中岡慎太郎全集/慶応元年3月9日付黒田嘉右衛門宛


貴意候得共、自宰府一翰呈候。先生之御事兼々去年於京師も承届居申候。先月初吉井君と上京、於御邸も色々御世話に相成此節罷帰申候。根元は土佐之者にて寺石と申者也。於小倉大島先生に拝眉仕候者也。於京師天下真有しんの志者と様々約談仕、夫に付先生に是非共御目にかゝり度、御国迄も事により参上可仕相含居候所、此節此辺に御来光、不計奇機、何卒急々拝顔相願度候付、当宰府に御越被成候はゞ、如何程御急ぎ候とも、鳥渡ちよつと御沙汰被仰付度奉願上候。取急極失礼不顧呈一書申上候。再拝謹白

三月九日
三条殿内
大山彦太郎

 黒田嘉右衛門様 御下

この作品は1929年1月1日より前に発行され、かつ著作者の没後(団体著作物にあっては公表後又は創作後)100年以上経過しているため、全ての国や地域でパブリックドメインの状態にあります。