公教育の正常化の促進及び先行教育の規制に関する特別法


第1条(目的) この法律は, 「初・中等教育法」に基づき, 公教育を担う初・中・高等学校の教育課程が正常に運営されるようにするため,教育関連機関の先行教育及び先行学習を誘発する行為を規制することにより, 「教育基本法」において定める教育の目的を達成し, 学生の健康な心身の発達を図ることを目的とする。

第2条(定義) この法律において使用する用語の意義は, 次のとおりとする。<改正 2016. 5. 29.>

1. 「教育関連機関」とは, 「初・中等教育法」 第2条による学校のうち, 初等学校・中学校・高等学校・各種学校(以下「学校」という。)及び「高等教育法」第2条による学校その他他の法律による高等教育機関(以下「大学等」という。)をいう。
2. 「先行教育」とは, 教育関連機関が次の各目による教育課程に先立って編成し, 又は提供する教育一般をいう。
イ. 国家教育課程: 「初・中等教育法」第23条第2項[1]により教育大臣が定める初・中等学校教育課程
ロ. 市・道教育課程: 「初・中等教育法」第23条第2項により特別市・広域市・特別自治市・道及び特別自治道(以下「市・道」という。)の教育監(以下「教育監」という。)が定める初・中等学校教育課程
ハ. 学校教育課程: 「初・中等教育法」第23条第1項により編成・運営される単位学校の教育課程
3. 「先行学習」とは, 学習者が国家教育課程, 市・道教育課程及び学校教育課程に先だって行う学習をいう。

第3条(他の法律との関係) この法律は, 先行教育又は先行学習に関して, 他の法律に優先して適用する。

第3条の2(解釈・適用の注意義務) この法律を解釈・適用するときは, 学校及び教員の教育課程運営に関する自律性が不当に侵害されないように注意しなければならない。 [本条新設 2016. 5. 29.]

第4条(国及び地方公共団体の責務) ① 国及び地方公共団体は, 国が定める教育目標及び内容に符合するように学校が教育課程を編成・運営し, その内容に対して公正に学生の評価をすることができるよう指導・監督しなければならない。

② 国及び地方公共団体は, 先行教育による副作用を予防・是正するため, 調査・研究・分析・教育を行い, 改善対策を樹立する等必要な法的・制度的装置を策定しなければならない。

③ 国及び地方公共団体は, 第1項及び第2項による責務を尽くすため, 必要な行政的・財政的支援を行い, 適切な措置を取らなければならない。

第5条(学校の長の責務) ① 学校の長は, 学生が, 編成された教育課程による教科用図書の内容を忠実に習熟することができるようにしなければならない。

② 学校の長は, 当該学校において先行教育を実施しないよう指導・監督をしなければならない。

③ 学校の長は, 学父母・学生・教員に対し, 先行教育及び先行学習を予防するための教育を定期的に実施しなければならない。

④ 学校の長は, 第3項の内容を含む先行教育及び先行学習の予防に関する計画を樹立・施行しなければならない。

第5条の2(教員の責務) 教員は, 学生の学習権保護のため, 学生の先行学習を前提として授業を行ってはならない。 [本条新設 2016. 12. 20.]

第6条(学父母の責務) 学父母は, 子女が学校の教育課程による学校の授業及び各種活動に誠実に参与することができるよう支援し, 学校の政策に協力しなければならない。

第7条(教員の相談活動) 教員は, 指導する学生が私教育による先行学習により学校の授業に影響があり, 又は身体的又は精神的苦痛を訴える場合において, 学父母等に対し, 必要な教育的助言又は相談をすることができる。

第8条(先行教育及び先行学習の誘発行為の禁止等) ① 学校は, 国家教育課程及び市・道教育課程に基づき学校教育課程を編成しなければならず, 編成された学校教育課程に先立つ教育課程を運営してはならない。 放課後学校課程もまた同様とする。

② 第1項後段にも拘らず, 放課後学校課程が次の各号のいずれか一に該当する場合において, 編成された学校教育課程に先立つ教育課程を運営することができる。 <改正 2019. 3. 26.>

1. 「初・中等教育法」第2条による高等教育において, 「初・中等教育法」第24条第3項による学校の休業日中に編成・運営される場合
2. 「初・中等教育法」第2条による中学校及び高等学校のうち, 農山漁村地域学校及び大統領令で定める手続及び方法等により指定する都市低所得層密集学校等において運営される場合

③ 学校では, 次の各号の行為をしてはならない。 <改正 2016. 5. 29.>

1. 筆記評価, 総合的評価等の学校の試験において, 学生が学習した学校教育課程の範囲及び水準を逸する内容を出題し, 評価する行為
2. 各種の校内の大会において, 学生が学習した学校教育課程の範囲及び水準を逸する内容を出題し, 評価する行為
3. その他これに準ずるものとして大統領令で定める行為

④ 「学習塾の設立・運営及び校外教習に関する法律」第2条による学習塾, 学習教室又は家庭教師[2]は, 先行学習を誘発する広告又は宣伝をしてはならない。 <改正 2016. 5. 29.> [法律第16300号(2019. 3. 26.)附則第2条の規定により, 本条第2項は, 2025年2月28日まで有効。]

第9条(学校の入学選考等) ① 学校別に入学選考を実施する学校のうち, 大統領令で定める学校の入学選考は, その内容及び方法が当該学校の入学段階以前の教育課程の範囲及び水準を逸してはならない。

② 学校の長は, 第1項の入学選考を実施する場合において, 当該学校の設立目的及び特性に符合するよう学校生活記録簿の記録を反映しなければならない。

③ 学校の長は, 第1項の入学選考を実施する場合において, 次の各号の内容を反映してはならない。

1. 学校外の競試大会の実績
2. 各種認証試験の成績
3. 各種資格証
4. その他これに準ずるものとして, 大統領令で定める事項

④ 学校の長は, 第1項の入学選考を実施した場合において,その入学選考が先行学習を誘発するか否かについての影響評価を実施し, その結果を翌年度の入学選考に反映しなければならない。

⑤ 学校の長は, 第4項の影響評価の結果及び翌年度の入学選考への反映計画を管轄の教育監に提出しなければならない。

⑥ 教育監は, 第5項により提出された影響評価の結果及び翌年度の入学選考への反映計画を市・道の教育規則で定めるところにより公表することができる。 <新設 2016. 5. 29.>

第10条(大学等の入学選考等) ① 大学等の長は, 「高等教育法」等の関係法令により, 入学選考において, 大学別考査(論述等筆記考査, 面接・口述考査, 実技・試験考査及び教職適正・人性検査をいう。)を実施する場合において, 高等学校の教育課程の範囲及び水準を逸した内容を出題又は評価してはならない。 <改正 2016. 5. 29.>

② 大学等の長は, 第1項の大学別考査を実施した場合において, 第10条の2による入学選考影響評価委員会の審議を経て, 先行学習を誘発するか否かについての影響評価を実施し, その結果を翌年度の入学選考に反映しなければならない。<改正 2016. 5. 29.>

③ 大学等の長は, 第2項の影響評価の結果及び翌年度の入学選考への反映の計画を当該大学等のインターネットホームページに掲載して公開しなければならない。

第10条の2(大学等の入学選考影響評価委員会) ① 大学等の長は, 第10条第2項による影響評価の実施の方法, 手続及び内容等に関する事項を審議するため, 入学選考影響評価委員会を設置・運営しなければならない。

② 第1項による入学選考影響評価委員会の構成及び運営に必要な事項は, 当該大学等の学校規則で定める。ただし, 委員中1名以上は, 現職高等学校の教員としなければならない。 [本条新設 2016. 5. 29.]

第11条(教育課程正常化審議委員会) ① 国立学校及び大学等の先行教育の防止に関する主要事項を審査・議決するため, 教育大臣所属として, 教育課程正常化審議委員会(以下「教育課程委員会」という。)をおく。

② 教育課程委員会は, 次の各号の事項を審査・議決する。

1. 国家教育課程の運営に関する事項
2. 先行教育の防止対策に関する事項
3. 国立学校及び大学等の先行学習影響評価に関する事項
4. 先行教育又は先行学習誘発行為与否に関する事項
5. その他教育大臣が教育課程委員会に要請した事項

③ 教育課程委員会は, 第2項各号の事項についての審議の結果を遅滞なく教育大臣に通報しなければならない。

④ 教育大臣は, 第3項の審議の結果に従わなければならない。 ただし, 審議結果に異議がある場合には, 教育課程委員会に再審を要請することができ, その再審の結果を受け入れなければならない。

⑤ 教育課程委員会は, 委員長1名及び副委員長1名を含め, 15名以内の委員で構成する。

⑥ 委員は, 次の各号のいずれか一に該当する者の中から, 教育大臣が任命し, 又は委嘱する。

1. 教育省又は市・道教育庁所属の関係公務員
2. 教育課程, 学習理論及び大学入学選考等関連の専門知識を有する者
3. 学父母, 学父母団体の所属会員, その他学識及び経験の豊富な者

⑦ 委員の任期は2年とし, 1回に限り連任することができる。 ただし, 公務員である委員の任期は, 任命当時の職位に在籍する期間とする。

⑧ その他教育課程委員会の構成・運営に必要な事項は, 大統領令で定める。

第12条(市・道教育課程正常化審議委員会) ① 学校の先行教育の防止に関する主要事項を審査・議決するため, 教育監所属として, 市・道教育課程正常化審議委員会(以下「市・道教育課程委員会」という。)をおく。 この場合において, 教育監は, 地域与件, 学校及び学習塾の数等を考慮して, 「地方教育自治に関する法律」第34条第1項による教育支援庁別に教育課程正常化審議委員会をおくことができる。

② 市・道教育課程委員会は, 次の各号の事項を審査・議決する。

1. 市・道教育課程及び学校教育課程の運営に関する事項
2. 学校の先行教育の防止対策に関する事項
3. 学校の先行学習影響評価に関する事項
4. 先行教育又は先行学習の誘発行為与否に関する事項
5. その他教育監が市・道教育課程委員会に要請した事項

③ 市・道教育課程委員会は, 第2項各号の事項についての審議の結果を遅滞なく教育監に通報しなければならない。

④ 教育監は, 第3項の審議の結果に従わなければならない。 ただし, 審議の結果に異議がある場合には, 市・道教育課程委員会に再審を要請することができ, その再審の結果を受容しなければならない。

⑤ 市・道教育課程委員会は, 委員長1名及び副委員長1名を含め, 15名以内の委員で構成する。

⑥ その他市・道教育課程委員会の構成・運営に必要な事項は, 大統領令で定める。

第13条(教育大臣又は教育監の指導・監督等) ① 教育大臣又は教育監は, 第4条第1項の指導・監督のため, 大統領令で定めるところにより, 教育関連機関が第8条から第10条までの規定に違反しているか否か等を調査することができる。

② 教育大臣又は教育監が第1項による調査をする場合において, 教育関連機関は, 教育大臣又は教育監の資料提出の要求等に誠実に応じなければならない。

第14条(是正又は変更命令) ① 教育大臣又は教育監は, 教育関連機関が第8条から第10条までの規定及び第10条の2に違反した場合において, 第11条による教育課程委員会又は第12条による市・道教育課程委員会の審議の結果に従い, 期間を定めて教育関連機関に是正又は変更を命ずることができる。 <改正 2016. 5. 29.>

② 教育大臣又は教育監は, 第1項による是正命令又は変更命令を受けた教育関連機関が正当な事由なく, 指定された期間にこれを履行しないときは, 大統領令で定めるところにより, 「教育公務員法」第50条又は「私立学校法」第62条による懲戒委員会に懲戒を要求しなければならない。

③ 教育大臣又は教育監は, 第1項による是正命令又は変更命令を受けた教育関連機関が, 正当な事由なく指定された期間にこれを履行せず, かつ, 事案が重大な場合において, 大統領令で定めるところにより, 当該教育関連機関に対して, 財政支援の中止又は削減, 学生定員の減縮, 学級又は学科の減縮・廃止又は学生募集の停止の措置等を行うことができる。

第15条(異議申立て) 教育関連機関は, 第14条第1項による是正命令・変更命令又は同条第3項による措置等に対して異議がある場合において, 大統領令で定めるところにより, 教育大臣又は教育監に対し, 異議申立てをすることができる。

第16条(適用の除外) 次の各号のいずれか一に該当する場合には, この法律を適用しない。 <改正 2019. 3. 26.>

1. 「英才教育振興法」による英才教育機関の英才教育
2. 「初・中等教育法」第27条第1項による早期進級又は早期卒業の対象者
3. 国家教育課程及び市・道教育課程並びに学校教育課程上の体育・芸術教科(群), 技術・過程教科(群), 実科・第2外国語・漢文・教養教科(群), 専門教科
4. 初等学校1学年及び2学年の英語の放課後学校過程
5. その他大統領令で定める場合

第17条(権限の委任) この法律による教育監の権限は, 大統領令で定めるところにより, その一部を教育長に委任することができる。

附則 <第12395号, 2014. 3. 11.>

編集

この法律は, 公布後6箇月が経過した日から施行する。

附則 <第14149号, 2016. 5. 29.>

編集

第1条(施行日) この法律は, 公布の日から施行する。 ただし, 第9条第6項, 第10条第2項及び第10条の2の改正規定は, 公布後6箇月が経過した日から施行する。

第2条 削除 <2019. 3. 26.>

附則 <第14392号, 2016. 12. 20.>

編集

この法律は, 公布の日から施行する。

附則 <第16300号, 2019. 3. 26.>

編集

第1条(施行日) この法律は, 公布の日から施行する。

第2条(有効期間) 第8条第2項の改正規定は, 2025年2月28日まで効力を発する。

第3条(休業日中に高等学校及び農山漁村地域・低所得層密集地域の中・高等学校で運営する放課後過程についての適用例) 第8条第2項の改正規定は, 2019年3月1日からこの法律施行前までに実施している従前の放課後学校過程についても適用する。

  1. わが国の学校教育法第33条, 第48条及び第52条に相当する。
  2. 原文は, それぞれ「学院」, 「教習所」及び「個人課外教習者」。
 

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