ルカに因る聖福音


ルカに因る聖福音

第一章 編集

われうちあきらかられたること

すなはちはじめよりことばじっけんしゃおよえきしゃたりしものわれつたへたることきて、おほくのものげてでんつくるにり、

尊憲そんけんなるフェオフィルよ、われおよそことはじめよりつまびらかたづね、だいもっなんぢためしるさんことのおもひおこせり、

なんぢまなびたるをしへかたもとゐらんためなり。

イウデヤのわうイロドのとき、アワィヤのはんぞくするさいにザハリヤとづくるものあり、そのつまはアアロンのすゑにして、をエリサワェタとふ。

二人ふたりながらかみまへなるものにして、しゅ一切いっさいかいめいれいくるなくおこなへり。

かれなかりき、エリサワェタははらまざるものたりしゆゑなり、二人ふたりともとしすでいたり。

ザハリヤがそのはんまはりりて、さいしょくかみまへおこなふにあたりて、

さいれいしたがひ、くじきて、しゅ殿でんりて、かうくをたり。

一〇 かうときしゅうみんそとりていのれり。

一一 しゅてん使ザハリヤにあらはれて、かうだんみぎてり。

一二 ザハリヤこれて、おどろかつおそれたり。

一三 てん使かれへり、ザハリヤおそるるなかれ、けだしなんぢたうかれたり、なんぢつまエリサワェタまん、なんぢこれをイオアンとづけん。

一四 なんぢにはよろこびたのしみとあらん、かつおほくのものそのうまるるにりてよろこばん。

一五 けだしかれしゅまへおほいなるものとならん、さけ諸醪シケラとをまず、そのはははらよりしてせいしん゜にてられん。

一六 かれはイズライリのしょおほくのものてんじて、しゅかれかみせしめん。

一七 かれはイリヤの精神せいしんのうりょくとをもっしゅまへかん、ちちこころに、さかものしゃかへらしめて、そなへられたるたみしゅすすめんためなり。

一八 ザハリヤてん使へり、われなにもっこれらん、けだしわれいたり、つまとしけり。

一九 てん使かれこたへてへり、われはガウリイル、かみまへものなり、使つかひほうじてなんぢげ、なんぢふくいんす。

二〇 よ、なんぢあふしとなり、ものいあたはずして、こといたらん、ことばしんぜざりしゆゑなり、ことばときおよびてかならずかなはん。

二一 ときたみはザハリヤをちて、その殿でんうちひさしくるをあやしめり。

二二 つひでてかれものいあたはざれば、すなはちその殿でんうちしゃうしことをさとれり、かれかうべもっかれしめし、しかうしてあふしたりき。

二三 その職事つとめ滿つるにおよびて、いへかへれり。

二四 のちそのつまエリサワェタはらみて、かくりしことごかげつにしてへり、

二五 しゅわれせり、かれおいわれかへりみて、はぢ人々ひとびとあひだそそがしめたり。

二六 だいろくげつおいて、てん使ガウリイルはかみより使つかひほうじて、ガリレヤのまちナザレトとづくるところに、

二七 ダワィドのいへひとはイオシフとものへいせられたるしょぢょのぞめり、しょぢょはマリヤなり。

二八 てん使りて、これへり、おんちょうかうむれるものよろこべよ、しゅなんぢともにす、なんぢをんなうちしゅくふくせられたり。

二九 ぢょかれて、そのことばいぶかり、といあんなにごとならんとおもへり。

三〇 てん使これへり、マリヤおそるるなかれ、けだしなんぢかみまへおんちょうたり。

三一 よ、なんぢはらみてまん、そのをイイススとづけん。

三二 かれおほいなるものとなりて、じゃうしゃとなへられん、しゅかみかれそのちちダワィドのくらゐあたへん、

三三 かれ世々よよイアコフのいへわうとなりて、そのくにをはりなからん。

三四 マリヤてん使へり、われひとかざるに、如何いかにしてことあらん。

三五 てん使かれこたへてへり、せいしんなんぢのぞみ、じゃうしゃちからなんぢおほはん、ゆゑところせいなるものかみとなへられん。

三六 よ、なんぢ親戚しんせきエリサワェタとしいてはらめり、もとはらまざるものしょうせられしに、いますで六月ろくかげつなり。

三七 けだしかみりてはおよそのところあたはざることなし。

三八 マリヤへり、われしゅなり、なんぢことばごとく、われるべし。てん使かれはなれたり。

三九 そのマリヤちて、すみやかさんき、イウダのまちいたり、

四〇 ザハリヤのいへりて、エリサワェタにあんへり。

四一 エリサワェタ マリヤのあんふをきしとき胎兒はらみごそのはらうちをどれり。エリサワェタせいしん゜に滿てられ、

四二 おほごゑびてへり、なんぢをんなうちしゅくふくせられたり、なんぢはらしゅくふくせられたり。

四三 しゅははわれのぞめり、われなによりこれたるか。

四四 けだしなんぢあんこゑみみりしとき胎兒はらみごはらうちよろこをどれり。

四五 しんぜしものさいはひなり、けだししゅよりかれげられしことかならずらん。

四六 マリヤへり、たましひしゅあがめ、

四七 しん゜はかみすくしゅよろこべり、

四八 けだしそのしもめいやしきをかへりみたり、いまよりのちばんせいわれさいはひなりとはん。

四九 けだしけんのうしゃわれおほいなることせり、そのせいなり、

五〇 その矜恤あはれみ世々よよかれおそるるもののぞまん。

五一 かれそのひぢちからあらはし、こころおもひおごれるものらせり。

五二 けんあるものくらゐよりしりぞけ、いやしきものげ、

五三 うるものものかしめ、めるものむなしくかへらしめたり。

五四 そのぼくイズライリをれて、

五五 せんげしがごとく、アウラアムとそのすゑとを世々よよあはれまんことをねんせり。

五六 マリヤはエリサワェタとともりしこと三月さんげつにして、そのいへかへれり。

五七 エリサワェタにうむときいたりて、すなはちめり。

五八 かれきんりん親戚しんせきとは、しゅそのおほいなる矜恤あはれみかれれしをきて、かれともよろこべり。

五九 だいはちじつおよびて、割禮かつれいおこなはんためきたり、これそのちちりて、ザハリヤとづけんとせしに、

六〇 そのははこたへてへり、いなこれをイオアンとづくし。

六一 かれへりなんぢ親戚しんせきうち一人ひとりづくるものなし。

六二 つひそのちちしるしもっ如何いかこれづけんとほっするをひしに、

六三 かれふだひてしるしてへり、そのはイオアンなりと、みなこれとせり。

六四 ただちそのくちひらけ、したけ、かれことばはつして、かみしゅくさんせり。

六五 そのきんりんものみなおそれ、かつこれことあまねくイウデヤのさんがれり。

六六 およきしものそのこころこれをさめてへり、如何いかにならんと、しゅかれともにせり。

六七 そのちちザハリヤせいしん゜に滿てられ、げんしてへり、

六八 しゅくさんせらるるかなしゅ、イズライリのかみけだしそのたみかへりみて、これあがなひし、

六九 われためすくひつのそのぼくダワィドのいへおこせり、

七〇 せいよりそのせいなるげんしゃくちもっひしがごとし、

七一 すなはちわれしょてきおよおよわれにくものよりすくひ、

七二 もっ矜恤あはれみせんほどこし、そのせいなるやく

七三 すなはちアウラアムにちかひたるちかひねんせん、

七四 ふ、われしょてきよりすくはれしのち

七五 おそれなく、かれまへりて、せいもって、もって、しゃうがいかれつかへしめんと。

七六 よ、なんぢじゃうしゃげんしゃとなへられん、けだししゅめんぜんきて、そのみちそなへ、

七七 かれたみに、そのすくすなはちしょざいゆるしにして、かみ矜恤あはれみることをらしめん。

七八 矜恤あはれみりて、東旭あさひうへよりわれのぞめり、

七九 幽暗くらやみかげとにするものてらし、われあしへいあんみちむかはしめんためなり。

八〇 やうやせいちゃうし、せいしんますますきゃうけんにして、そのイズライリにあらはるるいたるまでりき。

第二章 編集

ケサリ アウグストよりみことのりでて、てんひとことごとせきのぼらしむ。

せきはキリニイのシリヤををさむるときはじめておこなはれしものなり。

ここおいしゅうじんせきのぼらんために、おのおのそのまちけり。

イオシフもまたダワィドのしゅうぞくすぢとなるをもって、

マリヤそのへいせられたるつますではらめるものともに、せきのぼらんために、ガリレヤのまちナザレトより、イウデヤに、ダワィドのまちワィフレエムとづくるところけり。

かれ彼處かしこときに、うむいたれり。

すなはちそのちょうみ、これ襁褓むつきつつみて、かひばぶねけり、りょくわんにはかれためところなかりしゆゑなり。

ぼくしゃあり、かんおいそのひつじむれまもれり。

よ、しゅてん使かれまへち、しゅくわうえいかれめぐてらせり、かれおほいおそれたり。

一〇 てん使かれへり、おそるるなかれ、けだしよ、われなんぢおほいなるよろこびばんみんおよばんとするものふくいんす、

一一 こんにちなんぢためにダワィドのまちおいて、きゅうしゅすなはちしゅハリストスうまれたり。

一二 なんぢ襁褓むつきつつまれたる嬰兒をさなごかひばぶねせるをん、そのしるしなり。

一三 たちまちてん使ともおほくのてんぐんあり、かみさんしてへり、

一四 いたたかきにはくわうえいかみし、にはへいあんくだり、ひとにはめぐみのぞめり。

一五 てん使かれはなれててんのぼりしときぼくしゃたがひへり、ワィフレエムにきて、彼處かしこりしことしゅわれしめししところん。

一六 すなはちいそきたりて、マリヤとイオシフおよかひばぶねせる嬰兒をさなごたり。

一七 すでて、くわんしてかれげられしことかたれり。

一八 きしものみなぼくしゃかたりしこととせり。

一九 ただマリヤはこれことばことごとそのこころをさめて、これまもれり。

二〇 ぼくしゃは、およかれげられしごとく、きしことことために、かみさんえいさんしてかへれり。

二一 八日やうか滿ちて、嬰兒をさなご割禮かつれいおこなふべきときいたりたれば、そのをイイススとづけたり、すなはちそのいまはらまれざるさきてん使づけしところなり。

二二 モイセイの律法りつぱふりて、きよめ滿つるにおよび、嬰兒をさなごたづさへてイエルサリムにのぼれり、これしゅたてまつらんためなり。

二三 しゅ律法りつぱふしるされしがごとし、いはく、およはじめてたいひらなんしゅせいなりととなへらるべしと。

二四 またしゅ律法りつぱふところりて、ふたつ班鳩やまばとあるひふたつひな鴿ばとまつりささげんためなり。

二五 よ、イエルサリムにシメオンとづくるひとあり、ひとにしてけいけんなり、イズライリをなぐさむるものち、しかうしてせいしんかれのぞめり。

二六 かれに、せいしん゜にりて、しゅのハリストスをざるさきには、ざらんとしめされたり。

二七 かれかみりて殿でんきたれり、嬰兒をさなごイイススをたづさへて、これ律法りつぱふれいおこなはんためりしとき

二八 かれ嬰兒をさなごそのり、かみしゅくさんしてへり、

二九 しゅさいよ、いまなんぢことばしたがひて、なんぢぼくゆるし、あんぜんとしてかしむ。

三〇 けだしなんぢすくひたり、

三一 なんぢばんみんまへそなへしものなり、

三二 はうじんてらひかりおよなんぢたみイズライリのさかえなり、

三三 イオシフおよ嬰兒をさなごははかれくわんしてはるることとせり。

三四 シメオンかれしゅくふくして、そのははマリヤにへり、よ、かれて、イズライリのうちおほくのものたふまたおこるをいたし、かつはくろんしるしらん、

三五 おほくのこころおもひあらはれんためなり、なんぢにもつるぎたましひつらぬかん。

三六 またげんぢょアンナあり、アシルのファヌイルのむすめなり、しょぢょときよりおっとともりしことしちさいとしおほいいたり、

三七 よはひおよそはちじふやもめにして、殿でんはなれず、ものいみたうとをもっちうほうせしものなり。

三八 かれとききたきて、しゅさんえいし、かつ嬰兒をさなごことおよそイエルサリムにりてあがなひものかたれり。

三九 すでしゅ律法りつぱふしたがひ、ことごとこれへてガリレヤの故邑ふるさとナザレトにかへれり。

四〇 やうやせいちゃうし、せいしんますますきゃうけんにして、ち、かみおんちょうかれのぞめり。

四一 そのとしごと逾越節筵パスハにイエルサリムにけり。

四二 かれじふさいになりしときまた節筵まつりれいしたがひて、イエルサリムにのぼりしに、

四三 をはりてかへときどうイイスス イエルサリムにとどまれり。イオシフとそのははとはこれらずして、

四四 かれどうかうしゃうちりとおもへり、いちにちきて、かれ親戚しんせきあひだたづねしに、

四五 はざりき、すなはちかれたづねてイエルサリムにかへれり。

四六 三日みっかのちかれ殿でんへるに、かれけううちして、かつき、かつへり。

四七 かれものみなそのその應対こたへとをとせり。

四八 かれおどろけり、そのははかれへり、よ、なんわれおこなひたる、よ、なんぢちちわれうれひてなんぢたづねたり。

四九 かれへり、なんわれたづねたる、あにわれちちぞくするところるべきをらずや。

五〇 しかれどもかれそのひしことばさとらざりき。

五一 イイススかれともくだりて、ナザレトにきたり、かれしたがりき。かれははこれことばことごとそのこころをさめたり。

五二 イイススはよはひかみおよ人々ひとびとちょうあいとにますますすすめり。

第三章 編集

ティワェリイ ケサリざいじふねん、ポンティイ ピラト イウデヤのはうはくたり、イロド ガリレヤの分封ぶんぱうきみたり、そのきゃうだいフィリップ イトゥレヤおよびトラホニダの分封ぶんぱうきみたり、リサニイ ワィリニヤの分封ぶんぱうきみたり、

アンナおよびカイアファのさいちゃうたるときかみことばはザハリヤのイオアンにのぞめり。

かれはイオルダンの近傍きんばうあまねきて、つみゆるしためくわいかい洗禮せんれいつたへたり、

げんしゃイサイヤのことばしょしるせるがごとし、いはく、ものこゑありてふ、しゅみちそなへ、そのこみちなほくせよ、

およそたにうづめられ、およそやまをかとはひくくせられ、まがれるはなほくせられ、けはしきはたひらかにせられん、

しかうしておよそにくしんかみすくひんと。

イオアンはせんくるためきたれるたみへり、まむしるゐよ、たれなんぢしゃうらいいかりさけくることをしめしたる、 しからばくわいかいかなむすべ、みづかおもひて、われちちはアウラアムなりとなかれ、けだしわれなんぢぐ、かみいしよりアウラアムのためおこすをよくす。

すでおのかる、およむすばざるは、られてげられん。

一〇 たみかれひてへり、しからばわれなにすべきか。

一一 かれこたへてへり、ふたつころもてるものたざるものあたへよ、しょくてるものしかせよ。

一二 ぜいまたせんくるためきたりて、かれへり、よ、われなにすべきか。

一三 かれこたへてへり、なんぢさだめられたるものよりおほなかれ。

一四 ぐんまたかれひてへり、われなにすべきか。かれへり、ひとおびやかなかれ、ふるなかれ、なんぢの俸たまもっれりとせよ。

一五 たみのぞみいだきて、みなそのこころに、イオアンをれハリストスにあらずやとはかりしとき

一六 イオアンしゅうこたへてへり、われみづもっなんぢせんさづく、しかれどもさらわれよりつよものきたる、われそのくつおびくにもへず、かれせいしんおよもっなんぢせんさづけん。

一七 そのそのり、かれそのうちきよめて、むぎそのくらおさめ、からえざるかん。

一八 そのおほくのことをしへてたみふくいんせり。

一九 分封ぶんぱうきみイロド、そのきゃうだいつまイロデアダのためおよおよそイロドのおこなひしあくために、かれめられて、

二〇 およそことまたこれせり、すなはちイオアンをひとやとざせり。

二一 たみみなせんくるとき、イイススもまたせんけていのれるに、てんひらけて、

二二 せいしんゆるかたちもって、鴿はとごとそのうへくだれり、かつてんよりこゑありてへり、なんぢわれあいわれなんぢよろこべり。

二三 イイススそのつとめはじむるときとしおよそさんじふなり。ひとかれもってイオシフのせり。イオシフのちちはイリイ、

二四 そのちちはマトファト、そのちちはレワィ、そのちちはメルヒ、そのちちはイアンナ、そのちちはイオシフ、

二五 そのちちはマッタフィイ、そのちちはアモス、そのちちはナウム、そのちちはエスリム、そのちちはナゲイ、

二六 そのちちはマアフ、そのちちはマッタフィイ、そのちちはセメイ、そのちちはイオシフ、そのちちはイウダ、

二七 そのちちはイオアンナ、そのちちはリサ、そのちちはゾロワワェリ、そのちちはサラフィイリ、そのちちはニリ、

二八 そのちちはメルヒ、そのちちはアディイ、そのちちはコサム、そのちちはエルモダム、そのちちはイル、

二九 そのちちはイオシイ、そのちちはエリエゼル、そのちちはイオリム、そのちちはマトファト、そのちちはレワィ、

三〇 そのちちはシメオン、そのちちはイウダ、そのちちはイオシフ、そのちちはイオナン、そのちちはエリアキム、

三一 そのちちはメレア、そのちちはマイナン、そのちちはマッタファ、そのちちはナファン、そのちちはダワィド、

三二 そのちちはイエッセイ、そのちちはオワィド、そのちちはワォヲズ、そのちちはサルモン、そのちちはナアッソン、

三三 そのちちはアミナダフ、そのちちはアラム、そのちちはエスロム、そのちちはファレス、そのちちはイウダ、

三四 そのちちはイアコフ、そのちちはイサアク、そのちちはアウラアム、そのちちはファラ、そのちちはナホル、

三五 そのちちはセルフ、そのちちはラガフ、そのちちはファレク、そのちちはエワェル、そのちちはサラ、

三六 そのちちはカイナン、そのちちはアルファクサド、そのちちはシム、そのちちはノイ、そのちちはラメフ、

三七 そのちちはマフサラ、そのちちはエノフ、そのちちはイアレド、そのちちはマレレイル、そのちちはカイナン、そのちちはエノス、そのちちはシフ、そのちちはアダム、そのちちかみなり。

第四章 編集

イイススせいしん゜に滿てられて、イオルダンよりかへり、しん゜にみちびかれてき、

じふにちあひだあくこころみられたり。しょじつには一切いっさいくらはざりき、そのをはるにおよびてつひゑたり。

あくかれへり、なんぢかみならば、いしめいじて、ぱんらしめよ。

イイススこれこたへてへり、しるせるあり、ひとただぱんのみをもっくべきにあらず、すなはちおよそかみことばもってす。

あくかれたづさへて、たかやまのぼり、またたきかいばんこくしめして、

かれへり、これ一切いっさいけんえいぐわとをなんぢあたへん、けだしわれゆだねられたり、われほっするものこれあたふ。

ゆゑなんぢわれはいせば、ことごとなんぢものとならん。

イイススこれこたへてへり、サタナ、われより退しりぞけ、けだししるせるあり、しゅなんぢかみはいせよ、ひとりかれのみにつかへよと。

またかれたづさへて、イエルサリムにいたり、殿でんいただきたしめて、かれへり、なんぢかみならば、みづかここよりしたとうぜよ、

一〇 けだししるせるあり、なんぢためそのてん使めいじて、なんぢまもらしめん、

一一 かれそのにてなんぢかかへて、なんぢあしいしつまづかざらしめんと。

一二 イイススこれこたへてへり、へるあり、しゅなんぢかみこころみるなかれと。

一三 あくすでその誘試こころみつくして、しばらかれはなれたり。

一四 イイススかみちから滿てて、ガリレヤにかへれり、その聲名きこゑあまねはうひろまれり。

一五 かれそのしょくわいだうおいをしへべ、しゅうじんさんえいせられたり。

一六 かれその養育やういくせられしところのナザレトにきたり、安息スボタに、そのじゃうれいりて、くわいだうり、まんとほっしててり。

一七 げんしゃイサイヤのしょかれあたふるあり、かれしょひらきて、しるせるところいだせり、いはく、

一八 しゅしんわれり、けだしかれわれあぶらして、まづしきものふくいんせしめ、われつかはして、こころいためるものいやし、虜者とりこゆるしを、瞽者めしひることをつたへ、あっせらるるものいうあたへ、

一九 しゅよろこばしきとしつたへしめたりと。

二〇 すなはちしょおほひ、えきしゃあたへてせしに、くわいだうものみなかれそそげり。

二一 かれはじめてへり、なんぢきしところしょいまかなへり。

二二 しゅうみなこれしょうし、かつそのくちよりづるおんちょうことばとしてへり、れイオシフのあらずや。

二三 イイススかれへり、なんぢかならずわれことわざきてはん、よ、おのれいやせ、われきしところ、カペルナウムにおこなはれしことを、ここなんぢ故土ふるさとにもおこなへと。

二四 またへり、われまことなんぢぐ、げんしゃその故土ふるさとりてれらるるものあらず。

二五 われしんじつなんぢぐ、イリヤのに、さんねん六月ろくかげつてんぢて、おほいなるきんぜんいたりしとき、イズライリのうちおほくのやもめありたれども、

二六 イリヤはその一人ひとりにもつかはされざりき、ただシドンのサレプタにのみ、やもめなるをんなつかはされたり。

二七 またげんしゃエリセイのとき、イズライリのうちおほくのらいびゃうしゃありたれども、その一人ひとりきよめられざりき、ただシリヤのエマンのみきよめられたり。

二八 くわいだうものこれきて、みなおほいいかり、

二九 ちてかれまちそとひ、きてそのまちてられたるやまがけいたり、かれおとさんとせしに、

三〇 かれしゅううちぎてれり。

三一 ガリレヤのまちカペルナウムにきたり、安息日スボタおいかれをしへしに、

三二 人々ひとびとそのをしへとせり、そのことばけんありしゆゑなり。

三三 くわいだうらるるひとあり、おほごゑびてへり、

三四 ああナザレトのイイススよ、われなんぢなんあづからん、なんぢわれほろぼさんためきたりしか、われなんぢたれなるをる、すなはちかみせいなるものなり。

三五 イイススかれいましめてへり、くちぢて、ひとよりでよ。これだうちゅうたふし、すこしもこれそこなはずしてでたり。

三六 しゅうみなおどろきて、あひかたりてへり、如何いかなることばぞ、けだしかれけんもって、ちからもっめいじて、かれづ。

三七 その聲聞きこえあまねはうあがれり。

三八 かれくわいだうでて、シモンのいへれり、シモンの岳母しうとめねつむことはなはだし、ひとこれためかれへり。

三九 かれそのかたはらちて、ねついましめたれば、すなはち退しりぞけり、をんなただちきてかれきょうせり。

四〇 とき種々しゅじゅやまひわづらふるものてるひとみなこれたづさへて、かれきたるに、かれいちいちそのうへせて、これいやせり。

四一 またおほくのひとよりでて、びてへり、なんぢかみハリストスなり。しかるにかれこれいましめて、そのハリストスたるをることをふをゆるさざりき。

四二 あさおよびて、イイススでて、ところけり、たみかれたづね、かれきたりて、そのかれはならんことをとどめたり。

四三 しかれどもかれこれへり、われまちにもかみくにふくいんし、けだしわれこれためつかはされたり。

四四 すなはちガリレヤのしょくわいだうおいをしへべたり。

第五章 編集

たみかみことばかんために、かれせまりしときかれゲンニサレトのみづうみはまちて、

ふたつふねみづうみるをたり、ぎょしゃふねはなれてあみあらへり。

かれはシモンにぞくするひとつふねのぼりて、すこしくきしよりはなれんことをひ、してふねよりたみをしへたり。

かたをはりて、シモンにへり、ふかところうつり、あみしたして、ぎょせよ。

シモンこたへてへり、ふうよ、われ終夜よもすがららうして、ところなかりき、しかれどもなんぢことばりて、われあみおろさん。

すでこれおこなひて、うをかこめることはなはだおほく、あみくるにいたれり。

すなはちふねともまねきて、きたたすけしむるに、かれきたりて、うをふたつふねちて、ほとんしづまんとせり。

シモン ペトルこれて、イイススのひざもとふくしてへり、しゅよ、われはなれよ、われ罪人ざいにんなればなり。

けだしかれおよかれともりしものは、みなすなどりたるうをためはなはだおどろけり、

一〇 シモンのともたりしゼワェデイのイアコフおよびイオアンもまたしかり。イイスス シモンにへり、おそるるなかれ、いまよりのちなんぢひとすなどらん。

一一 かれふねきしき、一切いっさいてて、かれしたがへり。

一二 イイススひとつまちりしときぜんしんらいびゃうわづらふるひときたり、イイススをて、ふくし、かれもとめてへり、しゅよ、なんぢのぞまば、われきよむるをよくす。

一三 かれべて、これれてへり、われのぞむ、きよまれ。らいびゃうただちはなれたり。

一四 イイススかれいましめてふ、ひとぐるなかれ、すなはちきて、おのれさいしめせ、かつなんぢきよまりしために、モイセイのめいぜしごとけんじて、かれしょうせ。

一五 しかれどもその聲名きこゑますますひろまり、おほくのたみをしへき、またそのしょびゃういやされんためかれあつまれり。

一六 ただかれ退しりぞきて、きていのれり。

一七 あるかれをしへべしに、ファリセイけうはふと、ガリレヤのしょきゃう、イウデヤ、およびイエルサリムよりきたりしものし、しゅちからびょうしゃいやすことにおいあらはれたり。

一八 よ、人々ひとびとちゅうぶうものとこせて、きたり、これいへれて、イイススのまへかんとほっしたれども、

一九 ひとおほきにりて、るるところざれば、屋上やねのぼり、かはらあひだより、かれとこのままにおろして、なかにイイススのまへけり。

二〇 イイススかれしんて、そのひとへり、ひとよ、なんぢつみなんぢゆるさる。

二一 がくおよびファリセイひそかしてへり、褻涜けがしものたれぞ、ひとりかみよりほかに、たれつみゆるすをん。

二二 イイススかれおもひりて、かれこたへてへり、なんぢなんこころうちする、

二三 なんぢつみなんぢゆるさるとひ、あるひきてけとふは、いづれやすき、

二四 しかれどもなんぢひとりてつみゆるけんあることをらんため、(ちゅうぶうものむかひてへり)、なんぢふ、きて、なんぢとこりて、なんぢいへけ。

二五 かれただちかれまへき、たるとこり、かみさんえいして、そのいへけり。

二六 しゅうみなおどろきて、かみさんえいし、かつおほいおそれてへり、われこんにちなることをたり。

二七 のちイイススでて、ぜいはレワィイとものの、ぜいくわんせるをて、これへり、われしたがへ。

二八 かれ一切いっさいてて、ちて、かれしたがへり。

二九 レワィイそのいへおいかれためおほいなるえんまうけしに、しょぜいおよものおほかれあたせきせり。

三〇 がくとファリセイとはうらみごとして、かれもんへり、なんぢなんぜいおよ罪人ざいにんあたしょくいんする。

三一 イイススかれこたへてへり、康強すこやかなるものもとめず、すなはちやまひものこれもとむ。

三二 きたりしは、じんためあらず、すなはち罪人ざいにんしてくわいかいせしめんためなり。

三三 かれイイススにへり、イオアンのもんしばしばものいみしてたうす、ファリセイもんまたしかり、ただなんぢもんしょくいんするはなんぞや。

三四 かれこれへり、なんぢこんえんかく新娶者はなむこなほかれともときあにものいみせしむるをんや。

三五 しかれども新娶者はなむこかれよりらるるいたらん、そのにはものいみせん。

三六 またたとへまうけてかれへり、あたらしきころもぬのりて、ふるころもおぎなものあらず、しからずばあたらしきころもをもき、かつあたらしきものよりりたるぬのふるものかなはざらん。

三七 またあたらしきさけふるかはふくろものあらず、しからずばあたらしきさけふくろやぶりて、さけれ、ふくろほろびん。

三八 すなはちあたらしきさけあたらしきふくろるべし、しからばふたつものそんせん。

三九 またふるさけみて、ただちあたらしきをほっするものあらず、けだしふ、ふるきはさらし。

第六章 編集

逾越節パスハ二日ふつかのちはじめ安息日スボタに、イイススけることあり、かれもんみ、みてくらへり。

あるひファリセイかれへり、なんぢなん安息日スボタおこなふべからざることをおこなふ。

イイススこれこたへてへり、なんぢはダワィドが、おのれおよそのじゅうしゃゑしときおこなひしこと

すなはち如何いかにしてかれかみいへりて、さいほかなんぴとくらふべからざるきょうぜんぱんりてくらひ、かつこれそのじゅうしゃあたへしをまざりしか。

またかれへり、ひとまた安息日スボタしゅなり。

安息日スボタかれくわいだうりて、をしふることありしに、彼處かしこみぎへたるひとありき。

がくとファリセイとは、かれ安息日スボタおいて、ひといやすやいなやをうかがへり、かれつみするかんためなり。

かれそのおもひりて、へたるひとへり、きて、うちて、かれきててり。

イイススかれへり、われなんぢはん安息日スボタにはぜんおこなひ、あるひあくおこなふ、生命いのちすくひ、あるひこれほろぼす、いづれよろしき、かれもくねんたり。

一〇 つひしゅうじん環視みまはして、ひとへり、なんぢべよ、かれしたれば、そのすこやかになりしことごとし。

一一 かれくるいかりて、たがひなにをイイススにさんとれり。

一二 かのかれたうためやまのぼりて、終夜よもすがらかみいのれり。

一三 くるにおよびて、そのもんし、かれうちよりじふ二人ふたりえらびて、これ使づけたり。

一四 すなはちシモン、をペトルとめいぜしものおよそのきゃうだいアンドレイ、イアコフおよびイオアン、フィリップおよびワルフォロメイ、

一五 マトフェイおよびフォマ、アルフェイのイアコフおよびシオン、しょうしてジロトともの

一六 イアコフのきゃうだいイウダおよびイウダイスカリオト、すなはちのちかれりしものなり。

一七 イイススかれともくだりてへいてり、ここそのおほくのもんおよおほくのたみ、イウデヤのはうイエルサリムならびににティルとシドンとの海浜かいひんよりして、

一八 かれかんためかつおのれやまひいやされんためきたりしものまたわづらふるものありき、かれいやされたり。

一九 しゅうみんかれさはらんとほっせり、けだしのうかれよりでて、しゅういやせり。

二〇 かれげて、そのもんへり、しん゜のまづしきものさいはひなり、かみくになんぢものなればなり。

二一 いまうるものさいはひなり、なんぢくをんとすればなり。いまものさいはひなり、なんぢわらふをんとすればなり。

二二 ひとため人々ひとびとなんぢにくみ、なんぢち、かつののしり、なんぢしきものとしてつるときは、なんぢさいはひなり、

二三 そのよろこたのしめよ、てんにはなんぢむくひおほければなり、けだしかれせんくのごとげんしゃおこなへり。

二四 しかるになんぢめるものわざはひなるかななんぢすでなぐさめたればなり。

二五 いまきたるものわざはひなるかななんぢゑんとすればなり。いまわらものわざはひなるかななんぢかなしかんとすればなり。

二六 ひとみななんぢことはんときは、なんぢわざはひなるかなけだしかれせんくのごとげんしゃおこなへり。

二七 われなんぢものぐ、なんぢてきあいし、なんぢにくものぜんし、

二八 なんぢのろものしゅくふくし、なんぢしへたぐるものためいのれ。

二九 なんぢほほものには、ほほをもけよ、なんぢ外服うはぎうばものには、裏衣したぎをもることをこばなかれ。

三〇 およなんぢもとむるものにはあたへ、なんぢものものは、またこれうながなかれ。

三一 ひとなんぢおこなはんをほっすることは、なんぢくのごとこれひとおこなへ。

三二 なんぢなんぢあいするものあいせば、なんぢなんかんしゃかあらん、けだし罪人ざいにんかれあいするものあいす。

三三 なんぢぜんおこなものぜんおこなひはば、なんぢなんかんしゃかあらん、けだし罪人ざいにんくのごとことおこなふ。

三四 かへさるるのぞみあるものさば、なんぢなんかんしゃかあらん、けだし罪人ざいにんすうごとかへされんため罪人ざいにんすなり。

三五 しかれどもなんぢてきあいし、なにをものぞまずしてぜんおこなひ、またあたへよ、すなはちなんぢむくひおほからん、なんぢじゃうしゃらん、けだしかれおんそむものおよしきものあいほどこす。

三六 ゆゑなんぢあはれなること、なんぢちちれんなるがごとくなれ。

三七 ひとするなかれ、しからばせられざらん、ひとつみするなかれ、しからばつみせられざらん、ひとゆるせ、しからばなんぢゆるされん。

三八 ひとあたへよ、しからばなんぢあたへられん、ますもって、れ、すりれ、あふれしめて、なんぢふところれられん、けだしなんますもってかひとはからば、これもっなんぢにもはかられん。

三九 またかれたとへへり、めしひめしひみちびくをるか、二人ふたりながらあなおちいらざらんや。

四〇 もんそのうへらず、およぜんしたるものそのごとくならん。

四一 なんぢなんけいてい物屑ちりるをて、おのれ梁木うつばりるをおぼえざる、

四二 あるひおのれ梁木うつばりるをずして、如何いかんなんぢけいていげて、けいていよ、われなんぢ物屑ちりいだすをゆるせとふをん、ぜんしゃよ、梁木うつばりおのれよりいだせ、そのとき如何いかけいていより物屑ちりいだすべきをん。

四三 にはしきむすものなく、またしきにはむすものなし。

四四 およそそのりてらる、けだし荊棘いばらよりは無花果いちじくまず、また蒺藜あざみよりはだうらず。

四五 ひとそのこころたからぐらよりものいだし、しきひとそのこころしきたからぐらよりしきものいだす、けだしこころつるものくちふなり。

四六 なんぢなんわれしゅよ、しゅよ、ととなへ、しかうしてところおこなはざる。

四七 およわれきたり、ことばきて、これおこなものは、われそのなんぴとたるをなんぢしめさん。

四八 かれは、いへつるに、かつふかくし、もとゐいはうへきたるひとたり、洪水こうずゐりしとき横流ながれそのいへきたれども、これうごかすあたはざりき、いはうへもとづづけたればなり。

四九 きておこなはざるものは、いへつちうへもとゐなくしててたるひとたり、横流ながれこれきしときただちたふれたり、かつそのいへ頽壊くづれおほいなりき。

第七章 編集

かれことごとそのことばたみかしめをはりて、カペルナウムにれり。

あるひひゃくちゃうそのあいするぼくみてせんとせしに、

イイススのこときて、イウデヤのちゃうらうかれつかはし、きたりてそのぼくいやさんことをへり。

かれイイススにきたたりて、しきりかれもとめてへり、なんぢひとためこれすはよろしきなり、

けだしかれたみあいし、われためくわいだうてたり。

イイススかれともきて、すでそのいへとほからざるときひゃくちゃうともつかはして、かれへり、しゅよ、らうするなかれ、けだしなんぢわれいへるはあたらず。

ゆゑわれまたおのれもっなんぢくにへずとせり、すなはちいちごんいだせ、しからばぼくえん。

けだしわれひとけんぞくすれども、した兵卒へいそつありて、われここけとへばき、かれきたれとへばきたり、ぼくこれおこなへとへばおこなふ。

イイススこれきて、かれとして、かへりみて、したがへるたみへり、われなんぢぐ、イズライリのうちにもわれくのごとしんざりき。

一〇 つかはされしものいへかへりてやまひめるぼくすでされしをたり。

一一 そののちイイスス ナインとづくるまちけるに、そのもんおほひとおよおほくのたみかれともけり。

一二 まちもんちかづきしとき彼處かしこしゃいださるるあり、ははひとりにして、そのははやもめなり、まちたみおほかれともにせり。

一三 しゅかれて、あはれみて、かれへり、なかれ。

一四 すなはちちかづきて、ひつぎにれたれば、ものとどまれり、かれへり、せうしゃよ、なんぢふ、きよ。

一五 しゃきてし、かつへり、イイススこれそのははあたへたり。

一六 しゅうみなおそれて、かみさんえいしてへり、おほいなるげんしゃわれうちおこれり、かみそのたみかへりみたり。

一七 かれけるこゑはイウデヤのぜんくにおよそのはうあがれり。

一八 イオアンのもんことごとこれことかれげたれば、

一九 イオアンそのもん二人ふたりし、イイススにつかはしてへり、きたるべきものなんぢなるか、そもそもわれものつべきか。

二〇 かれイイススにきたりてへり、じゅせんイオアンわれなんぢつかはしていはく、きたるべきものなんぢなるか、そもそもわれものつべきかと。

二一 ときかれおほくのものもろもろわづらひやまひおよあくよりいやし、またおほくの瞽者めしひることをたまものへり。

二二 イイススかれへり、きて、ところきしところをイオアンにげよ、すなはち瞽者めしひき、跛者あしなへあゆみ、癩者らいしゃきよまり、聾者みみしひき、しゃき、ひんじゃふくいんす。

二三 およわれためまどはざるものさいはひなり。

二四 イオアンの使しゃりしのち、イイスス イオアンのことげてたみへり、なんぢなにんとしてでしか、かぜうごかさるるあしか、

二五 そもそもなにんとしてでしか、やはらかころもたるひとか、よ、にしきおごれるものわうみやり。

二六 しからばなにんとしてでしか、げんしゃか、しかり、われなんぢぐ、かれげんしゃよりおほいなり。

二七 かれすなはちしるして、よ、われ使つかひなんぢめんぜんつかはなんぢさきだちて、なんぢみちそなへしめんと、はれたるものなり。

二八 けだしわれなんぢぐ、をんなみしものうちじゅせんイオアンよりおほいなるげんしゃらず、しかれどもかみくにおいちひさものかれよりおほいなり。

二九 かれきししゅうみんおよぜいはイオアンの洗禮せんれいけて、かみしゃうせり。

三〇 しかれどもファリセイおよ律法りつぱふかれより洗禮せんれいけずして、かれけるかみむねこばみたり。

三一 しゅまたへり、しからばわれ人々ひとびとたれたとへん、かれたれたるか、

三二 かれは、どうちまたして、あひびて、われなんぢふえきたれども、なんぢをどらざりき、なんぢかなしみうたうたひたれども、なんぢかざりきとものたり。

三三 けだしじゅせんイオアンきたりて、ぱんくらはず、さけまずなんぢふ、かれらると。

三四 ひときたりて、くらむ、またふ、よ、しょくたしみ、さけこのものぜいおよ罪人ざいにんともなりと。

三五 ただえいさとみなえいあきらかにせり。

三六 ファリセイ一人いちにんかれともしょくせんことをひたれば、かれはファリセイのいへりてせきせり。

三七 ときそのまちをんなにしてつみあるものかれがファリセイのいへせきするをりて、にほひあぶられるぎょくうつはたづさきたり、

三八 そののちあししたち、きて、なみだもっそのあしうるほし、おのれかうべもっこれのごひ、そのあし接吻せっぷんして、これにほひあぶられり。

三九 かれまねきたるファリセイはこれて、おのれうちへり、ひとげんしゃたらば、かれさはものたれたり、如何いかなるをんなたるかをらん、けだしざいぢょなり。

四〇 イイススかれこたへてへり、シモンよ、われなんぢふべきことあり。かれいはく、よ、これへ。

四一 イイススへり、あるかしぬし二人ふたりさいしゃありて、一人ひとりぎんひゃくまい一人ひとりじふまいへり、

四二 そのつぐなあたはざるにりて、かれ二人ふたりゆるせり、しからば二人ふたりうちかれあいすることいづれおほからん、こころみにへ。

四三 シモンこたへてへり、おもふに、おほゆるされしものならん。かれこれへり、なんぢりしことただし。

四四 ここおいをんなかへりみて、シモンにへり、なんぢをんなるか、われなんぢいへりしに、なんぢあしためみづあたへざりき、しかるにかれなみだもっあしうるほし、かうべもっこれのごへり。

四五 なんぢわれ接吻せっぷんせざりき、しかるにかれは、ここりしときより、あし接吻せっぷんしてめず。

四六 なんぢかうべあぶららざりき、しかるにかれにほひあぶらあしれり。

四七 ゆゑわれなんぢぐ、かれおほくのつみゆるさる、けだしかれおほあいせり、しかれどもすくなゆるさるるものは、すくなあいするなり。

四八 すなはちをんなへり、なんぢつみゆるさる。

四九 かれともせきせるものおのれうちへり、なんぴとにしてつみをもゆるすか。

五〇 かれをんなへり、なんぢしんなんぢすくへり、あんぜんとしてけ。

第八章 編集

厥後そののちかれもろもろまちおよむらめぐりて、をしへべ、かみくにふくいんせり、かれともじふあり、

またかつあくおよしょやまひより痊されたるにんをんなあり、すなはちななつでたるマリヤ、しょうしてマグダリナともの

またイロドのいへつかさフザのつまイオアンナ、またスサンナ、およそのおほくのをんなそのしょいうもっかれつかへしものなり。

おほくのたみもろもろまちよりあつまりて、かれきたれば、かれたとへまうけてへり、

ものそのたねかんためでたり、ときみちかたはらちしものあり、すなはちまれたり、また天空そらとりこれつひばめり。

いしうへちしものあり、でて稿れたり、潤澤うるほひなきがゆゑなり。

いばらうちちしものあり、いばらともびて、これおほへり。

沃壌よきちちしものあり、でて、むすぶことひゃくばいせり。これひてべり、みみありてくをものくべし。

そのもんかれひてへり、たとへなにぞ。

一〇 かれへり、なんぢにはかみくにおうることあたへられたれども、ものにはたとへもちゐる、かれれどもず、けどもさとらざるためなり。

一一 たとへごとし、たねかみことばなり。

一二 みちかたはらものは、けども、のちあくきたりて、そのこころよりことばうばふ、かれしんじてすくはれざらんためなり。

一三 いしうへものは、ときよろこびてことばくれども、おのれなくしてしばらしんじ、誘惑いざなひときそむく。

一四 いばらうちちしものは、きてり、しかうしてせいおもんぱかり貨財たから宴樂たのしみとにおほはれて、むすばず。

一五 沃壌よきちちしものは、ことばきて、清潔せいけつりゃうぜんなるこころこれまもり、忍耐にんたいしてむすぶ。(これひてべり、みみありてくをものくべし。)

一六 ともしびともし、しかうしてうつはもっこれおほひ、あるひとこしたものあらず、すなはちとうだいうへく、ものひかりためなり。

一七 けだしかくれてあらはれざるものなく、かくしてられず、かつあらはならざるものなし。

一八 ゆゑなんぢくことの如何いかんつつしめ、けだしてるものこれあたへられ、たざるものは、そのてるとおもものも、これよりうばはれん。

一九 ときかれははおよきゃうだいかれきたりしに、ぐんしゅうためちかづくをざりき。

二〇 あるひかれげてへり、なんぢははおよなんぢきゃうだいそとちて、なんぢんとほっす。

二一 かれこれこたへてへり、ははおよきゃうだいとは、かみことばきておこなものここなり。

二二 あるかれもんともふねのぼりて、かれへり、われみづうみきしわたるべし、すなはちけり。

二三 ときかれねたり。颶風はやてみづうみおろし、みづふね滿たんとして、あやうきことはなはだし。

二四 もんきてかれましてへり、ふうふうわれほろぶ。かれきて、かぜみづなみとをいましめたれば、すなはちみて、おだやかになれり。

二五 かれへり、なんぢしんいづこるか。かれおそおどろきて、たがひへり、なんぴとぞ、かぜにもみづにもめいじて、またかれしたがふ。

二六 ガリレヤむかへるガダラきて、

二七 かれきしのぼりしときまち一人ひとりものかれむかへたり、すなはちひさしく魔鬼まきられ、ころもず、いへまずして、はかめるものなり。

二八 ひとイイススさけび、かれまえ俯伏ふふくし、おほいなるこゑもつへり、至上しじやうなるかみイイススよ、われなんぢなんあづからん、なんぢもとむ、われくるしむるなかれ。

二九 けだしイイスス汚鬼をきひとよりづるをめいじたり、そのかれとらへしことひさしければなり。かれまもりて、鐡索くさり桎梏かせとにつなぎたれども、かれつなぎちて、魔鬼まきためはれたり。

三〇 イイススかれひてへり、なんぢなにぞ、かれへり、大隊レゲヲンおほくの魔鬼まきかれりたればなり。

三一 魔鬼まきイイススに、彼等かれらふちくをめいぜざらんことをもとめたり。

三二 彼處かしこぶた大群おほむれやまはれたるあり、魔鬼まきかれに、そのなかるをゆるさんことをもとめたればかれこれゆるせり。

三三 魔鬼まきひとよりでゝ、ぶたりしに、むれ山坡がけよりみづうみけておぼれたり。

三四 ものりしことて、はしきて、まちおよ諸村むら〳〵げたれば、

三五 人人ひと〴〵りしところためで、イイススきたりて、魔鬼まきでたるひところもこゝろたしかにして、イイスス足下そくかせるをて、おそれたり。

三六 もの魔鬼まきられたるひと如何いかいやされしをげたれば、

三七 ガダラ地方ちはうたみは、みなイイスス彼等かれらはなれんことをへり、おほおそれしゆゑなり。かれふねのぼりてかへれり。

三八 魔鬼まきでたるひとかれともらんことをもとめたれども、イイススこれらしめてへり。

三九 なんぢいへかへりて、かみ如何いかなることおこなひしをげよ。かれきて、全邑ぜんいふイイススかれ如何いかなることおこなひしをべたり。

四〇 イイススかへりしときたみかれけたり、みなかれちたればなり。

四一 よ、イアイルづくるひとにして、會堂くわいだうつかさたるものきたりてイイスス足下そくか俯伏ふふくし、そのいへらんことをもとめたり。

四二 けだしかれひとりむすめとしおよそじふものありて、いませんとせり。かれときたみこれせまれり。

四三 十二じふにねん血漏けつろううれふるをんな醫師いしためそのこと〴〵くの所有しょいうつひやしたれども、一人ひとりにもいやさるゝをざりしものは、

四四 あとよりきて、かれころもすそさはりしに、その血漏けつろうたゞちとゞまれり。

四五 イイススへり、たれわれさはりたる。しゆうみとめざるときペトルおよかれともりしものへり、夫子ふうしたみなんぢめぐりてせまるに、なんぢたれわれさはりたるとふか。

四六 しかれどもイイススへり、われさはりしものあり、けだしわれちからわれよりでしをおぼえたり。

四七 をんなみづかかくあたはざるをて、をのゝきてきたり、かれまへ俯伏ふふくして、かれさはりしゆゑまた如何いかにしてたちどころいやされしを、かれ衆民しゆうみんまへげたり。

四八 かれこれへり、むすめよ、こゝろやすんぜよ、なんぢしんなんぢすくへり、安然あんぜんとしてけ。

四九 かれ尚言なほいとき會堂くわいだうつかさいへよりひときたりていはく、なんぢむすめすでせり、わづらはすなかれ。

五〇 イイススこれきて、つかさこたへてへり、おそるゝなかれ、たゞしんぜよ、かれすくはれん。

五一 いへきたりて、ペトルイオアンイアコフおよ少女せうぢよ父母ふぼほかたれにもることをゆるさゞりき。

五二 しゆうじんためかなしめるに、かれへり、なかれ、かれせしにあらず、すなはちぬるなり。

五三 人人ひと〴〵そのせしりて、かれあざわらへり。

五四 かれしゆうそといだして、そのりて、びてへり、少女せうぢよきよ。

五五 その神゜しんかへりて、たゞちきたり、かれこれしょくあたへんことをめいぜり。

五六 その父母ふぼおどろきたり、イイスス彼等かれらいましめて、おこなはれしことひとぐるなからしめたり。 五七 かれみちときあるひとかれへり、しゅよ、なんぢ何處いづこくとも、われなんぢしたがはん。

五八 イイススこれへり、きつねにはあなあり、天空そらとりにはあり、ただひとにはかうべまくらするところなし。

五九 またものへり、われしたがへ。かれへり、しゅよ、われきて、ちちはうむるをゆるせ。

六〇 しかれどもイイススこれへり、しゃそのしゃはうむるをまかせよ、なんぢきて、かみくにつたへよ。

六一 またものへり、しゅわれなんぢしたがはん、ただきていへものわかれぐるをゆるせ。

六二 イイススこれへり、すきけて、うしろかへりみるものは、かみくにあたらざるなり。

第九章 編集

イイススじふあつめて、かれおよそせいし、またしょびゃういやちからけんとをあたへ、

かれかみくにつたへ、またびょうしゃいやさんためつかはし、

かつかれへり、たびためつゑをも、ふくろをも、かてをも、ぎんをも、一切いっさいなかれ、ふたつころもをもたづさふるなかれ。

いづれいへるとも、彼處かしことどまりて、また彼處かしこよりみちでよ。

なんぢけざるものあらば、そのまちづるときなんぢあしちりをもはらへ、かれたいするしょうさんためなり。

かれでて、郷村むらざとき、あまねふくいんべ、いやしほどこせり。

分封ぶんぱうきみイロド、およそイイススのおこなひしこときて、まどへり、けだしあるものこれをイオアンのよりふくくわつせしなりとひ、

ものはイリヤのあらはれしなりとひ、またものいにしへげんしゃ一人ひとりふくくわつせしなりとへり。

イロドへり、イオアンは、われすでそのかうべれり、いまくのごとことくは、なんぴとぞ、すなはちかれんとほっせり。

一〇 使かへりて、そのおこなひしこともってイイススにげたり、かれこれたづさへて、潛にワィフサイダとづくるまちちかところ退しりぞけり。

一一 たみこれりて、かれしたがひしに、かれこれけて、かみくにことかたり、かついやしもとむるものいやせり。

一二 かたぶときじふかれきてへり、たみらしめよ、かれ四周まはり郷村むらざときて、宿やどり、しょくもとめんためなり、けだしわれここところるなり。

一三 しかれどもかれへり、なんぢこれしょくあたへよ。かれへり、きて、しゅうみんためしょくはずば、われにはいつつぱんふたつうをとのほかるなし。

一四 けだしそのひとおよそせんありき。かれそのもんへり、かれじふづつ並びせしめよ。

一五 くのごとおこなひて、しゅうじんせしめたり。

一六 かれいつつぱんふたつうをとをりて、てんあふぎてこれしゅくふくし、これき、もんあたへて、たみまへつらねしめたり。

一七 みなくらひてき、そのあまりたるくづじふかごひろへり。

一八 イイススどくしょおいたうすることありしに、もんかれともにせり。かれこれひてへり、たみわれひてたれとかす。

一九 かれこたへてへり、じゅせんイオアンとし、ものはイリヤとし、またものいにしへげんしゃ一人ひとりふくくわつしたりとす。

二〇 かれこれへり、なんぢわれひてたれとかす。ペトルこたへてへり、かみのハリストスとす。

二一 イイススかれいましめて、ことひとぐるなかからんことをめいじたり。

二二 またへり、ひとおほくのくるしみけ、ちゃうらうさいしょちゃうがくとにてられ、かつころされて、だいさんじつふくくわつすべし。

二三 またしゅうへり、ひとわれしたがはんとほっせば、おのれて、日々ひびそのじふひて、われしたがへ。

二四 けだしおのれ生命いのちすくはんとほっするものは、これうしなはん、われためおのれ生命いのちうしなはんものは、これすくはん。

二五 けだしひとぜんかいとも、おのれうしなひ、あるひそこななはば、なんえきかあらん。

二六 けだしわれおよわれことばぢんものは、ひとは、おのれちちせいなるてん使とのくわうえいもっきたらんときかれぢん。

二七 われまことなんぢぐ、ここてるものうちには、いまかつめずして、かみくにんとするものあり。

二八 これことばのちおよそ八日やうかえて、かれはペトル、イオアン、イアコフをたづさへ、やまのぼりていのれり。

二九 いのときそのおもてかたちかはり、そのころもしろくしてかがやけり。

三〇 よ、にんかれかたれるあり、すなはちモイセイおよびイリヤなり、

三一 くわうえいうちあらはれて、かれがイエルサリムにすべきせいせいことへり。

三二 ペトルおよこれともりしものみてねたり、すでめて、イイススのくわうえいおよ二人ににんかれともてるをたり。

三三 そのかれはなるるとき、ペトル イイススにへり、ふうよ、われここるはし、われみついほりてて、ひとつなんぢためひとつはモイセイのためひとつはイリヤのためにせん、みづかところらざりき。

三四 かれなほこれときくもありてかれおほへり、くもりしときおそれたり。

三五 くもよりこゑありてふ、これわれあいなり、かれけ。

三六 こゑすではつして、イイススのひとりるをたり。かれもだして、當時そのときにはことたれにもげざりき。

三七 よくじつかれやまよりくだりしときおほくのたみかれむかへたり。

三八 よ、たみうち一人ひとりびてへり、よ、なんぢもとむ、かへりみよ、ひとりなり。

三九 あくかれとらふれば、かれたちまちさけび、かれ拘攣ひきつけさせ、あわかしめ、かれそこなひて、やうやはなる。

四〇 われなんぢもんこれいださんことをもとめたれども、かれあたはざりき。

四一 イイススこたへてへり、ああしんなきもとれるや、われ何時いつまでかなんぢともにし、なんぢしのばん、なんぢここたづさきたれ。

四二 かれきたときかれたふして、拘攣ひきつけさせたり、イイススいましめ、いやして、そのちちあたへたり。

四三 しゅうみなかみおほいちからとせり。しゅうおよそイイススのおこなひしこととするときかれそのもんへり、

四四 なんぢことばおのれみみをさめよ、ひと人々ひとびとわたされん。

四五 しかれどもかれことばさとらざりき、かれためおほはれて、そのこれたっせざるをいたせり、しかうしてことばかれふことをおそれたり。

四六 ときかれおもひれり、かれうちたれおほいなると。

四七 イイススそのこころおもひて、をさなり、これおのれかたはらてて、

四八 かれへり、りてをさなけんものは、われくるなり、われけんものわれつかはししものくるなり、けだしなんぢしゅううちもっとちひさものは、おほいなるものなり。

四九 イオアンこたへてへり、ふうよ、われなんぢもっいだひとて、これきんじたり、そのわれしたがはざるゆゑなり。

五〇 イイススこれへり、きんずるなかれ、けだしなんぢてきせざるものなんぢ與屬みかたなり。

五一 かれよりげらるるちかづきしときかれイエルサリムにおもてしてかんことをさだめたり。

五二 使つかひそのめんぜんつかはししに、かれきて、サマリヤのさとり、かれためそなへんとしたれども、

五三 彼處かしこにはかれれざりき、そのイエルサリムにおもてしてくがゆゑなり。

五四 そのもんイアコフおよびイオアンこれへり、しゅよ、なんぢわれがイリヤのししごとく、てんよりくだりて、かれほろぼさんことをめいずるをほっするか。

五五 イイススかへりみて、かれいましめてへり、なんぢみづか如何いかなるかみぞくするをらず。

五六 けだしひときたりしは、人々ひとびとたましひほろぼさんためあらず、すなはちこれすくはんためなり。つひの郷にけり。

五七 かれみちときあるひとかれへり、しゅよ、なんぢ何處いづこくとも、われなんぢしたがはん。

五八 イイススこれへり、きつねにはあなあり、天空そらとりにはあり、ただひとにはかうべまくらするところなし。

五九 またものへり、われしたがへ。かれへり、しゅよ、われきて、ちちはうむるをゆるせ。

六〇 しかれどもイイススこれへり、しゃそのしゃはうむるをまかせよ、なんぢきて、かみくにつたへよ。

六一 またものへり、しゅわれなんぢしたがはん、ただきていへものわかれぐるをゆるせ。

六二 イイススこれへり、すきけて、うしろかへりみるものは、かみくにあたらざるなり。

第一〇章 編集

そののちしゅまたべつしちじふもんえらび、かれおのおの二人ふたりおのれさきだてて、みづかかんとほっするところしょいうしょしょつかはし、

かれへり、かりいれおほく、はたらきびとすくなし、ゆゑかりいれぬしに、はたらきびとその穡所かりいればつかはさんことをもとめよ。

け、なんぢつかはすは、こひつじおほかみうちるるがごとし。

かねぶくろをも、たびぶくろをも、くつをも、たづさふるなかれ、ちゅうにてひとあんなかれ。

ひといへときは、いへへいあんへ。

彼處かしこへいあんあらば、なんぢへいあんかれとどまらん、しからずば、なんぢかへらん。

そのいへりて、かれところものくひのみせよ、けだしらうするものそのあたひるはよろしきなり、いへよりいへうつなかれ。

いづれまちるとも、ひとなんぢけば、そのなんぢまへそなふるものくらへ。

そのうちびょうしゃいやせ、またしゅうげてへ、かみくになんぢちかづけりと。

一〇 いづれまちるとも、ひとなんぢけずば、そのちまたでてへ、

一一 なんぢまちよりわれきたるちりをも、われなんぢむかひてはらふ、しかれどもこれれ、かみくになんぢちかづけりと。

一二 われなんぢぐ、おいてソドムはまちよりしのやすからん。

一三 わざはひなるかななんぢホラジンよ、わざはひなるかななんぢワィフサイダよ、けだしなんぢうちおこなはれしのうは、しティルおよびシドンにおこなはれしならば、かれはやあさはひかうむり、してくわいかいせしならん。

一四 しからば審判しんぱんおいてティルおよびシドンはなんぢよりしのやすからん。

一五 てんにまでげられしカペルナウムよ、なんぢ地獄ゲエンナにまでおととされん。

一六 なんぢものわれく、なんぢこばものわれこばむ、われこばものわれつかはししものこばむなり。

一七 しちじふもんよろこびてかへりてへり、しゅよ、なんぢりてわれふくす。

一八 かれこれへり、われサタナのいなづまごとてんよりちしをたり。

一九 よ、われなんぢへびさそりおよことごとくのてきちからけんあたふ、いつなんぢがいせざらん。

二〇 しかれどもあくなんぢふくするをよろこびなかれ、すなはちなんぢてんしるされしをよろこびせ。

二一 當時そのときイイススしん゜をもっよろこびてへり、ちちてんしゅよ、われなんぢさんえいす、なんぢこれしゃおよたっしゃかくして、これせきあらはししにる、ちちよ、しかり、けだしくのごときはなんぢむねよみせしところなり。

二二 もんかへりみてへり、ばんぶつちちよりわれさづけられたり、ちちほかに、たれたるをものなく、およあらはさんとほっするものほかに、ちちたれたるをものなし。

二三 またもんかへりみて、特にかれへり、なんぢところさいはひなり。

二四 けだしわれなんぢぐ、おほくのげんしゃきみわうとは、なんぢところんとほっして、ざりき、なんぢところかんとほっして、かざりき。

二五 ときひとり律法りつぱふちて、かれこころみてへり、よ、われなにして永遠えいゑん生命いのちがんか。

二六 かれこれへり、律法りつぱふなにをかしるせる、なんぢ如何いかむか。

二七 こたへてへり、なんぢこころつくし、たましひつくし、ちからつくし、おもひつくして、しゅなんぢかみあいせよ、またなんぢとなりあいすること、おのれごとくせよ。

二八 イイススこれへり、なんぢこたへしところただし、これせ、すなはちきん。

二九 しかれどもかれおのれとせんとほっして、イイススにへり、となりとはたれぞや。

三〇 イイススこたへてへり、あるひとイエルサリムよりイエリホンにくだとき盗賊ぬすびとへり、かれそのころもぎ、かれきずつけ、ほとんするばかりにして、かれれり。

三一 たまたまひとりさいみちよりくだりしが、かれて、れり。

三二 おなじく「レワィト」も彼處かしこいたり、ちかづきてかれて、れり。

三三 ただあるサマリヤじんきてここいたり、かれあはれみ、

三四 きて、そのきずあぶらさけとをそそぎて、これつつみ、かれおのれちくせ、りょくわんいたりて、かれかんせり。

三五 みゃうにちかんとするときぎんまいいだし、館主あるじあたへて、これへり、ひとかんせよ、つひえこれよりさば、われかへときなんぢつぐなはん。

三六 さんにんうちなんぢいづれ盗賊ぬすびとひしものとなりおもふか。

三七 かれへり、ひと矜恤あはれみほどこししものなり。イイススかれへり、きて、なんぢくのごとおこなへ。

三八 かれけるとき、イイススひとつむらりしに、あるをんなマルファとづくるものかれそのいへむかへたり。

三九 そのまいにマリヤとづくるものあり、イイススのそくして、そのことばけり。

四〇 マルファはきょうおほきにりてこころわづらはし、きてへり、しゅよ、まいわれ一人ひとりのこしてきょうせしむるをなんぢさざるか、これめいじて、われたすけしめよ。

四一 イイススかれこたへてへり、マルファよ、マルファよ、なんぢおほくのことおもんぱかりてこころらうせり、

四二 しかれどももとむるところひとつのみ。マリヤはぶんえらびたり、これかれよりうばからず。

第一一章 編集

イイススあるところいのりて、すでめしときそのもん一人ひとりかれへり、しゅよ、われいのることををしへよ、イオアンもそのもんをしへしがごとし。

かれこれへり、なんぢいのときへ、てんいまわれちちよ、ねがはくはなんぢせいとせられ、なんぢくにきたり、なんぢむねは、てんおこなはるるがごとく、にもおこなはれん、

にちようかてまいにちわれあたあたへ、

われつみゆるたまへ、けだしわれおよわれものゆるす、われいざなひみちびかず、なほわれきょうあくよりすくたまへと。

またかれへり、なんぢうちたれともあり、はんかれきたりて、ともよ、われみつぱんせ、

けだしともちゅうよりわれきたりしに、われこれきょうすべきものなしとはんに、

かれうちよりこれこたへて、われわづらはすなかれ、もんすでぢ、兒曹こどもわれともとこり、われきて、なんぢあたふるあたはずとはん。

われなんぢぐ、かれともなるがゆゑに、きてかれあたへずば、すなはちその切迫せっぱくりて、きてそのもとむるごとかれあたへん。

われなんぢぐ、もとめよ、しからばなんぢあたへられん、たづねよ、しからばはん、もんたたけよ、しからばなんぢためひらかれん。

一〇 けだしおよもとむるものたづぬるものひ、もんたたものひらかれん。

一一 なんぢうちちちたるものたれそのぱんもとめんに、これいしあたへ、あるひうをもとめんに、これうをへてへびあたへ、

一二 あるひたまごもとめんに、これさそりあたへん。

一三 しからばなんぢしきものなるに、なほたまものそのあたふるをる、いはんんやてんいまちちは、これもとむるものに、せいしん゜をあたへざらんや。

一四 あるときかれあふしなるいだせり、でて、あふしひしに、たみこれとせり。

一五 しかれどもそのうちあるものへり、かれかしらワェエルゼウルにりていだす。

一六 ものかれこころみて、てんよりするきうちょうもとめたり。

一七 イイススかれおもひりて、かれへり、およそくにみづかわかあらそはば、荒墟あれあととなり、いへみづかわかあらそはば、たふれん。

一八 しサタナもわかあらそはば、そのくに如何いかにしてたん。しかるになんぢふ、われワェエルゼウルにりていだすと。

一九 われワェエルゼウルにりていださば、なんぢしょゆび誰たれりてこれいだすか、ゆゑかれなんぢ審判しんぱんしゃらん。

二〇 しかれどもわれかみゆびりていださば、すなはちかみくにはたしてなんぢのぞみしなり。

二一 つよものりて、そのいへまもときそのしょいうあんぜんなり。

二二 しかれどもかれよりさらつよものきたりて、かれときは、そのたのみとせしことごとうばひて、かすめものわかたん。

二三 われともにせざるものは、われてきし、われともあつめざるものは、らすなり。

二四 ひとよりでてのちみづなきめぐり、あんそくもとむれども、ずしていはく、われかつでしいへかへらんと。

二五 すできたりて、そのいへかつかざりたるを

二六 すなはちきて、おのれよりもしきしちたづさきたり、ともりて、彼處かしこるなり。ここおいそのひとためのちわづらさきよりさらはなはだし。

二七 これときひとりをんなたみうちよりこゑげて、かれへり、なんぢはらみしはらなんぢひしちちとはさいはひなり。

二八 かれへり、しかり、かみことばきてこれまもものさいはひなり。

二九 たみおほあつまれるときかれはじめてへり、しくして、きうちょうもとむ、しかうしてげんしゃイオナのきうちょうほかこれきうちょうあたへられざらん。

三〇 けだしイオナがニネワィヤじんためきうちょうりしごとく、ひとためくのごとらん。

三一 なんぱうにょわう審判しんぱんときひとともちて、かれつみせん、けだしかれはてよりソロモンのかんためきたれり、よ、ここにはソロモンよりおほいなるものあり。

三二 ニネワィヤのひと審判しんぱんときともちて、これつみせん、けだしかれはイオナのでんけうりてくわいかいせり、よ、ここにはイオナよりおほいなるものあり。

三三 ともしびともして、これかくれたるところあるひますしたものあらず、すなはちとうだいうへく、ものひかりためなり。

三四 ともしびなり、ゆゑなんぢきよときは、なんぢぜんしんあきらかなり、そのしきときは、なんぢくらし。

三五 ゆゑつつしめ、なんぢうちひかりくらやみとならざらんことを。

三六 なんぢぜんしんあきらかにして、いちくらところもなくば、すなはちまったあきらかならん、ともしびそのひかりもっなんぢすがごとし。

三七 かれときあるファリセイかれともしょくせんことをひたれば、かれりてせきせり。

三八 ファリセイはかれしょくするまへあらはざりしをて、あやしめり。

三九 しゅこれへり、なんぢファリセイいまさかづきさらとのそときよむれども、なんぢうちには貪婪むさぼり惡慝よこしまとにてり。

四〇 なるものよ、そとつくりしものまたうちをもつくりしにあらずや。

四一 ただしょいううちより施済ほどこしせ、しからばなんぢためみなきよからん。

四二 わざはひなるかななんぢファリセイよ、けだしなんぢ薄荷はくか芸香うんかうおよおよそさいじふぶんいつをさめて、かみけるあいとをつ、おこなきなり、かれまたからず。

四三 わざはひなるかななんぢファリセイよ、けだしなんぢくわいだうにはしゅ街衢ちまたには問安あいさつこのむ。

四四 わざはひなるかななんぢぜんなるがくおよびファリセイよ、けだしなんぢかくれたるはかたり、そのうへひとこれらず。

四五 律法りつぱふ一人いちにんかれこたへてへり、よ、なんぢこれひて、われはずかししむ。

四六 かれへり、なんぢ律法りつぱふわざはひなるかなけだしなんぢがたひとになはせて、おのれひとつうびをもそのれず。

四七 なんぢわざはひなるかなけだしなんぢそのせんころししげんしゃはかつ。

四八 これもっなんぢせんししことをしょうし、かつこれあたす、けだしかれげんしゃころし、なんぢそのはかつ。

四九 ゆゑかみへり、われげんしゃおよ使かれつかはさん、かれそのうちあるものころし、あるものはん、

五〇 さうせいらいながされししょげんしゃは、

五一 アワェリのより、さいだん殿でんとのあひだころされしザハリヤのいたるまで、みなよりもとめられんためなり。しかり、われなんぢぐ、よりもとめられん。

五二 わざはひなるかななんぢ律法りつぱふよ、けだしなんぢしきかぎりて、みづからず、ものをもはばめり。

五三 かれこれときがくおよびファリセイせまりて、かれなじり、かれおほくのことこたへしめ、

五四 かれうかがひて、そのくちよりづるなにごとをかとらへんとほっせり、かれつみせんためなり。

第一二章 編集

たみまんあつまりて、あひむにいたれるときかれそのもんへり、つつしみてファリセイぱんだねふせげ、ぜんなり。

おほはれてあらはれざるものなく、かくれてられざるものなし。

ゆゑなんぢくらやみうちひしことは、ひかりうちえん、ひそかなるしつおいみみきてかたりしことは、うへつたへられん。

われなんぢともふ、ころしてのちなにごとをもあたはざるものおそるるなかれ。

われなんぢたれをかおそるべきをしめさん、すなはちころしてのち地獄ゲエンナとうずるけんたもものおそれよ、しかり、われなんぢぐ、ものおそれよ。

いつつすずめせんにてらるるにあらずや、しかるにそのひとつかみまへわすれられず。

なんぢおいてはかうべみなかぞへられたり。ゆゑおそるるなかれ、なんぢおほくのすずめよりたっとし。

われまたなんぢぐ、およわれひとまへみとめんものは、ひとかれかみ使つかひまへみとめん。

われひとまへまんものは、かみ使つかひまへまれん。

一〇 およひとてきしてことばいだものゆるされん、しかれどもせいしん゜をけがものゆるされざらん。

一一 なんぢきて、くわいだうまたまつりごとけんたもものまへいたらんとき如何いかに、あるひなにこたふべく、あるひなにふべきをおもんぱかなかれ。

一二 けだしそのときせいしんなんぢふべきことををしへん。

一三 たみうち一人ひとりかれへり、よ、けいていわれさんわかつことをめいぜよ。

一四 かれこれへり、ひとよ、たれわれてて、なんぢ裁判さいばんくわんあるひぶんぱいしゃしたる。

一五 ここおいかれへり、つつしみてむさぼりふせげ、けだしひと生命いのちそのしょいうゆたかなるにらざるなり。

一六 またたとへまうけてかれへり、あるひめるひとはたみのれるあり、

一七 かれみづかはかりてへり、われなにさんか、けだしさくもつをさむべきところなし。

一八 またへり、われさん、くらこぼちて、さらおほいなるものて、うちことごとくのこくもつ貨物たからとをあつめて、

一九 たましひはん、たましひよ、なんぢにはねんためたくはへたるおほくの貨物たからあり、やすみ、くらひ、み、たのしめと。

二〇 しかれどもかみかれへり、なるものよ、こんなんぢたましひなんぢよりもとめん、しからばなんぢそなへしところものたれせんか。

二一 およおのれためたからみ、かみおいまざるものくのごとし。

二二 またそのもんへり、ゆゑわれなんぢぐ、なんぢ生命いのちためなにくらひ、なんぢ身体からだためなにんとおもんぱかなかれ。

二三 生命いのちかてよりおほいにして、身体からだころもよりおほいなり。

二四 こころみからすおもへ、かれかずらず、くらもなくもなし、しかうしてかみこれやしなふ、なんぢとりよりたっときこと幾何いくばくぞ。

二五 かつなんぢうちたれおもんぱかりて、そのたけいっしゃくだにぶるをん。

二六 しからばちひさことすらよくせざるに、なんそのことおもんぱかる。

二七 こころみ百合ゆり如何いかにかちゃうずるをおもへ、はたらかずつむがず、しかれどもわれなんぢぐ、ソロモンもそのえいぐわきはみおいて、そのころもなほはなひとつおよばざりき。

二八 こんにちり、みゃうにちゐろりげらるるくさにも、かみすれば、いはんんや、なんぢをや、せうしんものよ。

二九 ゆゑなんぢなにくらひ、あるひなにまんともとむるなかれ、またおもわづらなかれ、

三〇 けだしみなはうじんもとむるところなり、なんぢちちこれものなんぢ必要ひつえうなるをる。

三一 ただかみくにもとめよ、しからばみななんぢかははらん。

三二 ちひさきむれよ、おそるるなかれ、けだしなんぢちちなんぢくにたまはんことをよろこべり。

三三 なんぢしょいうりて、施済ほどこしせ、おのれためふるびざるふくろきざるたからてんそなへよ、彼處かしこには盗賊ぬすびとちかづかず、しみそこなはず。

三四 けだしなんぢたからところには、なんぢこころらん。

三五 なんぢこしおびせられ、なんぢともしびゆべし。

三六 なんぢそのしゅこんえんよりかへるをちて、かれきたりてもんたたときただちかれためひらかんとする人々ひとびとるべし。

三七 しゅきたりてそのしょぼくけいせいするをば、かれさいはひなり、われまことなんぢぐ、かれみづかこしおびし、かれせきせしめ、すすみてかれきょうせん。

三八 だいかうきたり、まただいさんかうきたりて、かれくのごときをば、そのしょぼくさいはひなり。

三九 しゅ盗賊ぬすびといづれとききたるをらば、けいせいして、そのいへ穿うがつをゆるさざらん、なんぢところなり。

四〇 ゆゑなんぢおのれそなへよ、けだしなんぢおもはざるときひときたらん。

四一 ペトルかれへり、しゅよ、たとへわれふか、そもそもしゅうじんふか。

四二 しゅへり、たれちゅうにしてなるいへづかさそのしゅしょぼくうへてて、ときしたがひて、かれていりゃうかてあたへしむるものたる、

四三 しゅきたときかれおこなふをば、そのぼくさいはひなり。

四四 われまことなんぢぐ、かれてて、その一切いっさいしょいうつかさどらしめん。

四五 しかれどもそのぼくこころうちに、しゅきたるはおそからんとひて、ぼくち、くらかつへば、

四六 すなはちたざるらざるときに、そのぼくしゅきたりて、かれち、かれちゅうものおなじきぶんしょせん。

四七 そのしゅむねりてそなへず、そのむねしたがひておこなはざりしぼくは、おほうたれん、

四八 らずしてばつあたたることおこなひしものは、すくなたれん。およおほあたへられしものは、おほうながされん、おほたくせられしものは、さらおほもとめられん。

四九 われとうぜんためきたれり、すでえんことを、われのぞむこと幾何いくばくぞ。

五〇 われくべき洗禮せんれいあり、そのるにいたるまで、われうれひせまること如何いかばかりぞ。

五一 なんぢわれへいあたへんためきたれりとおもふか、われなんぢふ、しからず、すなはちぶんなり。

五二 けだしこれよりのちいっにんぶんして、さんにん二人ににん二人ににんさんにんてきせん、

五三 ちちに、ちちてきし、ははむすめに、むすめははてきし、しうとめそのよめに、よめそのしうとめてきせん。

五四 またたみへり、なんぢくも西にしよりおこるをれば、ただちふ、あめふらんと、はたしてしかり。

五五 かぜみなみよりくをれば、ふ、あつくならんと、はたしてしかり。

五六 ぜんしゃよ、なんぢてんおもてわかつをりて、なんときわかたざる。

五七 かつなんぢなんおのれりて、よろしきところはんだんせざる。

五八 なんぢうったふるものとも有司つかさときちゅうりてかれよりゆるしんことをつとめよ、おそらくはかれなんぢきて、裁判さいばんくわんいたり、裁判さいばんくわんなんぢ下吏したやくわたし、下吏したやくなんぢひとやくださん。

五九 われなんぢぐ、なんぢがうだにつぐなはずば、かしこよりづるをず。

第一三章 編集

そのときすうにんきたりて、ピラトがそのそのさいぶつまじへしガリレヤじんことをイイススにげたり。

かれこれこたへてへり、なんぢのガリレヤじんくるしみけしゆゑに、ことごとくのガリレヤじんよりおほつみありしとおもふか。

われなんぢぐ、しからず、すなはちなんぢくわいかいせずば、みなくのごとほろびん。

あるひかれのシロアムのたふたふれてころされしじふはちにんは、ことごとくのイエルサリムにものよりおほつみひたりとおもふか。

われなんぢぐ、しからず、すなはちなんぢくわいかいせずば、みなおなじくほろびん。

またたとへまうけてへり、あるひとそのだうゑんゑたる無花果樹いちじくありしに、きたりて、これもとむれども、ざりき。

つひゑんていへり、よ、われさんねんきたりて、無花果樹いちじくもとむれども、ず、これれ、なんいたづらふさぐ。

ゑんていかれこたへていはく、しゅよ、今年ことしこれゆるして、その周囲まはりりて、肥料こやしくをて、

あるひむすばん、いなずば、のちこれらん。

一〇 安息日スボタかれひとつくわいだうりてをしへべたり。

一一 ここじふはちねんやまひわづらふるをんなあり、かがみて、すこしもぶるあたはざりき。

一二 イイススこれて、びてこれへり、をんなよ、なんぢそのやまひよりかれたり。

一三 すなはちかれせたれば、かれただちびて、かみさんえいせり。

一四 くわいだうつかさ、イイススが安息日スボタいやほどこししをいきどほりて、たみへり、工作わざすべき六日むいかあり、そのうちきたりていやされよ、安息スボタおいてせざれ。

一五 しゅかれこたへてへり、ぜんしゃよ、なんぢおのおの安息日スボタおいそのうしあるひうさぎうまかひばぶねよりき、これきてみづかはざるか、

一六 いはんやアウラアムのむすめなるをんなじふはちねんサタナにしばられたるものむすびを、安息スボタおいくべからざりしか。

一七 かれこれときかれてきするものみなぢ、しゅうみんかれおよそくわうめいなる行事しわざよろこべり。

一八 かれへり、かみくになにたるか、われこれなにたとへん。

一九 からしだねひとりてそのゑんきたるものごとし、すなはちちゃうじておほいなるとなり、天空そらとりそのえだめり。

二〇 またへり、かみくになにたとへん。

二一 ぱんだねごとし、をんなこれりて、さんうちれしに、ことごとはっかうするにいたれり。

二二 イイススもろもろまちおよむらて、をしへべ、イエルサリムにむかひてけり。

二三 あるひかれへり、しゅよ、すくはるるものすくなきか。

二四 イイススかれへり、ちからつくくしてせまもんよりれ、けだしわれなんぢぐ、おほくのものるをもとめてざらん。

二五 しゅきてもんぢてのちなんぢそとちて、もんたたきてはん、しゅよ、しゅよ、われためひらけ、かれなんぢこたへてはん、われなんぢいづれよりするをらず。

二六 そのときなんぢはん、われなんぢまへしょくいんし、なんぢまたわれちまたをしへたり。

二七 しかれどもかれはん、われなんぢぐ、われなんぢいづれれよりするをらず、およおこなものわれよりはなれよと。

二八 ときなんぢアウラアム、イサアク、イアコフおよしょげんしゃかみくにり、おのれそとはるるをて、彼處かしこ切歯はがみせん。

二九 ひがしより、西にしより、きたより、みなみより、ひときたりて、かみくにせきせん。

三〇 よ、あとなるものさきとなり、さきなるものあととなることあらん。

三一 そのあるファリセイきて、かれへり、でてこれはなれよ、けだしイロドなんぢころさんとほっす。

三二 かれこれへり、きて、かれきつねげよ、よ、われこんにちおよみゃうにちいだし、いやほどこし、だいさんじつをはりらん。

三三 しかれどもこんにちみゃうにちおよび次のわれくべし、けだししょげんしゃのイエルサリムのほかほろぶるはらざるなり。

三四 イエルサリムよ、イエルサリムよ、げんしゃころし、なんぢつかはされしものいしにてものよ、われ幾次いくたびか、母鶏おやどりそのひなつばさしたあつむるごとく、なんぢしょあつめんことをほっしたれども、なんぢほっせざりき。

三五 よ、なんぢいへむなしくしてなんぢのこさる、われなんぢぐ、いまよりのちしゅりてきたものしゅくふくせらるとときいたるまでなんぢわれざらん。


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