ヨシュア記(文語訳)

<聖書<文語訳旧約聖書

w:舊新約聖書 [文語]』w:日本聖書協会、1953年

w:明治元訳聖書

w:ヨシュア記

第1章

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ヱホバの僕モーセの死し後ヱホバ、モーセの從者ヌンの子ヨシユアに語りて言たまはく

わが僕モーセは已に死り然ば汝いま此すべての民とともに起てこのヨルダンを濟り我がイスラエルの子孫に與ふる地にゆけ

凡そ汝らが足の蹠にて踏む所は我これを盡く汝らに與ふ我が前にモーセに語し如し

汝らの疆界は荒野および此レバノンより大河ユフラテ河に至りてヘテ人の全地を包ね日の沒る方の大海に及ぶべし

汝が生ながらふる日の間なんぢに當る事を得る人なかるべし我モーセと偕に在しごとく汝と偕にあらん我なんぢを離れず汝を棄じ

心を強くしかつ勇め汝はこの民をして我が之に與ふることをその先祖等に誓ひたりし地を獲しむべき者なり

惟心を強くし勇み勵んで我僕モーセが汝に命ぜし律法をことごとく守りて行へ之を離れて右にも左にも曲るなかれ然ば汝いづくに往ても利を得べし

この律法の書を汝の口より離すべからず夜も晝もこれを念ひて其中に録したる所をことごとく守りて行へ然ば汝の途福利を得汝かならず勝利を得べし

我なんぢに命ぜしにあらずや心を強くしかつ勇め汝の凡て往く處にて汝の神ヱホバ偕に在せば懼るる勿れ戰慄なかれ

茲にヨシユア民の有司等に命じて言ふ

陣營の中を行めぐり民に命じて言へ汝等糧食を備へよ三日の内に汝らは此ヨルダンを濟り汝らの神ヱホバが汝らに與へて獲させんとしたまふ地を獲んために進みゆくべければなりと

ヨシユアまたルベン人ガド人およびマナセの支派の半に告て言ふ

ヱホバの僕モーセ前に汝らに命じて言り汝らの神ヱホバ今なんぢらに安息を賜へり亦この地を汝らに與へたまふべしと汝らこの言詞を記念よ

汝らの妻子および家畜はモーセが汝らに與へしヨルダンの此旁の地に止まるべし然ど汝ら勇者は皆身をよろひて兄弟等の先にたち進濟りて之を助けよ

而してヱホバが汝らに賜ひし如くなんぢらの兄弟等にも安息を賜ふにおよばば又かれらもなんぢらの神ヱホバの與へたまふ地を獲るにおよばば汝らヱホバの僕モーセより與へられしヨルダンの此旁日の出る方なる己が所有の地に還りてこれを保つべしと

彼らヨシユアに應て言ふ汝が我等に命ぜし所は我等盡く爲べし凡て汝が我らを遣す處には我ら往べし

我らは一切の事モーセに聽したがひし如く亦なんぢに聽したがはん唯ねがはくは汝の神ヱホバ、モーセと偕にいまししごとく汝と偕に在さんことを

誰にもあれ汝が命令に背き凡て汝が命ずるところの言に聽したがはざる者あらば之を殺すべし唯なんぢ心を強くしかつ勇め

第2章

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茲にヌンの子ヨシユア、シツテムより潜かに二人の間者を發し之にいひけるは往てかの地およびヱリコを窺ひ探れ乃ち彼ら往て妓婦ラハブと名づくる者の家に入て其處に寝けるが

或人ヱリコの王に告て觀よイスラエルの子孫の者この地を探らんとて今宵ここに入きたれりといふ

是に於てヱリコの王ラハブに言つかはしけるは汝にきたりて汝の家に入し人を曳いだせ彼らは此全國を探らんとて來れるなり

婦人かのふたりの人を將て之を匿し而して言ふ實にその人々はわが許に來れり然れども我その何處よりか知ざりしが

黄昏どき門を閉るころに出されり我その人々の何處へ往しかを知ず急ぎその後を追へ然ば之に追及んと

その實は婦すでにかれらを領て屋葢に升り屋葢の上に列べおきたる麻のなかに之をかくししなり

かくてその人々彼らの後を追ひヨルダンの路をゆきて渡場に赴むけり、かれらの後を追ふ者出るや直に門を閉しぬ

二人のもの未だ寝ずラハブ屋背に上りて彼らのもとに來り

これに言けるはヱホバこの地を汝らに賜へり我らは甚く汝らを懼る此地の民盡く汝らの前に消亡ん我この事を知る

其は汝らがエジプトより出來し時ヱホバなんぢらの前にて紅海の水を乾たまひし事および汝らがヨルダンの彼旁にありしアモリ人の二箇の王シホンとオグとになししこと即ちことごとく之を滅ぼしたりし事を我ら聞たればなり

我ら之を聞や心怯けなんぢらの故によりて人の魂きえうせたり汝らの神ヱホバは上の天にも下の地にも神たるなり

然ば請ふ我すでに汝らに恩を施したれば汝らも今ヱホバを指て我父の家に恩をほどこさんことを誓ひて我に眞實の記號を與へよ

又わが父母兄弟姉妹および凡て彼らに屬る者をながらへしめ我らの生命を拯ひて死を免かれしめんことを誓へよ

二人のものこれに言けるは汝ら若しわれらの此事を洩すことなくば我らの生命汝らに代りて死ん又ヱホバわれらに此地を與へたまふ時には我らなんぢに恩を施し眞實を盡さん

是においてラハブ繩をもて彼らを窓より縋おろせり是は其家邑の石垣の上にありてかれ石垣の上に住しによる

ラハブかれらに言けるは恐らくは追者なんぢに遇ん汝ら山に往て三日が間そこに隱れをり追者の還るを待て後去ゆくべし

二人のものかれに言けるは汝が我らに誓しし此誓につきては我ら罪を獲じ

我らが此地に打いらん時は汝我らを縋おろしたりし窓に此一條の赤き紐を結つけ且つ汝の父母兄弟および汝の父の家の眷族を悉く汝の家に聚むべし

凡て汝の家の門を出て街衢に來る者はその血自身の首に歸すべし我らは罪なし然どもし汝とともに家にをる者に手をくはふることをせばその血は我らの首に歸すべし

將た汝もし我らのこの事を洩さば汝が我らに誓せたる誓に我らあづかることなし

ラハブいひけるはなんぢらの言のごとくすべしと斯てかれらを出し去しめて赤き紐を窓に結べり

かれら往て山にいり追來るもののかへるを待て三日が間そこに居れりおひ來れるもの徧ねく彼らを途に尋ねしかども終に獲ざりき

而してかの二箇の人は山を下り河を濟りて歸りヌンの子ヨシユアに詣りて其有し事等をつぶさに陳ぶ

またヨシユアにいふ誠にヱホバこの國をことごとく我らの手に付したまへりこの國の民は皆我らの前に消うせんと

第3章

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ヨシユア朝はやく起いでてイスラエルの人々とともにシツテムを打發てヨルダンにゆき之を濟らずして其處に宿りぬ

斯て三日の後有司ら陣營の中をめぐり

民に命じて曰ふ汝ら祭司等レビ人がなんぢらの神ヱホバの契約の櫃を舁出すを見ば其處を發出てその後に從がへ

されど汝らとその櫃との間には量りて凡そ二千キユビト許の隔離あるべし之に近づく勿れなんぢらその行べき途を知んためなり汝らは未だこの途を經しことなかりき

ヨシユアまた民に言ふ汝ら身を潔めよヱホバ明日なんぢらの中に妙なる事を行ひたまふべしと

ヨシユア祭司等に告ていふ契約の櫃を舁き民に先だちて濟れと則ち契約の櫃を舁き民に先だちて進めり

ヱホバ、ヨシユアに言たまひけるは今日よりして我イスラエルの衆の目の前に汝を尊くし我がモーセと偕にありし如く汝と偕にあることを之に知せん

なんぢ契約の櫃を舁ところの祭司等に命じて言へ汝らヨルダンの水際にゆかばヨルダンにいりて立べしと

ヨシユアでイスラエルの人々にむかひて汝ら此に近づき汝らの神ヱホバの言を聽けと

而してヨシユア語りけらく活神なんぢらの中に在してカナン人ヘテ人ヒビ人ペリジ人ギルガジ人アモリ人ヱブス人を汝らの前より必ず逐はらひたまふべきを左の事によりてなんぢら知るべし

視よ全地の主の契約の櫃なんぢらに先だちてヨルダンにすすみ入る

然ば今イスラエルの支派の中より支派ごとに一人づつ合せて十二人を擧よ

全地の主ヱホバの櫃を舁ところの祭司等の足の蹠ヨルダンの水の中に踏とどまらばヨルダンの水上より流れくだる水きれとどまり立てうづだかくならん

かくて民はヨルダンを濟らんとてその幕屋を立出祭司等は契約の櫃を舁て之に先だちゆく

抑々ヨルダンは収穫の頃には絶ずその岸にことごとく溢るるなれど櫃を舁く者等ヨルダンに到り櫃を舁ける祭司等の足水際に浸ると斉しく

上より流れくだる水止まりて遥に遠き處まで涸れザレタンに近きアダム邑の邊にて積り起て堆かくなりアラバの海すなはち塩海の方に流れくだる水まつたく截止りたれば民ヱリコにむかひて直に濟れり

即ちヱホバの契約の櫃を舁る祭司等ヨルダンの中の乾ける地に堅く立をりてイスラエル人みな乾ける地を渉りゆき遂に民ことごとくヨルダンを濟りつくせり

第4章

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民ことごとくヨルダンを濟りつくしたる時ヱホバ、ヨシユアに語りて言たまはく

汝ら民の中より支派ごとに一人づつ合せて十二人を擧げ

これに命じて言へ汝らヨルダンの中祭司等の足を踏とめしその處より石十二を取あげてこれを負ひ濟り此夜なんぢらが宿る宿場に居ゑよと

ヨシユアすなはちイスラエルの人々の中より支派ごとに預て一人づつを取て備へおきぬその十二人の者を召よせ

而してヨシユアこれに言けるは汝らの神ヱホバの契約の櫃の前に當りて汝らヨルダンの中にすすみ入りイスラエルの人々の支派の數に循ひて各々石ひとつを取あげて肩に負きたれ

是は汝らの中に徴となるべし後の日にいたりて汝らの子輩是等の石は何のこころなりやと問て言ば

之にいへ往昔ヨルダンの水ヱホバの契約の櫃の前にて裁斷りたる事を表はすなり即ちそのヨルダンを濟れる時にヨルダンの水きれ止まれりこの故にこれらの石を永くイスラエルの人々の記念となすべしと

イスラエルのひとびとヨシユアの命ぜしごとく然なしヱホバのヨシユアに告げたまひし如くイスラエルの人々の支派の數にしたがひてヨルダンの中より石十二を取あげ之を負わたりてその宿る處にいたり之を其處にすゑたり

ヨシユアまたヨルダンの中において契約の櫃を舁る祭司等の足を踏立し處に石十二を立たりしが今日までも尚ほ彼處にあり

櫃を舁る祭司等はヱホバのヨシユアに命じて民に告しめたまひし事の悉く成るまでヨルダンの中に立をれり凡てモーセのヨシユアに命ぜし所に適へり民は急ぎて濟りぬ

民の悉く濟りつくせるときヱホバの櫃および祭司等は民の觀る前にて濟りたり

ルベンの子孫ガドの子孫およびマナセの支派の半モーセの之に言たりし如く身をよろひてイスラエルの人々に先だちて濟りゆき

凡そ四萬人ばかりの者軍の装に身を堅め攻戰はんとてヱホバに先だち濟りてヱリコの平野に至れり

ヱホバこの日イスラエルの衆人の目の前にてヨシユアを尊くしたまひければ皆モーセを畏れしごとくに彼を畏る其一生の間常に然り

ヱホバ、ヨシユアに語りて言たまひけるは

なんぢ證詞の櫃を舁る祭司等にヨルダンを出きたれと命ぜよ

ヨシユアすなはち祭司等に命じヨルダンを出きたれと言ければ

ヱホバの契約の櫃を舁る祭司等ヨルダンの中より出きたる 祭司等足の蹠を陸地に擧ると斉くヨルダンの水故の處に流れかへりて初のごとくその岸にことごとく溢れぬ

正月の十日に民ヨルダンを出きたりヱリコの東の境界なるギルガルに營を張り

時にヨシユアそのヨルダンより取きたらせし十二の石をギルガルにたて

イスラエルの人々に語りて言ふ後の日にいたりて汝らの子輩その父に問て是らの石は何の意なりやと言ば

その子輩に告しらせて言へ在昔イスラエルこのヨルダンを陸地となして濟りすぎし事あり

即ち汝らの神ヱホバ、ヨルダンの水を汝らの前に乾涸して汝らを濟らせたまへり其事は汝らの神ヱホバの我らの前に紅海を乾涸して我らを渡らせたまひし状况の如くなりき

斯なしたまひしは地の諸の民をしてヱホバの手の力あるを知しめ汝らの神ヱホバを恒に畏れしめんためなり

第5章

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ヨルダンの彼旁に居るアモリ人の諸の王および海邊に居るカナン人の諸の王はヱホバ、ヨルダンの水をイスラエルの人々の前に乾涸して我らを濟らせたまひしと聞きイスラエルの人々の事によりて神魂消え心も心ならざりき

その時ヱホバ、ヨシユアに言たまひけるは汝石の小刀を作り重て復イスラエルの人々に割禮を行なへと

ヨシユアすなはち石の小刀を作り陽皮山にてイスラエルの人々に割禮を行へり

ヨシユアが割禮を行ひし所以は是なりエジプトより出きたりし民の中の一切の男すなはち軍人は皆エジプトを出し後途にて荒野に死たりしが

その出來し民はみな割禮を受たる者なりき然どエジプトを出し後途にて荒野に生れし民には皆割禮を施こさざりき

そもそもイスラエルの人々は四十年の間荒野を歩みをりて終にそのエジプトより出來し民すなはち軍人等ことごとく亡はてたり是ヱホバの聲に聽したがはざりしに因てなり是をもてヱホバかれらの先祖等に誓ひて我等に與へんと宣まひし地なる乳と蜜との流るる地を之に見せじと誓たまへり

かれらに継て興らしめたまひしその子輩にはヨシユア割禮を行へりかれらは途にて割禮を施さざりしによりて割禮なきものなりければなり

一切の民に割禮を行ふこと畢りぬれば民は陣營に其儘居てその痊るを待り

時にヱホバ、ヨシユアにむかひて我今日エジプトの羞辱を汝らの上より轉ばし去りと宣まへり是をもてその處の名を今日までギルガル(轉)と稱ふ

イスラエルの人々ギルガルに營を張りその月の十四日の晩ヱリコの平野にて逾越節を行へり

而して逾越節の翌日その地の穀物酵いれぬパンおよび烘麥をその日に食ひけるが

その地の穀物を食ひし翌日よりしてマナの降ることを止みてイスラエルの人々かさねてマナを獲ざりき其年はカナンの地の產物を食へり

ヨシユア、ヱリコの邊にあひける時目を擧て觀しに一箇の人劍を手に抜持て己にむかひて立ゐければヨシユアすなはちその許にゆきて之に言ふ汝は我等を助くるか將われらの敵を助くるか

かれいひけるは否われはヱホバの軍旅の將として今來れるなりとヨシユア地に俯伏て拝し我主なにを僕に告んとしたまふやと之に言り

ヱホバの軍旅の將ヨシユアに言けるは汝の履を足より脱され汝が立をる處は聖きなりとヨシユア然なしぬ

第6章

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(イスラエルの人々の故によりてヱリコは堅く閉して出入する者なし)

ヱホバ、ヨシユアに言ひたまひけるは觀よわれヱリコおよびその王と大勇士とを汝の手に付さん

汝ら軍人みな邑を繞りて邑の周圍を一次まはるべし汝六日が間かく爲よ

祭司等七人おのおのヨベルの喇叭をたづさへて櫃に先だつべし而して第七日には汝ら七次邑をめぐり祭司等喇叭を吹ならすべし

然して祭司等ヨベルの角を音ながくふきならして喇叭の聲なんぢらに聞ゆる時は民みな大に呼はり喊ぶべし然せばその邑の石垣崩れおちん民みな直に進て攻のぼるべしと

ヌンの子ヨシユアやがて祭司等を召て之に言ふ汝ら契約の櫃を舁き祭司等七人ヨベルの喇叭七をたづさへてヱホバの櫃に先だつべしと

而して民に言ふ汝ら進みゆきて邑を繞れ甲冑のものどもヱホバの櫃に先だちて進むべしと

ヨシユアかく民に語りしかば七人の祭司等おのおのヨベルの喇叭をたづさヘヱホバに先だちすきみて喇叭を吹きヱホバの契約の櫃これにしたがふ

即ち甲冑のものどもは喇叭を吹くところの祭司等にさきだちて行き後軍は櫃の後に行く祭司たちは喇叭を吹きつつすすめり

ヨシユア民に命じて言ふ汝ら呼はる勿れ汝らの聲を聞えしむるなかれまた汝らの口より言を出すなかれわが汝らに呼はれと命ずる日におよびて呼はるべしと

而してヱホバの櫃をもち邑を繞りて一周し陣營に來りて營中に宿れり

又あくる朝ヨシユアはやく興いで祭司等ヱホバの櫃を舁き

七人の祭司等おのおのヨベルの喇叭をたづさヘヱホバの櫃に先だちて行き喇叭を吹きつつすすみ甲冑の者等これに先だちて行き後軍はヱホバの櫃の後に行く祭司等喇叭をふきつつ進めり

その次の日にも一次邑を繞りて陣營に歸り六日が間然なせり

第七日には夜明に早く興いで前のごとくして七次邑を繞れり唯この日のみ七次邑を繞りたり

七次目にいたりて祭司等喇叭を吹くときにヨシユア民に言ふ汝ら呼はれヱホバこの邑を汝らに賜へり

この邑およびその中の一切の物をば詛はれしものとしてヱホバに献ぐべし唯妓婦ラハブおよび凡て彼とともに家に在るものは生し存べしわれらが遣しし使者を匿したればなり

唯汝ら詛はれし物を愼め恐らくは汝ら其を詛はれしものとして献ぐるに方りその詛はれし物を自ら取りてイスラエルの陣營をも詛はるるものとならしめ之をして惱ましむるに至らん

但し銀金銅器鐵器などは凡てヱホバに聖別て奉まつるべきものなればヱホバの府庫にこれを携へいるべしと

是において民よばはり祭司喇叭を吹ならしけるが民喇叭の聲をきくと斉しくみな大聲を擧て呼はりしかば石垣崩れおちぬ斯りしかば民おのおの直に邑に上りいりて邑を攻取り

邑にある者は男女少きもの老たるものの區別なく盡くこれを刃にかけて滅ぼし且つ牛羊驢馬にまで及ぼせり

時にヨシユアこの地を窺ひたりし二箇の人にむかひ汝らかの妓婦の家に入りかの婦人およびかれに屬る一切のものを携へいだしかれに誓ひし如くせよと言ければ

間者たりし少き人等すなはち入てラハブおよびその父母兄弟ならびに彼につけるすべてのものを携へ出しまたその親戚をも携へ出しイスラエルの陣營の外にかれらを置り

斯て火をもて邑とその中の一切のものを焚ぬ但し銀金銅器鐵器などはヱホバの室の府庫に納めたり

妓婦ラハブおよびその父の家の一族と彼に屬る一切の者とはヨシユアこれを生し存ければラハブは今日までイスラエルの中に住をる是はヨシユアがヱリコを窺はせんとて遣はしし使者を匿したるに因てなり

ヨシユアその時人衆に誓ひて命じ言けるは凡そ起てこのヱリコの邑を建る者はヱホバの前に詛はるべし其石礎をすゑなば長子を失ひその門を建なば季子を失はんと

ヱホバ、ヨシユアとともに在してヨシユアの名あまねく此地に聞ゆ

第7章

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時にイスラエルの人々その詛はれし物につきて罪を犯せり即ちユダの支派の中なるゼラの子ザブデの子なるカルミの子アカン詛はれし物を取り是をもてヱホバ、イスラエルの人々にむかひて震怒を發ちたまへり

ヨシユア、ヱリコより人を遣はしベテルの東に當りてベテアベンの邊にあるアイに到らしめんとし之に語りて言ふ汝ら上りゆきてかの地を窺へとその人々上りゆきてアイを窺ひけるが

ヨシユアの許に歸て之に言ふ民を盡くは上り往しめざれ唯二三千人を上らせてアイを撃しめよかれらは寡ければ一切の民を彼處に遣て勞せしむるなかれと

是において民およそ三千人ばかり彼處に上りゆきけるが遂にアイの人の前より遁はしれり

アイの人彼らを門の前より追てシバリムにいたり下坂にてその三十六人ばかりを撃り民は魂神消て水のごとくになりぬ

斯りしかばヨシユア衣を裂きイスラエルの長老等とともにヱホバの櫃の前にて暮まで地に俯伏をり首に塵を蒙れり

ヨシユア言けらく嗟主ヱホバよ何とて此民を導きてヨルダンを濟らせ我らをアモリ人の手に付して滅亡させんとしたまふや我等ヨルダンの彼旁に安んじ居しならば善りしものを

嗟主よイスラエルすでに敵に背を見せたれば我また何をか言ん

カナン人およびこの地の一切の民これを聞きわれらを攻かこみてわれらの名をこの世より絶ん然らば汝の大なる御名を如何にせんや

ヱホバ、ヨシユアに言たまひけるは立よなんぢ何とて斯は俯伏すや

イスラエルすでに罪を犯しわが彼らに命じおける契約を破れり即ち彼らは詛はれし物を取り窃みかつ詐りてこれを己の所有物の中にいれたり

是をもてイスラエルの人々は敵に當ること能はず敵に背を見す是は彼らも詛はるる者となりたればなり汝ら其詛はれし物を汝らの中より絶にあらざれば我ふたたび汝らと偕にをらじ

たてよ民を潔めて言へ汝ら身を潔めて明日を待てイスラエルの神ヱホバかく言たまふイスラエルよ汝の中に詛はれしものあり汝その詛はれし物を汝らの中より除き去るまでは汝の敵に當ること能はず

然ば翌朝汝らその支派にしたがひて進みいづべし而してヱホバの掣たまふ支派はその宗族にしたがひて進み出でヱホバの掣たまふ宗族はその家にしたがひて進み出でヱホバの掣たまふ家は男ひとりびとりに從がひて進みいづべし

凡そ掣れて詛はれし物を有りと定まる者は其一切の所有物とともに火に焚るべし是はヱホバの契約を破りイスラエルの中に愚なる事を行ひたるが故なりと

ヨシユア是において朝はやく興いでてイスラエルをその支派にしたがひて進出しめけるにユダの支派掣れたれば

ユダのもろもろの宗族を進み出でしめけるにゼラの宗族掣れゼラの宗族の人々を進み出しめけるにザブデ掣れ

ザブデの家の人々を進み出しめけるにアカン掣れぬ彼はユダの支派なるゼラの子ザブデの子なるカルミの子なり

ヨシユア、アカンに言けるは我子よ請ふイスラエルの神ヱホバに稱讃を歸し之にむかて懺悔し汝の爲たる事を我に告よ其事を我に隱すなかれ

アカン、ヨシユアに答へて言けるは實にわれはイスラエルの神ヱホバに對ひて罪ををかし如此々々行へり

即ちわれ掠取物の中にバビロンの美しき衣服一枚に銀二百シケルと重量五十シケルの金の棒あるを見欲く思ひて其を取れりそれはわが天幕の中に地に埋め匿してあり銀も下にありと

爰にヨシユア使者を遣はしければ即ち彼の天幕に奔りゆきて視しに其は彼の天幕の中に匿しありて銀も下にありき

彼ら其を天幕の中より取出してヨシユアとイスラエルの一切の人々の所に携へきたりければ則ちそれをヱホバの前に置り

ヨシユアやがてイスラエルの一切の人とともにゼラの子アカンを執へかの銀と衣服と金の棒およびその男子女子牛驢馬羊天幕など凡て彼の有る物をことごとく取てアコルの谷にこれを曳ゆけり

而してヨシユア言けらく汝なんぞ我らを惱まししやヱホバ今日汝を惱ましたまふべしと頓てイスラエル人みな石をもて彼を撃ころし又その家族等をも石にて撃ころし火をもて之を焚けり

而してアカンの上に大なる石堆を積揚たりしが今日まで存るかくてヱホバその烈しき忿怒を息たまへり是によりてその處の名を今日までアコル(惱)の谷と呼ぶ

第8章

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茲にヱホバ、ヨシユアに言たまひけるは懼るる勿れ戰慄なかれ軍人をことごとく率ゐ起てアイに攻のぼれ視よ我アイの王およびその民その邑その地を都て汝の手に授く

汝さきにヱリコとその王とに爲し如くアイとその王とに爲べし今回は其貨財およびその家畜を奪ひて自ら取べし汝まづ邑の後に伏兵を設くべしと

ヨシユアすなはち起あがり軍人をことごとく將てアイに攻のぼらんとしまづ大勇士三萬人を選びて夜の中にこれを遣はせり

ヨシユアこれに命じて言く汝らは邑に對ひて邑の後に伏すべし邑に遠く離れをる勿れ皆準備をなして待をれ

我と我に從がふ民みな共に邑に攻よせん而して彼らが初のごとく我らにむかひて打出んとき我らは彼らの前より逃はしらん

然せば彼ら我らを追て出來べければ我等つひに之を邑より誘き出すことを得ん其は彼等いはんこの人衆は初めのごとくまた我等の前より逃ぐと斯てわれらその前より逃はしらん

汝らその伏をる處より起りて邑を取べし汝らの神ヱホバ之を汝らの手に付したまふべし

汝ら邑を乗取たらば邑に火を放ちヱホバの言詞の如く爲べし我これを汝らに命ず努よやと

かくてヨシユアかれらを遣はしければ即はち往てアイの西の方にてベテルとアイとの間に身を伏せたりヨシユアはその夜民の中に宿れり

ヨシユア朝はやく興いでて民をあつめイスラエルの長老等とともに民に先だちてアイにのぼりゆけり

彼に從がふ軍人ことごとく上りゆきて攻寄せ邑の前に至りてアイの北に陣をとれり彼とアイの間には一の谷ありき

ヨシユア五千人許を擧て邑の西の方にてベテルとアイとの間にこれを伏せおけり

かく民の全軍を邑の北に置きその伏兵を邑の西に置てヨシユアその夜谷の中にいりぬ

アイの王これを視しかばその邑の人々みな急ぎて蚤に起き進み出てイスラエルと戰ひけるが預て諜しあはせ置る頃には王とその一切の民アラバの前に進み來れり王は邑の後に伏兵ありて已を伺ふを知らざりき

時にヨシユア、イスラエルの一切の人とともに彼らに打負し状して荒野の路を指て逃はしりしかば

その邑の民みな之を追撃んとて呼はり集まりヨシユアの後を追て邑を出離れ

アイにもベテルにもイスラエルを追ゆかずして遺りをる者は一人もなく皆邑を開き放してイスラエルの後を追り

時にヱホバ、ヨシユアに言たまはく汝の手にある矛をアイの方に指伸よ我これを汝の手に授くべしとヨシユアすなはち己の手にある矛をアイの方に指伸るに

伏兵たちまち其處より起りヨシユアが手を伸ると齊しく奔きたりて邑に打いり之を取りて直に邑に火をかけたり

茲にアイの人々背をふりかへりて觀しに邑の焚る煙天に立騰りゐたれば此へも彼へも逃るに術なかりき斯る機しも荒野に逃ゆける民も身をかへして其追きたる者等に逼れり

ヨシユアおよび一切のイスラエル人伏兵の邑を取て邑の焚る煙の立騰るを見身を還してアイの人々を殺しけるが

かの兵また邑より出きたりて彼らに向ひければ彼方にも此方にもイスラエル人ありて彼らはその中間に挾まれぬイスラエル人かくして彼らを攻撃て一人をも餘さず逃さず

つひにアイの王を生擒てヨシユアの許に曳きたれり

イスラエル人己を荒野に追きたりしアイの民をことごとく野に殺し刃をもてこれを仆し盡すにおよびて皆アイに歸り刃をもてこれを撃ほろぼせり

その日アイの人々ことごとく斃れたりその數男女あはせて一萬二千人

ヨシユア、アイの民をことごとく滅ぼし絶まではその矛を指伸たる手を垂ざりき

但しその邑の家畜および貨財はイスラエル人これを奪ひて自ら取り是はヱホバのヨシユアに命じたまひし言に依なり

ヨシユア、アイを燬て永くこれを墟垤とならしむ是は今日まで荒地となりをる

ヨシユアまたアイの王を薄暮まで木に掛てさらし日の沒におよびて命じてその死骸を木より取おろさしめ邑の門の入口にこれを投すて其上に石の大垤を積おこせり其は今日まで存る

かくてヨシユア、エバル山にてイスラエルの神ヱホバに一の壇を築けり

是はヱホバの僕モーセがイスラエルの子孫に命ぜしことに本づきモーセの律法の書に記されたる所に循がひて新石をもて作れる壇にて何人も鐵器をその上に振あげず人衆その上にてヱホバに燔祭を献げ酬恩祭を供ふ

彼處にてヨシユア、モーセの書しるしし律法をイスラエルの子孫の前にて石に書うつせり

かくてイスラエルの一切の人およびその長老官吏裁判人など他國の者も本國の者も打まじりてヱホバの契約の櫃を舁る祭司等レビ人の前にあたりて櫃の此旁と彼旁に分れ半はゲリジム山の前に半はエバル山の前に立り是ヱホバの僕モーセの命ぜし所にしたがひて最初に先イスラエルの民を祝せんとてなり

然る後ヨシユア律法の書に凡てしるされたる所に循ひて祝福と呪詛とにかかはる律法の言をことごとく誦り

モーセの命じたる一切の言の中にヨシユアがイスラエルの全會衆および婦人子等ならびにイスラエルの中にをる他國の人の前にて誦ざるは無りき

第9章

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茲にヨルダンの彼旁において山地平地レバノンに對へる大海の濱邊に居る諸の王すなはちヘテ人アモリ人カナン人ペリジ人ヒビ人ヱブス人たる者どもこれな聞て

心を同うし相集まりてヨシユアおよびイスラエルと戰はんとす

然るにギベオンの民ヨシユアがヱリコとアイとに爲たりし事を聞しかば

己も詭計をめぐらして使者の状にいでたち古き袋および古び破れたるを結びとめたる酒の革嚢を驢馬に負せ

補ひたる古履を足にはき古衣を身にまとひ來れり其糧のパンは凡て乾きかつ黴てありき

彼等ギルガルの陣營に來りてヨシユアの許にいたり彼とイスラエルの人々に言ふ我らは遠き國より來れり然ば今われらと契約を結べと

イスラエルの人々ヒビ人に言けるは汝らは我等の中に住をるならんも計られねば我ら爭か汝らと契約を結ぶことを得んと

彼ら又ヨシユアにむかひて我らは汝の僕なりと言ければヨシユアかれらに汝らは何人にして何處より來りしやと問しに

彼らヨシユアに言けるは僕等は汝の神ヱホバの名の故によりて遥に遠き國より來れり其は我ら彼の聲譽および彼がエジプトにて行ひたりし一切の事を聞き

また彼がヨルダンの彼旁にをりしアモリ人の二箇の王すなはちヘシボンの王シホンおよびアシタロテにをりしバシヤンの王オグに爲たりし一切の事を聞たればなり

是をもて我らの長老および我らの國に住をるものみなわれらに告て言り汝ら旅路の糧を手に携さへ往てかれらを迎へて彼らに言へ我らは汝らの僕なり請ふ我らと契約を結べと

我らの此パンは汝らの所に來らんとて出たちし日に我ら家々より其なほ温煖なるをとり備へしなるが視よ今は已に乾きて黴たり

また酒をみたせるこれらの革嚢も新しかりしが破るるに至り我らのこの衣服も履も旅路の甚だ長きによりて古びぬと

然るに人々は彼らの糧を取りヱホバの口を問ことをせざりき

ヨシユアすなはち彼らと好を爲し彼らを生しおかんといふ契約を結び會中の長等かれらに誓ひたりしが

その彼らと契約を結びてより三日を經て後かれらは己に近き人にして己の中に住をる者なりと聞り

イスラエルの子孫やがて進みて第三日に彼らの邑々に至れり其邑はギベオン、ケピラ、ベエロテおよびキリアテヤリムなり

然れども會中の長等イスラエルの神ヱホバを指て彼らに誓ひたりしをもてイスラエルの子孫これを攻撃ざりき是をもて會衆みな長等にむかひて呟けり

然ど長等は凡て全會衆に言ふ我らイスラエルの神ヱホバを指て彼らに誓へり然ば今彼らに觸べからず

我ら斯かれらに爲て彼らを生しおかん然すれば彼らに誓ひし誓によりて震怒の我らに及ぶことあらじと

長等また人衆にむかひて彼らを生しおくべしと言ければ彼らは遂に全會衆のために薪を斬り水を汲ことをする者となれり長等の彼等に言たるが如し

ヨシユアすなはち彼らを召よせて彼らに語りて言けるは汝らは我らの中に住をりながら何とて我らは汝らに甚だ遠しと言て我らを誑かししや

然ば汝らは詛はる汝らは永く奴隸となり皆わが神の室のために薪を斬り水を汲ことをする者となるべしと

彼らヨシユアに應へて言けるは僕等はなんぢの神ヱホバその僕モーセに此地をことごとく汝らに與へ此地の民をことごとく汝らの前より滅ぼし去ことを命ぜしと明白に傳へ聞たれば汝らのために生命の危からんことを太く懼れて斯は爲けるなり

視よ我らは今汝の手の中にあり汝の我らに爲を善とし正當とする所を爲たまへと

ヨシユアすなはち其ごとく彼らに爲し彼らをイスラエルの子孫の手より救ひて殺さしめざりき

ヨシユアその日かれらをして會衆のためおよびヱホバの壇の爲に其えらびたまふ處において薪を斬り水を汲ことをする者とならしめたりしが今日まで然り

第10章

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茲にエルサレムの王アドニゼデクはヨシユアがアイを攻取てこれを全く滅ぼし嚮にヱリコとその王とに爲しごとくにアイとその王とにも爲たる事およびギベオンの民がイスラエルと好を爲て之が中にをる事を聞て

大に懼る是ギベオンは大なる邑にして都府に等しきに因りまたアイよりも大きくしてその内の人々凡て強きに因てなり

エルサレムの王アドニゼデク是においてヘブロンの王ホハム、ヤルムテの王ピラム、ラキシの王ヤピアおよびエグロンの王デビルに人を遣はして云ふ

我の處に上りきたりて我を助けよ我らギベオンを攻撃ん其はヨシユアおよびイスラエルの子孫と好を結びたればなりと

而してこのアモリ人の王五人すなはちエルサレムの王ヘブロンの王ヤルムテの王ラキシの王およびエグロンの王あひ集まりそり諸軍勢を率て上りきたりギベオンに對ひて陣を取り之を攻て戰ふ

ギベオンの人々ギルガルの陣營に人を遣はしヨシユアに言しめけるは僕等を助くることを緩うする勿れ迅速に我らの所に上り來りて我らを救ひ助けよ山地に住をるアモリ人の王みな相集りて我らを攻るなりと

ヨシユアすなはち一切の軍人および一切の大勇士を率ゐてギルガルより進みのぼれり

時にヱホバ、ヨシユアに言たまひけるは彼らを懼るるなかれ我かれらを汝の手に付す彼らの中には汝に當ることを得る者一人もあらじと

この故にヨシユア、ギルガルより終夜進みのぼりて猝然にかれらに攻よせしに

ヱホバかれらをイスラエルの前に敗りたまひければヨシユア、ギベオンにおいて彼らを夥多く撃殺しベテホロンの昇阪の路よりしてアゼカおよびマツケダまで彼らを追撃り

彼らイスラエルの前より逃はしりてベテホロンの降阪にありける時ヱホバ天より大石を降しそのアゼカに到るまで然したまひければ多く死りイスラエルの子孫が劍をもて殺しし者よりも雹石にて死し者の方衆かりき

ヱホバ、イスラエルの子孫の前にアモリ人を付したまひし日にヨシユア、ヱホバにむかひて申せしことあり即ちイスラエルの目の前にて言けらく日よギベオンの上に止まれ月よアヤロンの谷にやすらへ

民その敵を撃やぶるまで日は止まり月はやすらひぬ是はヤシヤルの書に記さるるにあらずや即ち日空の中にやすらひて急ぎ沒ざりしこと凡そ一日なりき

是より先にも後にもヱホバ是のごとく人の言を聽いれたまひし日は有ず是時にはヱホバ、イスラエルのために戰ひたまへり

かくてヨシユア一切のイスラエル人とともにギルガルの陣營に歸りぬ

かの五人の王は逃ゆきてマツケダの洞穴に隱れたりしが

五人の王はマツケダの洞穴に隱れをるとヨシユアに告て言ふ者ありければ

ヨシユアいひけるは汝ら洞穴の口に大石を轉ばしその傍に人を置てこれを守らせよ

但し汝らは止る勿れ汝らの敵の後を追てその殿軍を撃て彼らをその邑々に入しむる勿れ汝らの神ヱホバかれらを汝らの手に付したまへるぞかしと

ヨシユアおよびイスラエルの子孫おびただしく彼らを撃殺して遂に殺し盡しその撃もらされて遺れる者等城々に逃いるにおよびて

民みな安然にマツケダの陣營にかへりてヨシユアの許にいたりけるがイスラエルの子孫にむかひて舌を鳴すもの一人もなかりき

時にヨシユア言ふ洞穴の口を開きて洞穴よりかの五人の王を我前に曳いだせと

やがて然なしてかの五人の王すなはちエルサレムの王ヘブロンの王ヤルムテの王ラキシの王およびエグロンの王を洞穴より彼の前に曳いだせり

かの王等をヨシユアの前に曳いだしし時ヨシユア、イスラエルの一切の人々を呼よせ己とともに往し軍人の長等に言けるは汝ら近よりて此王等の頸に足をかけよと乃はち近よりてその王等の頸に足をかけければ

ヨシユアこれに言ふ汝ら懼るる勿れ慄く勿れ心を強くしかつ勇めよ汝らが攻て戰ふ諸の敵にはヱホバすべて斯のごとく爲たまふべしと

かくて後ヨシユア彼らを撃て死しめ五個の木にかけて晩暮まで木の上にこれを曝しおきしが

日の沒る時におよびてヨシユア命を下しければ之を木より取おろしその隱れたりし洞穴に投いれて洞穴の口に大石を置り是は今日が日までも存す

ヨシユアかの日マツケダを取り刃をもて之とその王とを撃ち之とその中たる一切の人をことごとく滅して一人をも遺さずヱリコの王になしたるごとくにマツケダの王にも爲しぬ

かくてヨシユア一切のイスラエル人を率ゐてマツケダよりリブナに進みてリブナを攻て戰ひけるに

ヱホバまた之とその王をもイスラエルの手に付したまひしかば刃をもて之とその中なる一切の人を撃ほろぼし一人をもその中に遺さずヱリコの王に爲たるごとくにその王にも爲ぬ

ヨシユアまた一切のイスラエル人を率ゐてリブナよりラキシに進み之にむかひて陣をとり之を攻めて戰ひけるに

ヱホバでラキシをイスラエルの手に付したまひけれぼ第二日にこれを取り刃をもて之とその中なる一切の人々を撃ちほろぼせり凡てリブナに爲たるがごとし

時にゲゼルの王ホラム、ラキシを援けんとて上りきたりければヨシユアかれとその民とを撃ころして終に一人をも遺さざりき

斯てヨシユア一切のイスラエル人を率ゐてラキシよりエグロンに進み之に對ひて陣を取りこれを攻て戰ひ

その日にこれを取り刃をもて之を撃その中なる一切の人をことごとくその日に滅ぼせり凡てラキシに爲たるが如し

ヨシユアまた一切のイスラエル人をひきゐてエグロンよりヘブロンに進みのぼり之を攻て戰ひ

やがてこれを取り之とその王およびその一切の邑々とその中なる一切の人を刃にかけて撃ころして一人をも遺さざりき凡てエグロンに爲たるが如し即ち之とその中なる一切の人をことごとく滅ぼせり

かくてヨシユア一切のイスラエル人を率ゐ歸りてデビルに至り之を攻て戰ひ

之とその王およびその一切の邑を取り刃をもて之を撃てその中なる一切の人をことごとく滅ぼし一人をも遺さざりき其デビルと其王に爲たる所はヘブロンに爲たるが如く又リブナとその王に爲たるがごとくなりき

ヨシユアかく此全地すなはち山地南の地平地および山腹の地ならびに其すべての王等を撃ほろぼして人一箇をも遺さず凡て氣息する者は盡くこれを滅ぼせりイスラエルの神ヱホバの命じたまひしごとし

ヨシユア、カデシバルネアよりガザまでの國々およびゴセンの全地を撃ほろぼしてギベオンにまで及ぼせり

イスラエルの神ヱホバ、イスラエルのために戰ひたまひしに因てヨシユアこれらの諸王およびその地を一時に取り

かくてヨシユア一切のイスラエル人を率ゐてギルガルの陣營にかへりぬ

第11章

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ハゾルの王ヤビン之を聞およびマドンの王ヨバブ、シムロンの王アクサフの王

および北の地山地キンネロテの南のアラバ平地西の方なるドルの高處などに居る王等

すなはち東西のカナン人アモリ人ヘテ人ペリジ人山地のエブス人ミヅバの地なるヘルモンの麓のヒビ人などに人を遣はせり

爰に彼らその諸軍勢を率ゐて出きたれり其民の衆多ことは濱の砂の多きがごとくにして馬と車もまた甚だ多かりき

これらの王たち皆あひ會して進みきたり共にメロムの水の邊に陣をとりてイスラエルと戰はんとす

時にヱホバ、ヨシユアに言たまひけるは彼らの故によりて懼るる勿れ明日の今頃われ彼らをイスラエルの前に付して盡く殺さしめん汝かれらの馬の足の筋を截り火をもて彼らの車を焚べしと

ヨシユアすなはち一切の軍人を率ゐて俄然にメロムの水の邊に押寄て之を襲ひけるに

ヱホバこれをイスラエルの手に付したまひしかば則ち之を撃やぶりて大シドンおよびミスレポテマイムまで之を追ゆき東の方にては又ミヅバの谷までこれを追ゆき遂に一人をも遺さず撃とれり

ヨシユアすなはちヱホバの己に命じたまひしことにしたがひて彼らに馬の足の筋を截り火をもてその車を焚り

その時ヨシユア歸りきたりてハゾルを取り刃をもてその王を撃り在昔ハゾルは是らの諸國の盟主たりき

即ち刃をもてその中なる一切の人を撃てことごとく之を滅ぼし氣息する者は一人だに遺さざりき又火をもてハゾルを焚り

ヨシユアこれらの王の一切の邑々およびその諸王を取り刃をもてこれを撃て盡く滅ぼせり、ヱホバの僕モーセの命じたるがごとし

但しその岡の上にたちたる邑々はイスラエルこれを焚ず唯ハゾルのみをヨシユア焚り

是らの邑の諸の貨財及び家畜はイスラエルの人々奪ひて自ら之を取り人はみな刃をもて撃て滅ぼし盡し氣息する者は一人だに遺さざりき

ヱホバその僕モーセに命じたまひし所をモーセまたヨシユアに命じ置たりしがヨシユアその如くに行へり凡てヱホバのモーセに命じたまひし所はヨシユア一だに爲で置し事なし

ヨシユア斯その全地すなはち山地南の全地ゴセンの全地平地アラバ、イスラエルの山地およびその平地を取り

セイルに上りゆくでハラク山よりヘルモン山の麓なるレバノン谷のバアルガデまでを獲その王等をことごとく執へて之を撃て死しめたり

ヨシユア此すべての王等と戰爭をなすこと日ひさし

ギベオンの民ヒビ人を除くの外はイスラエルの子孫と好をなしし邑なかりき皆戰爭をなしてこれを攻とりしなり

そもそも彼らが心を剛愎にしてイスラエルに攻よせしはヱホバの然らしめたまひし者なり彼らは詛はれし者となり憐憫を乞ふこととせず滅ぼされんがためなりき是全くヱホバのモーセに命じたまひしが如し

その時ヨシユアまた往て山地ヘブロン、デビル、アナブ、ユダの一切の山地イスラエルの一切の山地などよりしてアナク人を絶ち而してヨシユア彼らの邑々をも與に滅ぼせり

然からにイスラエルの子孫の地の内にはアナク人一人も遺りをらず只ガザ、ガテ、アシドドに少く遺りをる而已

ヨシユアかく此地を盡く取り全くヱホバのモーセに告たまひし如し而してヨシユア、イスラエルの支派の區別にしたがひ之を與へて產業となさしめたり遂に此地に戰爭やみぬ

第12章

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偖ヨルダンの彼旁日の出る方に於てアルノンの谷よりヘルモン山および東アラバの全土までの間にてイスラエルの子孫が撃ほろぼして地を取たりし其國の王等は左のごとし

先アモリ人の王シホン彼はヘシボンに住をれり其治めたる地はアルノンの谷の端なるアロエルより谷の中の邑およびギレアデの半を括てアンモンの子孫の境界なるヤボク河にいたり

アラバをキンネレテの海の東まで括またアラバの海すなはち塩海の東におよびてベテエシモテの路にいたり南の方ビスガの山腹にまで達す

次にレバイムの殘餘なりしバシヤンの王オグの國境を言んに彼はアシタロテとエデレイに住をり

ヘルモン山サレカおよびバシヤンの全土よりしてゲシユリ人マアカ人およびギレアデの半を治めてヘシボンの王シホンと境を接ふ

ヱホバの僕モーセ、イスラエルの子孫とともに彼らを撃ほろぼせり而してヱホバの僕モーセ之が地をルベン人ガド人およびマナセの支派の半に與へて產業となさしむ

またヨルダンの此旁西の方においてレバノンの谷のバアルガデよりセイル山の上途なるハラク山までの間にてヨシユアとイスラエルの子孫が撃ほろぼしたりし其國の王等は左のごとしヨシユア、イスラエルの支派の區別にしたがひその地をあたへて產業となさしむ

是は山地平地アラバ山腹荒野南の地などにしてヘテ人アモリ人カナン人ペリジ人ヒビ人ヱブス人等が有ちたりし者なり

ヱリコの王一人ベテルの邊なるアイの王一人

エルサレムの王一人ヘブロンの王一人

ヤルムテの王一人ラキシの王一人

エグロンの王一人ゲゼルの王一人

デビルの王一人ゲデルの王一人

ホルマの王一人アラデの王一人

リブナの王一人アドラムの王一人

マツケダの王一人ベテルの王一人

タッブアの王一人へペルの王一人

アペクの王一人ラシヤロンの王一人

マドンの王一人ハゾルの王一人

シムロンメロンの王一人アクサフの王一人

タアナクの王一人メギドンの王一人

ケデシの王一人カルメルのヨクネアムの王一人

ドルの高處なるドルの王一人ギルガのゴイイムの王一人

テルザの王一人合せて三十一王

第13章

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ヨシユアすでに年邁みて老たりしがヱホバかれに言たまひけらく汝は年邁みて老たるが尚取るべき地の殘れる者甚だおほし

その尚のこれる地は是なりペリシテ人の全州ゲシユル人の全土

エジプトの前なるシホルより北の方カナン人に屬すると人のいふエクロンの境界までの部ペリシテ人の五人の主の地すなはちガザ人アシドド人アシケロン人ガテ人エクロン人の地

南のアビ人カナン人の全地シドン人に屬するメアラおよびアモリ人の境界なるアベクまでの部

またへルモン山の麓なるバアルガデよりハマテの入口までに亘るゲバル人の地およびレバノンの東の全土

レバノンよりミスレポテマイムまでの山地の一切の民すなはちシドン人の全土我かれらをイスラエルの子孫の前より逐はらふべし汝は我が命じたりしごとくその地をイスラエルに分ち與へて產業となさしめよ

即ちその地を九の支派とマナセの支派の半とに分ちて產業となさしむべし

マナセとともにルベン人およびガド人はヨルダンの彼旁東の方にてその產業をモーセより賜はり獲たりヱホバの僕モーセの彼らに與へし者は即ち是のごとし

アルノンの谷の端にあるアロエルより此方の地谷の中にある邑デボンまでに亘るメデバの一切の平地

ヘシボンにて世を治めしアモリ人の王シホンの一切の邑々よりしてアンモンの子孫の境界までの地

ギレアデ、ゲシユル人及びマアカ人の境界に沿る地へルモン山の全土サルカまでバシヤン一圓

アシタロテおよびエデレイにて世を治めしバシヤンの王オグの全國オグはレバイムの餘民の遺れる者なりモーセこれらを撃て逐はらへり

但しゲシユル人およびマアカ人はイスラエルの子孫これを逐はらはざりきゲシユル人とマアカ人は今日までイスラエルの中に住をる

唯レビの支派にはヨシユア何の產業をも與へざりき是イスラエルの神ヱホバの火祭これが產業たればなり其かれに言たまひしが如し

モーセ、ルベンの子孫の支派にその宗族にしたがひて與ふる所ありしが

その境界の内はアルノンの谷の端なるアロエルよりこなたの地谷の中なる邑メデバの邊の一切の平地

ヘシボンおよびその平地の一切の邑々 デボン、バモテバアル、ベテバアルメオン

ヤハズ、ケデモテ、メバアテ

キリアタイム、シブマ、谷中の山のゼレテシヤル

ベテペオル、ピスガの山腹ベテヱシモテ

平地の一切の邑々 ヘシボンにて世を治めしアモリ人の王シホンの全國 モーセ、シホンをミデアンの貴族エビ、レケム、ツル、ホルおよびレバとあはせて撃ころせり是みなシホンの大臣にしてその地に住をりし者なり

イスラエルの子孫またベオルの子卜筮師バラムをも刃にかけてその外に殺せし者等とともに殺せり

ルベンの子孫はヨルダンおよびその河岸をもて己の境界とせり ルベンの子孫がその宗族に循がひて獲たる產業は是のごとくにして邑も村もこれに准らふ

モーセまたガドの子孫たるガドの支派にもその宗族にしたがひて與ふる所ありしが

その境界の内はヤゼル、ギレアデの一切の邑々アンモンの子孫の地の半ラバの前なるアロエルまでの地

ヘシボンよりラマテミヅバまでの地およびベトニム、マナハイムよりデビルの境界までの地

谷においてはベテハラム、ベテニムラ、スコテ、ザポンなどヘシボンの王シホンの國の殘れる部分 ヨルダンおよびその河岸よりしてヨルダンの東の方キンネレテの海の岸までの地

ガドの子孫がその宗族にしたがひて獲たる產業は是のごとくにして邑も村も之に准らふ

モーセまたマナセの支派の半にも與ふる所ありき是すなはちマナセの支派の半にその宗族にしたがひて與へしなり

その境界の内はマナハイムより此方の地 バシヤンの全土 バシヤンの王オグの全國 バシヤンにあるヤイルの一切の邑すなはち其六十の邑

ギレアデの半バシヤンにおけるオグの國の邑々 アシタロテおよびエデレイ是等はマナセの子マキルの子孫に歸せり即ちマキルの子孫の半その宗族にしたがひて之を獲たり

ヨルダンの東の方に於てヱリコに對ひをるモアブの野にてモーセが分ち與へし產業は是のごとし

但しレビの支派にはモーセ何の產業をも與へざりきイスラエルの神ヱホバこれが產業たればなり其かれらに言たまひし如し

第14章

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イスラエルの子孫がカナンの地にて取しその產業の地は左のごとし即ち祭司エレアザル、ヌンの子ヨシユアおよびイスラエルの子孫の支派の族長等これを彼らに分ち

ヱホバがモーセによりて命じたまひしごとく產業の籤によりて之を九の支派および半の支派に與ふ

其はヨルダンの彼旁にてモーセ已にかの二の支派と半の支派とに產業を與へたればなり但しレビ人には之が中に產業を與へざりき

是はヨセフの子孫マナセ、エフライムの二の支派と成たるに因て然りレビ人には此地において何の分をも與へず唯その住べき邑々およびその家畜と貨財を置べき郊地を與へしのみ

イスラエルの子孫ヱホバのモーセに命じたまひしごとく行ひてその地を分てり

茲にユダの子孫ギルガルにてヨシユアの許に至りケニズ人ヱフンネの子カレブ、ヨシユアに言けるはヱホバ、カデシバルネアにて我と汝との事につきて神の人モーセに告たまひし事あり汝これを知る

ヱホバの僕モーセが此地を窺はせんとて我をカデシバルネアより遣はしし時に我は四十歳なりき其時我は心に思ふまにまに彼に復命したり

我とともに上り往しわが兄弟等は民の心を挫くことを爲たりしが我は全く我神ヱホバに從へり

その日モーセ誓ひて言けらく汝の足の踐たる地は必ず永く汝と汝の子孫の產業となるべし汝まったく我神ヱホバに從がひたればなりと

ヱホバこの言をモーセに語りたまひし時より已來イスラエルが荒野に歩みたる此四十五年の間かく其のたまひし如く我を生存らへさせたまへり視よ我は今日すでに八十五歳なるが

今日もなほモーセの我を遣はしたりし日のごとく健剛なり我が今の力はかの時の力のごとくにして出入し戰闘をなすに堪ふ

然ば彼日ヱホバの語りたまひし此山を我に與へよ汝も彼日聞たる如く彼處にはアナキ人をりその邑々は大にして堅固なり然ながらヱホバわれとともに在して我つひにヱホバの宣ひしごとく彼らを逐はらふことを得んと

ヨシユア、ヱフンネの子カレブを祝しヘブロンをこれに與へて產業となさしむ

是をもてヘブロンは今日までケニズ人ヱフンネの子カレブの產業となりをる是は彼まつたくイスラエルの神ヱホバに從がひたればなり

ヘブロンの名は元はキリアテアルバと曰ふアルバはアナキ人の中の最も大なる人なりき茲にいたりてその地に戰爭やみぬ

第15章

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ユダの子孫の支派がその宗族にしたがひて籤にて獲たる地はエドムの境界に達し南の方ヂンの荒野にわたり南の極端に及ぶ

その南の境界は塩海の極端なる南に向へる入海より起り

アクラビムの坂の南にわたりてヂンに進みカデシバルネアの南より上りてヘヅロンに沿て進みアダルに上りゆきてカルカに環り

アズモンに進みてエジプトの河にまで達しその境界海にいたりて盡く汝らの南の境界は是の如くなるべし

その東の境界は塩海にしてヨルダンの河口に達す北の方の境界はヨルダンの河口なる入海より起り

上りてベテホグラにいたりベテアラバの北をすぎ上りてルベン人ボハンの石に達し

またアコルの谷よりデビルに上りて北におもむき河の南にあるアドミムの坂に對するギルガルに向ひすすみてエンシメシの水に達しエンロゲルにいたりて盡く

又その境界はベニヒンノムの谷に沿てヱブス人の地すなはちヱルサレムの南の脇に上りゆきヒンノムの谷の西面に横はる山の嶺に上る是はレバイムの谷の北の極處にあり

而してその境界この山の嶺より延てネフトアの水の泉源にいたりエフロン山の邑々にわたりその境昇延てバアラにいたる是すなはちキリアテヤリムなり

その境界バアラより西の方セイル山に環りヤリム山(すなはちケサロン)の北の脇をへてベテシメシに下りテムナに沿て進み

エクロンの北の脇にわたり延てシツケロンに至りバアラ山に進みヤブネルに達し海にいたりて盡く

また西の境界は大海にいたりその濱をもて限とすユダの子孫がその宗族にしたがひて獲たる地の四方の境界は是のごとし

ヨシユアそのヱホバに命ぜられしごとくヱフンネの子カレブにユダの子孫の中にてキリアテアルバすなはちヘブロンを與へてその分となさしむ

アルバはアナクの父なりカレブかしこよりアナクの子三人を逐はらへり是すなはちアナクより出たるセシヤイ、アヒマンおよびタルマイなり

而して彼かしこよりデビルの民の所に攻上れりデビルの名は元はキリアテセペルといふ

カレブ言けらくキリアテセペルを撃てこれを取る者には我女子アクサを妻に與へんと

ケナズの子にしてカレブの弟なるオテニエルといふ者これを取ければカレブその女子アタサを之が妻に與へたり

アクサ適く時田野をその父に求むべきことをオテニエルに勸め遂にみづから驢馬より下れりカレブこれに何を望むやと言ければ

答へて言ふ我に粧奩を與へよ汝われを南の地に遣なれば水泉をも我に與へよと乃ち上の泉と下の泉とをこれに與ふ

ユダの子孫の支派がその宗族にしたがひて獲たる產業は是のごとし

ユダの子孫の支派が南においてエドムの境界の方に有るその遠き邑々は左のごとしカブジエル、エデル、ヤグル

キナ、デモナ、アダダ、

ケデシ、ハゾル、イテナン、

ジフ、テレム、ベアロテ

ハゾルハダツタ、ケリオテヘヅロンすなはちハゾル

アマム、シマ、モラダ

ハザルガダ、ヘシモン、ベテパレテ

ハザルシユアル、ベエルシバ、ビジヨテヤ

バアラ、イヰム、エゼム

エルトラデ、ケシル、ホルマ

チクラグ、マデマンナ、サンサンナ

レバオテ、シルヒム、アイン、リンモン、その邑あはせて二十九ならびに之に屬る村々なり

平野にてはエシタオル、ゾラ、アシナ

ザノア、エンガンニム、タップア、エナム

ヤルムテ、アドラム、シヨコ、アゼカ

シヤアライム、アデタイム、ゲデラ、ゲデロタイム合せて十四邑ならびに之に屬る村々なり

ゼナン、ハダシヤ、ミグダルガデ

デラン、ミヅバ、ヨクテル

ラキシ、ボヅカテ、エグロン

カボン、ラマム、キリテシ

ゲデロテ、ベテダゴン、ナアマ、マツケダ合せて十六邑ならびに之に屬る村々なり

またリブナ、エテル、アシヤン

イフタ、アシナ、ネジブ

ケイラ、アクジブ、マレシア合せて九邑ならびに之に屬ける村々なり

エクロンならびにその郷里および村々なり

エクロンより海まで凡てアシドドの邊にある處々ならびに之につける村々なり

アシドドならびにその郷里および村々 ガザならびにその郷里および村々 エジプトの河および大海の濱にいたるまでの處々なり

山地にてはシヤミル、ヤツテル、シヨコ

ダンナ、キリアテサンナすなはちデビル

アナブ、エシテモ、アニム

ゴセン、ホロン、ギロ、合せて十一邑ならびに之に屬る村々なり

アラブ、ドマ、エシヤン

ヤニム、ベテタツプア、アペカ

ホムタ、キリアテアルバすなはちヘブロン、デオルあはせて九邑ならびに之につける村々なり

マオン、カルメル、ジフ、ユダ

ヱズレル、ヨグテアム、ザノア

カイン、ギベア、テムナあはぜて十邑ならびに之に屬る村々なり

ハルホル、ベテズル、ゲドル

マアラテ、ベテアノテ、エルテコンあはせて六邑ならびに之に屬る村々なり

キリアテバアルすなはちキリアテヤリムおよびラバあはせて二邑ならびに之につける村々なり

荒野にてはベテアラバ、ミデン、セカカ

ニブシヤン塩邑エングデあはせて六邑ならびに之につける村々なり

ヱルサレムの民ヱブス人はユダの子孫これを逐はらふことを得ざりき是をもてヱブス人は今日までユダの子孫とともにエルサレムに住ぬ

第16章

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ヨセフの子孫が籤によりて獲たる地の境界はヱリコの邊なるヨルダンすなはちヱリコの東の水の邊より起りてヱリコにかかり更に上りて山地を過ぎベテルにいたりて荒野に沿ひ行き

ベテルよりルズにおもむきアルキ人の境界なるアタロテに進み

また西の方ヤフレテ人の境界に下り下ベテホロンの境界に及びゲゼルにまで達し海にいたりて盡く

かくヨセフの子孫マナセ及びエフライムその產業を受たり

エフライムの子孫がその宗族にしたがひて獲たる地の境界は是のごとしその產業の境界東はアタロテアダルにて上はベテホロンに達し

ミクメタの北より西におもむき東にをれてタアナテシロにいたり之に沿てヤノアの東を過ぎ

ヤノアより下りてアタロテおよびナアラにいたりヱリコに達しヨルダンにいたりて盡き

タツプアよりして西に進みカナの河にまで達し海にいたりて盡くエフライムの子孫の支派がその宗族にしたがひて獲たる產業は是のごとし

この外にマナセの子孫の產業の中にてエフライムの子孫に別ち與へし邑々ありエフライムの一切の邑およびその村々を得たり

但しゲゼルに住るカナン人をば逐はらはざりき是をもてカナン人は今日までエフライムの中に住み僕となりて之に使役せらる

第17章

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マナセの支派が籤によりて獲たる地は左のごとしマナセはヨセフの長子なりきマナセの長子にしてギレアデの父なるマキルは軍人なるが故にギレアデとバシヤンを獲たり

此餘のマナセの子等即ちアビエゼルの子孫ヘレクの子孫アスリエルの子孫シケムの子孫へペルの子孫セミダの子孫などもその宗族にしたがひて獲る所ありき是等はヨセフの子マナセが男の子にしてその宗族に循ひて言るなり

マナセの子マキルその子ギレアデその子へペルその子なるゼロペハデといふ者は女の子のみありて男の子あらざりきその女の子の名はマヘラ、ノア、ホグラ、ミルカ、テルザといふ

彼等祭司エレアザル、ヌンの子ヨシユアおよび長等の前に進み出て言けらく我らの兄弟の中にて我らにも產業を與へよとヱホバ、モーセに命じおきたまへりヨシユアすなはちヱホバの命にしたがひて彼らの父の兄弟の中にて彼らにも產業を與ふ

マナセはヨルダンの彼旁にてギレアデおよびバシヤンの地の外になほ十部の地を獲たり

是はマナセの女の子等もその男の子等の中にて產業を獲たればなりギレアデの地はマナセのその餘の子等に屬す

マナセの境界はアセルよりシケムの前なるミクメタテに及び右におもむきてエンタツプアの民に達す

タツプアの地はマナセに屬す但しマナセの境界にあるタツプアはエフライムの子孫に屬す

またその境界カナの河に下りてその河の南に至る是等の邑はマナセの邑々の中にありてエフライムに屬すマナセの境界はその河の北にあり海にいたりて盡く

その南の方はエフライムに屬し北の方はマナセに屬し海これらの境界を成すマナセは北はアセルに達し東はイツサカルに達す

イツサカルおよびアセルの中にてマナセはベテシヤンとその郷里イブレアムとその郷里ドルの民とその郷里およびエンドルの民とその郷里タアナクの民とその郷里メギドンの民とその郷里など合せて三の高處を有り

但しマナセの子孫は是らの邑の民を逐はらふことを得ざりければカナン人この地に固く住ひをりしが

イスラエルの子孫強くなるに及びてカナン人を使役し之を盡く逐ことはせざりき

茲にヨセフの子孫ヨシユアに語りて言けるはヱホバ今まで我を祝福たまひて我は大なる民となりけるに汝わが產業にとて只一の籤一の分のみを我に與へしは何ぞや

ヨシユアかれらに言けるは汝もし大なる民となりしならば林に上りゆきて彼處なるペリジ人およびレバイム人の地を自ら斬ひらくべしエフライムの山地は汝には狭しと言ばなり

ヨセフの子孫言けるは山地は我らには足ずかつ又谷の地にをるカナン人はベテシヤンとその郷里にをる者もヱズレルの谷にをる者も凡て鐵の戰車を有り

ヨシユアかさねてヨセフの家すなはちエフライムとマナセに語りて言ふ汝は大なる民にして大なる力あり然れば只一籤のみを取てをる可らず

山地をも汝の有とすべし是は林なれども汝これを斬ひらきてその極處を獲べしカナン人は鐵の戰車を有をりかつ強くあれども汝これを逐はらふことを得ん

第18章

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かくてイスラエルの子孫の會衆ことごとくシロに集り集會の幕屋をかしこに立つその地は已に彼らに歸服ぬ

この時なほイスラエルの子孫の中に未だその產業を分ち取ざる支派七のこりゐければ

ヨシユア、イスラエルの子孫に言けるは汝らは汝らの先祖の神ヱホバの汝らに與へたまひし地を取に往くことを何時まで怠りをるや

汝ら支派ごとに三人づつを擧よ我これを遣さん彼らは起てその地を歩きめぐりその產業にしたがひて之を描き寫して我に歸るべし

彼らその地を分ちて七分となすべしユダは南にてその境界の内にをりヨセフの家は北にてその境界の内にをるべし

汝らその地を描き寫して七分となし此にわが許に持きたれ我ここにて我等の神ヱホバの前になんぢらの爲に籤を掣ん

レビ人は汝らの中に何の分をも有ずヱホバの祭司となることをもて其產業とす又ガド、ルベンおよびマナセの支派の半はヨルダンの彼旁東の方にて已にその產業を受たり是ヱホバの僕モーセの之に與へし者なりと

その人々すなはち起て往り其地を描き寫さんとて出ゆける此者等にヨシユア命じて云ふ汝等ゆきてその地を歩きめぐり之を描き寫して我に歸りきたれ我シロにて此にヱホバの前にて汝らのために籤を掣んと

その人々ゆきてその地を經めぐり邑にしたがひて之を七分となして書に描き寫しシロの營に歸りてヨシユアに詣りければ

ヨシユア、シロにて彼らのためにヱホバの前に籤を掣り而してヨシユア彼所にてイスラエルの子孫の區分にしたがひて其地を分ち與へたり

まづベニヤミンの子孫の支派のためにその宗族にしたがひて籤を掣りその籤によりて獲たる地の境界はユダの子孫とヨセフの子孫の間にわたる

即ちその北の方の境界はヨルダンよりしてヱリコの北の脇に上り西の山地を逾てまた上りベテアベンの荒野にいたりて盡く

彼處よりその境界ルズに進みルズの南の脇にいたるルズはベテルなり而して其境界下ベテホロンの南に横たはる山に沿てアタロテアダルに下り

延て西の方にて南に曲りベテホロンの南面に横はるところの山より進みユダの子孫の邑キリアテバアル即ちキリアテヤリムにいたりて盡くその西の境界は是のごとし

またその南の方はキリアテヤリムの極處よりして西におもむきてネフトアの水の源にいたり

レバイムの谷の中の北の方にてベニヒンノムの谷の前に横たはる所の山の極處に下り其處よりしてヒンノムの谷に下りてヱブス人の南の脇にいたりエンロゲルに下り

北に延てエンシメシにおもむきアドミムの阪に對へるゲリロテにおもむきルベン人、ボハンの石まで下り

北の方にてアラバに對する處にわたりてアラバに下り

ベテホグラの北の脇にわたりヨルダンの南の極にて塩海の北の入海にいたりて盡くその南の境界は是のごとし

東の方にてはヨルダンその境界となる是すなはちベニヤミンの子孫がその宗族にしたがひて獲たる產業の周圍の境界なり

ベニヤミンの子孫の支派がその宗族にしたがひて獲たる邑々はヱリコ、ベテホグラ、エメクケジツ

ベテアラバ、ゼマライム、ベテル

アビム、パラ、オフラ

ケパルアンモン、オフニ、ケバの十二邑ならびに之に屬る村々なり

ギベオン、ラマ、ベエロテ

ミヅパ、ケピラ、モザ

レケム、イルピエル、タララ、

ゼラ、エレフ、ヱブスすなはちエルサレム、ギベア、キリアテの十四邑ならびに之につける村々是なり ベニヤミンの子孫がその宗族にしたがひて獲たる產業は是のごとし

第19章

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次にシメオンのため即ちシメオン子孫の支派のためにその宗族にしたがひて籤を掣りその產業ばユダの子孫の產業の中にあり

その有る產業はベエルシバ即ちシバ、モラダ

ハザルシユアル、バラ、エゼム

エルトラデ、ベトル、ホルマ

チクラグ、ベテマルカボテ、ハザルスサ

ベテレバオテ、シヤルヘンの十三邑並びに之につける村々

およびアイン、リンモン、エテル、アシヤンの四邑ならびに之につける村々

および此邑々の周圍にありてバアラテベエルすなはち南のラマまでに至るところの一切の村々等なりシメオンの子孫の支派がその宗族にしたがひて獲たる產業は是のごとし

シメオンの子孫の產業はユダの子孫の分の中より出づ是ユダの子孫の分自分のためには多かりしに因てシメオンの子孫のおのれの產業を彼らの產業の中に獲たるなり

第三にゼブルンの子孫のために其宗族にしたがひて籤を掣り其產業の境界はサリデに及び

また西に上りてマララに至りダバセテに達しヨグネアムの前なる河に達し

サリデよりして東の方日のいづる方にまがりてキスロテタボルの境界にいたりタベラに出でヤピアに上り

彼處より東の方ガテヘペルにわたりてイツタカジンにいたりネアまで廣がるところのリンモンに至りて盡き

また北にまはりてハンナトンにいたりイフタエルの谷にいたりて盡く

カツタテ、ナハラル、シムロン、イダラ、ベテレヘムなどの十二邑ならびに之につける村々あり

ゼブルンの子孫がその宗族にしたがひて獲たる產業およびその邑と村とは是のごとし

第四にイツサカルすなはちイツサカルの子孫のためにその宗族にしたがひて籤を掣り

その境界の包括る處はヱズレル、ケスロテ、シユネム

ハパライム、シオン、アナハラテ

ラビテ、キシン、エベツ

レメテ、エンガンニム、エンハダ、ベテパツゼズなどなり

その境界タボル、シヤハヂマおよびベテシメシに達しその境界ヨルダンにいたりて盡く其邑あはせて十六また之につける村々あり

イツサカルの子孫の支派が其宗族にしたがひて獲たる產業および其邑々村々は是の如し

第五にアセルの子孫の支派のために其宗族にしたがひて籤を掣り

其境界の内はヘルカテ、ハリ、ベテン、アクサフ

アランメレク、アマデ、ミシヤルなり其境界西の方カルメルに達しまたシホルリブナテに達し

日の出る方に折てベテダゴンにいたりゼブルンに達し北の方イフタヱルの谷のベテエメク及びネイエルに達し左してカブルに出で

エプロン、レホブ、ハンモン、カナにわたりて大シドンにまでいたり

ラマに旋りツロの城に及びまたホサに旋りアクジブの邊にて海にいたりて盡く

またウンマ、アベクおよびレホブありその邑あはせて二十二また之につける村々あり

アセルの子孫の支派がその宗族にしたがひて獲たる產業およびその邑々村々は是のごとし

第六にナフタリの子孫のためにナフタリの子孫の宗族にしたがひて籤を掣り

その境界はヘレフより即ちザアナイムの樫の樹より起りアダミネケブおよびヤブニエルを經てラクムにいたりヨルダンにいたりて盡く

而して其境界西に旋りてアズノテタボルにいたり彼處よりホツコクに出で南はゼブルンに達し西はアセルに達し日の出る方はヨルダンの邊にてユダに達す

その堅固たる邑々はヂデム、ゼル、ハンマテ、ラツカテ、キンネレテ

アダマ、ラマ、ハゾル

ケデシ、エデレイ、エンハゾル

イロン、ミグダルエル、ホレム、ベテアナテ、ベテシメシなど合せて十九邑亦これにつける村々あり

ナフタリの子孫の支派がその宗族にしたがひて獲たる產業およびその邑々村々は是のごとし

第七にダンの子孫の支派のためにその宗族にしたがひて籤を掣り

その產業の境界の内はゾラ、エシタオル、イルシメシ

シヤラビム、アヤロン、イテラ

エロン、テムナ、エクロン

エルテケ、ギベトン、バアラテ

ヱホデ、ベネベラク、ガテリンモン

メヤルコン、ラツコン、ヨツパと相對ふ地などなり

但しダンの子孫の境界は初よりは廣くなれり其はダンの子孫上りゆきてライシを攻取り刃をもちてこれを撃ほろぼし之を獲て其處に住たればなり而してその先祖ダンの名にしたがびてライシをダンと名けたり

ダンの子孫の支派がその宗族にしたがひて獲たる產業およびその邑々村々は是のごとし

かく境界を畫りて產業の地を與ふることを終ぬ而してイスラエルの子孫おのれの中にてヌンの子ヨシユアに產業を與へたり

すなはちヱホバの命にしたがひて彼にその求むる邑を與ふエフライムの山地なるテムナテセラ是なり彼その邑を建なほして其處に住む

祭司エレアザル、ヌンの子ヨシユアおよびイスラエルの子孫の支派の族長等がシロにおいて集會の幕屋の門にてヱホバの前に籤をもて分與へし產業は是のごとし斯地を分つことを終たり


第20章

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茲にヱホバ、ヨシユアに告て言たまひけるは

汝イスラエルの子孫に告て言へ汝等モーセによりて我が汝らに語りおきし逃遁の邑を擇び定め

誤りて知ずに人を殺せる者を其處に逃れしめよ是は汝らが仇打する者を避て逃るべき處なり

斯る者は是等の邑の一に逃れゆき邑の門の入口に立てその邑の長老等の耳にその事情を述べし然る時は彼ら之をその邑に受いれ處を與へて己の中に住しむべし

仮令仇打する者追ゆくとも彼らその人を殺せる者を之が手に交すべからず其は彼知ずして人を殺せるにて素より之を惡みをりしに非ればなり

その人は會衆の前に立て審判を受るまで其時の祭司の長の死る迄その邑に住をるべし然る後その人を殺せる者己の邑に歸り往てその家にいたり己が逃いでし邑に住むべし

爰にナフタリの山地なるガリラヤのケデシ、エフライムの山地なるシケムおよびユダの山地なるキリアテアルバ(すなはちヘブロン)を之がために分ち

またヨルダンの彼旁ヱリコの東の方にてはルベンの支派の中より平地なる荒野のベゼルを擇び定めガドの支派の中よりギレアデのラモテを擇び定めマナセの支派の中よりバシヤンのゴランを擇び定めたり

是すなはちイスラエルの一切の子孫および之が中に寄寓をる他國人のために設けたる邑々にして凡て人を誤まり殺せる者を此に逃れしめ其會衆の前に立ざる中に仇打の手に死るがごときことなからしめんためなり

第21章

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茲にレビの族長等來りて祭司ヱレアザル、ヌンの子ヨシユアおよびイスラエルの子孫の支派の族長等の許にいたり

カナンの地シロにおいて之に語りて言ふヱホバかつて我らに住べき邑々を與ふることおよびその郊地を我らの家畜のために與ふる事をモーセによりて命じおきたまへりと

イスラエルの子孫すなはちヱホバの命にしたがひて自己の產業の中より左の邑々とその郊地とをレビ人に與ふ

先コハテ人の宗族のために籤を掣り祭司アロンの子孫たるレビ人籤によりてユダの支派の中シメオンの支派の中およびベニヤミンの支派の中より十三の邑を獲

その餘のコハテの子孫は籤によりてエフライムの支派の宗族の中ダンの支派の中マナセの支派の半の中より十の邑を獲たり

またゲシヨンの子孫は籤によりてイツサカルの支派の宗族の中アセルの支派の中ナフタリの支派の中およびバシヤンにあるマナセの支派の半の中より十三の邑を獲たり

またメラリの子孫は其宗族にしたがひてルベンの支派の中ガドの支派の中およびゼブルンの支派の中より十二の邑を獲たり

イスラエルの子孫ヱホバのモーセによりて命じたまひし所にしたがひて此の邑々とその郊地とを籤によりてレビ人に與ふ

即ち先ユダの子孫の支派の中およびシメオンの子孫の支派の中より左に名を擧たる邑々を與ふ

是はレビの子孫コハテ人の宗族なるアロンの子孫に歸す其は彼ら第一の籤にあたりたればなり

即ちユダの山地なるキリアテアルバ即ちヘブロンおよびその周圍の郊地をこれに與ふ此アルバはアナクの父なりき

その邑の田野およびその村々はこれをエフンネの子カレブに與へて所有となさしむ

祭司アロンの子孫に與へし者は即ち人を殺し者の逃るべき邑なるヘブロンとその郊地リブナとその郊地

ヤツテルとその郊地エシテモアとその郊地

ホロンとその郊地デビルとその郊地

アインとその郊地ユツタとその郊地ベテシメシとその郊地此九の邑は此ふたつの支派の中より分ちしものなり

またベニヤミンの支派の中よりギベオンとその郊地ゲバとその郊地

アナトテとその郊地アルモンとその郊地など四の邑をあたへたり

アロンの子孫たる祭司等の邑は合せて十三邑又之につける郊地あり

この他のコハテの子孫なるレビ人の宗族籤によりてエフライムの支派の中より邑を獲たり

即ち之に與へしは人を殺せる者の逃るべき邑なるエフライムの山地のシケムとその郊地およびゲゼルとその郊地

キブザイムとその郊地ベテホロンとその郊地など四の邑なり

又ダンの支派の中より分ちて與へし者はエルテケとその郊地ギベトンとその郊地

アヤロンとその郊地ガテリンモンとその郊地など四の邑なり

又マナセの支派の半の中より分ちて與へし者はタアナクとその郊地ガテリンモンとその郊地など二の邑なり

外のコハテの子孫の宗族の邑は合せて十また之につける郊地あり

ゲルシヨンの子孫たるレビ人の宗族に與へし者はマナセの支派の半の中よりは人を殺せる者の逃るべき邑なるバシヤンのゴランとその郊地およびベエシテラとその郊地など二の邑なり

イツサカルの支派の中よりはキシオンとその郊地ダベラとその郊地

ヤルムテとその郊地エンガンニムとその郊地など四の邑なり

アセルの支派の中よりはミシヤルとその郊地アブドンとその郊地

ヘルカテとその郊地レホブとその郊地など四の邑なり

ナフタリの支派の中よりは人を殺せる者の逃るべき邑なるガリラヤのケデシとその郊地およだハンモテドルとその郊地カルタンとその郊地など三の邑なり

ゲルシヨン人がその宗族にしたがひて獲たる邑は合せて十三邑にして又これに屬る郊地あり

この餘のレビ人なるメラリの子孫の宗族に與へし者はゼブルンの支派の中よりはヨクネアムと其郊地カルタとその郊地

デムナとその郊地ナハラルとその郊地など四の邑なり

ルベンの支派の中よりはべゼルとその郊地ヤハヅとその郊地

ケデモテとその郊地メバアテとその郊地など四の邑なり

ガドの支派の中よりは人を殺せる者の逃るべき邑なるギレアデのラモテとその郊地およびマハナイムとその郊地

ヘシボンとその郊地ヤゼルとその郊地など合せて四の邑

是みな外のレビ人なるメラリの子孫がその宗族にしたがひて獲たる邑々なり其籤によりて獲たる邑は合せて十二

イスラエルの子孫の所有の中にレビ人が有る邑々は合せて四十八邑又之につける郊地あり

この邑々は各々その周圍に郊地あり此邑々みな然り

かくヱホバ、イスラエルに與へんとその先祖等に誓ひたまひし地をことごとく與へたまひければ彼ら之を獲て其處に住り

ヱホバ凡てその先祖等に誓ひたまひし如く四方におて彼らに安息を賜へり其すべての敵の中に一人も之に當ることを得る者なかりきヱホバかれらの敵をことごとくその手に付したまへり

ヱホバがイスラエルの家に語りたまひし善事は一だに缺ずして悉くみな來りぬ

第22章

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茲にヨシユア、ルベン人ガド人およびマナセの支派の半を召て

これに言けるは汝らはヱホバの僕モーセが汝らに命ぜし所をことごとく守り又わが汝らに命ぜし一切の事において我言に聽したがへり

汝らは今日まで日ひさしく汝らの兄弟を離れずして汝らの神ヱホバの命令の言を守り來り

今は已に汝らの神ヱホバなんぢらの兄弟に向に宣まひし如く安息を賜ふに至れり然ば汝ら身を轉らしヱホバの僕モーセが汝らに與へしヨルダンの彼方なる汝等の產業の地に歸りて自己の天幕にゆけ

只ヱホバの僕モーセが汝らに命じおきし誡命と律法とを善く謹しみて行ひ汝らの神ヱホバを愛しその一切の途に歩みその命令を守りて之に附したがひ心を盡し精神を盡して之に事ふべしと

かくてヨシユア彼らを祝して去しめければ彼らはその天幕に往り

マナセの支派の半にはモーセ、バシヤンにて產業を與へおけりその他の半にはヨシユア、ヨルダンの此旁西の方にてその兄弟等の中に產業を與ふヨシユア彼らをその天幕に歸し遣るに當りて之を祝し

之に告て言けるは汝ら衆多の貨財夥多しき家畜金銀銅鐵および夥多しき衣服をもちて汝らの天幕に歸り汝らの敵より獲たるその物を汝らの兄弟の中に分つべしと

爰にルベンの子孫ガドの子孫およびマナセの支派の半はヱホバのモーセによりて命じ給ひし所に循ひて己の所有の地すなはち已に獲たるギレアデの地に往んとてカナンの地のシロよりしてイスラエルの子孫に別れて歸りけるが

ルベンの子孫ガドの子孫およびマナセの支派の半カナンの地のヨルダンの岸邊にいたるにおよびて彼處にてヨルダンの傍に一の壇を築けりその壇は大にして遥に見えわたる

イスラエルの子孫はルベンの子孫ガドの子孫およびマナセの支派の半カナンの地の前の部にてヨルダンの岸邊イスラエルの子孫に屬する方にて一の壇を築けりと言を聞り

イスラエルの子孫これを聞と斉しくイスラエルの子孫の會衆ことごとくシロに集まりて彼らの所に攻のぼらんとす

イスラエルの子孫すなはち祭司エレアザルの子ピハネスをギレアデの地に遣はしてルベンの子孫ガドの子孫およびマナセの支派の半の所に至らしめ

イスラエルの各々の支派の中より父祖の家の牧伯一人づつを擧て合せて十人の牧伯を之に伴なはしむ是みなイスラエルの家族の中にて父祖の家の長たる者なりき


彼らギレアデの地に往きルベンの子孫ガドの子孫およびマナセの支派の半にいたりて之に語りて言けらく

ヱホバの全會衆かく言ふ汝らイスラエルの神にむかひて愆を犯し今日すでに翻へりてヱホバに從がはざらんとし即ち己のために一の壇を築きて今日ヱホバに叛かんとするは何事ぞや

ベオルの罪われらに足ざらんや之がためにヱホバの會衆に災禍くだりたりしかども我ら今日までも尚身を潔めてその罪を棄ざるなり

然るに汝らは今日ひるがへりてヱホバに從がはざらんとするや汝ら今日ヱホバに叛けば明日はヱホバ、イスラエルの全會衆を怒りたまふべし

然ながら汝らの所有の地もし潔からずばヱホバの幕屋のたてるヱホバの產業の地に濟り來て我らの中にて所有を獲よ惟われらの神ヱホバの壇の外に壇を築きてヱホバに叛く勿れまた我らに悖るなかれ

ゼラの子アカン詛はれし物につきて愆を犯しつひにイスラエルの全會衆に震怒臨みしにあらずや且また其罪にて滅亡し者は彼人ひとりにはあらざりき

ルベンの子孫ガドの子孫およびマナセの支派の半答へてイそフエの宗族の長等に言けるは

諸の神の神ヱホバ諸の神の神ヱホバ知しめすイスラエルも亦知んもし叛く事あるひはヱホバに罪を犯す事ならば汝今日我らを救ふなかれ

我らが壇を築きし事もし翻がへりてヱホバに從がはざらんが爲なるか又は其上に燔祭素祭を献げんが爲なるか又はその上に酬恩祭の犠牲を獻げんがためならばヱホバみづからその罪を問討したまへ

我等は遠き慮をもて故に斯なしたるなり即ち思ひけらく後の日にいたりて汝らの子孫われらの子孫に語りて言ならん汝らはイスラエルの神ヱホバと何の關係あらんや

ルベンの子孫およびガドの子孫よヱホバ我らと汝らの間にヨルダンを界となしたまへり汝らはヱホバの中に分なしと斯いひてなんぢらの子孫われらの子孫としてヱホバを畏るることを息しめんと

是故に我ら言けらく我らいま一の壇を我らのために築かんと是燔祭のために非ずまた犠牲のために非ず

惟し之をして我らと汝らの間および我らの後の子孫の間に證とならしめて我ら燔祭犠牲および酬恩祭をもてヱホバの前にその職務をなさんがためなり然せば汝らの子孫後の日いたりて我らの子孫に汝らはヱホバの中に分なしと言こと無らん

是をもて我ら言り彼らが我らまたは後の日に我らの子孫に然いはばその時我ら言ん我らの父祖の築きたりしヱホバの壇の模形を見よ是は燔祭のためにも非ずまた犠牲のためにもあらず我らと汝らとの間の證なり

ヱホバに叛き翻へりて今日ヱホバに從がふことを息め我らの神ヱホバの幕屋の前にあるその祭壇の外に燔祭素祭犠牲などのために壇を築くことは我らの絶て爲ざる所なり

祭司ピネハスおよび會衆の長等即ち彼とともなるイスラエルの宗族の首等はルベンの子孫ガドの子孫およびマナセの子孫が述たる言を聞て善とせり

祭司エレアザルの子ピネハスすなはちルベンの子孫ガドの子孫およびマナセの子孫に言けるは我ら今日ヱホバの我らの中に在すを知る其は汝らヱホバにむかひて此愆を犯さざればなり今なんぢらはイスラエルの子孫をヱホバの手より救ひいだせりと

祭司エレアザルの子ピネハスおよび牧伯等すなはちルベンの子孫およびガドの子孫に別れてギレアデの地よりカナンの地に歸りイスラエルの子孫にいたりて復命しけるに

イスラエルの子孫これを善とせり而してイスラエルの子孫神を讃めルベンの子孫およびガドの子孫の住をる國を滅ぼしに攻上らんと重ねて言ざりき

ルベンの子孫およびガドの子孫その壇をエド(證)と名けて云ふ是は我らの間にありてヱホバは神にいますとの證をなす者なりと

第23章

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ヱホバ、イスラエルの四方の敵をことごとく除きて安息をイスラエルに賜ひてより久しき後すなはちヨシユア年邁みて老たる後

ヨシユア一切のイスラエル人すなはち其長老首領裁判人官吏などを招きよせて之に言けるは

我は年すすみて老ゆ汝らは已に汝らの神ヱホバが汝らのために此もろもろの國人に行ひたまひし事を盡く見たり即ち汝らの神ヱホバみづから汝らのために戰ひたまへり

視よ我ヨルダンより日の入る方大海までの此もろもろの漏のこれる國々および已に滅ぼしたる一切の國々を籤にて汝らに分ちて汝らの支派の產業となさしめたり

汝らの神ヱホバみづから汝らの前よりその國民を打攘ひ汝らの目の前よりこれを逐はらひたまはん而して汝らは汝らの神ヱホバの汝らに宣まひしごとく之が地を獲にいたるべし

然ば汝ら勵みてモーセの律法の書に記されたる所を盡く守り行なへ之を離れて右にも左にも曲るなかれ

汝らの中間に遺りをる是等の國人の中に往なかれ彼らの神の名を唱ふるなかれ之を指て誓はしむる勿れ又これに事へこれを拝むなかれ

惟今日まで爲たるごとく汝らの神ヱホバに附したがへ

それヱホバは大にして且強き國民を汝らの前より逐はらひたまへり汝らには今日まで當ることを得る人一箇もあらざりき

汝らの一人は千人を逐ことを得ん其は汝らの神ヱホバ汝らに宣まひしごとく自ら汝らのために戰ひたまへばなり

然ば汝ら自ら善く愼しみて汝らの神ヱホバを愛せよ

然らずして汝ら若後もどりしつつ是等の國人の漏のこりて汝らの中間に止まる者等と親しくなり之と婚姻をなして互に相往來しなば

汝ら確く知れ汝らの神ヱホバかさねて是等の國人を汝らの目の前より逐はらひたまはじ彼ら反て汝らの羂となり罟となり汝らの脇に鞭となり汝らの目に莿となりて汝ら遂に汝らの神ヱホバの汝らに賜ひしこの美地より亡び絶ん

視よ今日われは世人の皆ゆく途を行んとす汝ら一心一念に善く知るならん汝らの神ヱホバの汝らにつきて宣まひし諸の善事は一も缺る所なかりき皆なんぢらに臨みてその中一も缺たる者なきなり

汝らの神ヱホバの汝らに宣まひし諸の善事の汝らに臨みしごとくヱホバまた諸の惡き事を汝らに降して汝らの神ヱホバの汝らに與へしこの美地より終に汝らを滅ぼし絶たまはん

汝ら若なんぢらの神ヱホバの汝らに命じたまひしその契約を犯し往て他神に事へてこれに身を鞠むるに於てはヱホバの震怒なんぢらに向ひて燃いでてなんぢらヱホバに與へられし善地より迅速に亡びうせん

第24章

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茲にヨシユア、イスラエルの一切の支派をシケムに集めイスラエルの長老首領裁判人官吏などを招きよせて諸共に神の前に進みいで

而してヨシユアすべての民に言けるはイスラヱルの神ヱホバかく言たまふ汝らの遠祖すなはちアブラハムの父たりナホルの父たりしテラのごときは在昔河の彼旁に住て皆他神に事へたりしが

我なんぢらの先祖アブラハムを河の彼旁より携へ出してカナンの全地を導きてすぎその子孫を増んとして之にイサクを與へたり

而してイサクにヤコブとエサウを與ヘエサウにセイル山を與へて獲させたりまたヤコブとその子等はエジプトに下れり


我モーセおよびアロンを遣はしまた災禍をエジプトに降せり我がその中に爲たる所の事のごとし而して後われ汝らを導びき出せり

我なんぢらの父をエジプト入り導き出し汝ら海に至りしにエジプト人戰車と騎兵とをもて汝らの後を追て紅海に來りけるが

汝らの父等ヱホバに呼はりければヱホバ黑暗を汝らとエジプト人との間に置き海を彼らの上に傾むけて彼らを淹へり汝らは我がエジプトにて爲たる事を目に觀たり斯て汝らは日ひさしく曠野に住をれり

我またヨルダンの彼旁にすめるアモリ人の地に汝らを携へいれたり彼ら汝らと戰ひければ我かれらを汝らの手に付しかれらの地をなんぢらに獲しめ彼らを汝らの前より滅ぼし去り

時にモアブの王チツポルの子バラク起てイスラエルに敵し人を遣はしてペオルの子バラムを招きて汝らを詛はせんとしたりしが

我バラムに聽ことを爲ざりければ彼かへつて汝らを祝せり斯われ汝らを彼の手より拯出せり

而して汝らヨルダンを濟りてヱリコに至りしにヱリコの人々すなはちアモリ人ペリジ人カナン人ヘテ人ギルガシ人ヒビ人ヱブス人等なんぢらに敵したりしが我かれらを汝らの手に付せり

われ黄蜂を汝らの前に遣はして彼のアモリ人の王二人を汝らの前より逐はらへり汝らの劍または汝らの弓を用ひて斯せしに非ず

而して我なんちらが勞せしに非ざる地を汝らに與ヘ汝らが建たるに非ざる邑を汝らに與へたり汝らは今その中に住をる汝らは亦己が作りたるに非ざる葡萄園と橄欖園とにつきて食ふ

然ば汝らヱホバを畏れ赤心と眞實とをもて之に事へ汝らの先祖が河の彼邊およびエジプトにて事へたる神を除きてヱホバに事へよ

汝ら若ヱホバに事ふることを惡とせぱ汝らの先祖が河の彼邊にて事へし神々にもあれ又は汝らが今をる地のアモリ人の神々にもあれ汝らの事ふべき者を今日選べ但し我と我家とは共にヱホバに事へん

民こたへて言けるはヱホバを棄て他神に事ふることは我等きはめて爲じ

其は我らの神ヱホバみづから我等と我らの先祖とをエジプトの地奴隸の家より導き上りかつ我らの目の前にかの大なる徴を行ひ我らが往し一切の路にて我らを守りまた我らが其中間を通りし一切の民の中にて我らを守りたまひければなり

而してヱホバ此地に住をりしアモリ人などいふ一切の民を我らの前より逐はらひたまへり然ば我らもヱホバに事へん彼は我らの神なればなり

ヨシユア民に言けるは汝らはヱホバに事ふること能はざらん其は彼は聖神また妬みたまふ神にして汝らの罪愆を赦したまはざればなり

汝ら若ヱホバを棄て他神に事へなば汝らに福祉を降したまへる後にも亦ひるがへりて汝らに災禍を降して汝らを滅ぼしたまはん

民ヨシユアに言けるは否我ら必らずヱホバに事ふべしと

ヨシユア民に向ひて汝らはヱホバを選びて之に事へんといへりなんぢら自らその證人たりと言ければ皆我らは證人なりと答ふ

ヨシユアまた言り然ば汝らの中にある異なる神を除きてイスラエルの神ヱホバに汝らの心を傾むけよ

民ヨシユアに言けるは我らの神ヱホバに我らは事へ其聲に我らは聽したがふべしと

ヨシユアすなはち其日民と契約を結びシケムにおいて法度と定規とを彼らのために設けたり

ヨシユアこれらの言を神の律法の書に書しるし大なる石をとり彼處にてヱホバの聖所の傍なる樫の樹の下に之を立て

而してヨシユア一切の民に言けるは視よ此石われらの證となるべし是はヱホバの我らに語りたまひし言をことごとく聞たればなり然ば汝らが己の神を棄ること無らんために此石なんぢらの證となるべしと

かくてヨシユア民を各々その產業に歸しさらしめたりき

是らの事の後ヱホバの僕ヌンの子ヨシユア百十歳にして死り

人衆これをその產業の地の内にてテムナテセラに葬むれりテムナテセラはエフライムの山地にてガアシ山の北にあり

イスラエルはヨシユアの世にある日の間またヱホバがイスラエルのために行ひたまひし諸の事を識ゐてヨシユアの後に生存れる長老等の世にある日の間つねにヱホバに事へたり

イスラエルの子孫のエジプトより携さへ上りしヨセフの骨を昔ヤコブが銀百枚をもてシケムの父ハモルの子等より買たりしシケムの中なる一の地に葬れり是はヨセフの子孫の產業となりぬ

アロンの子エレアザルもまた死り人衆これを其子ピネハスがエフライムの山地にて受たりし岡に葬れり