住宅用防災警報器及び住宅用防災報知設備に係る技術上の規格を定める省令

住宅用防災警報器及び住宅用防災報知設備に係る技術上の規格を定める省令 (平成十七年一月二十五日総務省令第十一号)


 消防法施行令 (昭和三十六年政令第三十七号)第五条の六 の規定に基づき、住宅用防災警報器及び住宅用防災報知設備に係る技術上の規格を定める省令を次のように定める。


 第一章 総則(第一条・第二条)  第二章 住宅用防災警報器(第三条—第八条)  第三章 住宅用防災報知設備(第九条・第十条)  第四章 雑則(第十一条)  附則

   第一章 総則

(趣旨) 第一条  この省令は、消防法施行令 (昭和三十六年政令第三十七号)第五条の六 の規定に基づき、住宅用防災警報器及び住宅用防災報知設備に係る技術上の規格を定めるものとする。

(用語の意義) 第二条  この省令において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。 一  住宅用防災警報器 住宅(消防法 (昭和二十三年法律第百八十六号)第九条の二第一項 に規定する住宅をいう。以下同じ。)における火災の発生を未然に又は早期に感知し、及び報知する警報器(煙を感知するものに限る。)であつて、感知部、警報部等で構成されたものをいう。 二  住宅用防災報知設備 住宅における火災の発生を未然に又は早期に感知し、及び報知する火災報知設備(煙を感知するものに限る。)であつて、感知器(火災報知設備の感知器及び発信機に係る技術上の規格を定める省令 (昭和五十六年自治省令第十七号)第二条第一号 に規定するものをいう。)、中継器(中継器に係る技術上の規格を定める省令 (昭和五十六年自治省令第十八号)第二条第六号 に規定するものをいう。)、受信機(受信機に係る技術上の規格を定める省令 (昭和五十六年自治省令第十九号)第二条第七号 に規定するものをいう。第六号において同じ。)及び補助警報装置で構成されたもの(中継器又は補助警報装置を設けないものにあつては、中継器又は補助警報装置を除く。)をいう。 三  イオン化式住宅用防災警報器 周囲の空気が一定の濃度以上の煙を含むに至つたときに火災が発生した旨の警報(以下「火災警報」という。)を発する住宅用防災警報器で、一局所の煙によるイオン電流の変化により作動するものをいう。 四  光電式住宅用防災警報器 周囲の空気が一定の濃度以上の煙を含むに至つたときに火災警報を発する住宅用防災警報器で、一局所の煙による光電素子の受光量の変化により作動するものをいう。 五  自動試験機能 住宅用防災警報器及び住宅用防災報知設備に係る機能が適正に維持されていることを、自動的に確認することができる装置による試験機能をいう。 六  補助警報装置 住宅の内部にいる者に対し、有効に火災警報を伝達するために、住宅用防災報知設備の受信機から発せられた火災が発生した旨の信号を受信して、補助的に火災警報を発する装置をいう。

   第二章 住宅用防災警報器

(構造及び機能) 第三条  住宅用防災警報器の構造及び機能は、次に定めるところによらなければならない。 一  確実に火災警報を発し、かつ、取扱い及び附属部品の取替えが容易にできること。 二  取付け及び取り外しが容易にできる構造であること。 三  耐久性を有すること。 四  通常の使用状態において、温度の変化によりその外箱が変形しないこと。 五  配線は、十分な電流容量を有し、かつ、接続が的確であること。 六  部品は、機能に異常を生じないように、的確に、かつ、容易に緩まないように取り付けること。 七  充電部は、外部から容易に人が触れないように、十分に保護すること。 八  感知部の受ける気流の方向により住宅用防災警報器に係る機能に著しい変動を生じないこと。 九  住宅用防災警報器は、その基板面を取付け定位置から四十五度傾斜させた場合、機能に異常を生じないこと。 十  火災警報は、次によること。 イ 警報音(音声によるものを含む。以下同じ。)により火災警報を発する住宅用防災警報器における音圧は、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める値の電圧において、無響室で警報部の中心から前方一メートル離れた地点で測定した値が、七十デシベル以上であり、かつ、その状態を一分間以上継続できること。 (イ) 電源に電池を用いる住宅用防災警報器 住宅用防災警報器を有効に作動できる電圧の下限値 (ロ) 電源に電池以外から供給される電力を用いる住宅用防災警報器 電源の電圧が定格電圧の九十パーセント以上百十パーセント以下の値 ロ 警報音以外により火災警報を発する住宅用防災警報器にあつては、住宅の内部にいる者に対し、有効に火災の発生を報知できるものであること。 十一  電源に電池を用いる住宅用防災警報器にあつては、次によること。 イ 電池の交換が容易にできること。 ロ 住宅用防災警報器を有効に作動できる電圧の下限値となつたことを七十二時間以上点滅表示等により自動的に表示し、又はその旨を七十二時間以上音響により伝達することができること。 十二  スイッチの操作により火災警報を停止することのできる住宅用防災警報器にあつては、当該スイッチの操作により火災警報を停止したとき、十五分以内に自動的に適正な監視状態に復旧するものであること。 十三  光電式住宅用防災警報器の光源は、半導体素子とすること。 十四  感知部は、目開き一ミリメートル以下の網、円孔板等により虫の侵入防止のための措置を講ずること。 十五  放射性物質を使用する住宅用防災警報器は、当該放射性物質を密封線源とし、当該線源は、外部から直接触れることができず、かつ、火災の際容易に破壊されないものであること。 十六  自動試験機能を有する住宅用防災警報器にあつては、機能の異常を七十二時間以上点滅表示等により自動的に表示し、又はその旨を七十二時間以上音響により伝達することができること。 十七  電源変圧器は、電気用品の技術上の基準を定める省令 (昭和三十七年通商産業省令第八十五号)別表第六2に規定するベル用変圧器と同等以上の性能を有するものであり、かつ、その容量は最大使用電流に連続して耐えるものであること。

(附属装置) 第四条  住宅用防災警報器には、その機能に有害な影響を及ぼすおそれのある附属装置を設けてはならない。

(試験) 第五条  住宅用防災警報器は、次の各号に掲げる試験に適合するものでなければならない。 一  気流試験 イオン化式住宅用防災警報器は、通電状態において、風速五メートル毎秒の気流に五分間投入したとき、火災警報を発しないこと。 二  外光試験 光電式住宅用防災警報器は、通電状態において、白熱ランプを用い照度五千ルクスの外光を十秒間照射し十秒間照射しない動作を十回繰り返した後、五分間連続して照射したとき、火災警報を発しないこと。 三  周囲温度試験 住宅用防災警報器は、〇度以上四十度以下の周囲の温度において機能に異常を生じないこと。 四  腐食試験 耐食性能を有する住宅用防災警報器にあつては、五リットルの試験器の中に濃度四十グラム毎リットルのチオ硫酸ナトリウム水溶液を五百ミリリットル入れ、硫酸を体積比で硫酸一対蒸留水三十五の割合に溶かした溶液百五十六ミリリットルを千ミリリットルの水に溶かした溶液を一日二回十ミリリットルずつ加えて発生させる亜硫酸ガス中に、通電状態において四日間放置する試験を行つた場合、機能に異常を生じないこと。この場合において、当該試験は、温度四十五度の状態で行うこと。 五  振動試験 住宅用防災警報器は、通電状態においては、全振幅一ミリメートルで毎分千回の振動を任意の方向に十分間連続して加えた場合、適正な監視状態を継続し、無通電状態においては、全振幅四ミリメートルで毎分千回の振動を任意の方向に六十分間連続して加えた場合、構造又は機能に異常を生じないこと。 六  衝撃試験 住宅用防災警報器は、任意の方向に最大加速度五十重力加速度の衝撃を五回加えた場合、機能に異常を生じないこと。 七  衝撃電圧試験 外部配線端子を有する住宅用防災警報器は、通電状態において、次に掲げる試験を十五秒間行つた場合、機能に異常を生じないこと。 イ 内部抵抗五十オームの電源から五百ボルトの電圧をパルス幅一マイクロ秒、繰返し周期百ヘルツで加える試験 ロ 内部抵抗五十オームの電源から五百ボルトの電圧をパルス幅〇・一マイクロ秒、繰返し周期百ヘルツで加える試験 八  湿度試験 住宅用防災警報器は、通電状態において、温度四十度で相対湿度九十五パーセントの空気中に四日間放置した場合、適正な監視状態を継続すること。 九  絶縁抵抗試験 住宅用防災警報器の絶縁された端子の間及び充電部と金属製外箱との間の絶縁抵抗は、直流五百ボルトの絶縁抵抗計で測定した値が五十メガオーム以上であること。 十  絶縁耐力試験 住宅用防災警報器の充電部と金属製外箱との間の絶縁耐力は、五十ヘルツ又は六十ヘルツの正弦波に近い実効電圧五百ボルト(定格電圧が六十ボルトを超え百五十ボルト以下のものにあつては千ボルト、定格電圧が百五十ボルトを超えるものにあつては定格電圧に二を乗じて得た値に千ボルトを加えた値)の交流電圧を加えた場合、一分間これに耐えること。 2  前項第一号、第二号、第九号及び第十号の試験は、次に掲げる条件の下で行わなければならない。 一  温度五度以上三十五度以下 二  相対湿度四十五パーセント以上八十五パーセント以下

(イオン化式住宅用防災警報器の感度) 第六条  イオン化式住宅用防災警報器の感度は、その有する種別に応じ、K、V、T及びtの値を次の表のように定めた場合、次の各号に定める試験(以下この条において「イオン化式住宅用防災警報器の感度試験」という。)に合格するものでなければならない。 種別 K V T t 一種 〇・一九 二〇以上四〇以下 六〇 五 二種 〇・二四

注 Kは、公称作動電離電流変化率であり、平行板電極(電極間の間隔が二センチメートルで、一方の電極が直径五センチメートルの円形の金属板に八・二マイクロキュリーのアメリシウム二四一を取り付けたものをいう。)間に二十ボルトの直流電圧を加えたときの煙による電離電流の変化率をいう。 一  作動試験  電離電流の変化率一・三五Kの濃度の煙を含む風速Vセンチメートル毎秒の気流に投入したとき、T秒以内で火災警報を発すること。 二  不作動試験  電離電流の変化率〇・六五Kの濃度の煙を含む風速Vセンチメートル毎秒の気流に投入したとき、t分以内で作動しないこと。 2  イオン化式住宅用防災警報器の感度試験は、住宅用防災警報器を室温と同じ温度の強制通風中に三十分間放置した後において行うものとする。 3  前条第二項の規定は、イオン化式住宅用防災警報器の感度試験について準用する。

(光電式住宅用防災警報器の感度) 第七条  光電式住宅用防災警報器の感度は、その有する種別に応じ、K、V、T及びtの値を次の表のように定めた場合、次の各号に定める試験(次項において「光電式住宅用防災警報器の感度試験」という。)に合格するものでなければならない。 種別 K V T t 一種 五 二〇以上四〇以下 六〇 五 二種 一〇

注 Kは、公称作動濃度であり、減光率で示す。この場合において、減光率は、光源を色温度二千八百度の白熱電球とし、受光部を視感度に近いものとして測定する。 一  作動試験  一メートル当たりの減光率一・五Kの濃度の煙を含む風速Vセンチメートル毎秒の気流に投入したとき、T秒以内で火災警報を発すること。 二  不作動試験  一メートル当たりの減光率〇・五Kの濃度の煙を含む風速Vセンチメートル毎秒の気流に投入したとき、t分以内で作動しないこと。 2  第五条第二項及び前条第二項の規定は、光電式住宅用防災警報器の感度試験について準用する。

(表示) 第八条  住宅用防災警報器には、次の各号に掲げる事項を見やすい箇所に容易に消えないように表示しなければならない。ただし、第六号及び第七号の表示は、消防法施行令第五条の七第一項第二号 の規定により設置した状態において容易に識別できる大きさとしなければならない。 一  住宅用防災警報器という文字 二  種別 三  製造年 四  製造事業者の氏名又は名称 五  耐食性能を有するものにあつては、耐食型という文字 六  交換期限(自動試験機能を有するものを除く。) 七  自動試験機能を有するものにあつては、自動試験機能付という文字 八  この省令の規定に適合することを第三者が確認した場合にあつては、その旨及び当該第三者の名称

   第三章 住宅用防災報知設備

(住宅用防災報知設備の補助警報装置の火災警報) 第九条  住宅用防災報知設備の補助警報装置の火災警報は、次に定めるところによらなければならない。 一  警報音により火災警報を発する住宅用防災報知設備の補助警報装置における音圧は、電源の電圧が定格電圧の九十パーセント以上百十パーセント以下の値において、無響室で住宅用防災報知設備の補助警報装置の警報部の中心から前方一メートル離れた地点で測定した値が、七十デシベル以上であり、かつ、その状態を一分間以上継続できること。 二  警報音以外により火災警報を発する住宅用防災報知設備の補助警報装置にあつては、住宅の内部にいる者に対し、有効に火災の発生を報知できるものであること。

(表示) 第十条  住宅用防災報知設備の補助警報装置には、次の各号に掲げる事項を見やすい箇所に容易に消えないように表示しなければならない。 一  補助警報装置という文字 二  製造年 三  製造事業者の氏名又は名称 四  この省令の規定に適合することを第三者が確認した場合にあつては、その旨及び当該第三者の名称

   第四章 雑則

(基準の特例) 第十一条  新たな技術開発に係る住宅用防災警報器又は住宅用防災報知設備の補助警報装置について、その形状、構造、材質及び性能から判断して、この省令の規定に適合するものと同等以上の性能があると総務大臣が認めた場合は、この省令の規定にかかわらず、総務大臣が定める技術上の規格によることができる。 2  前項の規定は、外国において製造された住宅用防災警報器について準用する。この場合において、同項中「新たな技術開発に係る住宅用防災警報器又は住宅用防災報知設備の補助警報装置」とあるのは「外国において製造された住宅用防災警報器」と読み替えるものとする。

   附 則

 この省令は、消防法及び石油コンビナート等災害防止法の一部を改正する法律(平成十六年法律第六十五号)附則第一条第二号に掲げる規定の施行の日(平成十八年六月一日)から施行する。

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