人權保障法
茲ニ人權保障法ヲ制定シ之ヲ公布セシム
執政 溥儀印
大同元年三月九日
國務總理 鄭孝胥
敎 令第二號
人權保障法
全人民ノ信任ニ依リ滿洲國ノ統治ヲ行フ執政ハ戰時若ハ非常事變ノ際ヲ除クノ外先各項ニ準據シテ人民ノ自由及權利ヲ保障シ並ニ義務ヲ定ムヘキコトヲ全人民ニ對シテ誓約ス
第 一 條 滿洲國人民ハ身體ノ自由ヲ侵害セラルルコトナシ公ノ權力ニ據ル制限ハ法律ノ定ムル所ニ依ル
第 二 條 滿洲國人民ハ財產權ヲ侵害セラルルコトナシ公益上ノ必要ニ由ル制限ハ法律ノ定ムル所ニ依ル
第 三 條 滿洲國人民ハ種族宗敎ノ如何ヲ問ハス凡テ國家ノ平等ナル保護ヲ享ク
第 四 條 滿洲國人民ハ法律ノ定ムル所ニ依リ國又ハ地方團體ノ公務ニ參與スルノ權利ヲ有ス
第 五 條 滿洲國人民ハ法律ノ定ムル所ニ依リ均シク官公吏ニ任セラルル權利ヲ有シ並ニ其ノ他ノ名譽職ニ就任スルノ義務ヲ負フ
第 六 條 滿洲國住民ハ法令ノ定ムル手續ニ從ヒ請願ヲ爲スコトヲ得
第 七 條 滿洲國人民ハ法律ノ定メタル法官ノ裁判ヲ受クルノ權利ヲ有ス
第 八 條 滿洲國人民ハ行政官署ノ違法處分ニ依リ權利ヲ侵害セラレタル場合ニ於テハ法律ノ定ムル所ニ從ヒ之カ救濟ヲ請求スルコトヲ得
第 九 條 滿洲國人民ハ法令ニ依ルニ非サレハ如何ナル名義ニ於テモ課稅徵發罰款ヲ命セラルルコトナシ
第 十 條 滿洲國人民ハ公益ニ反セサル限リ共同ノ組織ニ依リ其ノ經濟上ノ利益ヲ保護增進スルコトヲ得
第 十 一 條 滿洲國人民ハ高利暴利其ノ他アラユル不當ナル經濟的壓迫ヨリ保護セラル
第 十 二 條 滿洲國人民ハ均シク國又ハ地方團體ノ公費ニ依ル各種ノ施設ヲ享用スル權利ヲ有ス
第 十 三 條 本法ハ大同元年三月九日ヨリ施行ス
この著作物は、ウルグアイ・ラウンド協定法の期日(回復期日を参照)の時点で著作権の保護期間が著作者(共同著作物にあっては、最終に死亡した著作者)の没後(団体著作物にあっては公表後又は創作後)50年以下である国や地域でパブリックドメインの状態にあります。
この著作物は、アメリカ合衆国外で最初に発行され(かつ、その後30日以内にアメリカ合衆国で発行されておらず)、かつ、1978年より前にアメリカ合衆国の著作権の方式に従わずに発行されたか1978年より後に著作権表示なしに発行され、かつ、ウルグアイ・ラウンド協定法の期日(日本国を含むほとんどの国では1996年1月1日)に本国でパブリックドメインになっていたため、アメリカ合衆国においてパブリックドメインの状態にあります。