ヨハネ聖福音書1 (ラゲ訳)

<聖書<我主イエズスキリストの新約聖書

『公敎宣敎師ラゲ譯 我主イエズスキリストの新約聖書』公敎會、

1910年発行

〔ローマ・カトリック訳〕

ラゲ訳新約聖書エミール・ラゲ(Emile Raguet,MEP)

ヨハネ聖福音書-1

第1章編集

1はじめみことばあり、みことばかみおんもとり、みことばかみにてありたり。 2これはじめかみおんもとありたるものにして、 3ばんぶつこれりてれり、りしもののひとつも、これらずしてりたるはあらず。 4これがうちにせいめいありて、せいめいまたにんげんひかりたりしが、 5ひかりやみるといへども、やみこれさとらざりき。 6かみよりつかはされて、をヨハネとへるひとありしが、 7そのきたりしはしようめいためにして、ひかりしようめいし、すべてのひとをしておのれりてしんぜしめんためなりき。 8かれひかりあらずして、ひかりしようめいすべきものたりしなり。 9[みことばこそ、]このいできたすべてのひとらすまことひかりなりけれ。 10かつり、またこれりてりたれども、これらず、 11おのかたきたりしも、そのやからこれけざりき。 12れどこれけしひとびとにはおのおのかみとなるべきけんのうさづけたり。これすなはそのしんずるもの13ちすぢらず、にくらず、ひとらず、かみりてうまたてまつりたるものなり。 14かくみことばにくりて、われうちやどたまへり、われそのくわうえいたてまつりしが、ちちよりきたれるひとりごごとくわうえいなりき、すなはおんちようしんりとにたまひしなり。 15ヨハネはかれきてしようめいし、よばはりていはく、われよりのちきたるべきひとは、われさきだちてそんしたるがゆゑわれよりさきにせられたり、とひてかつさししめししはこれなり、と。 16かくわれみなそのじゆうまんせるところよりさづかりて、おんちようおんちようくはへられたり。 17けだしりつぱふはモイゼをもつあたへられたるも、おんちようしんりとはイエズス、キリストをもつりたるなり。 18たれかつかみたてまつりしひとはあらず、ちちおんふところましまひとりごみづかあらはたまひしなり。 19そもそもヨハネのしようめいつぎごとし。ユデアじんがエルザレムよりしさいおよびレヴィじんかれつかはして、なんぢたれなるぞ、とはしめしとき20かれせんげんせしが、いなことなくして、われキリストにあらずとせんげんせり。 21かれらしからばなんぞや、なんぢはエリアなるか、とひしに、かれしからずとひ、[かの]よげんしやなるか、とひしに、いなこたへたり。 22かくかれらなんぢたれなるぞ、われつかはししひとびとこたふることしめよ、みづかおのれなんしようするぞ、とひしかば、 23かれひけるは、われよげんしやイザヤのひしごとく、「なんぢしゆみちたひらにせよ」とよばはるものこゑなり、と。 24このつかはされしひとびとはファリザイのともがらなりしが、 25またヨハネにひて、しからばなんぢはキリストにもあらず、エリアにもあらず、[かの]よげんしやにもあらざるに、なんせんするや、とひしに 26ヨハネこたへてひけるは、われみづにてせんすれども、なんぢうちに、なんぢらざるひとりひとてり、 27これわがのちきたるべきものわれよりさきにせられたるものにして、われそのはきものひもくにだもへず、と。 28このことは、ヨハネのせんしつつありしヨルダン[がは]のかなた、ベタニアにてりき。 29あくるひヨハネ、イエズスのおのれきたたまふをひけるは、かみこひつじを、つみのぞたまものを。 30かつて、われよりのちきたものあり、われよりさきそんしたるがゆゑわれよりさきにせられたり、とひてさししめししはこれなり。 31われもとこれらざりしかど、みづにてせんしつつきたれるは、かれをイスラエルにおいあらはれしめんためなり、と。 32ヨハネまたしようめいしてひけるは、われは[せい]れいはとごとてんよりくだりてかれうへとどまたまふをたり。 33われもとかれらざりしかど、われつかはしてみづにてせんせしめたまへえるもの、われのたまひけらく、なんぢ[せい]れいくだりてひとうへとどまたまふをば、これせいれいにてせんするものなる、と。 34かくわれこれもくげきして、かれかみおんこたることしようめいしたるなり、と。 35よくじつヨハネまたでしふたりともて、 36イエズスのあゆたまふをかみこひつじを、とひしかば、 37ふたりでしかたるをきて、イエズスにしたがひきしに、 38イエズスふりかへりてそのしたがへるをこれのたまひけるは、なんぢなにもとむるぞ、と。かれら、ラビ――やくせばよ――いづこたまふぞ、とひしかば、 39イエズス、よ、とのたまへり、かれらきてイエズスのたまところそのそことどまれり。ときよじごろなりき。 40シモンペトロのきやうだいアンデレアは、ヨハネよりきてイエズスにしたがひしふたりそのひとりなりしが、 41まづそのきやうだいシモンにいでひてこれひけるは、われメッシア――やくせばキリスト――にへり、と。 42かくこれをイエズスのもとつれきたりしに、イエズスこれみつめてのたまひけるは、なんぢはヨナのシモンなり、ケファ――やくせばペトロ――となづけられん、と。 43つぎのひガリレアにかんとして、フィリッポにたまひしかば、イエズス、われしたがへ、とのたまひしが、 44フィリッポは、アンデレアとペトロとのこきやうなる、ベッサイダのひとなりき。 45フィリッポナタナエルにひてひけるは、われモイゼのりつぱふにもよげんしやたちにもかきしるされしひとへり、すなはちナザレトのヨゼフのイエズスなり、と。 46ナタナエル、なんらものかナザレトよりづるをんや、とひしかば、フィリッポ、よ、とへり。 47イエズスナタナエルのおのれきたるをたまひ、これして、これやしんなきイスラエルじんなり、とのたまへば、 48ナタナエル、いかにしてわれたまふぞ、とひしに、イエズスこたへてのたまひけるは、フィリッポがなんぢまへに、われなんぢいちじくのしたるをたり、と。 49ナタナエルこたへて、ラビなんぢかみおんこなり、イスラエルのわうなり、とひしかば、 50イエズスこたへてのたまひけるは、なんぢしんじたるは、われなんぢいちじくのしたるをたりとげしによりてなり。なんぢこれよりもさらおほいなることん、と。 51またこれのたまひけるは、まことまことなんぢぐ、なんぢてんひらけてかみつかひたちひとうへのぼりくだりするをるべし、と。

第2章編集

1みつかにガリレアのカナにこんえんありて、イエズスのははそこれるに、 2イエズスもでしたちともまぬかれたまへり。 3さけきければ、ははイエズスにむかひ、かれらさけなし、とひしに、 4イエズス、ふじんよ、われなんぢとになにかある、わがときいまきたらずとのたまひしかば、 5ははきふじむかひて、かれなんぢところは、なににもあれこれせ、といひけり。 6てユデアじんきよめならはししたがひて、そこに二三いりいしがめむつそなへありしが、 7イエズスきふじに、みづかめてよ、とのたまひければ、かれらくちまでたししに、 8イエズスまたいまくみりてふるまひつかさもちけ、とのたまひしかばすなはもちけり。 9ふるまひつかささけくわしたるみづむるや、きふじそのりてきたところれどもおのれこれらざれば、はなむこび、 10これむかひて、たれまづさけいだして、ひとびとへるにいたりておとれるものいだすに、なんぢよきさけいままでとりけるよ、とへり。 11これイエズスのきせきはじめにして、これをガリレアのカナにおこなひ、おのくわうえいあらはたまひしかば、でしたちこれしんかうせり。 12そののちイエズス、ははきやうだいおよでしたちともに、カファルナウムにくだたまひしが、みなそことどまことひさしからざりき。 13ユデアじんすぎこしのまつりちかづきければ、イエズスエルザレムにのぼり、 14[しん]でんうちにてうしひつじはとひとびとおよせるりやうがえとうたまひしかば、 15なわもつむちめきたるものつくり、かれらことごとく[しん]でんよりおひいだし、ひつじうしをもおひいだし、りやうがえかねまきちらしてそのつくゑくつがへし、 16はとひとびとむかひて、このものどもとりけよ、わがちちいへあきなひいへすな、とのたまへり。 17でしたちは、かきしるして「なんぢいへたいするねつしんわれくひつくせり」とあるをおもひいだせり。 18かくてユデアじんこたへてイエズスにひけるは、なんぢいかなるしるしあらわしてこれことすぞ、と。 19イエズスこたへて、なんぢこの[しん]でんこぼて、われみつかうちこれおこさん、とのたまひしかば、 20ユデアじんひけるは、この[しん]でんは、つくるに四十六としえうせしに、なんぢみつかうちこれおこすべきか、と。 21ただしイエズスは、おのからだの[しん]でんしてのたまひしなり。 22ればししやうちよりふくくわつたまへるのちでしたちこののたまひたりしことおもひいだして、せいしよとイエズスののたまひしおんことばとをしんぜり。 23イエズスすぎこしさいじつあたりてエルザレムにたまあひだおほくのひとそのたまへるきせきて、みなしんじたり。 24れどイエズスは、これうちまかたまはざりき、みづかすべてのひとり、 25またひとこころことたまへば、ひとつきたにんしようめいえうたまはざるゆゑなり。

第3章編集

1ここにファリザイじんうちにニコデモとばれて、ユデアじんかしらだちたるものありしが、 2よるイエズスのもといたりてひけるは、ラビ、われなんぢかみよりきたりたるけうしなることれり、なにびとも、かみこれともいますにあらざれば、なんぢせるごときせきおこなざればなり。 3イエズスこたへてのたまひけるは、まことまことなんぢぐ、ひとあらたうまるるにあらずば、かみくにることあたはず。 4ニコデモひけるは、ひとすでいたるにいかでかうまるることべき、あにふたたははたいないいりあらたうまるるをんや。 5イエズスこたたまひけるは、まことまことなんぢぐ、ひとみづれいとよりあらたうまるるにあらずば、かみくにことあたはず。 6にくよりうまれたるものにくなり、れいよりうまれたるものれいなり。 7なんぢふたたうまれざるべからずとなんぢげたるをあやしむことなかれ。 8かぜおのままなるところく、なんぢそのこゑくといへども、いづこよりきたりていづこくかをらず、すべれいよりうまれたるものまたしかり、と。 9ニコデモこたへて、このこといかにしてかべき、とひしかば、 10イエズスこたへてのたまひけるは、なんぢはイスラエルにおいたるものなるに、これことらざるか。 11まことまことなんぢぐ、われれるところかたり、たるところしようす、れどなんぢそのしようげんけざるなり。 12ちじやうことかたりてすらなんぢしんぜざるものを、てんじやうことかたるともいかでかこれしんぜんや。 13てんよりくだりたるもの、すなはてんひとほかは、たれてんのぼりしものなし。 14またモイゼがあれのにてへびげしごとく、ひとかならげらるべし、 15これすべこれしんかうするひとの、ほろびずしてえいえんせいめいためなり。 16けだしかみこのあいたまへることは、おんひとりごたまほどにして、これすべこれしんかうするひとほろびずしてえいえんせいめいためなり。 17すなはかみおんここのつかはしたまひしは、しんぱんせしめんためあらず、かれりてすくはれんためなり。 18かれしんかうするひとしんぱんせられず、しんぜざるひとすでしんぱんせられたり、かみおんひとりごみなしんぜざればなり。 19しんぱんとはこれなり、すなはひかりすできたりたるに、ひとおのれおこなひあしために、ひかりよりもむしろやみあいしたるなり。 20すべあくひとひかりにくみ、おのおこなひめられじとてひかりきたらず。 21れどしんりおこなひとは、おのおこなひあらはれんためひかりきたる、かみうちおこなはれたればなり、と。 22そののちイエズスでしたちとユデアちはういたり、ともとどまりてせんたまひしが、 23ヨハネもサリムにちかきエンノンにみづおほかりければ、そこにてせんしつつあり、ひとびときたりてせんせられたり。 24すなはちヨハネいまかんごくれられざりしなり。 25しかるにヨハネのでしたちとユデアじんとのあひだに、せんれいきてぎろんおこりしかば、 26かれらヨハネのもときたりてひけるは、ラビ、ヨルダン[がは]のかなたなんぢともりしときなんぢよりしようめいせられたるかのひとは、いまみづかせんして、ひとみなこれおもむくなり、と。 27ヨハネこたへてひけるは、ひとてんよりたまはりたるにあらずば、なにものをもみづかくるあたはず、 28なんぢみづかわれきてしようするごとく、われかつて、われはキリストにあらず、ただそのさきつかはされたるのみ、とげたりき。 29はなよめてるひとこそはなむこなれ。はなむこともとしてちてこれひとは、はなむここゑためよろこびによろこぶ。ればわれこのよろこびえんまんなり。 30かれさかゆべくわれおとろふべし。 31うへよりきたれるひとしゆうじんかみたり、よりのひとぞくしてちじやうことかたる、てんよりきたれるひとしゆうじんかみたるなり。 32かれそのみづかかつきしところしようすといへども、ひとりそのしようげんけず、 33そのしようげんけたるひとは、かみしんじつにてましまことしよういんせるものなり。 34すなはかみつかはしたまひしものかみおんことばかたる、かみは[せい]れいたまふにせいげんなければなり。 35ちちおんこあいしてばんぶつそのたまへり。 36おんこしんかうするひとえいえんせいめいいうす。れどおんこしんぜざるひとせいめいざるべく、かみいかりかえつかれうへとどまる、と。

第4章編集

1ときにイエズス、おのでしつくひとせんすること、ヨハネよりもおほよしの、ファリザイじんみみりしをたまひしかば、 2――ただしせんせるはイエズスにあらずして、でしたちなりき―― 3ユデアをりてふたたびガリレアにたまへり。 4しかるにサマリアをとほらざるをざりしければ、 5ヤコブがそのヨゼフにあたへしとちちかき、サマリアのシカルとへるまちいたたまひしが、 6ここにヤコブのゐどありけるに、イエズスたびつかれて、そのままゐどうへたまへり、ときは十二ころなりき。 7ここにサマリアのひとりをんなみづみにきたりしかば、イエズスこれむかひて、われませよ、とのたまへり。 8これでしたちしょくもつはんとてまちきたればなり。 9そのときサマリアのをんなひけるは、なんぢはユデアじんなるに、なんぞサマリアのをんななるわれのみものもとむるや、と。これユデアじんはサマリアじんまじはらざるゆゑなり。 10イエズスこたへてのたまひけるは、なんぢもしかみたまものり、またわれませよとなんぢへるものたれなるかをらば、かならかれもとめ、かれけるみづなんぢあたへしならん。 11をんなひけるは、きみよ、なんぢものたず、ゐどふかし、るをいづこよりしてけるみづてるぞ。 12われちちヤコブこのゐどわれあたへ、みづからもそのこどもそのかちくこれよりみしが、なんぢかれよりまされるものなるか。 13イエズスこたへてのたまひけるは、すべこのみづものまたかわくべし、しかれどもあたへんとするみづものえいえんかわかず、 14これあたふるみづは、かえつかれおいて、えいえんせいめいわきいづるみづみなもととなるべし。 15をんなひけるは、きみよ、かわことなくここみにもきたらざるやうそのみづわれあたへよ。 16イエズスのたまひけるは、きてをつとよびきたれ。 17をんなこたへて、われをつとなし、とひしかば、イエズスのたまひけるは、くこそをつとなしとひたれ、 18をつとは五にんまでちたりしに、いまあるはなんぢをつとあらず、なんぢしかひしはまことなり。 19をんなひけるは、きみよ、われるに、なんぢよげんしやなり。 20われせんぞこのやまにてれいはいしたるに、なんぢふ、れいはいすべきところはエルザレムなりと。 21イエズスのたまひけるは、をんなよ、われしんぜよ、なんぢこのやまとなくエルザレムとなく、ちちれいはいせんとききたるなり。 22なんぢらざるものれいはいし、われりたるものれいはいす、すくひはユデアじんうちよりづればなり。 23まことれいはいしやが、れいじつとをもつちちれいはいすべきとききたる、いますでそのときなり。ちちも、おのれれいはいするひともとたまへばなり。 24かみれいにてましませば、これれいはいするひとは、れいじつとをもつれいはいせざるべからず、と。 25をんなイエズスにひけるは、われはメッシア(いはゆるキリスト)のきたるをる。ればかれきたらばばんじわれぐべし。 26イエズスこれのたまひけるは、なんぢかたりつつあるわれすなはそれなり、と。 27やがでしたちきたり、イエズスのをんなかたたまへるをあやしみしかど、たれなにをかもとなにゆゑかれかたたまふ、とものなかりき。 28かくをんなそのみづがめのこしてまちき、そこなるひとびとむかひ、 29よ、ししことのこらずわれひたるひとを、はキリストならんか、とひしかば、 30かれらまちよりでてイエズスのもときたれり。 31そのひまでしたちイエズスにひて、ラビしよくたまへ、とひしに、 32のたまひけるは、われにはなんぢらざるしょくもつしよくすべきあり、と。 33でしたちたれしょくもつもちきたりしぞ、とへるを、 34イエズスのたまひけるは、わがしょくもつは、われつかはしたまひしものみむねおこなひてそのげふまつたうすることこれなり。 35なんぢは、なほかげつあひだあり、そののちかりいれとききたる、とふにあらずや。われなんぢぐ、げてたはたよ、もはやかりるべくしらみたり。 36ひとむくいけてえいえんせいめいいたるべきをさむれば、ひとひとともよろこぶべし。 37ことわざひとりひとりるとへることここおいまことなり。 38われなんぢつかはして、らうさせざりしものらしめたり。すなはひとまへらうさして、そのらうさしたるところを、なんぢうけぎたるなり、と。 39かのまちにては、かのひとししことのこらずわれげたり、としようしたるをんなことばによりて、おほくのサマリアじんイエズスをしんぜしかば、 40ひとびとおんもときたりて、こことどまたまはんことをへり、ればこことどまたまことふつかにして、 41なほおほくのひとおんことばによりてこれしんかうせり。 42かくかのをんなむかひ、われもはやなんぢかたところによりてしんずるものあらず、すなはみづかかれきて、そのまこときうせいしゆたることれり、とたり。 43しかるにふつかのち、イエズスそこでてガリレアにたまへり。 44よげんしやそのほんごくたふとばれず、とみづかしようたまひしが、 45ガリレアにいたたまひしに、ガリレアじんは、かつさいじつにエルザレムにておこなたまひしいつさいことたりければ、イエズスをくわんげいせり、かれらさいじつきてありしなり。 46かくてイエズスふたたび、さきみづさけくわたまひしガリレアのカナにいたたまひしに、ひとりわうくわんあり、そのカファルナウムにてければ、 47イエズスユデアよりガリレアにたまふときて、おんもといたり、くだりておのいやたまはんことせつねがたり、かのまさなんとすればなり。 48イエズスこれのたまひけるは、なんぢしるしきせきとをざればしんぜず、と。 49くわんじんイエズスにむかひて、しゆよ、わがなざるまへくだたまへ、とひしに、 50イエズス、け、なんぢく、とのたまひしかば、このひとイエズスのおのれのたまひしおんことばしんじてきたり。 51くだみちに、しもべゆきひて、そのきたるよしげければ、 52そのくわいふくせしじこくひしに、かれらきのうごごねつれり、とふにぞ、 53ちちあたかもイエズスがなんぢくとおのれのたまひしとどうじなりしをり、そのいつかこぞりてしんかうせり。 54このだい二のきせきは、イエズスユデアよりガリレアにいたたまひしときおこなたまひしなり。

第5章編集

1そののちユデアじんさいじつありしかば、イエズスエルザレムにのぼたまへり。 2てエルザレムには、ひつじもんほとりに、ヘブレオにてベテスダとへるいけあり、これふぞくせるいつつらうありて、 3そのうちおびただしきびやうにんめしひあしなへちゆうぶしやどもしてみづうごくをれり。 4ときとしてしゆつかひいけくだり、みづためうごことあり、みづうごきてのちまつさきいけくだりたるものいかなるやまひかかれるもゆればなり。 5ここに卅八ねんらいやまひうれふるひとありしが、 6イエズスかれせるをかつそのうれふることひさしきをたまひしかば、なんぢえんことほつするか、とのたまひしに、 7びやうしやこたへけるは、きみよ、みづさわときわれいけるるひとなし、ればうちひとわれさきだちてくだるなり、と。 8イエズスこれむかひ、きよ、なんぢねだいりてあゆめ、とのたまへば、 9そのひとたちまえ、ねだいりてあゆみたり。そのあんそくじつなりければ、 10ユデアじんそのえたるひとむかひ、あんそくじつなり、なんぢねだいたづさふべからず、とへるを、 11かれは、われいやししひとなんぢねだいりてあゆめとひたるなり、とこたへければ、 12かれらなんぢねだいりてあゆめとひしひとたれぞ、とひたれど、 13えたるひとそのたれなるをらざりき、はイエズスすでこのざつたふたまひたればなり。 14のちイエズス[しん]でんにてかれひ、よ、なんぢいやされたり、またつみおかすことなかれ、おそらくはなほおほいなるわざはひなんぢおこらん、とのたまひけるに、 15かのひときて、おのれいやししはイエズスなりとユデアじんげしかば、 16ユデアじんは、あんそくじつかかことたまふとて、イエズスをたり。 17イエズス、わがちちいまいたるまではたらたまへば、われはたらくなり、とこたたまひければ、 18ユデアじんいよいよイエズスをころさんとはかれり、ただあんそくじつおかたまふのみならず、かみわがちちしようして、おのれかみひとしきものとしたまへばなり。ればイエズスこたへてかれらのたまひけるは、 19まことまことなんぢぐ、ちちたまことほかに、みづかなにごとをもあたはず。けだしすべちちたまことは、またおなじくこれす。 20すなはちちあいして、みづかたまところことごとこれしめたまふ、またさらなんぢおどろくばかり、ひとしほおほいなるわざこれしめたまはんとす。 21けだしちちしにんおこしてかしたまごとく、またおもものかすなり。 22またちちたれをもしんぱんたまはず、しんぱんことごとたまひたり。 23これひとみなちちたふとごとたふとばんためなり。たふとばざるひとは、これつかはしたまひしちちたふとばざるものなり。 24まことまことなんぢぐ、わがことばきてわれつかはしたまひしものしんずるひとは、えいえんせいめいいうし、かつしんぱんいたらずして、よりせいうつりたるものなり。 25まことまことなんぢぐ、とききたる、いまこそそれよ、すなはしにんかみこゑくべく、これきたるひとくべし。 26けだしちちせいめいおのれうちいうたまごとく、にもまたせいめいおのれうちいうすることさせたまへり。 27かつひとたるにより、しんぱんするけんのうこれたまひしなり。 28なんぢこれあやしむなかれ、はかうちなるひとことごとかみこゑとききたらんとす。 29かくぜんししひとは、でてせいめいいたらんがためふくくわつし、あくおこなひしひとは、しんぱんけんがためふくくわつせん。 30われみづからはなにごとをもあたはずして、くがまましんぱんす、しかわれしんぱんせいたうなり、われおのこころもとめず、われつかはしたまひしものおぼしめしもとむればなり。 31われもしみづかおのれしようめいせば、しようめいまことならずとも、 32わがためしようめいするものほかにあり、しかしてわれそのわがためしようめいまことなるをれり。 33なんぢかつひとをヨハネにつかはししに、かれしんりしようめいせり。 34われひとよりのしようめいくるものあらざれども、これかたるはなんぢすくはれんためなり。 35かれかつかがやけるともしびなりしが、なんぢしばらくそのあかりによりてたのしみしまんとせり。 36しかれどもわれはヨハネのにまさりておほいなるしようめいいうす。すなはちちまつたうせよとてわれさづたまひしげふしつつあるげふそのものが、ちちわれつかはしたまひしことしようするなり。 37われつかはしたまひしちちも、またみづかわがためしようたまひしなり、れどなんぢかつおんこゑきしことなく、おんすがたことなく、 38またおんことばこころとどむることなし、これそのつかはしたまひしものしんぜざればなり。 39なんぢせいしよえいえんせいめいいうすとおもひてこれさぐる、かれらまたわれしようめいするものなり、 40れどなんぢせいめいためわがもときたことがへんぜず。 41われめいよひとよりくるものあらず、 42しかなんぢれり、すなはなんぢこころかみあいすることあらざるなり。 43われわがちちりてきたれるに、なんぢわれけず、もしほかおのれりてきたひとあらば、これをばくるならん。 44たがひめいよけて、しかゆゐいつかみよりづるめいよもとめざるなんぢなれば、あにしんずることをんや。 45われなんぢちちみまへうつたへんとすとおもふことなかれ、なんぢうつたふるものあり、なんぢたのめるモイゼこれなり。 46なんぢもしモイゼをしんずるならば、かならわれをもしんずるならん、かれわがことかきしるしたればなり。 47れどもしかれしよしんぜずば、いかでかわがことばしんぜんや、[とのたまへり]。

第6章編集

1そののちイエズスきて、ガリレアのうみすなはちチベリアデのうみかなたわたたまひしに、 2めるひとびとたまへるきせきて、ぐんしゆうおびただしくしたがひければ、 3やまひきしりぞきて、でしたちともそこたまへり。 4ときはユデアじんすぎこしさいじつちかころなりき。 5イエズスげて、むすうぐんしゆうわがもときたるをたまひしかば、フィリッポにのたまひけるは、このひとびとしよくすべきぱんわれいづこよりふべきか、と。 6のたまへるは、かれこころたまはんためなりき、けだしみづからはそのさんとするところたまへるなり。 7フィリッポこたへけるは、二百デナリオのぱんは、おのおのいささかづつをくるも、このひとびとにはらざるなり、と。 8でしひとりなる、シモン、ペトロのきやうだいアンデレア、イエズスにむかひて、 9ここひとりわらべあり、おほむぎぱんいつつさかなふたつとをてり、れどおびただしきひとうちに、そのなにになるぞ、とひしかば、 10イエズス、ひとびとせしめよ、とのたまひ、このところくさおほかりければ、だんししたるに、そのかず五千にんばかりなりき。 11イエズスやがぱんり、しやたまひてのちせるひとびとわかち、さかなをもかれらほつするにまかせてわかたまへり。 12ひとびとまんぷくせしとき、イエズスでしたちむかひ、のこれるくずすたらざるやうひろへ、とのたまひしかば、 13しよくせしひとびとあましたるいつつおほむぎぱんくずひろひて、十二のかごたせり。 14かくひとびと、イエズスのたまひたるきせきて、これこのきたるべきよげんしやなる、とひしが、 15イエズスかれらまさおのれとらへてわうさんとするをさとたまひしかば、またひとやまのがたまへり。 16ひぐれおよび、でしたちうみくだりて、 17ふねり、カファルナウムにむかひてうみわたるに、すでくらけれどもイエズスいまかれらところきたたまはず、 18うみおほかぜきてたり。 19かくおよそ四五十ちやうこぎいだしたるときひとびとイエズスのみづうへあゆみてふねちかづきたまふをおそれしが、 20イエズスわれなるぞ、おそるることなかれ、とのたまひしかば、 21かれらこれふねせんとしたるに、ふねたちまところけり。 22あくるひいたりて、うみこなたてるぐんしゆうふねいつそうほかあらざりしに、イエズスでしたちともそのふねたまはずして、でしたちのみきしことみとめたり。 23おりしもべつふねどもチベリアデよりきたり、しゆしやたまひておのれぱんしよくせしところちかきしかば、 24ひとびとイエズスとでしたちとのそこらざるをそのふねり、イエズスをたずねてカファルナウムにいたれり。 25かくかれらうみわたり、イエズスをみつけて、ラビいつここきたたまひしぞ、とひしかば、 26イエズスかれらこたへてのたまひけるは、まことまことなんぢぐ、なんぢわれたずぬるは、きせきゆゑあらず、ぱんしよくしてあきりしゆゑなり。 27はたらことつるかてためにせずして、えいえんせいめいいたるまでそんするかてすなはひとなんぢあたへんとするかてためにせよ、ちちなるかみかれしようしるたまひたればなり、と。 28ここおいひとびとイエズスにむかひ、かみわざはたらかんためには、われなにすべきぞ、とひしに、 29イエズスこたへてのたまひけるは、なんぢそのつかはしたまひしものしんずるは、これかみわざなり、と。 30ここおいかれらまたひけるは、しからばわれをしてなんぢしんぜしめんために、いかなるしるしなにおこなたまふぞ。 31われせんぞあれのにてマンナをしよくせり、かきしるして「かれらてんよりのぱんあたへてしよくせしめたまへり」とあるがごとし、と。 32そのときイエズスかれらのたまひけるは、まことまことなんぢぐ、モイゼはてんよりのぱんなんぢあたへず、わがちちこそてんよりのまことぱんなんぢたまふなれ。 33けだしかみぱんとは、てんよりくだりてせいめいあたふるものこれなり、と。 34かくひとびとしゆよ、このぱんつねわれあたへよ、とひしかば、 35イエズスのたまひけるは、われせいめいぱんなり、われきたひとゑず、われしんずるひとは、いつかわかざるべし。 36しかれどもすでなんぢげしごとく、なんぢわれたれども、なほしんぜざるなり。 37すべちちわれたまものわれきたらん、われきたひとわれこれおひいださじ、 38これてんよりくだりしは、わがいさんためあらずして、われつかはしたまひしものおぼしめしさんためなればなり。 39われつかはしたまひしちちおぼしめしは、すべわれたまひしものわれがううしなはずして、をはりこれふくくわつせしむべきことこれなり。 40またわれつかはしたまひしわがちちおぼしめしは、すべこれしんかうするひとえいえんせいめいことこれなり。かくわれをはりこれふくくわつせしむべし、と。 41ここおいてイエズスが、われてんよりくだりたるぱんなり、とのたまひしために、ユデアじんかれきてつぶやきつつ、 42これヨゼフのイエズスにして、そのちちははわれれるものならずや。しかるをいかんぞ、われてんよりくだれりとふや、とひければ、 43イエズスこたへてのたまひけるは、なんぢつぶやふことなかれ、 44われつかはしたまひしちちたまふにあらずば、なにびとわれきたことず、[きたひとは]われをはりこれふくくわつせしめん。 45よげんしやたち[のしよ]にかきしるして、「みなかみをしへらるるものとならん」とあり。ちちきてまなべるひとみなわれきたる、 46ちちひとたてまつりしにはあらず、ただかみよりもののみちちたてまつりたるなり。 47まことまことなんぢぐ、われしんずるひとえいえんせいめいいうす。 48われせいめいぱんなり。 49なんぢせんぞは、あれのにマンナをしよくしてせしが、 50てんよりくだぱんにして、ひとこれしよくせばせざらんためなり。 51われてんよりくだりたるけるぱんなり。ひともしこのわがぱんしよくせばえいえんくべし。[52]しかしてあたへんとするぱんは、このかさんためわがにくなり、と。 52[53]ここおいてユデアじんあひあらそひ、このひといかでかおのにくわれあたへてしよくせしむるをんや、とひしかば、 53[54]イエズスのたまひけるは、まことまことなんぢぐ、なんぢひとにくしよくせずそのまずば、なんぢうちせいめいいうせざるべし。 54[55]わがにくしよくわがひとえいえんせいめいいうす、しかしてわれをはりこれふくくわつせしむべし。 55[56]けだしわがにくじつしょくもつなり。わがじつのみものなり。 56[57]わがにくしよくわがひとわれとどまり、われまたこれとどまる。 57[58]けるちちわれつかはしたまひて、わがちちりてくるごとく、われしよくするひとまたわれりてきん。 58[59]これてんよりくだりしぱんなる、なんぢせんぞがマンナをしよくしてしかせしがごとくならず、このぱんしよくするひとえいえんくべし、と。 59[60]イエズスカファルナウムなるくわいどううちにてをしへつつのたまひしに、 60[61]でしたちうちには、これきて、このものがたりかたし、たれこれくことをん、とものおほかりしが、 61[62]イエズスかれらこれきてつぶやけるをみづかりてのたまひけるは、このことなんぢつまづかしむるか、 62[63]ればなんぢもしひともとりしところのぼるをいかん63[64]かすものはれいにして、にくえきするところなし、なんぢかたりしことばれいなりせいめいなり。 64[65]しかれどもなんぢうちにはしんぜざるものあり、と。これイエズスもとより、しんぜざるひとびとたれなるか、おのれるべきひとたれなるかをたまへばなり。 65[66]かくのたまひけるは、ればこそわれかつて、ひとわがちちよりたまはりたるにあらずばわれきたることをず、となんぢげたるなれ、と。 66[67]こののちは、でしたちおほしりぞきて、もはやイエズスとともあゆまざりしかば、 67[68]イエズス十二にんむかひ、なんぢらんとほつするか、とのたまひしに、 68[69]シモン、ペトロこたへけるは、しゆよ、われたれにかかん、なんぢこそえいえんせいめいことばいうたまふなれ。 69[70]われなんぢかみおんこキリストなることしんかつさとれり、と。 70[71]イエズスかれらこたたまひけるは、われなんぢ十二にんえらみしにあらずや、しかるになんぢひとりあくまなり、と。 71[72]はシモンのイスカリオテのユダをのたまへるものにて、かれは十二にんひとりながら、イエズスをるべきものなればなり。

第7章編集

1ユデアじんころさんとはかれるにり、イエズスそののちはユデアをめぐることをこのたまはず、ガリレアをめぐたまひしが、 2ユデアじんまくやしゆくじつちかづきければ、 3きやうだいたちイエズスにむかひ、なんぢおこなへるわざでしたちせんためここりてユデアにけ、 4けだしおおやけれんこともとめながら、しかひそかことひとはあらず、かかことうへおのれあらはせかし、とへり。 5これそのきやうだいたちこれしんぜざりしゆゑなり。 6ればイエズスかれらのたまひけるは、なんぢときつねそなはれども、わがときいまいたらず、 7なんぢにくあたはざるにわれをばにくめり、われこれきて、そのしわざあしきことをしようすればなり、 8なんぢこのさいじつのぼれ、わがときいまたざれば、われこのさいじつのぼらず、と。 9のたまひてガリレアにとどまたまひしが、 10きやうだいたちのぼりたるのちみづからもあらはならずしのびたるやうにてさいじつのぼたまへり。 11ればさいじつあたりて、ユデアじんかれいづこるぞとてこれさがし、 12またぐんしゆううちこれきてささやものおほかりき。すなはあるひとかれぜんにんなりとひ、あるひといなじんみんまどはすのみとたり、 13れどいづれもユデアじんおそろしさに、かれきてあらはかたひとなかりき。 14かくさいじつなかばに、イエズス[しん]でんのぼりてをしたまひければ、 15ユデアじんきやうたんして、かのかつまなばざるにいかにしてもんじれるぞ、とたるを、 16イエズスかれらこたへてのたまひけるは、わがをしへわれのにあらず、われつかはしたまひしものの[をしへ]なり。 17そのおぼしめしあへさんひとは、このをしへかみよりせるかまたわたくしもつものいへるかをさとらん。 18おのわたくしもつかたひとおのれくわうえいもとむれども、おのれつかはししものくわうえいもとむるひとは、しんじつにしてうちふぎあることなし。 19モイゼはりつぱふなんぢさづけしに、なんぢうちこれおこなものなきはなんぞや、 20なんぢいかんわれころさんとははかる、と。ぐんしゆうこたへて、なんぢあくまかれたり、たれなんぢころさんとはする、とひしかば、 21イエズスこたへてのたまひけるは、われひとつわざししになんぢみなこれいぶかれり、 22それモイゼかつれいなんぢさづけたれば、――モイゼよりいでしにあらずしてせんぞよりでたるものなるに、――なんぢあんそくじつにもひとかつれいおこなひ、 23モイゼのりつぱふやぶらじとて、ひとあんそくじつにもかつれいくるに、あんそくじつひとぜんしんいやしたればとて、なんぢわれいきどほるはなんぞや。 24ぐわいけんによりてぜひすることく、ただしきはんだんによりてぜひさだめよ、と。 25ここおいてエルザレムのあるひとびとひけるは、これひとびところさんとはかれるものあらずや、 26こうぜんだんわすれどもひとこれなにをもはず。つかさたちかれがキリストたることまことみとめたるか、 27りながらわれこのひといづこものなるかをれり、キリストのきたときにはそのいづこよりせるかをひとあらじ、と。 28しかるにイエズスしんでんにてよばはりつつをしへてのたまひけるは、なんぢわれり、またいづこよりきたれるかをれり、しかれどもわれおのれによりてきたりたるにはあらず、われつかはしたまひしものしんじつにてまします、なんぢこれらず、 29われこれれり、われかれよりでて、かれわれつかはしたまひたればなり、と。 30ここおいかれらイエズスをとらへんとはかれども、たれくるものなかりき、かれときいまいたらざればなり。 31れどじんみんうちにはこれしんじたるものおほく、キリストきたればとてあにこのひとすよりおほくのきせきさんや、とたり。 32じんみんがイエズスにきてささやけるよしファリザイじんみみりしかば、しさいちやうとファリザイじんとは、したやくどもつかはしてイエズスをとらへしめんとせしを、 33イエズスかれらのたまひけるは、われなほしばらなんぢともをりて、われつかはたまひものおんもとかんとす、 34なんぢわれたずぬべけれどしかわれはじ、ところにはなんぢきたことあたはず、と。 35ここおいてユデアじんかたりひけるは、われかれはじとて、かれいづこかんとするぞ、いはうじんうちさんざいせるどうはうじんもときて、いはうじんをしへんとするか、 36そのことばに、なんぢわれたずぬべけれどしかわれはじ、ところにはなんぢきたことあたはず、とひしはなにごとぞや、と。 37まつりはてすなはそのだいさいじつに、イエズスちてよばはりつつのたまひけるは、かわけるひとあらばわがもときたりてめ、 38われしんずるひとは、せいしよへるごとく、けるみづかわそのはらよりながれいづべし、と。 39のたまひしは、おのれしんずるひとびとたまはるべき[せい]れいことなりき、はイエズスいまくわうえいたまはざるにより、[せい]れいいまたまはざりしがゆゑなり。 40かくかのぐんしゆううちに、これことばきて、これまことかのよげんしやなり、とひとあり、 41これキリストなり、とひともありき。れどあるひとは、キリストはガリレアよりづべきものなるか、 42せいしよにキリストはダヴィドのすゑより、またダヴィドのたりしベトレヘムのまちよりづ、とへるにあらずや、とひつつ、 43イエズスにきてぐんしゆううちいさかひしやうじたり。 44なかにはイエズスをとらへんとほつするものありたれど、たれかけくるものなかりき。 45れどしたやくどもは、しさいちやうとファリザイじんとのもとかへりしに、なんかれひききたらざる、とはれて、 46したやくどもこのひとごとかたりしひといまかつてあらず、とこたへしかば、 47ファリザイじんこたへけるは、なんぢまたまどはされしか、 48かしらおよびファリザイじんうちに、ひとりだもかれしんじたるものありや、 49れどりつぱふらざるかのぐんしゆうのろはれたるものなり、と。 50かつよるイエズスにいたりしかのニコデモは、そのうちひとりなりしが、かれらむかひて、 51わがりつぱふは、まづそのひとにもききたださず、そのところをもらずして、これつみさだむるものなるか、とひしかば、 52かれらこたへてひけるは、なんぢまたガリレアじんなるか、せいしよさぐよ、よげんしやはガリレアよりおこるものにあらずとさとれ、と。 53かくおのおのじたくかへれり。

第8章編集

1イエズス、かんらんざんき、 2よあけまた[しん]でんいたたまひしに、じんみんみなおんもときたりければ、してこれをしたまひしが、 3りつぱふがくし、ファリザイじんかんいんせるときとらへられたるひとりをんなひききたりてこれまんなかたせ、 4イエズスにひけるは、よ、このをんないまかんいんせるところとらへられたり、 5モイゼはりつぱふおいかかものいしなげうことわれめいじたるが、なんぢこれなんふぞ、と。 6へるは、イエズスをこころみて、うつたふるかどためなりしが、イエズスはかがめ、ゆびもてものたまへり。 7しかるにかれらひてまざりしかば、イエズスたちあがり、なんぢうちつみなきひとは、さきいしかれなげうつべし、とのたまひ、 8ふたたかがめてものかたまへるに、 9かれらきて、としよりはじめとしてひとりひとりたちさり、ただイエズスとまんなかてるをんなとのみのこりしかば、 10イエズスたちあがりてこれのたまひけるは、をんなよ、なんぢうつたたりしひとびといづこるぞ、たれなんぢつみさだめざりしか、と。 11をんなしゆたれも、とひしかば、イエズスのたまひけるは、われなんぢつみさだめじ、け、こののちまたつみおかすことなかれ、と。 12てイエズスふたたひとびとかたりて、われひかりなり、われしたがひとくらやみあゆまず、かえつせいめいひかりべし、とのたまひければ、 13ファリザイじんこれひけるは、なんぢみづかおのれしようめいす、なんぢしようめいしんじつならず。 14イエズスこたへてのたまひけるは、われおのれしようめいすれども、わがしようめいしんじつなり、これいづこよりきたりていづこくかをればなり。れどなんぢは、いづこよりきたりていづこくかをらず、 15なんぢにくしんによりてぜひし、われたれをもぜひせず、 16もしぜひすることあれば、ぜひするところしんじつなり、われひとりあらずしてわれわれつかはしたまひしちちとなればなり。 17なんぢりつぱふかきしるして、「ふたりしようしんじつなり」とあり、 18われおのれしようし、われつかはしたまひしちちまたわれしようたまふなり、と。 19かれらすなはちイエズスにむかひ、なんぢちちいづこにかる、とひしかば、イエズスこたたまひけるは、なんぢわれをもわがちちをもらず、もしわれりたらばかならわがちちをもれるならん、と。 20イエズスがかたたまひしは、[しん]でんうちさいせんばこかたはらにてをしへつつありしときなれども、たれくるものなかりき、かれときいまいたらざればなり。 21ればイエズスふたたかれらむかひ、われく、なんぢわれたずぬべけれども、おのつみうちせん、ところにはなんぢきたあたはず、とのたまひしかば、 22ユデアじんかれところにはなんぢきたあたはずとひしが、じさつせんとするか、とひけるに、 23イエズスのたまひけるは、なんぢしたよりせるに、われうへよりせり、なんぢこのものなるに、われこのものあらず、 24われこれによりて、なんぢおのつみうちせんとへり、けだしなんぢもしそれなることしんぜずば、おのつみうちすべし、と。 25かれらなんぢたれなるぞ、とひしかば、イエズスのたまひけるは、われすなはもとよりなんぢぐるところものなり。 26われなんぢきてふべきことさばくべきことおほし、りながらわれつかはしたまひしものしんじつにてましまし、りてかたところかれよりきしものなり、と。 27かくてもかれらは、イエズスがかみわがちちしようたまへることをさとらざりき。 28ればイエズスかれらのたまひけるは、なんぢひとげたらんときそれなることさとり、またわたくしにはなにごとをもさず、ちちをしたまへるままに、このことかたるをさとらん。 29われつかはしたまひしものわれともましまして、われひとりならしめたまはず、つねみこころかなへることせばなり、と。 30かたたまへるに、しんかうするひとおほかりければ、 31イエズスおのれしんじたるユデアじんむかひ、なんぢもしわがことばとどまらばまことわがでしにして、かつしんりさとり、 32しんりなんぢじいうならしめん、とのたまひしかば、 33かれらこたへけるは、われはアブラハムのしそんにしていまかつたれにもどれいたりしことなし、なんなんぢじいうなるべしとふや、と。 34イエズスかれらこたたまひけるは、まことまことなんぢぐ、すべつみおかひとつみどれいなり、 35どれいかぎりなくいへとどまものあらず、こそかぎりなくとどまるなれ、 36ればもしなんぢじいうならしめば、なんぢじつじいうるべし。 37なんぢがアブラハムのしそんなることわれこれれり、れどもわがことばなんぢうちれられざるによりて、なんぢわれころさんとす。 38われわがちちきてところかたり、なんぢおのちちきてところおこなふなり、と。 39かれらこたへて、われちちはアブラハムなり、とひしかば、イエズスかれらのたまひけるは、なんぢもしアブラハムのこどもならばアブラハムのわざせ、 40しかるになんぢいまかみよりきたるしんりなんぢぐるひとたるわれころさんとはかる、これアブラハムのさざるところ41なんぢおのちちわざすなり、と。ここおいかれらイエズスにひけるは、われしつうによりてうまれしものあらず、われどくいつちちすなはかみあり、と。 42イエズスすなはかれらのたまひけるは、かみもしなんぢちちならばなんぢかならわれあいするならん、われかみよりいできたりたればなり、すなはわれわたくしきたりしにあらず、かみこそわれつかはしたまひしなれ。 43なんぢわがものがたりわきまへざるはなにゆゑぞ、これかたところざるゆゑなり。 44なんぢあくまなるちちよりでてあへおのちちのぞみおこなふ、かれはじめよりさつじんしやにしてしんりたざりき、しんりうちらざればなり、かれいつはりときおのれよりかたる、いつはりものにしてしかいつはりちちなればなり。 45われしんりけどもなんぢこれしんぜず、 46なんぢうちたれわれつみあることしようせん。われなんぢしんりくもわれしんぜざるはなにゆゑぞ、 47かみよりのものかみおんことばく、なんぢかざるはかみよりのものならざるによれり、と。 48かくてユデアじんこたへてイエズスにひけるは、われが、なんぢはサマリアじんにしてあくまかれたるものなり、とへるはうべならずや。 49イエズスこたへけるは、われあくまかれず、かえつわがちちたふとべるに、なんぢわれぶじよくす。 50ただしわれおのれくわうえいもとめず、これもとかつしんぱんたまものべつり。 51まことまことなんぢぐ、ひともしわがことばまもらばえいえんざるべし、と。 52ここおいてユデアじんひけるは、われなんぢあくまかれたるをいまこそはさとりたれ、アブラハムもし、よげんしやたちせり、しかるをなんぢひともしわがことばまもらばえいえんあじははじとふ。 53なんぢわれちちアブラハムよりもおほいなるものなるか、かれよげんしやしたるに、なんぢおのれたれなりとするぞ。 54イエズスこたたまひけるは、われもしみづかおのれくわうえいせば、わがくわうえいかいむるべし、われくわうえいするものわがちちなり。すなはなんぢおのれかみしようするものなり。 55なんぢかれらざれどもわれかれれり、われもしかれらずとはば、なんぢひとしくいつはりものたるべし、れどもわれかれかつそのおんことばまもる。 56なんぢちちアブラハムは、わがんとたのしみしが、よろこべり、と。 57ここおいてユデアじんイエズスにむかひ、なんぢいまだ五十さいならざるに、しかもアブラハムをたりしや、とひたるに、 58イエズスのたまひけるは、まことまことなんぢぐ、われはアブラハムのうまるるにさきだちてそんす、と。 59ここおいひとびといしりてイエズスになげうたんとしけるに、イエズスかくして[しん]でんよりたまへり。

第9章編集

1イエズスとおりかかりに、ひとりうまれながらのめしひたまひしかば、 2でしたち、ラビこのひとめしひうまれしはたれつみぞ、おのれつみふたおやつみか、とひたるに、 3イエズスこたたまひけるは、このひとそのおやつみおかししにあらず、かれうへかみわざあらはれんためなり。 4われつかはしたまひしものわざわれひるあひださざるべからず、たれわざあたはざるよるまさきたらんとす、 5われあひだひかりなり、と。 6のたまひて、イエズスつばきし、つばきもつどろつくり、これかれりて、 7のたまひけるは、シロエのいけいたりてあらへ、と。シロエとはつかはされたるものとやくせらる。かれすなはきてあらひしに、めあきてかへれり。 8かくりんじんおよかつかれこつじきせるをひとびとは、これすはりてこつじきたりしものならずや、とへば、あるひとそれなりとひ、 9あるひといなそれたるひとなりとふをかれは、われそれなりとたり。 10ればかれらなんぢいかにしてきたるぞ、とへるに、 11かれこたへけるは、かのイエズスとしようするひとどろつくりてわがり、シロエのいけいたりてあらへとひしかば、われきてあらひて、ゆるなり、と。 12ひとびとそのひといづこるぞとひしにかれわれこれらず、とへり。 13かれらそのめしひなりしひとをファリザイじんもとともなきしが、 14イエズスのどろつくりてそのたまひしは、あんそくじつなりければ、 15ファリザイじんさらに、いかにしてゆるにいたりしぞ、とへるをかのこたへて、かのひとわがどろり、われこれあらひたればゆるなり、とひしかば、 16ファリザイじんあるものは、あんそくじつまもらざるかのひとかみよりのものあらずとひ、あるものは、つみびとなるものいかでかかかきせきおこなふをんや、とひてかれらあひだいさかひありき。 17ればかさねてめしひなりしひとに、なんぢそのけしひとなんふぞ、とへば、かれは、よげんしやなり、とへり。 18ユデアじんは、かれかつめしひにして、ゆるやうになれるをしんぜざれば、ついかのめあきしひとふたおやび、 19ひてひけるは、めしひうまれしとなんぢへるそのこれなるか、しからばいかにしていまゆるぞ、と。 20りやうしんこたへて、かれわがなることと、めしひうまれしこととは、われこれる、 21れどいかにしていまゆるかをらず、またそのけしものたれなるかは、われらざるなり、かれへ、かのとしたけたればみづかおのことかたるべし、とへり。 22ふたおやひしは、ユデアじんおそれたるゆゑにして、かれらが、イエズスをキリストなりとせんげんするひとあらば、これくわいどうよりおひいだすべし、といひあはせたるにれり、 23かれとしたけたればこれへ、とふたおやひしはこれためなり。 24ここおいかれらふたたかのめしひなりしひとよびいだして、なんぢかみくわうえいせよ、われかのひとつみびとなることれり、とひしかば、 25かれひけるは、かれつみびとなりやはわれこれらず、ところひとつすなはめしひなりしにいまゆることこれなり、と。 26そのときかれらまたかのひとなんぢなにししぞ、いかにしてなんぢけしぞ、とひしに、 27かれわれすでなんぢげてなんぢこれけり、なにすれまたかんとはする、なんぢそのでしらんことほつするか、とこたへしかば、 28かれらこれのろひてひけるは、なんぢでしにてあれ、われはモイゼのでしなり、 29われかみがモイゼにかたたまひしことれど、かのひといづこよりせるかをらず、と。 30めしひなりしひとこたへて、なんぢそのいづこよりせるかをらざるこそかいしけれ、かれわがけしものを。 31われる、かみつみびとたまはず、れどかみほうじしてみむねおこなひとあればこれたまふことを。 32かいびやくいらいうまれながらなるめしひけしひとあることかず、 33かのひともしかみよりでたるにあらずばなにごとをもざりしならん、とひしかば、 34ファリザイじんこたへて、なんぢまつたつみうちうまれたるに、なほわれをしふるか、とひてこれおひだせり。 35イエズスそのおひだされしことき、これたまひしときなんぢかみしんかうするか、とのたまひしに、 36かれこたへて、しゆよ、これしんかうすべきものたれぞ、とひしかば、 37イエズスのたまひけるは、なんぢそれをたり、なんぢかたものすなはこれなり、と。 38かれしゆよ、われしんず、とひてひれふしつつイエズスをれいはいたてまつれり。 39イエズスのたまひけるは、われしんぱんためこのきたれり、すなはえざるひとえ、ゆるひとめしひるべし、と。 40ファリザイじんうちイエズスとともりしものこれきて、われめしひなるか、とひしかば、 41イエズスかれらのたまひけるは、なんぢめしひならばつみなかるべし、れどいまみづかゆとふにりて、なんぢつみのこるなり。

第10章編集

1まことまことなんぢぐ、ひつじおりるに、もんよりせずしてところよりゆるは、ぬすびとなりがうたうなり、 2もんよりるはひつじぼくしやなり。 3もんばんかれひらき、ひつじそのこゑき、かれまたおのひつじいちいちなざしてひきいだす、 4かくそのひつじいだせば、かのさきだちてひつじこれしたがふ、そのこゑればなり、 5しかれどもたにんにはしたがはず、かえつこれく、たにんこゑらざればなり、と。 6イエズスこのたとへかれらのたまひしかど、かれらそのかたたまところなんたるをさとらざりき。 7ればイエズスふたたかれらのたまひけるは、まことまことなんぢぐ、われひつじもんなり、 8すできたりしひとみなぬすびとがうたうにして、ひつじこれききしたがはざりき。 9われもんなり、ひともしわれりてらばすくはれ、いでいりしてまきばべし。 10ぬすびときたるはぬすみ、ころし、ほろぼさんとするにほかならざれども、 11きたれるはひつじせいめいしかなほゆたかためなり。われぼくしやなり、ぼくしやそのひつじためいのちつ、 12れどもぼくしやあらずしてひつじわがものあらざるやとはれびとは、おほかみきたるをればひつじててげ、おほかみひつじうばかつおひちらす。 13やとはれびとぐるは、やとはれびとにしてひつじいたはらざるゆゑなり。 14われぼくしやにしてわがひつじり、わがひつじまたわれる、 15あたかちちわれたまひ、われまたちちたてまつるがごとし、かくわれわがひつじためいのちつ、 16われまたこのをりぞくせざるひつじてり、かれらをもひききたらざるべからず、かれらわがこゑき、かくひとつをりひとつぼくしやとなるべし。 17ちちわれあいたまへるは、これふたたらんがためわがいのちつるにる、 18たれこれわれよりうばものはあらず、われこそみづかこれつるなれ。われこれつるのけんいうし、またふたたこれるのけんいうす、これわがちちよりけたるめいなり、と。 19これものがたりために、ユデアじんうちまたいさかひおこれり、 20そのうちには、かれあくまかれてくるへるなり、なんぢなんこれくや、とひとおほかりしが、 21ひとは、これ