中学校令 (明治32年勅令第28号)

新字体

編集

朕中学校令ノ改正ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム



明治三十二年二月六日

文部大臣 伯爵樺山資紀


勅令第二十八号

中学校令

第一条 中学校ハ男子ニ須要ナル高等普通教育ヲ為スヲ以テ目的トス

第二条 北海道及府県ニ於テハ土地ノ情況ニ応シ一箇以上ノ中学校ヲ設置スヘシ

文部大臣ハ必要ト認ムル場合ニ於テ府県ニ中学校ノ増設ヲ命スルコトヲ得

第三条 前条ノ中学校ノ経費ハ北海道及沖縄県ヲ除ク外府県ノ負担トス

第四条 郡市町村北海道及沖縄県ノ区ヲ含ム又ハ町村学校組合ハ土地ノ情況ニ依リ須要ニシテ其ノ区域内小学教育ノ施設上妨ナキ場合ニ限リ中学校ヲ設置スルコトヲ得

第五条 私人ハ本令ノ規定ニ依リ中学校ヲ設置スルコトヲ得

第六条 土地ノ情況ニ依リ中学校ノ分校ヲ必要トスルトキハ文部大臣ノ認可ヲ経テ之ヲ設置スルコトヲ得但シ一校ニ付一分校ニ限ル

第七条 中学校ノ設置廃止ハ文部大臣ノ認可ヲ受クヘシ

中学校ノ設置廃止ニ関スル規則ハ文部大臣之ヲ定ム

第八条 公立中学校ノ位置ハ文部大臣ノ認可ヲ経テ地方長官之ヲ定ム

第九条 中学校ノ修業年限ハ五箇年トス但シ一箇年以内ノ補習科ヲ置クコトヲ得

第十条 中学校ニ入学スルコトヲ得ル者ハ年齢十二年以上ニシテ高等小学校第二学年ノ課程ヲ卒リタル者又ハ之ト同等ノ学力ヲ有スル者タルヘシ

第十一条 中学校ノ学科及其ノ程度ニ関スル規則ハ文部大臣之ヲ定ム

第十二条 中学校ノ教科書ハ文部大臣ノ検定ヲ経タルモノニ就キ地方長官ノ認可ヲ経テ学校長之ヲ定ム但シ文部大臣ノ検定ヲ経サル教科書ヲ使用スル必要アルトキハ地方長官ハ文部大臣ノ認可ヲ経テ一時其ノ使用ヲ認可スルコトヲ得

中学校教科書ノ検定ニ関スル規則ハ文部大臣之ヲ定ム

第十三条 中学校ノ教員ハ文部大臣ノ授与シタル教員免許状ヲ有スル者タルヘシ但シ文部大臣ノ定ムル所ニ依リ本文ノ免許状ヲ有セサル者ヲ以テ之ニ充ツルコトヲ得

中学校教員免許状ニ関スル規則ハ文部大臣之ヲ定ム

第十四条 公立中学校職員ノ俸給旅費其ノ他諸給与ニ関スル規則ハ文部大臣ノ認可ヲ経テ地方長官之ヲ定ム

第十五条 中学校ノ編制及設備ニ関スル規則ハ文部大臣之ヲ定ム

第十六条 公立中学校ニ於テハ授業料ヲ徴収スヘシ但シ特別ノ場合ニ於テハ之ヲ減免スルコトヲ得

授業料入学料等ニ関スル規則ハ公立学校ニ在リテハ地方長官ニ於テ私立学校ニ在リテハ設立者ニ於テ文部大臣ノ認可ヲ経テ之ヲ定ム

第十七条 本令ノ規定ニ依ラサル学校ハ中学校ト称スルコトヲ得ス

第十八条 本令施行ノ為ニ必要ナル規則ハ文部大臣之ヲ定ム

附則

第十九条 本令ハ明治三十二年四月一日ヨリ施行ス

第二十条 既設ノ尋常中学校分校ニシテ第六条ノ制限ニ超過スルモノハ文部大臣ノ認可ヲ経テ本令施行ノ日ヨリ五箇年以内存置スルコトヲ得

第二十一条 明治十九年勅令第十五号中学校令第十二条ニ依リ設置シタル農業工業商業等ノ専修科ハ本令施行ノ日ニ於テ現ニ在学スル生徒ノ卒業スル迄之ヲ存置スルコトヲ得

第二十二条 既設ノ公私立尋常中学校ハ本令施行ノ日ヨリ中学校ト改称ス

他ノ法令中尋常中学校トアルハ本令施行ノ日ヨリ当然中学校ト看做ス


関連項目

編集

外部リンク

編集
 

この作品は1929年1月1日より前に発行され、かつ著作者の没後(団体著作物にあっては公表後又は創作後)100年以上経過しているため、全ての国や地域でパブリックドメインの状態にあります。