゆけと言りかれすなはち入りてエリシヤの足下に伏し地に身をかがめて其子を取あげて出づ

4:38編集

斯てエリシヤまたギルガルにいたりしがその地に饑饉あり預言者の徒その前に坐しをる是において彼その僕にいひけるは大なる釜をすゑて預言者の徒のために羹を煮よと

4:39編集

時に一人田野にゆきて菜蔬を摘しが野籐のあるを見て其より野瓜を一風呂鋪摘きたりて羹の釜の中に截こみたり其は皆それをしらざればなり

4:40編集

斯てこれを盛て人々に食はせんとせしに彼等その羹を食はんとするにあたりて叫びて嗚呼神の人よ釜の中に死をきたらする者ありといひて得食はざりしかば

4:41編集

エリシヤさらば粉をもちきたれといひてこれを釜になげ入れ盛て人々に食しめよと言り釜の中にはすなはち害物あらずなりぬ

4:42編集

茲にバアルシヤリシヤより人來り初穂のパンと大麥のパン二十と圃の初物一袋とを神の人の許にもちいたりたればエリシヤ衆人にあたへて食はしめよと言ふに

4:43編集

その奴僕いひけるは如何にとや我これを百人の前にそなふべきかと然るに彼また言ふ衆人にあたへて食しめよ夫ヱホバかくいひたまふかれら食ふて尚あます所あらんと

4:44編集

すなはち之をその前にそなへたればみな食ふてなほ餘せりヱホバの言のごとし

第5章編集

5:1編集

スリア王の軍勢の長ナアマンはその主君のまへにありて大なる者にしてまた貴き者なりき是はヱホバ曾て彼をもてスリアに拯救をほどこしたまひしが故なり彼は大勇士なりしが癩病をわづらひ居る

5:2編集

昔にスリア人隊を組ていでたりし時にイスラエルの地より一人の小女を執へゆけり彼ナアマンの妻に事たりしが

5:3編集

その女主にむかひわが主サマリヤに居る預言者の前にいまさば善らん者をかれその癩病を痊すならんと言たれば

5:4編集

ナアマン入りてその主君に告てイスラエルの地よりきたれる女子斯々語りたりと言ふに

5:5編集

スリヤ王いひけるは往よ往よ我イスラエルの王に書をおくるべしと是において彼いでゆき銀十タラントと金六千および衣服十襲をたづさヘ

5:6編集

イスラエルの王にその書をもちゆけりその文に曰くこの書汝にいたらば視よ我わが臣ナアマンをなんぢに遣はせるなりこは汝にその癩病を痊されんがためなり

5:7編集

イスラエルの王その書を讀み衣を裂ていふ我神ならんや爭か殺すことをなし生すことをなしえん然るに此人なんぞ癩病の人を我に遣はしてこれを痊さしめんとするや然ば請ふ汝等彼が如何に我に爭を求むるかを見て知れと

5:8編集

茲に神の人エリシヤ、イスラエルの王がその衣を裂たることをきき王に言遣しけるは汝何とて汝の衣をさきしや彼をわがもとにいたらしめよ然ば彼イスラエルに預言者のあることを知にいたるべし

5:9編集

是においてナアマンその馬と車とをしたがへ來りてエリシヤの家の門に立けるに

5:10編集

エリシヤ使をこれに遣して言ふ汝ゆきて身をヨルダンに七たび洗へ然ば汝の肉本にかへりて汝は清く爲べしと

5:11編集

ナアマン怒りて去り言けるは我は彼かならず我もとにいできたりて立ちその神ヱホバの名を呼てその所の上に手を動して癩病を痊すならんと思へり

5:12編集

ダマスコの河アバナとパルパルはイスラエルのすべての河水にまさるにあらずや我これらに身を洗ふて清まることを得ざらんやと乃ち身をめぐらし怒りて去る

5:13編集

時にその僕等近よりてこれにいひけるは我父よ預言者なんぢに大なる事をなせと命ずるとも汝はそれを爲ざらんや况て彼なんぢに身を洗ひて清くなれといふをやと

5:14編集

是においてナアマン下りゆきて神の人の言のごとくに七たびヨルダンに身を洗ひしにその肉本にかへり嬰兒の肉の如くになりて清くなりぬ

5:15編集

かれすなはちその從者とともに神の人の許にかへりきたりてその前に立ていふ我いまイスラエルのほかは全地に神なしと知る然ば請ふ僕より禮物をうけよ

5:16編集

エリシヤいひけるはわが事へまつるヱホバは活く肯て禮物をうけじとかれ強て之を受しめんとしたれども遂にこれを辭したり

5:17編集

ナアマンいひけるは然ば請ふ騾馬に二駄の土を僕にとらせよ僕は今よりのち他の神には燔祭をも祭品をもささげずして只ヱホバにのみ献げんとす

5:18編集

ねがはくは主この事につきて僕をゆるしたまへ即ちわが主君リンモンの宮にいりそこにて崇拝をなしてわが手に倚ることありまた我リンモンの宮にありて身をかがむることあらんわがリンモンの宮において身をかがむる時に願くはヱホバその事につきて僕をゆるしたまへと

5:19編集

エリシヤ彼になんぢ安じて去れといひければ彼エリシヤをはなれて少しく進みゆきけるに

5:20編集

神の人エリシヤの僕ゲハジいいひけるは吾が主人は此スリア人ナアマンをいたはりて彼が手に携へきたれるものを受ざりしがヱホバは活くわれ彼のあとを追かけて彼より少く物をとらんと

5:21編集

ゲハジすなはちナアマンのあとをおひ行くにナアマンはおのれのあとに走り來る者あるを見て車より下りこれを迎へて皆平安やと言ふに

5:22編集

彼言けるは皆平安しわが主我を遣していはしむ只今エフライムの山より預言者の徒なる二人の少者わが許に來れり請ふ汝かれらに銀一タラントと衣二襲をあたへよと

5:23編集

ナアマンいひけるは望むらくは二タラントを取れとてかれを強ひ銀二タラントを二の袋にいれ衣二襲を添て二人の僕に負せたれば彼等これをゲハジの前に負きたりしが

5:24編集

彼岡に至りしとき之をかれらの手より取て室のうちにをさめかれらを放ちて去しめ

5:25編集

而して入てその主人のまへに立つにエリシヤこれにいひけるはゲハジよ何處より來りしや答へていふ僕は何處にもゆかず

5:26編集

エリシヤいひけるはその人が車をはなれ來りてなんぢを迎へし時にわが心其處にあらざりしや今は金をうけ衣をうけ橄欖園葡萄園羊牛僕婢をうくべき時ならんや

5:27編集

然ばナアマンの癩病はなんぢにつき汝の子孫におよびて限なからんと彼その前より退ぞくに癩病發して雪のごとくになりぬ

第6章編集

6:1編集

茲に預言者の徒エリシヤに言けるは視よ我儕が汝とともに住ふ所はわれらのために隘し

6:2編集

請ふ我儕をしてヨルダンに往しめよ我儕おのおの彼處より一の材木を取て其處に我儕の住べき處を設けんエリシヤ往よと言ふ

6:3編集

時にその一人希はくは汝も僕等と共に往けと言ければエリシヤ答へて我ゆかんと言ふ

6:4編集

エリシヤかく彼等とともに往り彼等すなはちヨルダンにいたりて樹を砍りたふしけるが

6:5編集

一人の材木を砍りたふすに方りてその斧水におちいりしかば叫びて嗚呼主よ是は乞得たる者なりと言ふ

6:6編集

神の人其は何處におちいりしやと言ふにその處をしらせしかば則ち枝を切おとして其處に投いれてその斧を浮ましめ

6:7編集

汝これを取れと言ければその人手を伸てこれを取り

6:8編集

茲にスリアの王イスラエルと戰ひをりその臣僕と評議して斯々の處に我陣を張んと言たれば

6:9編集

神の人イスラエルの王に言おくりけるは汝愼んで某の處を過るなかれ其はスリア人其處に下ればなりと

6:10編集

イスラエルの王是において神の人が己に告げ己に敎たる處に人を遣して其處に自防しこと一二回に止まらざりき

6:11編集

是をもてスリアの王是事のために心をなやましその臣僕を召て我儕の中誰がイスラエルの王と通じをるかを我に告ざるやと言ふに

6:12編集

その臣僕の一人言ふ王わが主よ然るにあらず但イスラエルの預言者エリシヤ汝が寝室にて語る所の言語をもイスラエルの王に告るなり

6:13編集

王いひけるは往て彼が安に居かを見よ我人をやりてこれを執へんと茲に彼はドタンに居ると王に告ていふ者ありければ

6:14編集

王そこに馬と車および大軍をつかはせり彼等すなはち夜の中に來りてその邑を取かこみけるが

6:15編集

神の人の從屬夙に興て出て見に軍勢馬と車をもて邑を取かこみ居ればその少者エリシヤに言けるは嗚呼わが主よ我儕如何にすべきや

6:16編集

エリシヤ答へけるは懼るなかれ我儕とともにある者は彼等とともにある者よりも多しと

6:17編集

ヱリシヤ祈りて願くはヱホバかれの目を開きて見させたまへと言ければヱホバその少者の眼を開きたまへり彼すなはち見るに火の馬と火の車山に盈てエリシヤの四面に在り

6:18編集

スリア人エリシヤの所に下りいたれる時エリシヤ、ヱホバに祈りて言ふ願くは此人々をして目昏しめたまへと即ちエリシヤの言のごとくにその目を昏しめたまへり

6:19編集

是においてエリシヤ彼らに言けるは是はその途にあらず是はその城にもあらず我に從ひて來れ我汝らを汝らが尋ぬる人の所に携ゆかんとて彼等をサマリヤにひき至れり

6:20編集

彼等がサマリヤに至りし時エリシヤ言けるはヱホバよ此人々の目をひらきて見させたまへと即ちヱホバかれらの目を開きたまひたれば彼等見るにその身はサマリヤの中にあり

6:21編集

イスラエルの王かれらを見てエリシヤに言けるはわが父よ我撃殺すべきや撃殺すべきや

6:22編集

エリシヤ答けるは撃殺すべからず汝劍と弓をもて擄にせる者等を撃殺すことを爲んやパンと水と彼らの前にそなへて食飮せしめてその主君に往しむべきなり

6:23編集

王すなはちかれらの爲に大なる饗宴をまうけ其食飮ををはるに及びてこれを去しめたればすなはち其主君に歸れり是をもてスリアの兵ふたたびイスラエルの地に入ざりき

6:24編集

此後スリアの王ベネハダデその全軍を集めて上りきたりてサマリヤを攻圍みければ

6:25編集

サマリヤ大に糧食に乏しくなれり即ちかれら之を攻かこみたれば遂に驢馬の頭一箇は銀八十枚にいたり鳩の糞一カブの四分の一は銀五枚にいたる

6:26編集

茲にイスラエルの王石垣の上を通りをる時一人の婦人かれに呼はりて我主王よ助けたまへと言ければ

6:27編集

彼言ふヱホバもし汝を助けたまはずば我何をもてか汝を助くることを得ん禾場の物をもてせんか酒榨の中の物をもてせんか

6:28編集

王すなはち婦に何事なるやと言ば答へて言ふ此婦人我にむかひ汝の子を與へよ我儕今日これを食ひて明日わが子を食ふべしと言り

6:29編集

斯われら吾子を煮てこれを食ひけるが我次の日にいたりて彼にむかひ汝の子を與へよ我儕これを食はんと言しに彼その子を隱したり

6:30編集

王その婦人の言を聞て衣を裂き而して石垣の上を通りをりしが民これを見るにその膚に麻布を著居たり

6:31編集

王言けるは今日シヤパテの子エリシヤの首その身の上にすわりをらば神われに斯なしまた重ねてかく成たまへ

6:32編集

時にエリシヤはその家に坐しをり長老等これと共に坐し居る王すなはち己の所より人を遣しけるがエリシヤはその使者の未だ己にいたらざる前に長老等に言ふ汝等この人を殺す者の子が我の首をとらんとて人を遣はすを見るや汝等觀てその使者至らば戸を閉てこれを戸の内にいるるなかれ彼の主君の足音その後にするにあらずやと

6:33編集

斯彼等と語をる間にその使者かれの許に來りしが王もつづいて來り言けるは此災はヱホバより出たるなり我なんぞ此上ヱホバを待べけんや

第7章編集

7:1編集

エリシヤ言けるは汝らヱホバの言を聽けヱホバかく言たまふ明日の今頃サマリヤの門にて麥粉一セアを一シケルに賣り大麥二セアを一シケルに賣にいたらん

7:2編集

時に一人の大將すなはち王のその手に依る者神の人に答へて言けるは由やヱホバ天に窓をひらきたまふも此事あるべけんやエリシヤいひけるは汝は汝の目をもて之を見ん然どこれを食ふことはあらじ

7:3編集

茲に城邑の門の入口に四人の癩病人をりしが互に言けるは我儕なんぞ此に坐して死るを待べけんや

7:4編集

我ら若邑にいらんと言ば邑には食物竭てあれば我ら其處に死んもし又此に坐しをらば同く死ん然ば我儕ゆきてスリアの軍勢の所にいたらん彼ら我らを生しおかば我儕生ん若われらを殺すも死るのみなりと

7:5編集

すなはちスリア人の陣營にいたらんとて黄昏に起あがりしがスリアの陣營の邊にいたりて視に一人も其處にをる者なし

7:6編集

是より先に主スリアの軍勢をして車の聲馬の聲大軍の聲を聞しめたまひしかば彼ら互に言けるは視よイスラエルの王われらに敵せんとてヘテ人の王等およびエジプトの王等を傭ひきたりて我らを襲はんとすと

7:7編集

すなはち黄昏に起て逃げその天幕と馬と驢馬とを棄て陣營をその儘になしおき生命を全うせんとて逃たり

7:8編集

かの癩病人等陣營の邊に至りしが遂に一の天幕にいりて食飮し其處より金銀衣服を持さりて往てこれを隱し又きたりて他の天幕にいり其處よりも持さりて往てこれを隱せり

7:9編集

かくて彼等互に言けるは我儕のなすところ善らず今日は好消息ある日なるに我儕は默し居る若夜明まで待ば菑害身におよばん然ば來れ往て王の眷屬に告んと

7:10編集

すなはち來りて邑の門を守る者を呼びこれに告て言けるは我儕スリア人の陣營にいたりて視に其處には一人も居る者なく亦人の聲もせず但馬のみ繋ぎてあり驢馬のみ繋ぎてあり天幕は其儘なりと

7:11編集

是において門を守る者呼はりてこれを王の家の中に報せたれば

7:12編集

王夜の中に興いでてその臣下に言けるは我スリア人が我儕になせる所の如何を汝等に示さん彼等はわれらの饑たるを知が故に陣營を去て野に隱る是はイスラエル人邑を出なば生擒て邑に推いらんと言て然せるなり

7:13編集

その臣下の一人對へて言けるは請ふ尚遺されて邑に存れる馬の中五匹を取しめよ我儕人を遣て窺はしめん視よ是等は邑の中に遺れるイスラエルの全群衆のごとし視よ是等は滅び亡たるイスラエルの全群衆のごとくなりと

7:14編集

是において二輛の戰車とその馬を取り王すなはち往て見よといひて人を遣はしてスリアの軍勢の跡を尾しめたれば

7:15編集

彼らその跡を尾てヨルダンにいたりしが途には凡てスリア人が狼狽逃る時に棄たる衣服と器具盈りその使者かへりてこれを王に告ければ

7:16編集

民いでてスリア人の陣營を掠めたり斯在しかば麥粉一セアは一シケルとなり大麥二セアは一シケルと成るヱホバの言のごとし

7:17編集

爰に王その手に依ところの彼大將を立て門を司らしめたるに民門にて彼を踐たれば死り即ち神の人が王のおのれに下り來し時に言たる言のごとし

7:18編集

又神の人が王につげて明日の今頃サマリヤの門にて大麥二セアを一シケルに賣り麥粉二セアを一シケルに賣にいたらんと言しごとくに成ぬ

7:19編集

彼大將その時に神の人にこたへてヱホバ天に窓をひらきたまふも此事あるべけんやと言たりしかば答へて汝目をもてこれを見べけれどもこれを食ふことはあらじと言たりしが

7:20編集

そのごとくになりぬ即ち民門にてかれを踐て死しめたり

第8章編集

8:1編集

エリシヤ甞てその子を甦へらせて與へし婦に言しことあり曰く汝起て汝の家族とともに往き汝の寄寓んとおもふ處に寄寓れ其はヱホバ饑饉を呼くだしたまひたれば七年の間この地に臨むべければなりと

8:2編集

是をもて婦起て神の人の言のごとくに爲しその家族とともに往てペリシテ人の地に七年寄寓ぬ

8:3編集

かくて七年を經て後婦人ペリシテ人の地より歸りしが自己の家と田畝のために王に呼もとめんとて往り

8:4編集

時に王は神の人の僕ゲハジにむかひ請ふエリシヤが爲し諸の大なる事等を我に告よと言てこれと談話をる

8:5編集

即ち彼エリシヤが死人を甦らせしことを王にものがたりをる時にその子を彼が甦らせし婦自己の家と田畝のために王に呼もとめければゲハジ言ふわが主王よ是すなはちその婦人なり是すなはちエリシヤが甦らせしその子なり

8:6編集

王すなはちその婦に尋ねけるにこれを陳たれば王彼のために一人の官吏を派出して言ふ凡て彼に屬する物並に彼がこの地を去し日より今にいたるまでの其田畝の產出物を悉く彼に還せよと

8:7編集

エリシヤ、ダマスコに至れる事あり時にスリアの王ベネハダデ病にかかりをりしがこれにつげて神の人此にきたると言ふ者ありければ

8:8編集

王ハザエルに言ふ汝手に禮物をとり往て神の人を迎へ彼によりてヱホバに吾この病は愈るやと言て問へ

8:9編集

是においてハザエルかれを迎へんとて出往きダマスコのもろもろの佳物駱駝に四十駄を禮物に携へて到りて彼の前に立ち曰けるは汝の子スリアの王ベネハダデ我を汝につかはして吾この病は愈るやと言しむ

8:10編集

エリシヤかれに言けるは往てかれに汝はかならず愈べしと告よ但しヱホバかれはかならず死んと我にしめしたまふなり

8:11編集

而して神の人瞳子をさだめて彼の羞るまでに見つめ乃て哭いでたれば

8:12編集

ハザエルわが主よ何て哭たまふやと言ふにエリシヤ答へけるは我汝がイスラエルの子孫になさんところの害惡を知ばなり即ち汝は彼等の城に火をかけ壯年の人を劍にころし子等を挫ぎ孕女を刳ん

8:13編集

ハザエル言けるは汝の僕は犬なるか何ぞ斯る大なる事をなさんエリシヤ答へけるはヱホバ我にしめしたまふ汝はスリアの王となるにいたらん

8:14編集

斯て彼エリシヤを離れて去てその主君にいたるにエリシヤは汝に何と言しやと尋ければ答へて彼汝はかならず愈るあらんと我に告たりと言ふ

8:15編集

翌日にいたりてハザエル粗き布をとりて水に浸しこれをもて王の面を覆ひたれば死りハザエルすなはち之にかはりて王となる

8:16編集

イスラエルの王アハブの子ヨラムの五年にはヨシヤパテ尚ユダの王たりき此年にユダの王ヨシヤバテの子ヨラム位に即り

8:17編集

彼は位に即し時三十二歳にして八年の間エルサレムにて世を治めたり

8:18編集

彼はアハブの家のなせるがごとくにイスラエルの王等の道を行へりアハブの女かれの妻なりければなり斯彼はヱホバの目の前に惡をなせしかども

8:19編集

ヱホバその僕ダビデのためにユダを滅すことを好みたまはざりき即ち彼にその子孫によりて恒に光明を與んと言たまひしがごとし

8:20編集

ヨラムの代にエドム叛きてユダの手に服せず自ら王を立たれば

8:21編集

ヨラムその一切の戰車をしたがへてザイルに渉りしが遂に夜の中に起あがりて自己を圍めるエドム人を撃ちその戰車の長等を撃り斯して民はその天幕に逃ゆきぬ

8:22編集

エドムは斯叛きてユダの手に服せずなりしが今日まで然り此時にあたりてリブナもまた叛けり

8:23編集

ヨラムのその餘の行爲およびその凡て爲たる事等はユダの王の歴代志の書に記さるるにあらずや

8:24編集

ヨラムその先祖等とともに寝りてダビデの邑にその先祖たちと同じく葬られその子アハジアこれに代りて王となれり

8:25編集

イスラエルの王アハブの子ヨラムの十二年にユダの王ヨラムの子アハジア位に即り

8:26編集

アハジアは位に即し時二十二歳にしてエルサレムにて一年世を治めたりその母はイスラエルの王オムリの孫女にして名をアタリヤといふ

8:27編集

アハジアはアハブの家の道にあゆみアハブの家のごとくにヱホバの目の前に惡をなせり是かれはアハブの家の婿なりければなり

8:28編集

茲にアハブの子ヨラム自身ゆきてスリアの王ハザエルとギレアデのラモテに戰ひけるがスリア人等ヨラムに傷を負せたり

8:29編集

是に於てヨラム王はそのスリアの王ハザエルと戰ふにあたりてラマに於てスリア人に負せられたるところの傷を療さんとてヱズレルに歸れりユダの王ヨラムの子アハジアはアハブの子ヨラムが病をるをもてヱズレルに下りて之を訪ふ

第9章編集

9:1編集

茲に預言者エリシヤ預言者の徒一人を呼てこれに言ふ汝腰をひきからげ此膏の瓶を手にとりてギレアデのラモテに往け

9:2編集

而して汝かしこに到らばニムシの子なるヨシヤパテの子ヱヒウを其處に尋獲て内に入り彼をその兄弟の中より起しめて奧の間につれゆき

9:3編集

膏の瓶をとりその首に灌ぎて言へヱホバかく言たまふ我汝に膏をそそぎてイスラエルの王となすと而して戸を開きて逃されよ止ること勿れ

9:4編集

是において預言者の僕なるその少者ギレアデのラモテに往けるが

9:5編集

到りて見るに軍勢の長等坐してをりければ將軍よ我汝に告べき事ありと言ふにヱヒウこたへて我儕諸人の中の誰にかと言たれば將軍よ汝にと言ふ

9:6編集

ヱヒウすなはち起て家にいりければ彼その首に膏をそそぎて之に言ふイスラエルの神ヱホバかく言たまふ我汝に膏をそそぎてヱホバの民イスラエルの王となす

9:7編集

汝はその主アハブの家を撃ほろぼすべし其によりて我わが僕なる預言者等の血とヱホバの諸の僕等の血をイゼベルの身に報いん

9:8編集

アハブの家は全く滅亡べしアハブに屬する男はイスラエルにありて繋がれたる者も繋がれざる者もともに之を絶べし

9:9編集

我アハブの家をネバテの子ヤラベアムの家のごとくに爲しアヒヤの子バアシヤの家のごとくになさん

9:10編集

ヱズレルの地において犬イゼベルを食ふべし亦これを葬るものあらじと而して戸を啓きて逃されり

9:11編集

かくてヱヒウその主の臣僕等の許にいできたりたれば一人之に言ふ平安なるやこの狂る者何のために汝にきたりしやヱヒウこたへて汝等はかの人を知りまたその言ところを知なりと言ふに

9:12編集

彼等言けらく謊なり其を我儕に告よと是においてヱヒウ言けるは彼斯々我につげて言りヱホバかく言たまふ我汝に膏をそそぎてイスラエルの王となすと

9:13編集

彼等すなはち急ぎて各人その衣服をとりこれを階の上ヱヒウの下に布き喇叭を吹てヱヒウは王たりと言り

9:14編集

ニムシの子なるヨシヤバテの子ヱヒウ斯ヨラムに叛けり(ヨラムはイスラエルを盡くひきゐてギレアデのラモテに於てスリアの王ハザエルを禦ぎたりしが

9:15編集

ヨラム王はそのスリアの王ハザエルと戰ふ時にスリア人に負せられたるところの傷を痊さんとてヱズレルに歸りてをる)ヱヒウ言けるは若なんぢらの心にかなはば一人もこの邑より走いでてこれをヱズレルに言ふ者なからしめよと

9:16編集

ヱヒウすなはちヱズレルをさして乗往りヨラムかしこに臥をればなりまたユダの王アハジアはヨラムを訪に下りてをる

9:17編集

ヱズレルの戌樓に一箇の守望者立をりしがヱヒウの群衆のきたるを見て我群衆を見るといひければヨラム言ふ一人を馬に乗て遣し其に會しめて平安なるやと言しめよと

9:18編集

是において一人馬にて行てこれに會ひ王かく宣まふ平安なるやと言ふにヱヒウ言けるは平安は汝の與るところならんや吾後にまはれと守望者また告て言ふ使者かれらの許に往たるが歸り來ずと

9:19編集

是をもて再び人を馬にて遣したればその人かれらに到りて王かく宣まふ何か變事あるやと言ふにヱヒウ答て平安は汝の與るところならんや吾後にまはれと言ふ

9:20編集

守望者また告て言ふ彼も彼等の所にまで到りしが歸り來ずその車を趨するはニムシの子ヱヒウが趨するに似狂ふて趨らせ來る

9:21編集

是においてヨラム車を整へよと言ひけるが車整ひたればイスラエルの王ヨラムとユダの王アハジアおのおのその車にて出たり即ちかれらヱヒウにむかひて出きたりヱズレル人ナボテの地にて之に會けるが

9:22編集

ヨラム、ヱヒウを見てヱヒウよ平安なるやといひたればヱヒウこたへて汝の母イゼベルの姦淫と魔術と斯多かれば何の平安あらんやと云り

9:23編集

ヨラムすなはち手をめぐらして逃げアハジアにむかひ反逆なりアハジアよと言ふに

9:24編集

ヱヒウ手に弓をひきしぼりてヨラムの肩の間を射たればその矢かれの心をいぬきて出で彼は車の中に偃ししづめり

9:25編集

ヱヒウその將ビデカルに言けるは彼をとりてヱズレル人ナボテの地の中に投すてよ其は汝憶ふべし甞て我と汝と二人ともに乗て彼の父アハブに從へる時にヱホバ斯かれの事を預言したまへり

9:26編集

曰くヱホバ言ふ誠に我昨日ナボテの血とその子等の血を見たりヱホバ言ふ我この地において汝にむくゆることあらんと然ば彼をとりてその地になげすててヱホバの言のごとくにせよ

9:27編集

ユダの王アハジアはこれを視て園の家の途より逃ゆきけるがヱヒウその後を追ひ彼をも車の中に撃ころせと言しかばイブレアムの邊なるグルの坂にてこれを撃たればメギドンまで逃ゆきて其處に死り

9:28編集

その臣僕等すなはち之を車にのせてエルサレムにたづさへゆきダビデの邑においてかれの墓にその先祖等とおなじくこれを葬れり

9:29編集

アハブの子ヨラムの十一年にアハジアはユダの王となりしなり

9:30編集

斯てヱヒウ、ヱズレルにきたりしかばイゼベル聞てその目を塗り髮をかざりて窓より望みけるが

9:31編集

ヱヒウ門に入きたりたればその主を弑せしジムリよ平安なるやと言り

9:32編集

ヱヒウすなはち面をあげて窓にむかひ誰か我に與ものあるや誰かあるやと言けるに二三の寺人ヱヒウを望みたれば

9:33編集

彼を投おとせと言りすなはち之を投おとしたればその血牆と馬とにほどばしりつけりヱヒウこれを踏とほれり

9:34編集

斯て彼内にいりて食飮をなし而して言けるは往てかの詛はれし婦を見これを葬れ彼は王の女子なればなりと

9:35編集

是をもて彼を葬らんとて往て見るにその頭骨と足と掌とありしのみなりければ

9:36編集

歸りで彼につぐるに彼言ふ是すなはちヱホバがその僕なるテシベ人エリヤをもて告たまひし言なり云くヱズレルの地において犬イゼベルの肉を食はん

9:37編集

イゼベルの屍骸はヱズレルの地に於て糞土のごとくに野の表にあるべし是をもて是はイゼベルなりと指て言ふこと能ざらん

第10章編集

10:1編集

アハブ、サマリヤに七十人の子あり茲にヱヒウ書をしたためてサマリヤにおくり邑の牧伯等と長老等とアハブの子等の師傳等とに傳へて云ふ

10:2編集

汝らの主の子等汝らとともにあり又汝等は車も馬も城もあり且武器もあれば此書汝らの許にいたらば

10:3編集

汝らの主の子等の中より最も優れる方正き者を選みだ出してその父の位に置ゑ汝等の主の家のために戰へよ

10:4編集

彼ら大に恐れて言ふ二人の王等すでに彼に當ることを得ざりしなれば我儕いかでか當ることを得んと

10:5編集

乃ち家宰邑宰長老師傳等ヱヒウに言おくりけるは我儕は汝の僕なり凡て汝が我儕に命ずる事を爲ん我儕は王を立るを好まず汝の目に善と見ゆる所を爲せ

10:6編集

是においてヱヒウ再度かれらに書をおくりて云ふ汝らもし我に與き我言にしたがふならば汝らの主の子なる人々の首をとりて明日の今頃ヱズレルにきたりて吾許にいたれと當時王の子七十人はその師傳なる邑の貴人等とともに居る

10:7編集

その書かれらに至りしかば彼等王の子等をとらへてその七十人をことごとく殺しその首を籃につめてこれをヱズレルのヱヒウの許につかはせり

10:8編集

すなはち使者いたりてヱヒウに告て人衆王の子等の首をたづさへ來れりと言ければ明朝までそれを門の入口に二山に積おけと言り

10:9編集

朝におよび彼出て立ちすべての民に言ふ汝等は義し我はわが主にそむきて之を弑したり然ど此すべての者等を殺せしは誰なるぞや

10:10編集

然ば汝等知れヱホバがアハブの家につきて告たまひしヱホバの言は一も地に隕ず即ちヱホバはその僕エリヤによりて告し事を成たまへりと

10:11編集

斯てヱヒウはアハブの家に屬する者のヱズレルに遺れるを盡く殺しまたその一切の重立たる者その親き者およびその祭司等を殺して彼に屬する者を一人も遺さざりき

10:12編集

ヱヒウすなはち起て往てサマリヤに至りしがヱヒウ途にある時牧者の集會所において

10:13編集

ユダの王アハジアの兄弟等に遇ひ汝等は何人なるやと言けるに我儕はアハジアの兄弟なるが王の子等と王母の子等の安否を問んとて下るなりと答へたれば

10:14編集

彼等を生擒れと言り即ちかれらを生擒りその集會所の穴の側にて彼等四十二人を盡く殺し一人をも遺さざりき

10:15編集

斯てヱヒウ其處より進みゆきしがレカブの子ヨナダブの己を迎にきたるに遭ければその安否をとふてこれに汝の心はわが心の汝の心と同一なるがごとくに眞實なるやと言けるにヨナダブ答へて眞實なりと言たれば然ば汝の手を我に伸よと言ひその手を伸ければ彼を挽て己の車に登らしめて

10:16編集

言ふ我とともに來りて我がヱホバに熱心なるを見よと斯かれを己の車に乗しめ

10:17編集

サマリヤにいたりてアハブに屬する者のサマリヤに遺れるを盡く殺して遂にその一族を滅せりヱホバのエリヤに告たまひし言語のごとし

10:18編集

茲にヱヒウ民をことごとく集てこれに言けるはアハブは少くバアルに事たるがヱヒウは大にこれに事へんとす

10:19編集

然ば今バアルの諸の預言者諸の臣僕諸の祭司等を我許に召せ一人も來らざる者なからしめよ我大なる祭祀をバアルのためになさんとするなり凡て來らざる者は生しおかじと但しヱヒウ、バアルの僕等を滅さんとて偽りて斯なせるなり

10:20編集

ヱヒウすなはちバアルの祭禮を設よと言ければ之を宣たり

10:21編集

是てヱヒウあまねくイスラエルに人をつかはしたればバアルの僕たる者皆きたれり一人も來らずして遺れるものはあらざりき彼等バアルの家にいりたればバアルの家は末より末まで充わたれり

10:22編集

時にヱヒウ衣裳を掌どる者てむかひ禮服をとりいだしてバアルの凡の僕等にあたへよといひければすなはち禮服をとりいだせり

10:23編集

斯ありてヱヒウはレカブの子ヨナダブとともにバアルの家にいりしがバアルの僕等に言ふ汝等尋ね見て此には只バアルの僕のみあらしめヱホバの僕を一人も汝らの中にあらしめざれと

10:24編集

彼等犠牲と燔祭を献げんとて入し時ヱヒウ八十人の者を外に置て言ふ凡てわがその手にわたすところの人を一人にても逃れしむる者は己の生命をもてその人の生命に代べしと

10:25編集

期て燔祭を献ぐることの終りし時ヱヒウその士卒と諸將に言ふ入てかれらを殺せ一人をも出すなかれとすなはち刃をもて彼等を撃ころせり而して士卒と諸將これを投いだしてバアルの家の内殿に入り

10:26編集

諸の像をバアルの家よりとりいだしてこれを燒り

10:27編集

即ちかれらバアルの像をこぼちバアルの家をこぼち其をもて厠を造りしが今日までのこる

10:28編集

ヱヒウかくイスラエルの中よりバアルを絶さりたりしかども

10:29編集

ヱヒウは尚かのイスラエルに罪を犯させたるネバテの子ヤラベアムの罪に離るることをせざりき即ち彼なほベテルとダンにあるところの金の犢に事たり

10:30編集

ヱホバ、ヱヒウに言たまひけらく汝わが義と視るところの事を行ふにあたりて善く事をなしまたわが心にある諸の事をアハブの家になしたれば汝の子孫は四代までイスラエルの位に坐せんと

10:31編集

然るにヱヒウは心を盡してイスラエルの神ヱホバの律法をおこなはんとはせず尚かのイスラエルに罪を犯させたるヤラベアムの罪に離れざりき

10:32編集

是時にあたりてヱホバ、イスラエルを割くことを始めたまへりハザエルすなはちイスラエルの一切の邊境を侵し

10:33編集

ヨルダンの東においてギレアデの全地ガド人ルベン人マナセ人の地を侵しアルノン河の邊なるアロエルよりギレアデにいたりバシヤンにおよべり

10:34編集

ヱヒウのその餘の行爲とその凡て爲たる事むよびその大なる能はイスラエルの王の歴代志の書に記さるるにあらずや

10:35編集

ヱヒウその先祖等とともに寝りたればこれをサマリヤに葬りぬその子ヱホアハズこれに代て王となれり

10:36編集

ヱヒウがサマリヤにをりてイスラエルに王たりし間は二十八年なりき


第11章編集

11:1編集

茲にアハジアの母アタリヤその子の死たるを見て起て王の種を盡く滅したりしが

11:2編集

ヨラム王の女にしてアハジアの姉妹なるヱホシバといふ者アハジアの子ヨアシを王の子等の殺さるる者の中より竊みとり彼とその乳母を夜着の室にいれて彼をアタリヤに匿したれば終にころされざりき

11:3編集

ヨアシは彼とともに六年ヱホバの家に隱れてをりアタリヤ國を治めたり

11:4編集

第七年にいたりヱホヤダ人を遣して近衛兵の大將等を招きよせヱホバの家にきたりて己に就しめ彼等と契約を結び彼らにヱホバの家にて誓をなさしめて王の子を見し

11:5編集

かれらに命じて言ふ汝等がなすべき事は是なり汝等安息日に入きたる者は三分の一は王の家をまもり

11:6編集

三分の一はスル門にをり三分の一は近衛兵の後の門にをるべし斯なんぢら宮殿をまもりて人をいるべからず

11:7編集

また凡て汝等安息日に出ゆく者はその二手ともにヱホバの家において王をまもるべし

11:8編集

すなはち汝らおのおの武器を手にとりて王を環て立べし凡てその列を侵す者をば殺すべし汝等又王の出る時にも入る時にも王とともにをるべし

11:9編集

是においてその將官等祭司ヱホヤダが凡て命ぜしごとくにおこなへり即ちかれらおのおの其手の人の安息日に入くべき者と安息日に出ゆくべき者とを率て祭司ヱホヤダに至りしかば

11:10編集

祭司はヱホバの殿にあるダビデ王の槍と楯を大將等にわたせり

11:11編集

近衛兵はおのおの手に武器をとりて王の四周にをり殿の右の端より左の端におよびて壇と殿にそひて立つ

11:12編集

ヱホヤダすなはち王子を進ませて之に冠冕をいただかせ律法をわたし之を王となして之に膏をそそぎければ人衆手を拍て王長壽かれと言り

11:13編集

茲にアタリヤ近衛兵と民の聲を聞きヱホバの殿にいりて民の所にいたり

11:14編集

見るに王は常例のごとくに高座の上に立ち其傍に大將等と喇叭手立をり又國の民みな喜びて喇叭を吹をりしかばアタリヤ其衣を裂て反逆なり反逆なりと叫べり

11:15編集

時に祭司ヱホヤダ大將等と軍勢の士官等に命じてこれに言ふ彼をして列の間をとほりて出しめよ彼に從がふ者をば劍をもて殺せと前にも祭司は彼をヱホバの家に殺すべからずと言おけり

11:16編集

是をもて彼のために路をひらきければ彼王の家の馬道をとほりゆきしが遂に其處に殺されぬ

11:17編集

斯てヱホヤダはヱホと王と民の間にその皆ヱホバの民とならんといふ契約を立しめたり亦王と民の間にもこれを立しめたり

11:18編集

是をもて國の民みなバアルの家にいりてこれを毀ちその壇とその像を全く打碎きバアルの祭司マツタンをその壇の前に殺せり而して祭司ヱホバの家に監督者を設けたり

11:19編集

ヱホヤダすなはち大將等と近衛兵と國の諸の民を率てヱホバの家より王をみちびき下り近衛兵の門の途よりして王の家にいたり王の位に坐せしめたり

11:20編集

斯有しかば國の民はみな喜びて邑は平穩なりきアタリヤは王の家に殺されぬ

11:21編集

ヨアシは位に即し時七歳なりき

第12章編集

12:1編集

ヨアシはヱヒウの七年に位に即きエルサレムにおいて四十年世を治めたりその母はベエルシバより出たるものにて名をヂビアといへり

12:2編集

ヨアシは祭司ヱホヤダの己を誨ふる間は恒にヱホバの善と視たまふ事をおこなへり

12:3編集

然ど崇邱は除かずしてあり民は尚その崇邱において犠牲をささげ香を焚り

12:4編集

茲にヨアシ祭司等に言けるは凡てヱホバの家に聖別て献納るところの金即ち核數らるる人の金估價にしたがひて出すところの身の代の金および人々が心より願てヱホバの家に持きたるところの金

12:5編集

これを祭司等おのおのその知人より受をさめ何處にても殿に破壞の見る時はこれをもてその破壞を修繕ふべしと

12:6編集

然るにヨアシ王の二十三年におよぶまで祭司等殿の破壞を修繕ふにいたらざりしかば

12:7編集

ヨアシ王祭司ヱホヤダおよびその他の祭司等を召てこれに言ふ汝等などて殿の破壞を修繕はざるや然ば今よりは汝等の知人より金を受て自己のためにすべからず唯殿の破壞の修理に其を供ふべしと

12:8編集

祭司等は重て民より自己のために金を受ず又殿の破壞を修理ふことをせじと約せり

12:9編集

斯て後祭司ヱホヤダ一箇の櫃をとりその蓋に孔を穿ちてこれをヱホバの家の入口の右において壇の傍に置り門守の祭司等すなはちヱホバの家に入きたるところの金をことごとくその中に入たり

12:10編集

爰にその櫃の中に金の多くあることを見たれば王の書記と祭司長と上り來りてそのヱホバの家に積りし金を包みてこれを數へ

12:11編集

その數へし金をこの工事をなす者に付せり即ちヱホバの家の監督者にこれを付しければ彼等またヱホバの家を修理ふところの木匠と建築師にこれを與へ

12:12編集

石工および琢石者に與へまたこれをもてヱホバの家の破壞を修繕ふ材木と琢石を買ひ殿を修理ふために用ふる諸の物のためにこれを費せり

12:13編集

但しヱホバの家にり來れるその金をもてヱホバの家のために銀の盂燈剪鉢喇叭金の器銀の器等を造ることはせざりき

12:14編集

唯これをその工事をなす者にわたして之をもてヱホバの家を修理はしめたり

12:15編集

またその金を手にわたして工人にはらはしめたる人々と計算をなすことをせざりき是は彼等忠厚に事をなしたればなり

12:16編集

愆金と罪金はヱホバの家にいらずして祭司に歸せり

12:17編集

當時スリアの王ハザエルのぼり來りてガテを攻てこれを取り而してハザエル、エルサレムに攻のぼらんとてその面をこれに向たり

12:18編集

是をもてユダの王ヨアシその先祖たるユダの王ヨシヤパテ、ヨラム、アハジア等が聖別て献げたる一切の物および自己が聖別て献げたる物ならびにヱホバの家の庫と王の家とにあるところの金を悉く取てこれをスリアの王ハザエルにおくりければ彼すなはちエルサレムを離れて去ぬ

12:19編集

ヨアシのその餘の行爲およびその凡て爲たる事はユダの王の歴代志の書に記さるるにあらずや

12:20編集

茲にヨアシの臣僕等おこりて黨をむすびシラに下るところのミロの家にてヨアシを弑せり

12:21編集

即ちその僕シメアテの子ヨザカルとシヨメルの子ヨザバデかれを弑して死しめたればその先祖とおなじくこれをダビデの邑に葬れりその子アマジヤこれに代りて王となる

第13章編集

13:1編集

ユダの王アハジアの子ヨアシの二十三年にヱヒウの子ヨハアズ、サマリヤにおいてイスラエルの王となり十七年位にありき

13:2編集

彼はヱホバの目の前に惡をなし夫のイスラエルに罪を犯させたるネバテの子ヤラベアムの罪を行ひつづけて之に離れざりき

13:3編集

是においてヱホバ、イスラエルにむかひて怒を發しこれをその代のあひだ恒にスリアの王ハザエルの手にわたしおき又ハザエルの子ベネハダデの手に付し置たまひしが

13:4編集

ヨアハズ、ヱホバに請求めたればヱホバつひにこれを聽いれたまへり其はイスラエルの苦難を見そなはしたればなり即ちスリアの王これをなやませるなり

13:5編集

ヱホバつひに救者をイスラエルにたまひたればイスラエルの子孫はスリア人の手を脱れて疇昔の如くに己々の天幕に住にいたれり

13:6編集

但し彼等はイスラエルに罪を犯さしめたるヤラベアムの家の罪をはなれずして之をおこなひつづけたりサマリヤにも亦アシタロテの像たちをりぬ

13:7編集

嚮にスリアの王は民を滅し踐くだく塵のごとくに是をなして只騎兵五十人車十輌歩兵一萬人而巳をヨアハズに遺せり

13:8編集

ヨアハズのその餘の行爲とその凡て爲たる事およびその能はイスラエルの王の歴代志の書にしるさるるに非ずや

13:9編集

ヨアハズその先祖等とともに寝りたればこれをサマリヤに葬れりその子ヨアシこれに代て王となる

13:10編集

ユダの王ヨアシの三十七年にヨアハズの子ヨアシ、サマリヤにおいてイスラエルの王となり十六年位にありき

13:11編集

彼ヱホバの目の前に惡をなし夫のイスラエルに罪を犯させたるネバテの子ヤラベアムの諸の罪にはなれずしてこれを行ひつづけたり

13:12編集

ヨアシのその餘の行爲とその凡て爲たる事およびそのユダの王アマジヤと戰ひし能はイスラエルの王の歴代志の書に記さるるに非ずや

13:13編集

ヨアシその先祖等とともに寝りてヤラベアム位にのぼれりヨアシはイスラエルの王等とおなじくサマリヤに葬らる

13:14編集

茲にエリシヤ死病にかかりて疾をりしかばイスラエルの王ヨアシ彼の許にくだり來てその面の上に涙をこぼし吾父吾父イスラエルの兵車よその騎兵よと言り

13:15編集

エリシヤかれにむかひ弓矢をとれと言ければすなはち弓矢をとれり

13:16編集

エリシヤまたイスラエルの王に汝の手を弓にかけよと言ければすなはちその手をかけたり是においてエリシヤその手を王の手の上に按て

13:17編集

東向の窓を開けと言たれば之を開きけるにエリシヤまた射よと言り彼すなはち射たればエリシヤ言ふヱホバよりの拯救の矢スリアに對する拯救の矢汝必らずアベクにおいてスリア人を撃やぶりてこれを滅しつくすにいたらん

13:18編集

エリシヤまた矢を取れと言ければ取りエリシヤまたイスラエルの王に地を射よといひけるに三次射て止たれば

13:19編集

神の人怒て言ふ汝は五回も六回も射るべかりしなり然せしならば汝スリアを撃やぶりて之を滅しつくすことを得ん然ど今然せざれば汝がスリアを撃やぶることは三次のみなるべしと

13:20編集

エリシヤ終に死たればこれを葬りしが年の立かへるに及てモアブの賊黨國にいりきたれり

13:21編集

時に一箇の人を葬らんとする者ありしが賊黨を見たればその人をエリシヤの墓におしいれけるにその人いりてエリシヤの骨にふるるや生かへりて起あがれり

13:22編集

スリアの王ハザエルはヨアハズの一生の間イスラエルをなやましたりしが

13:23編集

ヱホバそのアブラハム、イサク、ヤコブと契約をむすびしがためにイスラエルをめぐみ之を憐みこれを眷みたまひ之を滅すことを好まず尚これをその前より棄はなちたまはざりき

13:24編集

スリアの王ハザエルつひに死てその子ベネハダデこれに代りて王となれり

13:25編集

是においてヨアズの子ヨアシはその父ヨアハズがハザエルに攻取れたる邑々をハザエルの子ベネハダデの手より取かへせり即ちヨアシは三次かれを敗りてイスラエルの邑々を取かへしぬ

第14章編集

14:1編集

イスラエルの王ヨアハズの子ヨアシの二年にユダの王ヨアシの子アマジヤ王となれり

14:2編集

彼は王となれる時二十五歳にして二十九年の間エルサレムにて世を治めたりその母はエルサレムの者にして名をヱホアダンと云り

14:3編集

アマジヤはヱホバの善と見たまふ事をなしたりしがその先祖ダビデのごとくはあらざりき彼は萬の事において其父ヨアシがなせしごとくに事をなせり

14:4編集

惟崇邱はのぞかずしてあり民はなほその崇邱において犠牲をささげ香を焚り

14:5編集

彼は國のその手に堅くたつにおよびてその父王を弑せし臣僕等を殺したりしが

14:6編集

その弑殺人の子女等は殺さざりき是はモーセの律法の書に記されたる所にしたがへるなり即ちヱホバ命じて言たまはく子女の故によりて父を殺すべからず父の故によりて子女を殺すべからず人はみなその身の罪によりて死べき者なりと

14:7編集

アマジヤまた鹽谷においてエドミ人一萬を殺せり亦セラを攻とりてその名をヨクテルとなづけしが今日まで然り

14:8編集

かくてアマジヤ使者をヱヒウの子ヨアハズの子なるイスラエルの王ヨアシにおくりて來れ我儕たがひに面をあはせんと言しめければ

14:9編集

イスラエルの王ヨアシ、ユダの王アマジヤに言おくりけるはレバノンの荊棘かつてレバノンの香柏に汝の女子をわが子の妻にあたへよと言おくりたることありしにレバノンの野獣とほりてその荊棘を踏たふせり

14:10編集

汝は大にエドムに勝たれば心に誇るその榮譽にやすんじて家に居れなんぞ禍を惹おこして自己もユダもともに亡んとするやと

14:11編集

然るにアマジヤ聽ことをせざりしかばイスラエルの王ヨアシのぼり來れり是において彼とユダの王アマジヤはユダのベテシメシにてたがひに面をあはせたりしが

14:12編集

ユダ、イスラエルに敗られて各人その天幕に逃かへりぬ

14:13編集

是においてイスラエルの王ヨアシはアジアの子ヨアシの子なるユダの王アマジヤをベテシメシに擒へ而してエルサレムにいたりてエルサレムの石垣をエフライムの門より隅の門まで凡そ四百キユビトを毀ち

14:14編集

またヱホバの家と王の家の庫とにあるところの金銀および諸の器をとりかつ人質をとりてサマリヤにかへれり

14:15編集

ヨアシがなしたるその餘の行爲とその能およびそのイスラエルの王アマジヤと戰ひし事はイスラエルの王の歴代志の書にしるさるるにあらずや

14:16編集

ヨアシその先祖等とともに寝りてイスラエルの王等とともにサマリヤに葬られその子ヤラベアムこれに代りて王となれり

14:17編集

ヨアシの子なるユダの王アマジヤはヨアハズの子なるイスラエルの王ヨアシの死てより後なほ十五年生存へたり

14:18編集

アマジヤのその餘の行爲はユダの王の歴代志の書にしるさるるにあらずや

14:19編集

茲にエルサレムにおいて黨をむすびて彼に敵する者ありければ彼ラキシに逃ゆきけるにその人々ラキシに人をやりて彼を彼處に殺さしめたり

14:20編集

人衆かれを馬に負せてもちきたりエルサレムにおいてこれをその先祖等とともにダビデの邑に葬りぬ

14:21編集

ユダの民みなアザリヤをとりて王となしてその父アマジヤに代しめたり時に年十六なりき

14:22編集

彼エラテの邑を建てこれを再びユダに歸せしめたり是はかの王がその先祖等とともに寝りし後なりき

14:23編集

ユダの王ヨアシの子アマジヤの十五年にイスラエルの王ヨアシの子ヤラベアム、サマリヤにおいて王となり四十一年位にありき

14:24編集

彼はヱホバの目の前に惡をなし夫のイスラエルに罪を犯さしめたるネバテの子ヤラベアムの罪に離れざりき

14:25編集

彼ハマテの入處よりアラバの海までイスラエルの邊境を恢復せりイスラエルの神ヱホバがガテヘペルのアミツタイの子なるその僕預言者ヨナによりて言たまひし言のごとし

14:26編集

ヱホバ、イスラエルの艱難を見たまふに其は甚だ苦かり即ち繋れたる者もあらず繋れざる者もあらず又イスラエルを助る者もあらず

14:27編集

ヱホバは我イスラエルの名を天下に塗抹んとすと言たまひしこと無し反てヨアシの子ヤラベアムの手をもてこれを拯ひたまへり

14:28編集

ヤラベアムのその餘の行爲とその凡てなしたる事およびその戰爭をなせし能その昔にユダに屬し居たることありしダマスコとハマテを再びイスラエルに歸せしめたる事はイスラエルの王の歴代志の書に記さるるにあらずや

14:29編集

ヤラベアムその先祖たるイスラエルの王等とともに寝りその子ザカリヤこれに代りて王となれり

第15章編集

15:1編集

イスラエルの王ヤラベアムの二十七年にユダの王アマジヤの子アザリヤ王となれり

15:2編集

彼は王となれる時に十六歳なりしが五十二年の間エルサレムにおいて世を治めたりその母はエルサレムの者にして名をヱコリアと言ふ

15:3編集

彼はヱホバの善と見たまふ事をなし萬の事においてその父アマジヤがなしたるごとく行へり

15:4編集

惟崇邱は除かずしてあり民は尚その崇邱の上に犠牲をささげ香をたけり

15:5編集

ヱホバ王を撃たまひしかばその死る日まで癩病人となり別殿に居ぬその子ヨタム家の事を管理て國の民を審判り

15:6編集

アザリヤのその餘の行爲とその凡てなしたる事はユダの王の歴代志の書にしるさるるにあらずや

15:7編集

アザリヤその先祖等とともに寝りたればこれをダビデの邑にその先祖等とともに葬れりその子ヨタムこれに代りて王となる

15:8編集

ユダの王アザリヤの三十八年にヤラベアムの子ザカリア、サマリヤにおいてイスラエルの王となれりその間は六月

15:9編集

彼その先祖等のなせしごとくヱホバの目の前に惡を爲し夫のイスラエルに罪を犯させたるネバテの子ヤラベアムの罪に離れざりき

15:10編集

茲にヤベシの子シヤルム黨をむすびて之に敵し民の前にてこれを撃て弑しこれに代りて王となれり

15:11編集

ザカリヤのその餘の行爲はイスラエルの王の歴代志の書に記さる

15:12編集

ヱホバのヱヒウに告たまひし言は是なり云く汝の子孫は四代までイスラエルの位に坐せんと果して然り

15:13編集

ヤベシの子シヤルムはユダの王ウジヤの三十九年に王となりサマリヤにおいて一月の間王たりき

15:14編集

時にガデの子メナヘム、テルザより上りでサマリヤに來りヤベシの子シヤルムをサマリヤに撃てこれを殺し之にかはりて王となれり

15:15編集

シヤルムのその餘の行爲とその徒黨をむすびし事はイスラエルの王の歴代志の書にしるさる

15:16編集

その後メナヘム、テルザよりいたりてテフサとその中にあるところの者およびその四周の地を撃り即ちかれら己がために開くことをせざりしかばこれを撃てその中の孕婦をことごとく刳剔たり

15:17編集

ユダの王アザリヤの三十九年にガデの子メナヘム、イスラエルの王となりサマリヤにおいて十年の間世を治めたり

15:18編集

彼ヱホバの目の前に惡をなし彼のイスラエルに罪を犯させたるネバテの子ヤラベアムの罪に生涯離れざりき

15:19編集

茲にアツスリヤの王ブルその地に攻きたりければメナヘム銀一千タラントをブルにあたへたり是は彼をして己を助けしめ是によりて國を己の手に堅く立しめんとてなりき

15:20編集

即ちメナヘムその銀をイスラエルの諸の大富者に課しその人々に各々銀五十シケルを出さしめてこれをアツスリヤの王にあたへたり是をもてアツスリヤの王は歸りゆきて國に止ることをせざりき

15:21編集

メナヘムのその餘の行爲とその凡てなしたる事はイスラエルの王の歴代志の書にしるさるるにあらずや

15:22編集

メナヘムその先祖等とともに寝りその子ペカヒヤこれに代て王となれり

15:23編集

メナヘムの子ペカヒヤはユダの王アザリヤの五十年にサマリヤにおいてイスラエルの王となり二年のあひだ位にありき

15:24編集

彼ヱホバの目のまへに惡をなし彼のイスラエルに罪を犯させたるネバテの子ヤラベアムの罪に離れざりき

15:25編集

茲にその將官なるレマリヤの子ペカ黨をむすびて彼に敵しサマリヤにおいて王の家の奧の室にこれを撃ころしアルゴブとアリエをもこれとともに殺せり時にギレアデ人五十人ペカとともにありきペカすなはち彼をころしかれに代て王となれり

15:26編集

ベカヒヤのその餘の行爲とその凡て爲たる事はイスラエルの王の歴代志の書にしるさる

15:27編集

レマリヤの子ペカはユダの王アザリヤの五十二年にサマリヤに於てイスラエルの王となり二十年位にありき

15:28編集

彼ヱホバの目の前に惡をなし彼のイスラエルに罪ををかさせたるネバテの子ヤラベアムの罪にはなれざりき

15:29編集

イスラエルの王ペカの代にアツスリヤの王テグラテビレセル來りてイヨン、アベルベテマアカ、ヤノア、ケデシ、ハゾルおよびギレアデならびにナフタリの全地ガリラヤを取りその人々をアツスリヤに擄へうつせり

15:30編集

茲にエラの子ホセア黨をむすびてレマリヤの子ペカに敵しこれを撃て殺しこれに代て王となれり是はウジヤの子ヨタムの二十年にあたれり

15:31編集

ペカのその餘の行爲とその凡てなしたる事はイスラエルの王の歴代志の書にしるさる

15:32編集

レマリヤの子イスラエルの王ペカの二年にウジヤの子ユダの王ヨタム王となれり

15:33編集

彼は王となれる時二十五歳なりしがヱルサレムにて十六年世を治めたり母はザドクの女にして名をヱルシヤといへり

15:34編集

彼はヱホバの目にかなふ事をなし凡てその父ウジヤのなしたるごとくにおこなへり

15:35編集

惟崇邱は除かずしてあり民なほその崇邱の上に犠牲をささげ香を焚り彼ヱホバの家の上の門を建たり

15:36編集

ヨタムのその餘の行爲とその凡てなしたる事はユダの王の歴代志の書にしるさるるにあらずや

15:37編集

當時ヱホバ、スリアの王レヂンとレマリヤの子ペカをユダにせめきたらせたまへり

15:38編集

ヨタムその先祖等とともに寝りてその父ダビデの邑にその先祖等とともに葬られその子アハズこれに代りて王となれり


第16章編集

16:1編集

レマリヤの子ペカの十七年にユダの王ヨタムの子アハズ王となれり

16:2編集

アハズは王となれる時二十歳にしてエルサレムにおいて十六年世を治めたりしがその神ヱホバの善と見たまふ事をその父ダビデのごとくは行はざりき

16:3編集

彼はイスラエルの王等の道にあゆみまたその子に火の中を通らしめたり是はヱホバがイスラエルの子孫の前より逐はらひたまひし異邦人のおこなふところの憎むべき事にしたがへるなり

16:4編集

彼は崇邱の上丘の上一切の靑木の下に犠牲をささげ香をたけり

16:5編集

この頃スリアの王レヂンおよびレマリヤの子なるイスラエルの王ペカ、エルサレムにせめのぼりてアハズを圍みけるが勝ことを得ざりき

16:6編集

この時にあたりてスリアの王レヂン復エラテをスリアに歸せしめユダヤ人をエラテより逐いだせり而してスリア人エラテにきたりて其處に住み今日にいたる

16:7編集

是においてアハズ使者をアツスリヤの王テグラテピレセルにつかはして言しめけるは我は汝の臣僕汝の子なりスリアの王とイスラエルの王と我に攻かかりをれば請ふ上りきたりてかれらの手より我を救ひいだしたまへと

16:8編集

アハズすなはちヱホバの家と王の家の庫とにあるところの銀と金をとりこれを禮物としてアツスリヤの王におくりしかば

16:9編集

アツスリヤの王かれの請を容たりアツスリヤの王すなはちダマスコに攻のぼりて之をとりその民をキルに擄うつしまたレヂンを殺せり

16:10編集

かくてアハズはアツスリヤの王テグラテピレセルに會んとてダマスコにゆきけるがダマスコにおいて一箇の祭壇を見たればアスス王その祭壇の工作にしたがひて委くこれが圖と式樣を制へて祭司ウリヤにこれをおくれり

16:11編集

是において祭司ウリヤはアハズ王がダマスコよりおくりたる所にてらして一箇の祭壇をつくりアハズ王がダマスコより來るまでにこれを作りおけり

16:12編集

茲に王ダマスコより歸りてその祭壇を見壇にちかよりてこれに上り

16:13編集

壇の上に燔祭と素祭を焚き灌祭をそそぎ酬恩祭の血を灑げり

16:14編集

彼またヱホバの前なる銅の壇を家の前より移せり即ちこれをかの新しき壇とヱホバの家の間より移してかの壇の北の方に置たり

16:15編集

而してアハズ王祭司ウリヤに命じて言ふ朝の燔祭夕の素祭および王の燔祭とその素祭ならびに國中の民の燔祭とその素祭および灌祭はこの大なる壇の上に焚べし又この上に燔祭の牲の血と犠牲の物の血をすべて灑ぐべし彼の銅の壇の事はなほ考ふるあらん

16:16編集

祭司ウリヤすなはちアハズ王のすべて命じたるごとくに然なせり

16:17編集

またアハズ王臺の邊を削りて洗盤をその上よりうつしまた海をその下なる銅の牛の上よりおろして石の座の上に置ゑ

16:18編集

また家に造りたる安息日用の遊廊および王の外の入口をアツスリヤの王のためにヱホバの家の中に變じたり

16:19編集

アハズのなしたるその餘の行爲はユダの王の歴代志の書にしるさるるにあらずや

16:20編集

アハズその先祖等とともに寝りてダビデの邑にその先祖等とともに葬られその子ヒゼキヤこれにかはりて王となれり

第17章編集

17:1編集

ユダの王アハズの十二年にエラの子ホセア王となりサマリヤにおいて九年イスラエルを治めたり

17:2編集

彼ヱホバの目の前に惡をなせしがその前にありしイスラエルの王等のごとくはあらざりき

17:3編集

アッスリヤの王シヤルマネセル攻のぼりたればホセアこれに臣服して貢を納たりしが

17:4編集

アッスリヤの王つひにホセアの己に叛けるを見たり其は彼使者をエジプトの王ソにおくり且前に歳々なせしごとくに貢をアッスリヤ王に納ざりければなり是においてアツスリヤの王かれを禁錮て獄におけり

17:5編集

すなはちアッスリヤの王せめ上りて國中を遍くゆきめぐりサマリヤにのぼりゆきて三年が間これをせめ圍みたりしが

17:6編集

ホセアの九年におよびてアッスリヤの王つひにサマリヤを取りイスラエルをアッスリヤに擄へゆきてこれをハラとハボルとゴザン河の邊とメデアの邑々とにおきぬ

17:7編集

此事ありしはイスラエルの子孫己をエジプトの地より導きのぼりてエジプトの王パロの手を脱しめたるその神ヱホバに對て罪を犯し他の神々を敬ひ

17:8編集

ヱホバがイスラエルの子孫の前より逐はらひたまひし異邦人の法度にあゆみ又イスラエルの王等の設けし法度にあゆみたるに因てなり

17:9編集

イスラエルの子孫義からぬ事をもてその神ヱホバを掩ひかくしその邑々に崇邱をたてたり看守臺より城にいたるまで然り

17:10編集

彼等一切の高丘の上一切の靑樹の下に偶像とアシラ像を立て

17:11編集

ヱホバがかれらの前より移したまひし異邦人のなせしごとくにその崇邱に香を焚き又惡を行ひてヱホバを怒らせたり

17:12編集

ヱホバかれらに汝等これらの事を爲べからずと言おきたまひしに彼等偶像に事ふることを爲しなり

17:13編集

ヱホバ諸の預言者諸の先見者によりてイスラエルとユダに見證をたて汝等翻へりて汝らの惡き道を離れわが誡命わが法度をまもり我が汝等の先祖等に命じまたわが僕なる預言者等によりて汝等に傳へし法に率由ふやうにせよと言たまへり

17:14編集

然るに彼ら聽ことをせずしてその項を強くせり彼らの先祖等がその神ヱホバを信ぜずしてその項を強くしたるが如し

17:15編集

彼等はヱホバの法度を棄てヱホバがその先祖等と結びたまひし契約を棄てまたその彼等に見證したまひし證言を棄て且虚妄物にしたがひて虚浮なりまたその周圍なる異邦人の跡をふめり是はヱホバが是のごとくに事をなすべからずと彼らに命じ給ひし者なり

17:16編集

彼等その神ヱホバの諸の誡命を遺て己のために二の牛の像を鑄なし又アシラ像を造り天の衆群を拝み且バアルに事へ

17:17編集

またその子息息女に火の中を通らしめ卜筮および禁厭をなしヱホバの目の前に惡を爲ことに身を委ねてその怒を惹起せり

17:18編集

是をもてヱホバ大にイスラエルを怒りこれをその前より除きたまひたればユダの支派のほかは遺れる者なし

17:19編集

然るにユダもまたその神ヱホバの誡命を守ずしてイスラエルの立たる法度にあゆみたれば

17:20編集

ヱホバ、イスラエルの苗裔ぞことごとく棄これを苦しめこれをその掠むる者の手に付して遂にこれをその前より打すてたまへり

17:21編集

すなはちイスラエルをダビデの家より裂はなしたまひしかばイスラエル、ネバテの子ヤラベアムを王となせしにヤラベアム、イスラエルをしてヱホバにしたがふことを止しめてこれに大なる罪を犯さしめたりしが

17:22編集

イスラエルの子孫はヤラベアムのなせし諸の罪をおこなひつづけてこれに離るることなかりければ

17:23編集

遂にヱホバその僕なる諸の預言者をもて言たまひしごとくにイスラエルをその前より除きたまへりイスラエルはすなはちその國よりアッスリヤにうつされて今日にいたる

17:24編集

斯てアッスリヤの王バビロン、クタ、アワ、ハマテおよびセパルワイムより人をおくりてこれをイスラエルの子孫の代にサマリヤの邑々に置ければその人々サマリヤを有ちてその邑々に住しが

17:25編集

その彼處に始て住る時には彼等ヱホバを敬ふことをせざりしかばヱホバ獅子をかれらの中に送りたまひてその獅子かれら若干を殺せり

17:26編集

是によりてアッスリヤの王に告て言ふ汝が移てサマリヤの邑々におきたまひしかの國々の民はこの地の神の道を知ざるが故にその神獅子をかれらの中におくりて獅子かれらを殺せり是は彼等その國の神の道を知ざるに因てなり

17:27編集

アッスリヤの王すなはち命を下して言ふ汝等が彼處より曳きたりし祭司一人を彼處に携ゆけ即ち彼をして彼處にいたりて住しめその國の神の道をその人々に敎へしめよと

17:28編集

是に於てサマリヤより移れし祭司一人きたりてベテルに住みヱホバの敬ふべき事をかれらに敎へたり

17:29編集

その民はまた各々自分自分の神々を造りてこれをかのサマリア人が造りたる諸の崇邱に安置せり民みなその住る邑々において然なしぬ

17:30編集

即ちバビロンの人々はスコテペノテを作りクタの人々はネルガルを作りハマテの人々はアシマを作り

17:31編集

アビ人はニブハズとタルタクを作りセパルワイ人は其子女を火に焚てセパルワイムの神アデランメルクおよびアナンメルクに奉げたり

17:32編集

彼ら又ヱホバを敬ひ凡俗の民をもて崇邱の祭司となしたれば其人これがために崇邱に家々にて職務をなせり

17:33編集

斯その人々ヱホバを敬ひたりしが亦その携へ出されし國々の風俗にしたがひて自己自己の神々に事へたり

17:34編集

今日にいたるまで彼等は前の習俗にしたがひて事をなしヱホバを敬はず彼等の法度をも例典をも行はず又ヱホバがイスラエルを名けたまひしヤコブの子孫に命じたまひし律法をも誡命をも行はざるなり

17:35編集

昔ヱホバこれと契約をたてこれに命じて言たまひけらく汝等は他の神を敬ふべからずまたこれを拝みこれに事へこれに犠牲をささぐべからず

17:36編集

只大なる能をもて腕を伸て汝等をエジプトの地より導き上りしヱホバをのみ汝等敬ひこれを拝みこれにこれに犠牲をささぐべし

17:37編集

またその汝等のために録したまへる法度と例典と律法と誡命を汝等謹みて恒に守るべし他の神々を敬ふべからず

17:38編集

我が汝等とむすびし契約を汝等忘るべからず又他の神々を敬ふべからず

17:39編集

只汝らの神ヱホバを敬ふべし彼なんじらをその諸の敵の手より救ひいださん

17:40編集

然るに彼等は聽ことをせずしてなほ前の習俗にしたがひて事を行へり

17:41編集

偖この國々の民は斯ヱホバを敬ひまたその雕める像に事たりしがその子も孫も共に然りその先祖のなせしごとくに今日までも然なすなり

第18章編集

18:1編集

イスラエルの王エラの子ホセアの三年にユダの王アハズの子ヒゼキア王となれり

18:2編集

彼は王となれる時二十五歳にしてエルサレムにて二十九年世ををさめたりその母はザカリヤの女にして名をアビといへり

18:3編集

ヒゼキヤはその父ダビデの凡てなせしごとくヱホバの善と見たまふ事をなし

18:4編集

崇邱を除き偶像を毀ちアシラ像を斫たふしモーセの造りし銅の蛇を打碎けりこの時までイスラエルの子孫その蛇にむかひて香を焚たればなり人々これをネホシタン(銅物)と稱なせり

18:5編集

ヒゼキヤはイスラエルの神ヱホバを賴り是をもて彼の後にも彼の先にもユダの諸の王等の中に彼に如ものなかりき

18:6編集

即ち彼は固くヱホバに身をよせてこれに從ふことをやめずヱホバがモーセに命じたまひしその誡命を守れり

18:7編集

ヱホバ彼とともに在したれば彼はその往ところにて凡て利達を得たり彼はアッスリヤの王に叛きてこれに事へざりき

18:8編集

彼ペリシテ人を撃敗りてガザにいたりその境に達し看守臺より城にまで及べり

18:9編集

ヒゼキヤ王の四年すなはちイスラエルの王エラの子ホセアの七年にアッスリヤの王シヤルマネセル、サマリヤに攻のぼりてこれを圍みけるが

18:10編集

三年の後つひに之を取りサマリヤの取れしはヒゼキヤの六年にしてイスラエルの王ホセアの九年にあたる

18:11編集

アッスリヤの王イスラエルをアッスリヤに擄へゆきてこれをハラとゴザン河の邊とメデアの邑々におきぬ

18:12編集

是は彼等その神ヱホバの言に遵はずその契約を破りヱホバの僕モーセが凡て命じたる事をやぶりこれを聽ことも行ふこともせざるによりてなり

18:13編集

ヒゼキヤ王の十四年にアッスリヤの王セナケリブ攻のぼりてユダの諸の堅き邑を取ければ

18:14編集

ユダの王ヒゼキヤ人をラキシにつかはしてアッスリヤの王にいたらしめて言ふ我過てり我を離れて歸りたまへ汝が我に蒙らしむる者は我これを爲べしとアッスリヤの王すなはち銀三百タラント金三十タラントをユダの王ヒゼキヤに課したり

18:15編集

是においてヒゼキヤ、ヱホバの家と王の家の庫とにあるところの銀をことごとく彼に與へたり

18:16編集

此時ユダの王ヒゼキヤまた己が金を著たりしヱホバの宮の戸および柱を剥てこれをアッスリヤの王に與へたり

18:17編集

アッスリヤの王またタルタン、ラブサリスおよびラブシヤケをしてラキシより大軍をひきゐてエルサレムにむかひてヒゼキヤ王の所にいたらしめたればすなはち上りてエルサレムにきたれり彼等則ち上り來り漂布場の大路に沿るよの池塘の水道の邊にいたりて立り

18:18編集

而して彼等王を呼たればヒルキヤの子なる宮内卿エリアキム書記官セブナおよびアサフの子なる史官ヨア出きたりて彼等に詣りけるに

18:19編集

ラブシヤケこれに言けるは汝等ヒゼキヤに言べし大王アッスリヤの王かく言たまふ此汝が賴むところの者は何ぞや

18:20編集

汝戰爭をなすの謀計と勇力とを言も只これ口の先の言語たるのみ誰を恃みて我に叛くことをせしや

18:21編集

視よ汝は折かかれる葦の杖なるエジプトを賴む其は人の其に倚るあればすなはちその手を刺とほすなりエジプトの王パロは凡てこれを賴む者に斯あるなり

18:22編集

汝等あるひは我はわれらの神ヱホバを賴むと我に言ん彼はヒゼキヤがその崇邱と祭壇とを除きたる者にあらずやまた彼はユダとエルサレムに告て汝等はエルサレムに於てこの壇の前に祷拝をなすべしと言しにあらずや

18:23編集

然ば請ふわが主君アッスリヤの王に約をなせ汝もし人を乗しむることを得ば我馬二千匹を汝にあたへん

18:24編集

汝いかにしてか吾主君の諸臣の中の最も微き一將だにも退くることを得ん汝なんぞエジプトを賴みて兵車と騎兵をこれに仰がんとするや

18:25編集

また我とても今ヱホバの旨によらずして比處を滅しに上れるならんやヱホバ我に此處に攻のぼりてこれを滅せと言たり

18:26編集

時にヒルキヤの子エリアキムおよびセブナとヨア、ラダシヤケにいひけるは請ふスリアの語をもて僕等に語りたまへ我儕これを識なり石垣の上にをる民の聞るところにてユダヤ語をもて我儕に言談たまふなかれ

18:27編集

ラブシヤケかれらに言ふわが君唯我を汝の主と汝とにつかはして此言をのべしめたまふならんや亦石垣の上に坐する人々にも我を遣して彼等をして汝等とともに自己の便溺を食ひ且飮にいたらしめんとしたまふにあらずやと

18:28編集

而してラブシヤケ起あがりユダヤ語をもて大聲に呼はり言をいだして曰けるは汝等大王アッスリヤの王の言を聽け

18:29編集

王かく言たまふ汝等ヒゼキヤに欺かるるなかれ彼は汝等をわが手より救ひいだすことをえざるなり

18:30編集

ヒゼキヤがヱホバかならず我らを救ひたまはん此邑はアッスリヤの王の手に陷らじと言て汝らにヱホバを賴ましめんとするとも

18:31編集

汝等ヒゼキヤの言を聽なかれアッスリヤの王かく言たまふ汝等約をなして我に降れ而して各人おのれの葡萄の樹の果を食ひ各人おのれの無花果樹の果をくらひ各人おのれの井水を飮めよ

18:32編集

我來りて汝等を一の國に携ゆかん其は汝儕の國のごとき國穀と酒のある地パンと葡萄園のある地油の出る橄欖と蜜とのある地なり汝等は生ることを得ん死ることあらじヒゼキヤ、ヱホバ我儕を救ひたまはんと言て汝らを勸るともこれを聽なかれ

18:33編集

國々の神の中執かその國をアッスリヤの王の手より救ひたりしや

18:34編集

ハマテおよびアルパデの神々は何處にあるセパルワイム、ヘナおよびアワの神々は何處にあるやサマリヤをわが手より救ひ出せし神々あるや

18:35編集

國々の神の中にその國をわが手より救ひいだせし者ありしや然ばヱホバいかでかエルサレムをわが手より救ひいだすことを得んと

18:36編集

然ども民は默して一言もこれに應へざりき其は王命じてこれに應ふるなかれと言おきたればなり

18:37編集

かくてヒルキヤの子なる宮内卿エリアキム書記官セブナおよびアサの子なる史官ヨアその衣をさきてヒゼキヤの許にいたりラブシヤケの言をこれに告たり

第19章編集

19:1編集

ヒゼキヤ王これを聞てその衣を裂き麻布を身にまとひてヱホバの家に入り

19:2編集

宮内卿エリアキムと書記官セブナと祭司の中の長老等とに麻布を衣せてこれをアモツの子預言者イザヤに遣せり

19:3編集

彼等イザヤに言けるはヒゼキヤかく言ふ今日は艱難の日懲罰の日打棄らるる日なり嬰孩すでに產門にいたりて之を產いだす力なき也

19:4編集

ラブシヤケその主君なるアッスリヤの王に差遣れて來り活る神を謗る汝の神ヱホバあるひは彼の言を聞たまはん而して汝の神ヱホバその聞る言語を責罰たまふこともあらん然ば汝この遺る者の爲に祈祷をたてまつれと

19:5編集

ヒゼキヤ王の僕等すなはちイザヤの許にいたりければ

19:6編集

イザヤかれらに言けるは汝等の主君にかく言べしヱホバかく言たまふアッスリヤの王の臣僕等が我を謗るところの言を汝聞て懼るるなかれ

19:7編集

我かれの氣をうつして風聲を聞て己の國にかへるにいたらしめん我また彼をして自己の國に於て劍に斃れしむべしと

19:8編集

偖またラブシヤケは歸りゆきてアッスリヤの王がリブナに戰爭をなしをるとこるに至れり其は彼そのラキシを離れしを聞たればなり

19:9編集

茲にアッスリヤの王はエテオピアの王テルハカ汝に攻きたると言ふを聞てまた使者をヒゼキヤにつかはして言しむ

19:10編集

汝等ユダの王ヒゼキヤに告て言べし汝エルサレムはアッスリヤの王の手に陷らじと言て汝が賴むところの神に欺かるるなかれ

19:11編集

汝はアッスリヤの王等が萬の國々になしたるところの事を知る即ちこれを滅しつくせしなり然ば汝いかで救らんや

19:12編集

吾父等はゴザン、ハラン、レゼフおよびテラサルのエデンの人々等を滅ぼせしがその國々の神これを救ひたりしや

19:13編集

ハマテの王アルバデの王セバルワイムの邑およびヘナとアワの王等は何處にあるや

19:14編集

ヒゼキヤ使者の手より書を受てこれを讀みヱホバの家にのぼりゆきてヱホバの前にこれを展開げ

19:15編集

而してヒゼキヤ、ヱホバの前に祈りて言けるはケルビムの間にいますイスラエルの神ヱホバよ世の國々の中において只汝のみ神にいます也汝は天地を造りたまひし者にいます

19:16編集

ヱホバよ耳を傾けて聞たまへヱホバよ目を開きて見たまへセナケリブが活る神を謗りにおくれる言語を聞たまへ

19:17編集

ヱホバよ誠にアッスリヤの王等は諸の民とその國々を滅し

19:18編集

又その神々を火になげいれたり其等は神にあらず人の手の作れる者にして木石たればこれを滅せしなり

19:19編集

今われらの神ヱホバよ願くは我らをかれの手より拯ひいだしたまへ然ば世の國々皆汝ヱホバのみ神にいますことを知にいたらん

19:20編集

茲にアモツの子イザヤ、ヒゼキヤに言つかはしけるはイスラエルの神ヱホバかく言たまふ汝がセナケリブの事につきて我に祈るところの事は我これを聽り

19:21編集

ヱホバが彼の事につきて言ふところの言語は是のごとし云く處女なる女子シオンは汝を藐視じ汝を嘲る女子エルサレムは汝にむかひて頭を搖る

19:22編集

汝誰を謗りかつ罵詈しや汝誰にむかひて聲をあげしや汝はイスラエルの聖者にむかひて汝の目を高く擧たるなり

19:23編集

汝使者をもて主を謗て言ふ我夥多き兵車をひきゐて山々の嶺にのぼりレバノンの奧にいたり長高き香柏と美しき松樹を斫たふす我その境の休息所にいたりその園の林にいたる

19:24編集

我は外國の地をほりて水を飮む我は足の跖をもてエジプトの河々をことごとくふみ涸すなり

19:25編集

汝聞ずや昔われ之を作し古時よりわれ之を定めたり今われ之をおこなふ即ち堅き邑々は汝のために坵墟となるなり

19:26編集

是をもてそれらの中にすむ民は力弱かり懼れかつ驚くなり彼等は野の草のごとく靑菜のごとく屋蓋の草のごとく枯る苗のごとし

19:27編集

汝の止ると汝の出ると汝の入と汝の我にむかひて怒くるふとは我の知ところなり

19:28編集

汝の怒くるふ事と汝の傲慢ところの事上りてわが耳にいりたれば我圏を汝の鼻につけ轡を汝の唇にほどこして汝を元來し道へひきかへすべし

19:29編集

是は汝にあたふる徴なり即ち一年は穭を食ひ第二年には又その穭を食ふあらん第三年には汝ら稼ことをし穡ことをし又葡萄園をつくりてその果を食ふべし

19:30編集

ユダの家の逃れて遺れる者は復根を下に張り實を上に結ばん

19:31編集

即ち殘餘者エルサレムより出で逃避たる者シオン山より出きたらんヱホバの熱心これを爲べし

19:32編集

故にヱホバ、アッスリヤの王の事をかく言たまふ彼は此邑に入じ亦これに矢を發つことあらず楯を之にむかひて竪ることあらず亦壘をきづきてこれを攻ることあらじ

19:33編集

彼はその來し路より歸らん此邑にいることあらじヱホバこれを言ふ

19:34編集

我わが身のため又わが僕ダビデのためにこの邑を守りてこれを救ふべし

19:35編集

その夜ヱホバの使者いでてアッスリヤ人の陣營の者十八萬五千人を撃ころせり朝早く起いでて見るに皆死て屍となりをる

19:36編集

アッスリヤの王セナケリブすなはち起いで歸りゆきてニネベに居しが

19:37編集

その神ニスロクの家にありて禮拝をなしをる時にその子アデランメレクとシヤレゼル劍をもてこれを殺せり而して彼等はアララテの池に逃ゆけり是においてその子エサルハドンこれに代りて王となれり

第20章編集

20:1編集

當時ヒゼキヤ病て死なんとせしことありアモツの子預言者イザヤ彼の許にいたりて之にいひけるはヱホバかく言たまふ汝家の人に遺命をなせ汝は死ん生ることを得じと

20:2編集

是においてヒゼキヤその面を壁にむけてヱホバに祈り

20:3編集

嗚呼ヱホバよ願くは我が眞實と一心をもて汝の前にあゆみ汝の目に適ふことを行ひしを記憶たまへと言て痛く泣り

20:4編集

かくてイザヤ未だ中の邑を出はなれざる間にヱホバの言これに臨みて言ふ

20:5編集

汝還りてわが民の君ヒゼキヤに告よ汝の父ダビデの神ヱホバかく言ふ我汝の祈祷を聽り汝の涙を看たり然ば汝を愈すべし第三日には汝ヱホバの家に入ん

20:6編集

我汝の齢を十五年増べし我汝とこの邑とをアッスリヤの王の手より救ひ我名のため又わが僕ダビデのためにこの邑を守らんと

20:7編集

是に於てイザヤ乾無花果の団塊一箇を持きたれと言ければすなはち之を持きたりてその腫物に貼たればヒゼキヤ愈ぬ

20:8編集

ヒゼキヤ、イザヤに言けるはヱホバが我を愈したまふ事と第三日に我がヱホバの家にのぼりゆく事とにつきては何の徴あるや

20:9編集

イザヤ言けるはヱホバがその言しところを爲たまはん事につきては汝ヱホバよりこの徴を得ん日影進めること十度なり若日影十度退かば如何

20:10編集

ヒゼキヤ答へけるは日影の十度進むは易き事なり然せざれ日影を十度しりぞかしめよ

20:11編集

是において預言者イザヤ、ヱホバに龥はりければアハスの日晷の上に進みし日影を十度しりぞかしめたまへり

20:12編集

その頃バラダンの子なるバビロンの王メロダクバラダン書および禮物をヒゼキヤにおくれり是はヒゼキヤの疾をるを聞たればなり

20:13編集

ヒゼキヤこれがために喜びその寶物の庫金銀香物貴き膏および武器庫ならびにその府庫にあるところの一切の物を之に見せたりその家にある物もその國の中にある物も何一箇としてヒゼキヤが彼等に見せざる者はなかりき

20:14編集

茲に預言者イザヤ、ヒゼキヤ王のもとに來りてこれに言けるは夫の人々は何を言しや何處より來りしやヒゼキヤ言けるは彼等は遠き國より即ちバビロンより來れり

20:15編集

イザヤ言ふ彼等は汝の家にて何を見しやヒゼキヤ答へて云ふ吾家にある物は皆かれら之を見たり我庫の中には我がかれに見せざる者なきなり

20:16編集

イザヤすなはちヒゼキヤに言けるは汝ヱホバの言を聞け

20:17編集

ヱホバ言たまふ視よ日いたる凡て汝の家にある物および汝の先祖等が今日までに積蓄へたる物はバビロンに携ゆかれん遺る者なかるべし

20:18編集

汝の身より出る汝の生んところの子等の中を彼等携へ去ん其等はバビロンの王の殿において官吏となるべし

20:19編集

ヒゼキヤ、イザヤに言ふ汝が語れるヱホバの言は善し又いふ若わが世にある間に大平と眞實とあらば善にあらずや

20:20編集

ヒゼキヤのその餘の行爲その能およびその池塘と水道を作りて水を邑にひきし事はユダの王の歴代志の書にしるさるるにあらずや

20:21編集

ヒゼキヤその先祖等とともに寝りてその子マナセこれに代りて王となれり

第21章編集

21:1編集

マナセ十二歳にして王となり五十五年の間ヱルサレムにて世を治めたりその母の名はヘフジバといふ

21:2編集

マナセはヱホバの目の前に惡をなしヱホバがイスラエルの子孫の前より逐はらひたまひし國々の人がなすところの憎むべき事に傚へり

21:3編集

彼はその父ヒゼキヤが毀たる崇邱を改め築き又イスラエルの王アハブのなせしごとくバアルのために祭壇を築きアシラ像を作り天の衆群を拝みてこれに事へ

21:4編集

またヱホバの家の中に數箇の祭壇を築けり是はヱホバがこれをさして我わが名をヱルサレムにおかんと言たまひし家なり

21:5編集

彼ヱホバの家の二の庭に祭壇を築き

21:6編集

またその子に火の中を通らしめ卜占をなし魔術をおこなひ口寄者と卜筮師を取もちひヱホバの目の前に衆多の惡を爲てその震怒を惹おこせり

21:7編集

彼はその作りしアシラの銅像を殿にたてたりヱホバこの殿につきてダビデとその子ソロモンに言たまひしことあり云く我この家と我がイスラエルの諸の支派の中より選みたるヱルサレムとに吾名を永久におかん

21:8編集

彼等もし我が凡てこれに命ぜし事わが僕モーセがこれに命ぜし一切の律法を謹みて行はば我これが足をしてわがその先祖等に與へし地より重てさまよひ出ることなからしむべしと

21:9編集

然るに彼等は聽ことをせざりきマナセが人々を誘ひて惡をなせしことはヱホバがイスラエルの子孫の前に滅したまひし國々の人よりも甚だしかりき

21:10編集

是においてヱホバその僕なる預言者等をもて語て言給はく

21:11編集

ユダの王マナセこれらの憎むべき事を行ひその前にありしアモリ人の凡て爲しところにも踰たる惡をなし亦ユダをしてその偶像をもて罪を犯させたれば

21:12編集

イスラエルの神ヱホバかく言ふ視よ我ヱルサレムとユダに災害をくだす是を聞く者はその耳ふたつながら鳴ん

21:13編集

我サマリヤを量りし繩とアハブの家にもちひし準縄をヱルサレムにほどこし人が皿を拭ひこれを拭ひて反覆がごとくにヱルサレムを拭ひさらん

21:14編集

我わが產業の民の殘餘を棄てこれをその敵の手に付さん彼等はその諸の敵の擄掠にあひ掠奪にあふべし

21:15編集

是は彼等その先祖等がエジプトより出し日より今日にいたるまで吾目の前に惡をおこなひて我を怒らするが故なり

21:16編集

マナセはヱホバの目の前に惡をおこなひてユダに罪を犯させたる上にまた無辜者の血を多く流してヱルサレムのこの極よりかの極にまで盈せり

21:17編集

マナセのその餘の行爲とその凡て爲たる事およびその犯したる罪はユダの王の歴代志の書にしるさるるにあらすや

21:18編集

マナセその先祖等とともに寝りてその家の園すなはちウザの園に葬られその子アモンこれに代りて王となれり

21:19編集

アモンは王となれる時二十二歳にしてヱルサレムにおいて二年世を治めたりその母はヨテバのハルツの女にしてその名をメシユレメテと云ふ

21:20編集

アモンはその父マナセのなせしごとくヱホバの目の前に惡をなせり

21:21編集

すなはち彼は凡てその父のあゆみし道にあゆみその父の事へし偶像に事へてこれを拝み

21:22編集

その先祖等の神ヱホバを棄てヱホバの道にあゆまざりき

21:23編集

茲にアモンの臣僕等黨をむすびて王をその家に弑したりしが

21:24編集

國の民そのアモン王に敵して黨をむすびし者をことごとく撃ころせり而して國の民アモンの子ヨシアを王となしてそれに代らしむ

21:25編集

アモンのなしたるその餘の行爲はユダの王の歴代志の書にしるさるるにあらずや

21:26編集

アモンはウザの園にてその墓に葬られその子ヨシアこれに代りて王となれり

第22章編集

22:1編集

ヨシアは八歳にして王となりヱルサレムにおいて三十一年世を治めたり其母はボヅカテのアダヤの女にして名をヱデダと曰ふ

22:2編集

ヨシアはヱホバの目に適ふ事をなしその父ダビデの道にあゆみて右にも左にも轉らざりき

22:3編集

ヨシア王の十八年に王メシユラムの子アザリヤの子なる書記官シヤパンをヱホバの家に遣せり即ちこれに言けらく

22:4編集

汝祭司の長ヒルキヤの許にのぼり行てヱホバの家にいりし銀すなはち門守が民よりあつめし者を彼に計算しめ

22:5編集

工事を司どるヱホバの家の監督者の手にこれを付さしめ而してまた彼らをしてヱホの家にありて工事をなすところの者にこれを付さしめ殿の破壞を修理はしめよ

22:6編集

即ち工匠と建築者と石工にこれを付さしめ又これをもて殿を修理ふ材木と斫石を買しむべし

22:7編集

但し彼らは誠實に事をなせば彼らの手にわたすところの銀の計算をかれらとするには及ばざるなり

22:8編集

時に祭司の長ヒルキヤ書記官シヤパンに言けるは我ヱホバの家において律法の書を見いだせりとヒルキヤすなはちその書をシヤパンにわたしたれば彼これを讀り

22:9編集

かくて書記官シヤパン王の許にいたり王に返事まうして言ふ僕等殿にありし金を打あけてこれを工事を司どるヱホバの家の監督者の手に付せりと

22:10編集

書記官シヤパンまた王につげて祭司ヒルキヤ我に一書をわたせりと言ひシヤパン其を王の前に讀けるに

22:11編集

王その律法の書の言を聞やその衣を裂り

22:12編集

而して王祭司ヒルキヤとシヤパンの子アヒカムとミカヤの子アクボルと書記官シヤパンと王の内臣アサヤとに命じて言ふ

22:13編集

汝等往てこの見當し書の言につきて我のため民のためユダ全國のためにヱホバに問へ其は我儕の先祖等はこの書の言に聽したがひてその凡て我儕のために記されたるところを行ふことをせざりしに因てヱホバの我儕にむかひて怒を發したまふこと甚だしかるべければなり

22:14編集

是において祭司ヒルキヤ、アヒカム、アクボル、シヤパンおよびアサヤ等シヤルムの妻なる女預言者ホルダの許にいたれりシヤルムはハルハスの子なるテクワの子にして衣裳の室を守る者なり時にホルダはヱルサレムの下邑に住をる彼等すなはちホルダに物語せしかば

22:15編集

ホルダかれらに言けるはイスラエルの神ヱホバかく言たまふ汝等を我につかはせる人に告よ

22:16編集

ヱホバかく言ふ我ユダの王が讀たるかの書の一切の言にしたがひて災害をこの處と此にすめる民に降さんとす

22:17編集

彼等はわれを棄て他の神に香を焚きその手に作れる諸の物をもて我を怒らするなり是故に我この處にむかひて怒の火を發す是は滅ざるべし

22:18編集

但し汝等をつかはして我に問しむるユダの王には汝等かく言べし汝が聞る言につきてイスラエルの神ヱホバかく言たまふ

22:19編集

汝はわが此處と此にすめる民にむかひて是は荒地となり呪詛とならんと言しを聞たる時に心柔にしてヱホバの前に身を卑し衣を裂て吾前に泣たれば我もまた聽ことをなすなりヱホバこれを言ふ

22:20編集

然ば視よ我なんぢを汝の先祖等に歸せしめん汝は安全に墓に歸することをうべし汝はわが此處にくだす諸の災害を目に見ることあらじと彼等すなはち王に返事まうしぬ

第23章編集

23:1編集

是において王人をつかはしてユダとヱルサレムの長老をことごとく集め

23:2編集

而して王ヱホバの家にのぼれりユダの諸の人々ヱルサレムの一切の民および祭司預言者ならびに大小の民みな之にしたがふ王すなはちヱホバの家に見あたりし契約の書の言をことごとくかれらの耳に讀きかせ

23:3編集

而して王高座の上に立てヱホバの前に契約をなしヱホバにしたがひて歩み心をつくし精神をつくしてその誡命と律法と法度を守り此書にしるされたる此契約の言をおこなはんと言り民みなその契約に加はりぬ

23:4編集

かくして王祭司の長ヒルキヤとその下にたつところの祭司等および門守等に命じてヱホバの家よりしてバアルとアシラと天の衆群との爲に作りたる諸の器と執いださしめヱルサレムの外にてキデロンの野にこれを燒きその灰をベテルに持ゆかしめ

23:5編集

又ユダの王等が立てダの邑々とヱルサレムの四圍なる崇邱に香をたかしめたる祭司等を廢しまたバアルと日月星宿と天の衆群とに香を焚く者等をも廢せり

23:6編集

彼またヱホバの家よりアシラ像をとりいだしヱルサレムの外に持ゆきてキデロン川にいたりキデロン川においてこれを燒きこれを打碎きて粉となしその粉を民の墓に散し

23:7編集

またヱホバの家の旁にある男娼の家を毀てり其處はまた婦人がアシラのために天幕を織ところなりき

23:8編集

彼またユダの邑々より祭司をことごとく召よせまた祭司が香をたきたる崇邱をばゲバよりベエルシバまでこれを汚しまた門にある崇邱を毀てり是等の崇邱は一は邑の宰ヨシユアの門の入口にあり一は邑の門にありて之に入る人の左にあたる

23:9編集

崇邱の祭司等はエルサレムにおいてヱホバの壇にのぼることをせざりき但し彼等はその兄弟の中にありて無酵パンを食へり

23:10編集

王また人がその子息息女に火の中を通らしめて之をモロクにささぐることなからんためにベンヒンノムの谷にあるトペテを汚し

23:11編集

またユダの王等が日のためにささげてヱホバの家の門における馬をうつせりこの馬はパルリムにある侍從ナタンメレクの室にをりしなり彼また日の車を皆火に焚り

23:12編集

またユダの王等がアハズの桜の屋背につくりたる祭壇とマナセがヱホバの家の兩の庭につくりたる祭壇とは王これを毀ちこれを其處より取くづしてその碎片をキデロン川になげ捨たり

23:13編集

またイスラエルの王ソロモンが昔シドン人の憎むべき者なるアシタロテとモアブ人の憎むべき者なるケモシとアンモンの子孫の憎むべき者なるモロクのためにヱルサレムの前において殲滅山の右に築きたる崇邱も王これを汚し

23:14編集

また諸の像をうち碎きアシラ像をきりたふし人の骨をもてその處々に充せり

23:15編集

またベテルにある壇かのイスラエルに罪を犯させたるネバテの子ヤラベアムが造りし崇邱すなはちその壇もその崇邱も彼これを毀ちその崇邱を焚てこれを粉にうち碎きかつアシラ像を焚り

23:16編集

茲にヨシア身をめぐらして山に墓のあるを見人をやりてその墓より骨をとりきたらしめ之をその壇の上に焚てそれを汚せり即ち神の人が宣たるヱホバの言のごとし昔神の人この言語を宣しことありしなり

23:17編集

ヨシアまた其處に見ゆる碑は何なるやと言しに邑の人々これに告て其は汝がベテルの壇にむかひて爲るこの事等をユダより來りて宣たる神の人の墓なりと言ければ

23:18編集

すなはち其には手をつくるなかれ誰もその骨を移すなかれと言り是をもてその骨とサマリヤより來りし預言者の骨には手をつけざりき

23:19編集

またイスラエルの王等がサマリヤの邑々に造りてヱホバを怒せし崇邱の家も皆ヨシアこれを取のぞき凡てそのベテルになせしごとくに之に事をなせり

23:20編集

彼また其處にある崇邱の祭司等を壇の上にころし人の骨を壇の上に焚てヱルサレムに歸りぬ

23:21編集

而して王一切の民に命じて言ふ汝らこの契約の書に記されたるごとくに汝らの神ヱホバに逾越の節を執行ふべしと

23:22編集

士師のイスラエルを治めし日より已來もまたユダの王等とイスラエルの王等の代にも斯のごとき逾越の節を守りしことはなかりしが

23:23編集

ヨシア王の十八年にいたりてヱルサレムにて斯逾越節をヱホバに守りしなり

23:24編集

ヨシアまた祭司ヒルキヤがヱホバの家にて見いだせし書に記されたる律法の言を世におこなはんために口寄者と卜筮師とテラピムと偶像およびユダの地とヱルサレムに見ゆる諸の憎むべき者を取のぞけり

23:25編集

ヨシアの如くに心を盡し精神を盡し力を盡してモーセの法に全くしたがひてヱホに歸向せし王はヨシアの先にはあらざりきまた彼の後にも彼のごとき者はなし

23:26編集

斯有しかどもヱホバはユダにむかひて怒を發したるその大いなる燃たつ震怒を息ることをしたまはざりき是はマナセ諸の憤らしき事をもてヱホバを怒らせしによるなり

23:27編集

ヱホバすなはち言たまはく我イスラエルを移せし如くにユダをもわが目の前より拂ひ移し我が選みし此ヱルサレムの邑と吾名をそこに置んといひしこの殿とを棄べしと

23:28編集

ヨシアのその餘の行爲とその凡て爲たる事はユダの王の歴代志の書にしるさるるにあらずや

23:29編集

ヨシアの代にエジプトの王パロネコ、アッスリヤの王と戰はんとてユフラテ河をさして上り來しがヨシア王これを防がんとて進みゆきければ彼これに出あひてメギドンにこれを殺せり

23:30編集

その僕等すなはちこれが死骸を車にのせてメギドンよりヱルサレムに持ゆきこれをその墓に葬れり國の民ここに於てヨシアの子ヱホアハズを取りこれに膏をそそぎて王となしてその父にかはらしめたり

23:31編集

ヱホアハズは王となれる時二十三歳にしてヱルサレムにて三月世を治めたりその母はリブナのエレミヤの女にして名をハムタルと云ふ

23:32編集

ヱホアハズはその先祖等が凡てなしたるごとくにヱホバの目の前に惡をなせしが

23:33編集

パロネコ彼をハマテの地のリブラに繋ぎおきてヱルサレムにおいて王となりをることを得ざらしめ且銀百タラント金一タラントの罰金を國に課したり

23:34編集

而してパロネコはヨシアの子エリアキムをしてその父ヨシアにかはりて王とならしめ彼の名をヱホヤキムと改めヱホアハズを曳て去ぬヱホアハズはエジプトにいたりて其處に死り

23:35編集

ヱホヤキムは金銀をパロにおくれり即ち彼國に課してパロの命のままに金を出さしめ國の民各人に割つけて金銀を征取りてこれをパロネコにおくれり

23:36編集

ヱホヤキムは二十五歳にして王となりヱルサレムにおいて十一年世を治めたりその母はルマのペダヤの女にして名をゼブタと云ふ

23:37編集

ヱホヤキムはその先祖等が凡てなしたるごとくにヱホバの目の前に惡をなせり

第24章編集

24:1編集

ヱホヤキムの代にバビロンの王ネブカデネザル上り來りければヱホヤキムこれに臣服して三年をへたりしが遂にひるがへりて之に叛けり

24:2編集

ヱホバ、カルデヤの軍兵スリアの軍兵モアブの軍兵アンモンの軍兵をしてヱホヤキムの所に攻きたらしめたまへり即ちユダを滅さんがためにこれをユダに遣はしたまふヱホバがその僕なる預言者等によりて言たまひし言語のごとし

24:3編集

この事は全くヱホバの命によりてユダにのぞみし者にてユダをヱホバの目の前より拂ひ除かんがためなりき是はマナセがその凡てなす所において罪を犯したるにより

24:4編集

また無辜人の血をながし無辜人の血をヱルサレムに充したるによりてなりヱホバはその罪を赦すことをなしたまはざりき

24:5編集

ヱホヤキムのその餘の行爲とその凡て爲たる事はユダの王の歴代志の書にしるさるるにあらずや

24:6編集

ヱホヤキムその先祖等とともに寝りその子ヱコニアこれに代りて王となれり

24:7編集

却説またエジプトの王は重てその國より出きたらざりき其はバビロンの王エジプトの河よりユフラテ河まで凡てエジプトの王に屬する者を悉く取たればなり

24:8編集

ヱコニアは王となれる時十八歳にしてヱルサレムにて三月世を治めたりその母はヱルサレムのエルナタンの女にして名をネホシタと云ふ

24:9編集

ヱコニアはその父の凡てなしたるごとくにヱホバの目の前に惡をなせり

24:10編集

その頃バビロンの王ネブカデネザルの臣ヱルサレムに攻のぼりて邑を圍めり

24:11編集

即ちバビロンの王ネブカデネザル邑に攻來りてその臣にこれを攻惱さしめたれば

24:12編集

ユダの王ヱコニアその母その臣その牧伯等およびその侍從等とともに出てバビロンの王に降れりバビロンの王すなはち彼を執ふ是はその代の八年にあたれり

24:13編集

而して彼ヱホバの家の諸の寶物および王の家の寶物を其處より携へ去りイスラルの王ソロモンがヱホバの宮に造りたる諸の金の器を切はがせりヱホバの言たまひしごとし

24:14編集

彼またヱルサレムの一切の民および一切の牧伯等と一切の大なる能力ある者ならびに工匠と鍛冶とを一萬人擄へゆけり遺れる者は國の民の賤き者のみなりき

24:15編集

彼すなはちヱコニアをバビロンに擄へゆきまた王の母王の妻等および侍從と國の中の能力ある者をもエルサレムよりバビロンに擄へうつせり

24:16編集

凡て能力ある者七千人工匠と鍛冶一千人ならびに強壯して善戰ふ者是等をバビロンの王擄へてバビロンにうつせり

24:17編集

而してバビロンの王またヱコニアの父の兄弟マツタニヤを王となしてヱコニアに代へ其が名をゼデキヤと改めたり

24:18編集

ゼデキヤは二十一歳にして王となりヱルサレムにて十一年世を治めたりその母はリブナのヱレミヤの女にして名をハムタルと曰ふ

24:19編集

ゼデキヤはエホヤキムが凡てなしたるごとくにヱホバの目の前に惡をなせり

24:20編集

ヱルサレムとユダに斯る事ありしはヱホバの震怒による者にしてヱホバつひにその人々を自己の前よりはらひ棄たまへり偖またゼデキヤはバビロンの王に叛けり

第25章編集

25:1編集

茲にゼデキヤの代の九年の十月十日にバビロンの王ネブカデネザルその諸軍勢を率てヱルサレムに攻きたりこれにむかひて陣を張り周圍に雲梯を建てこれを攻たり

25:2編集

かくこの邑攻かこまれてゼデキヤ王の十一年にまでおよびしが

25:3編集

その四月九日にいたりて城邑の中饑ること甚だしくなりその地の民食物を得ざりき

25:4編集

是をもて城邑つひに打破られければ兵卒はみな王の園の邊なる二箇の石垣の間の途より夜の中に逃いで皆平地の途にしたがひておちゆけり時にカルデア人は城邑を圍みをる

25:5編集

茲にカルデア人の軍勢王を追ゆきヱリコの平地にてこれに追つきけるにその軍勢みな彼を離れて散しかば

25:6編集

カルデア人王を執へてこれをリブラにをるバビロンの王の許に曳ゆきてその罪をさだめ

25:7編集

ゼデキヤの子等をゼデキヤの目の前に殺しゼデキヤの目を抉しこれを鋼索につなぎてバビロンにたづさへゆけり

25:8編集

バビロンの王ネブカデネザルの代の十九年の五月七日にバビロンの王の臣侍衛の長ネブザラダン、ヱルサレムにきたり

25:9編集

ヱホバの室と王の室を燒き火をもてヱルサレムのすべての室と一切の大なる室を燒り

25:10編集

また侍衛の長とともにありしカルデア人の軍勢ヱルサレムの四周の石垣を毀てり

25:11編集

侍衛の長ネブザラダンすなはち邑に遺されし殘餘の民およびバビロンの王に降りし降人と群衆の殘餘者を擄へうつせり

25:12編集

但し侍衛の長その地の或貧者をのこして葡萄をつくる者となし農夫となせり

25:13編集

カルデア人またヱホバの家の銅の柱と洗盤の臺と銅の海をくだきてその銅をバビロンに運び

25:14編集

また鍋と火鏟と燈剪と匙および凡て役事に用ふる銅の器を取り

25:15編集

侍衛の長また火盤と鉢など金銀にて作れる物を取り

25:16編集

またソロモンがヱホバの室に造しところの二の柱と一の海と臺とを取り此もろもろの銅の重は量るべからず

25:17編集

この柱は高さ十八キユビトにしてその上に銅の頂ありその頂の高は三キユビトその頂の四周に網子と石榴とありて皆銅なり他の柱とその網子もこれに同じ

25:18編集

侍衛の長は祭司の長セラヤと第二の祭司ゼパニヤと三人の門守を執へ

25:19編集

また兵卒を督どる一人の寺人と王の前にはべる者の中邑にて遇しところの者五人とその地の民を募る軍勢の長なる書記官と城邑の中にて遇しところの六十人の者を邑より擄へされり

25:20編集

侍衛の長ネブザラダンこれらを執へてリブラにをるバビロンの王の許にいたりければ

25:21編集

バビロンの王ハマテの地のリブラにてこれらを撃殺せりかくユダはおのれの地よりとらへ移されたり

25:22編集

かくてバビロンの王ネブカデネザルは自己が遺してユダの地に止らしめし民の上にシヤパンの子なるアヒカムの子ゲダリヤをたててこれをその督者となせり

25:23編集

茲に軍勢の長等およびこれに屬する人々みなバビロンの王がゲダリヤを督者となせしことを聞しかばすなはちネタニヤの子イシマエル、カレヤの子ヨナハン、ネトバ人タンホメテの子セラヤおよび或マアカ人の子ヤザニヤならびに彼らに屬する人々ミヅパにきたりてゲダリヤの許にいたれり

25:24編集

ゲダリヤすなはち彼等とかれらに屬する人々に誓ひてこれに言けるは汝等カルデア人の僕となることを恐るるなかれこの地に住てバビロンの王につかへなば汝等幸福ならんと

25:25編集

然るに七月に王の血統なるエリシヤマの子ネタニヤの子なるイシマエル十人の者とともに來りてゲダリヤを撃ころし又彼とともにミヅパにをりしユダヤ人とカルデア人を殺せり

25:26編集

是において大小の民および軍勢の長等みな起てエジプトにおもむけり是はカルデヤ人をおそれたればなり

25:27編集

ユダの王ヱホヤキムがとらへ移れたる後三十七年の十二月二十七日バビロンの王エビルメロダクその代の一年にユダの王ヱホヤキムを獄より出してその首をあげしめ

25:28編集

善言をもて彼をなぐさめその位をバビロンにともに居るところの王等の位よりも高くし

25:29編集

その獄の衣服を易しめたりヱホヤキムは一生のあひだつねに王の前に食をなせり

25:30編集

かれ一生のあひだたえず日々の分を王よりたまはりてその食物となせり